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2025年11月10日月曜日

自律型空中戦闘ドローン「ガンビット」ファミリーに攻撃機仕様が加わる(TWZ)

 

ジェネラル・アトミックスは、連携戦闘機材コンセプトの勢いが高まる中、新型ガンビット6の欧州販売を視野に入れている

General Atomics' Gambit family of drones, with its common modular core ‘chassis’ concept, now has a sixth member optimized for air-to-surface missions, such as attacking hostile air defenses or enemy ships.

ジェネラル・アトミックス

ェネラル・アトミックスのガンビットGambit無人機ファミリーは、共通モジュラーコア「シャーシ」コンセプトを採用しており、このたび敵対的な防空システムや敵艦船への攻撃など、対地任務に最適化された6番目の機種が加わった。同社は新機種ガンビット6の国際販売、特に欧州市場を視野に入れているが、米軍の各部隊も関心を示す可能性がある。最新のガンビット構成は、世界各国の軍隊が忠実なウィングマン型ドローン(現在では連携戦闘機(CCA)とも呼ばれることが多い)の追求を強めていることを強調している。

ガンビット6は昨日、イタリア・ローマで開催された年次国際戦闘機会議で公式デビューを果たした。ジェネラル・アトミックス航空システムズ(GA-ASI)は2022年にガンビットシリーズを初公開し、当時は4機種で構成されていた。昨年にはガンビット5が加わり、これは空母搭載運用を想定している。

GA-ASIのプレスリリースによれば、「ガンビットシリーズは、情報収集・監視・偵察(ISR)、多領域戦闘、高度な訓練、ステルス偵察など多様な任務要件を満たすために設計されたモジュラー型無人航空機ファミリーである。着陸装置、基本アビオニクス、シャーシなど航空機ハードウェアの大部分を占める共通コアプラットフォームを基盤としている。この共通基盤によりコスト削減、相互運用性の向上、そしてガンビット6のような任務特化型バリエーションの開発加速が実現される」。

「多目的プラットフォームであるガンビット6は、電子戦、敵防空網制圧(SEAD)、深部精密攻撃などの任務に最適化されており、進化する防衛ニーズに対応できる汎用性の高い選択肢となる」と同リリースは付け加えている。

本記事冒頭および下部に一部掲載された付随レンダリングには、3機のガンビット6が描かれている。各機が複数のGBU-53/B ストームブレイカー精密誘導爆弾(別名:スモールダイアメーターボムII/SDB II)を投下する様子が示されている。

ジェネラル・アトミックス

ガンビット6のデザインは、少なくとも外観上はジェネラル・アトミックスのYFQ-42Aと類似している。YFQ-42Aは、米空軍CCAプログラムの第1段階(インクリメント1)で現在開発中の無人機2機種のうちの1つだ。もう1つはアンドゥリルのYFQ-44A(別名フューリー)である。ジェネラル・アトミックスは以前、YFQ-42Aが実験用ドローン「XQ-67A」(オフボード・センシング・ステーション)と昨年初飛行したガンビット・ファミリーの先行技術を応用していることを確認している。YFQ-42Aは今年初めに初飛行を完了し、2機目が現在飛行試験中である。

ジェネラル・アトミックスは現在、米海軍向けの概念的CCA設計開発契約を締結した企業の一社でもある。

「ガンビット1は高度なセンシングに最適化されており、現在飛行中のXQ-67A OBSS(オフボード・センシング・ステーション)がその代表例だ」と、ジェネラル・アトミックスの広報担当者C・マーク・ブリンクリーは本誌に語った。「ガンビット2は空対空戦闘に最適化されており、現在複数機が飛行中のYFQ-42Aが代表機だ。適切な兵器を搭載すれば、ガンビット2は多用途機として地上・海上攻撃も遂行可能だが、対地攻撃任務に特化しているわけではない」。

上から順に、ジェネラル・アトミックス社のアベンジャー無人機、実験機XQ-67A、そして最初のYFQ-42A CCAプロトタイプ。 GA-ASI

「YFQ-42Aを含むガンビットシリーズは、電子戦(EW)装備や、電子戦能力を備えた発射効果(無人航空システム)を搭載可能だ」とブリンクリーは付け加えた。

ガンビット3の設計は主に訓練中の「レッドエア」敵機としての役割を想定している。飛翔翼型のガンビット4は、現時点で最も視覚的に特徴的な機種であり、情報収集・監視・偵察(ISR)任務に特化している。前述の通り、ガンビット5は空母搭載型戦闘任務向けに設計されている。

「ガンビット6は空対地/対水上作戦に真に最適化される。外観はガンビット2に似ており、両機ともRF(無線周波数)と光学センサーを利用するため、一般の観察者には差異が判別できないかもしれない」とブリンクリーは付け加えた。「しかしガンビット6内部の任務システムは、地上/水面作戦に特化して微調整されている。ジェネラル・アトミックスは数十年にわたり、地上/水面センシングと攻撃任務で深い経験を蓄積してきた。ガンビット6は電子戦任務や海軍攻撃任務などにも対応可能だ」。全体として「ガンビット6は主に下方監視を主眼とする」という構想だ。

空対空戦闘に特化したCCA型ドローンと同様に、空対地攻撃に焦点を当てた設計は、戦域の特定領域における味方部隊の作戦範囲と遂行能力を拡大すると同時に、有人プラットフォームへのリスクを低減する。説明通り、ガンビット6は敵防空網制圧・破壊任務(SEAD/DEAD)に特に適しており、後続作戦の道を開く支援を行う。

CCA型ドローンが「地上攻撃」任務を担う発想は新しいものではない。米空軍のCCAプログラムは現在空対空任務に重点を置いているが、同軍は将来の空対地攻撃能力や電子戦能力にも関心を示している。米海兵隊が過去に実施したクレイトスXQ-58ヴァルキリーの試験では、F-35統合打撃戦闘機と共同で実施するSEAD/DEAD任務の一環として、電子戦攻撃を特に重視した。今年初め、海兵隊はXQ-58を用いた実験的作業が正式なプログラムへ移行中であり、実戦運用能力の確立を明確に視野に入れていることを確認した。対地攻撃任務は、世界中の他のCCA型プログラムの構成要素でもある。

「世界各国の空軍は、作戦能力を強化し、制圧された環境下で新たな脅威に対処するため、対地攻撃能力を備えたCCAを求めている」とジェネラル・アトミックスのプレスリリースは述べている。「機体は2027年から国際調達が可能となり、欧州向け任務仕様機は2029年に納入予定だ。GA-ASIは欧州全域で産業パートナーシップを構築し、全プラットフォームの主権的能力提供を目指している」

このスケジュールは、空対地任務可能なCCA型ドローンを求めるドイツの要求と特に合致すると指摘されている。昨年、エアバスもドイツ空軍のニーズを明確に視野に入れた忠実なウィングマンドローンを発表した。エアバス社とクラトス社も今年初めに提携を発表し、ドイツ向けにXQ-58ヴァルキリーの派生型を供給する計画だ。

ジェネラル・アトミックスは、ガンビット6で複数の潜在的な海外販売機会を模索していることを明らかにしている。

「多くの国際的な同盟国やパートナーが、地上・水面攻撃に最適化されたCCAへ関心を示している。ガンビット6は国際戦闘機会議初日のローマで発表されたが、参加した軍事代表者からの関心と問い合わせは非常に大きかった」とジェネラル・アトミクスの広報担当者ブリンクリーは本誌に語った。「今週ここで議論の継続を楽しみにしている。当社は新たな国際的機会に向けガンビット6を確実に提案していきます」。

「米国が自国仕様に微調整したガンビット6のバリエーションを調達することを妨げるものは何もない」と彼は付け加えた。「ガンビット5や米海軍の案件に関する追加情報は提供できない。ガンビット5のコンセプトについては、2024年ファーンボロー航空ショー以降、約16ヶ月間議論を続けている」。 

また、海軍による CCA 取り組みに関連して同社が実施中の作業に関する一般的な最新情報について尋ねられ、ブリンクリーは次のように述べた。「現時点では、ガンビット 5 とガンビット 6 の間に具体的な関連性はない。ガンビットシリーズの目的は、手頃な価格で大規模な量産を迅速に実現し、顧客の要求に迅速に対応することである。これらの航空機はいずれも、長年の努力と実証済みの成功を活用しながら、その目的を果たしている」。

CCAタイプのドローンの市場は近年着実に成長しており、その範囲はジェネラル・アトミックスだけにとどまらない。9 月以降だけでも、ロッキード・マーティンの Vectis や Shield AI 社の X-BAT が、この成長分野に参入している。ジェットエンジンを搭載したX-BAT は、特に斬新な設計で、垂直離着陸が可能だ。ガンビット・ファミリーに加え、Vectis、X-BAT、Anduril の Fury などのドローン設計も、今週開催される国際戦闘機会議で展示される予定だ。市場には既にボーイングMQ-28ゴーストバットも存在する。これは元々オーストラリア空軍(RAAF)向けに開発されたものだ。エイビエーション・ウィーク誌は最近、ノースロップ・グラマン子会社スケールド・コンポジッツの新型ドローン設計の存在を明らかにした。現在は単にプロジェクト・ロータスと呼ばれており、これも広義のCCAカテゴリーに分類される可能性がある。

こうした無人航空機に関心を持つのは、米軍や同盟国・パートナー国だけではない。中国でもCCA型ドローンが複数登場している。さらに複数のタイプに及ぶ全翼型無人戦闘航空機(UCAV)など、洗練された機体も多数存在する。

ガンビット6は、この勢いが衰える気配を見せない最新事例となった。

ジョセフ・トレヴィシック

副編集長

ジョセフは2017年初頭より『The War Zone』チームの一員である。それ以前は『War Is Boring』の副編集長を務め、『Small Arms Review』『Small Arms Defense Journal』『ロイター』『We Are the Mighty』『Task & Purpose』など他媒体にも寄稿している。


Strike Variant Joins Gambit Family Of Autonomous Air Combat Drones

General Atomics is eyeing sales of its new Gambit 6 in Europe as momentum behind the Collaborative Combat Aircraft concept grows globally.

Joseph Trevithick

Published Nov 5, 2025 7:13 PM EST

https://www.twz.com/air/strike-variant-joins-gambit-family-of-autonomous-air-combat-drones



  




2021年1月22日金曜日

注目の機体 ジェネラルアトミックスのステルス無人機アヴェンジャーがロッキードのリージョンポッド搭載で敵ステルス機を探知、排除する可能性。忠実なるウィングマンの一例となりそう。

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A General Atomics Avenger drone carrying a Lockheed Martin Legion Pod.

GA-ASI

 

 

ェネラルアトミックスが自社のアヴェンジャー無人機にロッキード・マーティンのリージョンポッドLegion Podを装着し飛行テストを実施した。リージョンポッドは赤外線探知追尾センサー(IRST)を搭載し、遠距離の探知追尾に加え、その他各種センサー装備も搭載可能だ。リージョンポッドの搭載でアヴェンジャーは「忠実なるウィングマン」となり、単独または他の無人機との自律飛行も可能となる。

 

ジェネラルアトミックスの航空機システム部門GS-ASIがフライトテスト実施を2021年1月15日に発表したが、実際の時期・場所は明らかにしていない。フライトは90分間でアヴェンジャー主翼下のパイロンでポッドを搭載した。GA-ASIはロッキード・マーティンとの共同作業は「コンセプトから飛行まで」三ヶ月未満で実施できたという。

 

GA-ASI

フライトテストでロッキード・マーティン製リージョンポッドを搭載したジェネラルアトミックスのアヴェンジャー無人機。

 

 

「今回の飛行実証でアヴェンジャーRPA(遠隔操縦機)は迅速反応性能を示した」とGA-ASI副社長戦略開発担当J.R.レイドが報道資料で述べている。「アヴェンジャーはソフトウェア、ハードウェアでセンサーを統合し必要とされる性能を発揮できる偉大な機体になった」

 

ロッキード・マーティンのミサイル火器管制装備開発部門で固定翼センサー事業を担当するケネン・ネルソンは「アヴェンジャーRPAへのリージョンポッド搭載でリージョンポッドシステムの柔軟対応能力の一例となり、戦闘機から無人機まで対象に防御機能を改めて実証できた」とコメントしている。

 

リージョンポッドのアヴェンジャー搭載が両社の独自企画なのか発注元の要望に沿うものかも不明だ。1月6日、GA-ASIから別の発表があり、空軍が改装アヴェンジャー2機を借り上げ、スカイボーグ事業の代理機にするとあった。

 

この2機は「改良型データリンクとスカイボーグ・システム・デザインエージェント(SDA)の中核ソフトウェア含むペイロード」を搭載すると同社は発表。「両機は2021年2022年にわたり各種試験に投入され、有人機からアヴェンジャーを操作し、有人・無人機間でデータ情報を交換する」とある。

 

スカイボーグは空軍研究本部(AFRL)が統括し、人工知能(AI)による「忠実なるウィングマン」無人機の制御に加え、完全自律運用無人戦闘航空機(UCAV)の実現を最終的にめざす。

 

2020年12月にGA-ASIはボーイングクレイトスと並び個別契約交付を受け、スカイボーグシステム搭載新型試作無人機を開発する。空軍が昨年公表した映像の無人機モデルは機首にIRSTセンサーを搭載している。

 

同じく2020年12月に同社は国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)が開発のソフトウェアをアヴェンジャーに搭載しフライトテストを実施したと発表していた。テストでは半自律飛行のアヴェンジャー5機と模擬空対空戦を行い、脅威対象の探査も行った。

 

アヴェンジャーは機内兵装庫で空対空兵器が運用でき、リージョンポッドも搭載すれば空対空戦用機材になる。ポッドにはデータリンクが付き、敵機情報を有人・無人機に伝える。IRST21センサーは標的情報の発信も可能で、IRST21搭載機が複数あれば三角測量で正確に把握でき、忠実なるウィングマンや自律飛行無人機の仕事を助ける。

 

IRSTはパッシブ方式なので敵機は探知されていることに気づけない。同時にIRST運用機の存在、位置を示さない。レーダーに代わる手段として電子ジャミング環境でも敵機探知が可能となり、ステルス機材やミサイルのレーダー波回避機能にも影響を受けない。

 

リージョンポッドはモジュラー方式のオープンアーキテクチャー構造なので性能の追加が可能だ。

 

LOCKHEED MARTIN

ロッキード・マーティンはリージョンポッドの性能を紹介している。 

 

以上まとめれば、リージョンポッドのアヴェンジャー搭載で新しい可能性が広がることになる。また空軍が期待するスカイボーグ性能の一端がわかる。

 

ステルス、ネットワーク化無人機にIRSTを搭載すれば敵陣営の高性能ステルス機も脅威に感じるようになる。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

General Atomics' Stealthy Avenger Drone Flies With Infrared Search And Track Pod

BY JOSEPH TREVITHICK JANUARY 15, 2021

 


2020年10月1日木曜日

無人機を母機とする小型無人機スパローホークを発表したジェネラルアトミックス

 

ェネラルアトミックスの新型無人機は別の無人機を母機から発進回収される。 

米無人機製造分野で大きな存在感を誇るジェネラルアトミックスが開発中案件として新型無人機構想を発表した。同機はスパローホークスと呼ばれこれまでにない特徴を有する。

 

同社によればスパローホークは小型無人航空装備で「空中発射回収技術の実証機」として母機となる大型無人機ないし別機種から運用する。

 

小型無人機は母機の機能を拡張する役目を果たすと同社広報資料にある。ジェネラルアトミックス社長のデイヴィッド・アレクサンダーは「スパローホークによりMQ-9が搭載するセンサーの能力が拡大され、省人化を進めながらISR有効範囲が広がる】と説明。

 

同機はまだ量産に入っていないが、折り畳み式主翼で機体全体は180度回転し飛行中の空力学的効果を狙う。

 

 

ジェネラルアトミックス説明ではスパローホークはグレムリン事業で製造するとある。これはDARPAの極秘事業で「UAV複数を既存の爆撃機や輸送機から発進させるねらいがある。母機は戦闘機や小型の機体でも対応可能とし、敵防空網の外から発進させる。

 

DARPAの説明では「グレムリンはミッションを完了すると、C-130が空中で回収し基地に戻る。基地で要員は24時間以内に次のミッションへ送り出す」とある。

 

安価な小型消耗品扱いの戦闘機が登場すればその利点は明らかだ。保守点検費用以外に航空要員の生命の危険を減らすメリットには大きなものがある。

 

ジェネラルアトミックスはリーパー、プレデターのメーカーとして有名だ。両機は米国の海外戦闘ミッションで不可欠な存在だ。だが、両機は長年供用されており、そろそろ後継機種が必要となってきた。

 

ジェネラルアトミックスが公開したのはスパローホーク以外にもあり、同社発表の想像図を見るとこの無人機はステルス全翼機のようで同社には初の試みとなる。同社によればこの無人機の特徴は長時間滞空性能だという。

 

無人機の老舗ジェネラルアトミックスはステルス無人機、無人機を母機とする無人機のほかにも隠し玉があるように見える。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

 

Sparrowhawk: This Drone Can Be Launched from the Air and Recovered by a Mothership

 

September 30, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: DroneMilitaryTechnologyGeneral AtomicsWar

by Caleb LarsonCaleb Larson is a defense writer with the National Interest. He holds a Master of Public Policy and covers U.S. and Russian security, European defense issues, and German politics and culture.

Image: General Atomic


2020年3月2日月曜日

米空軍がMQ-9リーパー調達を終了する背景

米空軍がMQ-9リーパー調達を突如終了し、新型無人機調達に切り替えか
これまでジェネラルアトミックスが米無人機生産の中心だったが、戦術面の現実の前にこれも変わりそうだ。

第432航空団所属のMQ-9 リーパーと運行に当たる隊員がネヴァダの夕日の中に立つ。432ND WING PUBLIC AFFAIRS—PUBLIC DOMAIN


空軍の2021年度予算要求でMQ-9リーパー無人機の最終購入24機が盛り込まれている。これまで生産はまだ5年は続くと見られており、363機のMQ-9調達になると予想されていた。突然の変更には深い意味がある。まず、メーカーのジェネラルアトミックスには急な話でありとても歓迎できない話だ。二番目に空軍もやっと無人戦闘航空機の残存性に優先順位を認めたということだ。超大国間の戦闘で無人機にも大きな役割を期待される。 

MQ-9の生産継続に黄色信号がついたのをAir Force Magazineが2020年2月26日に伝えており、ジェネラルアトミックス副社長クリス・パーソンが同社の状況に触れていた。

「突然の生産ライン閉鎖ですが次への展望がないまま、情報偵察部門にも混乱が生まれます。この影響はゆくゆく戦闘の第一線に現れますよ。この機体は訓練用じゃないんです....当社は納入の22ヶ月前からリードタイムの長い部品を手当してるんです....衛星受信機やエンジンとか....政府にも最適価格を提供してきたんです」

サプライチェーンに投資する中で突然はしごを外された格好...生産画境中止になればすぐ影響が出ますよ。雇用にも。解雇やレイオフとなれば新機種を生産しようとしても必要な技能職がすぐ見つからなくなります」

ジェネラルアトミクスにはとても郎報といえない。同社にはリーパー派生型のスカイガーディアン事業もあり、通常の航空交通の中を飛び、40時間連続飛行や高度50千フィートまでの運用性能がある。だが、リーパー生産ラインが閉鎖されれば空軍の遠隔操縦機調達での同社の独壇場も終わりを告げることになる。MQ-9は空軍の戦闘用無人機部隊で中心的存在だ。


GENERAL ATOMICS
スカイガーディアン


また同社はエル・ミラージュに巨大な新設備を完工したばかりだ。新施設には120千平方フィートの大格納庫があり、スカイガーディアン事業のために建設したといわれるが、それだけでは大きすぎる規模だ。


GOOGLE EARTH
ジェネラルアトミックスのエルミラージュ施設。2018年撮影。巨大施設が同社事業所の東端に建設された。
PHOTO © 2020 PLANET LABS INC. ALL RIGHTS RESERVED. REPRINTED BY PERMISSION


スカイガーディアンを現時点で発注しているのは英国空軍とベルギーで、オーストラリア空軍も導入の意向ありといわれ、その他数カ国も関心を示している。
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MQ-9では米海軍が2020年度予算で海兵隊向けに2機調達したのがめだち、2021年度にも3機を導入する予定だった。

同時に空軍は委託業者によるオービット、つまり無人機による常時上空飛行の回数も減らす。無人機4機と運用チームによるオービットは現行の70が60に減らされる。


USAF
ジェネラルアトミックス保有の MQ-9が米空軍向け委託事業でポーランドのミロスラヴィエック 航空基地滑走路をタキシー中。2019年3月撮影。

米陸軍向けMQ-1Cグレイイーグルもプレデター・リーパーファミリーの一部で同じく生産が終わりに向かっている。陸軍の調達は2020年度でわずか9機、2021年度はゼロだ。

MQ-9は米国税関国境防備隊も使っており、ジェネラルアトミックスが同機につけたプレデターBの名称をそのまま使っている。NASAでは科学調査用途に二機を運用している。Air Force Magazineでは同社は小口需要にはスカイガーディアンに変更してもらい、1機種の生産に集中することで性能、価格面で効果が生まれると希望しているとのことだ。

今回の米空軍の動きの背景には互角の戦力を有する相手との戦いで機材には十分な残存性が必要と判断していることがある。MQ-9は高性能無人機で兵器「トラック」になるが、低速で、敵防空体制の前に脆弱と指摘されてきた。非国家勢力が相手の場合でも同様だ。

MQ-9に残存性をもっと与えようと空対空ミサイル、電子戦装備、対地攻撃手段まで搭載する案が検討されてきたが、これらを搭載したところで、大国同士の戦闘では同機の性能に限定がつく。 


読者の皆さんはもうご存知だろうが、空軍は自律性能に優れ、高速飛行しながら探知されにくい戦闘無人航空機(UCAVs)の調達を2000年代初期からめざしている。だがステルスUCAVの構想そのものが最初からなかったようにも見える。

構想が極秘のうちに結果を生んでいるのか、中途放棄されたのかは不明だが、いずれにせよ未だに姿を見せていないのは米国の安全保障に大きな影響が出ていることを意味する。


BOEING
ボーイングX-45Cが当初大いに期待されながら採用されなかったのは、別の極秘機の性能がさらに先を行っているため、あるいは空軍がそもそも開発を取り消したためか。

米国の敵陣営も技術開発を続けている。地政学の要因と戦闘の様相が変化していることから空軍もついに残存性が高い戦闘無人機の開発に乗り出すことにしたようだ。ジェネラルアトミックスもこの変化に気づいており、次世代機の開発に乗り出しているようだ。

「MQ-9が現時点の機材なら、次世代機はもっと厳しい空域でも生き残れる機体にないrますよ。まだ正式要求はでていませんが、当然でてくると予測して手をうつことになります」とパーソンも語る。

Air Force Magazineによればパーソンは新型機構想があるのか明白に述べていないが、同社のQ-11つまりプレデターC別名アベンジャーより新しい構想になると述べている。


GENERAL ATOMICS
プレデターA、B、Cの各型。それぞれ、プレデター、リーパー、アヴェンジャーの名称もつく。 

アヴェンジャーは2009年初飛行しており、機体サイズが大型化しながら低視認性(ステルス)も兼ねそなているが、大口顧客の関心を集めていない。数機がアフガニスタンやシリアに投入されている。その際の評価は不明だが、残存性の高さが有効に活用された作戦があったようだ。

Q-11の運用面は極秘情報扱いだ。一部機材が中央情報局関連で運用されているようだ。アヴェンジャーの性能でも優秀な装備を運用する互角戦力を持った超大国相手では不足するので、ジェネラルアトミックスはアヴェンジャーを大幅に超えた新型機を登場させるようだ。

他方で消耗品扱いを覚悟すれば安価に調達できそうだ。低価格には魅力があるが、それでもある程度残存性があるのなら有人機との共同作戦に投入できそうだ。有人機を高高度高速飛行可能で長距離をカバーする兵装とセンサーの「トラック」にする。同社が次回に提示する新型機がこのすきま解決手段となるかもしれない。



USAF
重武装したMQ-9 が海外で運用されている。

ジェネラルアトミックスは海軍向けのMQ-25空母運用空中給油機(CBARS) の受注を逃したが、これまでの主力製品の調達をDoDが中止すれば、再度この分野の事業を立て直す必要がが出てくる。遠隔操縦機による戦闘作戦は同社が作ったと言っても過言ではない。このまま競合他社を前にしながら同社が姿を消すとはとても思えない。ロッキード・マーティンクレイトス他はこの機会を逃さないだろう。そこで同社が建設したエル・ミラージュ施設で機密性の高い事業が展開されるのではないか。

空軍がリーパー調達を打ち切りたいとしても議会承認が必要な点が重要だ。MQ-9各機は今後数十年にわたり重要な任務につく。

いずれにせよ、空軍の遠隔操縦機の重要な機種で生産が終わるというのはステルス無人航空機ほか残存性が高い機材の調達に空軍が本腰となったことを意味するのだろう。


この記事は以下から再構成したものです。
Abrupt End Of Air Force MQ-9 Reaper Buys Points To New Focus On Survivable Drones
General Atomics has supplied the backbone of America's drone force for decades. Now that may be ending due to stark tactical realities. 
BY TYLER ROGOWAYFEBRUARY 27, 2020
THE WAR ZONE