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2018年2月24日土曜日

北朝鮮制裁措置の違反船舶の海上取締を米沿岸警備隊が実施か

米沿岸警備隊に対応させるのは政治的に正しい方針でも、北朝鮮関連の国際常識に反する行動を見ると貧弱な警備船で大丈夫なのか、臨検に応じない場合どうするのか、さらに各水域に派遣するだけの余力があるのか疑問です。ヴィエトナム戦争では沿岸警備隊も動員されていましたが。そうなると海上保安庁も急に期待されそうですね。ただし尖閣等の警備が手薄になれば喜ぶ国があらわれそうですが。制裁はかなり効果を上げてきているので実効性を引き上げるべきで、北朝鮮封じ込めは今後何年も続く可能性があることに日本も注目すべきでしょう。

US reportedly planning high-seas crackdown on North Korea sanctions evaders by deploying Coast Guard force

米国が北朝鮮制裁措置逃れへの対応を沿岸警備隊に実施させる模様


us coast guard
夜間機関銃射撃訓練にあたる米沿岸警備隊カッター・ストラットン。US Coast Guard/Petty Officer Bryan Goff
  • トランプ政権はアジア内同盟国と北朝鮮制裁措置違反の疑いのある船舶を洋上摘発する準備に入った
  • 報道では米沿岸警備隊を投入するという
  • 2月23日に米国は北朝鮮海上輸送を対象に追加制裁措置を発表し国連にブラックリストも渡した
  • 北朝鮮は海上封鎖は戦争行為と受け取ると警告




WASHINGTON (Reuters) -トランプ政権は北朝鮮制裁違反の疑義がある船舶の取り締まりをアジア主要同盟数か国と検討中で、米沿岸警備隊がアジア太平洋海域で臨検を行うと米高官が述べている。
ワシントンは日本、韓国、オーストラリア、シンガポールの各国と取り締まり強化を協議中で北朝鮮が海上から核ミサイル開発に必要な物資入手を阻止しようとしている。
疑わしい船舶がすでに確認されているが、今回の戦略はさらに活動範囲を広げるものの海軍力で北朝鮮を封鎖する一歩手前で止めるのがねらいだ。平壌は海上封鎖を戦争行為と受け止めている。
戦略では疑わしい船舶を個別に追跡し禁制品を搭載していれば拿捕すると米高官は匿名条件で述べる。活動規模が拡大されれば太平洋軍の海軍艦船、航空機の投入も検討するという。
米主導のこの動きが報道されるのは今回が初めてで北朝鮮を交渉に向かわせ核兵器等の放棄実現に追い込みたいとするワシントンの問題意識を反映している。
北朝鮮が米本土攻撃可能な核ミサイルを完成させるまで数か月といわれる中、同国は国際制裁措置をかいくぐる密輸や海上での船舶間搬送で禁制品を入手していると米政府は把握している。
north korea ship to ship
米財務省発表の写真で北朝鮮とのつながった船舶間の物資搬送が確認された。US Treasury
「直接軍事行為以外のすべてで強化の必要があるのは間違いない。金正恩へこちらの真剣さを示す必要がある」と政府高官が語った。
ホワイトハウスは論評を避けている。
適用範囲は公海のみならず協力各国の領海内も対象とするがアジア以外はどこまでを範囲にするか不明だ。
また同日に米国が北朝鮮むけ貿易輸送に関与する企業・船舶を追加した制裁措置を発表し、国連にブラックリストを通告したのは、原油を入手し、石炭を販売する北朝鮮の不法活動をやめさせるのが米国の狙いだと示すものだ。
制裁強化に加え海上行動の追加で外交が辛うじて進む南北朝鮮で緊張要因になる。また米軍も各地に展開すればそれだけ戦力が薄くひきのばされ、域内関係国の負担増となるかもしれない。

相手船に乗り込むのか

対応策はまだ検討中だが北朝鮮の報復措置を引き起こす危険もあり国際社会も分断化されそうだ。
中国、ロシアは北朝鮮向け阻止行動の実力行使を国連の場で阻んできたが、新規措置でも踏み込みすぎだと反対しそうだ。匿名条件で中国関係者はこのような措置は国連主導のみで行うべきだと語った。
だがワシントンはすぐにでも措置強化に踏み切ると見られ、同盟各国との協議が不調に終わっても実施すると米高官は述べている。
さらに制裁逃れ船舶をへの法的措置も米国は検討中で、国連安全保障理事会決議を理由に公海あるいは関係国領海内での船舶臨検は可能と主張する。
ワシントンは海上での武力衝突を回避する観点で交戦規則を準備中だと関係者は述べる。
スティーブ・ムニューチン財務長官は2月23日ワシントンで記者団に船舶検査では係官乗船も排除しないと語った。
だが米関係者は個人的発言として臨検隊乗船には特に注意が必要だと述べる。
沿岸警備隊艦船の火力は貧弱で基本的に法取締が役割なので軍艦の代わりに投入されるとリスクがあることを米関係者は認める。
沿岸警備隊はアジア太平洋地区への所属艦船派遣の可能性について言及を避けているが、該当各国との連携は認める。「将来に警備船を配備するかは米外交政策の目標次第であり、船舶の稼働状況にも依存する」と広報官ディヴ・フレンチ少佐 Lieutenant Commander Dave French が述べた。

「協力国は多数ある」

韓国政府高官は「海上取締行動の強化」で協議があることを認め、先月のヴァンクーバー外相会議で米国務長官レックス・ティラーソンから各国に検討要請があったという。

「米韓両国含む各国と制裁措置の完全履行を検討中だが各国合同部隊の枠組みの話は聞いていない」と政策面に明るい日本の防衛省関係者が語った。
トランプ政権は東南アジア各国へ一層の協力を求めており、軍事力では期待できないものの船舶の動きでは情報提供が役立つと米政府関係者は解説してくれた。
US Coast Guard
沿岸警備隊カッターガラティン所属のMH-68スティングレイの銃手がサウスカロライナ州沖の麻薬輸送ルートで警戒中。Chief Warrant Officer Donnie Brzuska/US Coast Guard
「提携国が増えればそれだけ多くの資源を投入できる」とクリス・フォード Chris Ford 国際安全保障・非拡散政策担当国務次官補が述べる。ただしどの国と協議中かは明かしていない。
米政府が特に関心を示すのが洋上の船舶間物資搬送で北朝鮮はアジア各国港湾での貨物輸送が出来なくなったためこの手段をとることが増えている。
ロイターは昨年12月、ロシアのタンカーが洋上で北朝鮮に原油を受け渡した制裁違反を報じてた。ワシントンも中国含む数か国船籍の輸送船が原油製品、石炭の受け渡しに関与していることを突き止めている。中国は否定している。
中国領海付近では米国による臨検は避け、中国官憲に禁制品輸送を伝え中国による対策を求めると米政府関係者は述べた。
「すべての流れを止めるのは不可能に近いが、北朝鮮の代償を増やすことは可能」とバラク・オバマ大統領の下絵で国防次官(アジア関係)を務めたディヴィッド・シアー David Shear が語っている。■
Additional reporting by Michelle Nichols at the United Nations, John Walcott in Washington, Linda Sieg and Nobuhiro Kubo in Tokyo, Josh Smith and Hyonhee Shin in Seoul; Editing by Mary Milliken and Paul Thomasch

2017年12月30日土曜日

ロシアも北朝鮮へ石油密輸していた:抜け道をどう埋めて制裁措置の効果を実現できるか


これだけ抜け道があることがわかると国連制裁の実効性確保には海上臨検を行うしかないですね。また衛星画像で悪いことをしてもバレルことが世界に示され中国、ロシアはバツが悪いでしょうね。中国の言い分は香港船籍だからということでしょうか。都合の良い一国二制度ですね。





Russian tankers are reportedly smuggling fuel to North Korea with ship-to-ship transfers
ロシアのタンカーが北朝鮮に公海上で船舶間移送で石油製品を密輸していた


  • ロシアのタンカーが北朝鮮に少なくとも三回にわたり燃料を供給した
  • 北朝鮮への密輸が海上での荷物受け渡しになったのは北朝鮮船舶がロシア港へ直行し貨物を運ぶ形からの変化だ
  • ロシア外務省、ロシア税関当局はコメントを拒否




North Korea

米財務省発表の画像で船舶間の移送がわかる。US Treasury



  • Guy Faulconbridge, Jonathan Saul, Polina Nikolskaya, Reuters



LONDON/MOSCOW - ロシア船籍のタンカーが北朝鮮へ数か月で少なくとも三回にわたり海上で原油を供給したと西欧安全保障筋が明らかにした。
原油あるいは石油製品をロシアが販売するのは国連制裁措置の違反と同筋は指摘。ロシアは世界第二位の石油輸出国と同時に安全保障理事会の常任理事国である。
10月、11月に発生した海上移送はロシアから北朝鮮への密輸が海上での受け渡しに変化していることを示している。ロイターは9月に北朝鮮船舶がロシアに直行していると伝えていた。
別の取材源はロシアと北朝鮮の海上燃料取引を確認し、ロシアの国家関与は認められないとも述べた。
ともに海軍情報部発の情報と衛星画像でロシア極東部を出港した船舶を確認しているがこれ以上の詳細内容は極秘事項として明らかにしてくれなかった。
本件についてロシア外務省、ロシア税関当局に照会したがコメントを拒んでいる。該当船舶の船主の一社は事実を否定している。
この報道は中国が12月29日に米大統領ドナルド・トランプの批判に対して北朝鮮への石油製品の不法な供給を否定したのと並行して出てきた。
北朝鮮は国内経済運営で輸入燃料に依存せざるを得す、ICBMや核開発の推進でも石油は必要だ。
「問題の船舶数隻はロシア極東部から北朝鮮へ石油を密輸した」と最初の取材源が語っている。
ロイターは独自に対象船舶が北朝鮮に本当に燃料を移送したのか、ロシアが国家として関与したのか、何隻のロシア船舶が関係したのかを調べられなかった。また燃料密輸の規模も不明だ。
船舶衛星位置情報を調べると取材源が指摘した船名のロシア船舶で異常な動きがあるとReuters Eikonで判明した。トランスポンダーを切り位置探知を逃れている。
安全保障筋によればロシア船籍のタンカー、ヴィチャーズ Vityaz が北朝鮮船舶に洋上で燃料を移送している船舶のひとつだという。
ヴィチャーズはウラジオストック近くのスラヴヤンカ港を10月15日に石油1,600トンを搭載して出港したのがロシア港湾局の書類で確認できた。
同船の代理店からロシア国家港湾管理局への提出書類では目的地は日本海で操業中の漁船団とある。航行情報から同船がトランスポンダーを数日間切って航行したことがわかる。
欧州の安全保障筋によれば同船は北朝鮮船籍の油槽船Sam Ma2に公海上で積み荷移送を10月に行ったという。
Sam Ma2もトランスポンダーを出港時の8月から切ったままのためロイターはこの裏付けが取れなかった。
ロシア船主は北朝鮮船との接触を否定しているが同時に漁船への燃料補給も承知していないと語っている。同船はウラジオストックのAlisa Ltd.の所有で、同社役員のヤロスラブ・ギュックYaroslav Gukは同船と北朝鮮船の接触はないと述べている。
「絶対にない。そんなことをすればとても危険だ」と電話でロイターに伝えてきた。ただし次回取材を試みるとギュックは同船は北朝鮮船と接触した事実はないとだけ述べそれ以上の質問に答えなかった。代理店のEast Coast Ltd.もコメントを拒否している。
別のロシア船籍二隻も同様の航海を10月11月にスラヴヤンカ、ナホトカ両港から出発し途中でトランスポンダーを切っているのが確認できた。
ロイターは9月に少なくとも8隻の北朝鮮船がロシアから燃料を積み自国に向かったと報じており、申告上は別の目的地だったのは米関係者に言わせれば制裁逃れの常套手段だ。
極東でのロシア海運に詳しい筋は北朝鮮船舶はロシア極東港湾部での石油積み出しを中止しているが海上での船舶間移送により石油を輸送していると述べ、漁船も利用しているという。
中国は12月29日に北朝鮮への不法石油販売の報道を否定した。トランプが中国へ不快感をあらわにしていた。
米国から国連安全保障理事会に禁制品を北朝鮮へ運んだ船舶10隻のブラックリスト化提案があったことがロイタ―が確認している。
該当船舶は「不正な船舶間移送で精製済み石油製品を北朝鮮船舶へ渡した、あるいは不正に北朝鮮産石炭を別の国に輸送した」と米国が同提案内で述べている。■