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2019年12月2日月曜日

イランはF-14運用維持のためあらゆる手段で部品を入手している。米軍もF-14の存在を軽視していない。


イランと開戦となったら

イラン軍のF-14を米軍が恐れる理由


Why the U.S. Military Fears Facing Iran's F-14 Tomcats in War


Warrior Maven2019年12月1日
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Warrior Maven Video Above: Army 4-Star Details Robotic Attacks to "Breach Complex Enemy Object."
By David Axe, The National Interest

ランプ大統領がイラン核合意から一方的に脱退する決定を下して以来、ペルシア湾岸地域の緊張は高まったままだ。
2019年夏の民間商船攻撃はイラン勢力に夜犯行と米軍は断定し、米海軍はUSSエイブラハム・リンカン打撃群を同地域に派遣した。米空軍はB-52、F-22、F-35を展開した。
開戦となれば、米軍は湾岸上空の確保のためイラン空軍を撃滅するはずだ。イランイスラム共和国空軍(IRIAF)の常設部隊およびイラン革命防衛隊の空軍部隊はあわせて700機程度の機材を運用している。
米軍が最初に排除をねらうのはIRIAFが保有する1970年代製造のグラマンF-14だ。2019年時点でイランはF-14トムキャットを24機程度運用中とFlight Globalはまとめている。イランはイスラム革命前に79機を米国から調達している。
米海軍ではトムキャットは2006年に全機退役しているが、後続距離が長く強力なレーダーを搭載した同機は現在も強力な戦闘機である。このため、米国はイランのF-14を供用できないよう長年に渡り画策してきた。
イランイラク戦争が1988年に終結した時点でイランにはF-14が68機残っていた。米国に夜制裁措置によりイランは同機の補修部品を調達できなくなった。
そこでイランは自国内完結型を目指し、以前なら海外企業頼みだった部品供給の国内調達に切り替えた。
イランには豊富な石油資源があるがそれ以外にも農業、鉄鋼生産、発電、民間航空で自国だけで完結する仕組みを紫美した。
それでもイラン国内企業でトムキャット用の特殊部品すべての生産は無理だ。そこで闇市場に目を向け大金を払い、F-14用部品の密輸を始めた。
米当局は1998年の時点でこうした密貿易の存在に気づき、輸出管理法違反でF-14のTF-30エンジン用部品をオランダ経由で運び込もうとした動きを摘発した事例もある。
その後も逮捕事案が続いた。カリフォーニアのマルティコア社は税関当局調査で226万ドルを仲介業者に1995年から支払っていた事実が摘発された。部品の大半はシンガポール経由で運ばれた。連邦政府は同社に部品販売した18社も捜査対象とした。2003年9月にはおとり捜査でイラン国籍一名を逮捕している。
米当局がF-14用部品密輸を摘発しているが、イランは入手をあきらめていない。マルティコアが入手した部品を国防総省の余剰部品管理部門に照会したところ、軍から流出していたと判明した。
米海軍がF-14を用途廃止した2006年になると部品戦争はさらに激化し、元米海軍所属のF-14が4機カリフォーニアで当局により押収された。うち3機は博物館展示用、残り一機は軍をテーマとしたテレビ番組JAGでの使用用だったが、各機から有益な部品がただしく取り外されておらずイランの手に渡る恐れがあるというのが当局の説明だった。
ペンタゴンがあまりにもF-14部品の管理でずさんだと議会が怒り狂い、2008年にはトムキャット部品のイラン引き渡しをすべて禁止する法案が成立している。
.退役後のF-14およそ150機が解体処分されている。一部の旧型F-14は「非軍事化」したあとで全国の博物館で展示されている。しかし、有名なアリゾナの航空機の「墓場」には一機もない。
それでもトムキャット部品取引は今も地下で続いており、世界各地で使える部品はないか探し回る怪しげな企業がある。2016年にはF-14が2機もテキサスの私有地に残っているのが見つかった。調べたところ2機とも1980年代末に政府が民間業者に処分を依頼した機体だった。
.これを見つけた本人もこれだけ長く米政府の管理を逃れた機体がそのまま残っていたことに驚きつつ、イランがこの機種に強い関心を示すのと関連があるのではと疑っている。■
David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels War Fix, War Is Boring and Machete Squad.

2016年10月16日日曜日

★歴史に残らなかった機体 その2 F-15の海軍版シーイーグルはなぜ実現しなかったのか



The National Interest

The Sea Eagle: How America's F-15 Fighter Almost Became a Aircraft Carrier Jet

October 14, 2016

  1. 1980年代、90年代に米軍の航空戦力のシンボルとなる強力な機種は空軍のF-15制空戦闘機と海軍のF-14可変翼戦闘機で後者は映画トップガンで魅力的に描かれていた。
  2. だが事情が変わっていれば映画でトム・クルーズが操縦した機体F-15イーグルになっていたかもしれない。
  3. 米海軍はF-15の空母運用型をF-15Nまたの名を「シーイーグル」として検討していた。1971年のことでデニス・ジェンキンスの著作「マクダネル・ダグラスF-15イーグル、究極の大型戦闘機」で解説がある。
  4. シーイーグルには機体改修が必要だった。たとえば折りたたみ式主翼や着陸装置の強化だ。だがマクダネル・ダグラスの立場は「推力重量比や視界の優秀性でF-15は空母運用に最適化されていたはず」とジェンキンスは著している。
  5. 1970年代初頭にマクダネル・ダグラス(現ボーイング)は機体売り込みのチャンスがあった。F-14は1974年に導入されたがトラブルが多く、プラット&ホイットニーTF30エンジンの出力不足が批判の的となっていた。機体価格でも1988年ドル価値でF-14は38百万ドルだったが、空軍仕様F-15Aは28百万ドルだった。
  6. F-15NはF-14を速度、操縦性双方で上回り機体価格も安く実現できていたはずだ。だが艦載型は重量が3,000ポンド増えていただろう。さらにF-15Nでは当初サイドワインダーとスパローの空対空ミサイルと機関砲を搭載するはずだったが、海軍がソ連爆撃機の迎撃に期待していた長距離AIM-54フェニックスミサイルは搭載の想定がなかった。
  7. 海軍の戦闘機研究で別の課題も浮上した。F-15にフェニックスミサイルとAN/AWG-9長距離レーダーを搭載すると機体重量はF-15Aより10千ポンドも増え、トムキャットの性能より劣ることになる。マクダネルとフェニックスのメーカー、ヒューズはF-15(N-PHX)を考え出し、フェニックスミサイルはそのままでレーダーを空軍向けAN/APG-63の高性能版ですまそうとした。
  8. 上院の小委員会で海軍版F-15の審議が1973年3月に始まった。「その時点でF-14は問題だらけで、小委員会は代替策を求め、低コスト版(つまり装備を取り外した)F-14、F-15N、改修型F-4を検討した」とジェンキンスは著している。「イーグルトン上院議員がF-14とF-15の空中実証を提案したが結局これは実現しなかった」
  9. 結局のところ海軍はトムキャットを使いまわす方向に落ち着いた。だがシーイーグルはそこで終わったわけではない。上院公聴会から「第四海軍戦闘機研究部会が発足し、ここからF/A-18Aが生まれたのだ」(ジェンキンス)
  10. シーイーグルは有効な効果を実現していただろうか。現在のF-35にも通じる問題が見えてくる。一部で性能を犠牲にする必要があるのだ。事実、F-14は失敗に終わったF-111海軍空軍共用戦闘機構想から生まれている。F-15をF-14同様の空母運用迎撃機にするためには相当の設計変更が必要で海軍版F-15はF-14や通常のF-15より性能が劣る機体になっていただろう。
  11. そこで現実問題につながる。空軍と海軍は要求内容が異なるのが通例だ。1970年代に空軍は協力で高い操縦性を備えたドッグファイターでF-4ファントムがベトナム戦でMiG戦闘機に味合わされた苦労の再発は避けようとしていた。皮肉なことに空軍は一時期F-106迎撃戦闘機の後継機にF-14を検討していた。
  12. だが海軍が求める迎撃戦闘機はソ連爆撃機や対艦ミサイルの阻止が目的だった。このため高出力レーダーとともに大型長距離空対空ミサイルの搭載が必須だった。F-35と同様におなじ機体を異なるミッションに投入するのはそもそも無理な話だがこの点が認識されていなくなってしまう。
  13. そしてもちろん政治が絡んでいた。空軍と海軍は政治家が求めてきた場合にだけそれぞれの機材を導入する。シーイーグルはペンタゴンやホワイトハウスに有力な推進支持派がないため失敗する運命だっただろう。
  14. 幸いにも最終的に海軍と空軍はそれぞれ求める機材を調達し、機体統一はしなくてすんだ。
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.