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2022年8月16日火曜日

米空軍F-35Aが飛行業務再開。射出座席部品の再検査終了。ただし、米海軍にも同じ部品が供給されており、こちらは点検が終わっていない模様

 





NAVAIR


射出座席の推進システムの懸念のため、F-35は7月29日から飛行を停止していた



米空軍は、F-35の射出座席の安全審査が終了したことを受け、F-35を通常運用に復帰させた。

7月29日付のBreaking Defenseでは、航空戦闘軍団がF-35Aの全機について、カートリッジ作動装置CAD(緊急時に機外脱出するための爆発物)の不具合の可能性を指摘し、点検のために待機を命じたと初めて報じた。国防総省によると、マーティン・ベーカーの射出座席に使われているCADの一部の製造ロットに欠陥があり、交換が必要であるの同社が確認したという。

 当時は、CADに問題があるシートの数や交換にかかる工数などは不明だった。空軍のF-35Aについては、一部CADが「疑いあり」と認定されたが、後に問題なしと判断されたことが判明した。

 ACC広報官エリカ・フィーハン少佐は、8月15日の声明で「空軍は、一部を除き、すべてのF-35射出座席イニシエータカートリッジの時間遵守技術指令を完了し、全機が通常運用を再開した」と述べた。「空軍全体で、349機のF-35と追加供給分合計706個のカートリッジを検査した。カートリッジ4個が疑わしいと判断され、交換された。該当カートリッジは、その後、追加検査を受け、適合と判断された」と述べた。

 フィーハン少佐は、デポ内の機体はまだ検査を受けていないが、飛行状態に戻る前に検査を受けると付け加えた。

 CAD問題は、F-35だけにとどまらない。海軍はF/A-18B/C/Dホーネット、F/A-18E/Fスーパーホーネット、E/A-18Gグラウラー、T-45ゴーショーク、F-5タイガーII練習機の「限られたロット番号」を問題視し飛行を停止している。■



US Air Force F-35s return to service after ejection seat inspections

By   AARON MEHTA

on August 15, 2022 at 1:07 PM

https://breakingdefense.com/2022/08/us-air-force-f-35s-return-to-service-after-ejection-seat-inspections


2021年12月3日金曜日

新型練習機T-7Aレッドテイルの運用が始まらないのに,米空軍が新型練習機の企画を始めたのはなぜか。ヒント F-35の時間当たり飛行経費は35千ドル程度。

  

空軍は第五世代機パイロット養成のためT-7Aレッドホークに期待を寄せているが、航空戦闘軍団は高性能戦術練習機構想の検討を始めている。 (Boeing)

 

空軍が新型練習機の検討に入っている。第四世代機第五世代機の特性を再現し、新米パイロットを鍛える機体だ。

 

 

これはT-7Aレッドホークのことではない。別の機体だ。おそらく。空軍が10月12日に公表した情報開示請求では高性能戦術練習機(Advanced Tactical Trainer, ATT)と位置付けている。だがT-7の一号機納入が2023年に予定される中、空軍は早くも別の、あるいは類似した練習機へ関心を寄せているという、外部には理解に苦しむ事態となっている。

 

政府監視団体Project on Government Oversightのダン・グレイジアDan Grazierによれば空軍が別機種の練習機を模索していることから戦略方針と優先順位付けに問題があること、T-7自体に問題があるのだろうと見ている。

 

グレイジアは11月29日本誌取材で答えた。「今回の動きの裏に空軍が伝えたくない内容があると見ています」

 

2018年に空軍から92億ドル契約がボーイングに交付され、次世代練習機T-7Aレッドホーク351機の調達が決まった。デジタルエンジニアリングを駆使し、オープンアーキテクチャを採用したほか、各種の画期的な設計技術で同機は期待を集め、迅速かつ高効率の機体開発の新モデルになるとされた。

 

ボーイングは航空戦闘軍団が求める高等練習機の実現に向かい、T-7は各種ニーズにこたえるべく進化するとの声明文を出している。

 

「デジタルを出発点にT-7は今後の成長を盛り込んだ設計になっています」「今後のT-7の成長への道は航空戦闘軍団が求めるATTの方向性に合致しています」

 

T-7はT-38練習機の後継機種となり、1960年代供用開始したT-38では最近墜落事故がよく発生している。ただし、新鋭F-22、F-35両戦闘機はT-38で想定する性能をはるかに超えている。

 

「T-38には高性能のエイビオニクス、探知機能、処理機能をもつ新鋭機と乖離が大きくなっており、溝を埋めるのが大変だ」とACC司令マーク・ケリー大将も10月25日のミッチェル研究所主催イベントで発言していた。

 

ケリー大将によればT-7は空軍教育訓練軍団で最若年パイロットに飛行の基本を教える任務に投入する。

 

「ACCパイロット候補生には1964年製のT-38と2021年製のF-35のへだたりの大きさを感じさせない機体が必要だ」

 

ケリー大将もT-7ならACCの各種ニーズにこたえられ、導入機数を増やすべきとみている。だが同時にT-7の増産以外の新型機の実現も可能性があるとした。

 

ACCの戦闘機パイロット訓練に必要な追加機能が欲しいとし、T-7の要求内容にないものだという。

 

ケリー大将はさらにその内容としてセンサー活用の拡大、ミッション時間延長のため燃料消費効率の向上、アフターバーナー使用時間の延長が例だという。また兵装運用の基本計算能力やシミュレーション再現能力により脅威対象への対応ぶりをパイロットに教える機能も必要とする。

 

「こうした機能は当初のT-7要求内容にはなかった」とし、「このためT-7を批判しているのではない。要望通りの機体に仕上げてくれた。だが戦闘機乗りの養成ニーズに合わなくなる事態があり得る」

 

戦闘航空軍団はDefense Newsの取材申し込みを拒否したが、文書による回答で提案されている練習機の要求内容はT-7と異なり、ACCの求める戦闘機パイロット養成を最高度の効率効果で実現するものと伝えてきた。

 

「ATTの目標は実機を再現した訓練機会をパイロット候補生に与え、実戦部隊での活躍を可能とすることで、作戦機材による訓練時間を削減すること」とACCは11月23日にメールで伝えてきた。

 

ATTによりパイロットは「学んだ技量を伝えるられる」用になりミッション訓練に費やす時間を短縮化しつつ実戦に備えることが可能となるというのがACCの言いぶりだ。

 

願望とニーズのせめぎあい

 

空軍はまず10月12日に高性能戦術訓練機の情報開示(RFI)を求める公告を発表し、航空戦闘軍団の求める戦術訓練に供することをめざした。RFIでは敵勢力の航空支援に触れ、演習で敵側を演じる、また既存また今後登場する機体の役を演じることに触れている。

 

11月9日には質疑応答が掲載され、ACCが望む練習機の詳細情報がわかる。兵装は訓練用途のみだが、実際の投下は想定していない。また第四第五世代機の性能を再現する性能を求めており、遷音速加速を想定しているようだ。

 

ACCはこの質疑応答で実機の代わりに今回提案の練習機を投入することで一人前のパイロット養成の所要時間を12-18カ月削減する効果を期待しているとある。

 

ただ今後の国防予算が厳しくなる観測の中で、九軍関係者から厳しい予算選択を覚悟する発言が続いており、機材の取捨選択は避けられないとし、グレイジアは別の練習機を調達する余地が少ないことを認める。

 

「ニーズというより願望に聞こえる」(グレイジア)

 

戦略国際研究所の航空宇宙安全保障部門長トッド・ハリソンTodd HarrisonはRFIを見ると「すでに調達事業が動き出している中で空軍に新たな機体を入手する余裕があるのだろうかと悩ましくなる」と述べている。

 

T-7の改修に向かうのか


空軍の情報開示請求で別の練習機を想定しているからといって全く別の機体を今から作ろうとしているとは限らないとハリソンは見ている。

 

逆にボーイングT-7Aを改良するアイディアを集め、F-35の飛行時間を節約するためT-7Aの投入を増やそうとしているのではないかというのだ。

 

「ボーイングにはプレッシャーとなります。T-7Aで新たな要求内容を実現することになりますから」とハリソンは述べ、「ボーイングとしては別の練習機が登場しせっかく確保してもらった予算が取り合いとなるのは見たくないはずです」

 

T-7はもともと簡単にアップグレードできる想定で、必要に応じて新たな任務に適応できるとハリソンは指摘。また空軍が調達機数を増やせば、ボーイングにはATT要求内容に呼応した改良にはずみがつくはずという。

 

だがもしT-7でACCの要求水準が実現できなれば、空軍は逆に同機事業にブレーキをかける可能性が出るとグレイジアは見ている。

 

「つまり、T-7Aでは要求通りの実現が不可能だとわかった場合です。その場合でも引き続きT-7Aを続けるわけにはいかなくなるのでは」(グレイジア)

 

ヘリテージ財団で国防政策を専門とするジョン・ベナブルJohn Venableは戦闘機パイロットの経歴を有し、こう言っている。別機種の練習機の実現をめざすのは「意味がない」とし、空軍が練習機の必要な条件として想定内容とT-7の実際にギャップがある証拠だろう。

 

「ボーイングがT-7で想定したRFIの性能をすべて実現しているのなら、同機を改良すればいいだけの話です」(ベナブル)

 

空軍が第一線配備の戦闘機を使わずに戦闘機パイロットを訓練したいと考えるのは自然な流れだ。とくにF-35の運行経費が予想以上に高くなっていることを考慮すれば。ハリソンはこう述べている。「戦闘機の消耗、疲労を抑えたいと考えているのだろう」

 

ACCもATTが複座機で新米パイロットが後部座席の経験者からいろいろ教わる効果を期待しているはずとハリソンは見ている。第五世代機のF-22やF-35はそれぞれ単座機だ。

 

また、ケリー大将もACCにはF-35より低コストで運用できる訓練機材が必要とみている。F-35の時間当たり運航経費は34千から36千ドルになっている。

 

「時間あたり20千ドルの機体ではなく、2千ドル3千ドル程度の経費でかつ最新エイビオニクスに近い装備を備えた機体が欲しい」

 

だがこの問題は空軍が保有する戦闘機機材構成に行き当たるとグレイジアは指摘する。

 

「別の練習機の調達を目指せば現行戦闘機各種の機体構造が浮上します。完全新型の練習機を目指せば、予算上で調達は困難となるはずです」■

 

 

With T-7 on the way, why is ACC eyeing a new trainer?

By Stephen Losey

 Dec 1, 11:00 PM


2020年6月29日月曜日

★★動き始めたReforge構想、まず訓練用F-22の用途変更、しかし各機種でトラブル続出



F-22 Raptor

空軍でパイロット養成に使用中の旧型F-22ラプター一部を戦闘対応機材に再区分する可能性が浮上している。航空戦闘軍団司令マイク・ホームズ大将が機材の稼働率向上策として言及している。


「初期生産ブロックのF-22は後期型並に改修しなくても十分戦闘に対応可能な機体だ。戦闘投入するならレガシー機材よりラプターを選択するのは明らかだ」とホームズ大将はミッチェル研究所で語った。「戦闘機訓練部隊の要求内容を減らせば、訓練用機材の一部を実戦対応に転換できる」


また正規訓練部隊(FTU)の一部を戦闘任務に転用するには、進めようとしている「リフォージ」つまり鍛錬再構築の訓練再構築構想を使えば可能とも述べた。リフォージには戦闘機パイロット養成期間を半減させる狙いがある。


ただし、ホームズ大将は用途変更について「航空戦闘軍団内部の検討対象にすぎない」とし、実際に何機を転用するか触れなかった。目標は「予算を使わずにどこまで多くの戦力を確保できるか」だという。
ラプターについて現時点の「課題は要求に対応できるエンジン数の確保で、F-22は想定以上の稼働になっているからだ」とする。特に、空軍はF-22をシリアで「想定外の用途に」投入しているという。


ただしホームズ大将はエンジン不足問題に関し悲観していない。メーカーのプラット・アンド・ホイットニーと対処中という。


空軍は機材近代化のニーズと経年化が進む機材の維持コストのバランスに苦慮しているが、各戦闘指揮官からはロシア、中国の挑戦に対し航空兵力への需要は強まるばかりだ。「戦力規模と近代化の両方にはさまれた格好だ」とホームズも認める。


機材維持でF-22エンジン問題以外に以下の課題をホームズが指摘した。
  • F-15:キャノピーシルのロンジロンに亀裂が見つかっており、機体にキャノピーを固定する重要部材で安全に関係する。「摩耗しており、耐用年数を超えたため交換が必要だがその間は機材が利用できなくなる」(ホームズ大将)
  • A-10ウォートホグ:各機の主翼で交換が必要な状態。
  • F-16ファイティング・ファルコン:ホームズ大将は耐用年数は残るものの「近代化改修を相当しないと現在の脅威に対応できない」とし、改修すれば長期間稼働不能となる。
  • F-35共用打撃戦闘機:主契約企業ロッキード・マーティンは部品不足のため生産維持に苦慮しているが、空軍は同機で稼働率が向上しており楽観視している。同機についてホームズ大将は「負担可能な経費で長期にわたり維持する方法を模索する」のが課題としている。
  • 情報収集監視偵察(ISR)用途機材ではボーイング707を原型とするE-8JSTARSやAWACSがあるが、エンジン不足に悩み、エンジン換装となれば整備時間が必要となる。


空軍には議会の反発も立ちふさがる。議会はA-10など既存機種の用途廃止には常に反発し、近代化改修経費が犠牲になっている。優先度が高いのが共用全ドメイン指揮統制(JADC2)事業で「全攻撃機材の各センサー」をつなぎ、全ドメイン作戦を実行可能にする構想だ。


例として上院軍事委員会の2021年度版国家防衛認可法案ではA-10退役を禁じており、作戦可能戦力として386飛行隊体制の維持を空軍に求めている。(現在の空軍の飛行隊総数はこれ以下)


ホームズ大将も戦闘司令部の要求内容に議会が理解と懸念を示してくれるのはありがたいとしながらも、必要な近代化改修を進め脅威へ対応することと現行の戦力維持の二律背反は解決する必要があると述べた。


「要求内容は多岐にわたり、使える手段をすべて使っても足りない」「近代化改修に優先順位を付ける必要がある」と述べた。


この記事は以下を再構成したものです。


Air Force Eyes Moving Older F-22s From Training To Combat Units


on June 22, 2020 at 6:14 PM

2020年6月22日月曜日

USAF: 戦闘機パイロット養成期間の大幅短縮に向けた改革案出る

空軍は新しい戦闘機パイロット養成課程をテストし、パイロット学生から戦闘機パイロットへの養成期間を現状の40ヶ月から22ヶ月に短縮したいとする。
新運用コンセプト(CONOPS)では新練習機ボーイングT-7レッドホークを仮想現実や人工知能を導入したシミュレーションと組み合わせ期間短縮をめざす。
「鍛錬再構築」を短く “Reforge”と呼ぶCONOPSは6月2日に航空戦闘軍団司令マイク・ホームズ大将が署名し、好結果と確認されれば、戦闘機パイロット養成で1950年代以降最大規模の変革となる。1980年代に導入した専門パイロット学生養成訓練課程Specialized Undergraduate Pilot Training(SUPT)もここまで大きな変革ではなかった。
新制度では戦闘機材パイロット誕生までの期間を将来は18ヶ月まで短縮するねらいがある。
上)ボーイングT-7レッドホークの「グラスコックピット」では表示設定が変更可能で実際と同じセンサー操作や兵装投下を訓練できる。下)T-38Cでもデジタル改修が進んだが、アナログ計器が多数残り、高度な訓練は実施できない。Boeing video screenshot and USAF photo.
現行の教育科目構成は60年供用中のT-38が前提のため、新制度では不足部分を補うことに加え、第一線機材を使った飛行時間を可能とし、現実世界に対応させる。新CONOPSでは仮想現実、シミュレーション技術に加え、T-7レッドホーク高等練習機が有するインフライトシミュレーション機能も活用する。ボーイングは機体製造以外に教材となるコースウェアとシミュレーターも製造する。
新CONPSではT-7の追加引き渡しを前提とている。現行契約ではオプション調達100機が想定され、341機の契約規模を増やせる。Reforgeで必要なT-7はパイロット学生訓練用の機材と別の制式名称TF-7(例)となり、エンジニアリング開発で別の存在となろう。 
専門パイロット学生養成課程の所要期間は現在12ヶ月。その後、戦闘機パイロットをめざすものは戦闘機基礎コースFighter Fundamentalsに進み、T-38操縦後に正式訓練部隊Formal Training Unit (FTU)で戦闘機を操縦する。全体で40ヶ月かけて配属場所を異動しながら戦闘機パイロット資格を得る。新規CONOPSでは初期戦術訓練コース Initial Tactical Training Course(ITT)として現行2課程を統合し、約1年分を短縮する。
ITT修了生の戦闘機パイロット資格取得は「半分の時間で可能」とACCは見ている。正式訓練部隊への配属時点で「戦術技量は高くなっており」高価格ハイエンド戦闘機で教えるべき内容を大幅に減らせるという。
新構想での経費節減効果は未実証だが、費用削減が目標ではないとACCでCONOPSを共同執筆したデイヴィッド・ティムは述べている。.”
「F-22部隊では飛行回数の6割7割を新人パイロットへの基本技量や能力向上訓練に使っている」とティムは指摘。「同じ内容を早期に教えれば、高度内容の訓練を50%減らせるし、F-22の飛行回数の6割をFTU訓練に使い、浮いた時間を戦闘訓練に使える」
新CONOPSではFTU訓練時間を半減し、パイロット養成規模を2倍にする。これで空軍のパイロット不足を解消したいとティムは述べる。
「時間短縮が狙いではない。有効活用が狙いだ」とルーク・シュナイダー中佐もCONOPS共同執筆者として述べている。「時間を削っても、稼働体制がそのまま増加するわけではない」(シュナイダー)狙いは浮いた時間の有効活用で、「離着陸の仕方」を教えるかわりに、機体の性能をフルに発揮する方法をパイロットに教える。
今回のCONOPSは戦闘機パイロット養成再構築の第一歩であり、現行課程が「現在の状況に適合しておらず将来も同様」の状況だとティムは説明。戦闘機部隊が基本技能訓練に時間を取られると超大国間戦に向けた準備ができず実戦で機能しなくなると言う。
ITT課程では拡張現実、仮想現実、人工知能を応用した内容を加え、パイロットが最適な内容を学ぶ機会を増やす。シュナイダー中佐はAIで個人別教程が実現し、習得済みの学生には飛行回数やシミュレーター使用を減らし、かわりに必要分野の時間数を増やせると見ている。シミュレーションで現実を忠実に再現しているため、実機使用よりずっと安価に進められる。
技術の進歩によりセンサー信号多数を合成して単純な戦術表示が実用化され、操縦は簡単になったとCONOPSは指摘。シュナイダー中佐はT-7は各種機材を「模倣」できると発言している。パイロット学生は電子装置で訓練を受け快適に学習しながら高度技術を体得でき、ここでも訓練時間短縮が可能となる。これに対しT-38では「大量の時間をかけ学生が死なないよう指導している」という。
空軍は Reforge Proof of Concept (RFX) でCONOPSを試す。3月にはロッキード/韓国航空宇宙工業T-50高等練習機あるいはレオナードM346練習機をリースし、5年の予定でCONOPSのテスト・実証をを開始した。機材選定は現在進行中だがReforge のテスト基地は未定だ。まず教官パイロットを対象にモデルを仕上げていく。
ホームズ大将は「T-7量産が始まるまで実証を待てない」様子だとシュナイダー中佐は述べており、「8機の借り上げ....はPOMで想定外の出費」と予算関連文書の計画目的覚書rogram Objective Memorandaに言及している。契約を成立させRFXを実施に移すのがReforgeの「次の段階」だという。
戦闘機パイロット養成時間の大幅短縮以外に訓練期間中の配属基地異動を減らしパイロット学生が安定感を得られる。飛行資格の取得後に異動し、ITTは飛行隊基地で行う。
ACCが求める稼働率並びにパイロット養成目標の達成に直結するのはReforgeしかないと同文書にある。
共同執筆者は新技術の利用に加え、深刻になってきたパイロット不足も解決できるとする。「戦闘機パイロット養成に長時間かかっているだけでなく、定着も十分でないのが現状」と見ている。
パイロット不足には養成、吸収、定着の「3つの観点がある」とシュナイダー中佐は説明。Reforgeは各解決策として新規パイロット数を増加し、短時間で経験値を高め、配属異動頻度を減らし、生活の質を高めて定着を図る。
今日のパイロットは15年前と同等の飛行時間を計上できず、「戦闘部隊に配属された時点で飛行時間も経験値も十分でない」という。これがその後の制約となる。「編隊長を未経験だと、次の任務が大きく制約される」ので、Reforgeでこの問題に取り組み、解決できれば空軍に定着し、キャリア上の不満も減るはずとする。
パイロット次期訓練PTNの一環でパイロット学生が仮想現実技術を応用したフライトシミュレーターで訓練中。2020年3月5日。テキサス州サンアントニオ-ランドルフ共用基地にて。PTNは空軍教育訓練軍団の進める訓練再構築の一部である。Photo: Sarayuth Pinthong/USAF
今回のCONOPSは戦闘機パイロット養成だけに焦点を当てている。空軍教育訓練軍団(AETC)の養成課程の変更や中止は求めていない。ただし、シュナイダー中佐は「AETCと9ヶ月共同作業し....ACC限定の構想ではなく、AETCでT-7運用をする際の全般で関係する。AETCの邪魔をするつもりはない」と述べている。AETC司令ブラッド・ウェブ中将もReforge案を「前向きに支持」しているという。AETCも初等パイロット訓練全体の改正に取り組んでおり、やはり新技術を利用したいとする。
空軍参謀長デイヴィッド・ゴールドフェイン大将はAir Force Magazineの7月/8月号で2020年に除隊予定だったパイロット多数が除隊を撤回する意向を示しており、民間エアライン各社の採用停止が理由とする。ただし、新型コロナウィルスの大量流行が原因であり、パイロット不足の恒久的解決策にならないと認識している。
「人員規模を十分に維持する必要がある」とし、「能力あるパイロットには空軍に残ってもらいたい。経験値が有益だからだが...それで全て解決にならず、年齢構成のバランスが悪く、年長組が多く、新規パイロット養成が継続していない」と指摘。
大量流行を受けパイロット養成は半分程度に削減されたが、USAFでは6月末で流行前の8割程度に戻す予定だ。
新制度で空軍はパイロット数の増加が期待できる。各パイロットの最初の10年間勤務で養成期間の短縮化により、戦闘任務時間を10パーセント増加できるとシュナイダー中佐が説明。さらに基本技能訓練では第一線機材各機で年間300時間短縮できる。そのため戦闘機部隊全体での稼働率向上効果は「莫大」だという。
Reforgeによる大幅改良が必要な理由として、新技術に「現行の戦術訓練が対応していない」と同文書に記載がある。
戦闘機パイロット養成で以下の2点が大きな「ギャップ」とCONOPSは指摘する。
  1. 旧式化したT-38を基礎パイロット訓練に使っており、戦闘機パイロットが操縦する機体との差が大きく、突如として「複雑さが変更される」こと
  2. FTUから実戦部隊で複雑度が急激に増えること。この原因に敵性勢力の実力の急増がある。戦闘機パイロットが制空能力を維持するため今以上に早く、かつ楽に学習内容を消化する必要がある。
ホームズ大将からはT-7は本土防衛任務でアグレッサー機材として活用でき、その他同盟国等でも運用できる機材になるとの期待も出ている。
「T-7は今後の改良と柔軟性を最初から想定した設計となっている」とボーイング広報は述べている。「航空戦闘軍団のReforge事業で追加性能が必要と結論が出れば、当社はその要望に応えていきます」■

この記事は以下を再構成したものです。

ACC Aims to Cut Pilot Training Time By Up to Half


June 18, 2020 | By John A. Tirpak