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2019年2月22日金曜日

進展する無人艦システムで今度は米西海岸ハワイ往復航海に成功!

これも無人艦USV技術の進展を示すニュースです。記事にあるように現在のところは補助任務に投入して有人艦の任務を楽にすることが想定されていますが、ゆくゆくは自律運航で海域防衛や対地攻撃に投入される日が来るのではないでしょうか。この技術も今後注目していくべきでしょう。


A Navy Ship Sailed to Hawaii and Back With No One on Board

海軍艦艇がハワイ往復航海を無人で行った
The Sea Hunter, a 132-foot-long self-driving ship, made history by traveling from San Diego to Hawaii's Pearl Harbor and back again without sailors aboard to guide its way. DARPA photo
シーハンターは全長132フィートの自立航行艦でサンディエゴからハワイ・パールハーバーまで無人で往復航行に成功し歴史を作った。DARPA photo
15 Feb 2019
Military.com | By Gina Harkins

長132フィートの小型艦が歴史を作った。サンディエゴからハワイ真珠湾まで往復航行を無人航行したのだ。
自律型三胴構造のシーハンターは対潜対機雷戦用に開発され、1月にサンディエゴからパールハーバーまで航行に成功したとNaval Newsがまっさきに報道した。
随行艦乗員が電気系統、推進機関の点検に短期間乗り込んだとシーハンターを設計建造したレイドスLeidosが発表しているが航行は大部分が無人だった。
「今回の試験航行には米海軍に自律運航技術が開発段階から試験段階に進んでおり、さらに高度の作戦試験に向かいつつあることを示す意義があります」とレイドスの防衛部門社長ジェリー・ファセイノが述べている。
海軍研究本部(ONR)が今回のハワイ往復航行を実施したが安全保障上の理由から取材に一切答えていない。
レイドスで海洋システムを担当するダン・ブリンツィンホファーはシーハンターに代表される自律運航艦は既存艦船を置き換えるのではなく、大型艦乗員に複雑な任務にあてる時間を捻出するのが目的と述べている。
「自律運航艦は『退屈危険かつ汚い』仕事を中心にし、世界各地に投入したい。たとえば自律運航艦で海中測定調査をさせれば有人艦を他任務にあてられる」(ブリンツィンホファー)
シーハンターの就役は2016年で関係者は米海洋作戦運の構図を一変させると話していた。航法ツールと自動監視装置を組み合わせ安全に他の船舶の横を通り、いかなる天候や交通状況でも昼夜を問わず航行可能だ。
.国防高等研究プロジェクト庁が設計と建造を指導し、ONRと組み公海上の試験を行っている。
2018年初頭にONRへ完全移管され、以後「安全保障上で機微な内容の研究」に投入されている。
Sea Hunter USV Reaches New Autonomy Milestone
DARPA photo.

レイドスはシーハンター二号艇の建造中とブリンツィンホファーは認めた。同社は43百万ドル相当の契約が交付され、二号艇ではシーハンターの性能を引き上げるという。
-- Gina Harkins can be reached at gina.harkins@military.com. Follow her on Twitter @ginaaharkins.

2016年4月9日土曜日

★無人ASW艦シーハンターが海上公試へ



いきなり無人艦隊ができるわけではありませんが、重要な一歩になりますね。LCSとの組み合わせで海軍もダウンサイジングになっていくのでしょうか。どうせならもっと小型化して必要な場所に空輸投下して運用することはできないでしょうか。電動化が完成すれば、水中無人機も併せて海上に充電ステーションができれば燃料の問題が克服できます。(ステーションの防護が必要) 人工知能の導入でもっと高度な作戦も将来可能になるのでは。と夢がどんどん広がります。
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Unmanned Sub-Hunter To Begin Test Program

Christopher P. Cavas, Defense News11:59 a.m. EDT April 7, 2016
WASHINGTON ASW対潜水艦戦には忍耐と限界がいつも試される。乗組員はどこまで耐えられるのか。いつまで追跡の主導権を握れるか。原子力潜水艦でない場合は海中でいつまで機関を運転できるか。
  1. そこで無人艦が登場する。燃料という制約条件こそあるが乗員関連の制約はない。小型無人水上艇や水中艇はこれまでも存在しているが、米海軍はこれまでと一線を画した対潜戦連続追跡無人艦Anti-Submarine Warfare Continuous Trail Unmanned Vessel (ACTUV)(排水量145トン、全長132フィート)を開発した。最長三か月洋上で潜水艦探知をめざす。
  2. ACTUVは『アクティブ』と発音し、「高水準の自律運用を実現する」と開発にあたったDARPAのスコット・リトルフィールドが報道陣に語っている。「たんなる遠隔操縦ボートとは次元が違う」
  3. 操縦操艦はコンピュータ制御だが人員が絶えず監視して必要なら操艦を引き継ぐとリトルフィールドは説明した。この方式はスパース監視制御と呼ばれる。
  4. 開発はDARPA国防高等研究プロジェクト庁が当たり、主契約企業はレイドス、建造はヴィガー造船所(オレゴン州ポートランド)が行った。特殊用途の小舟艇の建造が得意な施設だ。
  5. ACTUVは1月に進水し、シーハンターの名称がつきポートランドで公試を行っていたが、本日正式に就役し、今後サンディエゴへ回航されDARPAと海軍研究所(ONR)が二年間かけて構想の有効性とともに各種センサーを試す。
  6. シーハンターは燃料40トンを搭載する。これまでの公試での最高速度は27ノットだったとリトルフィールドは述べているが、海上の状態や燃料の残量で速度は変わる。想定する運用上の海面状況はわずかな波高の第五段階から六段階で波は最高半フィートで風速21ノットとしているが、第七段階(荒天かつ波高20フィート)でも生き残れる。
  7. 船体には複合材が多用され形状はポリネシアの戦闘カヌーのように長細く、両弦に平行してついたフロートが船体を支える。
The Sea Hunter was launched by crane at Vigor Shipyards,シーハンターはクレーンによりオレゴン州ポートランドのヴィガー造船所で2016年1月に進水した。(Photo: DARPA)
  1. シーハンターは武器を搭載せずセンサーで潜水艦を探知追跡する。沿海戦闘艦LCSとの共同運用する構想でLCSのASW装備の一部となるとリトルフィールドは説明。
  2. 試験期間中は取り外し式の乗員操作部をに一名が乗り込み、「安全とバックアップ支援にあたる」とリトルフィールドは説明した。「信頼性の問題が証明されるまで継続して待機する」
  3. DARPA事業としてシーハンターも海軍の作戦用艦艇の試作型の位置づけではないが、そうなる可能性はある。リトルフィールドも「経済的で大量に調達できるものを作る」のが目標だという。
  4. 一号目ということでシーハンターはやや高めの価格がついている。「建造費は22百万ドルから23百万ドルの間になりそうです。量産化すれば20百万ドルになるでしょう。安くはないですが、有人艦艇よりは低価格になります」とリトルフィールドは述べている。一日当たりの運用コストは15千ドルから20千ドルだという。
  5. ただしこのコストには事業経費としての技術開発、設計、ソフトウェア関連は含まれていない。■
A small, removable pilot house is fitted on the Sea小型取り外し可能な操作員用の収納スペースがシーハンターに搭載され海上公試に臨む。(Photo: DARPA)



2016年3月1日火曜日

★米海軍研究部門が明かした新技術開発の最新状況



大脳生理学、学習機能、認知科学と来ましたか。電子技術と医学が融合していくようです。その先には全く違う戦争の在り方が待っているのでしょうか。指向性エネルギー兵器は相当の進展を示していることがうかがえますが、人工知能も同様のようですね。やはり軍用技術が民生技術をリードする形になるのか、民生と軍用の境目がなくなるのか、今後も注目です。
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ONR Winter to Congress: Navy Making Progress on Developing High-Energy Laser Weapons

By: John Grady
February 25, 2016 9:33 AM

高エネルギーレーザー兵器が「大きく進展を示している」と海軍研究部門トップが下院軍事委員会新規脅威対応戦力整備小委員会で2月24日に証言している。

  1. マシアス・ウィンター少将は各軍と国防総省が緊密に連携し効率よく作業が進展していると述べた。ただし、海中での指向性エネルギー利用など海軍特有の課題があると認めた。
  2. 冒頭声明で少将は「技術、戦術を戦略に結び付けることが必須」と海軍での研究内容の性格を述べた。高エネルギーレーザー兵器の例では30キロワット級を150キロワットに拡大する作業が海軍と海兵隊向けに進行中と紹介している。
  3. 海軍は国防高等研究プロジェクト庁と共同で無人水中艇、水上艇を開発中でこれが委員会の関心を呼んだ。DARPA長官アラティ・プラバカーが概要を紹介し、ウィンター少将は無人水中艇をサンディエゴからサンフランシスコまで今年中に試験航行させると述べている。
  4. 国防次官補スティーブン・ウェルビー(研究技術開発担当)は一連の作業をペンタゴンが進める「第三相殺」戦略の一部と述べ、米国の優位性を維持するのが目的と説明した。第三相殺戦略は米国の将来の戦闘能力の「目標」であり、「米国が優位性を維持していく」ことだと述べた。
  5. ウェルビーはこれからの20年間を展望すると「まだよちよち歩きだが根本的な変化」が無人装備の自律運用能力で実現すると発言。
  6. ウィンター少将は自律運用に関し、「今はまだ初歩段階」と述べたが、「大脳生理学に基づく学習機能のモデル化」に期待し、認知人工知能の実用化が近づいていると述べた。
  7. プラバカール長官は「社会行動への理解が根本的に変わる」と予見し、武力紛争の認識自体が変わると述べた。
  8. ウェルビーは「生物学を技術に応用し」製造方法や無限のエネルギー供給など国防総省が「波を乗りこなす」努力を目指していると語った。■


2015年5月28日木曜日

海中無人機はここまで構想ができている。海底に無人補給処を作る




The 7-11 For Robot Subs: Underwater Plug And Stay Hubs

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on May 21, 2015 at 4:51 PM

空港でスマートフォンの充電場所を探すのに苦労したことがあれば、充電場所を海中で探すのがどれだけ大変か想像できるだろう。
  1. 海軍の無人ミニ潜航艇を想定してほしい。中国の人工島を監視しバッテリー残量が減ってきた。現在だと一度陸上基地あるいは水上艦まで戻り充電する。だがもしマイク・ワードロー Mike Wardlawの構想が実現すると、2020年代に海軍は無人海中ポッドを展開し、探知される心配はなく自動的に充電する。同時に収集した極秘情報を海軍の情報ネットワークにアップロードできる。
  2. 「海中のセブン-イレブンになります」とワードロー(海軍研究所FDECOの研究主幹)は言う。FDECOとは「前線配備エネルギー通信拠点Forward-Deployed Energy & Communications Outpost の略。無人潜航艇(UUV)が横付けし、充電し、データをアップロードし、新しい任務をダウンロードして出発する。
  3. 「UUVの制約条件は電力と通信機能だ」とポール・シャーレPaul Scharre(新しいアメリカの安全保障を考えるセンターで20YY戦闘構想を主宰)は言う。FDECOなら両方を解決できる。
  4. 基本的問題は電力だ。大型潜水艦はディーゼルエンジンあるいは原子炉で電力を確保しているが、ロボットミニ潜航艇はバッテリー頼りで重量あたり出力は小さい。そこでUUVで長時間航行すれば船体が大きくなり、それだけ建造費が上昇しかつ敵探知を受けやすくなる。
  5. 課題は通信機能だ。通常無線は水中に届かない。超長波や音波は長距離を伝播するが帯域が狭くなると元海軍次官ボブ・マーティネージ Bob Martinage は説明する。新技術である通信レーザーやLEDを使うと帯域を広くとれるが有効距離が短い。海中にFDECOのような拠点があればマーティネージはいいとこ取りができるという。UUVは短距離広帯域でデータをFDECOに転送するが、その間も充電が続く。次のUUVが到着するまでにFDECOはデータを長距離低帯域手法で送信すればよい。
  6. これで数百マイル先までデータを送れる、とブライアン・クラークBryan Clark(元潜水艦勤務、現戦略予算評価センターでマーティネージと共同研究は言う。
  7. ネットワークを展開場所はどこがよいか。ペルシア湾の限られた水域では真価は発揮しないだろう。米軍や同盟国部隊が手の届く範囲に展開しているから、とマーティネージは言う。北大西洋のように広い海域だと有益だろう。ロシアの動きには要注意だ。だが最も有益なのは太平洋だ。
  8. 先日南シナ海で発生した事態こそFDECOが真価を発揮する機会だ。海軍のP-8ポセイドンが中国の人工島建設状況を監視していたところ、中国は無線で同機に「自国の」空域を退去するよう求めてきた。(国際法では人工島嶼の建設で領有権主張はできない) これ以上の事態にはならなかったが、過去には中国機が米偵察機に迎撃をかけて、危険な接近飛行を置こなている。最悪だったのが2001年の海南島上空での空中衝突で米軍機乗員は11日間も身柄を拘束されている。
  9. 無人システムは文字通り乗員がおらず捕虜になる心配はない。無人水中艇は小さく、通常の潜水艦より探知は困難だ。一方、潜航艇では航空機と同等のセンサーは搭載できないが、ステルス性により政治的に過敏な地帯に潜航していても問題化しないだろう。UUVは見つからずに、また人命を危険に追い込まずにデータを収集し続けられる。さらに複数のUUVを投入すれば終日監視が可能だ。これはFDECOが近隣にあるのが条件だが、航空機では不可能な仕事だ。
  10. 「大量のUUVを一定の場所に投入し続けることは可能。無期限と言ってよいが一部で機械的な補修が必要となるので交代させる必要がある」「UUV部隊を展開し数日間程度の短期間偵察ミッションを行い、回収し、再充電させ、データを送受信させてから送り出すことができば、相当に強力な存在になるだろう」(シャーレ)
  11. ただしFDECOがあってもUUV単独で戦闘に勝つことはできない。現時点での能力は情報収集、監視、偵察ミッションに限定される。そこでUUVを武装しようとすると船体の小ささや操作員との連絡ができなくなることから相当の難題だ。またUUVの速力は相当遅く、水上艦追跡を広い海域で行うのには無理があるとマーティネージは言う。
  12. FDECO支援を受けるUUVで一番使い道があるのは長期監視活動やその他作戦で持続力が速度より重視される場合で、例として機雷除去がある。ではロボット艇で海上封鎖は可能だろうか。「UUVだけで封鎖は困難かもしれない。そのためにはリアルタイムでの個艦制御と攻撃作戦の実施能力が必要だ」「ただし艦船を発見追尾することはできるが、封鎖に当たる別の艦の支援が主になる」(クラーク)
  13. 一匹狼の潜水艦による単独任務は今後は有人潜水艦、UUVを海底インフラにより結んだ部隊が引き受ける。海底インフラには隠蔽式ミサイル発射管も含まれよう。すべてを接続し、その他水上部隊とも連絡し、空中や宇宙のほか陸上も通信範囲に入る。FEDCOの展開には海軍水上艦艇のほか極秘契約の民間船舶を使い、然るべき地点に投入すれば良い。
  14. では海軍はどのように充電通信拠点を海中に展開するのだろうか。FDECO網構築は実際にはまだ開始されていない。
  15. 「事業は公式には2016年度に開始になります。15年度は資金を確保し初期分析活動を開始しました。また艦隊部隊との対話を通じ真のニーズを把握しました。15年度の総合研究から設計内容の評価を行いました」(ワードロー)
  16. FDECOは革新的海軍試作事業の枠組みで海軍研究所が進めており、予算規模は「年間数千万ドル程度」だとワードローは言うが、詳細な金額は明かさなかった。予定では年間に大規模実験2回を行い、さらに大規模の「実証」を2回行うという。「一回目は17年末、二回目は19年末」だという。
  17. 先日は業界向け説明会があり、UUV関連企業を集め、FDECOで必要となる業務の実施を求めた。
  18. 「事態は複雑です。各企業が独自の接続方法を採用しており、各メーカーのUUV充電方法も統一されていません」(ワードロー)ので「機種問わない」充電ステーションで各種UUVへの充電の実現は難問だ。ましてや全機種対応はもっと大変だ。「100%の解決方法にこだわらない」とワードローは言うが、FDECOの設計に柔軟性をもたせ将来の新しい接続方法に対応させるとし、「インターフェイスに焦点を合わせています」
  19. 「UUVは決して安い買い物ではなく、対応した改修をしていくと相当の予算が必要になります」とワードローは述べる。目標はUUVで必要になる改修を最小限に押さえることだが「改修そのものが不要になることにはならないだろう。各メーカーが独自のインターフェイスを持っているから」
  20. ワードローはインターフェイスと構成部品に焦点を合わせているが、その後各要素を単一のシステムに統合していく。そのためFDECOがどんな形状になるのか今は予想がつかない。設置場所により形状が異なるのではというのがワードローの見解でミッションによっても異なるだろう。例えば地中海では小型で通信能力も限定的でいいが、広大な太平洋ではそうはいかない。
  21. UUVがFDECOに戻ってくると双方のコンピュータが戦術データの共有を開始し、人的操作により与えられたミッションと照合させる。FDECOには複数のUUVがデータを送信するのでFDECOは作戦の調整統合機能も果たす。
  22. たとえば「低周波ソナーで広範囲の探索をしたいとする。だが低周波ソナーは高解像度画像では最良の選択とはいえない」(ワードロー)「UUVが低周波ソナーで何かを見つけたとすると、FDECOを介して高周波ソナーを持つ他艦と通信し、フォローアップを頼めば良い。これはほぼ自動的に完了する作業だ」
  23. 映画ターミネーターでは戦略目標による戦闘を自動的に遂行するスカイネットが登場したが、これはそこまでの規模ではない。ただFDECOがUUVの大群を調整すると大きな一歩となりそうだ。その結果戦闘に人間が介在しなくなるのは良いことでもあり悪いことになるかもしれない。■

2015年4月27日月曜日

★敵防空網を低コストUAV多数で突破する新構想



盾と矛の話のようですが、高性能の防空体制が生まれればそれを打ち破る新しい方法も出てきます。高価なミサイルを打たなくてもいいのであればそれに越したことはありません。伝統的にアメリカのほうが攻撃を重視している気がします。

ONR: Swarming UAVs Could Overwhelm Defenses Cost-Effectively

Apr 23, 2015 Graham Warwick | Aviation Week & Space Technology

海軍研究所(ONR)が費用対効果の高い防空網突破手段を2016年度に実証することになった。構想では自律飛行型の小型無人機多数を放出し、敵の防空網を無効にする。
  1. 低コストUAV大量投入技術 Low-Cost UAV Swarming Technology (Locust) の名称がつき、ONRはレイセオン製カヨーテ Coyotes 30機をフロリダ沖海軍艦艇から発射し、各機は即座に集団を形成し、自律的にミッションを実施する。
  2. カヨーテは発射管方式の電動小型UAVでもともとONR向けに高性能セラミクス研究所が製造したもの。同研究所はBAEシステムズに買収され、後にセンシンテルに売却され、レイセオンが同社を1月に吸収した。
  1. ONRはカヨーテ発射実験を3月に数回行っており、自律同調化と編隊飛行の実証を9機で実施済み。集団化実証はONRが運用する試験船シーファイターからフロリダ州エグリン空軍基地の沖合で実施した。
  2. カヨーテは高速発射されると低出力無線で相互通信環境を確立し、位置情報他を共有する。集団内で「親子」関係を作り、主導する一機が残りを従える。
  3. 「各機は相互の位置を把握し、それぞれに今いる場所を伝えるのが通信の目的です」とLocust事業をまとめるリー・マストロヤンニ Lee Mastroianni は語る。
  4. ONRの目標は集団自律飛行だ。「発進後に各機へこちらからは連絡したくないのです」とマストロヤンニは言う。集団を分割して小集団を作るとか一機ずつにちがうミッションを与える命令の送信は可能なので、ISR任務を割り当てることもできる。
  5. カヨーテUAVは消耗品扱いでミッション後の回収はしない。「安く一回きりの使用にして使う効果を上げました」(マストロヤンニ) ONRの目標は単価を1万ドル以下にすることだ。「5千から7千ドルにできたらいい」
  6. 重量12ないし14ポンドのカヨーテは90分まで飛行できる。
重量12から14ポンドの電動カヨーテは90分まで飛行可能で、翼を広げるとこうなる。Credit: Graham Warwick/Aviation Week
  1. 2016年に実施予定の海上発射公試では海中生物への被害を回避するため機体は回収するが、実際には陸上目標に多数の機体を命中させるとマストロヤンニは言う。
  2. 30機のカヨーテを30秒以内に発射し、集団を迅速に形成するのが鍵となる。
  3. Locust実証は「自動飛行への大きな一歩で、自律運航にみんなを慣れさせる」目的があるという。昨年8月の実証ではヴァージニア州ジェイムズ・リヴァーで小型無人水上艇が群れを作り敵船を包囲している。
  4. この技術をすべての艇に搭載することが可能だ。Locustは自律運航技術を確立し、水上、水中、空中問わず応用できると海軍研究部門のトップ、マット・ウィンター少将は見ている。■