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2025年11月29日土曜日

米宇宙軍が初のゴールデン・ドーム契約を交付したが「保安上の理由」で詳細は不明(Aviation Week)


An unarmed Minuteman III Intercontinental Ballistic Missile launches during an operational test at Vandenberg Space Force Base, California.カリフォーニア州ヴァンデンバーグ宇宙軍基地での運用試験として非武装のミニットマンIII大陸間弾道ミサイルが発射された クレジット:米国空軍

宇宙軍(USSF)は、ミサイル防衛システム「ゴールデン・ドーム・フォー・アメリカ」の宇宙配備迎撃システム(SBI)関連でプロトタイプ契約第一陣を交付したが、落札企業数社の名称は明らかにしていない。

USSF広報担当者は11月25日付の電子メール声明で、迎撃システムについて「競争的その他の取引協定(OTA)を通じて複数事業者に複数契約を交付した」と述べた。さらに「契約業者は強化された保安対策により保護されているため」社名は公表しないと付け加えた。

広報担当は国防調達規則補足(DFARS)205.303条を引用した。同条項では900万ドル未満の契約は国防総省ウェブサイトで公開されないとしている。また、その他の取引契約(OTA)もDFARSの対象外であり、公的発表が義務付けられていない。

広報担当は、契約件数、契約締結日、契約期間、追加のSBI試作機契約の締結時期に関する質問に回答しなかった。

宇宙配備迎撃システム(SBI)は、敵の弾道ミサイルや極超音速ミサイルを打ち上げ段階または中間段階で撃墜可能な宇宙機群として構想される「ゴールデンドーム」構想で野心的な要素である。

ブルームバーグが最初に報じた今回の新規契約は、トランプ政権が1月に創設を発表して以来、ゴールデン・ドーム計画で初めて具体化した契約となった。USSFは以前、9月にSBIプロトタイプの公募を実施し、2028年にも軌道上実証につながる複数固定価格OTA契約を授与する計画を表明していた。

11月20日、USSFの宇宙戦闘力宇宙システム司令部プログラム執行部は、12月上旬にSBIのプロトタイプ提案の募集を開始し、約3カ月後に契約を締結する予定であるとの通知を発表した。

ロッキード・マーティンノースロップ・グラマン含む主要契約業者は、SBI と同様の能力の実証を行う計画をすでに表明しており、Apexブーズ・アレン・ハミルトンFirefly Aerospace などのベンダーも関心を示している。

ミサイル防衛局(MDA)は、11月20日に、規模変更可能多層本土防衛Scalable Homeland Innovative Enterprise Layered Defense(SHIELD)契約の競争範囲を設定したと発表し、ゴールデン・ドーム中心の契約手段において新たな一歩を踏み出した。同局は、SHIELD を利用し10 年間で最大 1,510 億ドルの複数の無期限納入・無期限数量 (IDIQ) 契約を交付し、ミサイル防衛システムおよびゴールデン・ドームを支援するその他関連サービスの調達を合理化する計画だ。

アストロスケールUSは11月24日、自社のSHIELD IDIQ提案が競争範囲に選定され、今後の協議対象となったと発表した。日本の軌道上サービス企業アストロスケールの米国子会社である同社は、ゴールデン・ドームの宇宙層に軌道上ロジスティクス要素を組み込む推進をしている。■

ヴィヴィアン・マチ

ヴィヴィアン・マチはロサンゼルス拠点の航空週間誌(Aviation Week)軍事宇宙担当編集者である。


USSF Awards Initial Golden Dome Contracts, But Details Scarce

Vivienne Machi November 25, 2025

https://aviationweek.com/defense/missile-defense-weapons/ussf-awards-initial-golden-dome-contracts-details-scarce


2025年7月29日火曜日

次回のX-37Bミッションで注目されるのは量子センサーとレーザーリンク実験(Breaking Defense)—GPSは妨害を受けることが必至なので実用に耐える代替通信技術の開発が急がれています

 


量子センサーは、現在のグローバル・ポジショニング・システム(GPS)衛星に代わる可能性のある新たな位置測定、時刻同期、航法(PNT)システムの核心となる技術として期待されている

X-37B

X-37B軌道試験機が6回目の成功ミッションを完了、2022年11月。(米写真:スタッフ軍曹アダム・シャン)

防総省の秘密のX-37B軌道試験機が、GPSが利用できない状況でのナビゲーションを可能にする量子センサーとレーザー通信システムを搭載し、8月下旬に打ち上げられる。宇宙軍が本日発表した。

8月21日のミッションは、宇宙軍と空軍迅速能力局が共同運用するこの謎の宇宙機で8回目のミッションとなる。X-37Bは前回のミッションから3月7日に地球に帰還し、低地球軌道(LEO)で434日間を過ごした。その飛行中、宇宙機は地球の軌道変更とサービスモジュール部品の安全な廃棄のため、初のエアロブレーキング・マヌーバーを連続実施した。

量子センサーは、現在のグローバル・ポジショニング・システム(GPS)衛星に代わる、または置き換える可能性のある位置特定、時刻同期、航法(PNT)システムでの中核技術として期待されている。米軍当局、特に陸軍は、敵対勢力によるGPSの妨害や偽装攻撃に対する脆弱性の増加にますます懸念を深めている。さらに、山岳地帯や都市部の谷間での信号喪失といった、日常的ながら深刻な問題も存在する。

PNT用の量子センサーは、真空室内に封入された原子(通常はルビジウム)の小さな雲にレーザーを照射し、加速度と回転を測定する原子加速度計やジャイロスコープを使用する。このSFのような技術では、衛星だけでなく、船舶、航空機、車両、さらには兵士のバックパックにも搭載可能なほど小型かつ堅牢なセンサーの開発が課題だ。

X-37Bでの量子慣性センサー実験は「宇宙における運用レジリエンスの重要な一歩前進」と、スペースデルタ9司令官のラムジー・ホーン大佐は宇宙軍発表で述べた。「地球軌道を超えた月周回空間での航行やGPSが利用できない環境での運用において、GPSナビゲーションが不可能でも、量子慣性センサーは堅牢なナビゲーション能力を提供します」。スペースデルタ9は、宇宙軍の軌道戦を担当する部隊で同部隊のウェブサイトで明記されている。

X-37Bに搭載される実験用量子センサーは、ペンタゴンの防衛イノベーションユニット(DIU)がカリフォーニアのスタートアップ企業ベクター・アトミックと開発したもので、同社は原子機器の商業化に特化した企業だ。

X-37Bの2回目の新ミッションでは衛星間通信および衛星-地上通信の両方において光データリンクの活用に焦点を当てる。光波を使用することで、現在の無線周波数ベースのデータリンクより多くのデータを送信できると、宇宙軍プレスリリースは説明している。「指向性が高いレーザービームの性質により、従来の無線周波数伝送よりも安全です」。

実際、宇宙開発庁は、レーザー通信を活用して低軌道(LEO)ベースのデータ輸送とミサイル追跡コンステレーションの計画を進めている。DIUも空軍研究本部と協力し、商業用と軍事用の衛星を組み合わせた「ハイブリッド宇宙アーキテクチャ」を開発中で、「ハッキング耐性」のある宇宙インターネットを実現するため、光学通信も活用する。

宇宙作戦部長のチャンス・ザルツマン大将は、X-37Bのレーザー実証実験が「米国が分散型宇宙ネットワークを多様な冗長性を持つ宇宙アーキテクチャの一環として活用する能力において重要な一歩となる」と述べた。これにより、衛星通信アーキテクチャの回復力、信頼性、適応性、データ伝送速度が強化されることになります。■


2025年6月3日火曜日

トランプ予算、米空軍は増額、宇宙軍は削減(Air & Space Forces Magazine) ―026年度予算の話題が出てきました。わずかながら増加するとはいえインフレ率を考えれば米空軍も減額、宇宙軍は更に減額幅が広がります

 


2025年5月6日、日本の嘉手納基地でのエレファントウォークで滑走路に整列した米空軍、米陸軍、米海軍の各機。 (米空軍撮影:Tylir Meyer上等空兵)


5月30日に判明したトランプ政権の2026年予算案で空軍予算は小幅に増加するものの、宇宙軍の予算は削減されることがわかった。

 全体として、空軍省は来年、空軍と宇宙軍の予算として2,608億ドルを受け取ることになるが、これは37億ドル(1.4%)の増加である。労働統計局によれば、これは2024年のインフレ率2.9%のおよそ半分だ。

 ホワイトハウスの行政管理予算局が発表した新しい詳細案には、8,930億ドルの軍事費に関する基本的な概要しか含まれていない。1,224ページに及ぶこの文書には、総兵力数や兵器購入の詳細については書かれていない。

 ワシントンの予算プロセスはますます細分化されているため、年度をまたいで資金を比較するのは難しい。例えば、空軍省は9月末までの暫定予算措置により、2025会計年度に2,571億ドルを受け取る。議会は2024年4月、ウクライナ戦争への対応資金として空軍と宇宙軍にさらに45億ドルを追加した。

 共和党が主導する税と歳出のパッケージは「One Big Beautiful Bill Act」と呼ばれ、下院を通過し上院の議決を待っているが、2025年から空軍と宇宙軍のプログラムに少なくとも235億ドルが追加される。例えば、対艦ミサイルや軍用住宅に対する法案の広範な条項の下で両軍はさらに数十億ドルを手にする可能性がある。

 ドナルド・トランプ大統領は、2026年に史上初となる1兆ドルの国防予算を要求しているが、そのための手段は税と歳出の措置と2026年予算とで分かれている。補正予算を除けば、要求額は2025年と比較してほぼ横ばいだ。

空軍と宇宙軍予算案の詳細

ホワイトハウスが提案した予算案が承認された場合、空軍予算は2026年度に2,344億ドルに拡大し、宇宙軍予算は264億ドルに縮小する。

 この計画は、ますます大規模化・近代化する中国の軍備に対抗するため、老朽化した軍備を更新しようとする空軍の動きを反映しているが、監視、ミサイル警戒、その他の重要な任務に対する国の戦闘司令部からの高まる需要に対応するため、投資を増やそうという宇宙軍の主張は反映されていない。ドナルド・トランプ大統領が構想しているミサイル防衛シールド「ゴールデン・ドーム」が、どのように予算化されるのかは、この文書からは不明だ。

 空軍参謀総長のデビッド・W・オールヴィン大将は5月20日、上院軍事委員会で、「より多くとは、国家にとってより多くの選択肢、強化された国土防衛、強化された抑止力、比類のない戦力投射を意味します。 「皆さんの支援により、空軍が21世紀を通じてアメリカのパワーの要であり続けることを確実にすることができる」と述べた。

 2026年要求案では、人事勘定への支出は空軍省全体で増加し、空軍士官と衛兵の両方が対象となる。 政権は5月初め、部隊の給与を3.8%引き上げると発表した。

 しかし、航空作戦とメンテナンス用の資金は停滞し、宇宙作戦のための資金はわずかに増加するだろう。 空軍と宇宙空軍の調達資金はわずかに減少し、宇宙技術開発費も減少する。しかし空軍の研究開発費は、次世代航空優勢戦闘機F-47の実現に向けて増加する。 軍事建設費は横ばいである。

要求には以下が含まれる:

空軍

  • 現役兵、空軍州兵、空軍予備役兵のための475億ドル。

  • 空軍の作戦・維持費総額750億ドル

  • 調達に544億ドル

  • 研究開発費521億ドル

  • 軍事建設に45億ドル

宇宙軍

  • 軍事要員に15億ドル

  • 運用・保守に60億ドル

  • 調達に34億ドル

  • 研究開発費155億ドル

 政権は、複数の基地のハリケーン復興、家族向け住宅や環境浄化のための資金を計上する計画を示唆した。

 OMBは、より詳細な国防省予算要求が6月に発表されると約束した。 空軍と宇宙軍の広報担当者は、詳しい情報提供を拒否した。

 空軍・宇宙軍の調整法案における最大の目玉項目は、B-21レイダー爆撃機への45億ドル、「宇宙優勢」構想への40億ドル、F-15EXイーグルII戦闘機増設への32億ドル、空軍準備パッケージへの21億ドル、空中の脅威を追跡できる衛星への20億ドル、センチネル大陸間弾道ミサイル開発継続への15億ドルなどである。 この資金が、基本予算における優先順位の高いプログラムへの支出に取って代わるのか、追加されるのかは不明だ。■


Trump’s Budget Boosts USAF, Cuts Space Force Spending

May 31, 2025 | By Rachel S. Cohen

https://www.airandspaceforces.com/trumps-budget-boosts-usaf-cuts-space-force-spending/




2021年3月10日水曜日

謎の無人シャトル機X-37Bの技術、運用面の意義を大胆に予想。極超音速ミサイルにも有益な宇宙空間での運用技術。次代宇宙機に道を開く存在なのか。

 

 

 

宇宙軍のX-37B軌道上実験無人機の任務そして運用構想とは何か。対衛星攻撃用の宇宙機なのか。飛翔中のミサイルを追尾し撃破できるのか。一向に回答がない中で疑問ばかりがたまっている。

 

ボーイング製の同機は技術成熟度を高め、通常の運用段階に入ろうとしている。NASAのシャトルオービター以来となる地球往還機X-37Bの試験解析をペンタゴンは続けてきた。

 

「地上から指令を受けるとOTVは大気圏再突入を自律的に行い、地上滑走路へ通常の型で着陸する」と米空軍は説明していた。

 

空軍はさらに試行対象の技術として高性能誘導方式・航法制御、熱保護、エイビオニクス、高温対応構造・密閉技術、一体型再利用可能絶縁技術、軽量電気機械式飛行制御、高性能エンジン、高性能素材、自律軌道飛行、再突入着陸機能を列挙していた。

 

 

上記の各技術は検証段階となっており、外部の関心・好奇心を呼んでいる。一部が超高速運用を狙ったものであり、高温度環境も想定しているからだ。「熱保護」は宇宙空間での運用に不可欠だ。大陸間弾道ミサイルや極超音速ミサイルの飛翔を安定させるのに必須な技術となるからだ。さらに、熱保護、熱絶縁技術は今後の有人宇宙飛行にも必要だ。武装有人高速宇宙機が大気圏外からの攻撃手段として将来登場する可能性がある。

 

次に、「高性能素材」は宇宙空間での運用に不可欠だ。機体、部材、推進系を厳しい環境で保護し、宇宙飛行を可能とする。この種の素材技術は急速に成熟化しており、極超音速兵器の基礎となる。飛翔中の安定性を維持する以外に、ミサイルあるいは宇宙機の機体構造の維持にも必要だ。

 

宇宙空間での自律運用機能に大きな意味がある。アルゴリズムの高度化で自律宇宙飛行の幅が広がり、今後無人宇宙装備による衛星通信網が拡大する他、地上からの指令で兵装を発射する機材も登場するだろう。

 

X-37はNASAプロジェクトとして1999年に生まれ、2004年にDARPAへ移管された。■

 

 

この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmail.comへご連絡ください

 

Top Secret: Why No One Knows the X-37B Space Plane’s True Purpose

March 9, 2021  Topic: X-37B  Region: Space  Blog Brand: The Reboot  Tags: X-37BDroneU.S. Air ForceU.S. Space ForceMilitary

by Kris Osborn

 

Kris Osborn is the new Defense Editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University. This article first appeared last year.

Image: Reuters

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