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2024年3月22日金曜日

AC-130ガンシップへのレーザー兵器搭載案は中止に。105ミリ榴弾砲も撤去か。対中戦での同機の位置づけに苦慮する空軍特殊作戦軍団。

大いに期待されていた空中レーザー兵器ですが、技術的に難航しているようです。さらに対テロ作戦では大いに実効性を発揮したAC-130も対中戦でどう運用できるのか疑問が呈されています。AがだめならBという臨機応変さも重要ですが、ブラックの世界で画期的な新兵器が開発され、驚くような短期間で既存装備に搭載される可能性もあります。またラピッド・ドラゴンのように既存装備に、新戦力を整備するアプローチもありますので、今回の計画変更に失望ばかりしていても仕方ないでしょう。The War Zone記事からのご紹介です。


The US Air Force no longer plans to flight test a laser directed energy weapon on an AC-130J Ghostrider gunship.USAFAC-130ガンシップのレーザー兵器は中止、105mm榴弾砲は撤去の可能性

AC-130Jに初の実戦型空中レーザー兵器を搭載する計画が中止へ


空軍は、レーザー指向性エナジー兵器で武装したAC-130Jゴーストライダーガンシップの飛行試験計画を、長年の遅れの末に破棄した。   AC-130J用の空中高エナジー・レーザー・プログラムは、米軍初の空中レーザー指向兵器として運用される予定だった。これはまた、対反乱作戦からハイエンドな戦闘計画への幅広いシフトの一環として、AC-130Jの現在および将来的な計画能力の見直しの中で、すべてが行われ、ガンシップが105ミリ榴弾砲を失う可能性がある

 空軍特殊作戦司令部(AFSOC)は、プロトタイプの空中高エナジー・レーザー(AHEL)システムをAC-130Jでテストする計画が中止になったのを確認し、プログラムの現状に関するその他の詳細を本日未明に本誌に提供した。

 AFSOCの広報担当者は声明の中で、「オープンエア地上試験で重要なエンドツーエンドの高出力動作を達成した後、AHELソリッドステートレーザーシステムは技術的な課題に直面した。このためAC-130Jブロック20への統合を遅らせた」。

 当初、AHELシステムを搭載したAC-130Jの飛行テストは2021会計年度中に行われる予定だったが、このスケジュールは何度も延期された。2023年11月、AFSOCは本誌に対し、レーザー武装したゴーストライダーが今年1月に空を飛ぶと伝えたが、それは実現しなかった。

 ロッキード・マーティンは2019年にAHELの初期契約を獲得し、その範囲にはシステムのレーザー光源の供給と、AC-130Jにシステムを統合するサポートが含まれていた。AHELシステム一式には、ビーム・ディレクターやその他のコンポーネントも含む。

 「その結果、このプログラムは、運用と信頼性を向上させる地上テストに再度焦点を当て、他機関による使用のための引渡しへの態勢を整えた」と声明は付け加えた。

 先週発表された国防総省の2025会計年度予算要求では、AHELへの新たな予算提供はない。公式の予算文書によれば、このプログラムは2024会計年度で終了する予定だからだという。

 AHELプログラムの研究成果から恩恵を受ける「他の機関」の動向や、同プログラムで開発された60キロワット級レーザー指向性エナジー兵器システムの正確な状況は不明である。AFSOCは、さらなる質問は米特殊作戦司令部(U.S. Special Operations Command)へと指示した。

 米海軍の海軍水上戦センター・ダールグレン部門(NSWCダールグレン)は、AHELプログラムに深く関与していた。海軍は、HELIOS(High-Energy Laser with Integrated Optical Dazzler and Surveillance)と呼ばれる60キロワット級のレーザー指向性エナジー兵器を含め、さまざまな種類の艦上指向性エナジー兵器の開発と実戦配備に非常に積極的である。ロッキード・マーティンは同システムの主契約者でもある。

 米陸軍と米海兵隊も、さまざまなタイプの空中・地上指向性エナジー兵器の開発と実戦配備に取り組んでいる。

 空軍は近年、空軍研究本部(AFRL)の自機防御用高エナジー・レーザー・デモンストレーター(SHiELD)プログラムの下で、別の空中レーザー指向性エナジー兵器に取り組んできた。SHiELDは、表向きは飛んでくるミサイルの防御を目的とした戦術ジェット機用のポッド型システムを中心に開発された。過去には、2025年にSHiELDポッドの飛行試験を開始する目標が掲げられていたが、現在の状況は不明である。

 空軍は、基地防衛用を含め、その他指向性エナジー兵器プログラムも追求している。より大きな次世代航空支配(NGAD)構想も含め、機密領域で作業が行われていると理解されている。

 現在の空軍AC-130J30部隊にとって、AHELプログラムの終了は、ゴーストライダーの武装パッケージやその他の現在および将来の能力の将来についてのより大きな疑問の中でもたらされた。ゴーストライダーは、能力の再評価の一環で、105ミリ榴弾砲を失うことになるという兆候が高まっている。

 米国防総省の最新予算要求によると、「後部兵器システム(105ミリ砲)を撤去し、後部セクションを改修し、米特殊作戦司令部(USSOCOM)の乗組員削減イニシアチブを支援するために乗組員の作業負荷を最適化するエンジニアリング分析と開発を開始する」と2024会計年度におけるAC-130Jの計画にある。本誌は、AFSOCにさらなる説明を求めている。

 空軍は当初、AC-130Jの兵装パッケージに105mm榴弾砲を含めない予定であった。その後、AC-130Jは方針を転換し、最近は改良型の榴弾砲をゴーストライダーに搭載する作業を進めていた。だが作業は、能力見直しが始まった昨年に中断した。昨年11月時点で、30機のAC-130Jのうち、このアップグレードを受けたのは17機だけだった。

 AFSOCは、AC-130Jが将来のハイエンドの紛争、特に太平洋における中国との紛争にどう貢献するかについての議論のため、ゴーストライダーの現在および将来の計画能力について、この新しい見方をとっている。AC-130Jは現在、主に地上の特殊作戦部隊の超近接支援を任務としており、ほとんど許可環境か半許可環境、夜間のみで活動している。

AHELはこれまで、対反乱タイプの低強度任務の支援に理想的に適していると発表されてきた。

 国防総省の予算関連文書によれば、空軍は同ガンシップに新しいアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーを追加しようとしている。AFSOC所属のその他C-130は、ラピッド・ドラゴンと呼ばれるパレット化兵器システムのテストに大きく関与している。ラピッド・ドラゴンは、既存の貨物機をAGM-158 Joint Air-to-Surface Standoff Missile(JASSM)巡航ミサイルやその他のスタンドオフ弾の発射プラットフォームに容易に変更する方法を提供する。SOCOMは以前から、AC-130を高性能化する敵の防空網から遠ざけるためもあり、射程の長い精密誘導弾をAC-130に統合することに関心を示してきた。ゴーストライダーに関して言えば、精密誘導弾の採用に重点を戻すことは、その作戦上の妥当性を継続的に確保するために重要かもしれない。

 全体として、AC-130Jに見られる能力の正確な組み合わせは、近いうちに大幅に進化するようだ。しかし、ゴーストライダーにとって、レーザー指向性エナジー兵器搭載の可能性は消えた。■


AC-130 Gunship's Laser Weapon Cancelled, 105mm Howitzer May Be Removed


.BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED MAR 19, 2024 1:56 PM EDT

AIRNEWS & FEATURES



2022年8月18日木曜日

AFSOCがCV-22オスプレイの飛行停止措置を発表。

 


第21特殊作戦飛行隊のCV-22オスプレイが2021年1月8日、訓練中の横田基地で離陸した。 (U.S. Air Force/Yasuo Osakabe)



AFSOC司令官ジム・スライフ中将 Lt. Gen. Jim Slifeは、過去6週間に発生した安全事故2件を受け、2017年以来四回目の安全停止を命じた



『ワシントン発】空軍特殊作戦軍団司令部は、クラッチの未知の危険な可能性のある問題を含む「安全事故の増加」を受けて、CV-22オスプレイ・ティルトローター機52機すべてを無期限で飛行停止したことが、Breaking Defenseの取材で明らかになった。

 AFSOC司令官ジム・スライフ中将は、過去6週間に発生した2件の安全事故をきっかけに、火曜日に安全のため飛行停止を命じ、2017年以来合計4回目の措置が発生したと、AFSOC広報官ベッキー・ヘイス中佐 Lt. Col. Becky Heyseが声明で述べた。

 AFSOCはこの問題を 「ハード・クラッチ・エンゲージ」と表現している。基本的には、CV-22の2基のロールスロイス・リバティAE1107Cエンジンの1基とプロペラローターをつなぐギアボックス内のクラッチが、原因不明で滑っているヘイス中佐は説明。そのため動力負荷はほぼ瞬時にもう一方のエンジンに移る。これは、片方のエンジンが故障してもオスプレイが飛び続けられるようにする設計機能だが、ほとんどの場合、最初のクラッチが再びつながり、動力負荷は元のプロペラローターとエンジンに急速に移行する。

 しかし、エンジンをまたぎ動力が急速に移動する結果、乗務員はCV-22を直ちに着陸させなければならず、ヘイス中佐は、「事故発生時に航空機を制御できい場合、機体の制御不能や無制御着陸に至る可能性がある」と付け加えた。

 ヘイス中佐は、この問題によって負傷者や死者が出ていないのは、「CV-22を操縦する空軍隊員の技量とプロフェッショナリズムによるところが大きい」と述べた。

 「搭乗員の安全が最重要であるため、ハードクラッチのかみ合わせ不良の原因を究明し、リスク管理策が講じられるまで、AFSOCのCV-22は飛行しない」。

 事故後にギアボックスとエンジンの交換が必要とれば、250万ドルを超える損害が発生するクラスAの事故となる。

 「AFSOCは根本原因を正確に特定するため工学的データ分析を収集することができておらず、機械、設計、ソフトウェア、またはいずれかの組み合わせであるかどうかは不明である」とヘイス中佐は述べた。

 同中佐は、AFSOCが「この問題を完全に理解し、壊滅的な結果の可能性を軽減するためのリスク制御手段を開発するため、統合事業室や業界パートナーと協力する...最終的に、目標は実行可能で長期的な材料ソリューションを決定すること」と言う。

 V-22は30年にわたる運用中で、安全上の問題が発生し、墜落や死亡事故につながった経緯があり、議論を呼んでいる。最近では、2022年3月にノルウェーで起きたMV-22の墜落事故で海兵隊員4人が死亡し、2022年6月にカリフォルニア州で起きた墜落事故では5人が死亡した。(海兵隊の事故調査によると、3月の事故はパイロットのミスによるものだった。海兵隊関係者は6月の墜落については原因は調査中と述べている) 海兵隊は6月下旬、ベストプラクティスと安全手順を見直すため、すべての海兵隊航空団部隊に短期間の安全停止を命じていた。■


EXCLUSIVE: Air Force Special Operations Command grounds CV-22 Ospreys due to safety issue

https://breakingdefense.com/2022/08/exclusive-air-force-special-operations-command-grounds-cv-22-ospreys-due-to-safety-issue/?_ga=2.198669868.2094857728.1660600187-104215.1658545071


By   VALERIE INSINNA

on August 17, 2022 at 12:58 PM


オスプレイのトラブルとなると早速国内メディアが注目して記事がでていますので、別途メディアチェックを行います。

2022年1月8日土曜日

無害な輸送機が恐るべきガンシップに進化した。AC-130のこれまでの推移、実戦経験と中国ロシア相手の将来の戦闘場面での役割について。

 




間の近接航空支援で米軍特殊部隊の最高の友、敵にとっては最悪の相手はAC-130ガンシップ以外にない。


60年近くにわたりAC-130の多様な型式が特殊作戦、通常部隊をほぼあらゆる戦場で支援してきた。


空軍が中国、ロシアとの将来の対決を想定して現実を重視する中、AC-130への関心がまた高まっている。


インドシナのジャングルからすべてはじまった


AC-130のルーツはヴィエトナム、カンボジア、ラオスのジャングルにさかのぼる。そこに最初のAC-130EスペクターがAC-47「マジックドラゴン・パフ」とともに初の実戦を体験し、地上部隊を支援した。


AC-47のヴィエトナム上空での活躍からニックネームが生まれた (YouTube).


その後、夜間性能が向上し、地上部隊が北ヴィエトナム軍やヴィエトコン部隊により壊滅されそうな場合を救う場面が増えた。ヴィエトナム戦争中にガンシップにより敵車両10千台を撃破している。


ヴィエトナム戦が終わったが、AC-130の供用は続き、他では得難い夜間近接航空支援の威力を発揮した。これまで6型式が生まれた。AC-130A、AC-130E、AC-130H、AC-130U、AC-130Jである。


特殊作戦で大活躍  


AC-130には三通りの主ミッションが設定されている。航空制圧、武装偵察、近接航空支援で、さらに二次的ミッションとして戦闘捜索救難、前線航空管制、情報収集監視偵察任務がある。


端的に言ってAC-130は空飛ぶ砲兵陣地となり、「パイロンターン」操縦で目標上空を大きな輪を描いて飛ぶ。これにより大量の砲火を標的に浴びせる。この方法だと機体に危険が及び、夜間運用にも制約が生まれるのは容易に地上から攻撃の的になってしまうからだ。


搭載する火力とセンサーが強力なためAC-130は火力の雨を降らせ、同時に貴重な情報を地上部隊に伝えるといった活躍ぶりを発揮する。AC-130Jゴーストライダーが最新型ガンシップで30mm、105mm砲を搭載し、スマート弾としてGBU-39小口径爆弾、GBU-69小型滑空弾、AGM-114ヘルファイヤミサイル、AGM-176グリフィンミサイルを発射する。


これだけ多様な兵装類を機内に収めると、一つ選ぶのが大変だ。通常は作戦の必要に応じ選択している。


「AC-130U時代の経験だが、25mmGAU、40mmボフォース砲、105mmりゅう弾砲を使う醍醐味を感じていた」とかつてAC-130で砲手を務めた元隊員が匿名で取材に応じてくれた。「その後の新型では新装備が開発されているね。だがなんといっても105mm砲が今も使用されている。105mm砲では使う砲弾により地上部隊支援の効果が違うが、敵に最大の被害を与えることが可能だ。物理的損害とともに心理的な効果も大きい。最も重要なのは、機内で砲弾を装てんし、ロックし、射撃し、次の装填へ移る作業の楽しかったことだね」


AC-130機内の強力なセンサー装備で有益な情報収集監視偵察機能が実現する。 (Wikimedia.org).


最新のAC-130の最高時速は415マイルで行動半径は3,000マイルでさらに空中給油を受けられる。


近接航空支援では現地上空での滞空時間が長いほど望ましい結果が生まれる。このため共用現地航空統制機Joint Terminal Air Controllers (JTACs) がAC-130ガンシップを誘導し、空中給油によりさらに滞空時間を延長できる機能を活用している。F-16では火力が少ないことに加え現地上空で滞空時間は30分しか期待できない。


第四特殊作戦飛行隊のAC-130Uガンシップ。AC-130U「スプーキー」はH型の改良型で機体側面から25mm、40mm、105mm火砲を運用する


AC-130の存在意義は地上戦闘部隊の支援につきる。正確、ときには接近し航空支援を提供することだ。AC-130乗員にとって米軍エリート特殊部隊への支援は特別な体験となる。「電子メールでは実際の体験だをとても伝えられない。昼間に起床してフライトスーツを着用し、装備をつかみ、搭乗すると離陸だ。一時間後にはストレスいっぱいの任務が待っている」と上記匿名の元乗組員が語る。


「ことにTIC(連絡先部隊)に対応し、こちらが現地に到着するまで米軍や同盟国軍部隊が抹殺されかねない状態だった」

AC-130の火砲に装てんする乗員(Wikimedia.org).


「現地に到着するや敵へ向かい、一時間かそこらで105mmを100発、40mmを256発発射すると、バグラム基地に帰投する。アドレナリンが大量に出る体験となった。味方を助けたものの、全員が無事帰還できることにならないんだ」「結局こんな感じだ。爽快感、やりがい感とともに罪の意識だね」


AC-130の今後の供用で大きな懸念が一つある。米軍や同盟軍が制空権を確保できない環境で同機が生き残り活躍できるのか。米軍はここ20年にわたり航空優勢があるのが当たり前の環境に浸ってきた。


「空の支配を敵と分け合うような状態になってもAC-130は有効な兵器となると信じている」「高速の敵機との交戦となればAC-130に勝ち目がないので、高速機編隊を低速爆撃機の援護にあたらせたWW2の再現となる」


空軍特殊作戦軍団(AFSOC)では特殊作戦用機材の限界を理解したうえで、敵が高性能機材や優秀な対空装備を展開する状況を想定し、AC-130の弱点を覆す装備品の開発が進行中だ。


一例としてAFSOCはAC-130で運用する巡航ミサイルの開発に取り組んでおり、ガンシップの輸送型MC-130コマンドーIIでも運用を想定する。巡航ミサイルが実用化されれば、AC-130の攻撃距離が大きく伸び、敵の対空戦範囲外からの攻撃に道が開く。これによりAC-130の生存性が高まる。


地上に連絡相手となる部隊が展開し、夜闇の中で圧倒的優位な敵を前に勝ち目がないと思われるとき、AC-130ほど頼りになる機材は他になく、105mm砲を機体から突き出した姿がすべてを物語る。■


AC-130: The cargo plane that became an arsenal in the sky - Sandboxx

Stavros Atlamazoglou | January 4, 2022


Stavros Atlamazoglou

Greek Army veteran (National service with 575th Marines Battalion and Army HQ). Johns Hopkins University. You will usually find him on the top of a mountain admiring the view and wondering how he got there.


2019年7月15日月曜日

AC-130Jゴーストライダーが初の実戦投入。ガンシップは新時代に突入。

AC-130J Ghostrider Gunships Have Flown Their Very First Combat Missions AC-130Jゴーストライダーガンシップ機が初の実戦投入

The AC-130J's arrival in Afghanistan marks a historic changing of the guard as older AC-130Us have now finished their last scheduled deployment AC-130Jがアフガニスタンに到着し、旧型AC-130Uと交代し歴史の新しいページが開かれた

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BY JOSEPH TREVITHICKJULY 10, 2019
USAF
空軍が導入したAC-130Jゴーストライダーがアフガニスタンで2019年6月に初めて実戦投入された。同機はAC-130UスプーキーIIからガンシップ任務を引き継ぎ、スプーキーII部隊は米本国へ帰還した。
Northwest Florida Daily News紙がいち早く2019年6月28日に報じたのはAC-130Jが初の戦闘ミッションをアフガニスタンで実施したというもので、フロリダ州にあるハールバートフィールドでの米空軍特殊軍団(AFSOC)の司令官交代式典で詳細があきらかになった。
「AC-130Jが海外出初の戦闘任務に投入されたことをお伝えでき嬉しく思う」と米空軍のキーヴィー・レイク大尉AFSOC広報官がThe War Zoneにメールで2019年7月10日に伝えてきた。「AC-130Jの初投入は2019年6月末のことでAC-130Uの任務が解かれ、同型機はハーバートフィールドに2019年7月8日に帰投している」
空軍はAC-130Jの初期作戦任務能力を2017年末に宣言しており、2018年にハーバートフィールドの73特殊作戦飛行隊が同型の初の実用飛行隊になった。同隊がアフガニスタンで同型機を運用中
USAF
73特殊作戦飛行隊のAC-130Jがエストニアでの2018年演習に投入された。 

73隊のゴーストライダー初投入について多くは不明だが、AFSOCのAC-130は夜間飛行が主で地上の特殊部隊を支援すべく、近接航空支援または監視飛行をしている。アフガニスタンでの米特殊部隊の活動は依然活発でタリバンはじめ戦闘員多数との交戦が続いている。
以前はAC-130を投入して特定人物への攻撃を行い、極秘の共同特殊作戦部隊を支援したこともある。第4特殊作戦飛行隊のAC-130Uが国境なき医師団の病院があるアフガニスタン・クンドゥスを2015年に誤射した事件は有名だ。その後の調査で機器故障と人的ミスが重なり悲劇につながったと判明した。
U型運行は第4飛行隊が最後となった。今後も同型は緊急時に備え一部を温存するがAC-130Jの納入で完全に交代する。ゴーストライダー納入は2019年3月に始まったばかりだ。
Embedded video
The AC-130U has been working hard for more than 20 years, haunting the night skies above the enemy. Now it's time for the AC-130J Ghostrider to pick up where the Spooky left off.

ゴーストライダーの引渡しは2021年に終了予定で最終的に37機が空軍に揃うと残るAC-130U、AC-130WスティンガーIIガンシップが用途廃止となる。2019年3月時点でAFSOCはU型10機、W型12機を退役させていた。AC-130Hスペクターは2016年に全機退役となっていた。
AC-130J投入でAC-130Uの戦闘任務投入が終了するとAFSOCのガンシップ運用が大きく変わる。スプーキーIIは1995年に就役し、空軍に残る旧型AC-130ガンシップの最後の存在だった。五連装25mmGAU-12/Uガトリング砲、単装40mmボフォース砲、105mm榴弾砲各一で武装していた。
各機はヴィエトナム戦時代のAC-130の直系で、AC-130Uは第二次大戦時の40mmボフォース砲搭載の最後の機体だった。同砲は効果は大きいが運用と保守管理が大変で空軍は世界各地で部品集めに駆けずり回ったほどである。結果として1940年代の40mm弾を再生産して装備運用を続けていた。
CLEMENS VASTERS VIA WIKIMEDIA
40mmボフォース砲(左)と105mm榴弾砲(右)を搭載したAC-130Hスペクターガンシップ。AC-130Uは同様の兵装を搭載する。

これに対しAC-130Jは全く違う存在で105mm榴弾砲は搭載するが、小型の30mmGAU-23/Aブッシュマスター砲に切り替えている。同時にゴーストライダーは当初から精密誘導兵器の運用を前提とし、AGM-114ヘルファイヤーミサイルやGBU-39/B小口径爆弾(SDB)、GBU-44/Bヴァイパー打撃誘導爆弾、AGM-176グリフィン(推進式ミサイル、無動力誘導爆弾のいずれでも運用可)を搭載する。AC-130WはC-130H輸送機を改装し、全く同じ装備を運用する。
空軍はAC-130JやAC-130Wには105mm榴弾砲の搭載は想定していなかったが最終的に方針を変更。AFSOCはブロック20仕様のAC-130Jに榴弾砲を搭載して2016年に初受領した。ゴーストライダーの30mmGAU-23/Aの性能には懸念があったが、その後解決したとペンタゴンの作戦試験評価部門が認めている。
精密誘導兵器の性能によりガンシップの戦力に新しい次元が開けた。スタンドオフ攻撃が可能となり、複数目標を同時攻撃できるようになった。今後導入される兵装のGBU-53/Bストームブレイカー(旧称SDBII)、GBU-69/B小型誘導弾はともに複合モードの誘導兵器でAC-130Jの作戦柔軟性が増す。30mm、105mm砲により以前同様に極めて精密な直接火力支援を提供できる。
AC-130Jではセンサー、データリンク、通信装備、他の性能向上もはかられている。最新のブロック30のゴーストライダーの受領が2019年3月に始まっており、ブロック20からの改良が見られる。その一つがセンサータレットに高精度の電子光学赤外線フルモーションビデオカメラがつき、ブロードバンド衛星通信用の「ハンプ」が機体上部に着いたのが特徴だ。
USAF
第4特殊作戦飛行隊がブロック30仕様のAC-130Jを検分中

空軍はガンシップ各機の残存性を今後の戦闘環境でも維持すべく改良を加えようとしており、GPSジャミング対策もそのひとつだ。2018年に米陸軍のレイモンド・トーマス大将(米特殊作戦司令部総司令官、当時)は国名こそ特定しなかったがロシアあるいはロシア支援を受ける部隊がシリア上空のガンシップに電子攻撃を試みていると発言していた。
新規装備もゴーストライダーに今後導入されるはずで、AFSOCは高出力レーザー兵器の実証を2022年に予定している。
.AC-130Uの運用予定がなく、AC-130Jが戦闘ミッションに投入される中、空軍はガンシップ作戦の新時代に突入したと言える。■
Contact the author: joe@thedrive.com

コメント 航空自衛隊にもC-130Hが14機ありますが、ガンシップへ改装したらすごい戦力になりますね。ただし、運用する場所は国外になってしまいそうですが。ガンシップは制空権が確保されているのが前提なので今後の世界では運用がむずかしくなるのかもしれません。ロシアが今からAnt輸送機を改装してガンシップにするというのは出遅れの観があるのですが

2017年9月24日日曜日

★AC-130Jは究極のガンシップになる、だがまだ実戦投入できず



AFSOCは対テロ戦にずっと従事して16年間戦っているわけですか。米国にとって最長の戦いになっていますね。空軍の中に陸軍があるようなものなのでしょうか。すごいです。レーザーが果たしてうたい文句通りの効果を発揮するのかシリア等で実証する役目もありますね。



The U.S. Air Force's 'Ultimate Battle Plane' Is Nearly Ready for Combat

米空軍の「究極の戦闘航空機」は戦闘投入まであと一歩


September 22, 2017


  1. 米空軍のAC-130Jゴーストライダーは次世代ガンシップで「究極の戦闘航空機」とか「銃搭載の爆弾トラック」とも呼ばれ9月末には何も知らない地上の敵に一斉射撃の雨を降らせるよういなると米空軍特殊作戦軍団AFSOCが9月19日に発表している。
  2. 「IOC初期作戦能力獲得を今月AC-Jでおこなう」とマーシャル・ウェッブ中将Lt. Gen Marshall Webbが空軍協会の年次カンファレンスで報道陣に発表している。「これは完全装備のガンシップだ」
  3. 改装を受けたC-130JはAC-130Hスペクターの後継機として発注されていた強力な近接航空支援機材で30mm GAU-23/A自動機関砲x1および精密誘導弾薬としてGBU-39小口径爆弾、AGM-176グリフィンミサイルを搭載する。兵装システムを制御するのが精密攻撃パッケージPrecision Strike Package (PSP)でAC-130WスティンガーIIで2009年から運用テストをしていたものでGPS誘導機能や新型火器管制インターフェースがあるとMilitary.comが伝えている。
  4. だが何と言ってもゴーストライダーの最大の特徴は105mm M102榴弾砲の威力で毎分10発の50ポンド弾を恐るべき正確さで発射する。105ミリ砲の追加装備はAFSOC内部の議論を経て2015年1月に確認されたゴーストライダーの追加装備は次世代空中戦艦の必要装備とされた。
  5. ただAFSOCの予定通りとなれば105mm砲はゴーストライダーの最大の武器にはならない。AFSOCは2017年4月時点で指向性エネルギー・レーザーシステムで敵の電子装備を破壊し重要インフラを使用不能にする技術開発を進めていた。「爆発を発生せず、また機体のエンジン音を聞くまでもなく、敵の標的は使用不能となります」とウェッブ中将はNational Defense 誌にCAS任務でのレーザー兵器の可能性について語っている。「敵は通信手段を失い、脱出用車両も使えず、電力も失い、報復手段もなくなるのです」
  6. ゴーストライダーは現時点で10機あり空軍は2021年度までに全37機体制にすべくロッキードに発注中だ。だがIOCを取得したものの同機はまだ数年は実戦投入されず、最短で2025年にならないと完全な作戦能力を獲得しない。
  7. ではなぜゴーストライダーを現時点で投入しないのか。ウェッブ中将は訓練の遅れが特殊作戦への需要の高まりと高い作戦テンポで発生しているとアフガニスタン、イラク、シリアを念頭に発言している。だが作戦テンポは今後さらに高くなりそうだ。ウェッブ中将が報道陣にかたったことによればAFSOC部隊の配備実績はDoDがこれまで経験したことのない水準にあり、14,461名の隊員の中には10回以上実戦に投入されているものもいるとAir Force Timesが伝えている。
  8. 「課題はいかに現在の戦況で戦うかで、アフガニスタン、イラク、シリアにはガンシップも派遣しており、一部機材を新たなウェポンシステムに転換もしている」とウェッブ中将は9月19日に報道陣に語っている。「他の部隊のようなぜいたくな環境にはないのが当軍団の実態だ」
  9. ただ時が来ればゴーストライダーは完全に準備が整い本来の性能を発揮し雨のように砲弾を発射しアメリカの敵を打破するはずだ。AFSOCも16年間休むことなく外地で戦闘をつづけているが、ウェッブ中将のひとことが同軍団の姿勢を表している。「われわれはただ待っているわけにはいかない」■
Jared Keller is a senior editor at Task & Purpose and contributing editor at Pacific Standard. Follow Jared Keller on Twitter @JaredBKeller.
This article originally appeared at Task & Purpose. Follow Task & Purpose on Twitter.
Image: U.S. Air Force