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2025年6月4日水曜日

空母が「時代遅れ」だって?中国が航空母艦の永続を保証する結果へ(19fortyfive)

 


Nimitz-Class Aircraft Carrier. Image Credit: U.S. Navy

アメリカのニミッツ級空母USSハリー・S・トルーマン



国の攻撃的な軍事姿勢、特に台湾への姿勢が皮肉にも米空母の戦略的重要性の継続につながっている。 空母の脆弱性についての議論にもかかわらず、インド太平洋における海洋支配の緊急の必要性から、米国は空母艦隊に依存し続けている。


アメリカの空母支配が続くのは中国のおかげ:北京の指導者たちが次の「黄金の種族」になるかのように振る舞っていなければ、アメリカの空母艦隊はモスボール船団、浮遊博物館、あるいは人工岩礁の候補になてっていたかもしれない。

 しかし、そうならなかった。 トランプ政権は、空母中心の艦隊運用の寿命をもう1世代延長する公算が大きい。 その理由は以下の通りだ。


空母は米海軍のため航海を続ける

象徴的で不遜なコメディ『ブレージング・サドル』(1974年)で最も印象的なセリフだったのは、「モンゴは撃たないほうがいい。 怒らせてしまうかもしれないから」。これはおそらく、中国指導部が攻撃的な作戦に乗り出す前に考えたそうな提案であり、台湾を軍事力で支配する能力と意志を常に誇示している。短期的には、空母戦力の増強以外に、インド太平洋における海上支配力を示す選択肢がアメリカにはない。

 その結果、アメリカは海、空、サイバー、宇宙戦力への投資を行い、空母の有用性を当面の間だけでなく、北京の現在の構成員が死んで葬り去られるまで拡大する可能性が高い。


海上のパワー・ダイナミクス

キルシステムの継続的な有用性は、消費者の選択よりも文脈によって決まる......武器はファッションと異なり、気まぐれには廃れない。 現在および将来の兵器を米海軍が選択す上で、コンテクストがすべてである。

 コンテクストは地理から始まる。 米国が、台湾のような第一列島線での明白な侵略を抑止する能力を喪失したとしよう。 その場合、アメリカはインド太平洋の大国としての地位を失うことになる。

 現政権が制海権の重要性を理解していることを示すシグナルとして、トランプ陣営が海洋能力と能力の強化に執念を燃やしていることほど明確なものはない。ワシントンは北京に対し、第1列島線と第2列島線での競争でフリーランチは終わったという非常に強いシグナルを送っている。

 とはいえ、アメリカ政府は、中国の目標は2027年までに台湾を武力で奪取できるだけの戦闘力を持つことだという評価を真摯に受け止めているようだ。これは開始時期ではなく、もしアメリカ側が早急に北京の注意を引きたいのであれば、中国を引き下がらせ、手を引かせるための目印となる。

 しかし、まったく異なる海軍を整備するには、3年では時間が足りない。間違いなく、ワシントンはもっと多くの艦船を海に浮かべたいのだ。 絶対的な最優先事項は、ヴァージニア級とコロンビア級潜水艦だ。

米海軍はおそらく、より多くの潜水艦をより早く製造するために、空母含むあらゆるプログラムから、ありとあらゆるドルを剥奪するだろう。 しかし、ブーマー建造はお金だけの問題ではない。 アメリカ政府は、潜水艦建造の産業基盤に何百万ドルもの資金を投じ続けている。

 しかし、両クラスの潜水艦の生産率は近年、加速するどころかむしろ低下している。要するに、3年後に中国を牽制するために劇的に変化した海軍を物理的に提供できるだけの資金が国庫にないのだ。

 現在の中国の脅威はさておき、世界の大国にとってなぜ空母が貴重なのか、それには強い根拠がある。 今日、北京が欲しがっている島々が、第二次世界大戦で日本が奪おうとした島々とまったく同じであることは偶然ではない。 島は不沈空母である。

 島は、監視・管理できる物理的な海洋空間を拡大する物流・軍事拠点である。対照的に、空母は今いる場所でしか制海権を確保できない。ひとたび空母が移動すれば、その海域は自由に利用可能となる。

 一方、空母は移動できるため、ダイナミックにパワーと影響力を拡大することができる。第二次世界大戦中、空母艦隊がなければ、アメリカが第一列島と第二列島を支配し、アメリカを太平洋空間から締め出そうとする日本の努力に対抗するのに十分なパワーを投射できた可能性はゼロだった。

 要するに、世界的大国が帝国の重荷を負わずに世界的大国であり続けたいのであれば、常にどこにでも存在する能力も関心すらもない一方で、機動的な戦力投射と持続的な制海権のためのある程度の能力は必要だということである。


過去の海軍力にとっての未来

仮に将来のアメリカが、空母戦や展開可能な制海権の必要性に代わる代替手段を持たないとしよう。その場合、国防総省は、空母艦隊の殺傷力、即応性、生存性を確保する以外に選択肢はないといってよい。

 現在、紅海における米空母の作戦は、空母の存在意義を維持するための重要な課題をすべて取り上げたケーススタディとなっている。

 最近、ある空母で防御操艦中に搭載戦闘機を失った。米国、同盟国、敵対国は間違いなく、この事件と作戦全体を研究し、将来の空母運用の教訓を引き出すだろう。

 米国は当面、空母戦力に頼るしかないため、国防総省が何らかの投資を行うことが期待される。特に、空母機動部隊の戦闘到達範囲を拡大し、ドローンやミサイル攻撃への生存能力を強化することだ。 空母は、他の領域、特に海面下、宇宙、サイバー、電磁スペクトルでの作戦における米軍の能力を拡大することで利益を生むことができる。

 戦術的であれ技術的であれ、空母の作戦が実行可能で優位性を維持するための取り組みの結果は、フォード級を超える次世代空母を追求するかどうかの米国の決断や、その能力がどのようなものであるかに影響を与える可能性がある。■


Forget ‘Obsolete’: China Ensures Navy Aircraft Carriers Aren’t Going Away

China’s aggressive military posture, especially regarding Taiwan, has ironically guaranteed the continued strategic importance of US aircraft carriers. Despite arguments about carrier vulnerability, the immediate need for maritime dominance in the Indo-Pacific leaves the US reliant on its carrier fleet, as alternatives like increased submarine production face delays.

By

James Jay Carafano

https://www.19fortyfive.com/2025/04/forget-obsolete-china-ensures-navy-aircraft-carriers-arent-going-away/?_gl=1*1h2ex9g*_ga*NjU3NTI5ODU1LjE3NDYxMzgwNDc.*_up*MQ..


文:ジェームズ・ジェイ・カラファノ

19FortyFiveの寄稿編集者であるジェームズ・ジェイ・カラファノは、ヘリテージ財団の大統領上級顧問兼E.W.リチャードソンフェロー。 国家安全保障と外交政策の課題における第一人者で、以前はヘリテージのキャサリン&シェルビー・カロム・デイヴィス国家安全保障・外交政策研究所の副所長を務めていた。カラファノは熟達した歴史家であり、教師であり、また多作な作家であり研究者でもある。近著に、南西太平洋における戦闘を研究した "Brutal War" (Lynne Reinner, 2021)がある。 また、インターネット時代が国家安全保障に与える革命的な影響について調査した "Wiki at War: Conflict in a Socially Networked World" (Texas A&M University Press, 2012)も執筆している。テキサス州オースティンで開催された2014年サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)・インタラクティブ会議でサイバー戦争を講演した。


2025年3月13日木曜日

「ドローン空母」で従来型空母は陳腐化する(19fortyfive)―超大型空母にまで進化した空母戦力の信奉者は戸惑い、反発(特に既存利益がある産業界)を示すでしょうが、経済と技術の変化が答えを出してくるはずです

 


MQ-25 stealth drone

MQ-25。- Creative Commons


ドローン空母が従来型空母に取って代わる可能性がある: 批評家たちは空母の終焉を予測してきた。潜水艦、対艦ミサイル、「空母キラー」の弾道ミサイルは、真珠湾攻撃以来空母が享受してきた支配に終止符を打つとされている


統的な空母は別の脅威に直面している。航空機ではなくドローンを運用する空母に取って代わられようとしているのだ。これらの空母はまた、自動化され、無人艦になるかもしれない。


ドローン空母の時代が来る

ドローンを搭載した空母の形式は複数案ある。「空母打撃群で従来の空母と一緒に補助的な全機UAV搭載空母を含めば、全体的な出撃率が増加する」とシンクタンクRANDの報告書は主張している。「米海軍が全機UAV搭載空母の設計と使用方法を理解すれば、いつの日か、従来型空母なしで他の艦船と運用されるようになるだろう。やがて全機UAV搭載空母が、空母打撃群の目玉となるかもしれない」。

 空母は軍艦であると同時にコンセプトでもある。 71パーセントが水である地球上で紛争や危機的状況の近くを航行できる移動飛行場の利点はあまりにも多い。 これは特にアメリカにとって真実であり、空母に投資するのは世界的な権益を持っているからで、陸上航空戦力が必ずしも解決策にならない遠隔地にあることも多い。

 しかし、空母が発進させる航空機には人間のパイロットがいなければならないと、どこに書いてあるのか? 単なる偵察システムだったドローンは、過去70年で致命的な弾薬運搬手段、ミサイル搭載の攻撃プラットフォーム、空中タンカーへ進化し、空中戦闘機になりつつある。

 ドローンを搭載した「空母」は、従来型空母が直面していた最大の問題を解決するだろう。従来型空母のコストは驚異的で、10万トンの米フォード級原子力空母の場合、1隻約130億ドルだ。英国のクイーン・エリザベス級(65,000トン)でさえ、ガスタービンを動力源とし、カタパルトを備えていないものの、1隻単価は約40億ドルだ。F-35Bのような1機あたり1億ドルの有人航空機を30機から90機搭載する空母航空団のコストを加えると、なぜ米海軍が11隻の空母しか持たず、そのすべてに膨大な過重労働を強いているのかは明らかだ。

 有人航空機の発艦は、艦船の設計者と海軍予算にジレンマをもたらす。従来型空母は、F/A-18E/Fスーパーホーネットのような機体を発進させるためカタパルトと長い飛行甲板を備えた大型で高価な船か、あるいは小型の「スキージャンプ」飛行甲板と短距離離陸・垂直着陸(STOVL)機のどちらかであり、航空機の性能に限界がある。

 ドローンを搭載した空母は、こうしたジレンマの多くを回避できるだろう。今日の空母は、パイロットが許容できるGフォースを受けながら、航空機を発進・回収するのに十分な長さが必要だ。UAVがより短い距離で発進・回収され、今日の航空機の発進・回収に使用されているものより大きな引張強度を持つ先進素材が採用されれば、飛行甲板の長さでの制約は緩和される可能性がある、とRANDは指摘している。


トルコにはドローン空母のような艦艇がすでにある

ドローン対応のフラットトップへの改修は迅速に可能だ。その一例が、トルコの新しい水陸両用強襲揚陸艦「アナドル」(2万7000トン)で、30~50機のUAVとUCAV(無人戦闘機)、ヘリコプター、海兵隊、水陸両用強襲車両を搭載できる。政治的な理由でF-35Bをアナドルに装備する計画が頓挫し、トルコはF-35をTB3ベイラクタルやキジレルマ(空対空戦闘用に設計されたジェット動力無人機)など戦闘用無人機に置き換えた。

 ドローンが多くの空母艦載機に取って代わろうとしているように見えるが、空母自体のロボット化が進む可能性がある。無人艦船は、量的にも洗練度においても増加の一途をたどっている。 海軍は自律型スピードボート、ロボット掃海艇、無人潜水艇を採用しつつある。 海軍が十分な人員の確保と維持に直面していることを考えれば有人艦艇でも自動化が進んでいるのは当然だろう。

 定期的なメンテナンスやダメージコントロールなど、艦船の機能を広く自動化することで、ドローン空母は乗員数を減らするだろう。 「これらの変化は乗数効果をもたらす可能性がある: コックから憲兵までの需要が減少するため、オペレーターがいなくなるごとに、乗組員から大きな人数が減ることになる」とRANDは指摘している。

 RANDは、UAVを搭載した空母をロボットが護衛する、ドローン中心の空母打撃群まで想定している。 「レーダーやソナーなどのセンサーを搭載できるものもあれば、他の艦船のためのオフサイト・ストレージとして機能する補給艦もある。その他のロボット艦は、"ミサイル、魚雷、レーザー、その他の電磁兵器を搭載し、打撃群内の有人艦の要員から指示される "可能性がある」。

 それでも、ロボット空母がドローンの大群を出撃させることで海戦が一変するまでには、ハードルが多数ある。 最大の問題は信頼性と接続性だ。殺傷力を行使する決定や、これらのプラットフォームに搭載されたAIが状況を正しく処理できない場合のために、人間がループ内に残る必要がある。しかし、無人機と人間のオペレーターとのリンクを可能にする帯域幅には限りがあり、指揮統制は常に脆弱なままだろう。

 ジャミングも問題だ。ウクライナは2023年に毎月1万機の無人機を失っていたが、ほとんどがロシアの電子妨害によるものだった。光ファイバーケーブルで無人偵察機を制御することで、ウクライナとロシアの無人偵察機は妨害電波を回避できるようになったが、テザー接続されたUAVの航続距離は10マイル程度しかない。


未来に向かうドローン空母

とはいえ、ドローンやAI技術の進化がめまぐるしいスピードであること、そして従来型空母のコストが高騰していることを考えれば、ドローン搭載空母の実現には可能性が十分ある。ドローン搭載空母が明日の戦闘部隊の基幹となるかもしれない。■


‘Drone Carries’ Could Make Aircraft Carriers Obsolete

By

Michael Peck

https://www.19fortyfive.com/2025/03/drone-carries-could-make-aircraft-carriers-obsolete/?_gl=1*a7a02d*_ga*MTczNTU3NjM2NS4xNzQxODE1OTgy*_up*MQ..



著者について 防衛専門家 マイケル・ペック

ビジネス・インサイダー、フォーブス、ディフェンス・ニュース、フォーリン・ポリシー誌などに寄稿する防衛ライター。 ラトガース大学で政治学の修士号を取得。TwitterとLinkedInでフォローする。






2024年7月3日水曜日

空母の意義は少しも揺らいでいない―米海軍パパロ大将によるエッセイ

 On 31 January 2024, the USS Carl Vinson (CVN-70), JS Ise (DDH—182), and USS Theodore Roosevelt (CVN-71), with embarked aircraft and escort ships, operated together in the Philippine Sea.

On 31 January 2024, the USS Carl Vinson (CVN-70), JS Ise (DDH—182), and USS Theodore Roosevelt (CVN-71), with embarked aircraft and escort ships, operated together in the Philippine Sea.

U.S. NAVY (TERRIN HARTMAN)

空母は それでも不可欠だ

統合戦力は格子状の能力を持つが、米海軍空母の機動性、質量、射撃能力に匹敵する存在はない。

米海軍 S・J・パパロ大将

母は不可欠な戦闘プラットフォームである。この強力で機動的な海上航空基地は、その航空団により、多用途性と戦力のユニークな組み合わせを提供し、地政学的国境の制約を受けることなく、世界各地に航空戦力を投射することを可能にする。海軍航空隊と航空母艦は、統合、複合、全領域戦闘のシステムの中で重要な能力である。空母は、打撃戦や制空権のために高い出撃率を生み出す。また、作戦行動や危機対応においても大きな価値を持つ。その機動性から本来は防衛可能であるが、それを守るために対標的能力と重層的防衛に投資し続ける戦略的必要性がある。そして何よりも、110年以上前にユージン・エリーが初めて艦船から発進し着艦して以来、先人たちが行ってきたように、今日の海軍航空界が革新を続けることが不可欠なのである。

「なぜ」から始めよう

火は戦いの王であり、空母はその能力と航続距離において王の中の王である。ジェラルド・R・フォード級とニミッツ級空母(CVN)は、1日に最大125回の攻撃出撃を行い、1回の出撃で最大6つの精密照準点を攻撃することができる。これは、空中、陸上、海上、固定式、移動式のあらゆるプラットフォームと比較してみてほしい。出撃率は戦闘環境で異なるが、戦闘兵站部隊によるCVN独自の洋上での再装填可能性は、弾倉の膨大な兵器容量と相まって、多数の攻撃、航空優勢、対潜水艦戦の出撃を行う効率的なプラットフォームとなっている。

空母は国際水域のどこにでも配置できるため、ホスト国の支援を必要とせず、さまざまな脅威や作戦上の要求に迅速に対応することができる。空母の機動性は、固有の防衛力を提供する。

常に攻撃を受けやすく、防衛に多大な労力を要する固定飛行場と異なり、空母は海洋を機動的に移動できるため、標的としては難易度が高い。機動性により、空母は攻撃に対する脆弱性を最小限に抑えつつ、効果を最大限に発揮できる地域で活動することができる。

機動性は空母の唯一の防御ではないが、迅速に再配置できる能力は敵の攻撃計画と実行を複雑にする。人民解放軍に代表される潜在的な敵対勢力は、空母の発見に懸命になる。彼らは、長距離で艦船を標的にする設計の高度なミサイルシステムや、対艦兵器を搭載した潜水艦や航空機に懸命に取り組み、多額の投資を行っている。脅威の状況は絶えず進化する。しかし、米国の敵が空母を見つけようと懸命になるのは、その驚異的な機動力と損害を与える能力のためである。

このターゲティングとカウンターターゲティングのダイナミズムは、革新と適応の絶え間ないサイクルを要求する。空母打撃群(CSG)は、新たな脅威に対抗するため、防衛力と作戦戦術の強化に絶えず取り組んでいる。具体的な内容は機密であるが、CSGが力を発揮し、自らを守るための方法には、カウンターターゲット、大気圏外弾道ミサイル防衛、中・短距離防空・ミサイル防衛などがある。カウンターターゲティング、機動性、欺瞞、電子戦、指向性エネルギー、キネティックキルの組み合わせにより、敵のキルチェーンに対して、また敵のキルチェーン全体に対して、レイヤーアプローチで徹底的な防衛を行うことができる。

空母の必要性を否定するものとして、他部隊による新しい戦闘コンセプトを指摘する批評家もいる。海兵隊の遠征前進基地作戦と海兵隊沿岸連隊、陸軍の多領域作戦/多領域任務部隊、空軍の機敏な戦闘配備コンセプトは、統合分散ハイエンド戦争への重要かつ称賛に値する貢献であるが、空母の貢献に取って代わることはできない。米インド太平洋軍司令官として、筆者はこれらのダイナミックで革新的な統合コンセプトと能力を熱烈に支持するものである。しかし、筆者は同時に、CSGが提供する能力を防衛し、維持することを国家として最も熱烈に支持する者でもある。それは、どちらか一方を選ぶということではないのだ。

統合戦力は、物理的空間とスペクトル空間を機動し、あらゆる領域で射撃と効果を提供するダイナミックな能力の格子状構造であり、潜在的な敵よりも速いサイクルで、広範で見当違いな地理的・次元に沿ってジレンマを提示する。ダイナミックに機動し、打撃戦を展開し、制空権と制海権を提供して統合待機部隊を防衛・維持する空母の能力は、空母を不可欠な存在にしている。元米中央軍司令官のフランク・マッケンジー・ジュニア海兵隊大将は、イランが一連のエスカレート攻撃を計画していた2019年、CSGが戦場になかったことの影響を率直に語っている: 

「米軍のプレゼンスを大幅に削減する決定を下したことで、イランが増勢に転じていることもわかっていた。. . . 最も重要なことは、空母とその随伴艦の継続的な存在がなくなったことだ。空母はユニークなアイコンであり、米国のコミットメントとパワーの強力なシンボルである。イラン側は、空母が戦場にいるときといないときを注意深く見計らっていた」2。

作戦行動と危機対応

空母打撃群は、同盟国やパートナーを安心させる上でも重要な役割を果たす。目に見える形で軍事力と即応性を示す。それは同盟国に米国の安全保障へのコミットメントを納得させるだけでなく、潜在的な敵対勢力にシグナルを送り、抑止する。さらに、5,000人の善意の使者である水兵や海兵隊員を伴う空母の訪問が外交に与える影響は、人と人との絆を深める上で計り知れない価値がある。

モバイルC2

CSGのモバイル・コマンド・センターは、将官レベルの司令部が機動部隊や、状況によっては、海軍で師団や軍団に相当する複数艦隊を指揮することを可能にする。司令官や幕僚を受け入れ、戦術的なイメージや戦域の指揮を可能にし、7つの統合機能にわたって完全な戦闘リズムをサポートする能力は、ユニークな多用途性を表している。空母は、常に移動しながら、ホスト国の同意を必要とすることなく、これらすべてを行う。

人道支援と災害救援

水陸両用即応集団の海兵隊遠征部隊は、自然災害や人道的危機に対応するために最初に招集されることが多く、素晴らしい働きをするが、空母の速度と能力は、危機対応においても非常に役立つことを意味する。空母の航空機は、捜索救助任務を遂行し、医療を提供し、物資や資源を届け、避難活動を支援することができる。2004年12月、巨大地震と津波がインドネシアとインド洋の他の国々を壊滅させたとき、エイブラハム・リンカーンCSGは現場に最初に駆けつけ支援を提供した3。USSロナルド・レーガン(CVN-76)は、救援物資のための洋上中継基地として機能し、数週間にわたって自衛隊のヘリコプターに燃料を補給した4。

イノベーションのためのプラットフォーム

空母からの出撃では、その量だけでなく、任務の質と多用途性も重要である。価値の高い目標に対する精密打撃から、定期的な航空優勢から持続的な航空優勢まで、空母艦載機は柔軟に能力を提供する。この汎用性は、より高性能な航空機の開発など、海軍航空技術の絶え間ない進化によってさらに強化され、CSGが軍事作戦能力の最前線であり続けることは確実だSエンタープライズ(CVN-65)を考えてみよう。51年間の就役期間中、エンタープライズ甲板から飛来した航空機は、プロペラ機のAD-1スカイレイダーやS-2FトラッカーからF/A-18E/Fスーパーホーネットまで多岐にわたった。

空母航空団の進化は、軍事的現実を反映している: 我々は常に、敵対国との過当競争の中にいる。中国の第4、第5世代戦闘機と長距離兵器は、米国の能力への大きな挑戦だ。私たちは、これからの戦いの秩序のために、創意と工夫で克服し続けなければならない。海軍は、これらの任務のための次世代システムで時間を失う余裕はない。F-35Cの運用をフォード級に認定させ第5世代航空機を完全展開し、次世代航空支配の開発を急ぐことが急務である。

エンタープライズはまた、情報化時代の能力をスパイラル的に開発するための永続的なプラットフォームとしての空母を例示している。無人化、自律化、極超音速システム、付加製造、指向性エネルギー、ナノテクノロジーは、戦争における革新の未来だ。空母のスペース、重量運搬能力原子炉のパワーは、他のプラットフォームにはない能力を提供する。これを実現するためには克服しなければならない障害もあるが、紅海で進行中の防空作戦は、指向性エナジー兵器の必要性を実証している。CVNのスペース、重量、電力容量は、両方のシナリオを可能にする。

危険な世界に必要な道具

今年のフック・シンポジウムのテーマは「備えよ」である。私たちは、ますます混沌とした無秩序な世界に直面している。フランシス・フクヤマが『歴史の終わりと最後の人間』で予言したような、すべての国が自由民主主義に向かって進化する冷戦後の平和な世界ではない。むしろ、中国、ロシア、イラン、北朝鮮、そして暴力的な過激派が見せている行動は、サミュエル・ハンティントンの『文明の衝突と世界秩序の再構築』に似ている。米国は、ハンチントンが1954年5月に発表した『Proceedings』の論文、"National Policy and the Transoceanic Navy "を思い出すのが賢明だろう。同論文の中で、ハンチントンはこう書いている。「(海軍の)現在の目的は、海の支配権を獲得することではなく、むしろ陸上での覇権を達成するために海の支配権を利用することである。より具体的には、ユーラシア大陸を囲む決定的な沿岸の帯に海軍力を適用することである。新海軍の基本兵器は、海軍力をはるか内陸に投射することを可能にするものである。これらは主に3つの形態をとる。[その第一は)空母ベースの海軍航空戦力である」6。

ハンチントンが上記を書いて70年経った今も、海軍航空と空母は21世紀の軍に不可欠な要素なままだ。米国の敵対勢力は、空母を恐れているため、空母を標的にしようと懸命だ。われわれは、この能力をやめたり削減したりすることで、敵対者に義務を負わせてはならない。世界の戦略情勢が進化し続ける中、海軍航空と空母の役割は、米軍の戦力投射と海上戦力の最前線にあり続けるだろう。しかし、国家がこれらのユニークな能力を維持するためには、敵対勢力がこれらの能力を阻止するペースを維持しなければならない。

課題は明白である。敵を幻惑し、欺き、敵の見る力、理解する力、行動する力を破壊するために、強力なカウンターターゲット能力を構築しなければならない。空母の主戦力たる航空団と搭載兵器は、射程距離、速度、精度、殺傷力を向上させつつ、情報化時代に歩調を合わせなければならない。あわせて無人システムの導入と実戦配備のペースを速めなければならない。そして、CVNに固有のスペース、重量、パワーを活用し、指向性エナジー兵器と付加製造技術を戦場に導入しなければならない。私たちには、これらの課題に立ち向かうための才能とエネルギーがある。■

1. CAPT Tal Manvel, USN (Ret.) "Aircraft Carriers: Bigger Is Better", U.S. Naval Institute Proceedings 146, no. 9 (September 2020). 

2. Gen Kenneth F. McKenzie Jr., USMC (Ret.), The Melting Point: High Command and War in the 21st Century (Annapolis, MD: Naval Institute Press, 2024), 5. 

3. Dan Eaton, "U.S. Aircraft Carriers Rush to Aid Tsunami Zone," ReliefWeb, 30 December 2004.

4. Nathan Burke, "USS Ronald Reagan Arrives in Japan to Support Security, Stability in the Indo-Asia-Pacific Region," Navy.mil News Stories, 1 October 2015. 

5. John Grady, "Navy Air Defense Mission in the Red Sea Makes Case for Directed Energy Weapons, Says VCJCS Grady," USNI News, 1 May 2024. 

6. Samuel P. Huntington, "National Policy and the Transoceanic Navy," U.S. Naval Institute Proceedings 80, no. 5 (May 1954). 


Aircraft Carriers: Still Indispensable | Proceedings

Aircraft Carriers: Still Indispensable

The joint and combined force is a latticework of capabilities, but nothing compares with the mobility, mass, and fires capacity of a U.S. Navy aircraft carrier.

By Admiral S. J. Paparo, U.S. Navy

July 2024 Proceedings Vol. 150/7/1,457





2017年10月28日土曜日

★米海軍空母代替策検討より やはり小型空母ではよい結果は期待できない



 

フォード級が最後の超大型空母になるのか、革新的な小型艦建造が始まるのか、中間の新型艦になるのか、このRAND報告についてはすでにお知らせしましたがやや詳しい解説が入っていますのでNational Interestからお伝えします。小型艦では国防の役に立たないという結論ですが皆さんはどうお思いになりますか。

 


Why Building 'Baby' Aircraft Carriers Would Be a Bad Idea for the U.S. Navy

「小型」空母建造が米海軍に悪い結果となるのはなぜか
October 21, 2017


  1. 今回発表された米空母の将来像に関する研究は以下のように要約される。意味ある内容は負担なしでは手に入らない。
  2. 海軍は小型で安価な空母を130億ドルするフォード級のかわりに導入できる、とRAND研究所が新しい研究で発表した。だが小型かつ安価な空母は性能が限定され、海軍は有事の際に有効な航空戦力を地上作戦の支援に提供できないだろう。
  3. RAND研究成果は2016年の海軍委託研究の一部を公開したもので、議会がフォード級より安価な選択肢はないか調べさせたものだ。
  4. RANDは四つの選択肢を提示している。
- CVN-8X: フォード級(排水量10万トン)をやや小型化している。核燃料は交換不要で40年間稼働する。フォード級では20年ごとの交換が必要だ。カタパルトも現行の4基が3基に減らされる。
- CVN LX: 7万トンで1950年代のフォレスタル級(初の「スーパー空母」)に近い。核・通常動力のハイブリッド方式で推進し、原子炉はひとつだけでニミッツ級フォード級の二個と異なる。相当の航空戦力を搭載し、ニミッツ級を上回るほどだが、速力が下がり残存性はフォード級より劣る。航空戦力も出撃回数が減る。
- The CV LX: 43千トン通常動力で揚陸強襲艦アメリカ級を原型とする。カタパルトがなく、F-35B25機を搭載するが一日あたり50ソーティーしか実施できない。早期警戒機や電子戦機材を搭載せず、「従来型大型空母あるいは地上基地の支援が必要で、敵の航空戦力が強力な地点では運用できない」CV LXは有事に即座に第一線に投入できる装備ではない。航空戦力が不完全なためでAEWやEA機材がないのがその原因だ。
- CV EX: もっと小型の2万トン赤ちゃん空母で通常動力で短距離離着陸機6機から10機搭載するのはイタリア空母かヴォールに近い。CV EXは25億ドルと一番安いがフォード級の戦力を実現するには四隻が必要とRANDは試算している。「CV EXはCV  LX同様の制約があり、飛行甲板は小さく、燃料・弾薬搭載量も限られ低レベル紛争にしか対応できず、またはCVN補助にしか使えない」(RAND報告書)
  1. RANDは特定の選択肢を推奨することは避けているが、報告書からは建造費が安ければ性能も下がることになるのは明らかだ。現在の固定翼機としてF-35Cがあるが運用するには空母にそれなりの大きさが必用なのは格納庫や拘束ギアを見れば明らかだ。小型空母では短距離離着陸のF-35Bやヘリコプタ―を運用することになるがE-2早期警戒機やEA-18電子戦機の運用はできない。
  2. 性能が限定されると米国の戦争の仕方にも影響が出る。陸上運用機が到達できない遠隔地では空母航空戦力がどうしても必要だ。「フォード級の性能はフォード級の規模の投資が必要だ。代替策は低価格だが、一部機能が実現できなくなってもそれ自体で決定的に劣るわけでないものと(一日当たりソーティー生成量)とそうはいかないものがある」とRAND報告書の共同作成者ブラッド・マーティン(退役海軍大佐)が本誌に語っている。
  3. RANDが説明するような大型原子力空母のどちらかを選択しても海軍には大きな変化にはならないはずだ。だが残る通常型二型式の場合は異なる。ニミッツ級後継艦に選択した場合は米海軍の作戦能力が大きく下がる、とマーティンは見ている。「統合航空戦力を運用できるかがカギだ。攻撃、防御両面で戦力を形成できるからだが、艦船以外の手段による代替策も利用でき、陸上からの空中早期警戒やC2能力がこの例だ。
  4. では最良の選択肢はどれだろうか。ひとつではない。フォード級と大差ない大型艦を建造するのか、小型だが大幅に能力が下がる艦を建造るのかのいずれかだろう。■
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.
Image: Wikimedia Commons.