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2022年9月18日日曜日

ドイツがイスラエル製アロー3ミサイル迎撃システムを導入へ。欧州共同ミサイル防衛へ発展の可能性も。ロシアのウクライナ侵攻でドイツも大幅国防強化へ動いている。

 

U.S. MISSILE DEFENSE AGENCY


 

ドイツはイスラエル製弾道ミサイル防衛システム「アロー3」の最初の導入国になりそうだ

 

 

 

シアがウクライナを侵攻したことで、ドイツは軍備の大規模な見直しとして、イスラエル製ミサイル防衛システム「アロー3」を選択したとの報道が相次いでいる。成約すれば、西ヨーロッパにユニークな対弾道ミサイル能力が生まれ、アロー3の初の輸出販売ともなり、ドイツとイスラエルの軍事関係が強固になる。

 

今週初め、ベルリンを訪問したイスラエルのラピド首相 Yair Lapidは、ドイツがイスラエル航空宇宙産業(IAI)のアロー3を購入する交渉中であることを確認したが、購入数や価格に言及しなかった。報道では、約20億ドルの潜在的な価格が取り沙汰されている。

 

ラピド首相は、ドイツのオラフ・ショルツ首相との共同記者会見で、「イスラエルは...主に防空分野で、ドイツの新しい防衛力構築の一翼を担いたい」と発言した。同首相は、イスラエルは「ドイツの安全、ヨーロッパの安全、そして自由民主主義国の自衛能力に全面的にコミットしている」と付け加えた。

 

ショルツ首相は、ドイツは地上配備の防空体制の強化を検討しており、「そのためにイスラエルと協力することに非常に熱心だ」と述べた。ドイツ首相は、アロー3について、「非常に効果的な製品 」と評価した。

 

これと別に、匿名ドイツ政府筋はロイターに、「アロー3を購入する計画はあるが、何も署名されていない」と述べた。ラピド首相は、ドイツ向け売却があったとしても、「将来的に可能な取引」だとも述べている。ブルームバーグも、ベルリンがイスラエル製装備品を「購入への予備決定」を行ったと報じている。

 

実際、2019年当時、イスラエル政府関係者は、特定の国名は出さなかったものの、アロー3輸出の可能性を口にしていた。イスラエル・ミサイル防衛機構の関係者は記者団に対し、「アロー3システムの海外輸出の可能性に関心がある」と述べた。しかし、その後、欧州の安全保障環境が大きく変化したことは明らかだ。

 

IAIはボーイングとともに、2008年から米国政府から多額の資金援助とその他の支援を受け、アロー3開発を続けてきた。アラスカでの実射試験など、開発・試験も継続的に行われている。アロー3は2017年1月にイスラエルが運用開始し、3カ月後にシリアの地対空ミサイルを撃墜した。

 

The War Zoneではこれまでアロー3システムを検証しており、その性能についてここで詳しく紹介した。要約すると、同システムはイスラエルの弾道ミサイル防衛の防空シールドの最上位層として開発されたものである。そのため、迎撃ミサイルのコンポーネントは、大気圏外用のキネティックキル・ビークルを搭載し、ターゲットに物理的に激突させ、飛翔段階で破壊する設計だ。

 

アロー3の主な標的は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含むあらゆる種類の弾道ミサイルで、非常に高い高度と極めて高い速度で飛翔するものだ。特に核弾頭や生物・化学兵器を搭載の可能性のある弾道ミサイルに対しては、大気圏外での攻撃で安全性が高まる。

 

2016年、ハツォルイスラエル空軍基地で行われたジュニパーコブラ演習中のイスラエルの防空システム「アイアンドーム」(左)、地対空ミサイルランチャー「MIM-104パトリオット」(中央)、対弾道ミサイルランチャー「アロー3」(右)。GIL COHEN-MAGEN/AFP via Getty Images

 

イスラエル軍でのアロー3の主な役割は、イランが発射する核弾道ミサイルの脅威への防御を提供することにある。システムには、目標捕捉用のEltaのLバンドAESA(アクティブ電子走査アレイ)レーダー「Green Pine」シリーズも含まれる。同レーダーがドイツの「アロー3」に搭載されるか不明だが、このシステムは、米国のAN/TPY-2ミサイル防衛レーダーや、宇宙ベースの早期警戒衛星など、他のセンサーシステムとも組み合わせ、より広いミサイル防衛ネットワークの一部として使用できる。

 

IAI

 

 

ドイツの立場からすれば、アロー3はロシアの弾道ミサイル攻撃への防御の傘を形成する。クレムリンは、新世代のICBMを含む戦略ミサイル兵器に多額の投資を続けている。冷戦時代のSS-18に代わるものとして、最大10基の独立標的型再突入ロケット(MIRV)を搭載する大型ICBMサルマットSarmatがある。また、最近ロシアのICBMに加わったものとして、移動式とサイロ式のRS-24ヤール Yarsがあり、これも複数弾頭を搭載する。また、短射程システムも大きな関心事であり、アロー3の能力で対応できる。

 

戦勝記念日パレードのメインリハーサルで、モスクワの赤の広場を転がるロシアのICBM「RS-24ヤース」(2022年5月7日撮影)。 Photo by Contributor/Getty Images

 

現在、地対空ミサイル「ペイトリオット・アドバンスト・ケイパビリティ3(PAC-3)」が中心のドイツの地上配備防空システムで、アロー3は大きな性能向上を意味するだけでなく、ミサイル防衛の役割も持ち、ヨーロッパNATOの共同防空で広く意義を持つと言えよう。

 

先月、ショルツ首相は、自国の防空能力を高めるだけでなく、ドイツは「最初から、必要であればヨーロッパの近隣諸国が参加できる形で、将来の防空を設計したい」と述べている。席上で、ショルツはポーランド、バルト諸国、オランダ、チェコ共和国、スロバキア、北欧諸国を含む同盟国に言及した。

 

2014年3月、トルコのガジ兵舎にあるドイツのPAC-3およびPAC-2防空システムは、シリアからの潜在的なミサイル脅威に対抗するために配備された。Bundeswehr/Carsten Vennemann

 

 

ショルツ首相が提唱する共同防空ビジョンのアイデアは、ドイツ空軍の元トップ、カール・ミュルナー中将Lt. Gen. Karl MüllnerがBreaking Defense取材で語っていた。ミュルナーは、ドイツにアロー3を購入する計画があると確認すると同時に、一般的に弾道ミサイル防衛は、より広いヨーロッパの防空構想の基礎になると述べていた。しかし、プロジェクトがどう展開されるかは明確ではない。ミュルナーは、欧州各国がどの程度まで参加したいのか、防空設備への投資、資金提供、意思決定への関与のいずれを決定しなければならないと示唆している。

 

ドイツの防衛ジャーナリスト・評論家のトーマス・ヴィーゴールドThomas Wiegoldは、ドイツのアロー3導入計画に近隣諸国がどう参加するかは、「興味深い問題」であると述べている。

 

汎欧州的な防空システムの一部としてアロー3を導入すれば、域内同盟国をカバーできるかもしれない。また、他の国との協力体制により、部分的に資金を提供することも可能だろう。ドイツ軍は、A330多用途タンカー輸送機(MRTT)やC-130Jハーキュリーズ輸送機を運用するその他欧州NATO諸国との共同プログラムに参加している。さらに将来的には、フランス、ドイツ、スペインが推進する次世代航空戦闘計画「欧州未来型戦闘航空システム(FCAS)」でもドイツは深く関与している。

 

こうしたプロジェクトも含め、2月のロシアのウクライナ侵攻が、ドイツの防衛費増額が一因となっている。ショルツ連立政権は、国防予算を増やさなければ当時のトランプ大統領から脅しをかけられるなど、ベルリンが国防費に真剣に取り組んでいないという批判が長年続いていたが、軍の近代化を支援するために約1000億ドルを割り当てた。

 

 

ドイツのオラフ・ショルツ首相がリトアニアにあるNATO強化前方展開戦闘群を訪問。写真:Michael Kappeler/picture alliance via Getty Images

 

ドイツがアロー3を購入すれば、ミサイル防衛装備の候補に挙がっていた終末高高度防衛システム(THAAD)のメーカー、ロッキード・マーティンには悪い知らせとなるかもしれない。しかし、THAADの能力はアロー3と異なり、短・中距離弾道ミサイルの終末防御に特化したシステムで、重層的なミサイル防衛のコンセプトに合致するが、2つのシステムを同時購入する可能性は低い。

 

今年初め、ドイツはロッキード・マーティンF-35Aステルス戦闘機を購入し、ドイツ空軍に核搭載可能な戦闘機を再導入させると決定した。一方、ロッキードはドイツに新しい大型輸送ヘリコプターを提供する機会を逸している。6月にドイツ政府はボーイングのCH-47Fチヌークを採用し、ロッキード・マーティン傘下のシコースキーCH-53Kキングスタリオンを却下した。

 

イスラエル政府関係者には、アメリカ政府がドイツのアロー3購入を阻止する可能性への懸念があるという。

 

ドイツ軍向けCH-47Fチヌークの想像図。ボーイング社

 

アロー3は米国が多額資金を投入して開発されたため、米国は輸出販売に拒否権を行使できる。一方、Breaking Defenseが引用した匿名情報筋によると、米国は「ベルリンとエルサレムが折り合えば、ドイツ売却を黙認する」姿勢だという。

 

ドイツ政府とイスラエル政府が交渉を首尾よく終えた場合、次のステップは、2500万ユーロ(現在の為替レートでおよそ25百万ドル)以上の全調達案件を承認するドイツ連邦議会の予算委員会に提出することである。このプロセスにどれだけの時間がかかるかは別として、1,000億ドルの上乗せは一度限りであり、追加資金は2025年頃までに枯渇すると決まっているのが実情である。

 

欧州では、ロシアの攻撃的で拡張的な姿勢を背景に緊張が続いており、クレムリンで進行中の弾道ミサイル開発が欧州全域の懸念材料となっているのは驚くには当たらない。結局、ここ10年ほどの間、ヨーロッパでは弾道ミサイル防衛はそれほど大きな問題ではなく、近い将来、互角戦力を有する敵と紛争になるとはほとんど予想されていなかった。2月のロシアのウクライナ侵攻でその考えは変わったが、それ以前にもロシアが短距離弾道ミサイル「イスカンダル」をカリーニングラードに配備し、欧州全域の目標に届くようにするなど、警告のサインは出ていた。

 

その意味で、ドイツのミサイル防衛強化は、地域内取り組みの最初の一歩に過ぎないのかもしれない。アロー3のような装備品導入には高いコストがかかるため、ショルツ首相が提唱しているような共同事業で行われるかもしれない。

 

しかし、特にドイツでは防衛調達が長期化する傾向があるため、ベルリンがアロー3の最初の輸出先となるかどうか確認されるまで、しばらく時間がかかりそうだ。■

 

 


Germany Choosing Arrow 3 Missile Defense System Would Be A Big Deal

 

BYTHOMAS NEWDICKSEP 16, 2022 5:32 PM

THE WAR ZONE


2018年2月4日日曜日

主張:ICBMミサイル防衛は期待通りに機能していない。どうするか

US ballistic missile defense just doesn't work — but we keep spending billions and billions on it

米弾道ミサイル防衛は機能しない。でも巨額の予算をつぎ込んでいる
  • A man and a child watch as the Ground-based Midcourse Defense (GMD) element of the U.S. ballistic missile defense system launches during a flight test from Vandenberg Air Force Base, California, U.S., May 30, 2017. REUTERS/Lucy Nicholson   米弾道ミサイル防衛の地上配備中間段階防衛(GMD)が発射される様子を見つめる親子 Thomson Reuters
  • 水曜日のミサイル迎撃実験は失敗したが、直後に65億ドルを迎撃ミサイルに追加支出する発表があった
  • 米国は15年間でミサイル防衛に400億ドルをつぎ込んだが、信頼度の高い性能は実現していない
  • 弾道ミサイル防衛が核抑止力体制で複雑な要素で、防衛能力を認める意見もあるが実証は不可能


今週水曜日に米海軍のSM-3ミサイル迎撃実験が失敗したと発表があった。同ミサイルはレイセオンが開発した。
同日にペンタゴンは65億ドルで地上配備中間段階防衛システム(GMD)の迎撃ミサイル20発を調達すると発表した。これは米本土を北兆円やロシアのミサイル攻撃から守るのが目的だ。
だがGMDの実績は芳しくない。最近の成功で北朝鮮との核対決の恐怖が下がる効果が生まれたがテスト実績を見ると非現実的な内容が盛り込まれているという。
弾道ミサイル問題に詳しい憂慮する科学者連盟所属のローラ・グレゴとデイヴィッド・ライトの二名による論文ではGMDでICBMを撃破できたというが実際より遅い速度で想定軌道上でのことで実際の北朝鮮ミサイルがここまで望ましい条件で飛翔することはないと指摘。結論として現時点で信頼できる弾道ミサイルへの本土防衛体制はないとしている。
これは米国がこれまで15年にわたり400億ドル超を投入しての成果だ。
この期間にボーイング、レイセオン、ロッキード・マーティンの各社がBMDに関係し巨額の利益を享受したが、今もペンタゴンから契約を得ている。
まず、米国は短期ミサイルなら防衛能力がある。イージス搭載弾道ミサイル防衛駆逐艦は海上で追尾実績があり、防衛能力があるが、ICBMが対象では話が別だ。ペイトリオットミサイルが単距離ミサイルを迎撃して人命を救った実績があるが、話は誇張されて伝わりがちであり、虚偽の話も混じっている。

BMDは理論上の話だが400億ドルの価値があるのか。

hwasong 15 launcher
北朝鮮の弾道ミサイルの方が米ミサイル迎撃手段よりはるかに安価だ。 KCNA
ミサイル防衛は核抑止力の理論の中で複雑な役割を演じている。北朝鮮のような敵が相手なら、米国は10パーセント未満の確率で迎撃できるはずで、相手側に攻撃を断念させおうとしている。
だがもっと可能性が高いのは北朝鮮が米国を攻撃すれば10倍もの反撃を受けるため、北朝鮮が攻撃に踏み切っていないことである。
ただしBMDでこれまで抑止効果が生まれたのかでは全く不明で断言できる専門家もいない。確かなのは国防企業が潤ったことだ。
数十億ドルを負担してきた米国納税者はこの間に世界最大級の国防企業に富を与えてきたわけだが、今こそ問いかけをすべきだろう。いつになったら性能が実現するのか。またどうして今機能していないのか。■

This is an opinion column. The thoughts expressed are those of the author.

2016年7月11日月曜日

★中国のミサイル原潜>どこまで進展しているのか>どれだけの脅威になるのか



北朝鮮よりはるかに整備された中国の核戦力についてこの国はあまりにも無知かつ安閑としているのは不思議なことです。まさか中国のミサイルが日本へ照準を合わせていることを知らないというのでしょうか。さらに論文にあるように段階式に確実に中国海軍はミサイル原潜運用能力を整備してきますから時限爆弾の上に我々は座っているようなものです。中国が貿易主要相手国の日本を攻撃するわけがないと能天気なことを言うのであれば現実政治が見えていないことになりますね。

The National Interest

The Future of China's Nuclear Missile Submarines: How Worried Should America Be?


Big choices ahead for Beijing.
July 7, 2016
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  1. 中国の国防外交政策を西側が分析が難しいのは中国が世界の通例と異なる形で行動することが多いためだ。例として中国が重視する海軍力開発では細部へのこだわりに10年以上もかけている。それでも中国が運用中の空母は一隻だけだし、海外拠点はジブチの「支援基地」だけだ。同基地は米国など各国軍の基地に隣接するが侵攻拠点とはいいがたい存在だ。
  2. 独自方式をとる中国の軍事戦略の中でも核戦略部門ほどその傾向が鮮明な例はない。1960年代70年代通じ「最小抑止力」に中国が自制していたのは事実で、背景に投入資源が相当制約されていたことがある。中国が米ロに相当する大量の核兵器保有を模索していたら今頃は整備が完了していたはずである。その代わりに中国は国内交通体系に投資する賢い選択をし、高速鉄道網などが完成した。その中でも中国が潜水艦搭載核兵器体系を継続して開発していることに関心が集まる。そこで今回は中国の海中配備核兵器の進展について中国の核戦略思想家 Wu Rigiang 呉日強(中国人民大学)の解説が今年初めのModern Ships(現代艦船)(出版元CSIC造船コングロマリット)に掲載されているのでこれを元に論証したい。
  3. 分析は2015年11月の人民海軍記事で中央軍事委員会が「南海艦隊潜水艦41号艦の乗員」を作戦可能になったと発表したことからはじめている。また2015年4月南海艦隊に実戦に近い長距離パトロール航海の実施の命令が出たことを報じている。その後に続くのが驚くべき内容で「これまで中国の戦略核ミサイル潜水艦が戦略パトロール任務に投入されたことはない」というくだりだ。PLA海軍が潜水艦発射式弾道ミサイル(SLBM(を初めて発射してほぼ30年になるが、深刻な問題があるようだ。
  4. 呉教授は中国の海洋核戦力への米国の脅威を歯に衣着せぬ言い方で説明している。「もし米SSNが中国の潜水艦基地付近をうろついて中国潜水艦を追跡し、開戦となり命令が下れば米潜水艦は中国潜水艦を攻撃するだろう。これは米国の標準戦術だ」 同教授は中国SSBN部隊整備と米国のABM弾道ミサイル迎撃手段の開発を連関させている。教授はソ連時代の戦略ミサイル潜水艦の展開範囲が限られていたため米ミサイル防衛は北半球に集中させておけばよかったと指摘し、次のように提言している。「中国の戦略ミサイル潜水艦が南太平洋からミサイルを発射すれば米ミサイル防衛体制には面倒なことになるだろう」 そこで教授は日本と共同開発中のSM-3ブロック2Aが中国の潜水艦発射ミサイルの実効性を阻む存在と見ている。
  5. 同教授の分析で最も興味深いのは中国がロシア同様の方法を採択するのか、あるいはアメリカに似た選択でSSBN整備を進めるのかという点だ。ソ連が冷戦末期に取った考え方は「防御砦」モデルだと呉教授は言い、戦略ミサイル潜水艦の防御に多様な手段を投入できる利点がある。ただこの方式の欠点は防御に多数の装備を当てる分だけ、それら装備の本来ミッションがおろそかになる点だ。これに対しアメリカ方式は「自律運用型」と教授は述べ、米海軍式のSSBN運用には高度のステルス性能、優秀な音響特性が必要だと指摘する。
  6. 中国沿岸にソ連式の「防御砦」を設定しようとすると渤海は深度が足りず、黄海と東シナ海は深度は潜水艦のステルス性には適するが、敵の侵入は容易だ。そこで南シナ海はどうかというと、深度はいいが音響特性が潜水艦が潜むには不利で残存性も望ましくなく、かつ海域を封鎖することもできない。「もちろん原子力潜水艦の待機海域は国家の極秘情報である」と呉教授は述べるが、PLANの声明文を引用し、配置場所を南海艦隊管轄海域で「長距離パトロール」だと述べている。
  7. そのほかのSSBN配置方式について同教授は簡潔に「連続海中パトロール」を維持するのかと現在英国で議論になっている点を紹介し、反対派が「費用が高くつく」ことを理由にしていると述べる。さらに米情報機関の報告を引用し、094型SSBN潜水艦四隻が建造ずみで、五番艦も建造中であることから中国は連続パトロール体制を確立するとしている。SSBNに対する指揮命令の伝え方が困難であることから教授は中国も専用の中継通信機材(米海軍のE-6TACAMOに類似)が必要だと主張。
  8. ただし当面は地上配備核ミサイル部隊を前面に立てるべきと教授は述べる。「移動式地上発射ミサイルの位置を突き止めるのは簡単ではない」 中国には真に威力のあるSSBN部隊整備を急ぐべきとの意見があるが、教授はまだ能力向上が必要な段階だと指摘した。たとえば、JL-3SLBM(射程12,000キロ)が実戦化すれば「中国沿岸部から米国を直接狙うことで各潜水艦の運用が柔軟になる」と説明。t.
  9. 同論文の結論はいささか予想外だ。「現時点では中国核攻撃潜水艦SSNs整備への要求が戦略ミサイル潜水艦をはるかに上回っている」とし、教授の言いたいことは新世代の静かな中国原子力攻撃型潜水艦の登場で西太平洋の海軍力地図が変わるということなのだろう。また新型潜水艦は東太平洋に進出して米西海岸の海上交通を攻撃する、あるいは陸上攻撃用巡航ミサイルを米本土に向けて発射するかもしれない。だが呉教授の理由付けの中心は静かで威力あるSSN部隊の整備がSSBN部隊の前提だということだ。また「原子力潜水艦の運用経験」を最重要視するが、中国と言えどもこれは一夜にして獲得できない。
  10. 論文から中国の水中抑止力整備やPLAN一般の目指す方向性で違いが見えてくる。中国の海軍力整備は極めて迅速に進んでいるが、同時に慎重でステップを踏む建造方式も明らかで自制しているようだ。先を見つつ洞察力のある米指導部は米国も自制することで中国が最も機密性が高く威力もある戦力を一定の統制下に置くことになると自覚すべきだ。

著者 ライル・J・ゴールドステインは米海軍大学校の中国海洋研究院で准教授を務める。上記分析は本人の個人的見解によるものであり、米海軍あるいはその他米政府機関による評価ではない。


2016年4月1日金曜日

★武居海上幕僚長に聞く Defense News インタビュー



どうして我が国の海軍部隊トップ本人の見解を米メディアを通じてしか知ることができないのかはなはだ疑問に思います。例によって国内向けには護衛艦としているところは駆逐艦と訳出していますのであしからず。

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Interview: Adm. Tomohisa Takei, Chief of Staff, Japanese Maritime Self-Defense Force
Christopher P. Cavas, Defense News9:43 a.m. EDT March 30, 2016

TAKEI, T Chief of Staff Japan JMSDF(Photo: Christopher P. Cavas/Staff)

日本は過去の教訓を心に軍事抑止力の行使に徹し、米軍を大々的に支援しながら軍事強硬策に訴えることを回避してきた。だが中国が尖閣諸島で、北朝鮮が絶えず神経を逆なでし、ロシアが再び自信をつけるなど近隣諸国からの危険が増大する中で日本の軍事力は明らかに警戒度を上げている。
特に海軍力の近代化は一貫して続いている。海上自衛隊(JMSDF)は24千トンの新型ヘリコプター搭載駆逐艦二隻を投入し、イージス弾道ミサイル防衛部隊の整備を続けている。そうりゅう級潜水艦には高性能の推進方式が搭載されて毎年一隻が建造されており、川崎重工のP-1は海上哨戒任務で旧式化してきたP-3Cオライオンに交代しつつある。
Defense Newsは海上幕僚長武居海将に2月に東京の防衛省で取材した。海将は一部英語で、その他は通訳者を介して話してくれた。
米海軍との関係をどう表現するか?
米海軍特に第七艦隊と海上自衛隊の関係は日米同盟の要であり、アジア太平洋地区の平和と安定の要でもある。米海軍と海上自衛隊の良好な関係が今後の海洋協力が今後の米国-日本-オーストラリア関係や米-日-印あるいは米-日-韓関係でも基礎となる。
そこで米海軍との関係を維持強化することが望ましい。昨年4月に日米間で防衛協力の合意内容が改正され、平時の協力関係ならびに抑止能力の向上が決まった。米軍との協力には米海兵隊も含むが海軍が中心で、日米同盟の中核として日本にはどうしても必要な要素で、これがあってこそ平和と安定がこの地域で実現する。JMSDFと米海軍の密接な協力関係は60年をかけて形成されてきた。
中国がこれまでより強圧的になっており、防空識別圏の設定や国際公海で人工島を形成している。中国の行動をどう見ているのか。
まず日中関係は日本の安全保障上も極めて重要な懸念となっている。中国は域内での大国であり域内の安全安定に責任を有している。中国のシーパワーは海上航行の安全に貢献できるはずで、中国はすでにアデン湾で重要な役割を演じているほか、地中海で重大な役割を果たしている。
一方で中国は軍事力を増強しており、海上あるいは空で東シナ海、南シナ海のように活動を活発化させている。これが近隣諸国の懸念になっている。そこで中国との関係は日本だけでなく域内の海上通行の安全保障の観点でみるべきだ。中国との防衛交換の継続は重要で、中国軍の透明性を引き上げ、想定外の事態の発生を回避予防する努力を続けなければならない。
中国は定期的に訪問しているのか。中国海軍司令官常勝利提督は訪日しているのか
この五年間は中国との防衛交流は行っていない。
常提督に会ったことがあるのか
会っている。東京で二回、北京でも2008年、2009年の防衛交換の席上で会った。それ以降は高レベルの人員交流は行っていない。
日本が行おうとしたのか、中国がしようとしたのか。
この問題はそれぞれの政府が決定する事項であり、独自に当方が決めることではない。
中国は沿岸警備隊を大幅に増強し、日本の海上保安庁は尖閣方面で中国側艦船に定例的に遭遇している。船体が白い警備艦が灰色の海軍艦艇に代わることが多い。海上自衛隊と海上保安庁の関係はどうなっているのか。
海上保安庁の任務は日本の領海内を巡視することにある。これに対し海上自衛隊はもし保安庁が対応できない場合にはこれを支援することが役目だ。海自と保安庁は協力しており、すべての点で連絡しあっている。海上保安庁のトップは同級生であり、ホットラインで連絡できる体制にある。
北の隣国ロシアは挑発行動に出ているのか。関係はどうなっているのか。
ロシアの戦闘能力は極東では海軍含めかつての全盛時より大幅縮小されている。とはいえ今でも大規模な戦闘能力があり、核兵器もある。ここ数年は軍の改革に取り掛かっており、各軍の統合運用も向上している。またジェット爆撃機が我が国領土付近を飛行しており、あらゆる点で軍事能力を向上させている。このためロシアの動向や活動には神経を払う必要がある。
だが同時にロシアは日本の安全保障に大きな影響を与え、重要なパートナーになるので、日本は引き続き防衛交流を続けていく必要がある。例として日本はロシア海軍と捜索救難演習SAREXを実施している。両国の意思疎通を維持するうえでこの演習は重要だ。
北朝鮮が日本の安定と平和にとって最大の脅威なのか。
大変良い質問だ。北朝鮮は国連安全保障理事会決議を拒絶し核実験とミサイル開発を続けている。これは北東アジア各国に深刻な脅威だ。北朝鮮は大量破壊兵器の拡散に関係している可能性がある。状況は深刻さをましており、この地域だけでなく世界全体でも脅威に写っている
この脅威に対応すべく、日本は米軍と密接な協力体制を維持している。直近の北朝鮮による核実験の際もイージス弾道ミサイル防衛(BMD)駆逐艦の投入を準備していた。韓国とは情報交換を改善、向上して一層効果的な対応ができるようにしたい。
イージスBMD艦は今後も拡充していくのか
する。現在イージス駆逐艦6隻があり、2隻をベイスライン9仕様で追加要求中だ。5年たつとBMD対応イージス艦が8隻になる。
イージスアショアには関心がないのか
陸上配備BMD装備は日本にとって検討課題だが海自はまずイージス駆逐艦の隻数を増やすことに集中する。
海自の戦力増強が続いている。いずも、かがの新型ヘリコプター搭載駆逐艦は偉容ある艦だ。その後に建造する艦の想定があるのか
かが、いずも級駆逐艦は艦体の大きさと形状のため航空運用能力も含め注目されがちだ。だが各艦の本当の作戦概念は違う。統合運用を基本にHADR(人道援助災害援助)のような活動を平時および緊急時に想定している。このため両艦には充実した医療設備がついている。二年前にかがよりやや小型のいせを大型台風の被害を受けたフィリピンに派遣しHADR活動に投入した。近い将来にかがも重要な任務に投入されるだろう。日本が軍事力を拡大しているように思われるかもしれないが、このことから海自が日本のみならず域内の海上安全保障環境に適合した形で整備をすすめていることがわかるはずだ。
同様のことが航空機についてもいえる。P-3C哨戒機はアデン湾周辺で海賊対策に投入されており、その活動実績の充実ぶりが他国から高く評価されている。P-1が後継機だが、世界各地で同様に重要な任務に投入されるだろう。
日本は本当の空母は建造しないのか
しない。
海賊対策で日本がインド洋西部で護衛部隊を派遣中とのことだが、その際に新作戦概念を試したり、乗組員や艦に経験を積ませたり、外洋での作戦を維持する機会に活用しているのではないか。それとも単に淡々と任務をこなしているだけなのか
インド太平洋は日本の平和と安全のため極めて重要な水域であり、2001年9月11日以降、日本は補給艦と駆逐艦を9年間継続して配備している。ソマリア沖のアデン湾にはこれとは別に海賊対策部隊を派遣している。これは日本政府が示すアジア太平洋地区での平和と安定への貢献という方向を象徴する存在だ。
派遣任務から学んだことは何か。数千マイルかなたの地点で艦船に補給を行い、定期的に交代させることは簡単に実施してきたのだろうか
海自はその出生から帝国海軍の伝統を引き継いでいる。外洋海軍たることも帝国海軍の伝統の一部だ。帝国海軍のDNAは生きている。
米海軍は航行の自由(FON)作戦を南シナ海他で実施中だ。ここに参加を求められている国もあると思うが現実にはまだ実現しいない。日本は将来はFONで米国に加わるのだろうか。
日本政府は米海軍による航行の自由作戦を支持するが日本の参加予定はない。しかしながら南シナ海と太平洋西部が開かれた海として安定していることは日本の国益にも関連する。日本政府は海のプレゼンスを維持する意向を持っており、関係各国との共同演習の実施で南シナ海を安全な通行路として使えるよう維持する。政府による指示の一つとしてますますこの重要性が増している。
By Christopher P. Cavas in Tokyo.



2016年2月10日水曜日

北京がTHAADの韓国導入に反対する理由は 北朝鮮ICBM発射の余波



なるほど中国がTHAAD導入にあれほど反対しているのはマスコミが言うようなレーダー探知距離の問題ではないことがよくわかりますね。北朝鮮についてはあれこれコメントがあると思いますが、米韓日の各国が比較的冷静に対応し、特に韓国が現実を直視した防衛対応をとることになれば雨降って地固まるでしょうか。

South Korea, U.S. in Talks to Increase Regional Ballistic Missile Defense Capability

By: Sam LaGrone
February 8, 2016 4:38 PM • Updated: February 8, 2016 5:51 PM

THAAD Missile Battery. Missile Defense Agency Photo
THAAD Missile Battery. Missile Defense Agency Photo

PENTAGON — 北朝鮮が2月7日に弾道ミサイルを発射し衛星を低地球軌道に乗せたことを受け、国防総省報道官は米韓両国が韓国国内に新型移動式ミサイル防衛装備の導入で協議を開始したと確認した。

  1. 「北朝鮮の脅威が増している中で米国と韓国は正式にミサイル防衛の実効性を向上させる協議を始める決定を下した。具体的には最終段階高高度広範囲防衛システムを在韓米軍が運用することを検討する」とペンタゴン報道官ピーター・クックが8日報道陣に伝えた
  2. クック報道官の前に韓国国防筋から米国によるTHAAD搬入で導入済みのロッキード・マーティンMIM-104ペイトリオット短距離BMDの弱点をカバーする案の協議を始めたとの発表が出ていた。
  3. 800百万ドルのロッキード・マーティン製THAADは米陸軍のトラックに乗せ A/N-TPY-2 Xバンドレーダーと一緒に運用することで、射程120マイルを実現する。なおペイトリオットPAC-3は43マイルだ。
  4. クック報道官は具体的な日程案は提示しなかったが、昨年、韓国関係者からTHAADの導入を米国に迫る動きがあった。北朝鮮弾道ミサイルの性能進歩を見ての対抗策としてだ。中国は朝鮮半島へのTHAAD持ち込みに憂慮する姿勢を示している。「いかなる国も自国の安全保障を名目に他国の安全保障上の権益を損なうことは許されない」(中国外務省報道官華春瑩)「対ミサイル装備の持ち込みは朝鮮半島の緊張をさらに増す効果しか生まない。域内平和と安定都は逆効果であり、現在の状況を正しく処理することにもならない」

A graphic showing the number of THAAD batteries that maybe needed to cover South Korea
韓国国内にTHAAD部隊をいくつ配備すれば全国をカバーできるのかを示す図

  1. THAADミサイル自体は比較的短距離なのだが、TPY-2レーダーはずっと長い距離を探査でき、米海軍のイージス誘導ミサイル駆逐艦や巡洋艦の発射するスタンダードミサイル3にも対応する。
  2. 2013年のテストではミサイル防衛庁はTHAADとSM-3(USSデカター(DDG-73))を同時にTPY-2レーダー(ハワイに設置)で管制するのに成功している。クック報道官は持ち込みを想定する装備の性能水準について言及を避けたが、第七艦隊のBMD対応誘導ミサイル駆逐艦・巡洋艦がTPY-2の目標捕捉情報の恩恵を受けるのは間違いない。■


2015年5月19日火曜日

☆ 日本も陸上イージス導入か 米下院の国防法案修正に見る可能性



ミサイル防衛の整備は当然必要ですが、陸上配置型イージスシステムの導入を日本がまだ発表していない段階で米議会がこの動きをしたのは水面下で日本が導入を決めて米側と交渉している証拠なのでしょうか。また、東欧で先行して導入する施設は米軍が運用するのに対して、日本設置施設は日本単独あるいは日米共同運用と想定が異なっていますね。問題は設置箇所でしょうね。

House Paves the Way for Japan to Buy Aegis Ashore; Adds Anti-Air Warfare to European Sites

By: Megan Eckstein
May 18, 2015 4:45 AM • Updated: May 17, 2015 9:09 PM

The Japan Maritime Self-Defense Force Kongo-class guided-missile destroyer JDS Myoko (DDG 175) pulls out of Joint Base Pearl Harbor-Hickam to support Rim of the Pacific (RIMPAC) 2012. US Navy Photo
海上自衛隊のこんごう級誘導ミサイル駆逐艦JDSみょうこう(DDG-175)、パールハーバー・ヒッカム合同基地施設から出港し、リムパック2012演習に向かうところ。 US Navy Photo

国家防衛認可法案National Defense Authorization Act が5月15日に下院を通過し、米軍のイージス陸上型ミサイル防衛システム(陸上イージス Aegis Ashore)の性能向上とともに同様のシステムの同盟国向け売却が含まれている。

  1. 下院軍事委員会(HASC)の戦略兵力小委員会の委員長マイク・ロジャース議員(共、アラバマ州)が修正案を議場に堤出し、国防総省に陸上イージスの日本向売却を急ぐよう求めた。
  2. 「日本政府が陸上イージス導入を決定すれば、同国がすでに海軍艦船でイージス武装システムを導入していることから、相互運用能力ならびに対空、対ミサイル防衛の統合が密接な同盟である同国と更に進む大きな機会となり、戦力増強効果が生まれることから、多用途装備への配備を緩和する効果が期待される」と修正案は述べている。
  3. この措置は国防法案の一部としてHASC所属の共和、民主両党議員が賛同した。
  4. この修正案で日米のミサイル防衛がさらに強化されると内部筋がUSNI Newsに語った。日本はイージス艦を運用中であり、米軍のミサイル防衛用レーダー施設を二箇所に受入れており、米国とはスタンダードミサイル3ブロックIIA迎撃体を共同開発中。
  5. 日本は陸上イージス導入を正式に決定していないが、消息筋によると有償海外軍事援助では陸上イージスの販売はできないという。
 The deckhouse for the Aegis Ashore system at the Pacific Missile Range Facility. This is the test asset for the Aegis Ashore system on Jan. 8, 2014. US Navy Photo
テスト用の陸上イージスシステムの建屋、太平洋ミサイル試射場にて。 Jan. 8, 2014. US Navy Photo
  1. 同筋によれば米海軍は売却案を一年以上前から検討中だが修正案で売却が遅延している理由を問われる格好だという。海軍がHASCと連絡をとっているのを認めつつ、FMSが進まないのは「お役所仕事のせい」と同筋は見ており、銀行借入の例にたとえる。大口借入れ審査が通った申請者なら自動車程度の借入れなら簡単に処理するべきだという。
  2. 修正案は海軍にすべての手順順守を求めつつ迅速な処理を求めている。
  3. これとは別に法案に以下の条項が入っている。「政策担当海軍次官ならびに国務長官は協力して陸上イージスあるいは追加陸上イージス導入のための資金づくりで障害を取り除くものとする。そのための検討内容、としてその他連邦政府省庁機関と適切な調整をすること、受入国による運用または米国と受入国の共同運用の実現可能性を含むこととする」
  4. さらに「大統領は陸上イージス設置箇所につき受入国と協定を結び、もし設置箇所が作戦司令部の要求に合致すれば必要に応じ共同財政負担ならびに共同開発でも協定するものとする」とある。
  5. 現在企画中の陸上イージス設置場所はルーマニアとポーランドで、同法案ではこの双方に防空能力の追加を求めている。このうちルーマニアは今年後半に稼働開始するので2018年までに装備追加する必要がある。またポーランドでは建設前から能力追加した上で、2018年に稼働開始する。
  6. 同上筋によれば法案中のこの部分はHASC内で超党派的支持を受けており、一部反対の理由はロシアを刺激することだったという。東欧二箇所のミサイル防衛施設は中東から飛来する弾道ミサイルからヨーロッパ同盟各国を防衛することが目的だが、ロシアは脅威だと受け止めている。
  7. 同上筋によればロジャーズ議員、戦略兵力小委員会、HASC所属議員多数が在外米軍部隊の防衛は道義上必要と感じ、可能な手段はすべて使うべきだとしている。ロシアが東欧の両施設を脅威対象と認識するのであれば、同施設運営に当たる数百名の米軍要員の防護手段が必要となる。
  8. なお下院法案は上院軍事委員会が賛同しないと成立しない。