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2017年4月22日土曜日

米空軍OA-X検討でスコーピオンに注目集まる


スコーピオンはハイスペック志向の米空軍に当初は相手にされていませんでしたが、同機のコストパフォーマンスがあらためて脚光を集めているのでしょう。自己資金でこれだけの機材を忍耐強く作ってきたテキストロンの努力が報われるのか注目したいと思います。

The National Interest


The U.S. Air Force's OA-X: An Opportunity For Textron's Scorpion Jet 米空軍OA-Xでテキストロンのスコーピオン採択になるのか

April 21, 2017


テキストロンは自己資金開発によるスコーピオンを米空軍の軽攻撃機OA-Xに採択される期待を高めている。OA-X事業は米空軍の正式事業ではないが、テキストロンは8月か9月予定の実証事業に参加する。
  1. 「スコーピオン生産仕様二号機は今週初飛行に成功しており、フライトテストを始めます」とテキストロンCEOのスコット・ドネリーが4月19日の投資家向け第1四半期営業報告で述べている。「3月、米空軍が正式に当社によるOA-X軽攻撃機実証事業を承認し、今年夏にスコーピオンとAT-6の比較検証が行われます」
  2. OA-Xは米空軍の調達事業の区分ではなく、現時点では実験の扱いだ。「実験ですが個別独立事業です。空軍はミッション投入可能な機材なのか確かめたいはずです。そこで希望性能を定義し、実証での確認事項を公表しています。各社からの提案が期待されており、当社はスコーピオンとAT-6双方を提案済みです」(ドネリー)
  3. OA-X実証が終わるのを待って空軍は軽攻撃機導入の是非を検討する。「空軍は比較実証で機材の実力を把握し検討の材料にすると公表しており、実機調達はその後に決めるとしています」(ドネリー)
  4. OA-Xはスコーピオンで販売見込みがある唯一の機会である。同社は同機へ海外からの照会があると述べてきたのであるが。「各国との商談は続けます。率直に言って現時点では最重要な相手が日程を設定して実機の飛行を見たいと言っているわけです」
  5. ただし海外顧客も米国で採用見送りの機体購入には腰が重いはずだ。そこで米空軍のお墨付きが付いて米国採用となれば国際販売にも追い風となる。
  6. 「海外顧客からも非常に高い関心が米空軍事業に寄せられているのは米空軍の動向を見極めたいためです。繰り返しますが、海外向け販売商談は続けていきます」(ドネリー)
  7. ただし米空軍がOA-X調達を正式に事業化しても空軍が軽攻撃機調達を途中で中止してきた経緯からスコーピオンには厳しい状況になりそうだ。同機の最大のライバルが同社のビーチクラフトAT-6と言うのはなんとも皮肉なことだ。
  8. 「空軍提示の実証条件、性能要求また実証の確認内容は意図的に幅広くなっており、単発ターボプロップのAT-6からスコーピオンのようなジェット機までが対象です。最終要求内容はゆくゆく教えてもらえるでしょう」(ドネリー)
  9. 一方でテキストロンはスコーピオンに自社資金投入を続け機体のミッションシステム関係の完成を目指す。「飛行可能機材が2機になりました。三号機が最終組立工程に入っています。ミッションシステムズ作業がすすんでおり空軍も実証時に性能を確かめたいと言っています。8月頭までに各機投入可能となります」(ドネリー)
  10. 果たしてテキストロンがスコーピオン導入を空軍に納得させられるのか、同社は大金を溝に捨てることになるかは時が経てば判明するはずだ。■
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.
Image: Textron

2016年10月25日火曜日

テキストロン自社開発のスコーピオンの最新状況


かねてから注目しているテキストロン自社開発のスコーピオンでニュースが入ってきました。米空軍も自ら採用する意向はないようですが、輸出促進のため機体性能の実証を行うようです。いろいろな麺で常識を破る機体ですが今後どう発展するのか、またテキストロンがどこまで自社負担で開発を進められるのか注目したいと思います。まずJane’sが伝えている内容から。

Scorpion jet performs first weapons trials

Gareth Jennings, London - IHS Jane's Defence Weekly
21 October 2016
  
The Scorpion jet seen firing a Hellfire air-to-surface missile during the weapons tests. Source: Textron

テキストロン・エアランドは自社製品スコーピオンで初の実弾空対地攻撃試射をニューメキシコのホワイトサンズミサイル射爆場で10月中旬に実施した。
10月10日から14日にかけて行われた試射ではロッキード・マーティンAGM-114FヘルファイヤII空対地ミサイル、BAEシステムズの高性能精密攻撃兵器システム(APKWS)および非誘導方式のハイドラ70ミリロケット砲弾を試した。地上配備レーザー照準器も初めて使われ、L-3ウェスカムWescamのMX-15Di電子光学赤外線方式 (EO/IR)センサー装置を使用した。
2013年9月に発表されたタンデム複座方式双発機のスコーピオンは各種ミッション用に開発され、対ゲリラ戦、国境監視、海上警戒、麻薬流入阻止、防空用途パッケージをそろえ、機体価格20百万ドル、運航時間単価3千ドルを実現している。
機体中央にはペイロード格納庫を確保し、各種センサーや兵装類を搭載できミッション各種に対応する。また六ヶ所の主翼下ハードポイントもありセンサーの追加搭載、燃料増槽、兵装類を搭載できる。エアーショーではテキストロンG-CLAWやテキストロン/タレス開発のフューリー誘導滑空弾の搭載が確認されている。
同社発表資料によれば最高速度450ノット、実用上昇限度45千フィートでフェリー最大距離4,450キロとなっている。
飛行実証用の機体が一機製造され、量産仕様の機体は間もなく初飛行の見込みだ。■

一方、Defense Newsは次の様に伝えています。


Textron Begins a Limited Production Run of Scorpion Jet, But No Contract Yet

By: Valerie Insinna, October 20, 2016 (Photo Credit: James Way/Defense News)
WASHINGTON —テキストロン・エアランドが量産型スコーピオンの限定生産を開始した。 同型の初飛行は今年末に行われる。同社トップが10月20日に発表した。
同機にはまだ発注がなく、自社資金で完全新規設計の同機を2013年から国際展示会でPRしている。だが同機の兵装運用が実証されたことで今後は関心が高まると期待している。また米空軍も同機の性能を評価することで合意していると同社会長兼最高経営責任者スコット・ドネリーが述べた。
「現在のままなら少数生産を開始し生産工程の実効性を検証できます」(ドネリー)
テキストロンはスコーピオンを高性能だが低価格のISR・攻撃機材として開発した。機体価格20百万ドルで飛行時間あたり経費は3千ドルと同社は発表。ドネリーは初期生産の機数を述べなかったが、生産拠点はカンザス州ウィチタの現有施設をそのまま利用する。これまで二機が同地で完成しているが、量産型とは異なる。
「商談はたくさんありますよ。機体の真価を示す機会がたくさんあると思います。顧客候補は多数あり、限定生産の開始を前倒しします。展示飛行用にも機材が必要ですからね、その後成約を期待します」
少数生産が開始すれば同社の製造工程の実効性も証明でき、米空軍の希望にも応えられるとドネリーは述べた。
空軍は7月に協力研究開発合意Cooperative Research and Development Agreement (CRADA) をテキストロンと締結し、同社負担でスコーピオンの性能検査を行う。その目的は米国防企業の国際販売を容易にすることで該当軍用機は米軍が採用していなくてもよい。ドネリーによると合意成立して急に顧客の関心度が高まったという。
「空軍とCRADAが締結できたことで型式認証へ道が開いたと思います。顧客の動きも活発になっていますよ。そこで同機の性能を実証し、営業活動とフライトテストを活発化させていきます」
耐空性証明がいつ取得できるか明確な日程は不明だが、ドネリーはテキストロン社員はライト・パターソン空軍基地とともにテスト日程、データ検証の詳細を詰めているという。
他方で同社はフライトテストに備え、兵装運用テストを実施しており、ドネリーは量産型機体の初飛行は「間もなく」としている。
スコーピオンは初の兵装運用実証をホワイトサンズ・ミサイル試射場で行ったと同社は発表。L-3WESCAMのMX-15Diセンサーが照射するレーザー誘導でハイドラ-70非誘導型2.75インチロケット弾、BAEシステムズの高性能精密攻撃兵器システム(APKWS)、AGM-114Fヘルファイヤミサイルをそれぞれ発射した。
スコーピオンのテスト並びに生産の前倒で同社負担経費も当初より増え収益を圧迫するとドネリーは認めた。
ただし同機に強い関心を示す顧客が生産開始の段階であらわれれば自社負担リスクは減るし、同社としても営業活動やテストフライトを積極的に進められるとドネリーは述べた。
可能性の一つとして英国の次期練習機があるとテキストロンエアランド社のビル・アンダーソン社長はDefense Newsに7月に述べていた。今年の夏にタレスはキネティックQinetiQと合同でスコーピオンを練習機機材に選定した。キネティックの広報資料によればスコーピオン選定の理由は高性能、信頼性がありながら機体価格が低いためとしている。■

2015年9月24日木曜日

T-X>テキストロン・エアランドはスコーピオン改修案を断念した模様


T-Xで米空軍は相当の高性能機を求めているようです。T-38の正常進化なのかもしれませんが、予算が厳しい中でそこまでの高等練習機が必要なのでしょうか。有事には軽戦闘機として投入可能な機体が本当は必要なのでは。その意味でスコーピオンには期待していたのですが、製造元もT-Xには新規設計機でないと太刀打ちできないとわかったようです。

Textron AirLand Considers Clean-Sheet T-X Offering

By Aaron Mehta 3:32 p.m. EDT September 21, 2015

Textron AirLand Scorpion(Photo: Textron AirLand)
WASHINGTON —テキストロン・エアランドが米空軍向けに次世代練習機案を提出する場合は完全新設計機とし既存のスコーピオンの改修案にはならないと同社幹部がDefense Newsに語った。
  1. 社長ビル・アンダーソンは先週の取材でスコーピオンはISR・攻撃兼用の機体であり、「T-X候補にできない」と軍の要求性能を念頭に語っており、同社としてT-X受注には「新設計機が必要」と述べた。
  2. これは一年前の方針からの変更だ。同社はスコーピオン改修で競合に勝てると考えていた。改修案では主翼を小型化しつつ強化し、空力特性も改良し、エンジン推力を増加させるとしていた。
  3. T-X事業で空軍はT-38後継機として350機を調達する。契約企業は2017年下半期に決める予定だ。
  4. T-Xの要求内容がどれだけ変わったかを見るには、同社の軍用事業開発担当副社長スティーブン・バークの発言に注目されたい。
  5. 「空軍は未知数の機体には全く興味を示しておりません。当社としては実際に飛行可能な機体を訓練用途の目標に合わせます」
  6. その後ノースロップ・グラマン主導のチームはホーク練習機を基にする案を中止し、完全新型機開発に切り替えた。一方、ジェネラルダイナミクスアレニア・エアルマッキM-346練習機を原型とするT-100提案で主契約企業を断念した。
  7. 今度はテキストロンが新型機案に切り替わろうとしている。
  8. アンダーソンは「空軍の最新要求は高性能機を求めている。スコーピオンは多用途機だがISR・攻撃用途に特化しており、要求内容を検討してみたところ同機の改修では追いつかないことがわかった」としている。
  9. ただし同社が新型機設計に踏み切るとしてもスコーピオンで得た製造設計上の「教訓」が参考になるとアンダーソンは言う。ただし同社がこのまま競作に残るかは最終要求内容次第だという。
  10. 「教訓をもとに新型機をT-X候補として売り込むとしても、空軍が要求内容の最終版を固めて予算手当もつけてからの話でしょう。当社としてこのままT-X競合に残る決定をするのは今の段階では困難です
  11. 「事業に関心を払っているのは事実です。会合はすべて出席しており、進展を都度追っています。空軍からも情報開示の要望が多々あり、空軍とは率直な意見交換をしています」
  12. スコーピオンはもともとISR機として設計しているが、軽攻撃用途にも転用できる。同社によればスコーピオンの一時間当たり運行コストは3千ドルで、モジュラー化したペイロード運用を想定しているという。
  13. スコーピオン試作機の累計飛行時間は500時間を超え、テキストロンは二号機の製造を始めようと準備中だ。二号機にはパイロットや技術陣のフィードバックを反映した設計変更として着陸装置の重量軽減化や主翼形状を変更するとアンダーソンは言う。
  14. 「現行設計をさらに洗練させるものです。普通の人にはどこがちがうのかわからないでしょうね」
  15. 一方で同社は引き続きスコーピオン最初の導入先を模索している。アンダーソンは具体的な国名は話さないが、前向きな感触が得られたといっている。
  16. 購入に手を挙げる動きがないまま、スコーピオン開発をどこまで自社負担で続けるのか聞かれてアンダーソンは現在の状況に「非常に満足している」とだけ答えた。
  17. 「時間はかかりますよ。テキストロンは生産仕様の機体製造を真剣に考えており、事業に自信を持っていることのあかしです」■



2015年5月4日月曜日

米印防衛協力>スコーピオン最初の購入国はインドになりそう ただし商談は高難易度


日米にとってインドは重要な安全保障のパートナーになりそうですが、うーん、インドの官僚制度としたたかな態度に米側も相当苦労している様子ですね。US-2輸出でも日本は相当覚悟するべきではないでしょうか。スコーピオンに関心を示していた亡国とはインドだったのですね。

Carter to offer Scorpion to India under joint development plan

Rahul Bedi, New Delhi and James Hardy, London - IHS Jane's Defence Weekly
30 April 2015

  
Industry sources in India say the US may offer the Textron
アシュトン・カーター国防長官は6月にインドを2日間訪問し、二国間戦略防衛協力のレベルを引き上げるとインド国防関係者がIHS Jane'sに明らかにした
  1. カーター長官は10か年の米印防衛枠組み協定に調印し、防衛貿易技術協力構想Defence Trade and Technology Initiative (DTTI)の早期実施でも合意形成し、二国間共同開発・生産をインドで進める。
  2. DTTIはカーターが国防副長官時代から進めてきたもので、米国はテクストロン・エアランドのスコーピオン軽攻撃偵察情報収集機をインドに提示するものとみられる。同機はインド空軍採用を目指し開発中。
  3. インド空軍司令官アルプ・ラハ Arup Raha 自身がスコーピオンに関心を示したといわれ、複座の同機は中間ジェット練習機(IJT)としても使える。インド空軍(IAF)でIJT機種が不足しているのはヒンドゥスタン・エアロノーティクス・リミテッド(HAL)のシターラ機開発が2005年から進んでいないため。
  4. 2014年のファンボロ航空ショーでテクストロン関係者からIHA Jane’sにスコーピオンの機体単価は20百万ドル未満、一時間当たり飛行費用は3千ドルとの説明があった。あわせて海外向けに2千機の販売目標があると述べていた。ただインドへの販売可能性についてはコメントを避けていた。
  5. バラク・オバマ大統領は1月のインド訪問の際に防衛枠組み合意を共同軍事演習や相互運用性の実現、情報の共有、対テロ対策、海洋監視協力で引き上げると認めていた。
  6. あわせて両国の軍部、防衛関係者高級レベルの相互訪問の頻度を引き上げる。
  7. 駐インド米国大使リチャード・ラフル・ヴァーマ Richard Rahul Vermaによれば両国は77項目のフォローアップをしているという。各項目はオバマ訪印を機にまとめられたもの。「再構成あるいは新規の30項目と別に30項目の対話をしている」というが、詳細は語らなかった。
  8. 関係者によればカーター訪印時にはDTTI枠組みで米国が約束した先行事例4項目の技術内容の進捗を検討するという。
  9. その対象のひとつはエアロヴァイロンメントRQ-11レイヴン無人機の共同開発、共同生産で、ロッキード・マーティンC-130J-30輸送機も対象だという。.
  10. 残る二つは機動性電気ハイブリッド動力mobile electric hybrid power systems (MEHPS)と核・生物・化学戦対応の戦闘服だという。
  11. 今年に入り作業部会がふたつ結成されており、航空機エンジン開発と電磁航空機発進システム(EMALS)が題材で長官訪問の機会に進捗を点検する
  12. カーターからはインド側に総額25億ドルの装備調達契約の早期締結を求める方向で、ボーイングAH-64Eアパッチ22機、ボーイングCH-47Fチヌーク15機がその内容。調達交渉は2013年末にすでに終わっている。.
  13. ボーイングは6月末までは両機種の価格据え置きを認めているがその後は無理との連絡がIAFに入っているとみられる。業界筋によればボーイングが価格据え置きで商談を維持するのはこれで9回目だという。
  14. インドの防衛調達手順Defense Procurement Procedure (DPP)では交渉集結案件で価格改定が発生した場合は入札やり直しとなる。■

2014年8月27日水曜日

スコーピオン練習機型も提案するテキストロンエアランド社


何かとスコーピオンが注目されるのは明確にMarket-Inの思想を実現した機体であるためでしょう。新興国含む各国への採用が本命のようですが同機は決して途上国向けの機体ではなく、各国も空軍装備として合理的に同機を検討すべきなのではないでしょうか テキストロンエアランドは人道救難、国境監視含む多様なミッションが可能と宣伝しています。 www.scorpionjet.com


Textron AirLand Developing Scorpion Trainer Variant

Aug. 26, 2014 - 11:47AM   |  
By AARON MEHTA   |   
Textron AirLand is planning to develop a trainer variant of its Scorpion aircraft to compete for the US Air Force's T-X trainer replacement competition, as well as international markets.
テキストロンエアランドはスコーピオンを練習機に改造した機体を企画中で、米空軍のT-X競技に参加する意向のほか、海外販売を目指す。 (Textron AirLand)

CHICAGO —テキストロン・エアランドTextron AirLandはスコーピオンを改良し米空軍のT-X次期練習機の提案競争に参入する意向と分かった。同社は海外販売も視野に入れ、練習機需要を取り込みたい考えだ。なお、スコーピオンの成約例はまだない。
  1. テキストロン幹部が回答を避ける中で同社防衛事業開発担当副社長スティーブン・バーク Stephen Burke,regional vice president for military business development の発言が際立って明瞭かつ直接的だ。

  1. 「当社はT-Xに参加します」とDefense Newsに8月23日州軍協会の年次総会(シカゴ)で語っている。

  1. スコーピオンは情報収集監視偵察機能(ISR)に攻撃能力を付けた機体。昨年9月の発表以来、テキストロンはモジュラー構造を特徴だとして強調しており、バーク発言では練習機型を言及している。 「モジュラー構造により簡単に必要な性能に応じた機体に改造でき、T-Xの性能仕様にも対応可能です」

  1. 練習機型も双発、二枚尾翼と言うスコーピオンの基本設計を継承するが、主翼が短縮化され空力学的にも洗練されるほか、エンジン推力も増加する。「ISRミッションでは偵察時間が長い方がよいですね。でも一回2時間の訓練課程では性能と燃料消費率の関係がが違ってきます」(バーク)

  1. T-Xの性能要求は空軍から2016年後半に発表される見込みだ。それまではテキストロンとしてはまず練習機型を完成させて実際に飛行する予定。T-X競合の勝者はT-38練習機に代わる350機を製造することが認められるはずで、契約規模から数社が関心を寄せている。

  1. 練習機として既存機種三機がT-Xに名乗りをあげそうで、このうちBAEノースロップ・グラマンL-3シミュレーションロールスロイスが共同で設立したホーク高性能ジェット練習機システム以外に、ロッキード・マーティン韓国航空宇宙工業製T-50を、ジェネラルダイナミクスアレニア・アエルマッキと共同でT-100 を推している。

  1. ボーイングサーブとともに「完全新設計」の機体を作ると発表している。詳細は不明だが、両社はサーブ・グリペン戦闘機を原型にするものではないとしている。

  1. 「空軍はこのために全くの新型機を開発させようとは全く思っていません。そこで当社は既存機でも練習機の要求に合致していることを示すつもりです」

  1. 一方でテキストロンは同機の第一号顧客を探しているが、バークによれば真剣な商談が数件進行中といい、別の関係者も海外受注数件でローンチカスタマー複数が決まるとみている。

  1. フロスト&サリバンのアナリストであるマイケル・ブレイズMichael Blades, an analyst with Frost & Sullivanは練習機型でスコーピオンの販売はプラスとみている。モジュラー設計により基本機種を装備なしで販売すれば、米国の国際武器取引規則 International Traffic in Arms Regulations の規制を受けない。
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  1. またフロスト&サリバン作成の資料では練習機需要で今後も大きな伸びはないとしているので、コストが重要な要素だとする。テキストロンの説明ではスコーピオンの飛行時間当たりコストは$2,700でターボプロップ練習機T-6の$2,200に近い。「プロペラ機に近いところまでコストをさげられたら大きな利点になります。狙いどころは正しいとみています」(ブレイズ)

  1. バークも海外市場では同じ機体を練習用、軽攻撃用の両方に使う傾向があると指摘する。「軽攻撃機で練習用途にも使える機体だと強調しています。同じ機体で練習と攻撃の両方に使えれば、お買い得感があり、軽攻撃専用機はこちら、こっちは練習用専用機と売り込んできたやり方は変わりますね」「そこが市場のおいしい部分になり、事実、当社の狙いどころが正しいとのコメントが海外顧客から返っています」

  1. スコーピオンチームはテキストロンの広範な製品群も活用している。スコーピオン営業には同社のTRU Simulation部門によるシミュレーションも抱き合わせで提案し、同社のこれまでの整備分野の経験から有効な解決策も提供できるという。■

2014年8月11日月曜日

スコーピオンが州軍演習に参加 なかなかたくみなマーケティングで能力を実証




In a Marketing Coup, Scorpion Joins Guard Exercise

Aug. 7, 2014 - 02:57PM   |  

By AARON MEHTA   |   Comments
The Textron AirLand Scorpion doesn't yet have a buyer, but that hasn't stopped the plane from taking part in a major National Guard training exercise this week.
テクストロン・エアランドのスコーピオンが州軍演習に参加したが、まだ一件も成約がない。 (Textron)

WASHINGTON テクストロン・エアランドの新型機スコーピオンはまだ一件も発注がないが、大規模な州軍演習に参加している。
  1. 情報収集監視偵察(ISR)に攻撃能力を付与した同機がヴィジラントガード2014演習に参加し画像中継を空中から送った。各地の州軍部隊がカンザス州に集まり、緊急事態対応を想定した演習を行っている。
  2. 正式採用されていない機体が演習に参加できた理由は何か。実は同社が勘定を支払ったためだとポール・ウィーバーPaul Weaver(州軍航空隊元司令官でスコーピオン開発顧問)は明かす。またカンザス州はスコーピオンの生まれ故郷でもあることも背景にある。同州軍務局長は同機の性能の説明を受けている。
  3. そこで州軍とテクストロン双方がスコーピオンの参加で恩恵をうけることとなった。州軍はテクストロン負担で演習の全容をビデオ記録を手に入れることができ、スコーピオンは7時間にわたりミッションを実施し、地上司令部に監視映像をストリーミング提供したという。
  4. テクストロンは同機のISR能力を実証できた。同社はスコーピオンが州軍の要求水準を見たしているとし、州軍が同機導入に動くことを期待している。
  5. 「これ以上に良い話はない。スコーピオンの最先端ISR能力をご紹介しつつ、運用費用が安上がりになると説明できた」(ウィーバー)ウィーバーによれば今回の飛行経費は一時間2,700ドル平均だったという。
  6. 「双方にとって利益が出る話だ。当社は三日間にわたり実証の機会を得て、それ以上の成果が出たので満足している」.
  7. ただし一機しかない実機を各州の高官ならびに米北方方面軍司令官チャールズ・ジャコビー大将が見守る大規模演習に送り出すのはリスクがあることではないのか。
  8. 「失敗したらどうなっていたか。うまく作動しなかったら。そんな心配をするのは非生産的pushing a wet noodle uphillだ。逆にどれだけ当社が機体に自信があるのか、ISR性能でも自信があることの裏返しですよ。決めるのは皆さんですが、当社に任せてもらえれば相当の仕事ができますよ」とウィーバーは笑いながら言う。
  9. またテクストロンとしても演習を支援できてうれしいという。「今後の演習にもお招きいただけるのではないか」
  10. スコーピオン開発にとって今夏は大きな転回点だった。まず公開されて一年足らずの同機は大西洋を渡り英国航空ショーに展示され、各国の空軍トップにまじり米空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将はじめとする米国代表も同機を視察しテクストロン関係者と話している。
  11. 広報で次のイベントは全米州軍協会 National Guard Association of the U.S. (NGAUS) の総会がシカゴで8月22日23日にあり、ブース展示になる。
  12. 続いて空軍協会総会がワシントンDC郊外で開かれ、ウィーバーによればスコーピオンをレーガンナショナル空港で展示する段取りがついているという。総会会場からは至近距離である。また軍高官やNATO空軍関係者向けの視察も準備しているという。■


2014年7月18日金曜日

ファーンボロショー:低コスト新型攻撃・ISR機スコーピオンは時間かけて熟成していくのか


ファーンボロでテキストロンが自社開発したスコーピオン攻撃・偵察機が展示されているようです。Aviation WeekのAresブログでその内容が紹介されていますが、なかなかよくできた機体のようです。今後要注意の機体になるかもしれません。

Sting In The Tail

Jul 17, 2014by Bill Sweetman in Ares

テキストロン・エアランド Textron Airland のスコーピオンを初めて写真で見ての印象は芳しくなかった。タンデムコックピット、傾斜つき尾翼2枚、細い直線主翼はまるでセスナ・サイテーションがスーパーホーネットのコスチュームをかぶったようだったハロウィーンのようだった。
  1. 同機はふたつの機種の中間に埋没するのではと思った。軽攻撃機AT-6やトゥカーノに比べて生存可能性がすば抜けて高いとはいえず、偵察用では特殊任務用キングエアと同じセンサーを搭載するが機体価格・運用費用は高くなり、後席の兵装システム運用員は相当忙しくなるはずだ。

  1. ファーンボロ訪問前にテキストロン・エアランド社長ビル・アンダーソンBill Anderson と設計主任デイル・タット Dale Tuttと話す機会を作った。スコーピオンは以下の点を考慮して生まれた機体だ。スリップストリームが迎角が大きい時に尾翼を覆う問題から胴体は幅広とし、二枚の尾翼は合計重量が一枚構造より軽量にしてある。

  1. スコーピオンは決して小型機ではない。最大離陸重量が21,250 lb.(約9.6トン)で機体寸法はアレニア・アエルマッキM-346あるいはセスナ・サイテーション・エクセルと同程度、9,300 ポンド(約4.2トン)を搭載でき、地上高も確保している。ジェット機なので速度と高度飛行能力はAT-6やキングエアの比ではないとアンダーソンは指摘する。

  1. キングエアやAT-6もテキストロン製品だが、スコーピオンは競合しないという。まずスコーピオンの機体価格は目標が20百万ドルで飛行時間コストは3,000ドルである。現在は戦闘機を投入しているすき間的ミッションがあるが、高価な費用を投入した空対空戦闘能力や生存力はまったく使う余地がないままになっている。

  1. テキストロン・エアランドでは「軽攻撃」という呼称は避けている。アンダーソンによればミッションはあくまでも情報収集監視偵察(ISR)および攻撃となる。むしろ「従来とは異なるISR」“non-traditional ISR” だとし、イラクやアフガニスタンで戦闘機が投入されていたミッションだという。「帰国したA-10パイロットに聞いてみた。被弾したか。なし。兵装を投下したか。95%のケースでなし、だった」とアンダーソンは言う。「A-10やF-16を投入すれば、一時間1万8千ドルかけて、高性能機の寿命を浪費するだけだ」

  1. アンダーソンはミッション例を列挙する。いわく、麻薬密輸対策、武装偵察、国境警備。搭載センサーが新型であり以上のミッションを高度15千フィートから実施できるので、通常の対空火砲から安全に飛行できる。スコーピオンは被弾しても耐えられるが、そもそも強固な防空体制に侵入する設計ではない。

  1. 機体は容積82cu ft.(約2,300リットル)の冷房・電源装備の兵装庫を中心に設計している。広胴型の機体は断面積は洋ナシ型で兵装庫の両側に竜骨が通り、下方の機体表面は自由に変更できる構造だ。兵装庫の扉が同機のISR-攻撃ミッションのカギとなり、大型特殊センサーを搭載可能で樹海透視型レーダーや広範囲監視システムが搭載できる。コックピットではタレス製低価格ヘルメット搭載型ディスプレイを採用し、このディスプレイもスコーピオンと呼称される。

  1. 胴体中央部はビーバーの尻尾のようにエンジンナセルの間で先細くなっている。空気取り入れ部のタクトは十分長くとってあり、異物の混入から守り、ジェット噴射口も長いため赤外線探知をしにくくしている。降着装置は全長を長くとってあり、兵装庫の搭載物入れ替えに便利だ。主翼には差左右各3か所にパイロンがあるが、不都合なほど高い位置にはならない。生産型の機体には空中給油装置もつけられる。
  2. タンデム構造のコックピットは国際市場で並列型より人気が高いとアンダーソンは言うが、タットからここにスコーピオンのもう一つの特長があると説明があった。コックピットがモジュラー構造になっており、タンデム式を単座に簡単に変えることができ、将来は無人型にもなる。その際は主翼を延長し、エンジンは小型化できるという。それとは別に量産型機体には尾部にスピードブレーキがつくが、かわりにアンテナを増設することを希望する顧客もあるだろう。

  1. 大きなフラップにより短距離離着陸が可能だ。スコーピオンは2,000フィート(約600メートル)あれば不完全な滑走路でも最大離陸重量で運用可能だ。飛行制御系はサイテーションXと似ており、二重油圧系とサーボタブを使った手動復帰がある。全体としてシステム設計はサイテーションと「99パーセント」同じだという。専用の地上支援設備は不要で、機内に酸素発生装置を搭載し、機体左側に搭乗用はしごも折りたたんで搭載している。

  1. 賢明にもアンダーソンは同機の販売予定を期日を未設定のままとしている。「初期段階ですでに照会があり、順調に進んでいる」とし、来年のパリ航空ショーまでにどこまで具体化するか関心あるところだ。■


2014年4月16日水曜日

新型軽量攻撃機スコーピオンの国際デビューは7月か


重厚長大な支援攻撃機の代替策としてテクストロンが提案しているスコーピオンが国際デビューする可能性が出てきましたが、肝心の米空軍は同機をシカトしているようです。

関連記事 http://aviation-space-business.blogspot.jp/2013/12/blog-post.html?view=timeslide

Scorpion Eyed For RIAT, Farnborough Debut

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
Source: AWIN First
aviatonweek.com April 14, 2014
Credit: Textron

テクストロンはスコーピオン軽攻撃偵察機の試作型を7月の英国国際航空タトゥー(RIAT)およびファーンボロ航空ショーに送り、国際お披露目を図る予定だ。
  1. 「ファーンボロは国際展示会としてスコーピオンにうってつけと考えています」とテクストロン広報は説明するが、出展は決定事項ではないという。
  2. スコーピオンは完全失設計の軽量攻撃偵察任務機で武装ターボプロップ練習機とジェット高性能戦闘機の隙間を埋める機体としてテクストロンが企画したもの。同社の目標は運航コストを一時間当たり3,000ドルとすることで中小国の空軍に訴求力を持たせること。
  3. テクストロンとエアランド(スコーピオン専業で設立した小企業)が実証機組立を介したのは2012年1月で、初飛行を2013年12月に実施している。その後、テスト飛行は60時間を超えている。同機の存在は昨年9月にAviation Weekが初めて報道している。.
  4. 同社は米空軍にも同機導入を期待しているが、いまのところ海外販売がせいぜいである。同機のフェリー飛行距離は2,400 nmなので北回り空路をとり、英国に到達するまでに数回給油のため着陸を余儀なくされるだろう。■



2013年9月23日月曜日

テキストロンが製作中のスコーピオンは既成概念を破る機体になる予感

Textron Unveils Scorpion Light Attack, Recce Jet

By Amy Butler
Source: Aviation Week & Space Technology
 
aviationweek.com September 16, 2013
Credit: Textron

ペンタゴンに対して民間会社から国防総省が要求していない性能をまったくの新規機体として提案するのは相当の勇気が必要だろう。ましてや国防予算そのものが大幅な削減を受けつつある中では。
  1. だがこれこそ新しく生まれた共同事業体としてテキストロンと新興企業エアランドエンタープライジスAirLand Enterprisesが行おうとしていることなのだ。テキストロンはセスナビジネス機で知られる企業であり、ベルヘリコプター事業も長年にわたる回転翼機の経験がある。そして提携先エアランドは投資家数名によりできた企業で退役国防関係者も巻き込み軽量攻撃機の新しいコンセプトを実現するべく発足した。
  2. 予算状況が厳しい中で同事業体は新しい機材、複座双発のスコーピオン構想の有効性を示す必要がある。自己資金による同機は9月16日の空軍協会年次総会で発表され、このたびAviation Weekは関係者から詳しい内容を独自に知らされた。
  3. スコーピオン実証機は米空軍が求める低価格低運行コスト機材の要望に応えるもので5時間にわたり情報収集監視偵察(ISR)任務や兵装を搭載しつつ飛行して、空軍が想定するローエンド任務(米国からの阻止行動、自然災害への緊急対応、領空パトロール)に対応する。目標は飛行時間あたり運航コストを3,000ドル以下に抑えることだ。ただし同社は機体価格の目標水準は明らかにしていない。ペンタゴンからは類似ミッションの多くをこなすF-16の時間当たり運用コストは24,899ドルと公表している。
  4. アフガニスタンとイラクではF-15、F-16、A-10]が引き続き近接航空支援に投入されており、まったく制空権で心配のない環境で作戦が実施中だ。これでは過剰投入との声が出ている。また各機の高速度飛行性能、高G機動操縦性もこれらの戦場では使い道がなく、単に爆弾を投下するか地上部隊に上空監視を提供するだけだ。
  5. 「軍はハイエンドに関心を集中させています」とF-35調達で既存機種の多くを代替させようとする米空軍の動向を表現するのがテキストロンCEOスコット・ドネリー Scott Donnelly は語り、「だから需要があるのであり、国防総省の予算がこれから削減されることがわかっており、だからこそ今がチャンスなのです」
  6. スコーピオンの運用コストがそのとおりとするとペンタゴンは一年で燃料費だけで10億ドルの節約になる、と元空軍長官のF・ホイッテン・ピータースF. Whitten Petersはじめとする退役軍関係者は試算しており、彼らがエアランドを創設し、スコーピオン構想を数年前に提唱したのだ。テキストロンと提携を2012年に結んで勢いが増してきた。
  7. テキストロンにとって今回の提携は想定外の案件であった。同社は戦闘用の固定翼機を製造した事例がない。傘下のベルヘリコプターはH-1およびV-22ファミリーで軍用機を生産し、テキストロンシステムズは軍用車両や無人機製造でペンタゴンと密接な関係にある。だがテキストロンは米空軍の契約実績トップ企業には入っていない。だがエアランドの退役将官から空軍に本案件の紹介があり、相当の営業活動があったらしい。.
  8. ピーターズの空軍長官在任時にハイローミックスとして双発F-22と単発F-35の組み合わせが構想された。両機種ともロッキード・マーティンが契約会社で両機種ともに技術問題と遅延で価格が大幅に上昇している。その結果、空軍の調達機数はF-22が187機となり、F-35は今のところ1,763機になりそうだ。同時に両機種ともに低視認性性能を持つことで運用コストは高くなる。
  9. クリストファー・ボグデン空軍中将(F-35計画主査) Air Force Lt. Gen. Christopher Bogdan, F-35 program executive officer によればF-35Aの機体単価は生産がピークに入れば80ないし90百万ドルになるというが現時点での単価は124百万ドルで、ここにエンジンおよびテストで判明した必要な供用後改修の費用を含む。
  10. そこでスコーピオンは空軍で大部分を占める上空監視ミッションを担うローエンド機材となる。そしてはるかに経済的にそのミッションを実施できるとピータースは語る。
  11. ただし空軍からはそのような機材が必要との声は出ていない。調達は通常は長い工程を経て、提案競争により決定される。これに対しテキストロンはジェネラルアトミックスの例を期待するだろう。同社のプレデター、リーパーは空軍の要求を待たずに納入することができた。その理由として議会の一枚岩の支援があったからだ。
  12. スコーピオンはタンデム構成の複座機だがパイロット単独でも運用可能だ。設計では 3,000 lb.の兵装あるいは情報収集機材を機内搭載するほか、ハードポイント6箇所を準備する。エンジンはハネウェルTF731双発で十分な推力のほかISR機材の冷却に必要な出力も得る。
  13. コックピットにはコバム Cobham を選定し、フラットパネルディスプレイを多用する。スコーピオンはフライバイワイヤ機構を選択せず、コストを下げ、構造を簡略化している。同機の無人機版が将来実現する可能性があるとドネリーは認めている。
  14. エアランドは複合材料性機体で経験のあるものをビジネスジェット機分野やF-22から集め、機体を設計した。機体製造はテキストロンのウィチタ工場で行われ、今後の国際市場での需要規模を考えると複合材料の採用で機体寿命は相当の長さになると見られ、太平洋諸国や中東市場で苛酷環境に耐えるものとして注目をあびるだろうとドネリーは見ている。
  15. 両社は空軍が購入を決めるまで座って待つつもりはなく、海外向けに営業を開始する構えだ。ただしドネリーは空軍による調達決定は海外販売の可能性を引き上げる可能性があると認めている。
  16. またスコーピオンで両社は当初の目標ミッションである軽攻撃,高速ISRがすきま需要であることで営業に拍車をかけるだろう。現状は双発ターボプロップ機としてMC-12プロジェクトリバティがこなしているミッション、T-38後継機、ハイエンドステルス戦闘機のすき間になるという認識だ。
  17. 同盟各国でターボプロップ武装攻撃機を導入する動きがあり、ペンタゴンはエンブラエルA-29スーパートゥカーノをアフガニスタン作戦用に調達する。また練習機を軽攻撃ミッションに転用する傾向も各国で見られる。
  18. これに対しスコーピオンは双発ターボプロップ各機より速度ですぐれ、練習機より機構が簡略化される。練習機はF-22やF-35パイロット養成用に高G対応の設計となるからだ。またプレデター、リーパーといったUAVを国境監視用に使用しようとする国が今後出てくるが、国内航空交通領域の大部分で無人機は締め出されテイルのが現状だ。
  19. スコーピオンの機体組立は最終段階に入っており、初飛行は今年末までに実施が予定されている。■

米空軍は発想の転換を 低コスト機の開発を真剣に考えるべき

       

Editorial: USAF Should Be Open To Low-Cost Aircraft

Source: Aviation Week & Space Technology
aviationweek.com September 16, 2013
Credit: USAF

1947年の創設以来一貫して米空軍はハイエンド機機材を求めてきた。発足時の第一線機は軽量P-51マスタングとF-86セイバーだったが、その後重量級F-105サンダーチーフ、F-106デルタダートそしてF-111(正式名称なし)へと変遷していく。
  1. ベトナム戦争では機関銃を装備した高機動戦闘機が必要と痛感されたが、空軍の理解は重量級双発F-15イーグルとして実現した。この裏では通称「戦闘機マフィア」の空軍将校および民間人アナリストが一緒になり、軽量級戦闘機の必要を訴えていた。
  2. その結果生まれたのがF-16で最も成功した戦闘機という評価もあるが、同機はローエンドとしてF-15とのハイローミックスで生まれたもの。だが空軍はすぐ昔どおりのやり方に戻り、ステルスだが大重量で高価なF-22ラプターを開発し、同機のハイローミックスのローエンドがF-35共用打撃戦闘機となるはずだったが、F-35はとても軽量とは言えず、戦闘機というよりも攻撃機の性格が強い。
  3. F-22調達は190機弱に削減され、F-35はコストと日程で大きなプレッシャーを受け続けている。一方で空軍はアフガニスタン上空でF-15、F-16やB-1を周回飛行させて情報収集監視偵察任務に投入することで数百万ドルを毎日支出している。今こそ空軍の思考型式を再構築すべきではないだろうか。
  4. 空軍の元将官、元将校が業界の「一匹狼」テキストロンと組んで、新思考で自費開発を低運行費の戦闘航空機開発を開始している。同機はスコーピオンの名称で近接航空支援機としてA-10やF-16に替わるものとなるが、軽量攻撃機スーパートゥカーノやISR機材キングエアよりは上位の位置づけになる。
  5. 同じような事例があった。60年代初頭に海兵隊の一部将校が対ゲリラ戦機材を提唱し、これをノースアメリカンがOV-10ブロンコとして実現、同機は成功事例とされる。70年代初頭に戦闘機マフィアがF-16、F/A-18を生んだ。ジェネラルアトミックスはプレデター原型機を入手し、空軍とペンタゴンに無人機運航を忍耐強く説得し、その後戦闘のあり方を変ええている。
  6. 一方で内部外部から考え方を変えようとする試みには失敗例も多くある。80年代初めにノースロップは自社費用でF-20をF-5発展系として開発したものの、政府がF-16輸出を解禁したことで頓挫している。80年代なかごろにはボーイングがアレス低価格攻撃機を提唱し、今回のスコーピオンと似た構想だったが結局失敗している。
  7. では今回は退役将官とビジネスジェット機、ヘリコプター、ゴルフカーとノ生産で知られる民会会社のチームが過去にうまく行かなかった試みを成功させられるだろうか。課題は空軍に過去の経験を学ばせて再度ハイローミックスを戦闘の実態に合う形として実現できるかだろう。
   

       
上記記事に対するオリジナル読者コメント
  • この案件でメーカーは固定価格を提示すべきだろう。コスト上昇分を政府が全部負担した時代は去り、新兵器の購入は新車購入と同じく買い手は正価を払うべきだろう。議会は兵器システムのコスト超過事例にうんざりしており、米空軍は確実な固定価格を提案すべきだ。
  • 国防産業を存続させるためにも大手業者は自社費用による開発を行い、成果物を完成させてから軍に売り込みをかけるべきではないか。まさしくこの方法で海外政府は米国製防衛装備を購入しているのであり、米国は例外というのは認められない。
  • DoDが過剰性能の案件すべてに過剰支出するようなことはもうやめるべきだ。これでは米国は破産に追い込まれる。
  • F-15,F-16,F-18でそれぞれ近代化改修の提案があり、電子装備、ステルス性の向上がうたわれているが、各機はすでに世界最高級の機材であることは証明済みであり、各機の生産継続には意味がある。第三世代、4.5世代機に改修を加えれば2020年代までは十分通用するのではないか。
  • 米空軍以外は単一目的の機材を発注しているが、米空軍は多用途機を発注して価格、性能への影響を無視する過ちを繰り返している。
  • 低コスト機を米空軍が開発するのであれば第五世代機でなくてはならない。つまり、最低限でも全領域ステルス性、兵装内部搭載、センサー融合,AESAレーダーが必要。つまり第四世代機を改修しても敵が第五世代機を配備した環境では優越性を確立できない。仮に米空軍がF-35を中止しても中国、ロシアがそれに応じて自国の第五世代機開発を中止することはない。仮に米空軍がF-35を中止しグリペンを採用するのであれば、70年代にF-16を取りやめてヴィゲンを導入するのと同じだ。米空軍、NATO双方に良い結果をもたらすとは思えない。
  • ダグラスA-1スカイレイダーは傑出した安価な地上攻撃機だった。アフガニスタン戦役の後半に同じ構想で設計した機材を投入できればよかったのだが。実際には空軍も海軍も第一線ジェット機を石器時代の軍事技術を用いる敵に投入している。F-18を地上攻撃に使って何十億ドルを浪費してきたのだろうか。
  • 米空軍はどんどん空っぽの組織になってきた。機材の平均機齢は高くなる一方だ。ごく少数で使用自体がリスクになる高価格の機体しか配備されないとどうなるか。F-22は一回も実戦投入されていない。非常に低価格だが高性能のグリペンの発注に賛成だが、土壇場でスペックを変更してそれまでの努力を無駄にすることは避けたい。(大統領専用ヘリでのばかげたスペックとコスト上昇の例がある)
  • 同時進行する多方面戦闘では一番状況が厳しい戦線に最優秀機材を投入し、そうでない方面に低価格機材を配備すべきだ。低脅威の戦場に高価格機材を投入し続ければ破産してしまう。あるいはいつも最悪のシナリオを想定していても同じだ。海軍にはF-18の三ないし四飛行隊が改修を待ち、稼動していない状態で各機1ないし3百万ドルかけ機体寿命延長を待っているが予算不足あるいは人員不足で計画通り進んでいない。新型F-18EF調達を毎年2機削れば既存F-18C/D/E/Fが40から50機改修する予算が捻出できるのだが。
  • アフガン戦線でT-6、トゥカーノのどちらが優れているか論争があるが、なぜOV-10のエンジン換装型を投入できないのかどうしても理解できない。未整地飛行場での運用性と単純な機構により同機はアフガニスタンの作戦環境に合うはずだ。
  • スコーピオン構想は低脅威ミッションで異なる状況に柔軟対応できそうだ。機体を複雑な構造にしても低脅威ミッションでは決定打になない。むしろ柔軟性が肝要だ。今日の機体そのものがコンピューターの格納容器になっているのが現状だ。
  • A-10の代わりになる機材はひとつしかない。A-10を増産すべきだ。F-35はあまりにも高価であるが、既存機材に匹敵する性能はない。ではF-15等の改修はどうかというと、はるかに安価でそれでも相当の性能を実現できる。F-22の役割は開戦時に航空融雪製を確保することでその後は安価で作戦に適応した機材を投入すべきだ。その意味でA-10の代わりになる機材はない。
  • 家計収入支出の基礎講座をアナポリス、ウェストポイント、空軍士官学校では勉強していないようだ。
  • ハイローミックス構造は常に有効。ローエンド機材に対する航空優勢確保は過剰投入になる。第五世代機による航空優勢確保には利点があり今後も米空軍の基本となろう。しかし、ローエンドもしっかりとデマケされて今後も成長していく。 AT-6/A-29なら過去20年で発生した紛争の大部分で有効な攻撃支援機材となる。A-10は基本的に対戦車攻撃任務の地上支援機材であり、その設計思想は次の機材に一部継承されようが、新型機はフルダ渓谷で敵戦車を釘付けにする必要はもはや存在しないのだ。精密兵器と目標捕捉技術の進歩で搭載兵器を目的地に運び、自機を防御することだけすればよくなった。一機ですべての任務を果たすのは不可能。
  • はっきりさせよう。機材はアメリカ製にすべき。
  • 第五世代機がステルス性を維持できるのは兵装、燃料を着たい内部に搭載してこそ。中国のJ-20は十分な機体寸法があり、Su-50も機内搭載で空対空任務をこなす設計だ。一方F-35はこの点で機体が小さすぎ、爆弾投下も風量が低いことが条件なので、視認誘導のSAMの標的になろう。低コスト機材の役割は①防御的正確の短距離交戦 ②ステルス機の模擬飛行特性再現 とし第五世代機のライフサイクルコストを節約すべきだ。