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The Navy's "Operational" F-35C Is Fully Mission Capable Less Than Five Percent Of The Time 米海軍の「作戦用」F-35Cで任務を完全実施可能な機材は5パーセント以下
A stunning deficiency in readiness rates for Navy and Marine F-35s calls into question whether the stealth jets can fight a prolonged conflict.
海軍、海兵隊のF-35稼働率が驚くほど低く長期戦に耐えられるのか疑問
BY JOSEPH TREVITHICKMARCH 20, 2019
新しく入手したデータで任意の時間に戦闘投入可能な機材は海兵隊F-35Bで15パーセント、海軍F-35Cではわずか2パーセントと判明した。これは平均値であり、少なくとも二年間の実績をもとにしている。各軍で即応体制が問題となっており、2019会計年度末までに80パーセントとする目標の達成が困難になっている。
Project on Government Oversight (POGO)からF-35B、Cのミッション実施率データが2019年3月19日に公表された。元データは海軍航空システムズ本部(NAVAIR)が2016年10月から2018年12月に集計したもの。海軍がF-35Cの初期作戦能力獲得を宣言したばかりで、最初の戦闘部隊は2019年2月に編成されている。海兵隊はF-35BのIOCを2015年7月に宣言済みで、海兵隊戦闘攻撃飛行隊211(VMFA-211)がアフリカの角及び中東地区への投入を終えアフガニスタン、イラク、シリアで米F-35として初めて戦火の洗礼を浴びた。
「POGOから海軍に完全任務実施可能率を尋ねたところ、共用事業推進室からF-35全体で任務対応率は高いとの回答を得た」とPOGOの国防情報センター研究員ダン・グレイジアーが同団体のウェブサイトに記している。「この数字は各機に割り当てた任務で少なくとも一種類が何回実施できたかを見ており、同室からは補修部品不足が最大の要因との回答を得た」
POGO入手の数字はF-35BおよびC型の「コードワン」機体とも呼ばれる完全任務実施可能率だが驚くべき水準だ。海兵隊のF-35Bでは装備システムが全て稼働状態で任務全てを実施できる機体は2年間通じて25パーセントを上回ることがなかったことになる。ことに2017年10月には12.9%に低下し、2018年末には12から13パーセントに終始していた。
NAVAIR VIA POGO
NAVAIR VIA POGO
2018年6月までにロッキード・マーティンはF-35Bを合計75機納入しており、大多数を米海兵隊が受領した。仮に海兵隊が全機受領していれば2018年12月時点で完全に任務実行可能な機体は10機程度しかなかったことになる。これが作戦投入可能と公式に発表後3年の数字である。
F-35Cはもっと悪い数字だ。2年以上にわたり海軍は完全任務実施可能率が20%に達していない。2017年12月時点では連日一機もこの水準に達していない。一年後でも一桁のままだ。C型は28機しかないが、この数字から年間平均で完全状態で任務投入可能な機体は一機あるかどうかだったことになる。
データの信頼性は間違いない。2017年に米会計検査院報告書でF-35Bの完全任務実行可能機の比率は15パーセント未満と指摘していた。
GAO
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NAVAIRはミッション実施可能機比率を参照しがちで、部分的でも可能ならミッション実施可能と判定するが、これでさえ良い数字になっていない。F-35Bで40から50パーセントの間というところだ。F-35Cで2018年8月に一回だけ70パーセントに急上昇しているが説明がつかず、これを除外すればすべて50パーセント未満になっている。
NAVAIRがこうした低い実績を部品不足他の保守整備のせいにするのは理解できる。ペンタゴンのF-35共用事業推進室はメーカーのロッキード・グラマンとともに問題解決に必死になっており、関連経費含め管理状態にしようとここ数年奮闘している。機体単価は3型式すべてで下がってきたが、運用維持経費の上昇が止まらない。
さらにF-35ではクラウド上におくコンピュータ頭脳、自律型補給情報システム(ALIS、アリス)があり、これがうまく作動していない。このシステムで任務立案、整備作業を合理化し、自動診断と故障予測、その他重要な任務機能で大きな合理化を期待していた。ALISも任務実施可能機材比率低迷の一因になっており、実際に故障していないのに部品不良を知らせたり、機体が任務投入可能なのに不可能と示したりする。
USAF
米空軍整備員がラップトップでALISと対話しながらF-35Aの整備を行う
「ALISの不具合解決には相当の時間を費やされ、応急措置が恒常的に発生している」とペンタゴンの運用試験評価部局DOT&Eが2018年度のF-35運用実績考察報告で指摘していた。「例としてALISが出してくる報告が誤りでNMC [Not Mission Capable] と飛行隊稼働管理 Squadron Health Management アプリで表示してきたりする。他方で別のアプリとして利用者整備管理システムCustomer Maintenance Management System,がありこれはミッション必要機能リスト(MEFL)をもとに同じ機体が運用可能と言ってくる」
また米軍が同時進行コンセプトで問題を悪化させたことが重要な点だ。これはF-35生産を増やし多数を調達しながら改修を繰り返し実施していくことを継続するもので、当初は経費節減につながる手法とされ、海軍海兵隊が導入した機材も統一した性能を有さず、定期的に整備施設に行き来し作業を受ける。旧式ミッションシステムソフトウェアを実装した機材で整備が困難となりALISにエラーも増える。旧型機材を最新の状態にする作業は費用対効果が高いとは言えなくなるかもしれない。
2019年3月初めにDefense NewsからALISの信頼性が低いあまり米空軍の教官パイロット、練習生パイロットがエグリン空軍基地、ルーク空軍基地でそれぞれALIS利用を2018年はじめに中止したと伝えていた。その数ヶ月前に空軍からシステムの補修用にMad Hatterと呼ぶ作業を開始下との発表があった。
「その目的はALISの補強だけではない」と空軍の調達トップ、ウィル・ローパーがDefense Newsに2018年2月に語っていた。「運用に当たる整備部門の業務効率を上げる目的もあり、作業がより楽しくなるはずだ」
GAO
ミッションシステムソフトウェアのブロックの違いを2018年2月時点で比較した表。改訂が多数あるので仕様上は数十種類もあることになる。
こうした問題はF-35B、C型だけの問題ではない。米空軍のF-35Aでも同様の事態に直面し2017年年央時点で完全任務実施可能機材は32パーセントをやっと上回る状態だったとGAOがまとめている。空軍も総合ではなく部分的任務実施可能率を使っており、表面上は55パーセントに増やしている。
三軍ともに別々の任務効果Mission Effectiveness指標を用いており、F-35が担当任務を実施できる時間比率を示している。実際の対応率の情報はなく、完全任務実施、部分実施のいずれにせよ任務の割り振りで困難になっているはずだ。
GAO
A chart showing various readiness data on Air Force F-35As and Marine Corps F-35Bs during 2016 and 2017.
USN
F-35Cs in the hangar bay of a supercarrier.
空軍長官ヘザー・ウィルソンは同システムについて「空軍整備部門でこれから生まれる女児にアリスの名前はつかないのでは」と厳しいコメントを空軍協会主催の航空戦シンポジウムで同月に放っていた。
SECAF Heather Wilson hits ALIS, F-35 maintenance system, with wicked crack: “I can guarantee that no Air Force maintainer will ever name their daughter Alice.” #AWS19
だが保守整備、部品不足、ALISあるいはその同時発生だけが原因なのだろうか。F-35Cだけみれば少数の機材がテスト、訓練にあたるだけで、POGO入手のデータでどうしてここまで低い率になったのか理解に苦しむ。IOC宣言をするべくなんらかの操作があったのか。
USNC
F-35B in vertical landing mode.
真の原因がなんにせよ、F-35BとC型の任務実行可能率が特に悲惨な状態であり、海軍、海兵隊の航空戦力全体に影響しかねない広範かつ深刻な傾向を表していないか。2018年初頭に海軍が設定した海軍航空部隊Naval Aviation Enterprise (NAE)の総合任務実施可能率は海兵隊も含め実績は30パーセント近くあった。望ましい水準は73パーセントだった。
だが上記目標と実績は1998年以来低下の一途である。NAVAIRによる支援取組姿勢の変更が海軍海兵隊の固定翼機回転翼機の任務実施可能率を15パーセント変化させた。2010年に海軍と海兵隊は稼働可能基本機材Ready Basic Aircraft の新分類を開始し、一応投入可能な機材をこれであらわすことし任務実施体制をよく見せる効果をねらった。
USN
A chart showing mission capable and full mission capable rates across the entire Naval Aviation Enterprise (NAE) from August 1998 to August 2017.
冷戦終結後の要因が全般的低下傾向に関係している。2011年の予算管理法で自動的な予算カットが2013年に開始され、強制削減として知られ、かえって状況を悪化させ、各軍は予算の制約の中、どの装備を後回しにするか厳しい選択に迫られた。ここで判斷を誤った事で米軍全体で問題はさらに悪化し新装備調達を優先する余り、訓練、整備、補給、稼働状態が犠牲にされた。
近年ではもはや危機的状況にまでなっており、一方で人命事故も発生している。これで当時の国防長官ジェイムズ・マティスも2018年9月に海軍、海兵隊、空軍に対して「必須航空機材」としてF-35各型式含み任務実施可能率を2019年度末に80パーセント以上に引き上げるよう命じるに至った。
F-35で2019年9月30日までにこの水準に引き上げるには奇跡が必要で、完全任務実施可能率の代わりに部分的実施可能率にしても変わらない。ALISによる整備問題が残る中で事態はむしろ悪化の可能性がある。
LOCKHEED MARTIN
From left to right, the F-35C, F-35B, and F-35A.
これが解決してもF-35の飛行、整備に関連する経費問題の解決にはならない。JSFの運用補給面の要求水準が第4世代機より総じて高いため、ステルス機の大量運用は困難との懸念が生まれている。この恐れは特に海兵隊で強く、F-35Bがゆくゆくは唯一の運用機材になるためもある。POGO入手のデータとその他出所のデータを合わせると少なくとも近い将来にこの危惧が現実になりそうだ。
海軍に続き空軍も第5世代機、第4世代機を混合運用する構想を勧めている。このため海軍では高性能のF/A-18E/Fスーパーホーネット改良型を導入しており、F-35Cと一緒に運用する。ペンタゴンのコスト分析専門家の意見により空軍ではF-15X高性能版イーグルを導入してF-35Aの不足を補おうとしている。
USN
F-35Cs over NAS Lemoore in California.
また現状のままだとF-35部隊は長期戦で性能を発揮できないのではないかとの懸念も残る。海兵隊で7機の投入が必要な際に完全に任務遂行可能なのは一機しかない状態でハイエンド、ハイテンポの作戦の場合海兵隊で何機が満足に作戦投入できるのか。さらにF-35には搭載する各システムの機能を「融合」しシナジー効果を期待する。機体の一部システムしか任意の時間に機能しないと効果が大幅に落ちる。
このまま放置すればF-35B、C型で実戦投入した際の効果に疑問が残ったままとなる。これから出るデータは共用打撃戦闘機三型式の実際の性能に関する疑問の解消にはならないだろう。
任意の時間に任務を完全実施できないのなら紙の上で性能を論じても意味がない。■
Contact the author: jtrevithickpr@gmail.com
F-35が万能の切り札だと信じ込んでいませんか。
との機種でも導入初期にトラブルが多いのはよくあることですが、F-35の場合は問題のタチが悪いこと、一向に戦力化できていないことが大きな問題です。さらに記事に指摘あるように生産はしたもののアップグレードが追いつかない状態はこれからも続く悪夢でしょう。
西側世界の防衛を今後30年も背負う(これは無理でしょう)期待の同機が逆に西側の防衛体制を骨抜きにしてしまう...この危惧を以前から感じていましたがますますその感を強めています。