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2024年2月2日金曜日

ロシアがバルト海でGPS妨害を露骨に行っている事実にNATOの忍耐力が試されている。国際合意を無視するロシアには相応の報いが下りて当然ではないだろうか。

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A screengrab of reported navigation issues in the airspace over eastern Europe on Jan. 19, 2023. (GPSJam screengrab)


ウクライナ戦争は、安価な無人航空機の使用からこれまでにない規模の情報戦まで、現代の戦場における新戦術を前面に押し出した。しかし、同時に最新の電子戦も展開されている。ロシアによる可能性が高い、危険な干渉らしきものについて米大統領による国家宇宙ベース測位ナビゲーション・タイミング国家諮問委員会のメンバー、デイナ・ゴワードDana Gowardが分析した。

開されている航空機追跡データベースによると、1カ月以上前から、バルト海沿岸地域を飛行する航空機は、GPS信号への各種干渉を経験している。場合によっては、GPS受信機が電子的に捕捉されたり、航空機が意図したルートから何マイルも外れているように「スプーフィング」されたりしているようだ。

妨害やなりすましは以前からあるが、この地域ではほぼ毎日何らかの妨害が行われており、定期的に広範かつ重大な妨害が行われている。ウクライナ侵攻を支援するNATO諸国への嫌がらせとして、ロシアがこの活動の背後にいることはほぼ間違いないとされてきた。

このような妨害行為は、何千機もの民間航空機に危険を及ぼすものであるが、国際的な圧力は今のところ妨害行為を止めることができないため、NATOは相応の行動をとる時期に来ている。

12月25日と26日、ポーランド北部とスウェーデン南部の広い範囲が影響を受けた。翌週の大晦日には、フィンランド南東部の広い範囲で航空機の乱れが報告された。1月10日、13日、16日にはポーランドの北半分が主な標的となった。19日には、スウェーデン南部とポーランド北部が影響を受けた。直近では1月24日にエストニアとラトビアが標的となった。

いずれの場合も、妨害は民間航空機が搭載する航空安全ADS-Bシステムによって検知され、ウェブサイトGPSJam.orgに表示された。

テキサス大学ラジオナビゲーション研究所の大学院生ザック・クレメンツによるクリスマス妨害の分析。クレメンツ氏はGPSの妨害について研究しており、地球低軌道上の衛星から発生源を突き止めることに関して発表している[PDF]。


インタビューで彼は、広範囲に広がる送信機多数が関与していると判断したと述べた。あるものはGPS信号を妨害してサービスを拒否していた。しかし、少なくとも1個の送信機は、航空機を偽装し、計器が実際の位置から遠く離れ、円を描いて飛行しているように見せていた。

「サークル・スプーフィング」現象は、船舶では頻繁に観察されてきたが、航空では今回が初めての報告であった。

クレメンツによれば、ロシア国内がスプーフィングの発生源であることは間違いないという。「航空機がスプーフィングによる影響を受け始めた地点と、航空機が本物のGPSを取り戻した地点から、スプーファーはロシア西部のどこかにいることがわかる。「興味深いことに、航空機がスプーフィングされた場所は、ロシアの退役したスモレンスク軍事空軍基地から約1キロの野原である」。

スタンフォード大学のジクシー・リュウ大学院研究員は、クリスマスの妨害にはほぼ間違いなく多くの妨害機が関与していることを筆者に確認した。以前の研究でリュウは、ADS-Bデータを使ってGPS妨害の発生源を地理的に特定している。

モスクワは広範囲に及ぶ妨害行為を否定していると報じられているが、ウクライナのメディアは、「...2023年12月中旬以降、ロシアのバルチック艦隊の部隊がカリニングラード州でEW(電子戦)システムBorisoglebsk-2を使って演習を行っている 」と報じている。

米国とポーランドのアナリストによれば、この干渉は、国境付近で西側の影響力が強まっていることに対するロシアの対応の一環だという。12月中旬、米軍とポーランド軍はポーランド北部でイージス対ミサイルシステムを作動させた。その直後、トルコ議会はスウェーデンのNATO加盟に道を開く行動を開始した。

ロシアのこのような反応は前例がないわけではない。2022年、ウラジーミル・プーチン大統領はフィンランドとスウェーデンがNATOに加盟しようとするならばと脅した。その後、フィンランドのサウリ・ニーニスト大統領はジョー・バイデン米大統領と会談し、防衛関係の改善を話し合った。その後間もなく、フィンランド南部、カリニングラード、ロシア、バルト海近辺の上空を飛ぶ飛行機がGPS妨害を報告し始めたと『ガーディアン』紙が報じた。

最近の妨害やなりすまし事件でポーランドに焦点が当たっているのは、ポーランドの新しいアメリカ製対ミサイル・システムの重要性を軽視しようとするロシアの努力かもしれない。同様の妨害は、米国がウクライナに供給した精密兵器の多くにも及んでいる。ポーランドのイージス施設はGPSではなく高出力レーダーを主に使用しているとはいえ、今回の干渉はシステムに対する国民の信頼を損なう狙いの可能性がある。

また、一部オブザーバーは、ポーランドでの干渉が戦略的なスワウキ・ギャップを通る道路にも及んでいると指摘している。ポーランドのリトアニア国境に平行する全長40マイルのこのルートは、ロシアの盟友ベラルーシとバルト海に面したロシアのカリニングラードを直接結んでいる。軍事アナリストは以前から、この地域はヨーロッパの陸上紛争で重要地点になると考えてきた。

これらの攻撃は、国際空域や海域を航行する他国の航空機や船舶を標的にしてきた。また、NATO加盟国の主権領土やインフラにも影響を及ぼしている。

さらに、生命と財産に多大なリスクをもたらしている。

大手国際航空会社の上級機長ジョー・バーンズは、「GPS信号が利用できなかったり、何らかの形で危険にさらされたりすると、大きなリスクにさらされる」と語った。バーンズ機長はまた、GPSとその関連問題についてアメリカ政府に助言を与える委員会のメンバーでもある。「GPSへの干渉は事故のリスクを高め、ほとんどの場合システムの速度を落とし、フライトをより長く、より高くする」。

GPS信号への偶発的な干渉は、2019年にアイダホ州サンバレーで民間旅客機の墜落を引き起こしかけた。航空関係者はその後、国際民間航空機関(ICAO)にGPS妨害を緊急課題として挙げた。翌年、ICAOはすべての国に対し、この問題の重大性に留意し、適切な行動をとるよう呼びかけた。国際海事機関も同様の呼びかけを行っている。

安全上の懸念に加え、GPSやその他の衛星信号への意図的な干渉は、国連の国際電気通信連合(ITU)の全加盟国によって合意された国際法および規制に違反する。2022年の通達でITUは、2021年に記録された航空関連の衛星ナビゲーション干渉万件以上の事例を挙げている。同通達は、このような行為が有害な干渉に対する規則に違反することを強調し、次のように述べている。「......一般に『GNSS(全地球航法衛星システム)ジャマー』と呼ばれる装置や、航空機に有害な干渉を引き起こす可能性のあるその他の違法な干渉装置の使用は、無線規の第15.1号によって禁止されている......」。

国際社会は、バルト海で見られるような電子戦が戦争であることを認識しなければならない。そして、宣戦布告がないにもかかわらず、ロシアは他国、特にNATO加盟国を標的とした一連の低レベル攻撃を意図的かつ組織的に行っている。

国際機関による話し合いや宣言が機能していないことも明らかだ。問題は悪化するばかりだ。

NATOと国際社会には、適切かつ比例的な対応で選択肢があり、速やかに検討され、採用されるべきである。例えば、新しい衛星の周波数割当てはITUが管理している。他国の衛星の信号を日常的に妨害していると判明した国に対して、新たな割り当てを拒否することは適切であると思われ、良い第一歩となる。

増大するこの問題が大きな犠牲者を出したり、NATOが直接関与する武力紛争に発展する前に、より断固とした明白な行動をとる必要がある。■

ダナ・ゴワードは、レジリエント・ナビゲーション・タイミング財団の会長であり、米国大統領の宇宙ベースのポジショニング・ナビゲーション・タイミング国家諮問委員会のメンバーである。元米国沿岸警備隊海上輸送システム部長。


Dana Goward is the president of the Resilient Navigation and Timing Foundation and a member of the US Presidents’s National Space-Based Positioning Navigation and Timing National Advisory Board. He formerly served as the Director of Marine Transportation Systems for the US Coast Guard.

https://breakingdefense.com/2024/01/as-baltics-see-spike-in-gps-jamming-nato-must-respond/


2022年12月28日水曜日

歴史に残る機体(35)EA-6プラウラーはグラマン艦載機最後を飾り、文字通り縁の下の力持ちとなった電子支援機材として重宝された。

 歴史に残る機材32


The EA-6B Prowler Has Been Retired, But Its Impact On Air Warfare Will Live On Forever

グラマンA-6イントルーダーの系譜は、60年にわたる供用を経て終焉を迎えた

EA-6Bプラウラーは、同型機の最後の運用者となった海兵隊が正式に退役させた。米海軍が同機を2015年7月に退役させて、終焉の日はじわじわと近づいていた。プラウラーの退場は、グラマンのA-6イントルーダー・ファミリーの60年にわたる信じられないほど成功した実績の終わりを意味する。

すべてはYA2F-1に始まり、推力ベクトルノズルと、設計時(1950年代)には高度なコンピュータシステムを備えた、非常に野心的な空母艦載攻撃機だった。同機は1960年に初飛行し、その後A-6イントルーダーへ改良された。同機は、非常に大量の爆弾を搭載し、悪天候や夜間でも超低空飛行で敵地深くまで侵攻する、信じられないほどの攻撃力と正確さを備えた核搭載可能攻撃機であった。A-6は1963年に就役し、10年間ベトナムで戦い、その後、リビア、イラクなどで活躍した

グラマンと海軍は、このイントルーダーから、敵防空レーダーを妨害するイントルーダーの電子戦型EA-6Aを短期間で誕生させた。この機体はわずか28機しか製造されず、1963年に初飛行した。しかし、コンセプトは成功し、ベトナムの危険な空で苦労して学んだ教訓も手伝い、4人乗りEA-6Bイントルーダーの再設計につながった。1968年に初飛行、1971年に就役した空母搭載可能な電子戦専用ジェット機である

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EA-6A prototype., USN

EA-6Bは海軍と米海兵隊で48年間にわたり活躍し、その性能と必要性は増す一方だった。1998年に米空軍のEF-111レイヴンが退役すると、EA-6Bはアメリカの空軍力での電子戦支援で唯一の機体となり、同機以外には空軍のEC-130Hコンパス・コールが限られた能力を提供するだけだった。 

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EA-6A and EA-6B side by side. , USN

時代が進むにつれて、プラウラーの技はより多くなっていった。プラウラーはAGM-88高速対レーダーミサイル(HARM)を発射し防空体制制圧を支援し、ALQ-99ジャミングポッドで電子妨害支援も可能になった。EA-6Bの電子戦装備は、通信システムの妨害にも使用され、プラウラー・コミュニティは、イラクとアフガニスタンのアメリカ軍と同盟軍の地上部隊に恐怖をもたらした遠隔起爆型即席爆発装置(IED)を破壊する機能で、空中からの支援能力を高めた。

海兵隊の最終的なICAPIII機は、非常に高性能な機体となった。このアップグレードにより、プラウラーの状況認識、通信能力、妨害効果、ヒューマンマシンインターフェースが飛躍的に向上した。EA-18Gグラウラーの電子戦システム開発のベースとなったが、一部情報筋によると、ICAPIIIプラウラーは、グローラーよりさらに優れているという。

ここ数年、ほんの一握りの海兵隊プラウラーがLITENINGターゲット・ポッドを搭載し飛行し、従来とは異なるオーバーウォッチと監視の役割を果たしながら、必要に応じ妨害任務も同時にこなしてきた。

プラウラーは著しく時代遅れの航空機であったにもかかわらず、そのキャリアの黄昏時に真のマルチロール・プラットフォームとなった。

海兵隊航空基地チェリーポイントを拠点とする米海兵隊の最後のプラウラー飛行隊、Marine Tactical Electronic Warfare Squadron 2、通称VMAQ-2「Death Jesters」も2019年3月8日金曜日、基地での式典で同機に別れを告げた。

USMCは、EA-18Gグラウラーなど電子戦専用機の購入していない。その代わりに、同軍はボルトオンのIntrepid TigerポッドとMQ-21 Blackjackドローンを使用し、飛行部隊全体に電子戦能力を分散させる方針だ。しかし、はっきり言って、これらのシステムは、それなりに能力はあるものの、EA-6BやEA-18Gが提供する広範囲の敵の防空システムに対するハイエンド電子攻撃能力は提供しない。

アメリカ海兵隊が購入するF-35BとCは、強力な電子戦機能を持つが、大規模な戦力保護やプラウラーやグㇻウラーが提供する広域妨害ではなく、自己防衛に重点を置いている。

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DoD

2016-2025 Naval Aviation Vision文書では、米海兵隊の中央集権的な電子戦戦略の脱却について次のように述べている。

EA-6B Prowlerの2019年度退役後の電子戦(EW)要件に対処するための海兵隊の包括的計画は、海兵隊空地任務部隊(MAGTF)EWで、最新技術を使用し航空プラットフォーム(無人、固定翼、回転翼の資産)、ペイロード、地上EWノード、サイバー効果を統合し指揮官に有機的かつ持続的EW能力を提供する。MAGTF EW構想は、海兵隊がこれまで低密度・高需要のEWに集中していたのを、分散型・ネットワーク型・プラットフォーム非依存型のアプローチに移行させる。MAGTFのEWは、地上部隊や高度な統合防空システムに対抗する第5世代航空機を支援するため統合EW資産を補完する」。

EA-6Bは、国防総省が保有する高速ジェット機の仲間に比べれば比較的小さな機体だが、総飛行時間は26万時間を超え、現役時代はほぼすべての主要な米軍作戦に参加していた。EA-6Bのレーダー・スクランブル機能によって、どれだけのパイロットと航空機が救われたかは、数えることができない。

message-editor%2F1552091840163-aasddavv.jpg一番手前の機体の左翼についたライティングポッドに注目。

USMC

この数字は本当に驚くべきことだ。プラウラーが電子トリックを駆使して1機救うごとに、他の多くの飛行機とサービスマンが、墜落機を救出するため敵地に飛び込む作戦が不要になったことを意味することを忘れてならない。つまり、EA-6Bはアメリカの戦闘機の生存率に累積的な影響を与えたのだ。

また、F-117が初めて出撃して以来、プラウラーはアメリカのステルス航空機の静かな担い手として、ステルス技術の「カクテル」にほぼ不可欠な存在として働いてきた。F-117が唯一戦闘で失われたのは、アライド・フォース作戦時で、ステルス機が敵領空に深く入ったが電子攻撃の傘としていのEA-6Bが不在の夜だったことは注目に値する。

地上の兵士にも同じことが言える。電子戦の天使が頭上を周回していたために、命も手足も無事で脱出できたことを知らない人がどれだけいるか。今や、電子戦は戦闘の主要領域となりつつある。電子攻撃関連の技術は、かつてないほど重要かつ効果的であり、はるかに大きな能力が生まれつつある。数十年にわたるEA-6Bの運用は、EA-18Gグラウラーの開発のみならず、今後数十年にわたり戦闘に勝利するための電子戦戦略や技術に影響を与えてきた。

グラマンを象徴する同機はもう使用されていないが、EA-6Bと、その頑丈な機体に精力的に取り組んだ人々、それに搭乗した人々、その他設計や長年にわたるプラウラーの維持に携わった全員が残したのは素晴らしい遺産だ。それは、地球上のどの飛行機にも真似できない、信じられないような、しかししばしば誤解される記録だ。EA-6Bは本当に、一般人がほとんど何も知らないまま最も重要な戦闘機だった。

「グラマン鉄工所」の戦術機の系譜で最後の機体に最後の別れを告げたが、私たちはプラウラーをこれほど壮大で長続きする成功に導いてくれたすべての人に感謝の言葉を述べるしかない。■

 

The EA-6B Prowler Has Been Retired, But Its Impact On Air Warfare Will Live On Forever

BYTYLER ROGOWAY|UPDATED DEC 1, 2019 6:46 AM

THE WAR ZONEMUST READ FEATURES

 


2022年9月2日金曜日

MALDデコイにより米空軍は敵防空網を突破し、強力な攻撃実施を目指す。米軍機電子声紋のみまらず、EW攻撃能力まで付与された最新型二注目

 

ADM-160 MALD(ミニチュア空中発射デコイ)は、その名の通り、巡航ミサイルのように航空機から発射される小型装備で、現役の米軍各機のレーダー特徴を模倣する。MALDは敵の地対空ミサイルを破壊できないが、高度な統合防空網を排除するため大きな役割を果たす。



全長9フィート、重量300ポンドのMALDはこの機能SAS音紋補強サブシステムを通じ発揮し、広範囲の周波数で発信するアクティブ・レーダー・エンハンサーを活用し、ミサイル型のMALDを、ステルスの元祖F-117ナイトホークからB-52など大型爆撃機に至るまで各種機種で、防御レーダー・システムを誤動作させる。


MALDの取り組みは1990年代に始まった。湾岸戦争でアメリカがADM-141戦術空中発射デコイ100機以上を連合軍航空機に先駆けイラクに展開し、イラク軍指揮官の目を欺き防空レーダーアレイを作動させることに成功した。敵レーダーが作動すると、連合軍航空機はAGM-88 HARMなど対レーダーミサイルで交戦し、その後の航空作戦のためイラク上空を安全にするのに極めて有効な手段となった。


ADM-141 TALDを発進させるF-14トムキャット (Wikimedia Commons)


しかし、1990年代後半にMALDの開発は減速し、システム・コストを低く抑える目標が遠のいた。2002年に空軍はMALDコンセプトを一新する準備をし、3万ドルのADM-160Aを廃棄し、レイセオンのADM-160Bという、大型で性能の高い、単価12万ドルの新型を採用した。


2016年には、ADM-160C MALD-Jが正式に就役し、他の航空機のレーダーリターンを模倣できるオリジナルのSignature Augmentation Subsystemだけでなく、CERBERUSという名称で開発されたモジュール式電子戦能力も組み込まれた。CERBERUSは単一ジャマーではなく、1分以内で交換できる各種電子戦(EW)ペイロードを提供し、戦場の状況に合わせてEW攻撃を行うことができるようになっている。


ADM-160 MALDの能力を示すイメージ図。


言い換えれば、小型で消耗品のMALD-Jは、F-16かB-52で戦場に運ばれ、あらゆる種類の航空機の到来と敵の防空体制に勘違いさせ、早期警戒と標的レーダーアレイを妨害し防衛軍の対応をさらに困難できる。


MALD-Jは、海軍のEA-18Gグラウラーのような電子戦専用機ほど広範な能力や威力はないものの、EWペイロードを交換して効果を発揮できるため、非常に有効なシステムだといえる。また、MALDは回収不能(消耗品)であるため、グラウラーより敵防衛システムに近い地点を飛行でき、発信範囲の減少を相殺できる。


米海軍のEA-18Gグラウラー電子攻撃機は、世界で最も高性能なEWプラットフォーム (U.S. Navy)


現在使用中のMALDは、500マイルをカバーし、1時間以上滞空でき、その間に周辺のレーダーオペレーターの作業を複雑化させる。最新型のMALD-Xは、暗号化データリンクと、高度なEW機能を備え、他の機体から情報を取得できる。


これまでのMALDは発進後、事前収集した情報に基づきプログラムされた飛行経路を飛行し、経路がどれだけ有効であったとしても、ミッションに参加できなかった。しかし、MALD-Xでは、戦闘中にコマンドを発行し、戦況の変化に応じ飛行経路を変更できるようになった。このような進化を遂げ、2018年に飛行試験実証が完了した。MALD-Xは最終的に、MALD-Nと呼ばれる海軍向けシステムになる予定だ。


ADM-160 MALDの想像図 (U.S. Air Force)


高度の防空能力を有する国との大規模紛争では、ADM-160C MALD-Jが敵領空を真っ先に通過する可能性が高い。この妨害デコイを巡航ミサイルや航空機と一緒に大量投入すれば、防空システムはスコープに映るレーダーが本物か架空か見分けなければならず、しかも妨害機能で送られてくる静電気を選別しなければならなくなる。


敵空域に殺到する現実のレーダーリターンや模擬レーダーリターンに迎撃ミサイルを発射すれば、これらのシステムはAGM-88やF-35が搭載する予定のAARGM-ERなどの対レーダーミサイルの攻撃の前に弱く、同時に地対空ミサイルの貯蔵量も枯渇させる。


MALDの使用イメージ


より限定的な戦闘では、例としてF-15Eストライクイーグルが目標に接近する様子をMALDの編隊が表現すれば、敵の注目を集め、より高い高度を飛ぶF-35が目標に弾薬を展開することも可能だろう。


このように戦闘戦術をミックスし、過去の実戦で活用された戦術をMALDで再現することで、高い有効性を維持することができる。レーダーに映る戦闘機や爆撃機の群れを無視するのは、たとえそれが囮(おとり)であると分かっていても、リスクが高すぎる。


さらに、JASSM(Joint Air-to-Surface Standoff Missile)のような長距離の低視認性巡航ミサイルを加えれば、A-10やB-52、さまざまな戦闘機、あるいはRapid Dragonプログラムにより貨物機までもが大規模戦闘に加わる。

MALDを広範な統合戦略の一部として使用することで、アメリカは第二次世界大戦中の空襲を彷彿とさせる航空戦へのアプローチに復帰できるだろう。ただし、現代の戦闘では、敵のレーダースクリーンに実際に表示される目標のほとんどは実在せず、ステルス機や巡航ミサイルの脅威は、照準スコープにまったく表示されないかもしれない。


どんな相手にとっても非常に難しい問題となる。■


ADM-160 MALD: America's secret weapon to engage air defenses isn't a weapon at all - Sandboxx

Alex Hollings | August 18, 2022



Alex Hollings

Alex Hollings is a writer, dad, and Marine veteran who specializes in foreign policy and defense technology analysis. He holds a master’s degree in Communications from Southern New Hampshire University, as well as a bachelor’s degree in Corporate and Organizational Communications from Framingham State University.


2022年6月17日金曜日

これまでのウクライナ戦でわかったロシア軍電子戦の戦術効果について

 Russian Electronic Warfare

TASS

ロシアのウクライナに対する電子戦で、これまで判明したことをまとめた。

2022年2月24日モスクワ時間午前6時過ぎ、ロシア軍12個集団がウクライナ進攻を開始した。ロシア軍の電子戦(EW)装備は、歩兵、装甲、大砲と配備されていた。EWはロシア軍、特に陸軍で重要な役割を担う。「3分の1を攻撃し、3分の1を妨害し、最後の3分の1は崩壊する」というのは、ソ連・ロシア軍のドクトリンから生まれた格言だ。ロシア陸軍は、ロシアの西部、南部、中部、東部の各軍事区に各独立したEW旅団を配備している。また、陸軍の各戦術機動陣には、EW中隊が配置されているとされる。機動小銃・戦車旅団や師団に、最大30ものEW中隊が配備されることもある。

ロシアのEWドクトリン

EWは、ロシア軍が敵の指揮統制(C2)、情報・監視・偵察(ISR)能力を打破するために不可欠だ。C2は無線と衛星通信(SATCOM)に依存する。通信を遮断すれば、敵は命令伝達、状況報告の収集ができなくなる。陸軍のEWは、敵対する地上、海軍、空中のレーダーも標的とする。レーダーは目標の探知・追尾というISRの重要な役割を担う。レーダーを破壊すれば、敵のISRデータを奪うことができる。ロシアのEWは、敵対するGNSS(Global Navigation Satellite System)信号もターゲットにする。GNSSの妨害で、米国の全地球測位システム(GPS)のような衛星コンステレーションが送信する位置、航法、タイミング情報を敵から奪う。

軍事利用される民間装備も、ロシアのEWシステムのターゲットになる。民間の携帯電話ネットワークや従来の通信手段がここに含まれる。ネットワークが妨害されたり、部隊や民間人の携帯電話に送られる偽の、あるいは戦意を喪失させるテキストメッセージの通信路として利用されることもある。ロシア軍の EW能力が、情報戦を広く展開するため不可欠であるのは明らかである。EW妨害信号は、サイバー攻撃も可能である。妨害信号は通信やレーダーを妨害するのではなく、悪質なコードを送ることができる。この場合、敵の無線機が受信し、ネットワーク感染で、敵のC2ネットワークに入り込む可能性がある。

ロシア軍EW中隊は、前線全体で最大50キロメートル(31マイル)の範囲で戦術的なEWの提供を期待される。一方、EW旅団は、数百キロメートルに及ぶ戦域レベルの対応を提供する。旅団EWは、EW能力を必要としない小規模な作戦を支援するため、広く分散される。ロシア軍のEWシステムの多くは、静止状態で使用されるよう設計されているようだ。そのため、ロシアの EW ドクトリンは、機動部隊に EW の「泡」 を提供することにあるようだ。

ロシア陸軍は、電磁波の優越性と優位性(E2S)原則を受け入れている。E2Sは、電磁スペクトルで作戦の自由度を維持し、敵の作戦の自由度を低下させて、優位に立つことに主眼を置く。電磁波の優位性が電磁波の至上性の前提条件となる。

以前の状況

NATOにとって、ロシアによる2022年のウクライナ侵攻は、ロシア軍の10年にわたるEW近代化の効果を理解する絶好の機会だ。ロシア軍のEWは、今回の侵攻が初の投入ではない。2008年の「ニュールック」改革で、冷戦終結後のロシア軍衰退を食い止めるため、大規模投資が行われた。情報通信技術は近代化で重要な位置を占めている。

ウクライナは、2014年のロシアによる最初の侵攻の際に、ロシア軍のEW能力に直面し、に深刻な影響がウクライナ軍出た。EWは紛争当初から多用され、ウクライナ情報筋は、ロシアのEW計画は、妨害電波で混乱を引き起こし、E2Sの確保を狙っていたと主張している。

ロシア軍は当初、戦域内のウクライナ軍通信を攻撃し、ウクライナ軍司令部の通信を遮断するためEWを使用した。ロシアのスペツナズ特殊部隊が通信遮断により助けられた。ロシア軍が配備した悪名高いEWシステムの1つが、無人航空機(UAV)を使い携帯電話ネットワークを妨害する「RB-341V Leer-3」だ。ウクライナ軍と民間が使用する携帯電話の妨害に重要な役割を果たした。RB-341Vは、ウクライナ軍に戦意喪失させる虚偽のテキストメッセージを送信し、動向を追跡するため使用されたと考えられている。後者の情報は、ロシア砲撃の目標に変換された。

RB-341Vは、ウクライナ軍のAndroidベースの火砲火器管制システムにマルウェアをロードさせた可能性もある。ロシア軍の妨害電波は、欧州安全保障協力機構(OSCE)のUAVを攻撃した原因となったとも考えられている。無人機は、停戦取り決めを監視する任務を負っていた。ウクライナにおけるロシア軍EW部隊のその他の任務は、ウクライナ軍の通信と無線周波数(RF)作動を攻撃することであった。ロシア軍EW部隊は報復射撃を避けるため場所を頻繁に変えていた。ロシア軍 EWは、ロシアがウクライナに侵攻した当初から強力な能力が証明されていた。

現時点ではどうなっているか

紛争の現段階では、ウクライナ侵攻におけるロシア軍EWの実態の分析にはリスクが伴う。入手できる情報は断片的だ。偏っている可能性もあり、独自検証は不可能だ。とはいえ、信頼できる公開情報をもとに見解を示すことができる。

ロシア軍は 2 月 24 日の紛争開始から、ロシア政府が 4 月 7 日にキーウ周辺の部隊を撤退させた第1フェーズ終了まで、EWを使用した。EWは開戦段階の支援に多用された。当初、EWは、ウクライナ空軍の統合防空システムへの対抗を支援した。キーウ北西約 6 マイルにあるホストメル空港でのロシア空挺作戦を支援するために、ウクライナのレーダーと無線通信を妨害した。同飛行場の確保は、ロシアのキーウ進攻を支援する兵員と装備の輸送に不可欠だった。ロシア軍は同飛行場を占領したが、戦争の戦略的焦点がキーウからウクライナ東部に移ったため、3月下旬に同飛行場は放棄した。

興味深いことに、ロシア空挺部隊は、空港襲撃の数日前からクリア(暗号化されていない)無線を使って空港占領計画を話し合っていたようだ。この情報はウクライナ軍にとって貴重だった。これは、戦争全体で浮上してきたロシア軍のエミッション・コントロール(EMCON)の欠如を浮き彫りにし、おそらくロシア軍にとって今回の紛争で最初の大きなEWの失敗を意味する。

ロシア軍のEW対応は、侵攻当初から戦術レベルでも精力的に行われていた。スモールウォーズジャーナル誌の記事によると、「キーウ攻略戦の初期に悪質かつ効果的であった 」とある。ロシアのEWが効果的だったところ、特にウクライナ軍の通信に対して、ランナーやディスパッチライダーといった旧来型の手法が再び前面に出てきた。これらは紛争前夜に予想されていた戦術であった。同様に、侵攻前のウクライナ軍訓練では、ロシア軍の EW は過酷であり、電磁スペクトルが激しく競合する中で戦わなければならないことが強調されていた。また、ロシア軍はウクライナ軍の通信を妨害しようとした際に、EWの「味方による誤射」に見舞われた。これもロシア軍の EMCON 不足が原因かもしれない。ロシア軍の妨害工作は、ウクライナ軍が米国から支給されたSINCGARS無線機を使用していたことも障害となった。SINCGARSとは、Single-Channel Ground and Airborne Radio Systemの略で、ロシアの電波妨害に強い無線機だ。

米国がウクライナ軍に提供したSINCGARS無線機は、ロシア軍の妨害電波に優れた耐性を示してる。U.S. Department of Defense

他の周波数帯でも

ロシア軍の EW は、紛争の第一段階におけるウクライナ軍とウクライナ空軍のレーダーと無線通信に限られたものではなかった。R-330Zh Zhitel含むGNSS信号の攻撃が可能な装備も侵攻を支援した。3月4日、RFデータ分析会社Hawkeye 360は、ウクライナで記録したGNSS妨害を明らかにした。同社は2021年11月以降、親ロシア派の幹部が支配するウクライナ東部の一部からGNSS妨害を記録していた。

GNSS妨害は2022年2月まで続き、ウクライナのベラルーシとの国境からさらなる妨害が検出された。同社はまた、戦争が進行する中、ウクライナ北部のチョルノブイリ原子力発電所付近でのGNSS妨害も記録している。チョルノブイリは侵攻初日にロシア軍に占領された。GNSS妨害は懸念されていたものの、ほとんどが局地的なもので、全国規模の大停電を引き起こすことはなかったようだ。ウクライナ軍がTB2バイラクターのようなUAVを比較的容易に配備していることは、GNSS妨害が軽微だった可能性を示すものだ。UAV多数はナビゲーションにGNSSを利用している。また、ロシアによるGNSS妨害が軍用の暗号「Mコード」GPS信号に影響を与えることができなかった可能性もある。

ホークアイ360は、ロシアがウクライナ侵攻を開始した直後、GNSS妨害波を検知した地域を示す地図を作成した。チョルノブイリ原発周辺やウクライナのロシア占領地などで検出された。 Hawkeye 360

携帯電話でも、同様の傾向が見られた。2014年のロシア侵攻では、軍のRB-314 Leer-3システムが携帯電話ネットワークを妨害し、効果的であることが証明された。紛争の第1段階では、局所的な携帯電話ネットワークの妨害が発生したようだ。ドンバス地方とクリミア地方に集中した携帯電話の妨害電波がソーシャルメディアに投稿されていた。しかし、ウクライナの携帯電話ネットワークはほとんど影響を受けていない可能性がある。まず、ロシア軍が通信で同ネットワークに依存している可能性がある。ロシアの暗号化されたERA携帯電話ネットワークの配備は失敗に終わったようだ。これが、ロシア軍がウクライナの携帯電話ネットワークを物理的に狙った理由である可能性がある。次に、Leer-3 は現地の携帯電話網の妨害に有効かもしれないが、ロシア軍にはウクライナの携帯電話網を全国的に狙うだけシステムが十分でない可能性がある。

SATCOM はウクライナ作戦地域で攻撃を受けているが、主にサイバー攻撃によるものであり、ロシア軍EWと対照的である。実際、ウクライナから世界中のメディアに定期的に生中継されているニュースによると、SATCOMはほぼ影響を受けていないようだ。

ロシア陸軍の電子戦システム「R-330Zh Zhitel」は、EW中隊に配備されている。衛星通信信号を含む様々なターゲットを攻撃することができる。InformNapalm/Google Earth

ロシア軍のEWシステムには、Leer-3、Zhitel、RP-377L/LA Loranditなど、SATCOM信号を攻撃可能と思われる装備がある。しかし、ロシア軍はウクライナの衛星通信にサイバー攻撃を行ったようだ。民間衛星通信会社Viasatは、戦争開始時に同社KA-SATネットワークがサイバー攻撃を受けたと明らかにした。同社によると、攻撃はウクライナとヨーロッパ周辺のユーザーに影響を与えた。この攻撃でウクライナ軍によるKA-SATネットワークの利用を狙ったものと思われる。同様に、SpaceXのStarlink SATCOM端末もロシアのサイバー攻撃の標的にされた。同社の創業者で最高経営責任者のイーロン・マスクは、ウクライナ全土をブロードバンドSATCOMでカバーするため、Starlink端末数千台を配布したことはよく知られる。どちらのケースも、ソフトウェア修正により、比較的短期間で改善された。

次に何が控えているのか

ロシア軍のEWは、戦争の第一段階で実施されたが、当初懸念されたほど決定的な効果を発揮していない。なぜか、明確な理由を挙げることはできない。ウクライナ軍は、2014年侵攻から貴重な教訓を得ていたようだ。また、ロシア軍のEW装備がどの程度、目的に合っているかでも疑問が残る。2014年にロシアが初めて侵攻した際、ウクライナ軍に対して有効であることが証明された。しかし、その後ウクライナ軍が大幅に改善した戦力に対しては、能力が劣る可能性がある。ロシア軍のEWシステムが損傷したり、使用不能になり、交換部品が滞留している可能性もある。ロシア軍の EW 要員の訓練が、今回の戦争に対応できていない可能性もある。

ロシア軍の EW C2システムは目的に適っているのだろうか?そうでないかもしれない。5月初旬発行のロシア学術誌「軍事思想」の記事がこの懸念を浮き彫りにしている。「現在、電子戦部隊の制御システムは、電子戦部隊と軍全体の真のニーズを十分に満たしていない」。これらのEW C2システムには、「システム的、技術的に多くの欠点がある」という。同様に、キーウへの侵攻の際、道路の混雑のため、EW部隊を前進させられなかったとの分析がある。

侵攻直後、匿名の米国防当局者は、「ロシアが電子戦能力をフルに発揮したとは思えないし、理由もはっきりしない」と述べた。この状況が、今回の戦争の新しい段階でも続くだろうか?初期評価では、ロシア軍が電子戦能力を向上させたことを示唆している。6月上旬にワシントン・ポストが発表した報告書では、ウクライナ東部で最近目撃されたEWのレベルは強烈と警告している。特に懸念されるのは、ウクライナのUAV運用への影響だ。カナダのUAV企業Volatus Aerospaceは、5月下旬のプレスリリースで、ロシアの妨害電波が小型無人機に悪影響を与えていると述べていた。暗号化された無線やGNSSリンクが搭載されていないため、電子攻撃から機体を保護できないとある。同様に、AP通信が6月上旬に発表したレポートは、ロシアの妨害電波が急増中と警告している。これは、ロシア陸軍がEWユニットを戦闘地域に近づけるために、補給線がより短く、より安全になったことが原因だとされている。

戦争が新段階に入り、ウクライナ軍にどのような影響が出るかは不明だ。ロシアがウクライナのE2Sを決定的に獲得し、維持すれば、ウクライナにとって大きな後退となる。どのようなものであれ、ロシアの完全勝利を一方的に招くことはないだろう。しかし、ウクライナ軍がロシア侵攻に対抗するためには、地域制圧を狙うロシア軍に対抗できなければ、どうしようもない。

NATOや同盟国は、電子戦の行方を見誤ってはならない。ロシア軍EWは戦争の初期局面こそ精彩を欠いているように見えたが、紛争が新局面に入れば変わるかもしれない。NATO、ウクライナのいずれも自己満足は許されない。■

 

Russia's Electronic Warfare Capabilities Have Had Mixed Results Against Ukraine

BYDR. THOMAS WITHINGTONJUN 16, 2022 3:24 PM

THE WAR ZONE

Dr. Thomas Withington is an award-winning analyst and writer specializing in electronic warfare, radar, and military communications.


2019年3月8日金曜日

3月8日EA-6Bが米軍供用を終了、半世紀近く活躍した同機の豆知識

5 fun facts about the EA-6B to say goodbye to the Marine Corps' Prowlers 米海兵隊で退役するEA-6Bの豆知識5点

Blake Stilwell,


US Marine Corps electronic warfare EA-6B Prowler Al Udeid Air Base Qatar

カタールのアルユデイド航空基地に展開したEA-6Bプラウラー。 September 12, 2018. US Air Force/Tech. Sgt. Ted Nichols


2019年3月を持って海兵隊はEA-6Bプラウラー最後の飛行隊を解隊する。
これによりプラウラーの米軍供用に幕が下りる。戦術電子妨害機として1971年に供用開始し、現役機材では最長期間を飛んだが2019年3月8日がいよいよ最後となる。
後継機種はF-35共用打撃戦闘機でF/A-18ホーネットやAV-8Bハリヤーと同じ構図だ。

1. ホーチミンからISISまで相手に戦った
It fought everyone from Ho Chi Minh to ISIS
海兵隊のEA-6Bが空中給油を終え離脱していくイラク上空June 28, 2018. US Air Force/Staff Sgt. Keith James
最初に投入されたのは1972年の東南アジアでプラウラーは空軍、海軍、海兵隊の各機材と70回に渡る事態で260千時間を飛んだ。

2. 欠点のない勝利の実績

Its victories were flawless
海兵戦術電子戦飛行隊2の9機がカタールのアルウデイド基地に揃ったAugust 16, 2018. US Army/Spc. Jose Diaz
一機も敵の手で喪失していない。北ヴィエトナム、リビア、イラク、イラン、タリバン、パナマと敵は数多かったがアメリカを守った170機のプラウラーを落とせなかった。
ただし事故等で50機を喪失しているのは残念だ。

3. 敵レーダー妨害が仕事

敵レーダーをどう妨害するのか。無線信号を使えなくし、標的照準を不可能にする。

プラウラーはテロ掃討世界戦争で完璧な装備となり携帯電話通話を妨害し、車庫扉の開閉装置を作動不能にし、地上部隊を敵の遠隔操作即席爆発物から安全に守ってきた。

4. 戦術機で最長の供用期間

It's the longest serving tactical jet

EA-6BプラウラーがISIS標的攻撃ミッションを終えUSSジョージ・H・W. ・ブッシュに着艦する Thomson Reuters

F-16もかなわない。プラウラーの供用期間はF-16を上回り米軍戦術ジェット機で最長だ。いまのところ。

5. ビン・ラディン殺害を支援

The Prowler helped ice Bin Laden
米海軍所属のEA-6Bプラウラー、イラク上空で空中給油を受けたところ。October 4, 2014. USAF

パキスタンでSEAL部隊が特殊極秘ヘリコプターで忍び込んだのは事実だが、実はEA-6Bブラウラーがオサマ・ビン・ラディン住居周辺でレーダーや電子信号の作動がないことを確認したため、作戦が実行できた。■
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