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2016年11月19日土曜日

クウェート、カタール向け販売成立でボーイング戦闘機生産ラインは2020年代まで維持可能になった


ボーイングの粘り勝ちのようですが、商談の正否で生産ラインの維持がかかっていたので、神経をつかう場面が多数あったと想像できます。しかし生産ラインがまだあるのになぜ米空軍はF-15を発注しないのか不思議ですね。予算がない、の一点張りなのでしょうが。

Kuwait, Qatar Deals Move Forward, Likely Putting Boeing Fighter Jet Production Into the 2020s


WASHINGTON —米国務省が高性能ジェット戦闘機売却を承認し、クウェートにF/A-18E/Fスーパーホーネット40機、カタールにF-15QAが72機それぞれ販売できることになる。
  1. 両機種を製造するボーイングに大きな意味があり、生産ラインを2020年代まで維持できる見通しがついた。
  2. この内クウェート案件は101億ドルでE型32機、F型8機のスーパーホーネットを売却する。販売にはF414-GE-400エンジン本体と予備部品、AN/APGアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダー及び兵装システムとして20ミリ機関砲、誘導ミサイル発射装置240式、AN/ALR-67(V)3レーダー警戒受信機45基、 AN/AAQ-33 SNIPER高性能照準ポッド12基、コンフォーマル燃料タンク8基を含む。また必要な支援・ロジスティック業務も含む。
  3. カタール案件は211億ドルで機体と兵装システム以外に米国内における訓練、保全支援装備、ロジスティック支援も含む。同国はF-15とユーロファイター・タイフーンで検討していた。
  4. 国防安全保障協力庁から米議会に対し両案件の内容提示が11月17日になされたと国務省が報道発表した。政府側から議会に海外軍事販売案件を30日以前に通告する義務がある。議会が売却に反対した場合は案件を無効化するか修正する必要が生まれる。ただし、議会からは非公式に案件を承認する動きがすでに出ており、議会側が両案件を阻止するとは見られていない。
  5. 米海軍のスーパーホーネットとE/A-18Gグラウラー購入が2017年度2018年度にかけ予定されており、さらにクウェート向けFMSが実現することで同機生産は2020年代まで維持できるようになったが、ボーイングはさらに販売を伸ばしたいとする。
  6. 一方でカタール案件でF-15生産ラインも2020年代にかけ維持できる。以前は2018年初頭に閉鎖の見込みだった。
  7. クウェートはF/A-18ホーネットを運用中で、カタールはミラージュ2000とアルファジェットをフランスから導入している。
  8. もう一件、バハレーン向けF-16案件は前進がないままだ。■


2014年4月3日木曜日

UCLASSに給油機ミッションまで期待する米海軍の事情とは



UCLASS Could Be Used as Tanker for Carrier Air Wing

USNI News  By: Dave Majumdar

Published: April 1, 2014 An X-47B Unmanned Combat Air System (UCAS) demonstrator conducts a touch and go landing on the flight deck of the aircraft carrier USS George H.W. Bush (CVN-77). US Navy Photo
An X-47B Unmanned Combat Air System (UCAS) demonstrator conducts a touch and go landing on the flight deck of the aircraft carrier USS George H.W. Bush (CVN-77). US Navy Photo

米海軍は企画中のUCLASS無人空母運用偵察攻撃機を空中給油機として運用することでボーイング F/A-18E/F スーパーホーネットを給油任務から解放し、攻撃ミッションを増やせないか検討をしている事が複数筋からUSNI Newsがつかんだ。

  1. 一日の間に5機のホーネットが空中給油機に充てられており、業界筋によれば空母航空隊のスーパーホーネット発進回数のうち2割が給油機ミッションになっているという。.
  2. 更にこの10年間でスーパーホーネット各機の稼働回数はイラク・アフガニスタン戦争により予想よりも高く推移していると海軍は集計している。そのため機体寿命を短くする要因にもなっている。
  3. 海軍航空システムコマンド (NAVAIR) によれば給油機ミッションがスーパーホーネット部隊にストレスを与えているのは事実だが、同機にもともと想定されていたミッションであり、機体設計に盛り込み済みだという。
  4. NAVAIRは期待にストレスが発生するのは空母発進時であり、機体の疲労度と飛行時間を各機ごとに把握しているという。
  5. 各機への影響を最小限とするために給油機ミッションは順番に交替している。
  6. 米海軍はスーパーホーネットの供用期間を2030年ないし2035年まで想定しており、機体の設計寿命は6,000時間という。そこで9,000時間への機体寿命延長が検討されている。これをさらに延長するためには追加作業が必要となる。
  7. 業界筋はそれを額面通りには受け止めていない。2020年代末までにUCLASSが十分な機数だけ配備されている可能性は低く、給油機の任務はこなせない一方、スーパーホーネットの損耗が目立ち始めるはず、というのだ。
  8. 各空母にUCLASSを6機しか配備しないとすれば、その通りだ。UCLASSに情報収集・監視・偵察ミッションに加えて空中給油ミッションを期待することになるためだ。
  9. そうなると海軍は代替策を考えなくてはいけない。業界筋から出た意見はデイビス・マウンテン空軍基地(アリゾナ州)に保管してある退役ずみロッキードS-3ヴァイキングの一部を再稼働させてはどうかというもの。■




貴重なスーパーホーネットの一部が常時タンカーとなっており、それだけ機材が制約されるだけでなく、機体寿命を短くしているというのはお寒い話ですね。UCLASSにタンカー任務まで期待すればコストが上昇するのは必至です。本当にS-3が復帰してくればこれはこれですごい事態ですが。海軍航空兵力の基礎がそれだけゆらいでいるということでしょうか。

2013年8月31日土曜日

スーパーホーネット改修型の売り込み先に米海軍に照準を合わせるボーイング

Boeing Targeting U.S. Navy For Super Hornet Upgrades

By Amy Butler
Source: Aerospace Daily & Defense Report
aviationweek.com August 29, 2013


ボーイングが米海軍に向けてF/A-18スーパーホーネット改修のデモを展開し、導入を働きかけている。

  1. 「もはや海外だけが当社の想定ではない」とボーイングでF/A-18、EA-18G営業を担当するボール・サマーズ Paul Summers は論じ、改修内容は「米国向けに適したもの」とスーパーホーネット、グラウラー担当主管のマーク・ギャモン Mark Gammon は説明する。
  2. 性能改修プロジェクトはF/A-18E/F 「国際ロードマップ」のもと2010年に改良内容のメニューが発表されている。ボーイングはその内容を海外政府向けに説明し、航空ショー他で紹介してきたが、米海軍にも一応義理もあり説明対象にしてきたという。
  3. これまではスーパーホーネット改修は最終的には同機最大の利用客であるペンタゴンに照準を合わせたものと誰かが言おうものなら即座にこれを訂正させてきた。
  4. 国防総省では予算確保で大きな困難な状態にあるが、海軍は同機改修内容に期待しているようだ。ただし予算は未計上だが。海軍からは新造スーパーホーネット一機を貸し出し飛行展示を求める他、ステルス燃料タンクなど設計修正を求める。産業側関係者によると早ければ2016年予算に計上となると見ているようで、実際の予算編成作業は来年の夏になる。
  5. 海軍が同機に関心を寄せるのはF-35C開発で慎重になっていることが理由。海兵隊は2015年12月までに、空軍はその一年後それぞれ作戦能力獲得を予定しているが、海軍は現時点で2019年が予定。ボーイングは高性能改修版スーパーホーネット Advanced Super Hornet なら、エンジン改修、前面ステルス性能、状況把握能力改善でロッキード・マーティンF-35Cに代わる選択肢になると吹き込んでいる。ただし、今回の改修内容は2030年以降に予想される脅威に対抗するものだという。
  6. 改修内容全部を開発しても10億ドル以内で実現できると同社は主張。仮に海軍が新造改修機体を調達すれば、機体単価は56百万ドルとなり、直近の機体単価51百万ドルから10%増えるだけという。(価格には機体、エンジン二基、電子戦装備を含む)
  7. 同社を勇気付けているのがオーストラリア空軍がF-35を先送りし、F/A-18E/F をつなぎ購入する方針を示したのが海軍に影響を与えていることだ。さらに新開発装備は既存機体にも後付装備できる。
  8. 「当社はF-35を意識して特定の技術分野をねらっているわけではなく、購入しやすい価格帯が差別化の最大の要素だ』(ギボンズ)
  9. 飛行テストの対象となる改修内容の一番手は機体上部に搭載する燃料タンク一組と機体中央線に装着する兵装ポッドで、空力特性・レーダー断面積を見る。ボーイングから製造したばかりのスーパーホーネット一機を海軍に貸し出しテストを行う。なお、この機体は合計100ポンドのレーダー波分散塗料が一部に使われている。.
  10. スーパーホーネット改修の大きな目的は低視認性の確保にあり、一体型燃料タンク、兵装ポッドや空気取り入れ口のレーダー探知妨害設計により現在稼動中のスーパーホーネットとの比較で前面で50%の改善効果を狙っている。■


コメント なるほど、F-15SEとアドバンストスーパーホーネット(日本語になっていません)でF-35を挟み撃ちにするのがボーイングの営業政策ですね。いつになるかわからないライトニングIIよりもお手頃な二機種でいいと考える国が現れるのは至極ごもっともなことに思えます。

2013年7月3日水曜日

米海軍の次期艦載機材選びに考慮すべき要因 F-35Cは本当に必要なのか

                              

Defining U.S. Navy TacAir Choices

By Bill Sweetman
Source: Aviation Week & Space Technology
aviationweek.com June 24, 2013
Credit: JSF Program Office



米海軍が将来の航空機構成で決断を迫られている。現行のF/A-18E/F スーパーホーネット、EA-18Gグラウラーの戦術航空機構成をF-35Cに円滑に移行させつつ新開発の空母運用型偵察攻撃UAVを購入する資金を確保できるのか。


F- 35Cの更なる遅延にも手を打つ必要がある。同機はまだ空母着艦能力を実証していないが、着艦フックの設計変更をし2014年に公試に臨む。海軍は初期作 戦能力は暫定的なブロック3Iソフトウェアでは獲得できないとし、ブロック3Fの利用開始を待つこととしたため、開発日程管理のリスクが増えている。 2015年に最小限のF-35B/Cを購入し(引渡しは2017年)、2016年は18機、2017年は28機と順次増やして、2018年以降は40機を 調達する。


一 方でスーパーホーネット購入予定は2014年になく、21機のEA-18Gで組立てラインを維持する。今後の海外販売の動向で生産活動は左右されそうで、 オーストラリアからのEA-18G12機発注が一番確実だが、その他ブラジル、デンマーク、アラブ首長国の動きも目が離せない。海外発注数が増えれば、海 軍にとってF-35のIOC時期確定までのオプションが有効になる。


ボーイングジェネラルエレクトリックよ り高性能版スーパーホーネットの提案があり、F-35Cとの比較で類似点がかなりあることがわかる。F-35の長所はステルス性が高いこと、2,000- lb.級爆弾を2発搭載してステルスモードが可能だという点だが、ボーイングはレーダー断面積削減と電子戦システムで生存性は十分あり、しかもF-35C より安価と主張している。


も ともとF-35Cはスーパーホーネットやグラウラーとの交代を想定していないし、F-35C開発が予定通り進展すれば同機の本格生産は2032年まで続 く。つまりその年がF/A-18 後継機の引渡しが最短で開始する年になる。ただ海軍はスーパーホーネット、グラウラーの耐用年数を延長すべく作業中で、2035年までの供用を実現しよう としている。F/A-18E/F 各機の実飛行時間累計は設計上の6,000時間の3割に相当、と海軍は発表しているが、耐用年数延長で低リスクで9,000 時間実現が目標。


耐 用年数延長には空母運用方法を変更し自動着艦、飛行誘導技術をX-47B無人戦闘航空機システムの実証結果を流用すれば可能だ。共用精密接近着艦システム Joint Precision Approach and Landing System (Jpals) の空母搭載が予定され、期待が高まっている。F/A-18に搭載された同システムの実験ではタッチダウンで縦方向10-12-ft. 横方向 9-in.の着艦精度を実証した。


自 動スロットル制御、飛行制御システムを搭載した機体での自動着艦そのものは米海軍にとって目新しい技術ではない。ただ現状では米海軍の自動着艦システムは レーダーを使用するもので空母の位置を誤って伝え、一機ずつしか誘導できないのが制約条件になっている。これに対してGPS応用のJplasは短距離狭帯 域のデータリンクを使う。


自動着艦は機体寿命に重要な要素で、着艦発艦はきびしいストレスを機体に与えるので耐用年数を短くしてしまうのだ。X-47Bの初の空母発艦を5月に実施し たことから、海軍首脳部から自動着艦への関心が再度高まり、高精度誘導を有人機にも提供し、空母着艦訓練回数を減らし、着艦フックの使用を減らすことが期 待される。現状ではパイロットの技能維持のため訓練を実施している。


そうなるとスーパーホーネット、グラウラーの退役予定は2035年より先になる。これによりジェネラルエレクトリックの新型エンジン提案およびボーイングの 一体型燃料タンクとステルス性能向上策への注目を高めそうで、耐用年数が増えれば投資効果も高まり、同時に運用条件が厳しくなるからだ。ALQ-99ジャ ミングポッドや外部燃料タンクを搭載して大重量高抗力の条件で日常的に運用されているグラウラーでは一体型燃料タンクと出力増の恩恵を受けるはずだ。


海軍は米空軍からの依頼で各種のミッションをこなしているが、両軍で思想の差が浮き出ている。海軍作戦部長ジョナサン・グリーナート大将は米海軍協会紀要 U.S. Naval Institute's Proceedings magazine に昨夏掲載された論評記事に注目している。ステルスの真価に疑いを提起した記事だった。本当に重要なのはペイロードの活用で既存機種の性能を追加することだ。


海軍の対水上艦戦 anti-surface warfare (ASuW) 技術の開発でこの傾向は明らかで、センサー類に加えいわゆる「ネット運用可能」兵装 “net-enabled” weapons がここに含まれ、目標探知と命中に他のセンサーを利用するミサイルを想定している。ただしこれは通信が確立されている場合で有効な技術だ。レイセオン製高性能空中センサー Advanced Airborne Sensor のレーダーが新型ボーイングP-8A海洋パトロール機に搭載されており、海上目標の探知、分類、識別を離れた地点から行い、ネット利用可能兵装にデータを提供する。


新しいASuW兵装には空中あるいは海中発射のボーイングのハープーン、スタンドオフ長距離陸上攻撃ミサイルの後継型もある。その候補となるのがレイセオンの共用スタンドオフ長距離兵器 Joint Standoff Weapon-Extended Range だ。長期的には海軍と国防高等プロジェクト研究庁で共同開発する長距離対艦ミサイル構想があり、ロッキードのAGM-158共用空対地スタンドオフミサイ ルを開発しようというものだが、シーカーはパッシブ方式高周波センサー技術と画像処理赤外線端末センサーを組み合わせている。このセンサーの公試が 2012年5月にはじまっており、今夏には実弾発射試験を開始する。


こういったスタンドオフ兵器ではステルス機の投入は必要なく、発射したあとの兵装はレーダーを使用せずに目標に接近できるので、敵の対空システムの犠牲になる可能性が減る。■




参考 F-35Cと高性能版スーパーホーネットの比較表

F-35C
Advanced Super Hornet
初期作戦能力獲得予想年
2019
2018
2012年度ドル換算取得コスト
$115 million
$88-92 million
機体構成
Clean
CFTs / Weapon Pod
ステルス度
High
Moderate
電子戦有効範囲
Forward aspect X-band
All-round, multi-band
デコイ牽引
No
Yes
作戦空虚重量
34,800 lb.
32,650 lb.
内部搭載燃料
19,750 lb.
18,450 lb.
内部搭載兵装重量
4,700 lb.
2,700 lb.
推定離陸重量
61,000 lb.
55,000 lb.
最大推力(通常)
27,000 /43,000 lb.
29,500 /44,000 lb.
最大推力(緊急時)
NA
35,400 / 52,800 lb.
翼面積(総合計)
680 sq. ft.
500 sq. ft.
翼面積(正味)
376 sq. ft.
400 sq. ft.
推力(通常)、重量比
0.44 / 0.70
0.54 / 0.80
推力(緊急時)、重量比
NA
0.63 / 0.96
翼面荷重(総合計、正味)
90 / 162 lb. / sq. ft.
110 / 138 lb. / sq. ft.
搭載燃料の機体最大離陸重量比率
0.32
0.34
最高速度(マッハ)
1.6
1.6
加速性能 Mach 0.8–1.2
greater than 100 sec.
less than 50 sec.
最大G
7.5
7.5