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2021年10月24日日曜日

カダフィ大佐殺害から10周年。これが当日のNATO航空作戦の詳細だ。

 


Gaddafi raid

 

2011年10月20日、NATO空爆後にカダフィ大佐が殺害された。その過程は以下の通りだ。


NATOはユニファイドプロテクター作戦でリビア空爆を2011年3月19日より展開し、2011年10月31日に終了したが、0月20日にムアマル・カダフィが殺害され空爆は数週間前に実質的に終わった。

カダフィは家族とトリポリを脱出していたが、反乱勢力NTC全国政権移譲協議会により2011年8月に捕獲された。その後、かつてのリビア指導者はトリポリ東部のシルテに重装備の忠誠勢力の保護下にあり、国外脱出を勧める声もあったが、無視していた。忠誠勢力最後の地区もNTCに敗退すると、カダフィは家族とシルテを脱出し、75台の車列で移動を始めた。

この車列を2011年10月20日現地時間午前08:30にフランス軍ミラージュ2000Dが襲撃した。同機はRAFのE-3DAWACSが上空に誘導した。カダフィの乗る車は地上で反乱勢力の射撃を受け、カダフィは負傷したのち、移動中に死亡した。

File photo of a Mirage 2000D (Image credit: Rob Schleiffert via Wiki)

 

大量の車両を引き連れて移動下のが本人の最後の間違いだったと言える。これだけの数の車列が気づかれずに移動できるはずがない。リビア上空には多数の偵察機情報収集機材が飛行していた。

中でもカダフィの電話通話を傍受する機能を有する機材が重要った。フランス機が投下した爆弾で車列を全滅させることはなかったが、動きを止める効果はあった。

後にペンタゴンは米軍のプレデターも襲撃に加わっており、ヘルファイヤーミサイルを発射していたと明らかにしており、以下その詳細を伝えたい。

プレデター一機(RAFのトーネードGR4だったとする筋もある)がシルテ監視中に車列を探知した。車列は親カダフィ派のものと判明し、市外に脱出をはかるものだった。一部車両は武装しているのが分かったため、米無人機はヘルファイヤミサイルを発射した。

MQ-1 Predator (Image credit: U.S. Air Force)

 

初回攻撃で撃破できたのは車両一台のみで、残る車両は別々の方向に分散した。直後に20台が再集結し、南部へ走り抜けようとした。NATOはこれを攻撃対象とした。上空付近にはミラージュF1CRが一機、ミラージュ2000D一機が飛行中で直ちに攻撃指令が出た。このうちミラージュ2000DがGBU-12一発を投下し、11台が破壊された。

NATO公式記録では攻撃の段階でカダフィが車列にいたことは認識されておらず、NATOの攻撃はあくまでも民間人への脅威低減のためで、国連決議で求められていた行動で、NATOは個人を標的とすることはしていないとある。

ただしNATO方針で攻撃時に投入した装備品の個別情報は開示されていないが、このNATO記録で示したように、「決定的攻撃」の内容リークは現地司令官があえて甘受したものだろう。

空爆後の状況は明らかにされていないが、各種の説明がある。確かなのはカダフィが捕獲され、頭に銃弾を受けたまま放置されたことだ。

カダフィ暗殺のビデオ映像がニュースやインターネットで当時大量に出回っていた。■


The Air Strike That Led To The Capture (And Subsequent Killing) Of Muammar Gaddafi 10 Years Ago Today

October 20, 2021 Libya, Military Aviation, Troubled Areas

DAVID CENCIOTTI


2016年11月5日土曜日

RC-135はイスラム国戦闘員排除にこう役立っている




War Is Boring
The U.S. Air Force’s Biggest Spy Planes Are Hunting Islamic State Fighters
RC-135 Rivet Joints spot terrorist radios, phones and scoop up chatter
by JOSEPH TREVITHICK
  1. 米空軍最大ののスパイ機部隊がイスラム国戦闘員の所在を探り出している。イラク、クルド両部隊がモスル市から戦闘員を排除しつつある中でのミッションだ。
  2. 2016年10月21日に少なくとも一機のRC-135V/Wリヴェットジョイントがアル・ウデイド空軍基地(カタール)を離陸し、イラクあるいはシリアへ向かった。ボーイング707旅客機が原型の同機は空中給油なしで4000マイル飛行できる。
  3. 「同機は20カ国が参加する連合軍航空兵力にリアルタイムで現場情報を提供する」と公式説明文にある。別の説明文では「ほぼリアルタイム、現場での電子戦支援、情報収集、解析、伝達能力を提供する」とある。.
  4. 地上戦でイスラム国が劣勢になる中で戦闘員が密かに逃亡するのを防ぐのは重要だ。
  5. リヴェットジョイントは中東では最初の湾岸戦争以来ほぼ常駐しサダム・フセイン軍の監視、飛行禁止地帯の執行に携わってきた。
  6. 2003年の米主導連合軍のイラク侵攻ではRC-135が後方からサダム部隊や反乱分子との戦闘を支えた。2011年に米地上軍が撤退したが、その後もイラクの戦闘員の動向を監視してきた。
Above, at top and below — an RC-135V/W Rivet Joint prepares to take off and eventually departs Al Udeid Air Base in Qatar on Oct. 21, 2016. U.S. Air Force photos
  1. 2014年にイスラム国がシリアからイラクへ侵攻し、イラク政府軍を敗退させた。イラク、クルド人部隊がモスル攻略を開始した今年10月にはリヴェットジョイントが再びその能力を発揮している。
  2. 米空軍第55飛行隊(ネブラスカ州オファット空軍基地)は17機を運用し、世界各地に機材を派遣している。
  3. RC-135乗員は最大30名でパイロット、航法士以外に情報専門員、飛行中の故障に対応する機器修理要員が搭乗する。アンテナ多数をつけた同機の主な任務は戦場上空あるいは近隣を弧を描く飛行パターンで飛び敵通信を探知することにある。
  4. さらに発信元を特定し、情報を基地に送る。2011には新たに戦術データ・リンク(TDL)が搭載され、各部隊と情報同調が簡単になった。
  5. 「RC-135W/Vリヴェットジョイントは」新装備で「有効な機材になった」と空軍史は述べている。同機は「TDL搭載で性能を向上した」 War Is Boring は情報公開法により年次報告書の写しを入手した。
  6. イスラム国戦闘員は民生通信手段やインターネット携帯電話を多用しており、同機は所在を容易に突き止められる。
  7. 「携帯電話、トランシーバー方式、インターネット、電子メールを多用している」とペンタゴンの広報官クリストファー・ガーヴァー米陸軍大佐は2016年6月8日に報道陣に述べた。「戦場でもインターネットを使っている」 「そのため通信手段の排除として携帯電話中継塔を狙っている」
  8. 戦闘員の所在を突き止めること以外に情報要員は今後の攻撃に役立つ追加データも集めている。傍受した通信内容は押収した文書や機器類からの情報と合わせて戦闘員への作戦に有効利用されている。
  9. 「傍受や監視対象が特定できてもあえて攻撃しない場合がある」とガーヴァー大佐は述べ、「破壊すれば情報が取れなくなる」ためだという。
  10. またリヴェットジョイント部隊が敵通信を妨害しているとの報道もある。2016年5月には匿名情報源からとしてデイリー・メイル紙が英国のエアシーカー部隊(リヴェットジョイントの英空軍制式名称)がリビア国内のイスラム国戦闘員の通信を秘密のうちに妨害していると報道している。
  11. ただし「エアシーカーをジャミング機材と考えるとテレビの『怪しい伝説』ではないが誤りとなる」とロバート・ホプキンズ(前RC-135パイロット)が語っている。
  12. 「ジャミングには大量の電源出力が必要で発電に大量の空間と重量が必要となる。がリヴェットジョイントでは余裕がない」
  13. ただしリヴェットジョイントの強力なセンサーで他の機材を正しく誘導することが可能だろう。米海軍、海兵隊、空軍はイスラム国の通信妨害に専用機材を送り込む。
  14. とはいえRC-135は航空作戦に強力な支援を提供する。英空軍がエアシーカー1号機を取得したのは2015年だが、ただちにイラク、シリア上空に同機を派遣している。
  15. 「英軍のエアシーカー最新号機はイラク、シリア上空でまもなく活動開始する。米軍を除けばこれだけの能力を有する国はない」と英国防相マイケル・ファロンは2015年に述べている。
  16. 米空軍のリヴェットジョイント各機は今後もイスラム国に対する優位性をペンタゴンに提供する。あるいは中東で別の勢力が出現しても当面は優位性確保に役立つだろう。■


2016年5月23日月曜日

英空軍がリビアのISIS戦闘員の通信網に大規模電子攻撃を実施



The brand new RAF Rivet Joint aircraft “fried” Daesh communications with massive jamming attack in Libya

May 19 2016




RAF英空軍の「新品」のRC-135リベットジョイントでISISの通信がリビアで使用不能になった。

  1. 英特殊部隊が実施した「ブラック作戦」で地中海沿岸のダーイッシュ拠点スルトへ電子攻撃を加え、リビア国内のISIS通信網を停止させた。
  2. このジャミング攻撃を行ったのはRAFのRC-135W「エアシーカー」で2011年に元米空軍のKC-135給油機を950百万ドルでL-3ISが改装した三機の一機だ。
  3. 機内の操作員は戦闘員が好んで使う周波数で高出力妨害電波を送り、ISISの交信を無効にした。同機がリビア沿岸沖合を飛行する間にHMSエンタープライズ艦内のGCHQ(政府通信本部、英国のSIGINT情報機関)所属サイバー戦チームが前週に行ったジャミングで判明したISIS指揮官間の通信内容を監視した。リビアには6千名のIS戦闘員がいるとみられる。
  4. 国防省筋はデイリーメイル紙にIS戦闘員が「状況が理解できず大変混乱し、こちらは周波数を四十分にわたり妨害し、性能の有効性を証明したが、結局IS側は状況を理解できないままだった」と語っている。
  5. RC-135Wは情報収集機材として通常は通信傍受に当たり、各種アンテナやセンサーで敵の通信、送信を盗聴し、周波数を突き止め、軍事的価値のある拠点、移動拠点、対空ミサイル陣地を正確に把握することができる。同時にEW能力もあり、乗員は「ジャミング攻撃で敵に混乱を起こさせることはよくある」のだという。
ZZ664_RC-135W_RAF_Mildenhall_2016_1
リヴェットジョイントを運用するのは米国外では英国だけだ

  1. 改装対象の一号機ボーイングKC-135Rストラトタンカー (64-14833) は2010年12月にL-3コミュニケーションズのテキサス州グリーンヴィルの施設に到着している。
  2. 英軍パイロット、航法士、電子戦要員、情報収集要員、機内整備員は第五十一飛行隊からオファット空軍基地(ネブラスカ)へ派遣され、2011年1月から訓練を開始し、およそ2千回のソーティーで35千飛行時間を飛んだ。
  3. 2011年3月にはそれまで電子情報収集の任務についていたニムロッドR.1が第五十一飛行隊から引退し、三年間も英国のISR機能に穴があいたが、2013年に最初のRC-135W ZZ664が到着し、2015年4月に中東へ派遣されている。
  4. 二号機ZZ665(元米空軍 64-14838)は2015年9月にRAFミルデンホール基地に到着した。三号機ZZ666はKC-135RからRC-135W仕様に改装中で2018年までにRAFへ引き渡される。

写真はアシュレー・ウォレスが撮影した。ZZ664(第五十一飛行隊所属)がRAFミルデンホール基地をタキシーしている。2016年2月19日撮影。尾翼には第五十一飛行隊創設100執念の特別塗装が施されている。
ZZ664_RC-135W_RAF_Mildenhall_2016