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2025年4月19日土曜日

B-1B ランサーが三沢基地に到着、新コンセプト爆撃機任務部隊の初の日本展開(The Aviationist /The War Zone) ―実は2機だけですが、米空軍も実証しているのでしょう。しかし日本メディアは意義が理解できていないようです

 

U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Patrick Boyle

B-1Bランサー編隊が三沢空軍基地に到着、爆撃機任務部隊による初の日本展開となった

First Bomber Task Force Japan

2025年4月15日、テキサス州ダイエス空軍基地所属のB-1Bランサーが、日本・三沢空軍基地に着陸し、爆撃機任務部隊25-2の展開を開始した。 (U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Mattison Cole)

キサス州ダイエス空軍基地所属の第9遠征爆撃中隊の航空機と人員が、2025年4月15日に三沢空軍基地に着陸した。米軍の長距離爆撃機が日本に長期間駐留するのは、ベトナム戦争以来初めてだ。

 B-1Bランサー戦略爆撃機部隊が、インド太平洋地域で数週間にわたる共同訓練演習と戦略的抑止任務を実施する日本への初の爆撃任務部隊(BTF)による展開となり、BTF25-2としてベトナム戦争以来、久しぶりに米国戦略爆撃機が同国領土に数日以上にわたり展開する。

 爆撃任務部隊のコンセプトは、空軍は2018年に、これまでの継続的な爆撃機の海外ローテーション配備に代わるものとして導入した。 派遣期間はさまざまで、数週間から数カ月に及ぶ場合もある。これらの派遣は、搭乗員に戦場での慣熟を提供し、世界のさまざまな地域にいる同盟国やパートナーとの航空機統合の機会を提供する。全体として、戦略的航空戦力を前進させるためのより予測不可能で柔軟なアプローチであると空軍は説明している。


 空軍の爆撃機が日本に到着するのはこれまでもあったが、爆撃任務部隊の配備の一部として日本に到着したことはなかった。


 今年2月、グアムへの爆撃機機動部隊配備に参加するB-1が、「ホットピット」給油のために三沢に着陸した。「ホットピット」とは、地上クルーが給油する間、エンジンを作動させておく方法である。クルーが入れ替わることもある。この戦術は、出撃率を高めるだけでなく、戦闘機への迅速な給油、再武装、新しい乗組員の入れ替えを行い、より早く戦闘に復帰させるためにも有効だ。エンジンを停止させると、起動時に重要な機器に不具合が生じる可能性もある。そのため、特に複雑な航空機の場合は、稼動させ続け、すべてのシステムを稼働させておくことで、その資産をより確実に維持することができる、2024年4月、B-52Hが日本の横田基地に着陸したが、その場合は予定外の緊急着陸だった

 第9遠征爆撃中隊の作戦部長であるクリストファー・トラベルステッド大佐は、「BTF25-2は、米国が脅威を阻止し地域安定を維持する決意を示しています」と述べた。

 2月のイギリス・フェアフォード空軍基地へのB-52配備もBTF 25-2と指定された。BTF 25-1の名称が複数回使用された後、太平洋とヨーロッパのBTFは連続した番号体系を共有しないことが明らかになった。欧州への任務は「Bomber Task Force Europe」と明示的に命名されていたが、2024年以降は単に「Bomber Task Force」と称されるようになった。

 「インド太平洋地域でのこれらの任務は、B-1搭乗員が高度な訓練を受け、いつでもどこでも対応できる態勢を整え、米国の利益を防衛し、同盟国を支援し、すべての国がルールに基づく秩序の下で自由に活動できる安定したインド太平洋地域を確保し、グローバルな平和と繁栄を促進するものです」とトラベルステッド大佐は述べた。

2025年4月14日、テキサス州ダイエス空軍基地から、日本・三沢空軍基地の爆撃任務部隊を支援するため、第9爆撃中隊所属のB-1Bランサーが離陸した。(米国空軍写真)

 三沢基地は、日本の最大島である本州の北端近く、東京から約425マイル北に位置する広大な施設で、航空自衛隊および米空軍・米海軍が共同で使用している。配備されている航空機には、F-16 ファイティング・ファルコンの2個中隊に加え、米海軍のP-8A ポセイドン、日本の三菱F-2、F-35 ライトニングII、E-2C ホークアイ、CH-47 チヌークなどがある。

 三沢は、太平洋空軍の責任領域(AOR)に属する。同基地から、空軍は1億平方マイルに渡る兵力投射が期待されている。この広大なエリアをカバーするのは、B-1のような長距離爆撃機があればはるかに簡単な仕事だ。三沢から空軍の部隊が北朝鮮やロシアに向けた任務に就くこともあり得るが、激しく争われている南シナ海や台湾海峡に比較的近いことは、特に関連性が高い。 これは、中国を抑止するための国防総省の広範な計画の一部である。


 B-1B爆撃機はステルスAGM-158C長距離対艦ミサイル(LRASM)の武装が可能になった。同兵器の導入は、B-1爆撃機がキャリアの黄昏時を迎えつつあるが、太平洋における潜在的危機時の作戦に重点を置きつつ、海洋の脅威に対してB-1爆撃機を使用する方向への傾斜の一部である。

 コールサイン「LOFT 11」と「LOFT 12」で飛行したB-1B爆撃機2機が同基地に到着したことが確認されている。過去のBTFで初期展開後に追加機が派遣されるケースがあったため、実際の航空機数は不明だ。。

 爆撃機任務部隊(BTF)の概念は、迅速前方展開を通じ動的部隊運用(DFE)技術の開発を目的とした2018年の取り組みに遡る。米空軍は、この実践を「戦略的には予測可能だが、作戦的には予測不能」と説明している。

 ただし、この概念自体は、RAFフェアフォードやグアムのアンダーセン空軍基地などへの定期的な展開を基盤として発展したものだ。これらの基地はBTF展開の定期的な受け入れ拠点となっている。

テキサス州ダイエス空軍基地に所属するB-1Bランサーが、2025年4月15日に日本・三沢航空基地に着陸後、滑走路に駐機する様子。(米国空軍写真:エアマン1級マットソン・コール)(米国空軍写真:エアマン1級マットソン・コール)

 日本は、米海軍の航空母艦が米国本土以外で母港を置く唯一の基地を含む、数多くの恒久駐留米軍部隊と装備をホストしているが、これまで爆撃機部隊の派遣をホストしたことはない。これまで遣部隊に所属する航空機は一時的に日本を訪れ、日本軍と共同で運用されたが、同国に長期駐留したことはない。

 米軍の駐留は長年、日本社会で議論の的になってきたが、1955年以来6年間を除いて日本の政府を率いてきた自由民主党(LDP)は、同盟の継続に強く同意している。

 北朝鮮からの地域的脅威に加え、中国政権が推進する拡張主義的な政策は、日米同盟をさらに強化している。2024年、駐留米軍を管轄するインド太平洋軍(INDOPACOM)のサブコマンド「在日米軍」が、任務と作戦責任を拡大した「統合部隊司令部」に進化することが発表された。

 当時の米国防長官ロイド・オースティンは「これは在日米軍創設以来最も重要な変更であり、日米軍事関係における70年間で最も強力な改善の一つとなる」と述べた。新政権はこの分野における政策変更は示されていない。

太平洋でのプレゼンス

現在日本駐留中のB-1Bランサーは、インド太平洋地域に展開中の戦略爆撃機部隊をさらに強化する。一方、ディエゴ・ガルシアでの6機のB-2Aスピリットステルス爆撃機の突然の展開も継続中だ。

 今後数週間で、展開中のB-1Bランサーが示す多様な作戦が確認される見込みだ。これには、太平洋諸国の同盟国航空機や現地展開中の米軍部隊との協力任務、米空軍の国際空域での自由な活動権を行使する「航行の自由作戦(FONOPS)」、および地域内の射撃場での不活性または実弾の投下が含まれる可能性がある。

 欧州のBTF展開と同様に、B-1Bは到着飛行中に韓国上空を飛行する出撃を実施した。この任務には、韓国空軍のF-16とF-35、および米空軍のF-16も参加した。

 B-1がいつまで三沢に駐留し、どこでどのような任務を遂行するかは、時間が解決してくれるだろう。しかし、この初めての配備が、インド太平洋地域とこの地域の同盟国の安全保障に対する米国のコミットメントを非常に意図的に示すために計算されたことは明らかだ。■



Lancer Arrivals at Misawa Air Base Mark First Bomber Task Force Deployment to Japan(The Aviationist/The War )

Published on: April 17, 2025 at 10:40 PM Follow Us On Google News

 Kai Greet

https://theaviationist.com/2025/04/17/first-bomber-task-force-japan/


B-1B Bones Make Unprecedented Bomber Task Force Deployment To Japan

U.S. long-range bombers haven’t been stationed in Japan for any extended period since the Vietnam War.

Thomas Newdick

Published Apr 17, 2025 6:53 PM EDT

https://www.twz.com/air/b-1b-bones-make-unprecedented-bomber-task-force-deployment-to-japan




2024年7月10日水曜日

90年代製のB1-B爆撃機は性能改修を受け、未来の戦争に供用される

 

Air Force Times


B1-B、F-15、B-52など登場時点と比べ現在は新しい機体といってよい

超音速兵器を発射可能となった1990年代生まれのB1-B爆撃機は、改良された兵装庫、通信・戦闘指揮技術、火器管制システム、航空攻撃用の拡張兵器でアップグレードされている。

爆撃機による抑止作戦で韓国との実弾爆撃演習に参加したランサーは、長期運用に備え、空軍によって保存・強化され続けている。

1998年のデザート・フォックス作戦で初めて登場したB1-Bランサーが、最近朝鮮半島上空で行われた米韓共同実弾爆撃機パトロールに参加したことでもわかるように、いまだに未来に向かって躍進を続けているのは、こうした理由からであろう。

B-52爆撃機やF/A-18スーパーホーネット、F-15イーグル戦闘機など、多くの航空機がそうであるように、耐用年数、技術的妥当性、攻撃能力は、数十年前の機体でも、予想される耐用年数を何年も超えて維持・強化することができる。例えば、B1-B、F-15、B-52は、登場した当初と比べれば、今ではほぼ新しい機体と言って良い。これは、電子機器、コンピューティング、兵器、通信技術が陳腐化した後も、機体が存続しうることが多いからである。 多くの場合、機体や航空機の構造を完全に取り替えたり作り直したりすることなく、将来の使用に備えて補強・強化することができる。

B1-B爆撃機は、他の戦闘機に比べると派手さはなく、決してステルス性は高くないが、静かで、しばしばあまり認識されていない「主力」爆撃機として運用されており、例えば、数年にわたるイラク戦争とアフガニスタン戦争では、JDAMを何千発も投下した。

B-1は40,000フィートでマッハ1.25の速度を達成することができ、上昇限度は60,000フィートだ。JDAMを含む各種爆弾を発射する: GBU-31、GBU-38、GBU-54など。また、小口径爆弾GBU-39。

近年、エンジンは性能改修され、照準システムと情報システムも更新されている。新しい統合バトル・ステーションには、搭乗員用ディスプレイと飛行中のデータ共有のための通信リンクが含まれている。

完全統合型照準ポッドと呼ばれる別のアップグレードは、照準ポッドのコントロールとビデオフィードをB-1のコックピットディスプレイに接続する。

B-1はまた、ボムラック・ユニットのアップグレードにより、500ポンドクラスの兵器の搭載能力を60%向上させた。その一環として、空軍はB-1Bの武器格納庫をより多くの武器を搭載できるように再構成し、B-1Bの弾倉容量を24発から40発へ増やした。

一部のB-1は退役したが、空軍の意図的な爆撃機フリート管理戦略の一環として、多数が残っている。新型爆撃機B-21が今後数年間で順次導入されることを考えれば、空軍はB-21が十分な数で導入されるまでの数年間は、実戦投入可能なB1-B爆撃機を維持する必要がある。■

Kris Osborn is the President of Warrior Maven - Center for Military Modernization. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.


How The 90s-era B1-B Bomber Flew Over Korean Peninsula, Surging into Future War

By Kris Osborn, President, Warrior



2021年8月20日金曜日

B-21登場で米爆撃機部隊はこう変わる。B-52はまだまだ供用を続けるが、B-1は順次退役。B-2は?

 


記事ではB-2の言及が皆無ですが、同機に残された時間は短いようです。B-1Bも一気に姿を消すのではなく、機体寿命が残っている機体に優先的に改修を行い、退役が完了するのはまだ先のようです。

 

U.S. Air Force B-21 Raider

米空軍が公表したB-21レイダーの最新想像図

U.S. Air Force

 

B-52はいつまで運用されるのか。B-1Bはどうか。米空軍は戦闘場面で必要となる規模の爆撃機は保有しておらず、数十年間供用を続ける機体もあり、新型機というとB-21のみに限られる。

 

B-21は増産にむかいそう

 

B-21の調達規模は少なくとも145機程度とこれまでよりも増えている。

 

B-21は多様な任務に対応する機体となり、多数の機材が行うミッションを単独でこなせる。

 

空軍にとってB-21は唯一の新型爆撃機であるが、旧式とはいえ新たに性能改修を受けつつあるB-52と併用する方針だ。

 

B-52は 近代化改修で大幅に変わる

 

冷戦時に生まれ性能は実証ずみのB-52は供用期間が最大100年になりそうだ。

 

じゅうたん爆撃で敵の重要地区を攻撃する機能で知られた同機はいまやサイバー攻撃に耐え、EW機能を身に着け、極超音速ミサイルを運用し、デジタルネットワーク化改修を受けた爆撃機となり、新世代の爆弾や精密誘導巡航ミサイルを搭載する。

 

まさしく変身したといってよい。

 

こうした改修が可能となったのも製造後数十年たっても機体構造が堅固なままであるためだ。構造面では一部補強がなされたが空軍の兵装開発部門によれば時の経過に耐えているという。

 

機体以外で今日のB-52は誕生当時と全く別の機体といってよい。改修の範囲はそこまで大きい。

 

B-52は新型最先端かつ先見的技術の搭載で、これからの脅威に対応可能となった。改修作業は数十年にかけ実施され、一度に列挙できないほどだ。

 

B-52戦闘中ネットワーク通信技術Combat Network Communications Technology (CONECT)

 

空軍は同機の通信系統の改修に乗り出し、リアルタイムでの飛行中情報収集機能を実現した。

 

その機能は戦闘中ネットワーク通信技術と呼ばれ、デジタル技術によりB-52で重要なミッション詳細情報を利用可能とした。標的情報の更新、地形データ、敵の活動状況や飛行経路情報が利用できる。空軍は2016年からCONECT導入を開始し、CONECTによりパイロット両名は事前にプログラムした標的ミッション情報に頼らずにリアルタイムで飛行経路を変更し標的に向かい、敵の脅威内容に対応した変更が可能となる。

 

B-52機内兵装庫 Internal Weapons Bay (IWBU)

 

B-52ではエンジン換装以外に重要なのが機内兵装庫の更新で、同機の兵装搭載量が大きく伸びる。

 

IWBUは複数年度かけ実現していくが、レーザー誘導JDAM、共用空対地スタンドオフミサイル(JASSM)、JASSM長射程型の運用が可能となる。兵装運用の拡大では小型空中発射デコイ(MALD)、MALD-Jジャマー型の運用も視野に入る。

 

まさしくパラダイムチェンジとなる改修でB-52は極超音速ミサイル運用も目指しており、マッハ5の攻撃能力が実現する。この極超音速ミサイル搭載への準備段階として空軍はAGM-183空中発射迅速対応兵器を600マイル射程で試射した。B-52はB-21と併用して今後も投入されるが、老朽化してきたB-1ではこうはいかない。

 

B-1Bの行方

 

B-1Bは段階的に運用終了する予定で、空軍爆撃機部隊の構成に興味深い変化が生まれる。B-1Bは多用されすぎ、進展する敵の脅威に対応が困難となると空軍上層部は見ている。

空軍グローバル打撃軍団司令ティモシー・レイ大将はB-2が少数機しかなく、B-1Bの老朽化のため爆撃機不足に悩んでいるとたびたび発言している。

 

B-1Bに極超音速兵器運用を期待するのは同機の供用期間を延長するためでもある。各種改修を行っても同機の老朽化は隠せない。空軍は今後数年でB-1Bを退役させる。

 

B-52、 B-21を併用しつつ B-1Bも残る今後の姿

 

そうなると時の経過に耐えるB-52、新型B-21の併用で空軍は対応するつもりなのだろうか。そうだとすれば、戦術戦略両面、さらに空軍の爆撃機部隊活用にどんな変化が生まれるのだろうか。

related to the arrival of the B-21 stealth bomber. 

一つ考慮すべきはB-21の運用開始がどんなペースで進展するかだ。

 

B-1Bの退場で生まれるミッションの穴はB-21が埋める。無論のこと、ミッションの詳細情報は保安上の理由で不明だが、B-21が異次元のセンサー機能、データ分析、兵装の誘導方法、爆弾投下能力、コンピュータ処理能力、標的捕捉機能を実現してもおかしくない。つまり、B-21がB-1Bが行うミッション多数を引き継ぐ。

 

また長期計画ではB-1Bはすぐに姿を消す前提になっていない。空軍はB-1Bの複数年度改修を実施中で、兵装庫は極超音速兵器対応に改装し、その他エイビオニクス、エンジン、通信系統の改修も進める。■

 

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The Future of US Air Force B-21s, B-52s & B1-Bs

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

 

-- Kris Osborn is the President of Warrior Maven and The Defense Editor of The National Interest --

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master's Degree in Comparative Literature from Columbia University.


2021年4月23日金曜日

B-1B全機が飛行停止措置。アフガニスタン等での酷使がたたっているのか。B-21に後退するまで引き続き活躍が期待されるランサーで重大な問題が見つかり緊急点検が始まった。

 THE WAR ZONE

B-1Bs at Tinker's Maintenance, Repair and Overhaul Training Center

72ND AIR BASE WING PUBLIC AFFAIR—PUBLIC DOMAIN

 

 

イラク、シリア、アフガニスタンと酷使が続いてきた可変翼爆撃機B-1の信頼性が著しく劣化している。

 

4月8日、機体番号86-0104のB-1Bが追加燃料ポンプのフィルターハウジングで異常したまま着陸する事態がサウスダコタ州エルスワース空軍基地で発生した。グローバルストライク軍団の広報部門は予防的措置としてB-1B全機の点検が実施中と認め、今回の事態を受け今週にかけ同型機全機が飛行停止措置に入ったとしている。

 

点検作業は時間経過技術適合命令(TCTO)で行い、各機は点検が終わり次第原隊復帰する。ただし、飛行再開時期は明示されていない。グローバルストライク軍団広報は残る爆撃機二型式B-52、B-2が引き続き各地戦闘指揮官の要望に応えるとしている。

 

USAF

 

86-104号機の緊急点検を翌4月8日に実施したところ、フィルターハウジングに大きな穴が見つかった。このフィルターの取り付け場所はF101-GE-102エンジン外側で、重要な機能を果たす。穴から大量の燃料が流出していた。86-104号機が未燃焼燃料の煙を引っ張って着陸する様子が見られた。燃料タンク自体が加圧されており危険だが、フィルターハウジングが機能しないとパイロットは補助推力、つまりアフターバーナーを使えなくなる。

 

アフターバーナーが利用不能だと推力は大幅に減る。F101の定格推力はミリタリー出力(乾推力)で最大17,390ポンドだ。アフターバーナー全開で30,780ポンドになり、緊急時以外に通常操作でも必要となる。なかでも離陸時には絶対必要だ。B-1はアフターバーナーなしで飛行できない。

 

USAF

B-1Bは離陸時にアフターバーナーを作動させる。

 

 

今回の事態はB-1B部隊でここ数年発生している安全関連問題のひとつにすぎない。また、問題箇所の異常は今回初めて見つかったわけでもない。2018年に86-0109号機でも補助ポンプフィルターハウジング故障が見つかっている。

 

B-21に交代するまでB-1部隊には一時運行停止、大修理、改修が必要と当誌は訴えてきた。なかでも射出座席の故障で緊急着陸を迫られたテキサス州ミッドランドでの事態があった。

 

B-1の売りだった低高度飛行性能でも問題が発生しており、17機が予備機材に指定されており、このままだと2030年代の完全退役まで可動可能な機体は45機になりそうだ。

 

USAF

ジェネラルエレクトリックF101ターボファンエンジンをB-1Bランサーから取り外し、第7整備中隊の上級曹長チェイス・フェレルが点検している。

 

 

今回の飛行停止措置に関し空軍グローバルストライク軍団は次のとおり発表した。

空軍グローバルストライク軍団司令官ティム・レイ大将の指令により、4月20日より安全対策としてB-1Bランサー各機の飛行停止措置が始まった。空軍人材の安全は軍団の最重要事項である。今回の措置は4月8日サウスダコタ州エルスワース空軍基地に着陸したB-1Bで追加燃料ポンプフィルターハウジングの異常が検知されたことへの対応。予防的措置としてB-1B全機で点検を実施し、同様の問題が発生していないか見た。検討を進め、搭乗員の安全確保のため全機の飛行停止措置が必要と判断した。各機は安全が確認され次第、運用を再開する。今回の事態を深刻に受け止め、原因究明を続ける。空軍グローバルストライク軍団隷下のその他爆撃機機材は引き続き世界各地の戦闘部隊支援にあたる。

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All B-1B Bombers Have Been Grounded (Updated)

The swing-wing bombers have become increasingly unreliable after years of constant work over Iraq, Syria, and Afghanistan.

BY STEPHEN WALKER APRIL 22, 2021


2021年2月20日土曜日

B-1Bの退役が始まった。B-21導入のための措置で、ここ20年酷使された機体から退役させる。

  

 

The first of 17 B-1Bs to be retired by the USAF prepares to depart from its home station of Ellsworth AFB in South Dakota. The service fields 62 B-1Bs, meaning that 45 will remain operational once this initial divestment is complete (though four of the 17 will be stored in a reclaimable condition, should they be needed again). (US Air Force)

今回退役対象となった第一陣の最初の機体が配属先のサウスダコタ州エルスワースAFBを

出発した。(US Air Force)

 

空軍でロックウェルB-1Bランサー戦略爆撃機の削減が始まり、ノースロップ・グラマンB-21レイダーの導入に向けた準備が進んでいる。

-1Bの第一期退役機材17機が2月17日、配属先のエルスワース空軍基地(サウスダコタ州)を出発した。

米空軍は同型機合計62機を運用中なので、対象機の退役が完了すると45機の戦力となる。ただし、今回対象の17機中、4機は必要に応じ再復帰できる状態に保存される。

「長年活躍してきた同機を退役させるのはB-21レイダー運用を始めるため」とグローバル打撃軍団 (AFGSC)司令ティム・レイ大将が述べている。「ここ20年間酷使されてきたB-1で疲労摩耗が目立っており、原状復帰させようとすれば機体整備は各機数百万ドルにつく。しかもこれは判明している事象のみの対応だ。今後は退役を加速していく」

米空軍が認める通り、B-1はここ20年間連続して戦闘投入された影響が機体構造面で現れている。現時点でB-1Bの機体再整備には一機につき10-30百万ドルかかるとされるが、実施の場合、B-21導入段階と重なる。

今回対象となるのは機体寿命に余裕がない機材で、レイ大将は「B-1削減は近い将来の戦力増強につながる一歩」と強調している。■

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USAF begins B-1B retirements

19 FEBRUARY 2021 by Gareth Jennings


AFGSC paving way for B-21, begins retirement of B-1 aircraft

By Air Force Global Strike Command Public Affairs / Published February 17, 2021



2020年5月12日火曜日

グアムにB-1BがJASSM実弾を搭載し戻ってきたのは中国へのメッセージ


第7爆撃団が爆撃機任務部隊の展開で即応体制を示した。 PACIFIC AIR FORCES PUBLIC AFFAIR—PUBLIC DOMAIN

ッセージは明らかだ。米爆撃機隊は尻尾を巻いて逃げ出したのではない。ステルスで一撃をいつでも加えられるぞ、と言っているのだ。

「ボーン」B-1がグアム島に戻ってきた。しかもステルスAGM-158共用空対地スタンドオフミサイル(JASSMs)20本とともに、米国の太平洋での戦力を示威する形で。同ミサイルは開戦となれば初期段階で投入される装備だ。

写真ではグアムに展開したB-1BにJASSM実弾が搭載されているのがわかる。B-1Bはスタンドオフ攻撃で米国と同等戦力を有する国の最高度防備標的でさえも狙う事ができる。さらに同ミサイルの後継モデルJASSM-ERが開発中で、完成すれば600マイル地点から攻撃できる。B-1B自体も大陸間横断の長距離航続距離を誇る。

総合すれば相手国には大きなメッセージになり、まさしくこれこそが機体を派遣する目的なのだ。

USAF
珍しい角度の写真でJASSMのステルス形状、赤外線画像センサーがわかる。ミサイルの最終飛翔段階ではこのセンサーで極めて精密な標的捕捉が可能だ。

空軍が10年以上に渡るアンダーセン空軍基地への爆撃機常駐を突然中止したが、B-1Bは米本国から太平洋各地を巡行しており、遠くは南シナ海まで活動範囲に収める。今回はB-1B部隊がアンサーセン空軍基地に戻ってきたが、同地にいつまで留まるかは不明だ。

Aircraft Spots
@AircraftSpots
USAF B-1Bs WHIP01 & 02 departed Andersen AFB, Guam to conduct operations over the South China Sea via separate routes 

USAF KC-135Rs DOLE11 & 12 provided tanker support
米空軍B-1B2機はそれぞれホイップ01、02としてアンダーセンAFBを離陸し、南シナ海で別々の行動を展開した。USAFのKC-135R、ドール11、12がそれぞれ空中給油で支援した。
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2:53 PM - May 8, 2020
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この新しい動きの背景にペンタゴンでよく聞かれる「動的兵力配備」構想がある。つまり戦略機材を予測困難な形で展開することだ。

グアムの滑走路を使う機材は中国との開戦直後に格好の標的になるのが厳粛な事実だ。グアムにTHAAD部隊が常駐しているが、中国は防衛網を圧倒する数の弾道ミサイルで米航空戦力撃滅を狙うはずで、最低でも滑走路を使用不能にする、支援設備を破壊することで航空戦力を使えなくするだろう。

アンダーセン基地への爆撃機常駐を取りやめたのはB-1B爆撃隊を酷使しているのとは無関係のようだ。

アンダーセン空軍基地で巡航ミサイルを爆撃機に搭載することは楽な仕事ではない。同基地は拡張されてきたとはいえ、回転式爆弾倉への兵装搭載用の施設がなく、ミサイルは一本ずつ爆撃機へ搭載する必要がある。この作業に何時間もかかる。


USAF

南シナ海が加熱する中で、ペンタゴンが断続的な爆撃機派遣でメッセージを送ること自体に驚くべき要素はない。太平洋での爆撃機常駐体制は終了したが、世界でももっとも予測困難な地から戦略的に撤退したわけではないことがはっきりとわかる。■

この記事は以下を再構成したものです。



BY TYLER ROGOWAY MAY 10, 2020
THE WAR ZONE