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2021年5月10日月曜日

主張 米国も同盟国も大規模戦闘への準備態勢が不足している。バイデン政権は国内問題に膨大な予算投入するしながら国防問題を軽視してよいのか。

 

ここがポイント:米軍が勝利を収めるためには規模、対応体制、装備品の整備が必要だ。これができなければ敗北する。いずれにせよ、結果は甚大なものとなる。

イデン政権と議会多数派の民主党は国内問題を解決するまで米国の主要競争相手が待ってくれるので、それから防衛力整備をすればよいと本気で考えているのだろうか。政府の資金使途の話を聞くとそんな印象を受けてしまう。

 

バイデン政権は2022年度国防予算で1.7パーセント増を要求しているが、インフレーション分の目減りより少ない増加分だ。一方で、国内支出には16パーセント増を求めている。3兆ドルの新規支出でこれが最上段にある。コロナウィルス大量流行による損失を補おうというものだろう。

 

さらに少なくとも2兆ドルの投入が検討されている。米国内雇用創出構想、全国家庭計画はともに国内の児童福祉、有給家族休暇、大学学費の免除、健康保険補助、一律就学前対応、電気自動車向け給電ステーション、電動スクールバス等々をすべて連邦政府が支出する(つまり納税者の負担で)構想だ。国内にこれだけの予算を向けても、国外に現実に存在する脅威で米国を終焉させかねない脅威への対応は皆無に近い。

 

左翼勢力が好きなことばに米外交の「脱軍事化」がある。外交を巧みに進めれば戦争への準備時間が稼げると本気で思っているのだろう。あるいは必要な事態が発生し、大変な事態となっても米国は同盟国とともにその後に事態を制御できると信じているのだろう。

 

もちろん他国と戦闘では「三回勝負で二回勝てばよい」話にはならない。台湾を巡り中国との対戦に米国が向い、有利に戦局を進めた中国が米国に部隊を再結集し二回戦への準備時間を許すはずがない。同様にイランがイスラエルを攻撃しイランとの対戦になれば、あるいはロシアがバルト海地方の同盟国を遮断し対立となっても同様である。

 

戦闘に向け準備をするのか、しないのか。準備態勢が整っていなければ、軍事面で失態を犯すことになり、他の手段で補うことは不可能だ。

 

ビジネスの世界と明らかに対照的だ。企業は成功失敗を繰り返すが、失敗すれば影響は残る。他企業にシェアを奪われ、社員は失業し、求職者の列に加わる。顧客は別の取引先を探すだけだ。

 

同じ現象はあらゆる場面で見られる。スポーツ、宗教活動、政治家、金銭問題に遭遇する個人等々。ここでのポイントは個人の場合ならいつでも再スタートが可能で、ビジネスでも同様だ。ある個人が、あるいは企業が破綻しても全国民や全企業の破綻につながらない。損失といっても規模はわずかなものだし、その他全体の存続が危険になるわけでもない。

 

戦争となると話は全く別で、一国の国民、生命、生活の存続がかかってくる。強力な軍事力は外交力の裏付けとなり、経済関係を強化し、潜在敵国を押さえつける。また国民の生活状態を引き上げる。軍事力が不足をきたせば、上記すべてでリスクが増大する。

 

軍事費を無制限に増やせ、といっているわけではない。どこまでの軍事力が必要なのか検討することが必要で、このためには真の国益を理解し、危険や脅威を把握し、こうした要因を解決するため必要な要件を理解する必要がある。敵対国が弱小国なら兵力も最小限ですむ。だが強力な敵が十分な軍事力を整備し目的達成のためなら武力行使もいとわない姿勢であれば、強力な部隊を整備し、装備を近代化し即応体制を整える必要がある。

 

米軍の現状を見ると心穏やかにしていられない。米軍兵士に意思や技量が不足しているわけではないが、扱う装備品(艦船、航空機、戦車等)の旧式化が目立ち、数も不足している。装備品の大部分が1980年代1990年代に調達されたものだ。海軍の規模は三十年前の半分近くまで縮小し、空軍の飛行時間は冷戦時なら必要レベルに足りないものだ。陸軍は稼働体制ではそれなりの向上を実現したが、なんといっても部隊数が不足して要求に答えられない。海兵隊も同様で、部隊規模を縮小して浮いた予算で将来の戦闘に必要な能力の実現に充てざるを得ない状況だ。

 

米国が大きな脅威に直面していなければこうした点は問題にならない。だが現実は違う。競合相手はこれまで20年間を使い、新型装備導入、最新技術を取り入れ、演習を通じ部隊を整備し戦技を磨いてきた。

 

他方で米国の同盟各国の部隊は大規模大戦が発生しても活躍できなくなるほど衰退している。例として英国はサイバー、宇宙、特殊作戦を優先し現行部隊を再編成すると発表し、1714年以来最小規模の人員構成となり、海軍はわずか17隻を運用する規模になる。

 

冷戦末期の西ドイツは主力戦車5千両を配備し、東からの脅威に対応していた。今日では300両弱にすぎない。ドイツ、フランス両国の航空作戦は米軍の空中給油や備蓄弾薬なしでは継続できないのが現実である。

 

こうした状況を遺憾に思っても、事実は変わらず、大規模開戦となれば米国は自国の軍事力しか頼るところがなくなる。

 

国防支出に制限を加えようと主張する政治家には必要とされる軍事力整備を支持する姿勢は皆無で、国内支出を優先し、国防支出と農産品価格補助や新エナジー企業向け助成金を同等に扱っている。

 

国内問題向け連邦政府の支出を押さえても、この国の市場活力や企業精神が補ってくれる。また地方自治体が代替策を提供する。だが、国防には代替策がない。米軍は規模、対応体制、装備品をそろえて初めて戦闘に勝利できる。できなければ敗北する。いずれにせよその結果は甚大だ。■

 


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America and Its Allies are Unprepared for the Next Great War


May 8, 2021  Topic: Warfare  Region: Americas  Tags: ChinaTaiwanWarMilitary EquipmentDefense Budget

America and Its Allies are Unprepared for the Next Great War

by Dakota Wood

 

 

Dakota Wood is the senior research fellow for defense programs in The Heritage Foundation’s Center for National Defense.


2018年11月18日日曜日

いま開戦したら米国はロシア、中国に敗北する---米議会委員会報告書

Report: America Could Lose a War Against Russia or China 米国はロシア、中国との次の戦争に勝てないとの報告書

“Put bluntly, the U.S. military could lose the next state-versus-state war it fights.”「率直に言って、米軍は次回の国家間戦で敗北を喫するだろう」
November 15, 2018  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: RussiaChinaMilitaryTechnologyWorldA2/ad


国がロシアあるいは中国と明日開戦したら、米軍は「決定的な軍事敗北」を喫し、米国の「安全と安寧」は「過去最高の危険にさらされる」と警告する報告書がトランプ政権が今年出した国家防衛戦略を批判している。
報告書は議会選出による超党派の国家防衛戦略委員会がまとめ、北ヨーロッパでロシアを相手に米軍事作戦が展開された場合、または台灣を巡り中国を対象にした作戦を実施した場合「甚大な」数の死傷者が軍で発生するのみならず「主要装備」たる艦船、機材その他でも深刻な喪失が発生すると警句を鳴らしている。
-  理由は単純だ。冷戦後の米軍が「危険水域まで規模縮小」し、ロシアや中国の軍事力が米国並みに伸長している中、米国のみが強大な軍事力を行使する時代は終わっているからだ。
-  その結果、ペンタゴンは「航空優勢または制海権を確立する、または失地回復に困難を感じる」はずとし、「高水準装備を備えた敵に対抗するのはとてつもなく困難」と解説。
- 「米軍の遠征作戦では圧倒的威力を有する戦隊を現地に展開するのがこれまでは特徴だったが、いまや実施は圧倒的に困難かつ高価につくようになった」とも述べ、「率直に言って、米軍は次回の国家間戦で敗北を喫するだろう」と結論付けている。
This article originally appeared at Task & Purpose. Follow Task & Purpose on  Twitter

もはや米国は単独で強力な敵に勝てないとの自覚だとすれば、同盟国と力をあわせて「ならず者」国家を制していくしかないということでしょう。国防予算の増額を巡ってときおり米国では自国の軍事力に悲観的な見解がでてきますが、今回はどうでしょうか。