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2018年11月12日月曜日

J-31はこれから本格開発し、中国海軍空母に搭載する構想のようだ

Aviation Week & Space Technology

Avic’s J-31 Fighter Is a Winner After All AVICのJ-31は失敗機ではなかった

Nov 9, 2018Bradley Perrett and Steve Trimble | Aviation Week & Space Technology
J-31試作型の一号機は2014年の中国航空ショーに初めて姿を見せた。Credit: Yan Siming/International Aviation

Avic傘下の瀋陽航空機がJ-31戦闘機試作型の姿を2012年に初めて見せるとすぐさまアナリスト各位は中国軍向けの新型機ではないと見てきた。技術実証機以上の存在ではなく、国営企業の同社が二回連続で戦闘機競作に敗れて腹いせに作っただけの機体と見てきた。
そのJ-31が今や政府公認事業となり、J-15海軍版フランカーの失敗の穴埋め機材の位置づけになっている。実はJ-15のメーカーも瀋陽航空機であり、中国海軍のみならず空軍もJ-31を求めている。
他方で中国のもうひとつ国営企業、Avicの成都航空機が瀋陽航空機の提案に打ち勝って採用されたJ-10とJ-20の改良に取り組んでいる。11月6日から11日にかけて珠海で介されたエアショーチャイナでAvicが推力偏向ノズル付きJ-10を発表し、Cetcが展示したレーダーが広範囲の火器管制能力につながるとして注目を浴びていた。
J-31は国内向けで政府資金で開発が進められてきたと公式筋が説明している。同機は海軍向けの供用を想定していると同上筋は述べており、ここ二年ほどで浮上してきた噂や観測を裏づける格好だ。中国空軍もJ-31に関心を示していると同上筋は述べながらこれ以上の情報はもらえなかった。
瀋陽航空機はJ-31試作機を二機製造し、2016年に姿を表した二号機は一号機より大きい。
中国海軍がJ-31を艦載機としてJ-15の代わりに必要としているのは明らかだ。これも瀋陽航空機の製品であるJ-15は飛行中制御に難があるといわれ、空母着艦では大問題だ。
J-31はFC-31の別名でも知られ、海軍艦載機の地位を成都航空機のJ-20と競っていた。J-20は大型機であり空母搭載用途は考えにくい。失速速度を低く押させる必要があるが同機の主翼荷重は高く見える。
中国空軍がJ-31をここまで強く望んでいるとは意外だが海軍が本格開発を承認したことで説明がつく。空軍が瀋陽航空機のJ-31提案を8から10年前に一度却けたのはJ-10で迅速に機材を揃える必要があったためで、ここまでの高性能機は不要としたためでもある。第一線部隊に老朽機材が多く配備されていたのだ。その緊急性のためJ-10生産に全力を上げ輸出の可能性まで検討する余裕がなかったとAvic関係者が述べている。
だがJ-10は海軍向けJ-15の代替策にならない。同機は単発機であり、極端に高い信頼性がないと海上運用で安全性が深刻な問題になる。
当初のJ-31は最大機体重量が25トンだったが二号機は28トンに引き上げられたと中国報道で伝えている。海軍用途仕様では30トンになるとの情報もある。航続距離は1,500キロに延長されていると同報道にあるが、実際のミッションや兵装を特定しなければこんな数字に意味はない。■
コメント 本当にJ-31が今後本格開発されるのでしょうか。これまで塩漬けのままでFC-31として劣化版の輸出専用機友いわれていたのですが。これから開発し直すとして建造中の空母二号艦で試験運用するのでしょうか。もともとF-35の設計資料を大量に盗んでできたと言われる機体であり、東シナ海で日本のF-35Bがいわば本家としてこのバッタものの機体と対峙する日が来るのでしょうか

2018年9月11日火曜日

J-20用国産エンジン量産に目処がつき、いよいよ機体本格生産か

China is about to finish the J-20's fifth-generation engine, and will soon begin mass producing the aircraft 中国はJ-20に第5世代戦闘機にふさわしいエンジンを完成させ、機体の本格生産に移りそうだ

Minnie Chan,

J-20 china stealth fighterJ-20 Wikimedia Commons via V587wiki
  • 中国のJ-20ステルス戦闘機用の新型エンジンが今年末までに本生産開始か
  • WS-15エンジン開発が遅れていたのはブレイド部分の過熱等の問題が原因だった
  • ただし問題は大部分解決済みで、本生産準備が整った



J-20ステルス戦闘機を名実ともに世界クラスに押し上げる新型エンジンの本生産が今年末までに準備完了となる。
WS-15エンジンは最新の単結晶タービンブレイドを使い、これまで開発中と伝えられてきたが、中国技術陣は本格生産への以降に苦慮していた。
ただし問題の本質は最高速度域でのブレイド過熱問題ですでに解決済みで高い歩留まりでの生産が視野に入ったとサウス・チャイナ・モーニング・ポストが伝えている。
中国がかねてからステルス戦闘機の実戦配備を急いでいるのは米国がF-22、F-35の配備をアジア太平洋で進めていることも意識してのことで米国との緊張も高まっていることが背景にある。
WS-15エンジンのJ-20への搭載の準備が年末までに完了する、と消息筋は述べている。
ただし「小さな問題」が残ったままだが、エンジンが「機体に搭載され稼働すれば」解決可能と同筋は述べる。
北京在住の軍事問題専門家Zhou Chenmingによれば中国は200機ないし300機のF-35をアジア太平洋で2025年までに展開すると見ており、「中国にもそれにに匹敵する規模のJ-20が必要だ、200機は最低必要だろう」と述べる。
別の軍事筋によればWS-15エンジンの技術問題はJ-20の本格生産開始前に解決が必要だと言う。
「現在J-20は20機配備中だがとても十分とは言えない」と同筋は述べ、「国産エンジンがJ-20の大量生産前に必要だ。これだけの高水準技術を供してくれる国はないので」
上記筋はそれぞれ国営中国中央テレビCCTVが4月に伝えた製造元の成都航空宇宙が同機生産で四番目のラインを2019年にも開設するとの報道の裏付けともなる。
CCTVは先月も中国空軍がJ-20パイロット養成課程を強化したと伝えていた。
人民解放軍からはJ-20が今年2月に戦闘配置されたと発表があり、その他第四世代機のJ-10、J-10やH-6K戦略爆撃機と共に運用中としていた。5月には台湾封じ込めの演習に同機も投入されていた。
ポスト紙では2月にJ-20には「つなぎ」エンジンが搭載されているとの記事があった。
軍事筋の一つからは今年末に開催される珠海の国際航空宇宙展示会で同機が一般公開されるのではとの指摘がある。展示会は隔年開催で今年は11月5日から11日開かれる。

2018年3月17日土曜日

J-20は中国専用、FC-31は輸出に振り向ける中国の考え方

中国の英字紙ですので、中身についてとやかく言うつもりはありませんがFC-31は国内採用せず、輸出する一方でJ-20は中国専用とするのはF-22とF-35の関係と同じですね。こうした情報は内容はともかく貴重で無視できません

 

 

J-20 stealth fighter's capabilities to be enhanced J-20ステルス戦闘機の性能はさらに伸びる


A J-20 stealth fighter is seen at a 2016 air show in Zhuhai, Guangdong province.[Photo/Provided to China Daily]


国は最新鋭J-20ステルス戦闘機の改良改修を続け性能を向上し敵防空網突破だけではない能力も実現すると同機主任設計者が語っている。
中国航空工業(AVIC)の科学技術副部長Yang Weiは中国科学院会員でもあり、China Daily単独取材で設計陣はJ-20派生型を開発中であり、さらに後継機となる第六世代機の研究も始めると述べている。
「実現内容に自己満足するつもりはない。J-20はファミリー展開しながら情報処理や情報収集能力を強化していく。同時に次世代戦闘航空機構想を将来の要求内容を検討する」
Yangは北京で開催中の第十三回全国人民代表会議の併設行事で所見を述べている。本人も代表の一人だ。「これまでは他国の軌跡を追って軍用機を設計してきた。わが国の研究開発能力が初歩的だったためだが、いまや自力で何でも開発できる」
同設計主任はJ-20は中国最強の戦闘機で有事には一番肝心な場面に投入されると語った。
「敵防空網突破はもちろんだがその他機能もあり、今後の生産と配備で用途もかわるだろう」(Yang) 
J-20は中国初の第五世代戦闘機で2011年1月に初飛行し2016年11月に機密解除された。配備機体としては世界三番目で米国のF-22ラプター、F-35ライトニングIIに次ぐ。
空軍は同機を各種演習に参加させており、視界外航空戦も想定の一つだという。

同機の重要な任務は空戦で主導権を握り僚機に道を開くことと空軍フライトテストセンター長Zhang Haoが述べる。AVICはJ-20以外にFC-31のテストも行っており、これも第五世代機として海外での採用を狙う。空軍はJ-20の輸出を認めないと明言している。■

2018年1月22日月曜日

★中国ステルス戦闘機J-20の最新動向

 

China's J-20 Stealth Fighter Is Now Training for War



中国のJ-2戦闘機が軍事演習に初めて参加

January 19, 2018

中国人民解放軍空軍(PLAAF)は1月11日にJ-20戦闘機が初の実戦演習に参加したと発表した。場所は非公開だが内蒙古だったと思われる。シンガポールのストレイツタイムズによれば演習は9日間でJ-20はJ-16およびJ-10Cを相手にしたという。PLAAFは演習でJ-20は視程外航空戦能力を実証したという。
新華社通信はもう少し詳しく伝えておりY-20輸送機、H-6K爆撃機も各戦闘機に加わったとある。Y-20はPLAAF引き渡しが2016年に始まった大型輸送機だ。
J-20はAVIC中国航空工業が開発した単座双発機で初飛行は2011年だったが中国は2016年までその存在を認めていなかった。
J-20はF-22、F-35に次ぐ世界三番目のステルス機で西側ではF-22をモデルにしているとの観測があるのは機体形状を見てのことだ。ただし中国により相当の改良が見られる。たとえばJ-20分散開口システムdistributed aperture system (DAS)を搭載しパイロットはあらゆる角度を監視できる。これはF-35には搭載されているのと同じだがF-22にはない。J-20設計陣は「F-22やF-35より航続距離が長く、機体内燃料搭載量が多く兵装運用量も大きい」と述べている。
Popular Mechanicsのカイル・モチズキはJ-20 は「兵装すべてを機体内部に搭載しレーダー探知されにくくし、兵装庫は三つあり、うち大きい兵装庫でPL-12視程外ミサイル最大6発、残りの二つで短距離空対空ミサイルを運用する」と述べている。国際戦略研究センターは「J-20は高性能電子装備も搭載し、アクティブ電子スキャンアレイ、赤外線電子光学式探知追尾センサー、パッシブ電子光学探知装置で機体まわりの360度の状況を把握できる」と解説。
空軍参謀総長ディヴィッド・ゴールドフェイン大将はJ-20にリアルタイムで他の防衛装備とのリンクができると見ている。そのとおりならJ-20はF-35に近い機体となる。「F-35、F-22であれJ-20やJ-31が単機でどんな性能があるのかが問題ではない。実際には各装備をファミリーとして運用するからだ」とゴールドフェイン大将は言っている。
J-20の生産機数は不明だが一部には中国が量産に苦労しているとの見方がある。「中国の生産場面ではすごい速度で生産する定評があるが、iPhoneでアップルは中国の生産状況を見て販売時期を慎重に設定せざるを得なかったようにもっと複雑な軍用機には多様な要素の制約が加わり完成品の誕生に影響を与える」とAsia Timesで中国軍事評論家の Xi Yazhouが解説している。一つの制約条件は中国が国産エンジンン採用にこだわっていることだ。中国では航空機エンジンの国産化に一貫して苦労している。
中国にはFC-31/J-31と言う別のステルス機もある。FC-31の制式名称から同機は輸出用とわかる。ジェフリー・リンとP.W.シンガーは同機について「瀋陽航空機の双発機J-31はF-35とほぼ同寸で最高速度マッハ1.8」と解説し空母搭載型のJ-31製造の可能性に触れている。■
Zachary Keck (@ZacharyKeck) is a former managing editor of the National Interest.
Image: Wikimedia Commons

2017年12月14日木曜日

★★CSIS によるJ-20戦闘機の評価をご紹介

  • 有力シンクタンクCSISの中国研究部会がJ-20についてまとめていますのでご紹介しましょう。当初の予想からずいぶんと変わってきましたが、中国独特の用兵思想も見えてきます。少数生産で終わるのか、長期間の供用期間で改良を加えて変化していくのか今後の要注意点と思われます。



Does China’s J-20 rival other stealth fighters?

ステルス他機種と比較して中国J-20は対抗できるのか




  • 成都J-20は中国軍初のステルス戦闘機だ。国防総省(DoD)によれば、中国はステルス技術を空軍の「国土防空部隊から防御攻撃双方で実力を発揮する部隊への変身で中核の存在ととらえている」。J-20はステルスと機体性能で従来は不可能だった軍事オプションに道を拓き、中国の兵力投射能力を向上させる効果を生む。

J-20の開発



  • 高性能多用途ステルス戦闘機としてJ-20は対空対地双方で人民解放軍空軍(PLAAF)、海軍航空隊(PLAN-AF)に投入されるはずだ。DoDの2016年報告書ではJ-20を「高性能機材で地域内兵力投射能力を向上させながら地域内空軍基地等を攻撃する」中国の狙いで重要な存在と見る。2014年に米中経済安全保障検討委員会はJ-20を「アジア太平洋各国の現有戦闘機より高性能」と評した。
  • J-20搭載のサブシステムと低探知性技術は国際的に通用する「第五世代」機に相当する。つまりステルス技術、超音速巡航性能、高度に統合されたエイビオニクスを有する。J-20はこの定義に当てはまる初の中国機だ。
  • ただし中国の機体世代名称の定義が国際基準と違う。中国定義では機体の就役開始時期で世代を分ける。中国基準ではJ-20は第四世代機になる。

世代別機材の分類
世代
国際定義
中国の定義
1st
Circa 1945-1955 aircraft, such as:
F-86.
Aircraft deployed in 1950s-1960s, such as:
J-5 & J-6.
2nd
Circa 1955-1960 aircraft, such as:
F-104 & F-105.
Aircraft deployed in 1970s-1980s, such as:
J-7 & J-8.
3rd
Circa 1960-1970 aircraft, such as:
F-4.
Aircraft deployed in 1990s-2000s, such as:
J-10 & J-11.
4th
Circa 1970-1990 aircraft, such as:
F-15 & F-16.
Aircraft deployed in 2010s, such as:
J-20.
5th
Circa 1990-present aircraft, such as:
F-22 & F-35.
N/A


  • 現時点で第五世代機を作戦展開できるのは米国だけだ。ロシア、インド、日本が独自に第五世代ステルス戦闘機を開発しようとしている。
  • J-20と別のステルス戦闘機を中国は同時開発中だ。これが瀋陽FC-31小型多用途ステルス戦闘機で輸出用機体だろう。二機種は補完関係にありF-22とF-35の関係と似る。ステルス戦闘機二機種を同時開発するのは米中のみである。
  • 空軍参謀総長デイヴィッド・ゴールドフェイン大将によればJ-20は情報時代の戦闘機として国防ネットワークへのリンクを前提にし、リアルタイム情報を衛星や無人機から利用できるはずとする。そのためF-35と同様にJ-20も単独機種というよりも「システムファミリー」として見るべきとする。
  • 2017年9月28日にJ-20が正式に軍で供用開始したとの発表があったが、完全な戦力化は2018年ないし2019年とみられる。

J-20 と他のステルス機の比較
  • J-20は高性能戦闘機の一機種としてF-22ラプターやSu-57(T-50) PAK FA と同類だ。当初報道ではJ-20の全長は23メートルとされたが、衛星画像解析から20.3から20.5メートルとされ、米ロ戦闘機とほぼ同じとなる。
  • J-20のMTOW(最大離陸重量)は34トンから37トンと見られ、F-22のMTOWは38トン、Su-57は35トンから37トンだ。一部分析でJ-20のMTOWはF-22を下回らないとする。両機種の寸法はほぼ同じだがJ-20ではエンジン配置が後方に寄せられており機内搭載容積が大きいはずだ。

機首
全長
全鷹
翼幅
最大離陸重量
燃料搭載量
J-20
20.3 – 20.5 m
4.45 m
12.88 – 13.5 m
34,000 – 37,000 kg
25,000 kg / 12,000 kg (w/o external tanks)
F-22
18.90 m
5.09 m
13.56 m
38,000 kg
11,900 kg  / 8,200 kg (w/o external tanks)
T-50 PAK FA
19.8 – 20.8 m
4.74 – 5.10 m
13.95 – 15.0 m
35,000 – 37,000 kg
10,300 kg
Figures for the J-20 and T-50 are estimates and likely to change as more information becomes available.


  • J-20には小型空対ミサイルを収納する兵装庫二つの他に大型兵装庫1があり各種ミサイルや対地攻撃兵器を収納できる。F-22の兵装庫仕様と似ているが、ロシアSu-57とは異なる。ロシア機は大型小型兵装庫各2をそなえる。.
  • J-20は各種高性能電子装置も搭載するはずだ。その一部としてアクティブ電子スキャンアレイ、赤外線電子光学探知装置もあり、F-35搭載装備に匹敵する。さらにJ-20には高性能通信装置が付きデータリンクで友軍機材と情報共有できるはずだ。
  • 試作機と初期生産機材はロシア製AL-31エンジンを搭載したが中国はより強力なエンジンの開発を目指している。2017年3月には Aero Engine Corporation がJ-20に次世代エンジンを採用すると発表した。報道を総合すると国産WS-10の搭載をめざしている。これはF-22のプラット&ホイットニーF119に匹敵するものになりそうだ。ただしWS-10がいつ実用化になるか不明で導入は後期生産機材以降になりそうだ
  • オーストラリアのシンクタンクは物理光学シミュレーションでJ-20のステルス性能を確認した。ただし初期型の機首が丸くなっておりステルス性には不利だ。中国はJ-20のステルス性能を段階的に引き上げる意向なのだろう。WS-10エンジンの改良型では排気口をギザギザにしレーダー探知を逃れるとの報道があるが、F-22のF119エンジン排気口は四角形でステルス性に優れている。
  • ただしJ-20の詳細面は多くが不明のままだ。確認された機体番号から少なくとも11機が生産されているらしい。また現在は低率初期生産段階にあるようだ。J-20の機体価格では30百万ドルから120百万ドルと意見が分かれている。比較するとF-22は143百万ドル、Su-57は100百万ドル未満と思われる。J-20が何機生産されるかも不明だが旧式戦闘機の代替として数百機の生産になるともいわれる。

中国はJ-20をどう活用するか



  • J-20で中国の軍事力は飛躍的に向上する可能性がある。2014年の米海軍大学校報告書では「東アジア各国の中で最も強力な戦闘機になる」と見ており、米中経済安全保障検討委員会も同様の評価だ。J-20があと数年で完全戦力化されればPLAAFはインド、日本、韓国の空軍力に差をつけることになる。各国が国産高性能戦闘機を導入するのは2020年代以降とみられるからだ。
  • ただしJ-20の航空優勢戦闘機あるいは攻撃機としての威力について評価が分かれる。J-20のステルス効果が前面重視のため長距離迎撃任務に向くと見る評価がある一方、長距離攻撃機として最適と見る向きもある。2015年のRAND報告書ではJ-20の「前面ステルス性能と長距離性能を考えると米海軍水上艦艇に脅威となる長距離海上攻撃能力を真剣に受け止めるべき」と指摘した。ただし、同機の機体寸法と兵装を見ると攻撃機材として効果的な運用はできないと見るべきだ。中国パイロットがどの任務で訓練されるかでJ-20運用のねらいがわかるだろう。

開発の歩み
Date
Milestone




January 11, 2011
J-20 completes its first test flight.




December 26, 2015
New J-20 prototype spotted, J-20 possibly enters low-rate initial production phase.




November 1, 2016
China debuts the J-20 at the 11th China International Aviation & Aerospace Exhibition in Zhuhai.




March 9, 2017
It is reported that the J-20 has entered service with the PLAAF.




September 28, 2017
The J-20 is officially commissioned into military service.






  • 報道でJ-20の航続距離は1,200キロから2,700キロとばらつくが、戦闘行動半径が中国本土から相当先までカバーするのは確かだろう。米海軍大学校はJ-20を「数百カイリ先で水上艦艇を狙うのに最適の機材」と見ている。Air Power AustraliaはJ-20を中国の「第一列島線」と「第二列島線」での作戦用機材と見る。中国が空中給油を実用化すればJ-20の作戦範囲はさらにひろがるだろう。
  • 飛行距離が伸びれば中国は基地運用で大幅な柔軟性を手にすることになる。J-20が現在内陸部に配置されているのは遠隔地での作戦後に統合防空体制のある範囲に帰還させる意図だろう。J-20を追尾する敵航空機を早期警戒と長距離地対空ミサイルや迎撃機で追い払うねらいがある。■