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2022年3月30日水曜日

ウクライナ戦は新型兵器のテストの場となっている。ロシア海軍がカリブル巡航ミサイルを実弾発射している。無神経なTASS通信記事のためご注意ください。

 Screenshot from Russian MoD video


クライナ武器貯蔵庫へ向けブヤンM級コルベットがカリブルKalibr巡航ミサイル8発を発射した。ロシア国防省公開の映像は、同ミサイルの攻撃で初の公表となった。


ご注意 この記事はロシア国営通信社TASSの原稿を翻訳したものです。


国防省報道官イーゴリ・コナシェンコフIgor Konashenkovは、海軍の精密ミサイルがロブノRovno市北西14キロのオルジェフOrzhev兵器庫を攻撃したと発表した。「西側諸国が供給した武器や軍用装備を保管するウクライナの主要兵器庫を破壊した」と述べた。

 カリブルミサイルは、黒海からプロジェクト21631ブヤンMBuyan-M級ミサイル艦が発射したとされる。映像には、8発のミサイルが次々と発射される様子が映し出されている。同艦はミサイル8発を搭載するため、全弾発射したことになる。



独立軍事評論誌のドミトリー・リトフキンDmitry Litovkin編集長は、今回の一斉射撃で、カリブルミサイル全弾を同時発射で威力を確認できたと述べている。


情報のやりとり

リトフキンは、カリブルミサイルが飛行中に情報を交換したと見ている。「人工知能は武器やハードウェアに導入され、あるミサイルが目標を見て、情報を他のミサイルと共有する。1発のミサイルが落ちれば、残りのミサイルはどこに飛べばいいのかがわかる。ネットセントリックが実現する」と述べた。

 「一斉射撃でカリブルミサイルがリアルタイムで情報交換を行っていることを示した。巡航ミサイルは実はロボットだ」(リトフキン)。


カリブル巡航ミサイルを発射するブヤン級コルベット



カリブルとは

カリブルS-14(NATO報告名称SS-N-27シズラーSizzler)は、エカテリンブルクのノバトール設計局Novator Design BureauがグラナートGranat S-10から開発し、93年に初めて一般公開された。

 グラナートは、米国のトマホークSLCMとGLCMに対抗して設計された。グラナート3M-10は、1983年に魚雷発射管発射用アルファAlpha3M-51巡航ミサイルに開発された。1993年、アブダビでの兵器ショーとMAKS-93でモックアップが展示された。

 1991年以降、設計者はクラブClubミサイルの輸出オプションに焦点を当てた。潜水艦(Club-S)および水上艦(Club-N)で発射可能とした。最初の3M-54はAlphaから開発され、3M-14はグラナートを原型に開発された。輸出用オプションの射程は275-300kmだった。

 ロシア海軍は3M-54と3M-15を水上艦のカリブル-NKコンプレックスと汎用3S14ランチャー、潜水艦のカリブル-PL魚雷ランチャーで使用する。最初のコンプレックスは、2012年にプロジェクト11661ダゲスタンDagestan小型ミサイル艦に納入された。射程は1400kmから2600kmといわれる。

 カリブルは、地上、空中、海上、水中仕様に開発され、輸出オプションも用意された。ロシア、インド、中国が運用しているとの情報がある。



3S14 UKSK万能ランチャー(タス通信)


ランチャー

万能ランチャー3S14は、ロシア海軍でのカリブルの使用を進めた。アルマース・アンテイ社Almaz-Antey Companyが設計した垂直発射台だ。


カリブル、オニクスOnyx、ブラーモスBrahMosの各ミサイルを発射でき、2022年に試験を完了する予定の極超音速ツィルコンTsirkonにも適合する。

 同ランチャーは、ロシアの新世代軍艦に搭載されており、フリゲート艦プロジェクト22350と11356、コルベットのプロジェクト20385と20386、ミサイル艦プロジェクト11661、小型ミサイル艇プロジェクト21631と22800など、各種艦艇に搭載されている。プロジェクト22160パトロール艦もランチャーを搭載できる。プロジェクト1144巡洋艦、プロジェクト956駆逐艦、プロジェクト1155大型対潜艦もカリブル発射が可能だ。

 同ミサイルは、プロジェクト636.3ヴァルシャヴィアンカ級Varshavyanka-classディーゼル電気潜水艦、プロジェクト885MヤーセンMYasen-M級SSGNでも発射できる。


Iran and Russia are planning to hold naval drills in the Caspian Sea, the commander of the Iranian navy said on Sunday, January 6, 2018.ロシア海軍カスピ海戦隊の海上訓練でカリブルNKミサイルを発射(写真:ロシア国防省)


交戦

同ミサイルの最初の実戦投入はシリアだった。国防省は99発で13回交戦したと報告している。

 最初の発射は、プロジェクト11661ダゲスタン級ミサイル艦、カスピ海戦隊のプロジェクト21631小型ミサイル艇3隻で行われた。カスピ海から 26発のカリブル-NKをシリアのテロ拠点11箇所に発射し、指揮所、武器庫、キャンプを破壊した。

 潜水艦からの最初の発射は、2015年12月8日だった。プロジェクト636.3ディーゼル電気潜水艦ロストフ・オン・ドンRostov-on-Don が、ラッカ州のテロ目標に向け潜航中にカリブル-PL4発を発射した。ロシア水中艦隊で初の実弾ミサイル攻撃となった。

 黒海艦隊のプロジェクト11356Rフリゲート艦アドミラル・グリゴローヴィチAdmiral Grigorovichが2016年11月15日、初めてカリブルミサイルを発射した。続いて、プロジェクト636.3アドミラル・エッセンAdmiral Essen級フリゲート艦クラスノダールKrasnodar、ヴェリキー・ノヴゴロドVeliky Novgorod、および潜水艦コルピノKolpinoが発射した。東地中海から攻撃を行い、デイル・エズ・ゾールDeir-ez-Zorの南東にあるテロリストの司令部、通信拠点、武器庫を破壊した。国防省によれば、ミサイル7発が水中から500〜670km先に発射されたという。

 2017年10月5日、黒海艦隊所属のヴェリキー・ノヴゴロドと潜水艦コルピノが10発のカリブルミサイルを発射し、アルマヤディンal-Mayadin付近のテロリストの指揮所、主要武器庫、装甲車両を破壊した。

 カリブルは非核戦略的抑止力として理想的である。核弾頭も搭載できる。ロシア艦隊はカリブル・ミサイルで武装し、長距離かつ柔軟な長距離攻撃が可能となっている。■


2015年10月8日木曜日

シリア>ロシア海軍がカスピ海から巡航ミサイル攻撃を実施


先にお伝えした東地中海に展開中のロシア黒海艦体は旧式艦だらけですが、今回はあえてカスピ海から遠距離攻撃を実施したロシアの狙いはずばり力の誇示でしょう。どれだけの効果があったのかは不明ですが、今後も継続使用すれば相当の効果を上げてくるでしょうね。巡航ミサイル技術でも相当の追い上げが出ていることの証拠で、ますますペンタゴンは三番目の相殺を技術開発面で進めていくのではないでしょうか。

Russian Warships Launch Missiles into Syria: Report

by BRENDAN MCGARRY on OCTOBER 7, 2015

(Photo RT / YouTube / Russian Defence Ministry)
ロシア海軍艦艇から20発以上の巡航ミサイルがシリア国内に向け発射された
ロシア海軍艦艇4隻がカスピ海から26発の巡航ミサイルをISIS関連とみられる11箇所の目標に発射した。ロシア報道機関RTが10月7日報道している。
ロシア国防相セルゲイ・ショイグが「誘導データによればすべての目標の破壊に成功している。民間人の被害は発生していない」と発言しているという。
報道で言及された艦船はゲパード級フリゲート艦ダゲスタン、ブヤンM級海防艦グラド・スヴィヤツク、ウグリッチ、ヴェリキ・ウスチュグの各艦。それぞれカリブル-NKの発射装置を搭載し、最大1,550マイル(2,500キロメートル)までを射程に収める。
ミサイルはラッカ、イドリブ、アレッポ各地方のISIS目標に命中したと言われる。
この攻撃任務はシリア国内を飛行するロシア軍機から容易に行えたはずなのに、あえて巡航ミサイルによる攻撃にしたことはおそらくロシア海軍の実力を示威することが目的だったのではないか。しかも実施には小型艦を用いている。■