2017年7月31日月曜日

★ズムワルト級駆逐艦は強力な攻撃力を備えたポケット戦艦になる




ポケット戦艦というとナチ・ドイツみたいですが、軍縮条約の裏をかいたが結局戦艦でも巡洋艦でもない中途半端なグラフ・シュペー等と違いズムワルト級は思い切りミサイル重装備艦にするという発想なので意味が違います。とはいえミサイル重装備構想はソ連がすでに実現していましたね。空の重武装機構想とならぶ攻撃力重視の発想ですね。



The U.S. Navy's Stealthy Zumwalt Class Destoyer: America’s New 'Pocket' Battleships? 米海軍のステルス艦ズムワルト級駆逐艦はアメリカ版「ポケット戦艦」になる



July 30, 2017

  1. 三隻しかないズムワルト級駆逐艦をどうしたものか。当初30隻近くの建造予定で兵装もその想定で調達したが建造遅延、隻数削減、費用上昇にあった。このまま持て余し装備の代表になりそうなところ、同級を新任務のステルス敵艦キラーにしたら威力を発揮できるだろうか。
  2. ズムワルト級駆逐艦は32隻整備し精密誘導砲弾で内陸部を攻撃する構想だった。海兵隊揚陸作戦支援も念頭にアイオワ級戦艦の退役で空白となった大口径火砲の代わりを期待した。.
  3. 残念ながら費用超過および技術問題のためペンタゴンはわずか三隻建造にとどめた。もっと悪いのは長距離攻撃砲弾があまりにも高額になり海軍が購入できなくなったことで、さらに揚陸作戦支援に投入できるのは一隻に限られ同級の存在意義が疑問視されていた。
  4. 一方で中国人民解放軍海軍PLANの伸長が著しい。2000年当時のPLANは戦力として認識されていなかったが、ズムワルト級はこのころ開発中だった。今日ではペンタゴンはPLANを「アジア最大の海軍力で水上艦、潜水艦、揚陸艦、警戒艇含め300隻以上ある」と見ている。現時点で米中両国は直接対立していないが、中国が南シナ海東シナ海で好戦的態度を強める中、両国が軍事衝突する可能性も増えている。同様にロシアもバルト海、地中海、太平洋で海軍活動を強化している。
  5. ステルス性を備えたズムワルト級はレーダー上で漁船程度にしか映らず、敵海域での活動が可能だ。ミサイル多数を搭載したズムワルト級は対艦攻撃任務にうってつけだ。単独行動しても米海軍の戦闘ネットワークに接続したまま敵部隊を追尾し撃滅する。
  6. そこで艦首の155mm高性能主砲システムを撤去しMk.41垂直発射システムへ換装し長距離対艦ミサイル(LRASM)を搭載する。主砲の場所に発射管200本が収まるとオハイオ級誘導ミサイル潜水艦を上回る威力が実現する。ステルス艦にステルス対艦ミサイルを搭載し人工知能で誘導すれば相当の戦力だ。あるいは戦術トマホーク200本で対地攻撃にも投入できる。
  7. 対艦攻撃に徹するズムワルトは単独行動をとるはずだ。護衛艦艇は敵に探知されてしまうからだ。AN/SPY-3多機能レーダーとSM-2・ESSM各ミサイルの組み合わせで自艦防御は十分だ。搭載済みのMk.57発射管80基に防御装備としてスタンダードミサイルSM-2を中距離防空用、ESSM(発展型シースパロウミサイル)を近接防御に使い分ける。新型SM-6がMk.57におさまれば予備の対艦ミサイルとして運用できる。
  8. とはいえ攻撃任務につくズムワルトに護衛が不要ではない。お気づきのようにズムワルトには対潜装備がない。空母打撃群と同様に原子力攻撃潜水艦一隻ないし二隻がズムワルトを護衛し水中脅威を警戒するだろう。潜水艦が敵部隊に陽動攻撃を加えたり、先行して状況を偵察するだろう。
  9. ズムワルトがハンターキラー艦として成功できるかは海軍の他装備とネットワークで結んだ運航ができるかにかかる。敵目標の補足情報を衛星、MQ-4トライトン高高度長時間無人偵察機、P-8ポセイドン、空母艦載機、水上艦、潜水艦から受け取る。ズムワルトは敵任務部隊の位置を把握し自艦レーダーを作動させず待ち伏せ攻撃をかける。ネットワークがあってこそズムワルトの機能が発揮され、危険な敵脅威の裏をかけるはずだ。
  10. アメリカ版ポケット戦艦とでもいうべき存在となり、大洋で単独行動で敵に対峙させれば危険がともなう。だがこれだけの火力を集中運用する構想には訴求力があり、同艦のステルス性能、高水準の個艦防御能力へ米国が優位な軍用通信ネットワーク能力が加われば十分な残存性も期待できる。就役ずみ初号艦が数年間ドック入りするが再登場する際には敵艦攻撃に特化した艦になる。敵陣営の艦船建造が進展していることを考えると同艦の任務が不要になる事態は当面考えられない。■
Kyle Mizokami is a defense and national-security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.
Image: Flickr / U.S. Navy


★★米陸軍の考える次期主力戦車の姿


米陸軍は将来の戦闘を市街地戦が中心と見ており、取り回しの良い小型戦車を望んでいるようですが、結局あれもこれもと装備性能を追加すると重量級車両にあなってしまうのですね。エイブラムズが70トン超ですか、日本の10式は44トンということですから相当の差がありますね。艦艇や航空機と同様に今後の装備では発電容量がカギになるということでしょうか。

Vitaly V. Kuzmin - http://www.vitalykuzmin.net/?q=node/604

Milley’s Future Tank: Railguns, Robotics & Ultra-Light Armor ミリ―参謀総長の考える将来の戦車はレイルガン、ロボット工学、超軽量装甲を搭載


上写真 ロシアの新型T-14アルマータ戦車。モスクワの軍事パレードで。
NATIONAL PRESS CLUB: 戦車は時代遅れになるどころかこれからも必要だ。米国は1980年代からM1エイブラムズを稼働中だがどんな戦車が必要で、どれだけの時間の猶予がるのか。本日当地で陸軍参謀総長段階的改良でなく一気に技術革新を狙うと述べているが、新型戦車開発は長時間がかかると言いたいのだろう。
Sydney J. Freedberg Jr. photoマーク・ミリー大将
  1. 「機械化車両もかつての騎兵隊や恐竜と同じ道をたどるのか。そうは思わない。ただし自信が持てないのでこの問いを続ける」
  2. 「現在の戦車は堅牢かつ優秀だ」とM1を評した。「だが機械科歩兵部隊や戦車の基本となる新型地上車両プラットフォームが必要だ。今後25年ほどは各種車両に相当の役目が期待される」
  3. 「どんな技術が導入されるのか」とミリー大将は続けた。「まずアクティブ防御装備として電子ジャマー装置やミニミサイルで対戦車兵器を遮る。乗員数も自動砲塔の採用で減らす」となるとロシアの新型T-14アルマータと同じ発想だ。ミリー大将は米陸軍は同戦車をくわしく研究中という。「技術研究の中心は素材で、装甲そのものだ。大幅軽量化しても同じ装甲性能を実現する素材があれば画期的な技術突破口になる」
http://www.raytheon.com/capabilities/products/aps/レイセオンのQuick Kill アクティブ防御技術
  1. 「研究開発課題は他にもたくさんある」とミリー大将は述べた。たしかにそうだが陸軍や業界関係者と話すと「突破口」になる技術革新があと少しで実現すると見る向きは皆無だ。装甲材料で中程度の改良は研究中だが装甲重量を画期的に軽減する根本的な革新は見あたらない。
  2. すべての車両で重量が増える傾向だ。M1戦車が登場した1980年の重量は60トンで当時のソ連対戦車砲のほとんどに十分だったが、その後70トン近くに増えている。歩兵戦闘車両M2ブラッドレイは25トンだったが今や40トンで、BAEからは45トン型提案もある。ブラッドレイ後継車両の地上戦闘車両構想は84トンまで大型化したが予算不足の陸軍がキャンセルした。
M1エイブラムス戦車、イラクにて
  1. 陸軍は軽量車両に目を向けているが、記者が話した専門家は軽装甲を信用していない。かわりに以前なら異端といわれたトレードオフを検討している。たとえば空挺部隊用に空中投下可能な軽量戦車、あるいはブラッドレイ後継車両に現行の半分の歩兵搭載能力を与えることだ。
  2. 小型化すれば軽量化も実現し狭い市街地での取り回し性能も手に入る。ミリー大将含む陸軍上層部は将来の戦闘は市街地が舞台にすることが増えると見ているのでこれは重要な性能になる。モスルは究極の将来の小規模戦闘の姿と受け止められた。2004年のファルージャ、2008年のサドルシティでは戦車で奪回に成功したが歩兵部隊と特殊部隊との密接な連携がカギだったとミリー大将は述べた。
Army photoレーザーを搭載したストライカー。5キロワットで無人機を撃墜するのが目的だが大出力なら車両を走行不能にできる
  1. ミリー参謀総長は軽量防御を最上位の優先事項に上げるが、同時に二つの技術で装甲車両を革命的に変えるとする。一つがレイルガン含む電動兵器で電磁石で固体金属のかたまりを超音速に加速する。もう一つはレーザーで光速でエネルギーを放射する。「運動エネルギーに火薬を使う弾薬は5世紀にわたり使われている」とミリーは指摘するが、火力に別の選択肢も着実に実現しつつある。
ロッキードのATHENAレーザーで走行不能になった車両
  1. 今のところレーザー、レイルガンはともに防御兵器としての開発が主で無人機や巡航ミサイルを迅速かつ安価に撃墜する方法として注目されている。空軍特殊作戦軍団は150キロワット級レーザー砲をAC-130ガンシップに搭載し音をたてずに敵地上の車両の重要部品を焼きつぶそうとしている。今は大型機にしか搭載できない攻撃用レーザーが将来の大型地上車両に搭載される日が遠いとは限らない。
  2. もう一つの画期的な技術革新としてミリー大将があげるのが「ロボット工学の革命」だ。地上は空中や海より航行制御が困難とミリー大将は指摘したうえで、地上ロボットの登場は無人機や無人艇より遅れるが、「ゆくゆくは広範囲にロボットの導入が実現するはず」と述べた。小型で消耗品扱いの偵察ロボットが中心で、センサーまたは兵器を積み、歩兵隊の先陣を進む。ミリーは未来の戦車は運用人員を減らすため自動化を大幅に採用すると見るが選択的に完全無人自律運用にすることも視野に入るという。
  3. 「今後開発する各車両では無人有人運用の切り替えが当然となり指揮官はスイッチ一つでロボット車両にすることが可能となるでしょう」
  4. 将来の戦闘ロボット開発にはまだ多くの検討が必要だ。人工知能で戦車運用を任せられるほど発達すれば、戦闘はAIにさせて乗員は安全な本国に残れば生命の危険はなくなる。戦車内部に人間が不要となれはAIに目標を捕捉させて攻撃を任せられるのか。ペンタゴンの現在の方針では「絶対不可」であるが、ロボットが人間から「発射」命令(あるいは思考)を待つ間にそこまで慎重な態度を取らない敵勢力が先に攻撃するかもしれない。陸軍には検討すべき課題が山積しているが、国家の検討課題でもある。■

2017年7月30日日曜日

北朝鮮ミサイル核開発の資金はどこから出ているのか


北朝鮮の暴走を止めるどころか裏で助長してきたのが各国というのが何とも皮肉で、こんなところからも国連に対する不信が生まれるのでしょう。それにしてもオバマ政権の8年間の無策が痛いですね。トランプ政権は制裁立て直しをするよりも一気呵成に行動に出るのか、結局何もできないままなのか、今年が大きな分かれ道になるでしょう。

North Korean leader Kim Jong Un reacts during the long-range strategic ballistic rocket Hwasong-12 (Mars-12) test launch in this undated photo released by North Korea's Korean Central News Agency (KCNA) on May 15, 2017. KCNA via REUTERS

 

How America's Friends Aid North Korea's Missile Program
米友好国が北朝鮮ミサイル開発を助けている

July 29, 2017

  1. 北朝鮮が金曜日にICBM二発目をわずか三週間の間隔で発射し、米本土への核攻撃能力の整備という目標に一歩近づいた。急速な北朝鮮の進展で同国を核保有国として認知すべきという声もあるがここまで早く進展した理由に北朝鮮制裁措置にたくさん穴があることがある。ついに米国も「最大限の圧力」に向かうが、昨日のICBM発射を実現させたのは米国の友邦国や同盟国なのである。
  2. ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ両政権は北朝鮮制裁の欠陥に目をつむり、むしろ欠陥をひろげた。特にオバマ政権は何も行動しない宥和的態度を「戦略的忍耐」と呼んでいた。これを見て北朝鮮に厳しく対処しなくても許されると判断した国が出たのは不思議ではない。
  3. 各地で制裁実施に気を抜く、あるいは無視する姿勢が出ている。今年はじめにベルギー当局が制裁対象の北朝鮮銀行数行にSWIFT(金融メッセージ通信サービス)の利用を認めていたと判明した。海外送金に不可欠な機能で北朝鮮ハッカー集団がSWIFTを使ってバングラデシュ中央銀行から10億ドル奪取をねらったことが説明できる。ハッカー集団が手に入れたのは81百万ドルだけだったのがせめてもの慰みだ。
  4. 別の例もある。オーストリアが金正恩の山小屋用スキー道具はぜいたく品の輸出禁止を求めた2006年国連制裁に違反しないと言い張っていた。トランプ政権は最大級の制裁措置を実施するにあたり同盟各国にこのような行動は看過できないと明確に伝えるべきだ。
  5. この関連でワシントンがメッセージを伝えるべき友邦国・関係国が中東に存在する。クウェイト、オマーン、カタール、アラブ首長国連邦は北朝鮮労働力を奴隷同様の待遇で使っているとAP通信は伝えている。以前の分析だが海外労働力輸出で北朝鮮の年間収入は少なくとも5億ドルあり、50千名が中東で働いているとみられる。北朝鮮は奴隷労働で得た外貨収入を核兵器ミサイル開発に使っていると国連も認めている。
  6. 今週も米議会が北朝鮮労働力利用国へ制裁措置を求める法案を大統領に送っている。APによれば北朝鮮労働力はUAEのアル・ドファ航空基地の拡張工事に従事している。ここはISISに立ち向かう米軍部隊の基地だ。トランプ政権は北朝鮮人を送還しないと新規制裁の対象になると首長国連邦他湾岸諸国へ静かにさとすべきだ。
  7. アジアではシンガポール他が制裁をかいくぐっている。NKニュースによれば北朝鮮指導部とつながりがあるシンガポール企業がぜいたく品輸出の窓口になり、北朝鮮エリート層のニーズに応えている。シンガポールのChinpo海運は北朝鮮の武器輸出ならびに40百万ドル以上の不正金融取引で二年前に起訴されている。
  8. もちろん友邦国に圧力をかけれあばそのまま敵国側がくいさがるわけではない。制裁措置の最大の違反国が中国であることに疑いはなく、ロシアにも懸念が拡大している。
  9. 中国の銀行数行が少なくとも22億ドルを米金融システムを使い北朝鮮の代理で取引したことが最近判明している。だがなんと言っても中国の関与の最大の表れは北朝鮮ICBMを運んだ車両が中国製であることだ。
  10. 北朝鮮を世界で最も孤立した国と評することがあ多いが金正恩は世界を結んだ不正ネットワークにより海外から部品を調達してミサイルを組み立てている他、ぜいたく品をかきあつめエリート層に配布し、手に入れた資金で平壌をいかにも反映しているように見せかけている。トランプ政権には北朝鮮を締め付ける手段があるが肝心の時間がなくなりつつある。■
Anthony Ruggiero, a Senior Fellow at the Foundation for Defense of Democracies, was the nonproliferation advisor to the U.S. delegation to the 2005 rounds of the Six-Party Talks and spent more than seventeen years in the U.S. government. Follow him on Twitter @_ARuggiero.
Image: North Korean leader Kim Jong Un reacts during the long-range strategic ballistic rocket Hwasong-12 (Mars-12) test launch in this undated photo released by North Korea's Korean Central News Agency (KCNA) on May 15, 2017. KCNA via REUTERS.

2017年7月29日土曜日

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意



目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。

Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats 漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露

 By Ryan Pickrell Daily Caller News FoundationJun. 7, 3:30 PM

  1. ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。

  1. 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。
  2. CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。
ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo)
  1. 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。
  2. 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書)
  3. 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリクソン博士(中国海軍関係で権威的な研究者)は下院軍事委員会の公聴会で昨年9月に述べている。
  4. ペンタゴンは海上民兵は「中国の民兵組織の一部で一般国民による武装予備役部隊であり、基本的な支援任務に動員可能な組織」としている。南シナ海問題では「CMMが中国の望む政治目標達成に中心的役割を担い、戦闘することなくこれを達成しようとする。中国の軍事教義では戦争寸前の対立行動を効果的に政治目的を達成する手段としている」
  5. 国防総省ではCMMが海軍、沿岸警備隊とならび訓練を積んでいると理解している。人民日報は2016年に海上民兵は「知名度が低い部隊」で大部分が「地元漁民で構成」されていると報じていた。記事では民兵が軍服で射撃訓練を行っている写真を掲載。
  6. 「海上民兵とは中国の海洋防衛軍組織の一部分であり、過度の兵力投入を避けつつ海洋防衛措置で大きな裁量を発揮する」と中国軍司令官が説明している。
  7. CMMは「秘密兵器」ではなくその存在は知られているがオバマ政権下の政府各種刊行物では海存在を認知してこなかった。「北京の策略に対して賢く対応する必要があるのは明らか」とエリクソンは議会公聴会で証言した。
  8. CMMはUSNSインペッカブルを2009年に取り囲み危険な行為に出たので同艦は緊急回避行動で衝突を避けざるを得なかった。2011年には海上民兵がヴィエトナムの海洋調査船を妨害し、2012年にはスカボロー礁を占拠し、2014年には中国海上石油掘削施設に近づこうとするヴィエトナム艦船を排除し、2015年には航行の自由作戦を行うのUSSラッセンを追尾している。2016年、中国は漁船230隻に沿岸警備隊艦船を同行させ東シナ海に侵入させ尖閣諸島をめぐる中国の主張を体現した。
  9. 海南軍区司令官Xing Jinchengは今年1月に海上民兵は中国が「祖先代々保有する海域」を守るべく「海洋主権防衛」にあたっていると発言。「同海域は中国にとって平和の海ではない。戦闘相応体制を強化する必要がある」
  10. 海上民兵は米海軍や議会調査報告が以前も言及しているが、今回の国防総省報告書は同部隊に初めて触れた高レベル政府刊行物となった。「実際に存在するのは事実だ」と米太平洋艦隊司令官スコット・スイフト大将は11月に発言していた。「まず存在を認めよう。さらに実際に指揮統制に入っていることを認めよう」
  11. 存在を明らかにすることで海上民兵の活動を制約できる。「闇に紛れ行動すると最強かつ最効率の存在になる」とエリクソンも11月にNational Interestに寄稿している。
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北朝鮮ICBM戦力予想は2018年に早まる。今回の発射に対する米側対応のあらまし


今回の発射は米時間で昼間になるよう調整したのでしょうか。制裁措置で北朝鮮経済が打撃を受けていないのはお伝えしていますが、その際は中国の対応がザルだったのです。今年になり中国もやっと一部対応し、さらに強い措置を取っても効果が出るのは来年以降で、ICBM戦力化が加速しているとの評価が正しければ来年に完成するのであれば制裁に意味がないことは明らかですね。そうなると軍事オプションしかないのでは。今から準備するのであれば今年末から来年早々が作戦時期からと思います。(無責任ですが)

After North Korea's July 4, 2017, ICBM launch, the U.S. and South Korea fired their own ballistic missiles into the Sea of Japan, using the Army Tactical Missile System (ATACMS). Army photo

Dunford Discusses ‘Military Options’ After North Korean ICBM Launch 北朝鮮ICBM発射でダンフォード統合参謀本部議長「軍事選択肢」を検討中

 POSTED BY: RICHARD SISK JULY 28, 2017

写真 7月4日の北朝鮮ICBM発射を受けて米韓両国も弾道ミサイルを日本海に発射した。写真は陸軍戦術ミサイル装備(ATACMS)。米陸軍写真

  1. 北朝鮮がICBM発射したことを受け統合参謀本部議長ジョセフ・ダンフォード大将が韓国軍トップに直ちに電話を入れた。
  2. 統合参謀本部報道官グレッグ・ヒックス海軍大佐はダンフォード大将、米太平洋軍司令官ハリー・ハリス海軍大将が韓国統合参謀本部議長李淳鎮Lee Sun-jin大将と電話会談したと発表。
  3. ダンフォード、ハリス両大将は北朝鮮への米韓同盟の「断固たる誓約」を強調し、「軍事対応オプションも検討」して北朝鮮のICBM脅威の増大に対応すると述べた。
  4. ダンフォード、ハリス両大将による異例ともいえる反応は7月28日金曜日午前11時(東部標準時)にミサイルが日本の排他的経済水域に着水した直後のこと。
  5. ミサイルは中国国境近くの舞坪里Mup’yong-niから発射され高度3,700キロに達したと韓国統合参謀本部が発表。飛翔時間は45分ほどで1,000キロ飛び日本付近の海面に没し、「以前より高性能のICBMと推定される」とも発表した。
  6. 7月4日に北朝鮮が打ち上げたミサイルはICBMとされ、アラスカまで射程に収めると米関係者は述べていた。
  7. 北米防空司令部NORADは今回のミサイルで北米に直ちに脅威とならないと判断するが、北朝鮮が米本土を標的に収めるミサイル開発で大きな進展をしているのがテストからわかる。
  8. 北朝鮮が核弾頭を搭載し大気圏再突入可能なICBM開発に成功したかはっきりしないが、国防情報局DIAは北朝鮮が実戦化までの期間を大幅に短縮したとの報道がある。
  9. DIAはこれまで最低三年が必要としてきたが「信頼性のある核ICBM」を2018年中に製造するとの結論を得たとワシントンポストが今週報じた。
  10. 今回の発射でドナルド・トランプ大統領は上下両院が採択した北朝鮮に加えイラン、ロシアを対象に一層厳しい制裁法案への署名を迫られている。
  11. 下院軍事員会のマイク・ターナー下院議員(共、オハイオ)はトランプに法案署名を即座に求めている。「ミサイル発射の連続にはしかるべき結果を見舞うべきだ。今週初めに北朝鮮制裁強化に賛成票を投じた。上院も同調した。大統領にはただちに署名で法案成立を期待し北朝鮮ミサイルのこれ以上の進展を阻止したい」
  12. ダン・サリバン上院議員(共、アラスカ)は「米国はなにをするかわからない独裁者が米国人数百万人の運命を握る事態は看過できない」「本日の発射テストで弾道ミサイル防衛の強化統合が一層必要となった。アラスカのみならず全米の防衛が必要だ」と声明を発表。
  13. ダンフォード議長はことあるごとにロシアが米国安全保障上の「最大の脅威」と口にしてきたが、先週は北朝鮮に関しても警告している。
  14. コロラド州アスペンで開催された安全保障フォーラムでダンフォード議長は「最大の軍事力を有する」ロシアが脅威であるものの「緊急性から見れば北朝鮮が第一課題」と述べていた。■

北朝鮮が狙う米本土攻撃地点はここだ


今回のミサイルは高度3,500キロまで上昇し飛翔時間は45分と最長とのことですので北朝鮮のミサイル技術は着実に進歩しています。ミサイルが脆弱なのは打ち上げ直後の上昇加速段階なので日本含む前方配備部隊にはこの段階を狙うミッションが期待されるかもしれません。
BI Graphics north korea Nuke TargetsSkye Gould / Business Insider

 

Here are the US targets North Korea most likely wants to nuke 北朝鮮がねらう米本土標的地点はここだ


  1. 北朝鮮が飛翔距離が最長のミサイルを金曜日午前(米時間)に打ち上げ、このミサイルはフロリダ除く全米に到達可能と見る専門家も現れ、米国は金正恩の核攻撃の射程に入った。
  2. 幸いにも北朝鮮のミサイルは未完成であり米本土のすべての地点を狙う性能はない。さらに限定攻撃とはいえ北朝鮮には準備期間が必要だ。ミサイルの推進系技術は熟成しているとはいえずテストが必要だし誘導装置もある。米ミサイル防衛網をかいくぐるためには多数のミサイルが必要だ。
North Korea nuclear targets kim jong unKim Jong Un and his men review plans for a missile launch. Rodong Sinmun.
  1. だが北朝鮮のプロパガンダ写真(2013年)を見ると金正恩が発射前に書類を精査しており、米本土の核攻撃目標がわかる。さらに金正恩たちの背後の地図の矢印は軍事的に重要な個所を示している。
  2. 北朝鮮から一番近い標的がハワイで太平洋軍が拠点を構えている。サンディエゴはPACOMの拠点港で北朝鮮攻撃に投入される米海軍艦艇多数がある。
  3. バークスデール空軍基地(ルイジアナ)は米空軍グローバル打撃軍司令部があり、米ICBMの反撃を指令する拠点だ。
  4. ワシントンDCは米軍最高司令官たる大統領がおり、核攻撃の承認を与える。
  5. 北朝鮮が選んだ標的は米国の核攻撃指揮命令系統を理解していることを示すが、あくまでもプロパガンダの一部なので割り引いて考えるべきだろう
  6. 北朝鮮は現政権存続のために核兵器を開発しているというのが多数の専門家の一致した見解だ。金正恩が米本土に向けてミサイルを発射すれば米監視衛星が即座に探知し着弾前に大統領は反撃命令を出すはずだ。
  7. 金正恩は核の引き金を引けばただちに報復攻撃をあびることを知らないはずはない。■

2017年7月28日金曜日

USSフィッツジェラルドは相当の高額修理になりそうだ


相当な大修理になりそうですがこれを機に必要な家性能改修を行えば一石二鳥と考えるのは軽率でしょうか。ただし予定外の作業で他艦にしわ寄せがいくほど米海軍も予算のやりくりが大変なのでしょうか。一方で海難審判はJAGの統一軍事法典で行うことになるのでしょうか。過失をどちらの側に求めるかが注目ですね。

Repair for USS Fitzgerald After Collision Will Cost More Than Fix to USS Cole After Terror Attack 衝突後のUSSフィッツジェラルド修理費用はテロ攻撃受けたUSSコール修理時より高くなりそう

 By: Sam LaGrone
July 27, 2017 6:10 PM

写真 USSフィッツジェラルド (DDG-62)が横須賀の第四乾ドックで損傷評価を受けている。US Navy Photo

THE PENTAGON — USSフィッツジェラルド(DDG-62)の修理費用が2000年にテロ攻撃を受けたUSSコール(DDG-67)の250百万ドルを上回りそうだ。
  1. 正確な見積もりではないが、海軍問題専門家がUSNI Newsに500百万ドルになってもおかしくないと指摘している。
  2. 損傷状況に詳しい筋によればコール事例よりはるかに高くなるという。コールは自爆攻撃ボートで左舷に大きく穴を開けられ乗組員17名が犠牲になった。
  3. 6月17日のフィリピン船籍ACXクリスタルとの衝突事故で乗組員7名が死亡し、艦体が大きく損傷し、高性能電子装備も損傷を受け、通信室と右舷前方のA/N-SPY1D(v)航空レーダーアレイも被害を受けた。クリスタルの左舷が艦橋を激突しレーダーをつぶし艦橋の骨格がねじれた。
  4. USNI Newsが得たフィッツジェラルドの損傷評価は進行中で修理の最終見積は出ていないが、海軍は同艦を米本土へ回航する方法を検討しているという。今のところ大型運搬船での米西海岸移動案が有力だ。
  5. コールは米本国へ大型石油掘削装置運搬用のMVブルーマーリンで運ばれ修理には二年かかった。「修理には250百万ドルかかり、鋼鉄550トン、主機関二基で27トン分を交換し、ガスタービン発電機三基を交換した」と海軍は発表していた。
  6. 今回の見積もりで大きな差が出ているのはフィッツジェラルドの電子装備の改修交換費用によるものだ。
イエメンからUSSコールを運ぶMVブルー・マーリン。コールは2000年に攻撃で損傷した。 US Navy Photo

  1. 「コールは機関関係が主でしたが今回は電子装備で経費がかかります」と退役海軍大佐クリス・カールソンがUSNI Newsに解説している。「主機関に相当かかりそうですが電子装備と比べれば簡単な修理です」
  2. さらに喫水線下の浸水区画は除去が必要だとカールソンは指摘した。
  3. 戦略予算評価センターの海軍関連専門家ブライアン・クラークは海軍の公表写真を見ると修理費用はコールの250百万ドルを軽く突破しそうだと述べた。
  4. フィッツジェラルドは1995年就役し、アーレイ・バーク級駆逐艦の最初の一隻で170百万ドルで艦体、機械関係技術系の改修が2019年度に予定され供用期間を10年から15年延長するはずだった。
  5. ただし海軍が修理時に電子装備を一気にベイスライン9仕様にし、弾道ミサイルと防空能力を両立させれば270百万ドルになる。
  6. 「当初予定より数倍高くなりますが他艦へ影響が出そうです」とクラークは指摘する。「BMD近代化改修を受けられない艦が出るれば割りが合いません」
  7. 修理予定に不明点が多数あるが海軍は同艦修理に本気なようだ。
  8. 第七艦隊司令ジョセフ・オーコイン中将は「艦を救う」と6月17日に報道陣に語ったとStars and Stripesが報じた。「かなりの修理になるがUSSフィッツジェラルドはここに戻ってくる。修理は数か月かかるだろうが一年未満だといい」
  9. 修理案を固めるのと並行して事故原因の調査が進行している。■

★★新対艦ミサイルASM-3が配備されると中国は憂鬱になる>なぜ沖縄が重要か、なぜ抑止力が有効なのか



中国が数で凌駕しても日本は技術で対抗し、相当の損失を覚悟しなければならないようにする。ここに抑止効果の本質が見えますし、琉球地方の戦略的意義があります。だからこそ中国は琉球独立論まで支援し戦略構図を自分の都合の良い形に変えようとします。道路を勝手に封鎖したりテントを不法に立てている勢力は中国にとって頼もしい勢力なのでしょうが決して信頼もされていないはずです。

 


How Japan Could Sink China's Navy in a War: Ramjet Missiles日本はラムジェットミサイルで中国海軍を海の底へ送る


July 22, 2017

  1. 新型対艦ミサイルで自衛隊の海上抑止力は一気に伸びる。マッハ3で飛翔するXASM-3はミサイル防衛をかいくぐり敵艦を沈める。北太平洋進出前に同ミサイルの有効射程に入らざるを得ないため中国が憂鬱になるのは必至でだ。
  2. 従来の対艦ミサイルに米製ハープーンや仏製エクゾセがあるが、ロケットモーターやターボジェットで亜音速飛翔し、高度15フィートと波頭ぎりぎりの高度を維持するため「シースキマー」と呼ばれる。超低空飛翔でミサイルは地球の湾曲で標的から探知しにくくなる。低空飛行すればその分探知可能距離が短くなる。30フィートで飛ぶミサイルで19マイルでハープーンが10メートルの高さで飛べば敵レーダーが探知できるのは命中2分前で対応時間がなくなる。
  3. ごく最近まで亜音速超低空飛翔が西側標準だった。ソ連のラムジェット式P-270モスキットミサイルなど新型技術も登場したが冷戦終結で米、NATO側は対応しなかった。攻撃対象の敵艦隊が不在となった1990年代に新装備開発は失速し、2001年以降は地上戦に焦点を合わせハープーンなど旧式装備が後継機種のないまま供用されてきた。
  4. ただし海軍戦に重点を維持した国がある。この国は隣国が質量ともに海軍戦力を整備するのを見て、自国艦船の整備を怠らなかった。初のドック型揚陸艦に続き、空母部隊を整備した。その国とは日本で、人民解放軍海軍(PLAN)が沿海部戦力からインド洋やバルト海まで進出する海軍力に成長する様を傍から見てきた。PLANの戦力は今や海上自衛隊をトン数隻数ともに凌駕する規模になっている。
  5. 2000年代から開発が始まった新型XASM-3対艦ミサイルで力のバランスをふたたび日本に戻す期待が高まる。ラムジェットを搭載したXASM-3の最大速度はマッハ3超で海面すれすれを飛ぶ。標的艦には命中までの対応時間が30秒しかない。
  6. Navy RecognitionによればXASM-3の射程は92マイルだが、おそらくもっと長いだろう。ミサイルは全長17フィートで約2千ポンドの重量はトマホーク対地攻撃ミサイルやSM-6防空迎撃ミサイルより小さい。XASM-3は慣性/GPS航法を切り替え、パッシブ/アクティブシーカーを最終段階で使い分ける。航空自衛隊のF-2多用途戦闘機は同ミサイル二発を搭載する。生産は2018年開始する。
  7. 海上自衛隊に新型ミサイルXSSMが導入されるとの報道がある。マーク 41垂直発射装置に搭載可能で海上自衛隊艦船の対艦攻撃能力が強化され、駆逐艦たかなみ級で32本、こんごう級イージス艦には90本の発射管がある。さらにXASM/XSSMから発展して新型陸上配備対艦ミサイルが実現する。かつて時代遅れと言われた陸上配備対艦ミサイルが再び脚光をあびている。
  8. 中国は水上任務部隊を琉球諸島島しょ線の先に定期的に送っている。中国の北方艦隊、当方艦隊は琉球諸島を通過しないと太平洋に出られず、あるいは台湾まで遠回りをする必要がある。平時のPLANは日本の排他的経済水域を合法的に無害航行している。
  9. 琉球諸島の地理条件と陸上配備対艦ミサイルを組合わせると有事に強行突破しようとすればPLANは相当の被害を覚悟する必要がある。対艦ミサイルはトラックに積んで与那国島から石垣島、宮古島、沖縄本島、徳之島、奄美大島まで配備すれば対艦ミサイル網が多重的に連続して完成する。琉球諸島を避け南北に移動すればそうりゅう級ディーゼル電気推進攻撃潜水艦、はやぶさ級誘導ミサイル艇あるいはASM-3搭載F-2の標的になる。
  10. 高性能対艦ミサイル開発でも日中の軍事バランス変更は簡単ではないもののPLANにとって日本沿海部は危険水域になる。海上で日本を簡単に屈服(撃破)できると見る向きに新型ミサイルが冷水を浴びせる。ミサイルの威力を避けるためには戦闘自体を回避するしかない。
Kyle Mizokami is a defense and national-security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.


2017年7月27日木曜日

低価格無人機の実現のカギは低価格短寿命エンジンの開発実用化だ



Aviation Week & Space Technology

Unmanned Wingmen And Cruise Missiles Need Low-cost Engines 無人ウィングマン機や巡航ミサイルには低価格エンジンが必要だ


Jul 24, 2017Graham Warwick | Aviation Week & Space Technology
  1. 航空界の発展は推進手段の進歩で支えられてきたが無人機がこの経験則を逆転しそうだ。大型UAVは航続距離や発電容量を重視し既存エンジンを搭載することが多い。
  2. リスク軽減の計算も働いている。技術開発を機体構造や電子装備に集中し、エンジンは既存型を使う。コストも考慮されるが、大型UAVといっても製造機数はさして多くない。
  3. 今や新世代の低コスト無人戦闘航空機や巡航ミサイル搭載の想定で、エンジンメーカー各社には安価で耐用年数を絞った新型エンジン開発が求められている。新型無人機で価格引き下げようとする前にエンジン価格が障害となる。
  4. 新エンジン構想の先頭に立つのがクレイトス・ディフェンスKratos Defenseの無人機部門で現在低価格消耗品扱い攻撃実証機Low-Cost Attritable Strike Demonstrator (LCASD)を米空軍研究本部(AFRL)の忠誠なるウィングマンLoyal Wingman構想として作業中だ。
  5. 同社のLCASD試作機にはXQ-58Aヴァルキリーの制式名称がつき、マッハ0.85で4,700カイリの飛行性能を有し有人攻撃機に随行する。初飛行は2018年初頭の予定。
  6. LCASDは使い捨てではないが戦闘で喪失しても惜しくない低価格機の想定で、敵防空網の中で有人機の残存性を増す役割がある。搭載エンジンは部品数を絞り低コスト製造とし、数百時間もてばよいとする。
  7. AFRLの機体単価目標は第一期100機生産で3百万ドル、さらに機数を増やし2百万ドルだ。価格を左右するのがエンジンだとクレイトスで戦術無人機システムの事業化担当重役のジョー・ヴァレンズエラが語っている。
  8. 「エンジン以外のすべてで低価格を実現しています。エンジンコストが40%と大きな比重になっています」と7月10日に全米航空工学研研究所主催のカンファレンスで述べている。グレイウルフ戦術巡航ミサイルはもっと深刻で目標単価200千ドルでエンジンが100千ドル以上とヴァレンスエラは説明。
  9. XQ-58Aのエンジンは既成品ウィリアムズFJ33-5ターボファンでビジネスジェット用だ。「専用開発エンジンはありませんので民生エンジンを使っていますが、飛行寿命が200から300時間なのにこのエンジンは分解修理まで3,500時間も稼働するのです。
  10. 有人機用に高信頼性で長期間稼働が前提のエンジンを一回きり使用の巡航ミサイルや消耗品扱いの無人戦闘航空機用に使えば高価格になる。
  11. 「低価格エンジンが必要です。考え方を変えないといけません。永遠に動き続けるエンジンではなく、故障を受け入れます。50時間持てば5回ミッションができるので十分です。値段が受容できればですが」
  12. 低コスト短寿命エンジンにはメーカーもビジネスモデルを変えて対応する。ヴァレンズエラは保守点検、修理、分解修理は不要という。浮いた予算で年間数百基の量産が必要という。
  13. クレイトスはAFRL向けにLCASD一機のみ製造し、自社資金で二機追加生産する。うち一機を飛行テスト用、もう一機を地上テストまたは飛行テストに投入する。ヴァレンズエラは追加製造予定もあるという。
  14. 米特殊作戦軍団がXQ-58Aを遠征作戦用無人機として注目する。ヴァレンズエラは同機をUAVとミサイルのハイブリッドと表現する。前線基地に展開貯蔵しておいて必要に応じ多様なミッションを実施できるという。
  15. 「補給施設での整備は不要の想定で、飛行できなくなったと判断すれば廃棄するのです」という。クレイトスが消耗品扱い機材分野に参入したのは標的機メーカーCEIの吸収後だ。標的機は平均6回の飛行で役目を終える。「標的機で当社は消耗品扱い機材を製造しているのです」(ヴァレンズエラ)■