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2024年5月6日月曜日

イスラエルが不満を感じる旧型ペイトリオットミサイルを退役させ、ウクライナ支援に転用される可能性が出てきた

 


Business Insiderがイスラエルのペイトリオットミサイルについて、イスラエルが低評価のPAC2を退けるので、これを防空ミサイルが喉から手が出るほどほしいウクライナへ供与するのではと観測記事を掲載しましたのでご紹介しましょう。


US soldiers participate in Patriot missile training at Mount Eitam, Israel in 2018.

US soldiers participate in Patriot missile training at Mount Eitam, Israel in 2018. Sgt. 1st Class Jason Epperson/US Army



  • イスラエルは米国製ペイトリオット防空システムに感銘を受けたことがない

  • 1991年にはイスラエルに向け発射されたイラクのスカッドミサイルの迎撃にペイトリオットが失敗した事が大きい

  • イスラエルにペイトリオットは不要でも、ウクライナは切実に必要としている


スラエルはペイトリオット防空システムに決して満足していないがウクライナは自国の存続にこれが不可欠と考えている

 このため、イスラエルが旧式ペイトリオット部隊をシャットダウンし始めた一方で、ウクライナは自国の都市と軍隊を防衛するためにペイトリオット・ミサイル増設を懇願する奇妙な状況が生まれている。

 イスラエルとウクライナのペイトリオットに関する経験は、全く異なっている。イスラエルは1991年、イラクが発射した約40発のスカッド弾道ミサイルにペイトリオットを初めて実戦使用した。だがイスラエルはペイトリオットの哀れな性能に失望し、関係者はわずか1発、あるいはゼロ発のスカッドしか撃墜できなかったと推定している。

 イスラエルがペイトリオットを再び戦闘に使用したのは、2010年代にシリアから飛来したドローンとSu-24爆撃機を撃墜してからだ。それまでにペイトリオットはまったく異なるシステムになっていた。イラクのスカッドなどに対する初期の失敗から、システムの大規模アップグレードが行われ、標的を直接攻撃し運動エネルギーで破壊するアクティブ・レーダー・シーカーを搭載したミサイルが開発された。これらの新型「ヒット・トゥ・キル」ミサイル、PAC-3の価格は1発約400万ドルと見積もられている。一方で低性能のPAC-2は近接信管ミサイルで、飛来するミサイルの近くで爆発させて排除する。

 2023年初頭にPAC-2とPAC-3両方の迎撃ミサイルを搭載したペイトリオットを受け取って以来、ウクライナは、ロシアが迎撃不能な極超音速兵器として宣伝していたキンジャル・ミサイルの撃墜に成功し、今年初めには、少なくとも1基の発射台を前線近くに移動させ、ロシアで最高性能の戦闘機12機を撃墜した。

 ペイトリオットはイスラエルのミサイル・シールドの一部に過ぎず、10月7日のハマスのテロ攻撃をきっかけに、イランとその代理人によって激しいテストが行われている。イスラエルには、より安価で自国内に構築できる選択肢が他にある。

 「イスラエルは以前から、ペイトリオットを補完、あるいは置き換える、先進的な国産システムを探していた」と、リスク情報会社RANEの中東・北アフリカ上級アナリスト、ライアン・ボールは本誌に語った。

「イランがイスラエルに対してミサイルを乱射して間もない時期に、このような事態が発生したことは驚きではない。イスラエルはペイトリオットを時代遅れと見ているのだと思う」。

 欧州政策分析センターの防衛専門家、フェデリコ・ボルサリも、イスラエルがより先進的な対ミサイルシステムを開発したことが、ペイトリオット退役の決定に大きく影響していると考えている。

 「イスラエルがペイトリオットPAC-2ユニットを退役させるという決定は、より高度な能力、特にアイアンドームとデイビッズスリングによる防空アーキテクチャの近代化と漸進的強化の過程に沿ったものだ」とボルサリは本誌に語った。

 「特に後者のスタナーミサイルは、PAC-2のGEM-Tミサイルの160kmに比べ、空力的脅威に対する交戦距離が長い(公開されている仕様では最大300km)。「デイビッズスリングの最大射程能力はペイトリオットのPAC-3より高いと思われるが、2つのシステムの交戦範囲はほぼ同じだ」。

 またデイビッズスリングのトラックに搭載されたELM-2084レーダーが "機動性と迅速な再配置 "の利点を追加すると指摘した。

 「デイビッズスリング迎撃ミサイルは、短射程のアイアンドームとの統合により、最近イランが仕掛けたような飽和多脅威攻撃にも対抗できるように設計されている」とボルサリは指摘しデイビッズスリングが"低空飛行攻撃 "の迎撃や敵の発射体の追尾に効果的であると指摘した。

 彼はまた、スタナー・ミサイルはペイトリオット・ミサイルよりも安価であり、したがって費用対効果が高いと指摘した。

 イスラエルは以前、長い間保管され使用されていなかった年代物のホークミサイルの米国からのウクライナ向け供与の要請を拒否した。

 だがアナリストには、ペイトリオットについては別の可能性を考えている。

 「イスラエルがペイトリオットを米国に戻し、そこからウクライナに移送する可能性は十分にあると思う。「ロシアのウクライナ戦争によって、イスラエルが必要とする155ミリ弾薬が枯渇してしまったからだ。

ペイトリオットが最終的にウクライナに配備されなくても、地域内の別の国に譲渡される可能性はないとは言えない。ヨルダンは10月にペイトリオットミサイルの配備をアメリカに要請し、4月13日にはイランの弾幕を阻止するのに貢献した。

 「ヨルダンや湾岸アラブの同盟国であるアラブ首長国連邦、バーレーン、あるいはサウジアラビアなど、他の第三者国にペイトリオットを譲渡することも、米国が地域全体の防空を強化するため必要だ」とボールは言う。

 ボルサリは、アメリカとヨーロッパ諸国がウクライナのためにイスラエルのPAC-2砲台を獲得することは極めて重要だと主張する。

 「前線全体をカバーするには不十分だが、ロシアがウクライナの都市に対するテロ攻撃を強める中、ウクライナの防空を大幅に強化することができる。「イスラエルはこれまで、ウクライナに軍事支援を提供するよう求める声に抵抗してきたが、アメリカやその他の国からの圧力によって、この移転が可能になるかもしれない。

 「ヨルダンへの引き渡しも可能だが、状況を考えれば、西側諸国はウクライナを優先するだろうし、そうすべきだ」。■




Israel is retiring its Patriot missile batteries. They could help a struggling Ukraine.

Paul Iddon May 3, 2024, 4:57 AM JST






2017年11月16日木曜日

ドバイ航空ショーでレイセオンがペイトリオット迎撃100回成功と豪語


いくら航空ショーだからと言ってこういう発言をすると虚実区別できなくなる伝説になり独り歩きしそうです。ミサイル防衛の効果そのものが機密情報になっていないと敵に手の内を読まれますからね。とはいえ、確認も否定もできないのであれば言ったもん勝ちですね。レイセオンは商売上手なのでしょうか。


Raytheon: Saudi-based Patriots intercepted over 100 tactical ballistic missiles since 2015

レイセオンがサウジ配備ペイトリオットで2015年以降で戦術弾道ミサイル100発超を迎撃成功と発表

サウジアラビア配備のペイトリオット部隊がイエメンから発射された戦術弾道ミサイル(TBM)100発以上の迎撃に成功しているとレイセオンが発表した。サウジ主導でイエメンではイラン支援を受けるフーシ派への攻撃が2015年から続いている。(Raytheon)

By: Barbara Opall-Rome    16 hours ago

DUBAI, United Arab Emirates —
サウジアラビア国内に展開するペイトリオット部隊が迎撃したイエメンから発射された戦術弾道ミサイルはサウジ主導のイラン支援を受けたフーシ派への介入が始まった2015年以来100発を超えたとレイセオンが発表している。
  1. 同社ウェブサイトにこの数字が掲載されているが確認不可能であり、各種シンクタンク、サウジ政府他各国の公表数字よりはるかに大きい。
  2. 戦略国際研究所のミサイル防衛プロジェクトでは迎撃40回、命中18回と同時期に計上されている。ただしここには11月4日にイエメンから発射されたミサイルへのペイトリオット迎撃事例は含まれていない。
  3. イエメン反乱勢力に近い筋は算術ミサイル発射回数を93としているが、今数字には迎撃の成功失敗は区別せず水増し数字との見方が一般だ。
  4. にもかかわらずレイセオン幹部はドバイ航空ショー会場で取材に答え再び2015年以降で100発超の戦術ミサイルの迎撃に成功していると語り、性能向上を続ける同装備の効果を強調している。「当社は脅威に対応して常時改良を加えている。中東の最重要相手国が弾道ミサイル攻撃を受けている。全部で100回以上も迎撃に成功しており、ペイトリオットミサイルで飛来するミサイルを撃破している」
  5. その100発超というイエメンから発射されたミサイルについてレイセオン幹部はPAC-2改良型迎撃ミサイル-T(GEM-T)が強力な破片炸裂弾頭でミサイル脅威を解決したと述べている。サウジアラビアはPAC-2とあわせロッキード・マーティン製の直撃型PAC-3も配備している。
  6. レイセオン製品でPAC-3並みの好成績を残したのかとの問いに、ロッキード・マーティン統合防空ミサイル防衛担当副社長のティモシー・ケイヒルTimothy Cahillは同社の新型装備は今夏からサウジアラビア搬入がはじまったばかりだと述べた。
  7. 「正確な数字はわからないが、わかったとしても、口には出せない。なぜなら米政府はこの情報を固く守るべきと見ているからだ。言えるのはPAC-3はまだ完全配備されていないということだけだ。今使える装備で迎撃しているのだろう」(ケイヒル)
  8. ロッキード幹部は数字の違いからロッキード・マーティン製PAC-3に欠陥装備だとか問題があるとかいわれたくないとする。ケイヒルはリヤドのサウジ政府はまだペイトリオットPAC-3の初期作戦能力獲得宣言がいつになるか明言しなかった。
  9. ワシントンはサウジアラビア向けにPAC-3を300発に付属支援装備付けて54億ドルで売却する承認を2015年7月に下した。同年10月にワシントンはロッキード・マーティン製高高度広域防衛(THAAD)命中迎撃ミサイル発射機44セットと管制装置とレーダー合わせ150億ドルで売却を承認した。
  10. さらに今年10月初めにモスクワをサルマン・ビン・アブドゥル-アジズ・アル・サウド・サルマン国王が訪問し、サウジアラビアはロシアとS400対空対ミサイル迎撃装備の調達で合意形成したと発表。ドバイで取材した米ロ企業幹部はこの取引は正式に未締結と述べていた。■