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2025年7月21日月曜日

米空母が太平洋で「浮かぶ棺桶」となる理由(National Security Journal) — 中国は強力なミサイルで米国の空母の効果を減じても、米国が同盟国と構築する新たな対応で結局は自滅する運命だと思いたいのですが

 米空母が太平洋で「浮かぶ棺桶」となっている理由(National Security Journal) — 中国は強力なミサイルで米国の空母の効果を減じても、米国が同盟国と構築する新たな対応で結局は自滅する運命なのか


USS America

制御された爆発で沈む退役空母USSアメリカ。 画像出典:アメリカ海軍


要点と要約 

- DF-21DやDF-26含む先進的な陸上配備型「空母キラー」ミサイルは、インド太平洋における戦略的バランスを根本から覆した。

-これらの兵器は、反アクセス/領域拒否(A2/AD)地帯を作り出し、米空母が西太平洋の広大な領域で安全に活動することが信じられないほど危険なものになっている。

-この新しい現実は、数十年にわたるアメリカの海軍支配を打ち砕くものであり、国防総省はスーパーキャリア依存を見直す必要がある。

-この変化はまた、地域の同盟国に自国の防衛力を強化することを強いており、海上戦域におけるアメリカの伝統的な安全保障の傘の信頼性に疑問を投げかけている。


米海軍の超大型空母は、中国からのミサイルの挑戦を解決しなければならない

冷戦後の米国一極支配から、大国間競争による多極化へ移行した今日の国際秩序は、米国にさ新たな戦略的課題を突きつけている。中でも重要な変化がインド太平洋地域に見られる。

 中国のミサイル能力、とりわけDF-21DとDF-26は、米海軍にとって重要かつ歴史的な戦略的挑戦である。これらのミサイルは、防衛業界では「空母キラー」として広く知られ、空母含む水上艦艇を、最大1500キロ(936マイル)離れた距離から前例のない精度で攻撃することができる。 

 これは、中国に西太平洋にはるかに大きな打撃力投射を可能にし、海上戦における壮大なゲームチェンジャーとなった。このようなミサイルは、地政学的危機や明白な戦争が発生した場合、米海軍艦艇の動きを阻害する可能性が高い。

 DF-21Dの誘導システムはハイエンドで、移動標的を攻撃することができる。 衛星航法(satnav)と端末誘導の組み合わせによって精度が達成されるため、高速で移動する海軍の目標に高い確率で命中する。この能力の持つ意味は深く、アメリカの海軍プランナーは、たった一度のミサイル攻撃で空母打撃群相当の水兵が犠牲になる悪夢を脳裏に追いやれないという不安な立場に置かれている。このようなミサイルが使用可能な射程が一見長くなったということは、以前は公海上で航行中の直接攻撃から堅固な免疫を持っているとみなされていた米空母が、現在はミサイル攻撃に対して警戒しなければならないことを意味する。

 約4000キロ(約2485マイル)の射程を持つDF-26は、海上目標だけでなく、グアムの重要な米軍インフラも危険にさらすことができる。この通常態勢と核態勢の二重構造は、地域の有事における米国の通常抑止態勢を複雑にするだけでなく、米国の軍事計画者や意思決定者にとって、不必要に複雑化し、コストとリスクを増大させ、さまざまな軍事作戦の計画と実施を妨げる。 

 これらの新しいミサイル・システムは、もうひとつのゲームチェンジャーであり、アメリカ海軍がこの海域を自由に歩き回れなくなったことを意味する。DF-26は陸上と海上の両方の目標を攻撃できるため、いかなる紛争においてもアメリカの選択肢を複雑にする。

 DF-26がもたらす変化は大きい。 一極集中の時代には、米海軍はほとんど無敵で、米海軍の艦船は好きなところを航行できた。 しかし今、米海軍は中国のミサイルドームの影で活動している。最近、アメリカの軍事プランナーは、数十億ドルもする航空母艦を含む最先端の兵器システムでさえ、比較的単純な攻撃の餌食になるかもしれないこと、そしてそれを行使する敵軍は簡単には抑止されないという考え方に取り組んでいる。 

 このような弱点は、戦闘の脅威にさらされた環境でも活動できる小型艦艇を含む分散作戦への潜在的な移行を含め、海戦の再評価を待ったなしにする。

 さらに、中国のミサイル・システムは、太平洋全域における米軍の作戦の自由を制限することを目的にした広範な反アクセス/領域拒否(A2/AD)戦略の一部である。研究者によれば、このような能力は、戦闘状況下での有事作戦に対する米軍の反応を鈍らせ、米国の反撃をより困難にすると考えられている。

 インド太平洋全域にその範囲と影響力を拡大しようとしている中国に決定的な戦略的優位がもたらされる可能性がある以上、これは重大な懸念となりうる。 A2/ADモデルはミサイルだけの話ではない。中国が米国の海軍の動きを監視し、詳細に対抗することを可能にする監視・情報能力の包括的なシステムなのだ。

 何十年にもわたって海の自由を享受してきた米海軍は、物騒な海洋領域での航行を余儀なくされている。自由は必ずしも完全に失われてはいないが、もはや単純に付与された条件でなくなっている。

 もちろん、世界のパワーバランスの変化は力だけでなく、外交や同盟関係にも関わる。 中国が軍事的プレゼンスを拡大するにつれて、日本、韓国、オーストラリアなど、この地域の米国の同盟国は安全保障関係を見直し始めている。 手強い人民解放軍に対して、米国が同レベルの保護を提供できないかもしれないとの懸念が、各国に自国の防衛力を強化する方法を模索させている。このような目に見える不確実性は、同盟関係についても微妙な検討を必要とし、インド太平洋における米国の態勢を複雑なものにしている。アメリカの軍事的庇護に大きく依存することを習慣としてきた国々は、今や、国防費の増加や自国の軍事力の基本的な構築さえも含め、もう少し自立することを望んでいる。

 こうした脅威に対するアメリカの対応は、軍事的・外交的であるべきだ。例えば、中国のミサイル戦力に対抗するための新たなアプローチを追求しなければならない。 つまり、次世代のミサイル防衛システム、サイバー能力、そしてハイエンドの紛争地域で効果的に活動できる新興の無人システムに投資することだ。 何十年もの間、アメリカは地球上で唯一、必要な場所で戦い、目的を達成するまでやめないことができる軍隊だったからだ。 しかし、戦争の様相は変わりつつあり、米国が戦略的に優位を保ち、あるいは競争力を維持しようとするならば、それに合わせて変化しなければならない。

米国はまた、志を同じくする地域諸国との連合構築を追求する必要がある。 中国の侵略を封じ込め、地域の安定を回復するためには、既存の連合を強化し、新たなパートナーシップを築くことが必要である。 この協力には、演習への参加、情報の共有、共同防衛戦略の採用などが含まれ、最終的にはインド太平洋全域で互いの安全保障上のコンセンサスを強化・補強することになる。 クアッド(米国、日本、インド、オーストラリア)のようなプロジェクトに見られるように、その目的は、この地域での協力を深め、潜在的な競合国を思いとどまらせることにある。

中国のミサイルは、いくつかの禁じられた問題を象徴している。 米国は、海軍全能の文化から自らを解き放ち、世界の軍事的現実をありのままに見る必要がある。 そのためには、中国の軍事力強化を懸念する他の国々とワシントンの戦略的関係を強化し、新たな戦略的現実に対応するために米国の軍事態勢を再編成する必要がある。

これからどうなるのか?

結局のところ、中国の広大な陸上ミサイル戦力がインド太平洋における軍事的パワーバランスを再構築した。大国間競争という多極化した世界が続く中、ワシントンはその世界の新たな現実に、効果的に対処していかなければならないだろう。 それは戦場で動き回るだけでなく、友好国を安心させ、敵を抑止する本格的な外交キャンペーンでもある。米国にとってだけでなく、世界秩序の安定にとっても、失敗した場合の代償は大きい。

 米国は変化する戦略情勢に適応し、協力の枠組みを構築することで、中国の軍事力が増大し続けても、中国が突きつける安全保障上の課題に対処し続けることができる。■



Why US Aircraft Carriers Are Now ‘Floating Coffins’ in the Pacific

By

Andrew Latham

https://nationalsecurityjournal.org/why-us-aircraft-carriers-are-now-floating-coffins-in-the-pacific/

著者について アンドリュー・レイサム博士

Andrew LathamはDefense Prioritiesの非常勤研究員で、ミネソタ州セントポールにあるマカレスター・カレッジの国際関係学および政治理論の教授である。 



2023年5月7日日曜日

対中戦で米海軍が空母を派遣すれば自殺行為だ


日本では考えたくない問題に目をつむる傾向があり、『想定外』の一言で片付けることがよくあります。台湾を巡る危険も同様で、米中の軍事衝突は避けられないとワシントンは見ているのに、ええ、そんなに深刻なの、と日本では温度差がありそうですね。さて、以下『1945』の記事ですが、まるで戦前の大艦巨砲主義の繰り返しで空母ありきの米海軍が潜水艦重視に切り替える必要があるとの主張ですが、潜水艦は年間2隻建造がやっとの状況で、一夜にして増えるというわけではありません。中国の戦略思考が米国の戦術思考を上回っている気がします。

 

DF-26中国の砂漠で模擬攻撃を受けるアメリカ海軍の航空母艦のイメージ図。

 

ンド太平洋における中国の脅威に対抗し、空母で対応する標準的な米軍の計画は愚かとしか言いようがない.

 

空母の何が問題なのか

台湾をめぐる中国との紛争は、ますます可能性が高まっている。

 

アメリカは地政学的、道徳的な理由から台湾の独立に(少なくとも書類上で)コミットしている。一方、中国共産党は、地政学的な理由だけでなく、イデオロギーの理由からも、台湾は中国の一部だとする主張に執着している。

 

時間が経つにつれてワシントンが弱体化すると北京は考えている。ワシントンは、中国が強くなった今、衝突の危険を冒すしかないと考えている。

 

台湾をめぐり中国と戦争になれば、アメリカ海軍は中国に対抗する槍の先端になる。

 

中国にとっては、人民解放軍海軍(PLAN)が侵攻の先頭に立ち、台湾海峡を越えて中国軍を台湾に送り込むだろう。また、アメリカの台湾防衛には、アメリカ空軍とアメリカ海兵隊が欠かせない。これが、オバマ時代の「エアシーバトル」構想の本質だった。

 

中国封じ込めには潜水艦を優先すべきだ

米国が台湾をめぐり中国と直接戦争するリスクを冒さないとしても、ワシントンが採用する可能性のある別の戦略として、「オフショア・コントロール」がある。これは10年前から浮上しているコンセプトだ。中国は膨大な量の重要物資を輸入しなければならないため(そして中国経済の多くが輸出主導型であるため)、ワシントンは海軍力を使いPLANの手が届かない主要航路を封鎖できると考えている。

 

中国経済の締め付けを意図した封鎖を実施することで、ワシントンの政策立案者は、中国の指導部は経済を動かし続けなければならないので、台湾侵攻を遅らせたり、止めたりすることができると考えている。

 

封鎖は中国経済の健全性を損なう。しかし、国際法上で封鎖は戦争行為となる。中国は長年にわたり、太平洋や南シナ海、東シナ海など、自国の領海と主張する地域で、米海軍に対抗する能力を高めてきた。

 

具体的には、北京はDF-21Dミサイルの大規模な部隊を構築し、南シナ海の人工島に代表される前方展開位置に配備している。この兵器は、メディアでは「空母キラー」と呼ばれ、不吉な存在となっている。これは、アメリカの巨大空母を追跡し、破壊するため特別に設計された装備だ。

 

北京は、航空母艦がアメリカ海軍の基幹だと知っている。空母は兵力投射の究極の形だ。

 

都市といってよい浮遊飛行場は、残念ながら、中国の空母キラーミサイルへの防御力は低い。乗組員の数や、建造と維持にかかる費用を考えると、巨大艦を1隻でも失えば、アメリカの動きが止まること中国は理解している。

 

中国は、台湾侵攻シナリオで米国の軍事支援が遅れれば、中国の侵攻軍が台湾の防衛を破り、台湾併合を完了できると考えている。

 

このため、インド太平洋における中国の脅威に対して、空母で対応する米軍の標準的な計画は愚かなのである。

 

第二次世界大戦の海戦が、当初の主役想定の戦艦ではなく、空母に支配されたように、中国との海戦が空母により定義されることはないだろう。代わりに、潜水艦が海戦をリードすることになるだろう。

 

というのも、米国は、中国との戦争を戦いながら、世界のその他地域での義務を果たすだけの潜水艦を保有していないからだ。

 

米海軍は潜水艦を最優先させるべき

海軍には潜水艦を優先する再編成の動きはない。これは前回の戦間期における戦艦と空母の論争でも起こっていた。当時、海軍はフラットトップよりも戦艦を好んだ。

 

当時の海軍の文化もあり、空母は偶然の産物と思われていたためでもある。日本軍の真珠湾攻撃が起こり、戦艦の大部分を失い初めて、アメリカは残された空母を優先させた。

 

同様に、中国との戦闘で1隻でも空母を失うまで、潜水艦を優先することはないだろう。

 

戦略的に深刻な問題は、中国の台湾侵攻に対応すべく配備した空母を中国のDF-21に沈められる可能性に気づき、手を止め、あるいは手を引くかもしれない事態だ。

 

アメリカの防衛態勢を根本的に変えるべき時だ。インド太平洋では、海軍は潜水艦を最前線に据えるための効果的な戦略を開発するべきだ。インド太平洋に配備された潜水艦は、台湾海峡を通過する侵攻部隊に壊滅的な攻撃を仕掛けることができる。必要であれば、中国本土の攻撃も可能である。

 

潜水艦は、中国艦隊の動きを秘密裏に監視するために使用することができる。さらに、潜水艦は台湾の守備隊に少人数の兵員や武器の補給を密かに上陸させることができる。さらに、潜水艦は最終的には無人偵察機の発射装備に転用することもでき、台湾防衛で重要な戦力増強装置として機能する。

 

空母が海戦のリーダーであった時代は、少なくともインド太平洋地域では終わりを迎えた。中国と戦争に突入する可能性がある以上、「サイレント・サービス」がその役割を果たさなければならない。


Sending U.S. Navy Aircraft Carriers To Fight China Is Suicide

By Brandon Weichert

 

https://www.19fortyfive.com/2023/05/sending-u-s-navy-aircraft-carriers-to-fight-china-is-suicide/


WRITTEN BBrandon Weichert

Brandon J. Weichert is a former Congressional staffer and geopolitical analyst who recently became a writer for 19FortyFive.com. Weichert is a contributor at The Washington Times, as well as a contributing editor at American Greatness and the Asia Times. He is the author of Winning Space: How America Remains a Superpower (Republic Book Publishers), The Shadow War: Iran’s Quest for Supremacy (March 28), and Biohacked: China’s Race to Control Life (May 16). Weichert can be followed via Twitter @WeTheBrandon.



 

2019年1月29日火曜日

ロシアはロボット核魚雷で空母を狙うのか、津波を発生させるのか、真意が読めない

Could Russia's New "Nuclear Torpedo" Sink a U.S. Navy Aircraft Carrier? ロシアは新型「核魚雷」で米海軍空母をねらうのか

Whether Poseidon adds much to Russia’s strategic nuclear forces is doubtful. No less is doubtful is Poseidon the Carrier-Killer. ポセイドンの出現でロシア核戦力が増強されるか疑わしいし、空母キラーなのかも怪しい

シアがポセイドン熱核魚雷の海中テストを開始している。

ポセイドンは全長80フィートの原子力動力潜水ロボットで水中ICBMといってよい。数千マイルを自律運行し敵の港湾都市外で爆発し津波を発生させ都市を破壊するのが目的だ。

「敵が偵察監視体制で防衛していても海中をポセイドン無人潜水機は問題なく接近できる」とロシア国防関係者がTASS通信に語っている。
同上筋は「原子炉を本体内に搭載するが今は実験段階であり本格運用想定のテストではない」とも述べている。

TASS記事ではポセイドン(インターネット投票でロシア国防省が選定)は2メガトン弾頭を搭載するとあり、都市破壊には十分以上だ。だがそもそもなぜロシアが米都市破壊に水中無人機に核弾頭をつけるのか。通常のICBMなら30分で飛翔できるのに時速100マイルと言われる速度をわざわざ選んだのか。

ロシアの話を総合するとポセイドンは報復兵器で米国がロシアICBM数百発の核攻撃をミサイル防衛で無効にし第一次攻撃を仕掛けた後を想定しているようだ。だが米国がロシアICBM500発をことごとく迎撃するとは考えにくい中で、目的地に到達するのに何週間もかかる運搬システムではとても抑止手段とは思えない。

興味をそそられるのはポセイドンを米海軍の空母相手に投入する可能性だ。高速核搭載無人機は米国の対潜防衛能力でも排除は困難だ。2018年3月演説でロシア大統領ウラジミール・プーチンは「大深度まで潜り、大陸間を潜水艦速度の数倍で移動する最新鋭魚雷ならびにあらゆる種類の超高速水上艦艇がある。音を立てず制御性が高く敵に対して弱点が見当たらない存在だ。これら新兵器を阻止する手段は世界に存在しない」と述べていた。

プーチンからはポセイドンの「原子力動力部分は原子力潜水艦の原子炉の数百分の一程度の大きさしかないが戦闘モードで出力は数倍になり最高で200倍の速度を出せる出力重量比が今までにないレベル」とも述べていた。

ロシアの原子炉設計がそこまで進歩しているのかは別として米空母の近くで核弾頭を点火するのに大型ロボット潜水艦が必要なのか(ポセイドンは高価なため通常弾頭搭載はありえないはずだ)。空母撃沈が目的なら単純に極超音速ミサイルに通常弾頭で飽和攻撃すればよいのではないか。マッハ5級のキンザルがある。ロシアには大量のミサイル、弾薬、航空機があり米艦をねらえるはずだ。

ポセイドンの出現でロシアの戦略核戦力が改善されるか疑問だし、ポセイドンが空母キラーなのかも疑わしく思えてくる。

Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.

ではその実態はなにをねらっているのでしょうか。核動力巡航ミサイルについてもロシアは豪語しながら実験に失敗しています。核汚染が自国内だからよかったものの、弾頭による被害以外に敵地を核汚染することものねらいといわれ、一体どこからこうした不愉快な装備の発想が生まれてくるのか、ロシア人への不信が高まります。

2018年2月4日日曜日

★空母キラーへ対抗し中国の想定を崩すF-35B、中国が日本の同機運用に反撥する理由がよくわかります。



The F-35 can make China's carrier killer missiles 'irrelevant’

このF-35で中国の空母キラーは「無意味」になる




米海兵隊F-35BライトニングII(海兵隊戦闘攻撃飛行隊VMFA-121所属)が垂直着陸を岩国海兵隊航空基地で行っている。 Nov. 15 2017. (U.S. Marine Corps photo by Cpl. Carlos Jimenez)
Alex Lockie Business InsiderFeb. 02, 05:30 PM


国が南シナ海で軍事拠点化を進め、米国排除の影響圏を広げる中、米海兵隊はバブル突破の切り札としてF-35Bの戦力化を進めている。
人民解放軍ロケット軍がいわゆる空母キラーミサイル多数を保有していると判明しており、最大800マイル遠方の艦船を狙えると評価されている。
米海軍で最長の有効距離を有する装備が空母だが約550マイルが有効半径であり中国は理論的には米国を南シナ海から締め出すことができるわけだ。
ただし理論や紙の上の前提で米海軍を実戦で破ることは不可能だ。
接近阻止領域拒否A2AD戦略を進める中国は米軍機は空母あるいは陸上基地から発進する前提だが、F-35Bにこの前提がきかない。
「F-35Bは文字通りあらゆる場所から飛ばせる」と海兵隊中佐(退役)デイヴィッド・バークは述べる。「中国のミサイル攻撃で作戦基地が使えなくなれば、F-35Bの出番だろう」
離陸に数百フィートあれば十分で着陸に場所を選ばないF-35Bで海兵隊は大規模で狙われやすい基地から自由になる。

中国が空母を狙うのなら、米国は空母を使わなければいい

海兵隊はこの作戦構想を太平洋で訓練中で、2018年1月にF-35Bをスロープ状の場所に着陸させ、どこにでも着陸できる能力を実証した。
昨年を通じF-35B乗員は「ホットローディング」「ホット燃料補給」を訓練し、F-35の再装備をあたかもNASCARのピットストップのように迅速に行えるよう努めている
地上要員がまだポンプで燃料を補給中のF-35Bに駆け付け兵装を装填した。最小限のサポート環境でも即席の拠点でも可能と実証し、中国のミサイルの標的になりそうもない場所で運用可能と実証した。F-35Bは離陸していった。
「平らな場所で600フィートあれば着陸できる」とバークはF-35BをA-10と比較して述べた。
空母搭載のF/A-18部隊を中国が食い止めても海兵隊が小型空母のUSSワスプのような艦や大型ヘリコプターでF-35B運用を実施できることになる。V-22オスプレイやCH-53の運搬力を活用して海兵隊は中国のA2ADバブル内に臨時基地を構築してしまうだろう。
そうした前線基地からステルスF-35Bは脅威を除去し、バブルに穴をあける。その間大型空母は遠方に残る。
「戦闘を平面で見ている限り理解は困難」と元F-35戦闘機隊司令バークは述べ、A2ADに詳しい。「ボクシングでは腕が長いだけでは勝てない」

F-35Bの太平洋展開は最優先で進める

米国がF-35B性能に信頼を置くことで太平洋の力のバランスが影響を受けているのは明らかで装備の配備状況を見ればわかる。日本が最初の配備先になった。
北朝鮮と緊張高まる中でF-35B運用可能な空母が日本を母港とする意義は大きい。
「第五世代戦闘機が初めて艦上運用され緊張高まる地区に展開するのは地政学的リスク、緊張を伴う」とバークは述べる。
「第五世代機が太平洋に展開する意義は言葉でいいつくせないほど大きい。誰も想定しなかった能力を提供してくれるはずだ」■


やはりアメリカの軍事力は攻撃を旨としていますね。南シナ海で米軍が拠点を占拠する作戦もありうるということですか。中国が日本のF-35B運用構想を早くも警戒するのはよく理解できますね。それだけ抑止効果が高いということにもなります。

2017年12月28日木曜日

米海軍の中国空母攻撃策と中国の空母キラーは実戦で効果を上げられるのか

 

This Is the Navy's Master Plan to Kill China's Aircraft Carriers

これが中国空母を沈めるための米海軍マスタープランだ
December 15, 2017

国は「空母キラー」を延々と喧伝するつもりなのか。とくにDF-21D、DF-26の各弾道対艦ミサイル(ASBM)を人民解放軍(PLA)は接近阻止領域拒否(A2/AD)防衛体制の要として米海軍の原子力空母(CVN)を狙うとしている。
 中国は有力な聴衆を確保している。ペンタゴンで中国軍事力予測を延々と作業する一派が中国軍事力評価年報であたかも事実のようにPLAがDF-21Dで中国沿岸から900カイリ先で「空母含む水上艦攻撃が可能」と書いている。
 背筋が寒くなる。だが米海軍にも空母キラーがある。正確に言えば艦船キラーだ。空母を沈めたり機能喪失するのが可能なら小型艦でも同じ結果を得られる。冷戦後の平穏な時代は終わり対艦兵器の増備、性能向上、威力は着々と進んでいる。どちらの側の空母キラーが勝利を収めるかは戦闘がどこで発生するかで変わる。
 空母キラーのイメージが西側で強烈なのは理解できる。中国ロケット部隊が米海軍の誇りを沈めればアジア域内の同盟国を助ける米国の狙いも沈む。PLAが世界史に残る戦勝記録を艦船や航空機をまったく使わずに達成すればもっと悪いの。ASBM発射キーを回せばそれですべて、というわけである。
 そうかもしれない。射程距離など技術詳細にこだわる必要がどこにあるのか。まず、DF-21Dの900マイルと言われる射程距離は空母艦載機の行動半径を上回る。空母部隊はこのためアジアの戦場に到着しても攻撃を受けてしまう。また北京軍事パレードでお披露目されたDF-26は射程が1,800マイルから2,500マイルに伸びたといわれる。
 技術が進歩すればPLAの弾道ミサイルは米国や同盟国の水上艦艇をアジアの第二列島線以内どこでも狙るようになる。DF-26が言われるとおりなら列島線以遠にもASBMが届くことになる。
グアム東方面を航行中の艦船を中国沿岸から攻撃するのはグリーンランド東方を巡行する艦船をワシントンDCのミサイル陣地で攻撃するようなものだ。そうなれば空母部隊がグアムに向けてハワイや米西海岸から向かうこと自体が危険になり、グアム、日本他西太平洋各地の海上交通はミサイル攻撃の影に包まれる。
 だがPLAがDF-21Dを外洋に向けた試射をしていない事実に注目だ。配備5年以上で一回も発射していない。DF-26に至っては戦闘想定の発射もない。平時で完成度が低い兵器は有事には大きな失望の種となる。
 それでも中国技術陣が本当にASBMを実戦化していれば有効な装備になるだろう。米軍は中国ASBMへの対抗手段があると豪語している。本当にそうだろうか。条約に縛られて米国はDF-21DやDF-26に匹敵する中距離弾道ミサイルの開発はできない。条約を破棄しても艦船攻撃用ミサイルを一から開発すれば装備展開まで数十年かかるだろう。
 とはいえ米海軍に対策がないわけではない。では米海軍は敵空母を戦闘時にどのように攻撃するつもりなのだろうか。
 筆者はニューポートの海軍大学校でその答えをこう述べている。場合に依存する。
 まず対戦場所に依存する。空母まで投入する艦隊対決は広大な海域で発生する。当然中国本土から離れてASBMの有効射程からも外れて、巡航ミサイル、攻撃機など不沈空母中国からの運用はできない。
 これは艦隊同士の対決の場合で火力、勇気、戦術、活力が等しい意味を持つ。このうち最後の要素でPLA指揮官が地上配備兵装を投入してくる。だが同時に米海軍も同盟国海軍部隊とともに対決するはずで、日本、韓国、オーストラリアが近海域で戦闘に加わる。また中国と同様に同盟各国が陸上装備で海軍兵力を補助するはずだ。
端的に言って両陣営の目指す戦術領域が食い違っている。
潜水艦戦が米国の目指す外洋での戦闘で重要になる。原子力推進攻撃潜水艦(SSN)の米ヴァージニア級、ロサンジェルス級は外洋の中心で海上交通を遮断する。あるいはA2/AD防衛体制を潜り抜けて敵艦を襲うだろう。その対象に空母も当然入る。
 SSNが米海軍作戦で奮闘するだろう。このため議会がSSN戦力規模を現在の53隻から2029年に41隻に縮小するの許したのは明らかな誤りだ。23パーセント戦力減となれば中国が原子力、通常型双方で増強している中(2020年に78隻)さらにロシアも潜水艦部隊を強化する中で好対照だ。
米潜水艦部隊は空母キラーになる。現状ではPLA海軍には空母は一隻しかない。旧ソ連の空母を改装した遼寧で、今後も練習空母のままだろう。遼寧を改良した二号艦の建造が続いている。
中国が二番艦を完成させれば初の国産空母になり、ちょうどニューポートニューズシップビルディングが米国初の超大型空母USSフォレスタルを完成させたのと同じ意味が生まれる。フォレスタルも通常動力で遼寧とほぼ同じ大きさだ。だがフォレスタル建造には三年しかかかっていない。
 PLA海軍が空母任務部隊の海上運用で知見を得て進歩したとしよう。その場合、新造空母は円滑に艦隊運用に移され、中国の外洋艦隊に加わる。仮定の外洋での衝突は2020年ごろに発生する想定だ。
 2020年、空母航空戦力は今と同様に米海軍の空母キラーだ。米国の原子力空母CVNは85機を搭載する。将来登場する中国空母の搭載機数予測はばらつくがここでは多めの固定翼機、ヘリコプターあわせて50機としておく。つまり控えめに言っても米CVNはPLA海軍空母より70パーセント強力だと言える。
また同様に米中の搭載機材でも米側の機体の方が中国機より強力だ。将来のPLA海軍空母も遼寧と同じスキージャンプ発進方式になるようだ。この方式では機体重量が制限されるため料や兵装の搭載量も限られ中国機は発艦にも時間がかかる。
 だが米CVNは重装備の戦闘攻撃機を蒸気あるいは電磁式カタパルトで発進させる。燃料を多く詰めれば航続距離も飛行時間も長くなる。
 例としてF-18E/Fスーパーホーネット戦闘攻撃機は400カイリ先を攻撃目標とし、兵装投下後はさらに長く飛行可能だ。中国のJ-15艦載機の宣伝される飛行距離と一見大差がないが展開機数が多いため有利になるのは米側だ。
さらに2020年までに開発中の対艦兵器が実戦化され米装備の一部となるだろう。現在の米海軍の主要対艦兵器は1970年代のハープーン巡航ミサイルのみで射程は60マイル超だ。これに対し最新のPLA海軍ミサイルのYJ-18は290カイリを誇る。
 これに対し米側兵器開発部門は射程距離の不足を補おうと懸命になっている。ハープーンのメーカーであるボーイングは射程を倍増させる。ペンタゴンの戦略戦力室はSM-6艦対空ミサイルを対艦攻撃ミッションに転用し射程範囲を二倍三倍に伸ばす。米海軍はトマホーク巡航ミサイルの対艦型を試射し、冷戦時の長距離攻撃能力を復活させようとしている。新型長距離対艦ミサイルが開発中だ。
 では米海軍は新兵器をどう活用するだろうか。「分散威力」構想で海軍は火力を艦隊の各艦から発揮させて目標に集中させるとしている。つまり艦艇多数に対艦ミサイルを搭載し、さらに新技術の電磁レイルガンや艦載レーザーを展開しようとしている。
米海軍は空母キラー兵器を一種類に限定するつもりはない。多数を搭載する。潜水艦、航空作戦を組合わせ水上戦は刷新されて米海軍は大洋上での交戦力を有効に発揮するだろう。これが2020年までに実現する。問題は大洋上での米中海軍対決が一番可能性が低いシナリオになることだ。太平洋の真ん中で対決することに意味があるのか。PLA海軍が沿岸戦力の範囲外に出かけていけば自ら優位性を捨てることになる。
 PLAの接近阻止装備が有効な範囲で戦闘が発生する可能性が高い。列島線の範囲こそ中国が最大の関心を示す場所だ。航行の自由を保障し、アジア同盟国の安全保障の後ろ盾たる米国も海上強国としての地位を守ろうとの決意は固い。米中の論争が行き詰まれば海空での武力衝突の発生はありうる。
 実行して極端な結果になれば大変なことになる。アジア本体近くまで米軍が展開すればA2/ADの防衛体制の強固な部分を横断する機会が増える。開戦初日から空母キラーASBMが西太平洋に次々に発射されるはずで戦域内の米艦船や西進中の部隊に浴びせられる。
 沖合の警戒ラインだけでは足りず、沿海部にも対艦兵器が動員されるだろう。ASBMだけの場合や巡航ミサイルとミサイル搭載機の組み合せが中国沿海部に出現する。原子力空母は巨大と言っても滑走路としては小さい存在で、陸上基地の航空機やミサイル母機と対決することにになる。A2/ADは米艦長には実に嫌になる戦術作戦上の難題になるだろう。
 PLA海軍は太平洋の西側に留まる限りは太平洋の真ん中やインド洋あるいはもっと遠隔地にいるよりも安全でいられる。簡単に言うとPLA海軍とは現代版の要塞艦隊fortress fleetであり、沿岸配備による防衛網内にとどまる限り安全だ。艦の火力に加え援軍が期待できるので戦力で優勢な敵軍に対抗できる。
 ただし要塞艦隊が外洋に出れば悲惨な運命に直面することが多い。防衛の傘がなくなるからだ。本国近くで沿岸の火力支援が得られる範囲で機能を発揮する。中国の狙いははこれだ。
 歴史を概観すれば要塞艦隊構想のはじまりは地味なものだったとわかる。海洋権力を研究したアルフレッド・セイヤー・マハンがこのことばでロシア海軍指揮官が要塞砲の射程内にとどまり優勢な敵から自らを守ったことを指した。艦隊は要塞の前衛部隊になり、砲門数での不利を要塞の砲兵部隊で補った。
要塞艦隊の記述をするマハンの頭の中には旅順港があり、ロシア戦隊が母港にしていたが日露戦争(1904-1905年)で東郷平八郎提督率いる帝国日本海軍(IJN)の連合艦隊と対決を避け港内に留まり要塞砲の下で安全を確保していた。
 防備隊の砲火の範囲内では旅順港戦隊は安全だったが逆に戦果はほとんど上げていない。東郷司令官はロシア側が1904年8月に外洋で戦闘を挑みこれを簡単に殲滅した。おなじことが1905年5月に発生し、連合艦隊はバルチック艦隊と対馬海峡で対決したのだった。
 ロシア艦隊はIJN部隊を数の上で劣勢にしていた。だがその時に旅順港砲兵隊が数百マイル先から命中させられていたらどうなっていたか。ここからマハンの要塞艦隊の論法が拡大した。長距離支援が有効ならロシア艦隊が勝利をおさめていたかもしれない。劣勢な側でも勝てるのだ。
 そのまま今日に当てはまるものではない。要塞中国には航空基地が各地にあり移動式対艦兵器で数百マイル先の海上を狙える。それでも外洋では米海軍が優勢だ。沿岸戦力の増派を受けられない場所で艦隊対艦隊の交戦なら米国に有利だが、あくまでも仮説であり両国海軍が開かれた海域ではなく閉じられたアジア近海で対決する可能性が高いためどちらともいえない。
 海軍は大洋での大規模海戦に最適化しているだがその発生の可能性は最も低い。では一番可能性が高く最も危険なシナリオでの勝者はどちらか。マハンの時代から相当たち空母キラー手段で要塞艦隊の有効性が明らかになりそうだ。またこの状況が中国には都合がよい。■
James Holmes is Professor of Strategy at the Naval War College and coauthor of Red Star over the Pacific.
The views voiced here are his alone.

This first appeared in 2016.