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2025年7月31日木曜日

日本が発注していたF-35Bの初号機が数日以内に国内へ到着する(Breaking Defense)

 

日本は現在、米国以外で最多のF-35を発注しており、F-35A通常型離着陸機(CTOL)105機とF-35B42機の157機を導入する


2024年10月20日、「いずも」型多機能駆逐艦「かが」(DDH-184)に初めて着艦するF-35B。(ダリン・ラッセル中佐撮影)。


衛省によると、日本向け短距離離陸・垂直着陸(STOVL)仕様のロッキード・マーチンF-35BライトニングII第5世代戦闘機の第1号機が8月上旬に米国から到着する。


 防衛省の九州防衛局は先週末、4機のF-35Bが8月7日に新田原基地に到着すると発表した。

 飛行機はアメリカ人パイロットによって新田原に飛来し、9月には基地上空でデモ飛行を行い、航空機の騒音、特に垂直着陸時の騒音に対する住民の懸念を和らげる予定だ。

 日本は以前、2026年3月31日に終了する2025年度中に、8機のF-35Bを新田原に引き渡すと発表していた。機体は航空自衛隊の臨時F-35B部隊に配属される。同部隊は初期ロットの移行とベッドダウンを処理するために設立された。

 米国の同盟国として日本は現在、米国以外で最も多くのF-35を発注しており、F-35A通常離着陸機(CTOL)105機とF-35B 42機に分かれた157機の計画がある。

 航空自衛隊の第3飛行隊をF-35Aに機種転換し始めた。 CTOLジェット機は現在、名古屋にある三菱重工業の最終組立・チェックアウト(FACO)施設で現地組み立てしている。   

 航空自衛隊のF-35Bは、海上自衛隊のヘリコプター駆逐艦「いずも」と「かが」に装備される。

 日本は、新田原基地の南160kmにある馬毛島に新しい航空基地を建設中で、同地にF-35Bが垂直着陸用インフラが整備される予定で、艦上作戦の訓練も含まれる。それはまた、航空自衛隊が本拠地で垂直着陸を実施する必要がないことを意味する。

 しかし、当初2027年だった馬毛島の開港日は、2029年か2030年にずれ込むことになり、航空自衛隊は新基地が開港するまでの間、新田原で垂直離着陸の訓練を行う必要がある。このことは、航空機騒音の増加を警戒する住民を落胆させたと報じられている。

 馬毛島が航空機の運用に対応可能になるまでに、日本は40機のF-35Bの保有を見込んでおり、防衛省身の数字では、新田原で2029年まで月100回の垂直着陸が行われる予測で、うち40回が夜間垂直着陸になるとしている。■



First Japanese F-35Bs to arrive in-country within days

The US ally currently has the largest number of F-35s on order outside of the United States, with plans for 157 jets split into 105 F-35A Conventional Take Off and Landing (CTOL) aircraft and 42 F-35Bs.

By Mike Yeo on July 30, 2025 8:00 am

https://breakingdefense.com/2025/07/first-japanese-f-35bs-to-arrive-in-county-within-days/



2025年5月16日金曜日

日本のミニ空母で高速、機動性、致命的な海上航空攻撃力が太平洋に実現する(Warrior Maven)

 

Freepik



急速に進む日本の数十億ドル規模のF-35B購入に注目。


上自衛隊は、F-35Bで武装した新しい「ミニ航空母艦」の急速な開発を通じ、高速で機動性のある第5世代戦力へ急成長しつつある。

 昨年、海上自衛隊が公開した新型ミニ空母の写真には、再設計または改装されたヘリコプター搭載型水陸両用強襲揚陸艦の姿が写っていた。 「JSかが」と呼ばれる新構造の水陸両用強襲揚陸艦は、F-35、兵員、ヘリコプター、その他の動力投射および攻撃可能な資産を搭載する設計で満載時の最大排水量27,000トン、全長814フィートの飛行甲板で運用され、10万トンを超える米海軍の空母に比べればはるかに小さい。

 JSかがとJSいずもの両艦は、むしろF-35Bを搭載した米海軍のアメリカやワスプ級水陸両用強襲揚陸艦のような運用をする。

 この構成は、日本で急速に進む数十億ドル規模のF-35B購入を考えると、多くの重要な理由から理にかなっている。 この方程式のもうひとつは、日本が防衛予算を大幅に増額していることだ。その大きな理由は、防衛関連文書が深刻で急速に成長する中国の脅威を明記しているからだ。2023年8月、日本の防衛省は529億ドルという史上最大の防衛予算を要求した。

 米海兵隊は、海兵隊のF-35Bで日本艦に着艦する日米合同多国間演習を実施した。これは明らかに、日本の「ミニ空母」艦隊の増加によって現在起こっていることの先駆けであったようだ。

 このような「ミニ空母」を配備することは、日本にとって戦略的・戦術的に非常に理にかなっている。F-35Bを配備できる小型のプラットフォームはもちろん小型で、中国の対艦ミサイルの標的としてはより命中しにくいからだ。また、F-35Bは高速で機動性が高く、米海軍緊密に連携して運用され、潜在的な紛争において第5世代の航空戦力を投射することができるだろう。


日本のミニ空母の優位性

 米国とその太平洋同盟国は、空において決定的な第5世代の優位性を持って活動しているため、これは非常に重要である。中国はJ-20を運用しているが、同機は陸上発射型プラットフォームで、海洋からの戦力投射は不可能だ。J-20はまた、センサーの範囲や忠実度、武器システムの範囲や精度によっては、F-35やF-22より脆弱かもしれない。いずれにせよ、アメリカとその同盟国は、中国に対抗したり、中国を封じ込めたりするためF-35の大部隊を運用する立場に近づきつつある。 この戦術的思考が、日本の防衛省がF-35を取得し、"ミニ空母"を建造している大きな理由だろう。


中国への対抗

日本が軍事予算を増やし、大規模な軍拡と兵器開発を進めているのは、中国からの脅威の増大に大きく関係している。防衛省は近年、イージス艦レーダー、SM-3ブロックIIA、進化型シースパロー・ミサイル・ブロック2といったシステムに関する米国との共同兵器開発でも大きな進展を遂げてきた。 したがって、中国に対する日本の懸念は、日本の防衛省の 防衛白書が証明しているように、近年大きく加速している。

この日本の文書は、2023年1月にウォーリアーで発表された興味深い分析で説明されているように、ロシアと中国の両方に関連する、脅威を増大させる重要な分野を具体的にいくつか挙げている。 報告書の本文は、中国によるAIやネットワーク戦争の利用拡大、尖閣諸島に関する挑発行為、ロシアとの協力関係の拡大、民軍融合の強化を挙げている。

「中国の軍事動向は、中国の国防政策や軍事問題についての不十分な透明性と相まって、日本を含む地域や国際社会にとって重大な懸念事項となっており、こうした傾向は近年ますます強まっている」と、本誌では以前伝えていた。

 中国が「インテリジェント化された戦争」を追求していることは、日本の報告書でも指摘されているし、中国の脅威の増大に関する国防総省の報告書でもたびたび引用されている。 そのコンセプトは、マルチドメイン、統合サービスによるシームレスなネットワーキングと部隊全体でのデータ共有を複製またはコピーすることである。 この取り組みは、ペンタゴンが現在実施しているジョイント・オール・ドメイン・コマンド・アンド・コントロール(JADC2)の取り組みとよく似ているように見える。

 2023年の本誌による分析では、「インテリジェント化された戦争」は、兵器システムや技術プログラムの広い範囲に影響を与えることができるものであり、特に予算や技術交換に関しては、文民と軍部の隔たりがない中国においては、そのような影響を与えることができると説明されている。例えば、衛星データは迅速に処理され、送信される。軍艦、ロケット、核兵器でさえも、改良された標的情報を受信し、整理することができる。

 中国共産党がこのような取り組みをどこまで進めているかは、完全には明らかではないが、中国の明確な意図は、日米双方の防衛関連出版物に数多く記されている。 中国がこの能力を進化させれば、戦闘領域全体における複数領域のターゲット・データ共有、共同作戦、センサーからシューターまでの時間の改善に関して、PLAは米軍と近い存在になる。


日本とF-35B

この脅威のシナリオを考えると、海上自衛隊がF-35Bを急速に取得するのは理にかなっている。F-35Bは、F-35を運用するすべての国をネットワークで結ぶことができるマルチファンクション・アドバンスト・データリンク(MADL)と呼ばれる安全で高速なデータリンクで運用されているからだ。これにより、アメリカ海軍、韓国、さらにはオーストラリアやシンガポールも巻き込んだ、多国籍で大規模な半円形のようなF-35編隊生まれる。 フィリピンに追加される基地にアメリカとの同盟国がF-35を展開し、日本とオーストラリア、シンガポールのそれぞれの半円のギャップを「埋める」機会にもなるかもしれない。■


Japanese Mini-Carriers Bring Fast, Mobile, Lethal Maritime Air Attack to Pacific

Japan’s multi-billion dollar F-35B buy which has been progressing quickly in recent years.

Kris Osborn · May 5, 2025

https://warriormaven.com/china/japanese-mini-carriers-bring-fast-mobile-lethal-maritime-air-attack-to-pacific


クリス・オズボーンはウォーリアー・メイヴン-軍事近代化センター代表。 オズボーンは以前、ペンタゴンの陸軍次官補室(取得、ロジスティクス、技術担当)の高度専門家として勤務していた。 また、全国ネットのテレビ局でキャスターやオンエアの軍事専門家としても活躍。 フォックス・ニュース、MSNBC、ミリタリー・チャンネル、ヒストリー・チャンネルにゲスト軍事専門家として出演。 コロンビア大学で比較文学の修士号も取得している。


2021年9月5日日曜日

英米間で実証されたF-35B搭載艦・機材の相互活用作戦構想。将来は日米でも実施になるのか。その前に日本に必要となる条件がある。

 

今回実証された作戦構想が日米間でも実行に移される前に集団安全保障をめぐる解釈、さらに自衛隊が軍組織になっていない現状(アフガニスタン邦人退避でもこのための制約がありました)がもう放置できなくなっている事実を直視すべきでしょう。改憲という政治課題に真正面から取り組むと公言する自民党(リベラルデモクラッツという英語名は早く改正してもらいたいですね)の総裁候補はだれなのか、しっかり見ておきましょう。


F-35B Queen Elizabeth

米海兵隊のF-35BがHMSクイーン・エリザベスから発艦した。 August 20, 2021. 米軍機材が他国艦艇からの出撃する相互運用は今回が初めてとなり、両国の協力関係の強化ぶりを印象付けた。1st Lt. Zachary Bodner

 

空母HMSクイーン・エリザベスとUSSアメリカが搭載機材F-35Bを相互運用し、大型空母を使わなくても大きな戦力を実現することを実証した。

 

滑走路を必要としないF-35Bは共同作戦運用でこれまでにない戦術面の優位性を実現する。

 

英米両軍がF-35を運用し、標的データの交換以外に大きな共同運用能力を実現した。

 

なかでも母艦複数による多国間作戦での攻撃効果が増える。空中給油なしで攻撃有効距離を拡大できることに大きな意味がある。

 

例えば英空母を遠方配備したまま、強襲揚陸部隊が接近し、あるいは敵部隊に挑む。F-35はどちらかの艦から発進し別の艦で給油を受け、兵装を再装填して次の出撃に向かう。

 

F-35航空戦力の倍増効果

 

これにより強襲揚陸攻撃を敵沿岸に接近したまま実行でき、空には第五世代F-35を当初の二倍の戦力で展開しながら上陸部隊は水上を移動し上陸作戦を行える。

 

運用機数が増えればF-35の作戦実施範囲が広がり、揚陸作戦は全く違う様相を呈する。具体的には、現行の海軍戦略である分散型運用の実現につながる。無人装備や長距離探知センサー、ネットワーク機能により敵砲火にさらされる脆弱性を減らそうというものだ。

 

多国籍部隊のF-35を多数、かつ共同運用すれば航空優勢を揚陸部隊上空に確立し、作戦の成功確率が高くなる。

 

F-35を介して通信機能強化

 

通信でも優位となる。NATOでは加盟国間の情報共有に向け今もだ多大な努力をしていることを考えるとこの効果は大きい。米英を中心としたF-35運用国が増えればデータ共有の保安性とともに量的拡大が実現する。

 

F-35には共通データリンクがあり、これを多機能高性能データリンク(MADL)と呼び、全F-35機材間にリアルタイムかつシームレスで接続できる。これにより艦隊規模での作戦協調、標的情報の共有、あ新しい情報などが戦闘中に実現する。■

 

 

F-35Bs Massively Scale Amphibious Attack Potency After U.S. & British Sea Exchange

UPDATED:AUG 30, 2021ORIGINAL:AUG 30, 2021

F-35Bs Massively Scale Amphibious Attack Potency: Successful U.S. & British Sea Exchange

 

-- Kris Osborn is the President of Warrior Maven and The Defense Editor of The National Interest --

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master's Degree in Comparative Literature from Columbia University.


2021年4月10日土曜日

見えてきたF-35Bの運用構想。広大な南西部を中国から防衛するため同機はこう投入される。合わせて国内メディアは機種名を正しく表記するべきである。

 Japanese Air Force

 

 

F-35Bは未整地施設や臨時飛行場から運用可能だが、日本の目標はヘリコプター空母二隻での運用だ。

 

日本はF-35を南西部の新田原基地(宮崎県)に配備するとみられる。同基地はたまたま選定されたわけではない。中国が狙う日本の周辺島しょ部に近くなるからだ。

 

Japan Timesは「新田原基地への同機配備の狙いは中国の周辺地域での活動を抑え込むことにある。尖閣諸島がその一部であることは当然だ」と解説した。中国が同諸島領有を主張しており、中国本土・台湾ともに近い位置の同諸島に艦船航空機を頻繁に派遣している。

 

「中国の海上活動の強を念頭に、日本は南西諸島防衛の実効性を高めようとしており、沖縄や尖閣諸島も視野に入れている」(Japan Times

 

政府筋から同紙に対し「F-35Bが新田原基地に配備されれば、米海兵隊岩国航空基地の同型機と共同訓練も可能となる。また改装後のいずも級ヘリコプター空母で同機を移動させ運用する」と述べていた。

 

ただし、Japan Timesは地元反対運動が配備予定を狂わす可能性に触れている。

 

日本はF-35の二型式を導入する。105機のF-35Aは陸上から航空自衛隊が運用する。その第一陣は三沢基地(青森県)に配備され、日本のもう一つの安全保障上の脅威北朝鮮ににらみをきかしている。

 

これと別に43機のF-35B短距離離陸垂直着陸(STOVL)型を2023年までに調達し、一部を新田原基地に配備する。

 

F-35各型式を使い分ける理由は日本が直面する安全保障上の脅威が異なるためだ。威力がまさるF-35Aは主に北方に配備し、北朝鮮を想定した対応にあてる。北朝鮮の通常兵力には大した脅威はないが、弾道ミサイルは核弾頭搭載の可能性もあり、日本にとって脅威となる。F-35では米国でミサイル防衛任務の試験もおこなっており、将来は弾道ミサイル迎撃以外にステルス性能を生かして北朝鮮国内のミサイル核施設の攻撃にも転用できる。

 

中国は別の脅威だ。中国には弾道ミサイル多数があるが、それ以上に強大な空軍、海軍が高度化を続けており、空母や極超音速ミサイルが日本国内の日米部隊の基地を攻撃しかねない。ワシントンに本拠を置くシンクタンク、新アメリカ安全保障センターによる机上演習が昨年行われ、中国役のチームは沖縄の航空基地を弾道ミサイルで破壊し、駐機中の日米機材が使えなくなった。

 

沖縄が脆弱なら、尖閣諸島は防衛できるのか。

 

ここから導かれるのは日米航空部隊の主力たるF-35AやF-15は中国攻撃を受けにくい地帯から運用し、沖縄等の基地は攻撃を受け機能で障害が生まれることを前提とする考え方である。F-35Bが真価を発揮することになる。

 

米海兵隊が運用するF-35Bは垂直着陸能力があるが、半面で性能の一部を犠牲としている。ただし、空軍や海軍に頼らず自力運用を好む傾向のある海兵隊にとってF-35Bは未完成滑走路や確保したばかりの揚陸地点での運用が可能だ。

 

ただしその通り実現するかは別の話だ。F-35Bはたしかに未整備地に着陸できるが、燃料弾薬予備部品や整備要員がその場にそろっていなければ効果を発揮できない。日本当局も既存航空施設が中国ミサイルにより容易に破壊される事実を認識すべきで、その場合は対応に困難をきたすはずだ。

 

日本は第二次大戦を通じ、敵の揚陸侵攻に唯一有効な対策は海空の防衛体制と認識している。とくに航空戦力が敵侵攻を食い止める効果を発揮する。中国が艦船航空機で尖閣諸島を封鎖すれば、上陸部隊で容易に占領できる。日本が再奪取を図っても、実行は極めて困難になる。日本が編成した水陸両用旅団は格好の標的となる。だが、少数とはいえF-35Bが未整備施設から極超音速対艦ミサイルを搭載して発進すれば、中国の揚陸作戦を阻止することは可能になる。■

 

この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmail.comへご連絡ください


この件に限らず、報道機関がF35とかF15のように勝手な呼称をしていることが気になって仕方ありません。日本国民に安全保障面でインテリジェンスが必要なことはこのブログ読者も同意見と思いますが、伝え手のメディアには独善的な「慣行」で不自然な装備名を使い続けることからまず変えてもらいたいです。皆さんはどう思いますか。



New Mission For Japan’s F-35 Fighters: Defending Okinawa from China?

April 8, 2021  Topic: F-35  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: Japanese Air ForceJapanOkinawaChinaF-35Military

by Michael Peck

 

Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.

Image: Reuters


2020年4月27日月曜日

いずもを正規空母に改装しF-35C運用を可能にしたらどうなるか大胆に想像


海上自衛隊艦艇は数隻ずつ建造され、確実に進化させており、いずも級のあとに本格的空母が建造されると見る向きも多いと思います。その中でいずもを正規空母にしたらどうなるか、というのが今回の大胆な記事の趣旨です。が、3万トン弱の艦容では意味のある機材運用は無理では。やはり次世代の大型「空母」を最初から建造するのを待つべきなのでしょうか。

これがリークされたいずも改装案のスライドの一部のようです。



本のいずも級「ヘリコプター駆逐艦」2隻はヘリコプター空母から小型航空母艦に改装され、スキージャンプ方式飛行甲板でF-35を運用するはずだ。

では、いずも級をカタパルト式空母にしたらどうなるか

国防関係のウェブサイトに1枚の写真が掲載された。明らかにリークのパワーポイントスライドでいずもが小型正規空母としてF-35Cをカタパルトで運用する姿となっている。

興味をそそられるのはスライド下部にジェネラルアトミックス・エレクトロマグネティックスの社名がついていることだ。リーパー、プレデター無人機のメーカーとして有名なジェネラルアトミックスは電磁航空機発艦システム(EMALS)や高性能拘束装置(AAG)のメーカーでもあり、EMALS、AAGは従来の蒸気カタパルトや拘束装置に代わり新型フォード級空母に採用されている。

スライドに詳細情報はない。(ジェネラルアトミックスにNational Interestが照会したが現時点で無回答)だが上部には「JMSDF(海上自衛隊)の航空機:E-2C/E-2Dホークアイ、F-35CライトニングII、H-60シーホーク、V-22オスプレイ、その他?」の表記がある。改装後のいずもの上面図・側面図は空母らしくなり、F-35の二機が前方でカタパルト発艦に備え、その他7機のF-35、E-2一機が駐機し、ヘリコプターがブリッジ近くに、さらにV-22らしき機材が後部に見える。

いずも、かがの2艦は異色の艦艇だ。スキージャンプではなく全通型の飛行甲板を備え、短距離離陸機の運用ができない。だがカタパルト、拘束装置も搭載せず、通常型艦載機の発艦着艦にも対応できない。

ただし、F-35Cとカタパルトでいずもが劇的に変わるというのは決して誇張ではない。F-35Bは短距離離陸垂直着陸(STOVL)により短い飛行甲板から発艦し、ヘリコプターのように着艦できる。これでカタパルトや拘束装置は不要となる。その意味で陸上運用型のF-35Aやカタパルト発艦式のF-35Cよりも運用は柔軟となる。だが代償もある。F-35Bでは性能、飛行距離、ペイロードがいずれもF-35Cより劣る。

スキージャンプ式でF-35B十数機とヘリコプター数機を運用するのと、通常型空母でF-35CさらにE-2早期警戒機を運用するのでは空母航空戦力の使い方としてどちらがよい効果をあげるだろうか。

ジェネラルアトミックスが事業獲得をねらい構想を立てたのか、それとも日本政府がもっと戦力の高い解決策を積極的に模索しているのか現時点では不明だ。いずも級の改修工事が来年始まるが、スキージャンプ方式を採用する可能性が高い。日本はF-35Bの42機調達を決定している。日本政府としては存在感を高め戦闘能力も向上してきた中国海軍へ対抗手段がほしいところだ。

とはいえ、カタパルト発艦方式に改装したいずもへの疑問も残る。EMALSカタパルトは問題解決が必要な装備だ。電磁式で軽量化が可能で短い間隔で機体を発艦させられるが、信頼性が障害で、トランプ大統領もフォード級空母を蒸気式にもどすよう要求しているほどだ。

もっと大きな問題はフォード級が満載排水量10万トン、英国のクイーンエリザベス級空母(スキージャンプ方式、F-35Bを36機搭載)が65千トンなのに対し、いずも、かがはわずか27千トンで甲板長も800フィートしかない。フォードは1,100フィートだ。いずも級に電磁カタパルト装置を搭載する艦内余裕はあるのだろうか、拘束装置や十分な機数の航空団を収容できるのだろうか。

フォード級の建造単価は130億ドル、クイーンエリザベスは60億ドルだが、いずも級ヘリコプター空母は10億ドルをわずかに上回る。通常型空母に改装し機材もそろえるといくらかかるのか。その数字に興味を覚える。■

この記事は以下を再構成したものです。


April 26, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-35CJapanNavyMilitaryTechnologyWorld

2019年4月4日木曜日

改装いずも級空母は防衛装備の性格を堅持、日本の安全保障への意味を理解しましょう

コメントは下にあります

 JS Izumo transits the South China Sea while doing maritime operations with a U.S. surface action group.
海上自衛隊のJSいずもが米水上行動群とともに南シナ海を航行中U.S. NAVY (BYRON C. LINDER)

Japan’s Refitted Izumo-class Ship Is Still a Defensive Platform

改装してもいずも級は防御装備であることに変わりない

By Admiral Dennis C. Blair and Captain Christopher Rodeman, U.S. Navy (Retired)
March 2019
Proceedings
Vol. 145/3/1,393
ARTICLE


しい日本の防衛大綱(NDPG)では宇宙、サイバー、電磁スペクトラムの新分野に注意喚起した。ただし新規NDPGへの反応ではいずも級ヘリコプター「駆逐艦」の多用途航空母艦改装で短距離離陸垂直着陸(SVOVL)を運用する方針に集中している。NDPGではロッキード・マーティンF-35BSTOVL機を計42機導入するとしており、各艦にF-35Bを搭載すれば「攻撃型空母」になり専守防衛という日本の安全保障政策から脱却となると批判する向きがある。

日本がめざす安全保障戦略の「目的」と中期防で掲げる「手段」を繋ぐ役目をもつNDPGで「方法」を明示している。2013年制定のNDPGは10年間有効のはずだったが途中変更となったのはそれだけ安全保障環境が厳しさを増しているとの政府見解の反映だろう。

岩屋毅防衛相の昨年12月18日記者会見で質問は半分近くがいずも関連で「攻撃型空母」の定義だった。日本国内各紙の報道基調や社説は軍事力強化への強い違和感を示していた。

ただしF-35Bを搭載したいずも級各艦を攻撃主体の兵器体系とし、専守防衛を旨とした戦後日本の防衛政策からの離脱と見るのは誤解だ。いずも級をSTOVL機運用に改装すると目的と手段の関係で有効だとする日本政府の国防戦略は正しく、攻撃装備にならず同時に他国の領土主権にも何ら脅威とならない。

日本防衛とは制海のこと


資源に乏しい島しょ国家の日本は海洋アクセスに依存する。日本は米国の支援のもと潜在敵対勢力の海洋利用を抑止・予防する必要があり、海洋通商活動ならびに遠隔島しょ部の防御は必須だ。戦後の日本は憲法解釈で国家存続がかかる際に自衛権を認めてきた。

いずも改装は憲法違反の攻撃型装備と批判する向きは戦術と戦略を混同している。攻撃、防御の能力整備は選挙で選ばれた政治指導層が戦略的レベルで判断すべきものだ。攻撃戦術が必要となるのは防衛戦略が機能する場合でのことだ。海軍戦闘の古典的教科書というべきFleet Tacticsでウェィン・ヒューズ退役大佐は「全ての艦隊行動が防衛戦術(防衛部隊ではない)に基礎を置くと理論的に不十分となる。防衛的海軍戦略の機能には部隊を集中投入し戦術攻撃で成功する必要がある」と述べている。

防御中心の軍事作戦で日本を防衛し海洋利用を図ると複雑かつ多くの要素がからむ。「日米防衛協力ガイドライン」が示すように「自衛隊が日本の主要港湾、海峡部の防衛を主担当すると同時に日本周辺海域の船舶艦船も日本が担当し関連作戦も実施する。このため自衛隊に必要となるのは沿岸防御、対水上艦戦、対潜戦、機雷戦、対空戦、航空制圧でありこれのみに限られない」 尖閣諸島を中国特殊作戦部隊から奪還する作戦でも同様の各作戦実施を可能とする戦力が必要だ。


防御的制海戦略を支える戦術とは

いずも級各艦はSTOVL機を10ないし20機運用し海上自衛隊の能力を防衛協力ガイドラインが想定する三分野で強化する。対水上艦戦、対空戦、航空制圧である。いずも級は海自潜水艦や水上艦と共同運用し、陸上自衛隊のミサイルが主要海域を中国海軍のミサイル、航空機から防御する。そこでF-35Bをいずも級各艦から展開すれば海自は監視偵察機能と防御装備の有効範囲を数百マイル伸ばせる。

海上自衛隊艦船を航空機発射の巡航ミサイルから防御するためいずも級がF-35BSTOVL機を運用する必要がある。平均的な対艦ミサイルの有効射程が数百マイルなのに対し対空ミサイルやミサイル迎撃ミサイルの射程は百マイルしかないためだ。同様に水上艦やパトロール艇が巡航ミサイルを発射すると海自に脅威となる。そこでミサイル発射前に攻撃を仕掛ける艦船や航空機を探知撃破することが海自艦艇の防御上最善の策となる。いずも級各艦がSTOVL機を運用すればこの一環となる。

F-35Bを運用するいずも級各艦は制海任務でも大きな役割を演じる。F-35Bが短距離対艦ミサイルを搭載すればパトロール艇や海上民兵の「大量動員戦術」に対し有効だ。「島しょ奪回」シナリオではF-35Bによる局地制空の確立が日本の水陸両用部隊による奪回で必須となる。


防御的制海戦略の効果を上げるには


海自艦隊に戦術航空戦力が生まれると短期以外の効果も生まれる。長期的に改編がまったなしの防衛方針、戦術、実証で米軍との協力体制の向上につながる。

防衛方針 海軍作戦部長によればこのたび発表となった「海洋優勢維持の全体構想2.0」で米海軍は高度戦力を有する敵対勢力を制圧する方針だ。ここでは有人無人装備をネットワークで結び分散独立型で高度な戦術効果を有する部隊を調整統合して運用する。日本の制海戦略はこれと異なるが、技術の進歩で同様の構想を取り入れていくはずだ。STOVL機と対潜ヘリコプターを運用するいずも級各艦が日本の今後の海洋戦略の鍵をにぎる。

戦術 F-35Bは有能な機材だ。だが戦闘で重要なのはペイロードである。つまり搭載兵装やセンサーが戦闘を左右する。さらに兵装システム技術は急進化しており、自律性能、極超音速技術、最終誘導技術から各装備を継続かつ急速に評価する必要がある。また戦術も効果を生む形に整備する必要がある。米海軍と海自は軍事力増強中の潜在敵対勢力に対する抑止・撃破という課題を共有する。日本が共用打撃ミサイル、共用空対艦スタンドオフミサイル、長距離対艦ミサイルを導入するのは正しい発展方向でより効果のある戦術を整備し各装備を有効活用する必要がある。

実証 F-35Bをいずも級に搭載し海自に海上で戦術航空戦力を運用する貴重な経験が生まれる。海自ではこれを米軍部隊とともに新しい戦闘構想の整備機会ととらえ、戦術、機材運用でも進化を期待する。いずも級は無人航空機(UAV)に各種ミッション装備を搭載しての実証に理想的である。さらにV-22オスプレイも日本が導入しつつあり、在日米軍で供用中だがこれも実証対象として有望だ。開発中の有人機でも海軍への転用が可能な機材があり、米陸軍が進める共用多用途技術実証機事業ではベルV-280ヴァラーティルトローター機とシコースキーボーイングSB>1デファイアント複合ヘリコプターがある。既存技術も含め、こうした有人無人機にも早期警戒任務、電子攻撃任務、洋上偵察や空中給油任務を行わせる構想がある。分散・ネットワーク化海軍部隊を戦力増強ならびに弾性確保の手段にいずも級やその他航空運用可能な海自や米海軍艦船から運用する各機を使えるだろう。

中国による高性能兵器開発、海軍空軍部隊の整備、さらに強圧的なグレイゾーン行動や好戦的国家主義により北東アジアの安全保障環境は一変した。日本は防衛力近代化を加速しないと、この脅威に追随できなくなる。中国は軍事優位性を盾にさらに大胆かつ強硬な動きを示すだろう。
日本は憲法解釈で国家存亡に必要な防衛力整備は許されている。海洋国家としての日本の生存と繁栄は海と表裏一体だ。中国が海洋面で強硬な動きに出ていることが日本の今後に不安の影を落としており、遠隔島しょ部主権でも脅威となっている。そこで自衛隊の対中抑止力、制圧力の改善に防衛的制海戦略を行使することは合理的かつ重要な一歩となる。

短期で見れば海自艦隊が航空自衛隊、陸上自衛隊、米軍と協調の上実施する防衛的制海戦略で求められる攻撃的戦術能力でいずも級改装によるSTOVL戦術機運用能力付与は効果的手段となる。長期で見ればこの能力により戦術、構想、実証がさらに広がる。このように日本の軍事抑止力が整備されるが、抑止に失敗しても領海を防御する能力、海洋コモンズへのアクセスの確保、遠隔島しょ部への侵攻を排除する効果が生まれる。■


「空母」=攻撃手段としか見ていない人はことばに踊らされて本質を理解していない人なのでしょう。また安全保障環境でもまったくちがう世界を想定している人なのでしょう。こうした人達による「口撃」に応対する政府や自衛隊も大変ですが、理路整然と事実を示しながら一つ一つ話を進めるしかないと思います。それだけいまの忙しい社会で本質を理解することなく上滑りな言葉尻で動いている人が多いということなのでしょうか。某国の思惑を「忖度」して「代理人」のように立ち回る「国会議員」や自らを国民の代表と錯覚する「メディア」に至ってはなにをか言わん、でしょうね。文民統制はもちろんですが、上に立つ人は専門家の知見を活用し、時間かけても耳を傾けてもらいたいものです。