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2023年7月21日金曜日

米空軍特殊作戦司令部が注目する新明和US-2他「滑走路非依存型」機体。



軍特殊作戦司令部(AFSOC)の求める技術内容は長いリストになっている。

 同司令部は、秘密裏に、迅速に、長距離にわたってコマンドを輸送し、他の航空機が通常入れない場所に侵入する任務を負う。当然、これらすべてのカテゴリー、特に後者の滑走路のない場所への人員輸送を向上させたいと考えている。

 しかし、地球のほぼ4分の3が滑走路として機能し、固定翼機が着水できたらどうだろう。インド太平洋全体が滑走路になる、とSOCOMの調達担当幹部ジェームズ・スミスが記者団に語った。

 それが、MC-130J輸送機にポンツーンを取り付けたフロート機に改造するアイデアであり、同司令部が2年以上研究してきたコンセプトである。

 SOCOMの固定翼機プログラム責任者ケン・キューブラー空軍大佐は言う:「その技術の一部を推進し続けているが、本当に難しいエンジニアリング問題だ」。

 SOCOMは、水力およびサブスケールの試験を実施し、さまざまな海象状態でどのような性能を発揮するかを研究しており、重要な設計審査に向かっている、と同氏は述べた。

 さらに、同司令部は、保守やサポート、装備の必要性、訓練など、「システム・オブ・システムズ・アプローチ全体を使って、どうすれば可能になるのか」と検討している。

 同司令部は、複数組織と協力し研究やテストを実施している。「全能力の実証実験を行うには、2年から3年かかると見ている」。

 キューブラーは、その場つなぎの解決策として、海上自衛隊が使用中の新明和US-2固定翼水陸両用機の取得を検討するかと尋ねられた。

 これに対し、キューブラーは何も除外されていないと述べた。プログラム実行本部は、フロート機の能力について日本と協議中で、特に運用と訓練のコンセプトを検討中であると言う。

 「我々はこれらの能力について世界中を見ている。滑走路に依存しない水陸両用能力を持つため、さまざまな案を検討する中で、取得戦略のすべては未決です」と彼は言った。

 新明和US-2は滑走路にも着陸でき、主に捜索救助任務に使用される。乗組員11人と20人の乗客、または12人分の担架を運ぶことができる。ロールス・ロイスAE2100エンジンで駆動し、翼幅は108フィート(約2.5メートル)、時速約300マイル(約850キロ)で航行する。最大9フィートの海面でも運航可能で、陸上では一般的な民間旅客機の約4分の1の離着陸距離で済むため、日本の地方で厳しい滑走路でも実用に耐える。

 製造元の新明和工業の情報によれば、航続距離は2,980マイルで、これは一般的な捜索救助用ヘリコプターの約5.5倍の距離だ。

 日本は現在8機を保有しており、さらに6機を製造する予定である。同社によると、この航空機はこれまでに1,000人以上の命を救ってきたという。新明和工業は積極的に輸出の機会をうかがっているが、航空機の海外バイヤーはまだ見つかっていない。

 スターズ・アンド・ストライプスによれば、退任前のエリック・ヒル元AFSOC副司令官は2022年4月、海兵隊岩国航空基地を訪れ、US-2をチェックし、乗員訓練を見学した。水陸両用機は「信じられないようなプラットフォームだ」。

 「着水できる飛行機は新しいコンセプトではないが、水陸両用飛行の経験を持つ飛行士はほとんどいない」とヒルは同紙に語った。「パートナーから教訓を得ることで、今後独自の戦術や技術を構築する際に予測すべき項目が学べる」。

 今回の訪問の目的は、SOCOMが独自の水陸両用飛行プログラムを模索する中で、事実を収集することだと彼は言う。「我々は、同盟国と提携し、彼らから学び、彼らが水上機の2番目のバリエーションに取り組んでいるのを見て、共有できる多くの教育内容があると思う」とヒルは付け加えた。

 スミスは、特にUS-2について言及するわけではないが、新技術の開発に関しては、すべての国がSOCOMとの提携に必要なものを持っているわけではないと述べた。

 「私たちは常に、私が『ゴルディロックス・パートナーシップ』と呼ぶものを追い求めている。

 まず、日本は自国の特殊作戦部隊に多額の投資をしているが、すべての国がそうではないとスミスは指摘する。

 潜在的パートナーはまた、先端技術を生産できる強固な産業基盤を持っていなければならない。日本はそれに当てはまる。

 最後に、SOCOMが共有する情報を保護するために、強力なサイバーセキュリティ・プロトコルを備えていなければならない、と言う。

 「3つの条件すべてを満たす国が見つかれば、該当国との協力に興味を持つ」と彼は語った。

 一方、キューブラーは、国防高等研究計画局DARPAと共同開発中の、「滑走路非依存性」を要求事項の最上位に据えた別の新プログラムの詳細についても語った。

 DARPAは3月、SPRINT(Speed and Runway Independent Technologies)と呼ばれるXプレーンの実証プロジェクトを明らかにした。同局の戦術技術室は、次世代の航空モビリティ・プラットフォームのため、スピードと滑走路非依存性を実証するXプレーンの設計、製造、認証、飛行の提案を募集している、と同局の声明は述べている。

 発表によると、滑走路非依存性とは、「損傷した滑走路、高速道路/車道、乾燥した未整備の畑、駐車場など、未整備の路面で操作したりホバリングする能力を想定している」のだという。

 3月9日に発表された広範な政府機関の発表では、航空機が乗員付きか、非乗員付きか、あるいはオプションで操縦付きかについて言及していない。また、従来型エンジンかハイブリッドエンジンかについても触れておらず、「すべての飛行モード、および飛行モード間の移行時に動力を生成・配分する能力を実証する」とだけ記されている。

 しかし、発表では、航空機は拡張性があり、400から450ノットで巡航し、15,000から30,000フィートの高度で飛行すると明記されている。ペイロードは5,000ポンドで、長さ30フィート、幅8フィートの貨物室には小型車両やパレット2.5個を搭載できる。滞空時間の初期要件は、1時間半と200海里である。

 今回の発表では滑走路非依存性が強調されたが、AFSOCが新型Xプレーンに求める最重要の能力は高速性だ、とキューブラーは言う。「高速の定義?プログラムが提供できるものなら何でもいい」と彼は言う。

「もし400ノットと言ったら、明日は450ノット、明後日は500ノットを要求する。プロジェクトは3段階に分け、第1段階でプロポーザルを募集する。選ばれた事業者は、コンセプトを洗練させるため1500万ドルを共有する。第2段階では、リスク軽減作業と航空認証の承認のため7500万ドルのダウンセレクトが行われ、その後、航空機の製造と飛行のためにさらにダウンセレクトが行われる。この金額は公表されていない。

 「SPRINTの目標は、契約締結から42カ月以内に実証機の初飛行に到達すること」。

 この投稿に添えられたアーティスト・コンセプトには、複数企業が開発中の次世代自律型ハイブリッド電気コミューター機によく似た機体が描かれていた。

 SOCOMの回転翼担当プログラム・エグゼクティブ・オフィサー、ジェフリー・ダウナーによると、既存の航空機メーカーや新興企業の多くが、いわゆる「空飛ぶクルマ」、つまり電動式または電気ハイブリッド式の滑走路非依存型垂直離着陸機を提供しており、特殊作戦任務に完璧に適合するように見えるかもしれないが、今のところ印象に残るものはないという。

 PEOは、新興企業のコミューター機を調査したが、どれも特殊作戦任務に必要な要件を満たさないとわかった。

 「調査した範囲では、電動機はすべて現行ヘリコプターの任務を果たせません」。

 特殊作戦用ヘリコプターは長時間ホバリングする必要があるが、新型の電動機ではそれができない、と言う。また、ダウンウォッシュ量も問題であり、乗員を素早く乗り降りさせる能力も必要だという。

 PEOロータリーウィングはまた、2024年にDARPAと共同で、高速化を目的としたハイブリッド電気航空機を検討するプログラムを開始する。

 「我々の研究では、速度向上が25%から100%可能であると示されている。90ノットから170ノット、180ノットになるかもしれない。あるいは航続距離が25%から75%伸びるかもしれない。それは非常に大きなことだ」と彼は付け加えた。■


Air Force Special Ops Wants Runway Independence, More Speed

7/14/2023

By Stew Magnuson


2017年12月1日金曜日

70年使ってきたボフォース40mm砲を最後に使うAC-130

The USAF Is Rebuilding World War II-Era 40mm Shells for its AC-130U Gunship

米空軍が第二次大戦時と同じ40mm砲弾をAC-130Uガンシップ用に再生産させる

The service is the last user of the Bofors cannon in the US military and has had to go hunting for more ammunition. 

空軍がボフォース砲最後のユーザーになり砲弾探しに苦労する

CLEMENS VASTERS VIA WIKIMEDIA
BY JOSEPH TREVITHICKNOVEMBER 29, 2017


空軍が第二次大戦中の40mm機関砲の砲弾数万発を調達する。AC-130UスプーキーII用だ。同装備は兵站上の悪夢になり空軍は使用停止の予定だったが、旧式とは言えあまりにも効果があり引き続き稼働させている。
  1. 2017年11月、米空軍は第780試験装備飛行隊(フロリダ州エグリン空軍基地)が改良版40mm高性能弾PGU-9D/Bのテストを開始したと発表。新型弾は信管を変え安全度を増した。真鍮製薬きょうには製造年が1944年のものもある。
  2. 空軍は旧式弾およそ80千発を新仕様に転換する予定だ。780飛行隊が作業工程を開発した。空軍特殊軍団(AFSOC)がAC-130ガンシップ全機を運用しており、U型以外に新しいAC-130WスティンガーIIと開発中AC-130Jゴーストライダーも含む。
  3. この事からAC-130Uと搭載する40mmボフォース砲の有益さが分かる。空軍公式記録によれば第四特殊作戦飛行隊配属の四機だけで2013年11月から2014年6月にかけ4,000戦闘時間投入され機体と乗員はのべ1,175日も戦闘地区を飛んだ。
  4. 2017年10月に第四飛行隊のAC-130Uの一機コールサイン・スプーキー43の乗員が空軍殊勲賞を2016年のアフガニスタンでのミッションを理由に授与された。同機は特殊部隊を三方向から待ち伏せ攻撃してきた戦闘員集団を蹴散らし、40mm砲や105mm榴弾砲の威力を上げようと友軍に危険なほど接近飛行した。
  5. 現時点でスプーキーIIは米軍で同装備を使う唯一の機材で、PGU-9弾に加え、爆発焼夷弾、装甲貫徹弾を織り交ぜて運用している。
  6. 米軍は原設計スウェーデンの同装備を第二次大戦中に対空火砲に採用した。クライスラーがライセンス生産で60千門を供給し、対空火砲として1970年代末まで使われていた。
  7. だが1969年に空軍は全く別の用途で同装備を調達した。AC-130A、AC-119K両ガンシップがラオスのホーチミン街道の南北を飛び北ベトナムから南ベトナムへ移動する人員、兵器、物資の移動をくいとめようとしていた。
  8. 北ベトナムは街道を確保し防空装備まで準備し、37mm、57mm砲を設置した。このため低空低速飛行の輸送機には特に脅威になる。
  9. 20mmヴァルカン砲二門を40mm砲に取換えたAC-130は高高度で敵防空兵力から自由に飛びながら地上のトラックや人員を狙った。間に合わせの兵装が効果抜群だったのでC-130Eも強力な兵装に変えられた。
  10. その後E型で40mmボフォース砲はさらに大きな105mm榴弾砲に変更され、AC-130H、AC-130Uに継承された。空軍はH型を2015年に全廃しこの兵装を搭載するのはU型だけになって今日に至っている。
  11. 空軍は2007年に実験でスプーキーIIの40mm砲と25mmGAU-12/U回転砲のかわりに30mm二門を搭載したがテストは予期通りの成果を生まず、精度が落ちる弊害が生まれ機体は元の使用に戻された。
  12. 30mm砲はAC-130Wで採用されAC-130Jでも同様だ。当War Zoneでは同装備で依然として精度と信頼性の問題が残ると2017年10月に指摘している。
  13. ボフォース砲も供用開始から70年、ガンシップ搭載から50年たち保守管理が大変になってきた。ボフォースは現在英BAEシステムズの事業部で、今も40mm砲を製造するが現モデルは以前と違う砲弾を使う。
  14. 旧式弾の確保が一層難しくなっており、空軍は既存余剰弾の再生産を決めたのはこのためだが、弾薬の確保だけが問題ではない。砲身は永久に使えるわけではなく長年の酷使で照準精度が落ち使用に危険が感じられるほどになった。2013年までに空軍は砲身を単価130万ドルで特注調達せざるを得なくなった。
  15. その前年にAFSOCはギリシアにチームを送り2005年に第一線を退いた余剰装備の買い付けを試みた。その結果、140門近くの砲身他骨董品を安価に購入し、装備を維持し、節約効果14百万ドルを生んだ。
  16. この状況は長く続かなかった。2015年に空軍はAC-130Uの退役を開始した。今後は廃棄機材からの回収が、新型AC-130Jが初期作戦能力を獲得する2018年まで続くことになる。
  17. スプーキーIIの用途廃止で同機の長い活躍に幕が下りるとともにボフォース砲も75年にわたる米軍での供用を終えることになる。■

Contact the author: jtrevithickpr@gmail.com

2015年12月24日木曜日

★AC-130に150kWレーザー砲が搭載されるとどうなるか



今年2015年はレーザー兵器の開発が相当進展していることがうかがわれた年でした。ここまで外部に漏れてくるということは実はもっと先を行く開発が進んでいるのでしょう。2020年代になる前に一部実用化されそうで、戦場のルールを一変するかもしれません。いよいよ航空機でも電力使用が前面に出てきそうですね。

General Atomics Plans 150kW Laser Tests; Eye On AC-130, Avenger

By Richard Whittle on December 21, 2015 at 6:00 AM

AC-130 laser - illustration by DARPA

MQ-1プレデターで世界を変えた企業ジェネラルアトミックスが革命的な変化をもたらす可能性のある兵器を来月にテストする。150キロワット級レーザーだ。

  1. レーザー兵器を開発中の企業は他にもあるが、「各社の動向を注視しています」とブラドリー・ハイトホールド中将(米空軍特殊作戦軍団(AFSOC)司令官)がBreaking Defense取材で述べている。「AC-130への搭載に技術的に成熟してきた」
  2. ジェネラルアトミクスはAFSOCがAC-130ガンシップにレーザー兵器を数年以内に搭載すると見ている。また同社のジェット推進式新型プレデターCアヴェンジャーにもレーザーを同社の高エネルギー液体レーザー地域防衛システムHigh Energy Liquid Laser Area Defense System (HELLADS).から流用して搭載する企画がある。
  3. 空軍研究所(AFRL)および国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)はホワイトサンズミサイル試射場でレーザー実弾射撃実験を行う。HELLADSのビームを多数の飛行目標へ照射する実験をこれから18ヶ月続ける。無音、不可視だが高温のビームは電力をレアアースに通過させ電子を励磁させることでエネルギー変換をすることで実現する。
  4. HELLADSはもともとロケット弾、砲弾、迫撃砲弾、巡航ミサイル、航空機を対象に地上防衛手段として構想された、と同社副社長マイケル・ペリーが語る。ホワイトサンズ実験ではロケット実弾、迫撃砲弾実弾、ミサイル実弾が投入されるだろう。「このシステムで対応可能な標的は幅広い」とペリーは言う。
  5. ただしホワイトサンズに持ち込む装置は航空機に搭載できる大きさではない。だがGA社は小型、自律型第三世代高エネルギーレーザーを開発ずみで、更に小型化をすすめたGen 4HELでAFSOCがめざすAC-130ガンシップへの搭載を2020年までに実現する。
  6. AC-130の想定する標的は多い、とハイトホールド中将も言う。例えば、人質救出作戦に投入すれば、敵車両を気付かれることなく使用不可能にできるし、ボートや航空機あるいはその他の「脱出手段」にも照射すれば敵は人質を移送できず、米軍部隊から逃げることができなくなる。また敵の通信施設を破壊あるいは利用不能にできるという。
  7. 「なぜAC-130に搭載したいかというと、AC-130で運動性兵器を発射すると居場所がばれてしまうためだ」とハイトホールドは述べ、「気付かれることなく敵を無力にすることを同機で実現したい」
  8. ハイトホールドはAC-130Wにレーザー装置を搭載し、機内左側に搭載済みの照準装置で支援して攻撃任務に投入したいとする。
  9. AFRLはこれとは別に小型レーザー装置開発の初期段階にあり、標準の600ガロン外部燃料タンクと変わらないサイズのポッド内に搭載し、既存戦闘機の防御に使うことを期待している。F-16やF-15に地対空ミサイルからの防御能力を与えるもので、SHiELD(自己防衛用高エネルギーレーザー実証装置)と呼び、ホーク・カーライル大将(航空戦闘軍団司令官)が長年あたためてきた企画だ。
  10. ハイトホールド中将もAFSOCがSHiELD事業に関心を持っていることを認めるが、現時点で防衛用レーザーまで機内に搭載する課題をあえて受ける必要はないと見る。「むしろSHiELDがAC-130搭載攻撃用装置から学ぶことを期待したい」
  11. Gen 3システムはレーザー、電気系統、熱制御(冷却)システムのすべてを含み、およそ12フィート長、幅4フィート、高さ2フィートの箱に全部入る。

  1. ペリーによればレーザーに必要な電力を機内で供給し、システムを冷却することが最大の課題だが、数マイル先から鉄板に穴を開ける威力のあるレーザーを実現することに比べれば遥かに難易度は低いという。”
  2. 「この実現のための技術的問題は非常に少ないです」とハイトホールドの目指す目標についてペリーは言う。「課題はどれだけ迅速に空軍がいくらで買ってくれるかです」■


ジェネラルアトミクス作成のプレデターCによるレーザー攻撃のPRフィルムはこちらでご覧ください。