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2021年7月15日木曜日

稼働可能エンジンが不足し、米空軍F-35Aの15パーセントが飛行不能に。海軍、海兵隊、一部海外国でも同様の状態で計46機が地上待機。

 

  • F-35 Heritage Flight Team performs in Bell Fort Worth Alliance AirShow

U.S. AIR FORCE/SENIOR AIRMAN ALEXANDER COOK

 

 

計46機のF-35が稼働可能なエンジンがない状態になっている。原因はタービンローターのブレイドの耐熱塗装が予想より早く摩耗しているためだ。エンジン点検施設は修理作業予定で埋まり、第一線機材に影響が表れており、米空軍は深刻な稼働率問題に直面している。

 

下院軍事委員会の戦術航空戦力・地上兵力小委員会での公聴会にエリック・T・フィック空軍中将(F-35共同事業室長)が空軍のF-35で41機に加え海兵隊、海軍それぞれ1機さらに海外出荷分3機がエンジンがなく飛行不能の状態にあると述べた。数字は7月8日現在。

 

ただし、エンジン不足をきたしているF-35の型式別機数は不明だ。空軍はF-35A、海軍はF-35Cのみそれぞれ運用しているが、海兵隊はF-35BおよびF-35Cを飛ばしている。

 

空軍では今年5月8日時点で283機のA型が納入済みだった。となると15パーセント弱の機体がエンジン不足で飛行できない状態にあることになる。

 

「カルシウム-マグネシウム-アルミ-シリカ(CMAS)劣化が予想外に出現しており、補給処への問合わせが増えている」とAviation Weekのスティーブ・トリンブルがツイッターに投稿している。「補給処がボトルネックで、想定の二倍以上の作業が必要となっている」

 

問題の補給処とはオクラホマのティンカー空軍基地内のF135重整備センターだ。ここがF-35が搭載するプラット&ホイットニー製ターボファンエンジンを整備する。F135エンジンは同センターが一括修理し、海軍、海兵隊用含む一部F-35事業パートナー国の機材も対象だ。

 

トリンブルは同補給処での作業が「低下中」としており、運行経費への批判が高まり空軍トップまで矢面に立たされている空軍に別の問題が発生している。

 

ただしエンジン問題が今始まったわけではないことに注目だ。F135エンジンの不足は2月に報じられており、ティンカーAFB施設で予定通りのエンジン補修ができないとあった。

 

作業の滞留を招いている要素に「ローターブレイド表面塗装の早期摩耗」があるとDefense Newsはその時点で指摘していた。補給処で予定外の作業が追加されたことになる。当時、匿名の防衛関係者が同誌にブレイドの摩耗状態から機体の稼働に深刻な影響が出ると指摘していた。

 

状況は悪化の一途のようだ。2月時点ではF-35の5-6パーセントでエンジン不足が2022年に発生すると予想されていた。条件として予定通りの補修作業が完了する前提だった。ただし、作業がこの通りに進展しないと空軍F-35で飛行不能となる機体は一気に20パーセントになるとの想定だった。

 

5月の実態から修理がある程度進展しているものの、エンジンがないままのF-35は予想より増えていることがわかる。

 

タービンローターのブレイド問題より前にペンタゴン高官はF-35のエンジン問題がミッション成立率に影響を与えると懸念を示していた。空軍機材のうち何機が任意の時点でミッションに投入できるかの指標だ。

 

エンジン問題のためF-35Aの航空ショー出典が減らされた。ユタ州ヒル空軍基地の388戦闘航空団が展示飛行を担当している。エンジン補給処の負担を減らす措置だった。

 

CMASブレイド塗料の問題解決策がいつ必要と認識されたのかは不明だ。ただし、2020年初頭の段階でペンタゴンはエンジン不足問題を公表していた。

 

F135重整備センターでは先月から夜勤も導入されたので現在200日の工数を122日に短縮化する狙いが実現し状況は緩和されるかもしれない。

 

プラット&ホイットニーからはエンジンブレイド改修用のハードウェアを昨年導入しており、オーバーホール用エンジンにも使っているとしている。

 

F-35ではF135以外の選択肢もあと一歩で利用可能となるところだったことを改めて思い出す必要がある。だがジェネラルエレクトリック/ロ-ルスロイスF135ターボファンは不必要な経費を発生させるとして2011年にキャンセルされたが、開発は8割進んでいた。今となっては別のエンジンがあればと悔やまれる。

 

F135エンジン問題は一時的となるかもしれないが、今回の問題露呈は同機の維持コストに関する懸念の高まりの中で発生した。トルコが共用打撃戦闘機事業からの脱退でF135のコスト上昇しているとの報道もある。ただし、整備問題は直接つながりがない。

 

F-35の長期ロードマップではエンジン改修の可能性も出ている。適応サイクルエンジンは空気流入量を調整し燃料効率を高めることで航続距離が延び選択肢となる。プラット&ホイットニー、ジェネラルエレクトリック両社が空軍研究本部の適応型エンジン導入事業(AETP)で開発を進めている。短期的にはAETPで生まれる技術がF135改修に応用される可能性もある。

 

他方、まったくの偶然とは思えないのはF-35A飛行展示チームが5月25日にティンカー空軍基地へ立ち寄り「補給処でF-35エンジンや関連部品の整備にあたる隊員への感謝の念を伝え」たと空軍が報道発表していることだ。

 

「航空戦闘軍団司令【マーク・ケリー大将】からF-35整備にあたる人員を勇気づけたいとの希望が示された」とオクラホマシティー航空補給施設司令ジェフ・キング准将が述べていた。

 

 

エンジン整備作業を円滑にすべく努力していること、タービンローターブレイドの摩耗問題の解決策でエンジン不足問題が解決し、46機が任務投入可能状態に復帰することを期待したい。■

 

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Fifteen Percent Of US Air Force F-35s Don't Have Working Engines

Marine Corps, Navy, and foreign F-35s are also being impacted by ongoing problems with the jets’ engines.

BY THOMAS NEWDICK JULY 14, 2021



2014年9月6日土曜日

F-35エンジン火災事故の問題解明進む ただし根本原因はまだ不明



ここにきてエンジンの構造問題が出てきたのですが、代替エンジン案を却下してまでプラットにかけたF-35開発がこのままではプラットと心中してしまいかねません。どこまで同機の開発は不運につかれているのでしょうか。F-35導入を決めた各国は本件の進展を神経質にながめているのでしょう。




F-35 Fire: In Search Of A Solution

JSF engine fire blamed on seal friction
Sep 8, 2014
Guy Norris, Bill Sweetman and Amy Butler | Aviation Week & Space Technology.
遅れているロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機の運用開始がさらに遅れる可能性が浮上してきた。プラット&ホイットニーF135エンジン火災事故で決定的な原因が未解明のためだ。6月23日にエグリン空軍基地でのAF-27号機火災「偶発事例」とか言われてきた。しかし、Aviation Weekは少なくとも5件のエンジンが機体から取り外されており、予想外に早く摩耗が発生していることを知るに至った。
今月末までにトラブル回避策をみつけシステムズ開発実証(SDD)機材21機を制限なしで飛行させるはずだった。これが時間どおりにできないと、初期作戦能力獲得の日程が実現できない、とJSF開発室長クリス・ボグデン中将が3日に認めている。

プラット&ホイットニーもエンジン部品の再設計で事故再発を防止しようとしており、JSF訓練の飛行制限解除を目指している。ボグデン中将によれば原因究明は当初の138要素を4つまでしぼりこんでいる。プラットは根本原因の究明を待っている。
ただし再設計の所要時間数、費用はまだ不明で製造中のエンジンを改装するのか、完成済みエンジンの改修になるのかも不明。ペンタゴンの調達業務トップ、フランク・ケンドール次官は9月3日に「莫大な費用にならないと確信している」と語っている。
JSF開発室はAF-27号機の事故詳細で情報開示を拒んでおり、単価205百万ドル(事業調達コスト、2013年度選抜調達報告書に準拠)の同機を再度飛行可能とするための原因調査が完了していないとしている。プラット&ホイットニーにとってはテスト日程で再度リスクが浮上してきたことは、ボンバルディアのCシリーズとともに同時並行しており、ともに新型P&Wエンジンを搭載する事例となる。
一方、計5基のF135エンジンが機体から外されているのは新検査方式で欠陥が見つかったためだ。うち一基はF-35 CF-9(生産型F-35Cの9号機)からで、飛行時間は90時間に満たない。
AF-27は事故発生の三週間前に飛行した際にエンジンが2秒間にわたり「収縮」したとボグデン中将は語る。これにより「激しい摩擦」がファンステージの固定部分とエンジンのローターの間で発生し、摩擦熱が1,900Fに達したが、設計上は1,000Fの想定だったという。
この熱上昇で微小亀裂が隣接する第三段ファンブレイドに発生したとボグデンは述べる。亀裂は通常の運航中に拡大し、問題のブレイドがディスクから分離した。エンジンのケーシングは脱落したブレイドを抑えることができず、機体左側と後部の燃料電池に穴が開いた。ジェット燃料と超高温の気体が混じり火災につながった。
固定部分とローターの間の摩耗の兆候はAviation Weekが元関係者から入手した画像で明らかになっている。CF-9のエンジンだという。
ボアスコープからの画像では片持梁構造の固定部分cantilevered statorブレイド数枚とローター部分の各ステージ間の刃形シールknife-edge-type seal が視認できる。Aviation WeekはJSF開発室に画像がCF-9エンジンのものかを確認したが、同室は確認を拒んだ。


根本原因候補は4つに絞り込んだとボグデン中将は説明している。問題が見つかったF135エンジンのうちすくなくとも二基は長時間運転していない点が重要だ。AF-27の初飛行は2013年4月で、CF-9はその三か月後。CF-9のエンジン稼働時間は146.5時間でエンジン飛行時間は66.7時間となっている。同機のエンジンは7月以降のボアスコープ点検二回を合格しており、亀裂が発見されたのはわずか1.3飛行時間後のことだった。
F135の特長として固定部分と回転部分両方の末端のシールに摩耗性材料が使われており、高性能エンジンの各ステージには圧力比が高くなり、シールはエンジン後部から前部にかけての気体漏れを最小限に抑えるため不可欠になっている。漏れが発生すると性能や効率が悪くなるからだ。
軽いg運動で「激しい摩擦」と超高温が発生する理由は解明されていない。ただし操縦時の荷重とエンジン各ポイントでの間隙が歪んだり外れたことの関連はあるのだろう。F135は戦闘機用としては最大級の高性能エンジンでP&WのF100より70%も重く、24%も大きい寸法になっている。その結果、慣性力、回転力が従来より大きく働く。AV-8BハリヤーIIが搭載するペガサスエンジンでもブレイド摩擦問題が離陸時に発生しており、エンジン点検修理が必要となった事例がある。

対応策は二方面で進む。SDD機材はフライトテストで「焼き付け」現象の確認をする。これは摩擦性素材を擦り減らす計算づくの手順で想定外の発熱を発生させないもの。その目標はまずSDD機材の飛行制限を解除し、テストを予定通り実施することだ。これは可能とボグデン中将は認め、この作業で事故の再発防止になるという。
ただし10月にプラット&ホイットニーはファン部分の改良型のテストを開始する予定で、6月に発生したような摩擦を回避することが主眼だが、事故の根本原因とは無関係だ。「最終解決は設計寿命の確保になる」と同社は言い、「社内テスト結果を今後共有できると期待している」.
P&Wは納入済み156基のエンジン改修費用を全額自社負担する。
F-35の飛行は再開されているが、現時点で飛行3時間ごとに襤褸スコープ点検が義務付けられている。最大速度はマッハ0.9に制限し、 -1 g から+3 g.の制限も付き、迎角は16度までとなっている。テスト機はマッハ1.6,3.2gまでが許可され点検間隔も最長で6時間となっているがテスト機材以外はすべて厳しい制限を付けられている。
開発室、プラット&ホイットニー双方ともこれまでのF135点検で予知手法ではAF-27エンジン不良や他機で見つかった過剰摩擦が見つからなかったのはなぜかとの問いに沈黙を保っている。ジェネラルエレクトリックのF136エンジン代替案を葬るべく展開した一大キャンペーンでP&Wは予知診断手法で問題は早期発見でき、「飛行運用への影響を緩和できる」と説明していた。■


2014年7月14日月曜日

F-35Aエンジン開催事故の原因はファンブレイドの「摩擦」



ファンブレイドの異常な摩擦とは一体?かえって謎が深まるような事故原因についてのコメントがペンタゴン高官から出ています。


Kendall: Fan-Blade Rubbing Cause of F-35 Fire

Jul. 13, 2014 - 05:25PM   |  
By AARON MEHTA   
An F-35A flies a flight test at sunset at Edwards Air Force Base, California.
An F-35A flies a flight test at sunset at Edwards Air Force Base, California. (Lockheed Martin)

6月23日に発生したF-35A火災事故の原因が判明してきたが、調査陣はそもそもなぜ発生したのかを引き続き調査中。
火災原因はF135エンジン内部のファンブレイド部の「過剰な」摩擦だとフランク・ケンドール国防次官補(調達)がロンドンで記者団に語っている。
ケンドールはファーンボロ国際航空ショーの公開の場でより詳細な発表を14日月曜日に行うとみられる。
ただし今回が一回きりの事象なのか、全機で発生しうる問題なのかがわからない。全機共通の不良ではないとの見方もあるが、調査は引き続き行われている。
火災発生の機体はF-35A(AF-27)で、これが契機にF-35全機が飛行停止措置を受けている。その結果、ロイヤルインタナショナルエアタトゥーでの国際デビューも流れてしまった。
地上待機が続く中ファーンボロでの機体展示も危うくなっており、最終的には月曜日に主催者側が判断する。
ブラットアンドホイットニー製F135エンジンでファン関連の事故はこれが二件目だが、前回はエンジンの別の場所で発生しており、二件の関連は少ない。■


2014年7月5日土曜日

☆ 事故原因の焦点はF135エンジン第三段タービンへ



Investigators Eye Third-Stage Turbine As F-35 Remains Grounded

Jul 4, 2014Amy Butler | AWIN First

F-35Aの火災事故で調査はF135エンジンの第三段タービンに中心を合わせている。
  1. 6月23日の火災事故は現地時間午前9時15分に発生し、それをうけて各基地司令から「安全待機」が出た後で深刻な「飛行停止」措置が国防総省から7月3日に出た。
  2. 契約企業施設内の試験用エンジン含む「全エンジンを運転できない」と米空軍のクリストファー・ボグデン中将が Aviation Week 取材に7月3日に語っている。中将は事故原因、調査内容共にコメントしていない。
  3. F-35各型で共通のエンジンF-135で第三段タービンは低圧タービン部分で二段目に位置している。
  4. 低圧部分で以前も問題が起こり2013年2月から3月にかけ全機飛行停止措置になった。これはテスト用機材AF-2の第三段低圧タービンブレイドで0.6インチの亀裂が見つかったためだった。プラットの関係者からは製造上の不良であり、疲労が原因ではないとの見解が出ていた。
  5. 同年12月には地上テスト用F135が「爆発」している。同エンジンはプラットの社内施設で設計寿命の77%相当を運転したところだった。この原因はファンの亀裂だった。事故当時はエンジンは通常モードで運転中だった。ファンはブレイドをつけたディスク「ブリスク」複数で構成され、機械加工されたもの。第一段のブリスクが中空になっておりいつ亀裂してもおかしくない状況だった。実は機体重量を軽くするため中空にされていたののだが、現在は再び一体成形となり、エンジン重量は6 lb. 増えた。
  6. プラットは爆発事件の前にエンジン設計を見直しており、ブリスクも中空構造を取りやめていた。ボグダン中将によれば開発室も再設計内容を検討し、コンプレッサー部分に限定された問題だと理解し、問題が広がる前に改修したほうが得策とした。「中空構造のブレイドは製造工程が複雑で費用もかかる。その部分のエンジン設計が複雑になっていた。ブレイドにストレスがかかったためとわかり、解析モデルに情報を反映させ設計を変更した」(ボグデン中将)
  7. 2007年、2008年とテストエンジンで問題が連続して発生したことでも設計が変更されている。
  8. 今回の発火事故はA区分事故とされ、深刻なものだ。大西洋横断飛行をしてファーンボロ航空ショー、ロイヤルインタナショナルエアタトゥーでF-35Bが展示されることになっている。空軍、海軍、英国の各耐空証明発行機関は各方面から大西洋温暖飛行の認可が可能か検討中だが、現時点では未定。海兵隊は実現させようと必死だ。
  9. なお、第三段が調査の中心になったことについて開発室およびプラット・アンド・ホイットニーは論評を避けている。
  10. プラットは空軍事故調査委員会と共同で原因の調査中だが、事故調査中のためコメントできないとしている。■


2014年4月21日月曜日

非常に理解しにくいF-35の機体単価 削減の矛先はP&Wに向けられています


F-35 Chief Puts Heat On Pratt's F-35 Engine Cost

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
Source: AWIN First
aviationweek.com April 17, 2014


F-35調達コストで米国分担分が昨年だけで45億ドル上昇したのは「コスト曲線」あるいは機体製造費用が大幅に下がるはずと過剰なまでに楽観的な見方があったためだとF-35開発を統括する米空軍クリストファー・ボグデン中将 Lt. Gen. Christopher Bogdan は見ている。.
  1. 実績が予測を下回ったのには二つの理由がある。主契約企業やその他協力企業の費用と、JSF購入を先送りする傾向が各国にあるためだ。費用低下では従来はロッキード・マーティンに圧力がかかってきたが、ボグデン中将の照準は今やエンジンメーカーのプラット&ホイットニーに向けられている。
  2. 「エンジンでも価格カーブを想定していた。プラットは約束を満たしていない。全然だめだ」と同中将は取材陣に話している。.
  3. 米議会の求めで作成された2013年度報告書では米国の負担額は開発、調達、55年間供用含み総額3,986億ドル(約40.7兆円)で、前年度は3,912億ドルだった。上昇分のうち45億ドルが調達関連だ。
  4. ボグデン中将は全体額の中で上昇分は無視できる規模だとしながら、契約企業の価格設定には不満の様子だ。
  5. これに対しプラット&ホイットニーは最初のロットとの比較で価格を4割下げていると主張するが、F-35では単一エンジン供給元の立場から実際の数字を一切公表していない。
  6. ボグデン中将の不満はエンジン単独供給元に対して交渉力の切り札がないことだ。「エンジンの選択肢がないままではコストをさげさせる有効な手段がみつからない」
  7. F-35の平均機体単価は開発、調達、維持の各費用と未公表のプラットのF135エンジン含め130百万ドル(約133億円)で米国は2,443機を調達する予定だ。飛行可能な状態での機体単価(総費用を2,443で割る)は104.8百万ドル(約106.9億円)となる。二つの数字は米国の想定導入機数を前提としている。
  8. 価格をさらに下げる要因として韓国、シンガポール、イスラエルの購入が実現することがある。ただし、カナダ、トルコ、オランダが子導入を先送りしているので、短期的に価格が上がる要因になっている。ボグデン中将は結局価格を下げる要因は差し引きゼロになるとみている。
  9. もっと多くの調達引き合いがあることを期待しながら、ボグデン中将はロッキードとプラットに部品等をまとめ買いしてスケールメリットを生かすよう求めている。「強制予算削減も二年目に入り、F-35も無傷のままではいられない。」(ボグデン中将) この点でプラットがロッキードよりも先行しているのはF135の部品等で商用エンジン含む他製品と共通性が高いためだ。
  10. 78億ドルの上昇分で別の要員は為替レート変動とインフレーションによる補正だ。約3割の機体部品は米国外から調達しており、多くは英国のBAEシステムズとイタリアのアレニアだが、ドルやウ傾向がポンドとユーロ相手に続いていることがその理由だ。
  11. もともと量産開始は2018年とみていたが、関係者もこれが2019年にずれ込むと認めている。ボグデン中将は量産が開始されれば飛行可能な状態の機体単価は85百万ドル(約87億円)以下になると今でも期待している。■