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2025年8月19日火曜日

F-35のコスト増でスイスが選択肢を検討中(Aviation Week) —トランプ関税でスイスは30%ですが、F-35交渉にも微妙な感情を呼んでいることは間違いないでしょう。言い値で買ってしまう日本はすごいとしかいいようがないです

 



F-35

レジット:トニー・オズボーン/AWST

イス政府は、ロッキード・マーティンの F-35 ジョイントストライクファイターの調達について、米国に追加資金の要求の撤回を認めさせることができなかったため、さまざまな選択肢を検討するよう国防省に指示した。

スイスが検討する選択肢の中には、購入機数の削減も含まれる。

スイス国防・市民保護・スポーツ省(DDPS)の調達担当者は、ベルンが 2022 年 9 月に 36 機の F-35A 航空機を 60 億 3500 万スイスフラン(62 億 5000 万ドル)の固定価格で購入することを確保したと主張し、数カ月にわたってワシントンと交渉を続けてきました。

米国は、固定価格契約を否定し、F-35の生産に伴う「原材料およびエネルギー価格の急騰」を補う追加資金をスイス政府に要求している。スイス当局者によると、この増加額は 13 億スイスフラン(16 億米ドル)にも上る可能性があるが、調達総額を「正確に計算することはできない」としている。スイス政府によると、夏に行われた協議では、「米国は立場を譲歩するつもりはない」ことが明らかになった。

この問題は、DDPS大臣のマルティン・フィスターと米国国防長官のピート・ヘグセスとの会談でも取り上げられたが、結局、解決には至らなかった。

スイス政府は F-35A の購入を継続すると表明しているが、DDPS 当局者に対して「各種選択肢について検討を強化し、11月までに報告するよう」要請した。特に、DDPS 内の作業部会(空軍司令官に就任予定のクリスチャン・オップリガー少将が議長)は、「当時の想定を批判的に検証し、安全保障および財政政策の状況を考慮して、防空に関する装備目標を再評価する」ことになっている。

1つの選択肢は、スイスが購入する機数を減らすことである。もう 1 つは、ロッキード・マーティンとの相殺取引で追加費用を一部補填することである、とフィスター大臣は発表後の記者会見で述べた。

スイスは新たな状況を受け入れなければならない、とフィスター大臣は述べた。「追加費用に対処する方法を見つけなければならない」。

8月13日に次のステップを発表するにあたり、DDPSは、スイスと米国の法律事務所が作成した一連の文書も公表した。これらの文書はいずれも、米国の外国軍事販売に関する契約は固定価格であると主張している。スイスの法律事務所 Homburger は、米国政府は F-35A を、スイスに拘束力を持って提示した価格と同じ固定価格で調達していると述べている。同事務所の立場文書には、米国政府はスイス向けに購入したF-35Aを同じ固定価格で再販売すると記載されている。米国拠点のアーノルド・アンド・ポーターの報告書では、F-35Aの契約文書に「航空機は明示された固定価格で提供される」と定める特別条項が含まれていると指摘している。

F-35の価格問題と、スイスに課された39%関税を巡る紛争は関連していないものの、両問題の混同は、F-35調達の反対派からプログラム中止を求める圧力が強まる可能性が高い。

既に左派議員がそのような措置を提案している。

スイス政府の閣僚は、米国政府とのF-35契約を解除した場合、特に2032年にボーイングF/A-18戦闘機の退役により、内陸国であるスイスが自国の空域と国民の安全を保証できなくなるなど、重大な影響が生じると述べている。

さらに古いノースロップ F-5 タイガーは、2027 年末までに退役することがすでに決定済みだ。

スイスは、F-35を評価した結果、その性能、製品サポート、国際協力、コストの面でスイスに最も適していると判断し、この機種を採用した。この機種は、フランスのダッソー・ラファール、ユーロファイター・タイフーン、F/A-18E/F スーパーホーネットなどの競合機種を凌駕した。

しかし、この決定は物議を醸している。2020年9月に行われた新戦闘機の購入に関する国民投票は、50.1% の僅差で可決された。F-35 の選択は、調達中止を求めるキャンペーンを引き起こしたが、この運動は必要な署名数を達成しなかったと政府が発表したため、運動は勢いを失った経緯がある。■


Switzerland Mulls Options Over F-35 Cost Increase

Tony Osborne August 13, 2025

https://aviationweek.com/defense/budget-policy-operations/switzerland-mulls-options-over-f-35-cost-increase

トニー・オズボーン

ロンドンを拠点とするトニーは、欧州の防衛プログラムを担当しています。2012年11月に Aviation Week に入社する以前は、Shephard Media Group で Rotorhub 誌および Defence Helicopter 誌の副編集長を務めていました。

2024年5月30日木曜日

スイスへのF-35導入で一軒のホテルに米国が懸念:F-35基地近くでの中国のスパイ活動の可能性。米国並みの保安法制がスイスにないことも懸念の理由

 


ロシアや中国を相手の防諜活動への取り組み方の違いのため、米国が懸念を示すのは当然とはいえ、スイスにはスイスの言い分があるのでしょうが、やはり西側全体でみると標準化は避けて通れないのでしょう。かくいう日本にもスパイ防止法がないのは皆さんご承知のとおりです。The Aviationistの記事からお送りします。


Swiss F-35 Chinese spying


The insets show where Hotel Rössli, in picturesque Unterbach, is located. (Image created by The Aviationist, using Google Maps, Hotel Rössli and USAF images)



スイスのウンターバッハにある100年以上の歴史を持つホテルが、スイス空軍のF-35A戦闘機の拠点となるマイリンゲン飛行場に近いことで、アメリカ諜報機関が懸念している

アルプスのウンターバッハ村にある築100年のログハウス、ホテル・レッスリは、雪を頂く山々や近くの滝の息を呑むような眺めを提供している。しかし、アメリカの諜報機関が注目したのは、ホテルの裏側からの眺めだ。わずか100メートル離れたマイリンゲン飛行場には、間もなくスイス空軍のF-35が駐機する。


This map shows where the Hotel is located compared to Meiringen runway (Image credit: Google Maps)


ベルナーオーバーラントのアルプス山脈に挟まれた標高570メートルに位置するマイリンゲン飛行場は、航空ファンに非常に有名な空港だ。近未来的な管制塔と、メイン滑走路脇の大きなエプロンに駐機しているヘリコプターがなければ、その存在に気づくことすら難しいだろう。

空港は、滑走路や誘導路への侵入を防ぐため飛行中に作動する踏切システムにがあり、時にはほとんど存在しないフェンスに囲まれている。実際、地元の道路は空港を北から南へ、東から西へと横断している。滑走路の横断は、航空機が離陸する数分前まで、信号で規制されている。基地は一種の大きな "オープンスペース "であり、地元に駐機している航空機はマウンテン・シェルター内に、整備用の格納庫はメインストリップ沿いの近代的な建物内にある。

滑走路の敷居や誘導路の近くを自由に歩いて、好きなだけ写真を撮ることができる。

要するに、この空軍基地は航空監視員たちのパラダイスであり、アメリカ諜報機関にとっては悪夢となる予定なのだ。

マイリンゲンで航空機にどれだけ近づくことができるかを示す写真(著者)

スパイ武勇伝

ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、2018年から中国の王一族が所有するホテル・レッスリが昨年、スイス連邦警察の家宅捜索を受けた。米英の国家安全保障当局は、このホテルの絵に描いたようなファサードが、北京の諜報機関にF-35に関する情報収集の絶好の場所を提供したと主張した。

中国の諜報機関やロシアの諜報機関が第5世代航空機のデータ取得に熱心であることは周知の事実だが、ホテル・レッスリが北京に特権的なスパイ拠点を提供するために購入されたかどうかは定かではない。

F-35に対するスイスの関心が高まるにつれ、アメリカの情報当局者とスイスの外交官は、在ジュネーブ外交部を隠れ蓑に活動する中国の諜報員がF-35の情報を収集しようとしていると繰り返し警告した。バーゼル大学の中国専門家で北京語を話すラルフ・ウェーバーは、スイス連邦情報局には中国を専門とするスタッフが5人しかいないと指摘した。「スイスと中国の政策は、基本的に中国を刺激しないことを目的としています」と彼は付け加えた。

最終的にスイスは2022年、F-35に60億スイスフラン(61億8000万ユーロ)を支出することを約束した。しかし、米政府関係者は、スイスが飛行場周辺の安全保障に十分に取り組んでいないと感じている。

王夫妻は、スパイ活動にホテルを利用することは否定し、単なる旅行者の施設だと主張したが、欧米の諜報機関が懸念する理由はいくつかあった。王夫妻はスイスの食習慣に不慣れで、現地の労働力は高コストであるため、休暇のピークシーズンを含め、頻繁に中国に帰国していた。ホテルの経営が悪化し、中国から新たな労働者がやってきたが、その中には滞在許可証のない者もいた。

王一家の経歴にも疑問があり、王仁は外交官の息子としてドイツとスイスで育ったと主張している。

米政府関係者は、2017年の中国の国家安全保障法に基づき、北京から要請があれば王一家は情報収集に協力せざるを得ないと主張している。

証拠なし

米国の懸念にもかかわらず、スイスの情報当局はスパイ活動の具体的な証拠を発見しなかった。警察の手入れと軽微な違反に対する罰金の後、王夫妻はホテルを売りに出し中国に戻った。多くの地元住民は、この事態を過剰反応とみなした。元オーナーのカスパー・コーラーはスパイ活動の有効性自体を疑っていた。

ウンターバッハ飛行場委員会の地元卵生産農家、シモン・ツムブルンによれば、スイス人一家がこのホテルを購入しようとしたが、ローンが組めなかったという。彼は中国の家族は無実だと信じている。

昨年、オンライン広告にこのホテルが180万ドルで売りに出されていた。1月、ウンターバッハ飛行場委員会は、スイス軍という買い手が見つかったことを知った。購入条件は明らかにされていない。■

Swiss Hotel In Espionage Row: U.S. Fears Chinese Spy Plot Near F-35 Base - The Aviationist

May 17, 2024 China, F-35, Troubled Areas

DAVID CENCIOTTI


2021年7月2日金曜日

スイスがF-35Aを36機調達と決定。旧式ホーネットに代替する。これでF-35導入国は計15か国になった。

 

Senior Airman Kristine Legate/U./S. Air Force)


 

ッキード・マーティンのF-35共用打撃戦闘機が65億ドル規模のスイスの次期戦闘機選定で採用され、ユーロファイターダッソーボーイングに打ち勝った。

 

スイスはF-35A通常方式離着陸型を36機調達し、供用中のホーネット部隊と交代させる。

 

同時にペイトリオットミサイル防衛装備5基をレイセオン・テクノロジーズから導入する。フランスのユーロサムのSAMP/Tは選定に敗れた。

 

ロッキードに大きな成果となり、同社のヨーロッパでのF-35商戦には追い風となり、ユーロファイターのタイフーンには打撃となった。ダッソーのラファール、ボーイングのF/A-18E/Fスーパーホーネットも敗退した。

 

スイス連邦評議会は今回の選定結果発表でF-35の最高水準の性能と価格の妥当性に触れた。ロッキード提示案は30年の供用期間で他社より21億ドル低かった。一方でF-35の性能が評価され、支援体制等もその他競合各社より優れていた。連邦評議会はJSFの生存性に触れ、状況認識能力がセールスポイントでスイス空軍の航空警戒任務に適すと述べている。

 

「F-35Aが最高点を出した。革新的で強力なネットワーク機能で領空を防御し監視できる」(スイス連邦評議会)

 

「スイスに選定され誇らしく思い、今後同国政府、民間企業、空軍と協力しF-35を納入していく」とロッキード副社長兼F-35主管のブリジット・ローダーデイルが述べている。「今回の選定っでスイスは第15番目のF-35導入国となり、その他導入を決めたヨーロッパ諸国とともにグローバルな航空戦力、安全保障体制の強化に資することになる」

 

F-35選定を予告していたのはスイス放送企業SRFで性能評価では同機が最高点だったと先週明らかにしていた。SRFによればスイスは競合機種より多い機数を導入できるという。

 

ただし、政治的判断や産業界への考慮も選定に効果を与えている。選定過程を通じスイス政府は競合各社からスイス国防産業基盤への貢献を期待する旨明示していた。連邦評議会によればF-35はこうした波及効果でも最高点を出したという。エアバスは700ページに及ぶ経済波及効果に関する書類をスイス政府に提出し、タイフーン最終生産を同国内で行うと述べていた。

 

これに対しロッキードはF-35用キャノピー生産をスイスに提案し、整備拠点もスイス国内に設置し、ヨーロッパ各地のF-35キャノビー用に利用するとし、同時にサイバーセンター拠点もスイスに置くとした。

 

同社はF-35最終組み立てを4機分、エムメンの既存ルアグ工場で行うと甘言まで持ち出した。ただし、これを実行すると事業経費が「大きく増える」と認めている。

 

他方でボーイングはスーパーホーネットならホーネットから機種転換が容易だとし、スイスは「設置済み知的インフラ」を最高6割転用でき費用節減になると主張していた。

 

同社は今回の選定結果へ失望感を声明文で表明した。

 

「弊社としてはボーイングF/A-18ブロックIIIスーパーホーネットこそスイスに最適な選択と信じ、スイス空軍に他では得られない性能とライフサイクル価値を提供すると信じ、産業協力その他強力な支援体制を想定していました。今回の選定過程については明確な説明があるものと期待しています」

 

今回のスイスによる選定結果は米国内で順調に処理される見込みだ。F-35、F/A-18ともにスイス向け販売は2020年9月に事前承認ずみだ。■


この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmailまでご連絡ください。


Lockheed's F-35 topples competition in Swiss fighter contest The F-35 beat out the Eurofighter

 

By: Valerie Insinna