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2019年2月15日金曜日

★F-15X構想は思ったより大規模になりそう ボーイングは二型式を固定価格で提案か

これは歓迎すべきニュースであると思います。旧型F-15で構築したインフラをそのまま使いながら費用対効果はF-35よりはるかに高いですね。(制空任務で) 日本も決して無視できる内容ではないと想うのですが。それに「いやいや」導入を考えていると思った米空軍が一気に前向きになってきた感じがするのですが。



F-15X Will Come In Two Variants, And No, It Won't Cost $100M Per Copy F-15Xは二型式を想定。単価は1億ドルにはならない。

We have new details about the F-15X and the USAF's motivation for making a dramatic institutional shift to procure the proven fighters. F-15Xの詳細が浮上し、USAFが従来の流れを変える調達方で実証済み戦闘機新型導入に前向きであると判明した



BY TYLER ROGOWAYFEBRUARY 4, 2019


YOUTUBE SCREENCAP
F-15Xの存在を昨年7月に暴露したが、記事内容の多くが現実になってきた。当初こそ懐疑的な見方が多かったが、昨年12月のブルームバーグ記事でペンタゴンの2020年度予算提案でF-15Xが調達対象になっていることが判明し、正式発表はいつ起こってもおかしくない状況だ。
まずペンタゴンの2020年度国防予算案最終版はまだ誰も目にしていない。F-15X予算をどれだけ確保しているのかが問題だ。またF-15XはF-35事業へのボーイングによる対抗策ではない。USAF制服組トップとロッキードCEOは記者が昨年伝えたことと全く同じ内容を口にしている。メディアでは興味半分からふたつの事業がいかにも対立するように伝えているが、事実は異なる。USAFのF-35調達はF-15Xがスタートしても全く影響を受けない。
ロッキードのCEOマリリン・ヒューソンが先週の電話発表で以下述べているのでご紹介したい。
「空軍がF-15発注に踏み切ってもF-35の調達機数が削られることにならないとペンタゴン上層部から直接聞いている」
空軍参謀総長デイヴィッド・ゴールドフェイン大将からはもう少し詳しく説明があり、Defense Newsのジェフ・マーティンが以下伝えている。
ゴールドフェインは土曜日にF-15機材更新の決定は戦闘機が不足していることから出てきたと述べた。
「両機種は補完しあい、効果を引き上げる」と述べた。量より質かと問いうと、そうした話ではないと言われた。
「F-15C更新はなんとしても必要だ。必要な仕事やミッションに不可欠な機材だからだ」「そこにつきる。F-15Cを更新しつつ別個にF-35を整備していくのであり、どちらかを犠牲にするわけではない」
参謀総長からは年間72機の戦闘機調達の必要があり、機齢が平均28年になっているが15年に引き下げたい、とし、ゴールドフェインとしては72機は全部F-35にしたいが予算制約のためそう行かないのだという。
「予算さえあればF-35を72機にしたいがコスト・パフォーマンスの両立が必要だ。F-15はF-35のかわりにはならない。それでも同機の性能が必要だ」
F-15Xの小規模導入でF-15C/D部隊の更新を開始することになる。F-15C/Dでは最新機材でも30年近い機齢だ。F-15高性能版がF-35Aの性能を補完するとはUSAF上層部ではだれも考えていない。
では何機の調達になるのか。ブルームバーグの12月報道では12億ドルが2020年度予算で計上され12機のF-15Xを導入するとあり、そのままだとF-15Xの機体単価は1億ドルになる。これはF-35Aの価格を上回る規模だ。現在はF-35Aはまもなく80百万ドルに下がると言われている。
詳しい筋によれば上記は不正確だという。2020年度予算での計上は11億ドルに近く、F-15Xの初回発注おそらく8機に加え事業立ち上げや一回きりの小規模開発費用をあてがうものだとする。
開発関連経費が比較的低くできるのは他国が50億ドル近くを投じてくれたおかげでF-15の進化が続いていたためだ。USAFはその恩恵を無料で手に入れると言ってよい。逆に完全新型戦闘機を開発すれば数十年かかることになる。
そこで重要な問題は機体価格だ。詳しい筋によれば「F-35の予想価格でこれまで最低だった水準を下回る」という。つまりボーイングはUSAFにお得な値段で機材を提供しつつ、F-15生産ラインを維持でき、歴史を誇るセントルイスの戦闘機工場は2020年代後半まで維持できることになる。ここまでの評価は経費評価事業評価(CAPE) の数字をつかっており、ボーイングの数字は参照していない。
数字は大量調達が実現する仮説や願望とは別で、F-15Xの予想飛行時間あたり経費でも2万時間供用可能の設定としている。戦術航空機の通常の耐用期間は8千時間程度が大半だ。


BOEING
F-15 Advancedは今回提案のF-15Xに近い存在だ


ボーイングはF-15Xを確定価格、固定価格契約方式で提案している。言い換えると実際の機体が予想より高くなればボーイングが超過分を負担する形でKC-46給油機と同じだ。USAFは財務上のリスクがない。
ボーイングは機材売り込みに強気で、最近ではUH-1N後継機、MQ-25空母運用給油無人機、次期練習機で連続して受注成功している。
もっと重要なのはF-15XはUSAFが運用中のF-15用施設をそのまま活用できることで、パイロットの機種転換もスムーズだろう。F-15CのパイロットがXに変更するにはフライト一回か二回で十分とする筋もあり、訓練費用を大幅に節約でき、その他地上要員も慣れ親しんだイーグルと同じ対応が可能だ。
戦闘機の機種転換には相当の経費がかかる。新型機種を導入すれば機体価格以上に稼働期間全体にかかる維持費用が発生する。施設も更新したり改造する必要があり特に第5世代ステルス機の場合にこれがあてはまる。支援装備、パーツなど機体を飛ばすため新たに調達が必要となるものも多い。転換期間中に稼働率が低下することが多い。しかも数年間に及ぶことがある。
こうした点は補給兵站活動の悪夢になりかねない。とくにUSAFの戦術機数が一昔前より少なくなっていることを考慮する必要がある。一方で機材への需要が大幅に高まっている。F-15C/D部隊の大部分が変更となれば重要な本土防衛にも影響が出かねない。だがF-15C/DをF-15Xに変換すればこうした問題は起こらない。新機材が引き渡しされれば即応体制、戦力とともに向上していく。
仮にUSAFが毎年100機のF-35Aを導入すれば、戦闘機部隊の迅速な機種転換は時間がかかる。F-35やF-15Xを多数毎年購入したからといって即応体制を犠牲にしていいわけではない。F-15XはF-35の負担を軽減し米国の第一線戦闘機戦力を維持する存在になる。
Air Force Magazine では空軍次官補マット・ドノヴァンにF-15Xについて取材している。直接の言及は避けつつ次官補は背景事情を以下説明している。
「必要な能力が揃っていない」と戦闘機部隊について言及している。ドノヴァンはAFA会合で空軍戦闘部隊規模を386隊体制に引き上げる必要を強調し、国家防衛戦略で中国やロシアとの大国間抗争になった場合を想定している。
当初案ではUSAFはF-35を736機運用する予定だったが、現実には「174機で....戦闘機調達、更新を早める必要がある」と述べた。
USAF
USAFで稼働中のF-15C/Dは最新でも33年供用されているものの稼働率はF-35よりも高い


F-15Xの調達機数の問題で消息筋は150機から250機とし、USAFが考える全体の戦力構造により異なるとする。可能性が一番高いのは230機でF-15C/Dをそのまま更新することだ。調達はまず8機で開始し引き渡しは加速化し、毎年18機から24機のペースになる。そして、ボーイングはF-15Xは二型式を提示しており、F-15CXとF-15EXだという。
F-15CXは単座でEXは複座で後席はミッション遂行用に大型フラットパネル画面、ヘルメット装着ディスプレイ他操縦用装置すべてがつく。EXは数百万ドル高くなる。
F-15EXは訓練用途にも使え、乗員が二名あると役立つ。F-15Xは将来にわたり各種ミッションに投入される機体だ。空飛ぶ兵器トラックとして兵装を大量搭載し、極超音速巡航ミサイル、長距離空対空ミサイル以外にステルス無人機の制御も想定し、ネットワーク中継機として第5世代第四世代の戦闘機以外にその他装備をつなぐ役目もある。このことを念頭にすれば乗員がもう一名加われば各種作戦状況で有益な効果が生まれるだろう。
だからといってF-15Xは空対地他の複雑なミッションにすぐ投入されるわけではない。まず空対空兵装運用の中心として前任のF-15C/Dと交代する。だが消息筋によればGPS誘導方式の空対地兵装を追加装備すればF-22部隊と同様に追加費用無しかつ大規模な訓練無しでF-15Xに追加能力が実現する。
F-15Xを高速対レーダーミサイル発射母機に使えば敵の防空拠点を迅速に除去できながらF-15C/D部隊同様の制空任務を犠牲にすることもない。
F-15Xは総重量81千ポンドでジェネラル・エレクトリックF110-GE-129またはプラット&ホイットニーF100-PW-229の何れか創発で推力は共に29,000lbだ。

F-15Xの情報が増えてきたので調達が本当にUSAFに良い結果をもたらすかを考えていきたい。この件は今後もお伝えしたい。■

2018年12月25日火曜日

F-15Xの米国調達案、商売上手なボーイングが笑うのか、ステルス命のロッキードが泣くのか

F-35が日本では注目されがちですが、中国が数の武器で向かってくるとすれば、センサーをF-35にまかせても片を付けるのは「ミサイルトラック」の新型F-15でしょう。米空軍のF-15新造調達は航空自衛隊にも驚きを持って受け止められているのではないでしょうか。実現すればF-15は1980年代から2050年代までと異例に長く供用される戦闘機になりそうですね。さて、日本はどうしますか。


USAF's Next Budget Request Will Include New F-15X Advanced Eagle Fighter Jets: Report 米空軍の次期予算案にF-15X高性能イーグル戦闘機が盛り込まれそう
We revealed the existence of the F-15X concept last July and now it seems like it may become a line-item in the upcoming 2020 defense budget. F-15Xコンセプトが2020年度国防予算で予算品目になりそうだ


年7月にボーイングのF-15X高性能イーグル構想を初めてお伝えしたが、その後同社はUSAFと交渉していたようだ。米国に残るF-15C/D機材と交代して調達される可能性がでてきた。C/D型の大多数は州軍航空隊が運用中だ。USAFはF-15Xにどこか冷たい態度だったがブルームバーグ記事によれば大きく変りそうだ。
F-15Xは単座だがその後登場した技術革新を取り入れる。F-15ストライクイーグルを原型にした最新のサウジアラビア向けF-15SA、カタール向けF-15QAが生まれている。F-15Xの機体寿命は20千時間と長く、最新式センサー、飛行制御装備、エイビオニクスを搭載し今後長く供用され、現行のF-15C/Dより大幅に低い運行コストを実現するので10年間運用で節減効果を十分に生むとしている。
ブルームバーグ・ガヴァメントのロクサーナ・ティロン記者がUSAFが「12億ドルでボーイングF-15X計12機」の調達を2020年度予算に盛り込むと伝えた。記事ではF-15X導入はペンタゴン内部の高官からの圧力で、USAF自体の要求ではないとある。



BOEING


予算要求の公表まで変化はありうる。だが今回のブルームバーグ記事は当方が見聞きしている内容と一致しておりペンタゴン内部の支持があることを記している。具体的な調達形態は不明で十数機で終わるのか追加調達や他の採用国が続くか不明だ。
こちらの情報源ではボーイングはF-15Xの売り込みでUSAFを再びイーグル供用部隊にしたいと熱心になっているという。派生型開発の開発費を低く抑えるあるいは徴収しない、機体単価の保証、さらに供用期間中の費用までボーイングが請け負っていると言われる。ボーイングがここまで熱を入れるのはUH-1更新機材案件、海軍のMQ-25スティングレイ無人給油機案件、さらにT-X次期練習機の契約受注と同じ様相だ。
F-15XはF-35に真っ向から対抗するのではなく、USAFに財務作戦両面で魅力的な「プラグアンドプレイ」方式の選択肢をF-15C/D型後継機として提供する。C/D型は235機残っており、今後も第一線運用を続ければ高額な改修作業が必要となる。


USAF

USAFもF-15C/Dの今後を検討してきたが、大幅性能改修も実施してきた。構造面と技術で大幅手直しをしているがいかんせん機体は製造後30余年が経過している。一挙に全機を退役させ、F-16をアクティブ電子スカンアレイ(AESA)レーダー換装して使う選択肢もあるが、物議を醸すことになりかねない。F-15Xが性能、予算両面で非常に魅力的な選択肢となるのはUSAFが保有するイーグル向けインフラがそのまま使えるからだ。
現実の任務を見ると本土防空や航空主権維持任務など多くでF-35の低視認性は無用の長物だ。大型戦闘機ならではのメリットが活かせる戦闘任務は多く、長距離飛行可能で大量装備を運べるのでステルス機のペイロードが制限され飛行距離も短いのと対照的だ。イスラエルも同じ結論に達したようである。F-15Xが真骨頂を発揮できる余地がUSAFにある。


USAF
F-15XはF-35Aの対抗馬の意図はないがF-35の裏に控える特殊利権を考えると話は違ってくる。戦術機にDoD予算を大量に割り当てればF-35の追加調達予算が犠牲になると考えると脅威と受け止められかねない。

だがなんと言っても今回の記事は当方の見聞を裏付けてくれる。F-15Xはペンタゴン企画立案部門でしっかり生きており、その実現ニーズが今や明白になったのだ。最終予算案を見ないとF-15X調達が正式決定にならないが、イーグルがセントルイスの生産ラインから生産され米戦闘機部隊にふたたび供給される可能性がここ数年で一番高くなってきたと言えよう。■

Contact the author: Tyler@thedrive.com