ラベル パイロット養成 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル パイロット養成 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025年4月3日木曜日

米海軍の次期練習機は空母着艦を想定しない仕様に、一方現有のT-45への不満が高いことがわかります。同機はもともと英ホークを海軍仕様にしたのでしたが(The Aviationist)

 


UJTS new RFI

ニミッツ級空母USSドワイト・D・アイゼンハワー(CVN 69)(IKE)の飛行甲板でタッチアンドゴーを行う訓練飛行隊(VT)9のT-45Cゴスホーク練習機。 (U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Aleksandr Freutel)


海軍は、T-45後継機に関する新たな情報提供要請書を発表した。FCLP(Field Carrier Landing Practice)を実施するT-45は第一線から退くのか

 2025年3月31日、米海軍は老朽化したT-45ゴスホーク(オオタカ)の後継機となるプログラム、アンダーグラデュエート・ジェット・トレーニング・システム(UJTS)の新たな情報提供要請書(RFI)を発表した。最終的な提案依頼書(RFP)も2024年後半に提出される予定だった。

新しいRFI

新しいRFIでは、提案依頼書(RFP)が2025年12月までに提出され、契約締結は2027年1月と予想されている。 4回目のRFIでは、契約締結時期が2026年度から2028年度第2四半期に延期されていたが、今回のRFIでは、「UJTSプログラムは調達スケジュールを前倒ししている」と言及されている。

 しかし、2024年時点では、海軍はまだ "UJTSの飛行体がタッチダウンするために実戦空母着艦訓練(FCLP)を実施する必要があるかどうかを慎重に検討していた"が、今回、海軍はついに重大な決定に達したようだ。実際、新しいRFIでは、"UJTSの飛行体は、FCLPで発艦することのみが要求される "と記載されている。

 以前報告したように、教育訓練司令部のシラバスの大部分はFCLPを中心に構成されており、新米パイロットは、空母で行われるアプローチと着艦の全操作を陸上基地で訓練する。 新しい要件では、将来の学生パイロットは、滑走路にタッチダウンせず、現在のFCLPのアプローチフェーズのみを実行し、最小値に達した後、迂回することになる。


NAS KingsvilleのT-45が、NAS JRB Fort Worthで行われたField Carrier Landing Practice (FCLP)で、改良型フレネルレンズ光学式着陸システム(IFLOLS)をテストしている。 (Image credit: Carl Richards via Naval Air Station Fort Worth Joint Reserve Base)


海軍によると、T-45ゴスホークや以前のT-2バックアイとまったく異なるルートを設定する今回の決定は、「運用プラットフォームの着陸モードと地上ベースのシミュレーションの進歩によるもの」だという。つまり、将来の海軍飛行士はさらに自動化に依存し、フライトシミュレータ内でのみ完全なFCLPを行うことになる。

 また、今回の決定により、新しい練習機が新しい役割に適応するための複雑で長い構造変更が不要となるため、より迅速な開発が可能になる。 これは、同局が現在UJTSプログラムに対して設定している2つの包括的目標、すなわち初期運用能力(IOC)までのスピードと訓練の質の向上にもつながる。

 さらにRFIでは、「IOCまでのスピードを確保するため、政府は請負業者の開発スケジュール(契約締結から最初の試験機の引き渡しまで)を3年以内に抑えたい」としている。 実際、海軍はT-45後継機を早急に必要としている。T-45は問題に直面し続けており、直近では2025年3月11日に、離陸前のエンジン故障でエンジンが損傷した事例が生まれ、飛行禁止となった。

 新しいRFIで海軍は地上訓練システム(GBTS)の要件を最終化するため業界の意見を求めている。海軍は「実戦飛行訓練装置(OFT)、ユニット訓練装置(UTD)、コックピット手順訓練装置(CPT)、卓上エイビオニクス訓練装置(DAT)からなる4層のGBTS製品ラインを考えているが、適切な組み合わせについて業界の意見を求めている。

 GBTSはまた、"LVC(Live/Virtual/Constructive)統合訓練:接続された訓練装置で構成される単一の訓練イベント内で、航空機やシミュレータ内の仮想脅威環境をリアルタイムで挿入できる "ことを含むと予想されている。また、海軍はコースウェア、DMSMS(Diminishing Manufacturing Sources and Material Shortages)、信頼性と保守性、ハイパーコンバージドインフラストラクチャについても意見を求めている。


2024年のRFI

 最新のRFIが地上訓練システムに焦点を当てたのに対し、前回のRFIは機体に焦点を当てたものだった。多くは以前のRFIからすでに知られていたが、一部は新しい要件を反映するために更新されていた。

 コックピットに要求された属性は、ゼロ・ゼロ射出座席やバードストライクに強いキャノピーなど、現代の航空機に共通する安全性と環境特性を特徴としている。後者は、海軍がバードストライク問題で何機か失っており、再発の可能性を最小限にしたいのは明らかである。

 コックピット構成については、同軍はヘッドアップディスプレイ(HUD)と「両コックピットに単一のプライマリー・タッチスクリーン・ディスプレイ」、拡張現実(AR)を統合し、FWDとAFTのコックピットで同時または個別に使用できるヘルメット・マウント・ディスプレイ(HMD)を備えた航空機を要求している。 海軍はすでにF-35CとF/A-18ブロックIIIでLADを採用しており、UJTSを卒業したパイロットが操縦することになるため、大型ディスプレイ(LAD)の要件は予想されていた。

 その後、RFIは、非フレア着陸時に視野を維持しながら、3.25度のグライドスロープを目標とする固定迎角(AoA)アプローチを維持する能力から始まり、適性と性能属性に移動している。同RFIによると、この航空機は訓練イベントごとに6~10回のフレア着陸を行い、年間飛行時間を400時間と仮定すると年間1,400回の着陸を行い、機体疲労寿命は合計10,000時間、着陸回数は35,000回になると予想されている。

 このため、構造設計では着陸時の非常に大きな応力を考慮する必要があり、場合によっては構造変更が必要になる。 新RFIでは、FCLPはタッチダウンを行わず、ウェーブオフのみを実施するとされているため、この要件は変更される可能性が高い。

 性能に関しては、海軍は少なくともマッハ0.9/450-500KIASの速度、20度以上の持続的なAoA、少なくとも6Gの持続的な負荷係数、少なくとも41,000フィートの動作上限、少なくとも12deg/secの旋回速度が可能な航空機を求めている。RFIではまた、主翼や翼端のパイロンに言及し、外部燃料タンク、荷物ポッド、6個のMK-76型練習用爆弾を搭載したPMBR(練習用多連装爆弾ラック)を添付している。

 新型UJTS機は、現在F/A-18とF-35に搭載され、最終的にすべての海軍機にとって空母への標準的な接近方法となる、新しい精密着陸モード(PLM)を統合することも要求されている。 PLMは、空母への最終進入時に必要な修正回数を大幅に減らすだけでなく、航空機の構造への要求を下げ、構造修正の必要性を減らすことができる。

 次にRFIは、現在生産されている航空機のエイビオニクス能力を反映した計器・航法、識別、制御、ディスプレイ、記録装置について、希望する属性をすべてリストアップしている。そしてミッションシステムのリストには、空対地兵站、エンベデッド・シンセティック・トレーニング、AR(拡張現実)訓練システムの提供が挙げられている。UJTSのRFIで練習用兵器の使用が言及されたのはこれが初めてのようだ。

 レーダー(前回のRFIで実際のレーダーの可能性を調査していた)、電子光学/赤外線(EO/IR)、レーダー警報受信機(RWR)、電子支援措置(ESM)、電子戦(EW)、電子攻撃(EA)など、模擬的なセンサーやシステムは枚挙にいとまがない。 また、銃、空対空、空対地兵器、自動地上衝突回避システム(Auto G-CAS)のシミュレーションも含まれている。■


U.S. Navy’s Next Trainer Jet Won’t Need to Land on Carriers

Published on: March 31, 2025 at 10:32 PM

https://theaviationist.com/2025/03/31/new-usn-trainer-rfi/


ステファノ・ドゥルソ

Stefano D'Ursoは、イタリアのレッチェを拠点とするフリーランスのジャーナリストであり、TheAviationistへの寄稿者である。産業工学を専攻し、航空宇宙工学の修士号取得を目指している。電子戦、滞空弾、OSINT技術を軍事作戦や現在の紛争に応用することが専門分野。



米空軍がパイロット訓練の再点検でペースアップを実現しようとしているのは深刻なパイロット不足へ対処するため(Aviation Week)

 


T-6A

T-6Aのメンテナンス問題がパイロット認定を遅らせる一因となっている。クレジット:カイリー・レイノルズ上級空兵/米空軍


イロット不足が慢性的となり、飛行士を輩出できない影響が増えているため、米空軍は外部に目を向けで、初期パイロット訓練プログラムを再度見直した。

学生は軍事訓練の前にFAA認定を受ける

 航空教育訓練司令部(AETC)は昨秋、新モデルを導入し、学士課程訓練を受ける前に学生飛行士をパイロット養成学校に派遣して基礎を学ばせることにした。この変更で若い飛行士はFAAパート141認定校で基本的な飛行技術、計器飛行、多発エンジン飛行の能力に関する集中訓練を受けた後、空軍基地でビーチクラフトT-6テキサンIIの訓練を受けることになる。

空軍は2027年に目標を達成する予定

この新しい初期操縦訓練(IPT)モデルで、AETCは2027年までに訓練総数を年間約1,300人から必要とされる1,500人に引き上げ、長らく必要数を約2,000人下回ったままのパイロット不足を解消できると見込んでいる。このアプローチは将来の米空軍飛行士のためだけでなく、ユーロNATO統合ジェット機パイロット訓練プログラムに配属された留学生も参加する。

 AETC司令官のブライアン・ロビンソン中将は、「この規模が拡大され、われわれが考えているように計画が実現すれば、学生パイロット養成の新しい方法となり、この方法で年間1,500人のパイロットが生まれる」と語っている。

 IPTプログラムでは、学生はまずテキサスにあるブルナー・エアロスペース飛行訓練プログラムとアリゾナにあるノースダコタ大学エアロスペース・ファウンデーション・プログラムに向かう。

 空軍が授業料を負担した学生は、まずセスナ172、パイパー・アーチャー、ダイヤモンドDA40など航空機で単発機操縦の訓練を受け、次にパイパーPA-44セミノールやダイヤモンドDA42で多発機の訓練を受ける。

 パート141認定に加え、パイロットがロッキード・マーチンF-35やボーイングKC-46のような新型機を操縦できるように、最新のグラスコックピットを搭載した航空機を操縦することが、このサービスの主な要件だ。

 AETCの計画・プログラム・要件担当ディレクター、マシュー・レアード准将によれば、学生は140日間学校に配属され、110時間の訓練を受けて「強固な基礎」を築いた後、AETC基地に配属され、T-6で軍特有の訓練を受ける。AETC基地では、パイロットはT-6で約55時間飛行した後、ノースロップT-38で戦闘機や爆撃機の訓練を受ける、あるいは機動性、特殊作戦、回転翼に特化した訓練を受ける。

 空軍がIPTを開発したのは、整備と信頼性の問題の中で、以前の訓練モデルで課題となっていたT-6機体へのストレスを軽減するためもある。このため、パイロットの数が不足し、空軍は訓練枠を待つ間、パイロット志願者を空軍工科大学への留学など、他の任務に就かせる必要があった。

学生一人当たりのT-6飛行時間は大幅に削減されるが、初期段階での飛行時間は増加する

 「年間およそ1,500人のパイロットをT-6で飛行させるのに十分な飛行時間を確保することが課題だった。「そこで私たちは、T-6の飛行時間を軍事教官パイロットや軍用機に集中させるため本当に必要な内容を検討した。飛行時間と教官パイロットはそれに集中させる。 では、教官が集中する必要のないものは何か?それは基本的な航空術、計器手順(と)ナビゲーションだ。 そして、質の高い訓練ができる場所はどこなのか?」

 輸送機やタンカーなど機動性機材の操縦訓練を受けるパイロットは、KC-46やボーイングC-17に配属される前に、PA-44やDA42で多発機訓練のみを受けることになる 同サービスは、多発機訓練に使用されていたレイセオンT-1Aジェイホークを退役させる。

 新しいプログラムで、3月時点で7クラスが準備に入っている。空軍は、2027年までにすべての訓練をスケールアップするよう期待しており、多数の学校がサービス契約に入札する機会を得る。

 ロビンソン中将によると、IPTの結果は良好で、学生の大半は以前の方法よりも高い品質で飛行しているという。AETCは訓練待ちの学生パイロットを減らすことができた。

 「結局のところ、これは将来のパイロット訓練パイプラインの不可欠な部分であり、我々はこれを正しく理解しなければならない」(ロビンソン中将)。■


U.S. Air Force Overhauls Pilot Training Again To Increase Pace

Brian Everstine March 26, 2025

https://aviationweek.com/defense/light-attack-advanced-training/us-air-force-overhauls-pilot-training-again-increase-pace


ブライアン・エバースティン

ブライアン・エバースティンは、ワシントンD.C.を拠点とするAviation Week誌のペンタゴン担当編集者。



2024年12月8日日曜日

中国空軍が戦闘機パイロット養成時間を短縮へ(Simple Flying)―中国人の思考の限界が現れています。パイロット養成に時間がかかるのが耐えられないのでしょう。新型練習機導入では解決できません。これでは戦争に勝てません。

 L15_(17810345710) - Hongdu L-15 Rollout

Photo: Wikimedia Commons

Hongdu 201603291123228076-color-exposure-enhance-4x - Hongdu JL-10 Trainer Jet take-off



Hongdu 201603291123371220-enhance-4x - Rising Hongdu JL-10 (L-15) Trainer Jet

shutterstock_2085616516 - L-15/PL-10 with armaments at Dubai Airshow

shutterstock_2370342011 - Armaments and JL-10/L-15 fighter jet at 2021 Dubai Air Show

shutterstock_2085616516 - L-15/PL-10 with armaments at Dubai Airshow



華人民共和国(PRC)の人民解放軍空軍(PLAAF)は、戦闘機パイロット養成の短縮化に取り組んでいる。11月26日付のAir & Space Forces Magazineが取り上げた2024年11月の航空大学中国航空宇宙研究所の論文では、PLAAF飛行アカデミーはパイロット養成を加速しており、この背景には新型ジェット練習機の存在がある。


PLAAFパイロット訓練時間の短縮

ヤコブレフのコンサルティングを受け、Yak-130ジェット練習機をベースに設計されたHongdu洪都JL-10ジェット練習機の受領により、PLAAFは、第2世代戦闘機であるMiG-21 Fishbedをベースにした旧型練習機を段階的に廃止することができる。PLAAFがJ-20マイティ・ドラゴンのような第5世代戦闘機の増加とともにJ-10やJ-15のような第4世代戦闘機を運用していることを考慮すれば、PLAAFがL-15をJL-10と呼ぶほど、L-15第4世代練習機はPLAAFにとって切実に必要なのだ。


アメリカ空軍は戦闘機パイロットの飛行訓練に2~3年を要する。空軍パイロットになるのは簡単なことではない。


2010年代までのPLAAFは、戦闘機パイロットを養成するために、主に第2世代の練習機で3年間の飛行訓練を受け、さらに最前線の飛行隊に配属され、最前線のプラットフォームで最後の1年間を過ごす必要があった。しかし、PLAAFは中間訓練を廃止し、パイロットが配属される戦闘機での運用訓練を一元化しようとしており、2030年までに運用訓練を最前線の戦闘機飛行隊から切り離すことを望んでいる。


例えば石家荘飛行学院2021は、上の写真の第4世代J-10の初期戦闘機パイロット学院生を訓練するために、内部に1年制の学校を設立した。 成都J-10はJL-10と同様、高度なエイビオニクスを備えたフライ・バイ・ワイヤ戦闘機だが、カナードと1基のジェットエンジンしか搭載していない。 同紙によると、PLAAFの3つの飛行アカデミーのうち、ハルビン飛行アカデミーと西安飛行アカデミーの他の2つが、瀋陽J-11(下の写真がその例)の飛行訓練を行っているのが目撃されている。


しかし、PLAAFの戦闘機パイロット訓練を、信頼性が低い旧型練習機による2010年代の8年間から短縮させるための重要なツールは、石家荘飛行アカデミーと、おそらくハルビン飛行アカデミーに導入されるJL-10である。


洪都JL-10(別名L-15)とは

洪都JL-10は、PLAAFに制定される前はL-15ファルコンとして知られていたが、単なるジェット練習機ではなく、軽攻撃機でもある。JL-10はフライ・バイ・ワイヤ式の練習機であり、当初ウクライナのIvchenko-Progress AI-222低バイパス・ターボファンを2基搭載していたが、おそらくPRCモデルに置き換えられるだろう。


HongduのウェブサイトのGoogle翻訳によると、JL-10には以下の特徴がある:


  • 1万時間の飛行時間

  • 大型主力による空力レイアウト"

  • 俊敏な操縦性と高い迎角機動性

  • 3軸4冗長デジタルフライバイワイヤー制御システム

  • オープン・データ・バス技術に基づく統合エイビオニクス・システム

  • デジタル設計


この練習機は、PLAAF以外にもアフリカのザンビアや中東のアラブ首長国連邦(UAE)、またパキスタンにも納入される可能性がある。The Aviationistによると、2023年11月8日、アラブ首長国連邦(UAE)はJL-10のL-15Aアフターバーナー非搭載型を12機発注し、オプションで最大36機を追加発注した。下の写真にあるように、L-15は対艦ミサイル、空対地ミサイル、レーザー誘導爆弾を格安で搭載できるため、多数国にとって魅力的な戦闘機となっている。


さらに、J-15海軍フランカー・ファミリーをサポートするため、JL-10の新型が発表され、中国軍にJL-10Jと指定された。人民解放軍海軍(PLAN)の三番目の空母CV-18福建に搭載された。


しかし、この記事はPLAAFについてのものである。中国海軍とアメリカ海軍のパイロット生産に関する信頼できる統計は入手困難である。


中国の年間パイロット養成数は400人、米空軍は1350人


前述の『Air & Space Forces』誌の記事によれば、中国は年間400人しかパイロットを養成していない。 しかし、PLAAFは戦闘機だけで2,006機を保有している。アメリカ空軍の年間1350人のパイロット養成に対し、アメリカ空軍は1883機の戦闘機を保有している。PLAAFがパイロットの生産問題を抱えているのは、PLAAFが取り組んでいる4年間の生産スケジュールのせいでもあり、先進的なジェット練習機JL-10に頼っているせいでもある。■


China's PLAAF Will Shorten The Time It Takes To Become A Fighter Pilot

By 

Joe Kunzler

https://simpleflying.com/china-plaaf-shorten-fighter-pilot-training-time/




2024年6月11日火曜日

中国軍が欧米パイロットを「積極採用」し、自国飛行士を訓練しようとしている、ファイブ・アイズが警告。地道な努力より手軽な近道を躊躇なく選択する中国の思考と金銭の魅力に勝てない西側人材。

 



中国人にとって長い間努力して何かを体得するのは愚の骨頂、金さえ出せば何でも手に入るということなのでしょう。たしかに金銭を示せば、動く西洋人はいるでしょうが、本当の実力が金で手に入るでしょうか。その例がエンジンで、あげくのはては電気自動車の時代にすれば手間のかかる内燃機関の技術習得を省略できると考えて、過剰生産に走り今や世界を混乱させていますね。Business Insider がパイロット訓練の関連でやはりこうした中国人の思考方法の危険性を訴えています。





  • 中国が自国飛行士の訓練に西側の現役軍人や元軍人を採用している

  • 北京は自らの欠点を克服するため、西側人材を採用している

  • 米国と同盟国が計画の深さを概説している


国が航空教官として西側軍人を「積極的に募集」しており、「有利な」契約や「エキゾチックな航空機」を操縦する機会の約束で人材を誘い込もうとしている、とアメリカと同盟国は警告している。

 アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで構成される情報共有機関ファイブ・アイズは6月4日、中国がNATOや西側諸国から現職や元職の軍人のリクルート努力を詳細に伝える情報を掲載した。

 中国は空軍と海軍を増強に努めているが、まだ決定的な能力のギャップが残っている。このため、北京は西側の技術や援助を求めている。

 中国軍は「PLAとの関係を隠し、法外な給与を提供する世界中の民間企業を利用して、飛行士教官として西側の軍事人材を積極的にリクルートしている」と、アメリカ国家防諜安全保障センターのマイケル・ケイシー所長は語った。

 中国の謀略は、欧米のパイロット、フライトエンジニア、航空作戦センター要員、軍事戦術、技術、手順に詳しい技術専門家をターゲットにしている。

 「PLAが西側の軍事的才能から得る洞察は、標的とされた新兵、その仲間の軍人、そして米国と同盟国の安全保障の安全を脅かす」と付け加えた。

 西側の戦術、技術、手順に関する洞察は、中国が米軍と衝突した場合に貴重なものとなる可能性がある。

 一方、仕事の依頼は、PLAと隠れたつながりを持つ民間企業から来ることもある。そして、その機会は中国や世界の他の地域にあるかもしれない。"有利な契約やエキゾチックな航空機を操縦する機会があり、最終的な顧客についての詳細は曖昧"と同報道は述べている。

 アメリカやイギリスといった国々は、以前からPLAのリクルート活動への懸念を表明しており、潜在的な国家安全保障上のリスクとして認識し、脅威を抑制しコントロールする措置をとっている。2022年には米海兵隊の元パイロットが逮捕された。

 西側諸国政府が中国の密猟活動について退役軍人や軍関係者に警告しているが、勧誘方法は進化している、と報道は指摘している。ケーシーは、最新の警告はこの「根強い脅威」を強調し、現役および元軍人が参加するのを阻止するのが狙いだと述べた。■



China is trying to overcome weaknesses in its military by 'aggressively recruiting' Western pilots to train its aviators, Five Eyes intel allies warn

Jake Epstein Jun 6, 2024, 1:59 AM JST


2020年6月29日月曜日

★★動き始めたReforge構想、まず訓練用F-22の用途変更、しかし各機種でトラブル続出



F-22 Raptor

空軍でパイロット養成に使用中の旧型F-22ラプター一部を戦闘対応機材に再区分する可能性が浮上している。航空戦闘軍団司令マイク・ホームズ大将が機材の稼働率向上策として言及している。


「初期生産ブロックのF-22は後期型並に改修しなくても十分戦闘に対応可能な機体だ。戦闘投入するならレガシー機材よりラプターを選択するのは明らかだ」とホームズ大将はミッチェル研究所で語った。「戦闘機訓練部隊の要求内容を減らせば、訓練用機材の一部を実戦対応に転換できる」


また正規訓練部隊(FTU)の一部を戦闘任務に転用するには、進めようとしている「リフォージ」つまり鍛錬再構築の訓練再構築構想を使えば可能とも述べた。リフォージには戦闘機パイロット養成期間を半減させる狙いがある。


ただし、ホームズ大将は用途変更について「航空戦闘軍団内部の検討対象にすぎない」とし、実際に何機を転用するか触れなかった。目標は「予算を使わずにどこまで多くの戦力を確保できるか」だという。
ラプターについて現時点の「課題は要求に対応できるエンジン数の確保で、F-22は想定以上の稼働になっているからだ」とする。特に、空軍はF-22をシリアで「想定外の用途に」投入しているという。


ただしホームズ大将はエンジン不足問題に関し悲観していない。メーカーのプラット・アンド・ホイットニーと対処中という。


空軍は機材近代化のニーズと経年化が進む機材の維持コストのバランスに苦慮しているが、各戦闘指揮官からはロシア、中国の挑戦に対し航空兵力への需要は強まるばかりだ。「戦力規模と近代化の両方にはさまれた格好だ」とホームズも認める。


機材維持でF-22エンジン問題以外に以下の課題をホームズが指摘した。
  • F-15:キャノピーシルのロンジロンに亀裂が見つかっており、機体にキャノピーを固定する重要部材で安全に関係する。「摩耗しており、耐用年数を超えたため交換が必要だがその間は機材が利用できなくなる」(ホームズ大将)
  • A-10ウォートホグ:各機の主翼で交換が必要な状態。
  • F-16ファイティング・ファルコン:ホームズ大将は耐用年数は残るものの「近代化改修を相当しないと現在の脅威に対応できない」とし、改修すれば長期間稼働不能となる。
  • F-35共用打撃戦闘機:主契約企業ロッキード・マーティンは部品不足のため生産維持に苦慮しているが、空軍は同機で稼働率が向上しており楽観視している。同機についてホームズ大将は「負担可能な経費で長期にわたり維持する方法を模索する」のが課題としている。
  • 情報収集監視偵察(ISR)用途機材ではボーイング707を原型とするE-8JSTARSやAWACSがあるが、エンジン不足に悩み、エンジン換装となれば整備時間が必要となる。


空軍には議会の反発も立ちふさがる。議会はA-10など既存機種の用途廃止には常に反発し、近代化改修経費が犠牲になっている。優先度が高いのが共用全ドメイン指揮統制(JADC2)事業で「全攻撃機材の各センサー」をつなぎ、全ドメイン作戦を実行可能にする構想だ。


例として上院軍事委員会の2021年度版国家防衛認可法案ではA-10退役を禁じており、作戦可能戦力として386飛行隊体制の維持を空軍に求めている。(現在の空軍の飛行隊総数はこれ以下)


ホームズ大将も戦闘司令部の要求内容に議会が理解と懸念を示してくれるのはありがたいとしながらも、必要な近代化改修を進め脅威へ対応することと現行の戦力維持の二律背反は解決する必要があると述べた。


「要求内容は多岐にわたり、使える手段をすべて使っても足りない」「近代化改修に優先順位を付ける必要がある」と述べた。


この記事は以下を再構成したものです。


Air Force Eyes Moving Older F-22s From Training To Combat Units


on June 22, 2020 at 6:14 PM

2017年11月1日水曜日

戦闘機パイロット養成の民営化に向かう米空軍の事情


なるほど米空軍も背に腹は代えられないほど追い詰められてきたわけですか。今回の民間委託対象は高度空戦訓練だけでないようですが、どうせやるならもっと大幅なアウトソーシングはできないのですかね。第四世代機の中古なら日本のF-4という手もあるでしょう。国有財産の処分手続きがこの度変わったのでまんざら可能性がないわけでもないでしょう。民間業者の狙いは中小国の訓練業務の一括業務受注ではないでしょうか。

 

The Air Force is getting ready to privatize a big part of its training program

米空軍は訓練民営化にむけ準備中
pilots flight line air militaryUS Air Force
Foreign PolicyPaul McLeary, Foreign Policy
  1. 米空軍エリック・「ドック」・シュルツ中佐がネヴァダ州での訓練飛行中に9月初め死亡したが、米空軍が事故の事実を認めたのは三日後だった。空軍は中佐の乗機機種で論評を拒んだ。
  2. 空軍が新型極秘機材の存在を明らかにしたくないのではとの観測が生まれた。F-35墜落の事実を軍が隠そうとしているとの観測もあったがこれは軍が後日否定している。
  3. その後、シュルツが外国製機材の飛行評価にあたる空軍部隊に所属しロシア製Su-27で空戦訓練中に死んだとの報道が出ると観測が一気に静まった。
  4. 航空機愛好家がSu-27がネリス空軍基地上空を飛行する様子をとらえることが以前からあり、同基地にロシア戦術を採用した訓練飛行隊があることが知られている。ただし冷戦中と比較すると今のロシア機材の利用は控えめなものに過ぎない。
  5. 1970年代80年代にかけ米空軍は極秘飛行隊通称レッドイーグルズでソ連製機材を飛ばしパイロットに敵対戦に備えた訓練を行っていた。だが同隊は1990年解隊され残存機はテスト飛行隊に移管された。シュルツ中佐が所属したのがはその一つだった。
  6. レッドイーグルズは残存しないが、海外機材をアグレッサー部隊で運用するニーズは残ったままだ。近年のロシア機材の性能向上やウクライナ侵攻(2014年)を受けてニーズはソ連解体以後最高水準になっている。
  7. その結果、米空軍航空戦闘軍団(ACC)は民間企業所有機材を訓練に利用する「敵部隊」“adversary air”の活用を検討している。
  8. 空軍から正式「事前要請書」が今週発出され、業界に正式な競争提案を求めようとしている。契約規模は数十億ドル相当とうまみのある内容ですでに海外機材の買い付けに動く数社があらわれた。
  9. 米空軍の基本業務の一部を民間企業に委託することになり過去からの決別を意味する。
  10. ACC司令官ジェイムズ・ホームズ大将Gen. James Holmesは今回の外部委託の主な理由にパイロット不足の悪化を挙げている。
  11. ISIS相手の航空戦が続く中でパイロットを通常任務から外すのはアフガニスタン情勢の悪化、イラン・北朝鮮との緊張増大の中では考えにくい。「実戦戦闘機部隊のほうがアグレッサー飛行隊より重要だ」とホームズは述べ、20機から24機とパイロットがアグレッサーに取られることに言及している。
AP_041118014814旧ソ連国旗を掲げるのは第64アグレッサー飛行隊のF-16ファイティングファルコンだ。ネリス空軍基地にて。 November 16, 2004. Associated Press
  1. アグレッサー飛行隊は冷戦の産物で国防総省はコンスタントペッグの名称でソ連機材をひそかに集めていた。レッドイーグルズはここから生まれ、MiG-17、MiG-21、MiG-23を運用した。解隊後も空軍はソ連機材をテスト評価用に調達していた。
  2. 各種筋によれば空軍にはMiG-29数機がモルドバ経由で在籍しており、Su-27二機もあり、シュルツ中佐の命を奪ったのがこの一機と見られる。
  3. ロシア機材の取得はソ連崩壊後に容易になったと内部事情筋が述べるが、機材を飛行可能に維持するのは大変だという。スペアパーツ取得が困難だった。
  4. 非ロシア製機材にロシア機のふりをさせることで空軍はこの問題に対処中だ。「政治的判断でソ連製以外の機材に向かっているのでは」とロシア機を取り扱う民間業者のオーナーが述べている。空軍は「大企業により保守点検され運用可能になっている」のが望ましいと考えているという。
  5. だが機体価格だけが契約を推進するのはではない。軍用パイロットが手に入るかも要素だ。米空軍のパイロットで訓練ミッションに回せる余裕が急速に縮まっている。
  6. パイロット不足1,500名になっており、訓練専門飛行隊を維持する余裕がなくなっている。今後のパイロットには新機種を相手に模擬空戦する余裕が減っていることを意味する。
  7. 可能な限り多数のパイロットを飛行させるため契約業者に「最短時間で準備させ費用対効果が最も優れる型」を期待するとACCで航空作戦顧問を務めるスティーブン・ブラネンは述べる。その試算では契約は年間5億ドル相当になる。「あくまでも戦闘機パイロット不足による措置」だという。
  8. 数十億ドル規模の商機を狙い二社が外国機材調達して受注を狙うほか数社も参画を狙っている。
  9. 食指を動かす対象は非ロシア機だけだ。ヴァージニア州に本拠をおく航空戦術優位性企業Airborne Tactical Advantage Company (ATAC) はフランスでミラージュ戦闘機63機購入しており、ドラケンインターナショナルDraken Internationalはスペインから用途廃止ミラージュ20機を導入した。
  10. 民間企業に旧式機でロシアや中国の第五世代機を真似させるのは大胆だがリスクもある。とはいえ空軍が必要と認識しているのはパイロット不足とF-35の大量購入や新型ステルス爆撃機の導入で予算も不足気味だからだ。
  11. 空軍は年間6万時間の訓練のうち約3.7万時間を民間委託に回す案を検討中で、民間企業には150機ないし200機が必要との試算がある。一社で賄いきれない規模で、受注は数社でわけあうかたちになりそうだ。前述のATACとドラケンが業界最大手だ。
  12. ドラケンは80機ほどを所有しており、ネリス空軍基地で運用中だ。一方、業界最大手のATACは90機を持ち、海軍の空母打撃群が長期間配置に向かう前に飛行訓練の相手をしている。
  13. だが各社保有機では最新の中国やロシア機の性能に匹敵しない。アグレッサー飛行隊はF-16やF-15を飛ばしている。
  14. 業者は第二世代、第三世代機を飛ばすことが多いが、軍は第四世代機を望んでおり、実戦の雰囲気をパイロットに味合わせたいとする。ミラージュは不合格だがエイビオニクス改良で第四世代機を真似させようという動きがある。
  15. ATACのCEOジェフリー・パーカーJeffrey ParkerがForeign Policyに「フランス空軍のほぼ全機」のミラージュを予備部品6百万点ともに購入し、空軍海軍の契約を見越し機体改修中と述べており、米国以外にも民間企業による訓練実施のニーズに期待している。
  16. パーカー他は海軍が第四世代練習機を求める要求を急ぎ出してきたのは空軍要求内容が漏れたためと指摘している。空軍が海軍と限られた第四世代機材の争奪戦の様相を示す中でATACやドラケンがフランス、スペインから機材手当てしたことが一層の供給不足につながっている。
  17. だが業界ウォッチャーは空軍の要求内容に業界が答えられるのは数年先と見ており、空軍は当面は妥協を迫られるはずと見ている。「需要が供給を上回っている」とパーカーは言い「中古軍用機の引き合いが増えている」のは新型高性能機材の単価が中小国の負担可能範囲を超えているからだ。
  18. 価格以外にも旧式機と契約パイロットで高性能機の真似ができるのか、さらに高度訓練を受けた空軍アグレッサー部隊の代わりを務められるのかという疑問も残る。「実際の戦闘同様に訓練が必要だ」と元戦闘機パイロットのローレンス・スタツリエム米空軍退役少将 Maj. Gen. Lawrence Stutzriemは述べている。
  19. スタッツリエムは冷戦真っ盛りの時期にロシア戦術を採用した空軍の同僚相手に長年飛んでおり、今何が足りないかを認識している。当時は「最高のパイロットにアグレッサーの任務が与えられたものだ」と言い、ロシアの教義や戦術を懸命に勉強していたことで空軍は「通常より優れたパイロットだと認定していた」という。
  20. 航空戦闘軍団司令のホームズ大将は民間委託企業を募るのは望ましいことではないが予算人員両面で不足に直面する空軍に実施可能な唯一の方策だという。「臨時措置で様子を見たい」とし、「いつかは空軍による実施に戻す」と述べた。
  21. 米パイロットは同等の実力がある敵を想定した訓練を受けてきたが、受託業者が旧式機を飛ばせば「現在以下の水準になるのは明らか」とも述べいる。
  22. だが現時点では予算もパイロットも十分でなく実施案のめどもつかない。少なくともここ数年は空軍内部で実施していた中核業務は受託業者にまかせるしかない。「内部実施に戻すまで数年かかるだろう」とホームズも認めている。■
* Sharon Weinberger contributed reporting to this article.
Read the original article on Foreign Policy. "Real World. Real Time." Follow Foreign Policy on Facebook. Subscribe to Foreign Policy here. Copyright 2017. Follow Foreign Policy on Twitter.