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2025年7月29日火曜日

次回のX-37Bミッションで注目されるのは量子センサーとレーザーリンク実験(Breaking Defense)—GPSは妨害を受けることが必至なので実用に耐える代替通信技術の開発が急がれています

 


量子センサーは、現在のグローバル・ポジショニング・システム(GPS)衛星に代わる可能性のある新たな位置測定、時刻同期、航法(PNT)システムの核心となる技術として期待されている

X-37B

X-37B軌道試験機が6回目の成功ミッションを完了、2022年11月。(米写真:スタッフ軍曹アダム・シャン)

防総省の秘密のX-37B軌道試験機が、GPSが利用できない状況でのナビゲーションを可能にする量子センサーとレーザー通信システムを搭載し、8月下旬に打ち上げられる。宇宙軍が本日発表した。

8月21日のミッションは、宇宙軍と空軍迅速能力局が共同運用するこの謎の宇宙機で8回目のミッションとなる。X-37Bは前回のミッションから3月7日に地球に帰還し、低地球軌道(LEO)で434日間を過ごした。その飛行中、宇宙機は地球の軌道変更とサービスモジュール部品の安全な廃棄のため、初のエアロブレーキング・マヌーバーを連続実施した。

量子センサーは、現在のグローバル・ポジショニング・システム(GPS)衛星に代わる、または置き換える可能性のある位置特定、時刻同期、航法(PNT)システムでの中核技術として期待されている。米軍当局、特に陸軍は、敵対勢力によるGPSの妨害や偽装攻撃に対する脆弱性の増加にますます懸念を深めている。さらに、山岳地帯や都市部の谷間での信号喪失といった、日常的ながら深刻な問題も存在する。

PNT用の量子センサーは、真空室内に封入された原子(通常はルビジウム)の小さな雲にレーザーを照射し、加速度と回転を測定する原子加速度計やジャイロスコープを使用する。このSFのような技術では、衛星だけでなく、船舶、航空機、車両、さらには兵士のバックパックにも搭載可能なほど小型かつ堅牢なセンサーの開発が課題だ。

X-37Bでの量子慣性センサー実験は「宇宙における運用レジリエンスの重要な一歩前進」と、スペースデルタ9司令官のラムジー・ホーン大佐は宇宙軍発表で述べた。「地球軌道を超えた月周回空間での航行やGPSが利用できない環境での運用において、GPSナビゲーションが不可能でも、量子慣性センサーは堅牢なナビゲーション能力を提供します」。スペースデルタ9は、宇宙軍の軌道戦を担当する部隊で同部隊のウェブサイトで明記されている。

X-37Bに搭載される実験用量子センサーは、ペンタゴンの防衛イノベーションユニット(DIU)がカリフォーニアのスタートアップ企業ベクター・アトミックと開発したもので、同社は原子機器の商業化に特化した企業だ。

X-37Bの2回目の新ミッションでは衛星間通信および衛星-地上通信の両方において光データリンクの活用に焦点を当てる。光波を使用することで、現在の無線周波数ベースのデータリンクより多くのデータを送信できると、宇宙軍プレスリリースは説明している。「指向性が高いレーザービームの性質により、従来の無線周波数伝送よりも安全です」。

実際、宇宙開発庁は、レーザー通信を活用して低軌道(LEO)ベースのデータ輸送とミサイル追跡コンステレーションの計画を進めている。DIUも空軍研究本部と協力し、商業用と軍事用の衛星を組み合わせた「ハイブリッド宇宙アーキテクチャ」を開発中で、「ハッキング耐性」のある宇宙インターネットを実現するため、光学通信も活用する。

宇宙作戦部長のチャンス・ザルツマン大将は、X-37Bのレーザー実証実験が「米国が分散型宇宙ネットワークを多様な冗長性を持つ宇宙アーキテクチャの一環として活用する能力において重要な一歩となる」と述べた。これにより、衛星通信アーキテクチャの回復力、信頼性、適応性、データ伝送速度が強化されることになります。■


2025年3月10日月曜日

X-37Bが地球に帰還したが宇宙軍は追加購入の明言を避けている(The War Zone)―今回は434日も軌道飛行をし、新機軸の実験も行った模様ですが、いかんせん極秘扱い多数のスペースプレーンです

 The U.S. Space Force’s X-37B Orbital Test Vehicle Mission Seven successfully landed at Vandenberg Space Force Base, California, March 7, 2025. The X-37B landed at Vandenberg Space Force Base, California, to exercise the service's ability to recover the spaceplane across multiple sites.   

米宇宙軍提供写真



オービタル・テスト・ビークル-7のミッションには、X-37Bの軌道を予測不能に変化させる楕円軌道への変更など、新機軸が含まれていた


メリカ宇宙軍の極秘ミニスペースシャトルX-37Bは434日におよぶ

7回目のミッションを終え、アメリカ東部標準時の3月7日午前2時22分にカリフォーニア州バンデンバーグ宇宙空軍基地に帰還した。 

 オービタル・テスト・ビークル-7(OTV-7)ミッションは、スペースXのファルコン・ヘビーロケットによる初の打ち上げとなり、高楕円軌道を使用した最初のミッションでもあった。しかし現時点では、宇宙軍は現在使用中の2機以上のX-37Bの追加購入はないとしている。


2025年3月7日、カリフォルニア州バンデンバーグ宇宙空軍基地に着陸に成功した米宇宙軍のX-37B軌道試験機ミッション7。 米宇宙軍提供写真 VELOZ ALEXANDER


OTV-7は2023年12月28日にフロリダのケネディ宇宙センターから打ち上げられた。

 「軌道上で、ミッション7は、X-37Bの強力な操縦能力を実証すると同時に、宇宙領域認識技術実験のテストを通じて宇宙領域での支援を目的とした、さまざまなテストと実験の目的を達成した」と宇宙軍は述べている。

 宇宙軍は、X-37Bが最新のミッションで何を行ったかについての詳細をほとんど発表していないが、OTV-7は再使用可能なスペースプレーンを"新しい軌道で"運用するのが目的のひとつだった。そのため、このミッションではX-37Bの地球周回で静止軌道(GEO)を超えた。

 海抜約22,236マイル(35,786キロメートル)と定義されるGEOベルトを超えた軌道は、高地球周回軌道(HEO)に分類される。


低軌道(LEO)から中軌道(MEO)を経て静止軌道(GEO)までの、地球を取り巻く主な軌道の違いを表した図。 Sedrubal via Wikimedia Commons


前述の通り、OTV-7ではX-37Bを初めて高度楕円軌道(HEOとも呼ばれる)に乗せた。

 卵型のHEO軌道は、スペースプレーンが大気圏に十分に近づいた時点で自ら操縦することを可能にする。これは、スペースプレーンが軌道上で不意に姿を現す可能性があるため、X-37Bを追尾する潜在的な敵対者を困難にさえる上で特に有利である。

 「それが彼らを混乱させることを知っており、本当にうれしい」と、2019年にヘザー・ウィルソン空軍長官(当時)はHEO軌道について語っていたた。


2025年3月7日、カリフォルニア州バンデンバーグ宇宙空軍基地への着陸に成功した米宇宙軍のX-37B OTV-7の別の姿。 米宇宙軍提供写真 VELOZ ALEXANDER


本日の声明で宇宙軍は、今回初めて使用された一連のエアロブレーキング操作の重要性について言及し「X-37Bの機敏で柔軟な能力を実証した」と述べた。

 具体的には、最小限の燃料消費で軌道を変更するためにエアロブレーキが使用された。エアロブレーキングでは、スペースプレーンが大気の抵抗を利用し、複数回の通過を経て地球低軌道(LEO)に沈み、その間にサービスモジュールを分離することができる。

「ミッション7は、X-37Bが軌道を越えて試験や実験の目的を柔軟に達成できることを示すことで、新たな境地を開いた。エアロブレーキング操作の成功は、安全かつ責任ある方法で斬新な宇宙運用の限界を押し広げるという米宇宙軍のコミットメントを強調するものです」と宇宙作戦部長チャンス・サルツマン大将は語った。

 直近のエイビエーション・ウィーク誌とのインタビューで、サルツマン大将はまた、エアロブレーキング操作が宇宙軍の宇宙監視ネットワークを評価するために使用されたことを確認した。宇宙監視ネットワークは、軌道上のすべての人工物体を検出、追跡、識別、カタログ化するために使用される光学センサーとレーダーセンサーのコレクションである。

 宇宙軍の本日の声明は、ミッション7が「宇宙環境に関する米国宇宙軍の知識を向上させることを目的とした宇宙領域認識技術実験」を含んでいたことにも言及している。

 これらのミッションに関し詳細はそれ以上提供されなかったが、一連の実験は、遠隔軌道にある物体の位置を特定し、識別しようとする宇宙軍の広範な努力と関連しているようだ。 宇宙軍の地球静止軌道上宇宙状況認識事業Geosynchronous Space Situational Awareness Program(GSSAP)は、まさにこれを達成することを目的としている。

 宇宙領域認識実験に言及し、「これらの技術は、宇宙領域のすべてのユーザーのため、ますます混雑し、競合する宇宙空間の環境で宙作戦を実施する米宇宙軍の能力に不可欠である 」と宇宙軍は付け加えた。

 OTV-7のその他特徴としては、X-37Bが撮影した地球の写真が初めて公開されたことが挙げられる。実際、これは国防総省によって公式に公開された最初の軌道上ショットと思われる。

 地球の画像は「高度に楕円の軌道で実験を行っているとき」に撮影されたもので、カメラ自体は主に「機体の状況と安全を確保するため」に使用されると宇宙軍は述べている。


7回目のミッションを終えたX-37Bから見た地球。米宇宙軍/提供写真


今週開催されたAir & Space Forces Associationの2025 Warfare Symposiumで、宇宙軍は次のように本誌に語った。「既存の試験機2機以外のプラットフォームを実現する将来計画は、国家の必要性に基づいて評価される」。

 宇宙軍はまた、X-37Bを運用機として使用する計画はないと述べているが、X-37Bが行っている各種実験は、将来登場する米国のスペースプレーンの設計に反映される可能性がある。

 同時に、現在の2隻のX-37Bフリートは、敵対国が同様のシステムをどのように使用するかをよりよく理解することもできる。特に中国は、X-37Bにほぼ匹敵すると思われる「神龍」と名付けられたスペースプレーンのテストに余念がない。

 一方で、X-37Bは高度に機密化された任務を遂行し続けており、その機密性の高さから、宇宙ベースの諜報・偵察・監視(ISR)や兵器プラットフォームとして使用される可能性についての憶測を呼んでいる。

確実に分かっているのは、X-37Bは「軌道上戦争」を任務とする宇宙軍の主要部隊に配属されており、明確な軍事的役割を担っているということだ。注目すべきことに、今日バンデンバーグに帰還したX-37Bは、前回のOTV-6ミッションの米空軍に代えて米宇宙軍のマーキングが施されていた。

2022年11月12日、地球に帰還後、ケネディ宇宙センターのフライトラインでOTV-6ミッションに使用されたX-37B。 アメリカ空軍

この変化は、軍事作戦(および日常生活)にとっての宇宙の重要性や、地球大気圏外の潜在的脅威、そしてそれらの問題に対する米国政府の取り組みについて、国民に伝えようとする努力の高まりを反映しているのかもしれない。

 とはいえ、X-37Bについては、一般に公開されている情報よりも機密事項の方が多い。OTV-7ミッションでは、新しい軌道体制におけるマイルストーン、斬新なエアロブレーキング操作、宇宙領域認識実験のテストという点が賞賛されている。しかし、OTV-7には、秘密のベールに包まれたままのもっと重要な成果があったのは間違いない。■


X-37B Returns To Earth, Space Force Won’t Commit To Buying More

The Orbital Test Vehicle-7 mission included several novelties, including a highly elliptical orbit for the X-37B that allowed for unpredictable changes in its path.

Thomas Newdick


https://www.twz.com/space/x-37b-returns-to-earth-space-force-wont-commit-to-buying-more


2025年2月26日水曜日

X-37Bが米国宇宙軍の未来を形作る(Aviation Week )

 Launch of X-37B

Credit: U.S. Space Force




宇宙軍は、X-37Bの各ミッションでデータを大量に収集しており、今後の宇宙活動に役立てる


宙空間における将来の戦争の戦い方を国防総省が模索する中、宇宙空間で長年にわたり静かに運用されてきた謎のプラットフォームに注目が集まっている。全長9mの実験用スペースプレーンX-37B軌道実験機は、地球の大気圏に自律的に再突入し、米宇宙軍の将来計画にとって重要なツールとして浮上している。

 実世界のデータ収集機は、5年前に設立された宇宙軍が、国家所有および商業資産のネットワークの拡大に伴い、小型衛星や軌道上のごみがますます密集していく領域でどのように活動すべきかを学ぶのに役立っている。

 「X-37Bのようなプラットフォームを手に入れれば、よだれでいっぱいになる」と、チャンス・ソルツマン Gen. Chance Saltzman宇宙軍司令官は1月31日、独占インタビューで本誌に語った。ソルツマン大将は、競争の激しい領域で米国が軍事的優位性を保つために、宇宙軍にどのような装備を整えるのが最善かに今後数年で重大な決断を迫られることになる。


  • 宇宙軍はスペースプレーンのデータを利用して次世代の能力開発に役立てている

  • 新しい自動システムは、衝突回避の機会を数百万回も追跡した


最初の6回のミッションでX-37Bは軌道上で3,774日以上を過ごした。2023年12月28日に現在のミッションOTV-7を開始し、1月31日に軌道上で400日を過ごした。これと比較すると、1981年4月から2011年7月までのNASAのシャトル飛行において、スペースシャトルは1,323日間宇宙に滞在したにすぎない。

 ボーイング製のこのスペースプレーンは、1999年から2004年まで実施されたNASAのオリジナルのX-37プログラムから派生したものだ。その後、DARPAに移管され、2010年に空軍のRCO(Rapid Capabilities Office)が引き継がれた。このスペースプレーンはロケットで垂直に打ち上げられるが、帰還時には飛行機のように水平に着陸する。

 搭載ペイロードがほとんど未公表のこともあり、外部観測者は、このスペースプレーンのミッション領域や技術について公然と推測しています。空軍は長い間、このプラットフォームは信頼性が高く再利用可能なスペースプレーンの能力を実証し、地球に持ち帰ることができる実験内容をサポートすることが目的と主張してきた。

 X-37Bは、再使用可能であるだけでなく、操縦性が高く、機敏であり、これまでの最長ミッションでは、地球に帰還するまでに約2年半の軌道飛行を行っている。

 宇宙軍は、スペースプレーン内の搭載実験と、6回目のミッションで導入された付属のサービスモジュールでデータを収集している。

 搭載カメラは、今回のミッション中にX-37Bと地球を捉えた。また、今回のミッションでは、初めてのエアロブレーキ操作も実施された。 

X-37B in space

出典:米宇宙軍

 ソルツマン大将は、これらの調査結果は、宇宙をベースとした多くのミッション分野や将来の衛星プログラムにおける同軍の今後の方向性を示すものになるだろうと述べた。「これにより、物理法則に基づく現実世界のデータを応用して、より強靭なアーキテクチャの構築を検討することができます」という。

 2010年に最初のミッションを打ち上げて以来、米軍はX-37Bの動きを秘密にしておき、スペースプレーンが着陸するまで、地球への帰還を発表しないようにしていた。

 そのパターンを破り、宇宙軍は10月に、現在進行中のミッション中にスペースプレーンが初めて大気圏再突入マヌーバを行い、高楕円軌道(HEO)で放射線効果実験とテスト宇宙領域認識技術を実施すると発表した。

 X-37Bは、地球大気の抵抗を利用して低軌道(LEO)に十分な時間留まり、サービスモジュールを安全に廃棄し、その後、テストと実験を再開する計画であった。

 OTV-7ミッションは、X-37BがLEOのみならずHEOでも運用された初めてのミッションとなった。前空軍長官のヘザー・ウィルソンは以前、スペースプレーンが「卵のような軌道」を周回し、大気圏に十分近づいた後は自ら操縦できる能力について示唆していた。

 つまり、敵は軌道上のどこに再出現するかわからないということとなる。ウィルソンは2019年のアスペン安全保障会議で聴衆にこのように語った。「そして、それが彼らを狂わせることはわかっています。それはとてもうれしいことです」。

 HEOへの移動により、RCOと宇宙軍はスペースプレーンが新たな軌道領域にさらされるのを観察することが可能になった。LEOの上限は2,000 km(1,240マイル)だが、楕円軌道HEOの近地点は約1,000 km、遠地点は35,786 km以上だ。

 空力ブレーキ操作能力の必要性により、スペースプレーンには故障保護、自律性、衝突回避のための変更が加えられた。ボーイング副社長のミシェル・パーカーは、OTV-7に先立ち、同社は新しい衝突回避システムを開発したと述べた。

 パーカーは2月3日、カリフォーニア州エルセグンドのボーイングの衛星施設で本誌取材に応じ、宇宙が混雑し、スペースプレーンが多様な領域で運用されるにつれ、自律性が重要になると語った。

 ソルツマン大将はX-37Bの現在のミッションの過程で、宇宙軍は約170万回の衝突回避の機会を特定したと述べ、「データについて話すとき、スプレッドシート上の4つか5つの数字について話しているわけではありません」と付け加えた。

 減速飛行により、ソルツマン大将は同サービスの宇宙監視ネットワーク(Space Surveillance Network)を評価することができたと述べた。宇宙監視ネットワークは、軌道上にあるすべての人工物を検出、追跡、識別、分類する光学およびレーダーセンサーのグローバルな集合体だ。同大将は、今回の実験により、他の同様のセンサーがスペースプレーンの新しい軌道をどのように発見し追跡するか観察できたと述べている。

 軌道変更に関するこのような実地データを収集することは、同等の敵対者による作戦上の不意打ちを回避するために宇宙軍にとって重要なことだ。

 中国航天科技集団は、独自の再利用型実験スペースプレーン「神舟(シェンロン)」を開発した。同船は3回のミッションを完了し、観測者によってランデブーおよび近接操作と判断された操作を行い、小型衛星または物体を軌道に投入した。

 北京は、このスペースプレーンについて厳格な機密保持を維持しており、外形はX-37Bに類似していると考えられている。2機のスペースプレーンは2023年12月に2週間以内に相次いで打ち上げられた。シェンロンは9月に軌道を離脱したが、X-37Bは現在も運用を継続している。

 宇宙軍は、今後5年間の3大重点分野として、宇宙領域の認識、弾力性のある軌道上アーキテクチャ、そして「責任ある」対宇宙能力を挙げていると、ソルツマン大将は12月にフロリダ州オーランドで開催された宇宙軍協会の「Spacepower Conference」で述べた。

 ソルツマン大将はインタビューで、X-37Bを実戦機として使用する計画はないが、同様の敵対的プラットフォームの潜在能力や戦術について考えを深め、より忠実度の高い訓練環境を設計するため今後も使用を続けると述べた。

 宇宙での戦争の可能性に備えるにあたり、実験用プラットフォームを持つことは、「宇宙が無害な環境だった頃よりも、さらに価値のあるもの」になっていると彼は語った。

 X-37Bは、宇宙軍が今後1年間にわたって最新の現場指揮を確立する上で重要な役割を果たすだろう。宇宙未来司令部は、宇宙における脅威環境の予測、戦術訓練の実施、ミッション領域の設計開発と検証を支援する構想だ。

 正式に設置されれば、同司令部はX-37Bの軌道上活動から得られたデータと知見を活用し、空軍のRCOと協力して活動するとソルツマン大将は述べている。

 「RCOは、未来司令部が課題と見なすものを検討し、興味深いと考える技術を検討し、X-37で知識や運用概念におけるギャップを知らせるデータを収集できるかを検討します」と彼は述べた。

 宇宙軍は、X-37Bからのデータが将来のスペースプレーン設計にどのように役立つかについては、研究開発段階の初期であるため、共有を拒否したとソルツマン大将は指摘した。しかし、軌道上の衛星を軌道外に脱出させて整備工場のような場所で改修したり、プラットフォーム全体を一新したりするよりも、軌道上の衛星の整備にかかる潜在的なコストを評価するのに役立つ可能性があると彼は期待している。「これらの選択肢はすべて利用可能ですが、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?どのミッションにどの選択肢が適しているのでしょうか?」と彼は述べた。

 ソルツマン大将は、スペースプレーンが地球に帰還する時期と、8回目のミッションが開始される時期については、明確な回答を避けた。  過去の例では、直前回の帰還から1年以内に次のミッションが打ち上げられている。

 ボーイングは継続的なアップグレードでX-37Bを維持してきたとパーカーは述べた。スペースプレーンでは、ボーイングの子会社Spectrolabが供給するバッテリーは第2世代、ソーラーセルは第3世代のものを使用している。「外見は同じでも、内部の多くはアップグレードされており、かなりの期間飛行を継続できます」(パーカー)。

 改修により、X-37Bチームはプログラムの費用対効果を維持できたと、ソルツマン・パーカーはともに指摘し、資金調達の詳細については明らかにしなかった。

 パーカーは、X-37Bは政府のプラットフォームであると強調しながらも、その特性は将来、軌道上での燃料補給や実験、デブリ回収をサポートする商業プラットフォームに適用される可能性があると述べた。

 「宇宙産業と宇宙生態系が拡大するにつれ、再利用可能なプラットフォームでできることの機会も拡大すると思います」。

 新しい自動衝突回避システムの特許は申請中であり、ボーイングは現時点ではこのシステムを他のプラットフォームに組み込む予定はないとしている。

 宇宙軍の指導者たちは、中国やロシアとの競争が激化する中、その任務分野や能力についてより率直に語るようになってきた。ソルツマン大将が国家偵察局でミニットマンIII発射責任者および衛星オペレーターを務めていた当時、米軍は宇宙を戦場として表現したことは一度もなかったと彼は言う。

 「私たちの目標は、衛星を軌道に打ち上げ、それが永遠に続くようにすることでした。もしそれが実現できれば、という意味では、ある程度静止していました」と彼は語った。

 特に軌道上の安全な操縦は宇宙飛行の運用にとって非常に重要であるため、10月にX-37Bのカーテンを少し開けて、計画された一連の空力制動操作を明らかにした利点が軍にはあったとソルツマン大将は語った。

 「それを実行するつもりであることを皆に知らせたかったのです」と語った。「他国にも観測してほしい。データを共有したいのです」。


X-37Bについて

X-37は、当初は「Future-X Pathfinder」として知られていた。NASAが宇宙へのアクセスコスト削減を目指し、機体、推進、運用技術など40以上の技術を研究する取り組みを開始した。NASAは1999年から2004年9月までこのプログラムを運営し、その後DARPAに引き継いだ。また、NASAは1998年から2001年にかけて、空軍研究本部が開発したX-37の縮小版X-40Aを使用して、低速・低高度でのテストを実施した。その後、2005年から2006年にかけて、DARPAはボーイングが製造したX-37Aのキャプティブ・キャリーおよびドロップテストを複数回実施し、これを受けて空軍は2006年11月にX-37B軌道試験機プログラムの開始を発表した。

 現在までX-37Bは6回のミッションを完了しており、最初の打ち上げは2010年4月22日にケープカナベラル空軍基地からユナイテッド・ローンチ・アライアンスのアトラスV 501ロケットによって行われた。2023年12月28日にはスペースXのファルコン・ヘビーロケットによって打ち上げられ、1月31日に軌道周回400日を達成した。■



How The X-37B Is Shaping The Future Of The U.S. Space Force

Vivienne Machi February 21, 2025


https://aviationweek.com/space/budget-policy-regulation/how-x-37b-shaping-future-us-space-force


 


Vivienne Machi

Vivienne Machi is the military space editor for Aviation Week based in Los Angeles.


2024年11月1日金曜日

秘密に包まれたスペースプレーンX-37Bが軌道変更技術を試した理由(Breaking Defense)

 X-37B aerobrakes

地球大気の抵抗を利用したエアロブレーキングを行うX-37Bの想像図。 (ボーイングスペース社提供) 




米宇宙司令部は、疑わしい衛星を出し抜けるように米軍の宇宙機や人工衛星で燃料を消費しない「持続的な」操縦を含む「動的な宇宙作戦」を可能にする新技術を切望してきた


宙軍のX-37B実験スペースプレーンは、余分なペイロードを運ぶサービスモジュールを安全に放出するために、一連の「斬新なマヌーバ」を開始しようとしている。 

 X-37B軌道試験機(OTV-7)は、エアロブレーキと呼ばれる斬新なマヌーバを開始した。

 エアロブレーキングは、地球の大気の抵抗を利用して宇宙船を減速させ、推進エンジンの噴射に頼ることなく、より低い軌道に移動させるもので、要するに、低軌道を達成するために螺旋状の一連の軌道を作る。 

 宇宙軍のリリースによると、この操作は「宇宙船が最小限の燃料を消費しながら軌道を変更することを可能にする」という。 

 X-37B(OTV-7)は、2023年12月28日に高度楕円軌道(HEO)に打ち上げられ、「新しい軌道体制での再使用可能なスペースプレーンの運用、将来の宇宙領域認識技術の実験、NASAから提供された材料への放射線の影響の調査」など、多くのテストを実施した。以前のミッションは、地球低軌道(LEO)で行われた。 

 「エアロブレーキが完了すると、X-37Bはテストと実験の目的を達成するまで再開する」(宇宙軍)。 

 マヌーバの具体的な軌道について尋ねられた宇宙軍の広報担当者は、詳細の説明を避けた。 

 しかし、安全に軌道を離脱させるためには、サービスモジュールをLEOの十分低い高度に設置し、抵抗によって最終的に地球の大気圏に落下させる必要がある。 

 現在の米国のデブリ軽減基準では、低軌道上の廃宇宙船は25年以内に軌道離脱する場所に設置されることになっているが、連邦通信委員会はその期間を5年に短縮するよう企業に求めている。 

 また、エアロブレーキによって、スペースプレーンはHEOから安定したLEOまで効率よく移動し、X-37Bの後部に取り付けられているサービスモジュールを射出することができる。 

 その後、モジュールは大気圏で燃え尽きる。 

 前回のミッションでは、この再使用型スペースプレーンは、安全に着陸するための軌道離脱マヌーバを開始する際に、単にモジュールを放出しただけだった。 

 このように、スペースプレーンの最近の活動で新しい要素となっているのは操縦である。 

 X-37Bによるこの世界初のマヌーバは、米宇宙軍にとって、この困難な領域で遂行するための我々の適性と能力を拡大しようとする上で、信じられないほど重要なマイルストーンである。 NATOは、同盟国の戦闘に対する国家的な宇宙貢献を定義することを推奨している NATOの計画理事会は、紛争で使用するために同盟国のコンセンサスを必要とする攻撃的能力を含む国家的な貢献について検討するために、宇宙活動のための戦争ゲームを作成している。 By Theresa Hitchens 


 米宇宙司令部は、米軍の宇宙船や衛星が敵対する疑わしい衛星を出し抜けるように、燃料を消費しない「持続的な」操縦を含む「動的な宇宙作戦」を可能にする新技術を切望している。 国防総省は2006年にNASAからX-37B計画を引き継いで以来、X-37Bの任務、能力、軌道上の居場所について口を閉ざしてきたが同無人スペースプレーンは、軌道上の武装プラットフォームではないかとの憶測を受けてきた。 

 セキュアワールド財団の最新報告書「Global Counterpace Capabilities」[PDF]によると、この憶測は近年、2023年10月に公開された宇宙軍初の公式図によって煽られた。図には、「未来の迎撃機」としか表現されていない軍用宇宙機が敵の衛星と交戦する準備をしている様子が描かれていた。当時、宇宙軍はこの図はあくまでもアーティストの想像によるものだと述べていた。 

 エアロブレーキングのような低コストのマニューバーは、敵衛星に接近するための一つの方法かもしれない。 

 X-37Bプログラムは2010年以来、空軍迅速能力局によって管理されてきたが、現在は宇宙軍のデルタ9が軌道上運用の監督を担当している。 同軍のウェブサイトによると、デルタ9は「保護・防衛作戦を実施し、軌道上の脅威を抑止し、必要な場合には撃退するための対応オプションを国家決定当局に提供」し、「軌道上戦争」に備えてガーディアンを準備しているとある。■


Secretive space plane X-37B to test ‘first of a kind’ maneuvers for shifting orbits

US Space Command has been clamoring for new technology to enable "dynamic space operations," which include "sustained" maneuvering that doesn't eat up fuel to allow US military spacecraft and satellites to outrun suspect adversary satellites — or potentially be able to chase those suspect birds down both to assess any threats and possibly take action to neutralize them. 

By   Theresa Hitchens

on October 10, 2024 at 5:02 PM


https://breakingdefense.com/2024/10/secretive-space-plane-x-37b-to-test-first-of-a-kind-maneuvers-for-shifting-orbits/



2023年11月13日月曜日

スペースプレーンX-37Bの次のミッション7は12月7日打ち上げ。今回はさらに深い軌道に乗せるのか。宇宙軍が同機で何を意図シているのかまだ不明だ。ミッション6は908日間軌道飛行していた。

 X-37Bの次回ミッションはファルコン・ヘビー・ロケットで宇宙へ深く向かう



X-37B is heading into space on a Falcon heavy rocket.ボーイング


X-37Bスペースプレーンは12月に再び打ち上げられる予定で、今回は世界で最も強力な商用ロケットの上に搭載される。


米宇宙軍の極秘スペースプレーンX-37Bが次のミッションに向けて、カウントダウンを始めた。これまでのX-37Bのミッションは、非常に興味をそそるものばかりであったが、次のミッション(7回目)には特別な新機軸が含まれる。宇宙軍が「新たな軌道体制」と表現するものを探索するだけでなく、再利用可能なスペースプレーンは、スペースXのファルコン・ヘビー・ロケットに搭載される。ファルコン・ヘビーは、世界で最も強力な商用ロケットで、これまでよりはるかに高い軌道に投入できる可能性がある。


宇宙軍は昨日、X-37Bミッション7を2023年12月7日にフロリダのケネディ宇宙センターから打ち上げる予定だと発表した。ファルコンヘビーロケットによるこのスペースプレーンの初のミッションはUSSF-52と命名され、空軍迅速能力局と宇宙軍が運営する。


Featuring the U.S. Space Force (USSF) logo for the first time, the encapsulated X-37B Orbital Test Vehicle for the USSF-52 Mission. <em>Boeing via USSF</em>

USSF-52ミッション用にカプセル化されたX-37B軌道試験機。ボーイング via USSF


X-37Bミッション7は「幅広い試験と実験の目的」を持つと、宇宙軍は簡潔な言葉で述べた。そしてこう続けた:「これらのテストには、新しい軌道体制での再使用可能なスペースプレーンの運用、将来の宇宙領域認識技術の実験、NASA提供の材料への放射線の影響の調査などが含まれる」。


X-37Bプログラム・ディレクターのジョセフ・フリッチェン中佐は、「実績あるサービス・モジュールとファルコン・ヘビー・ロケットを使用して、空軍省とパートナー向けに最先端実験を実施する。再使用可能なX-37Bの能力拡大に興奮している」。


X-37Bがファルコンヘビーロケットの上に乗ることは水曜日まで公には知られていなかった。USSF-52の貨物も明らかにされていなかった。このミッションは、スペースXが2018年6月に1億3000万ドルの契約を獲得した後、2021年に打ち上げられる予定だったがSpace Newsが 「ペイロードの準備と射程のスケジューリングの問題 」と説明した理由で延期されていた。


ファルコンヘビーロケットの使用で、中型ロケットであるアトラスVやファルコン9を使用した過去6回のミッションより強力なロケットによって打ち上げられることになる。スペースプレーンが具体的にどのように使い分けられるのかについては大きな疑問が残る。しかし、ファルコン・ヘビーはX-37Bをより高い軌道に投入することができる。


科学技術サイト『Ars Technica』によると、USSF-52ミッションの当初の軍事募集文書は、約14,000ポンドの貨物と静止トランスファー軌道への投入を求めらていた。この種の軌道は、海抜約22,000マイルの高さで地球を高度に楕円状に周回する。X-37Bの重量は、サービスモジュールを除き約11,000ポンド(約13,000kg)だ。


これまで6回のミッションでは、X-37Bは地球の上空数百マイルを飛行する中緯度軌道を使用した。これは低軌道(LEO)の領域で、地球の表面からおよそ1,200マイルの高さとなる。LEO上にある多くの物体は、高度数百マイル程度にある。例えば、国際宇宙ステーションは地球から254マイル上空を周回している。


しかし、Ars Technicaが指摘するように、募集要項は5年以上前のものであり、ミッションの変更を反映して更新された可能性がある。とはいえ、打ち上げ間近になれば、空域や海上での警告通知に基づいて、さらなる詳細が明らかになる可能性はある。


新しい軌道体制で」X-37Bを使用するとの宇宙軍の声明は、このミッションでのファルコン・ヘビーロケットの使用とあわせ、従来の軌道を超えたミッションに関する米軍の野心についてわかっていることと結びついている。


A graphic depicting the major different orbits around our planet, from low earth orbit (LEO), via medium earth orbit (MEO), to geostationary orbit (GEO). <em>Sedrubal/Wikicommons</em>


ペンタゴンの画像は、地球を周回するさまざまなレベルの軌道にある衛星レイヤーを示している。国防総省


2020年、『ウォーゾーン』は、空軍研究本部(AFRL)の一部である宇宙装備部門が、宇宙の新しい領域における潜在的な軍事活動を探求する新しいプロジェクトをを目的とした内部コンペを実施していたことを報じた。これには、地球周辺の超低軌道でのミッションや、地球と月の間の二重星雲空間での作戦を検討する取り組みも含まれていた。


「AFRLは、GEO(静止)ベルトより上、つまり月、さらにその少し先まで、宇宙領域の認識を拡大する技術に取り組んでいます」と、当時、宇宙車両部門の責任者だったエリック・フェルト空軍大佐は語った。「これは、我々がxGEO(シスルナー)と呼んでいる活動領域です。民間人がそこに移動し、敵がそこに移動するにつれて、私たちはそこで何が起こっているかを知る必要があります。


A schematic diagram providing a comparison between the orbits of some key satellites. <em>cmglee/Wikicommons</em>


低軌道(LEO)から中軌道(MEO)を経て静止軌道(GEO)までの、地球を取り巻く主な異なる軌道を描いた図。Sedrubal/Wikicommons


フェルト大佐が、次のX-37Bミッションに関する声明の中で、現在の宇宙軍と同じ「宇宙領域認識」という言葉を使っていることも注目に値する。


X-37Bとファルコン・ヘビー・ロケットを組み合わせることは、二重星雲のような宇宙空間で活動する場合に特に関連性があるように思えるが、より低い軌道ではスペースプレーンの構成もかなりの機動性を含む利点をもたらす。


ファルコン・ヘビー・ロケットで宇宙空間のどこに行くにしても、X-37Bには試験作業やその他のさまざまな機器が詰め込まれる。


このミッションで計画されている実験を「画期的なもの」と称し、宇宙作戦本部長B・チャンス・サルツマン大将Gen. B. Chance Saltzmanは次のように述べた: 「X-37Bは、現在および将来の宇宙活動を強化するための知識を米国に提供し続けます。X-37Bミッション7は、USSFの革新へのコミットメントと、宇宙領域における可能性の芸術を定義することを実証している」。


これらの実験のうち、NASAに代わって行われたものだけが、今のところ詳細に説明されている。Seeds-2として知られるこの船上実験は、「植物の種子を長期宇宙飛行の過酷な放射線環境にさらす」ものである。これは以前の実験の続きであり、将来の有人宇宙ミッションへの道を開くのに役立つはずだ。


「将来の宇宙領域認識技術」への言及について、宇宙軍はこのミッションのこの部分は「すべてのユーザーのための宇宙での安全、安定、および安全な操作を確保するために不可欠な」 テストを含むと述べている。


The X-37B rests on the flight line at Kennedy Space Center, Florida, on November 12, 2022, after it concluded its sixth successful mission that lasted 908 days.&nbsp;<em>U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Adam Shank</em>


フロリダ州ケネディ宇宙センターでのX-37B。米空軍撮影:二等軍曹アダム・シャンク


「宇宙領域認識技術」は、GEOベルト外を含む軌道上の他の物体の監視を指している可能性がある。また、X-37Bを軌道上の他の衛星に接近させ、検査、あるいは操作や破壊を行う潜在的なテスト、あるいは将来の計画に関連している可能性もある。X-37Bがこのような任務を果たすことを意図しているのではないか、あるいは宇宙ベースの兵器プラットフォームとして意図されているのではないかという噂は以前からある。


X-37Bは以前、宇宙軍の新たな任務である「軌道上戦争」の構成要素として言及されたことがある。詳細は不明だが、このミッションはスペース・デルタ9の任務範囲に含まれる。スペース・デルタ9は、宇宙空間における潜在的な敵対活動を追跡し、脅威を抑止し、さらには撃退する任務を担う部隊として知られている。


この種の開発は、特に中国とロシアの宇宙での活動に照らして、米国にとって関心が高まっている。例えばロシアは、軌道上に「宇宙装置検査官」と呼ぶものを多数保有しており、米国政府などは、クレムリンが他の衛星の情報収集に利用したり、「キラー衛星」として機能させ、さまざまな手段を使ってターゲットにダメージを与えたり、機能不能にしたり、破する可能性があると警告している。 


一方、中国は独自の同様のスペースプレーン・プロジェクトで忙しい。今年5月、中国のスペースプレーンは軌道上で276日後に地球に帰還したと言われており、X-37Bが達成した期間には及ばないものの、中国の宇宙計画にとっては重要な進展である。


12月に打ち上げられるX-37Bが搭載するペイロードの種類が何であれ、このスペースプレーンは一体型のペイロード・ベイに加えてサービス・モジュールも利用する。スペースプレーンの後部に取り付けられるサービスモジュールは、ペイロードのための余分なスペースを提供する。前回のミッション6では、初めてサービスモジュールが導入された。

The X-37B ahead of its sixth mission, with the service module attached to its rear portion.&nbsp;<em>USSF</em><br><br>

6回目のミッションを前にしたX-37B。後部にサービスモジュールが取り付けられている。USSF


X-37Bミッション6のペイロードには、太陽光発電を高周波マイクロ波エネルギーに変換する海軍研究所の光起電力高周波アンテナ・モジュール(PRAM)実験、物質と種子への宇宙効果を調べるNASAの過去の2つの実験、そして米空軍士官学校が開発し空軍研究本部がスポンサーを務める小型衛星FalconSat-8が含まれている。しかし、X-37Bの仕事の中核は高度に機密化されているため、これらは三次的な実験に過ぎない。


X-37Bミッション6は2020年5月にアトラスVロケットで打ち上げられ、軌道上で908日間飛行した後、2022年11月に地球に帰還した。


今のところ、X-37B関連のあらゆる事項と同様に、間もなく始まる第7ミッションのほとんどは秘密のベールに包まれたままだ。ミッション7がどのような実験や飛行プロファイルをもたらすにせよ、現在知る限り最も興味深い防衛計画に新たな章が加わることは間違いない。■


X-37B Headed Deeper Into Space With Falcon Heavy Rocket's Help


BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED NOV 9, 2023 3:20 PM EST

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