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2019年4月5日金曜日

2020年度米国防予算を読み解く:各軍の傾向と対策から見える今後の米軍の戦力構造

コメントは下にあります。

CSIS AMTI graphic
南シナ海における中国航空機、ミサイル、レーダーの有効範囲(戦略国際研究センター作成)

2020 Budget: One Half Step Towards A Great Power Strategy

2020年度国防予算は大規模戦戦略へ半歩前進

The Trump defense budget takes significant steps to move from a focus on regional conflicts and counter-insurgency to a focus on great power conflicts. But the Army, Navy Air Force and Marines clearly are struggling with this balance.

トランプ政権の国防予算は地域紛争、対戦闘員作戦重視を離れ、大国間戦重視に切り替え。四軍は執行面でバランス調整に苦慮

By MARK CANCIANon March 25, 2019 at 7:01 AM


ャナハン国防長官代行はペンタゴンの2020年度予算は2018年の国家防衛戦略構想を完全実施する「傑作」になると予告していた。傑作と呼んでいいか疑問もあるが、これまでの地域紛争や戦闘員対応から大国間衝突へ中心を移す大きな一歩を国防総省が切ったのは間違いない。
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とはいえ四軍は新方向とのバランス調整に苦労している。戦略構想が戦力整備を重視しているのは明確だが各軍は現実世界に生きているのであり、危機的状況に対応し、同盟国を安心させ、人道援助を提供しながら戦闘員他脅威に対する作戦を日夜実施している。以下今回の予算案のハイライトを各軍別に見る。

陸軍
米陸軍のFY2020戦力構成案では兵力削減目標が上位に来る。
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州軍、予備役でも兵力削減が続く。

FY 2020 goal in FY 2019 budget
FY 2020 goal in FY 2020 budget
Change
Army National Guard
343,500
336,000
-7,500
Army reserve
199,500
189,500
-10,000

削減しても戦闘部隊数は変わらず、正規軍でBCT(旅団戦闘群)は31個、州軍は27個のままだが陸軍予算書では「砲兵隊、防空、情報、工兵を増加した戦力構造」を求めている。人員減の一方で部隊数が増えると配属人員を減らした部隊の出現を意味し、陸軍が目指す充分な人員配置と逆だ。新戦略に合わせた新規部隊創設は困難で予算上も治安部隊支援用の旅団5個編成との初期構想以上の余裕はない。
陸軍の兵員削減は新戦略構想が元だ。陸軍の削減で装備近代化を実現する提案がある。オバマ政権は正規軍を450千名に削減する提案をしたが、420千名までの削減も検討していた。
ただし入隊希望者が確保できないことで削減しているのが現状だ。2018年度は定員から7,500名不足し、補充できなかった。陸軍参謀総長マーク・ミリー大将は世界規模の任務遂行に人員増が必要と主張しており、予算書でも陸軍の現状は多忙とし、179千名が140カ国に派遣されている事実をあげる。目標は500千名のままだが、実現不可能とされる。そのため必要とされる能力と現実の乖離は陸軍で当面続く。つまるところ予算と募集難で解決となるだろう。
長期的には陸軍の戦力構造は国家防衛戦略により変化していく。その一環で年間50億ドルを新装備開発に回すが、実現は2023年ないし2024年だろう。

海軍
FY2020予算では海軍は戦力構成二案の中を移行する。2016年案と現在実施中で2019年までに完成する案がある。海軍は空母中心から分散型戦力や無人装備へ重点を移すと見られ、予算はこの移行を裏付けている。
Navy photo
USS Harry Truman

2016年評価はトランプ当選直後にでてオバマ政権構想の308隻から355隻に増やし、海軍の戦力目標を350隻規模と訴えた大統領選挙当選者に合わせた。内訳は空母12隻、大型水上艦104隻(駆逐艦、巡洋艦)、揚陸艦38隻、攻撃型潜水艦66隻とした。無人艦艇は含まない。
その後二年間の分析で355隻目標達成は大幅予算増がないと困難と判明し、そのため最新の30年間建造予定では既存艦艇の供用期間延長とくにDDG-51駆逐艦を図り、建艦予算を大幅増加して実現を図るとある。これで2030年代に355隻体制が実現し、これを維持する。
2018年、2019年と続けて海軍は既存設計の艦艇建造数を増やしており、駆逐艦、潜水艦を特に増やした。将来稼動する艦艇は既存設計の改良艦となる。新型フリゲート艦を期待はずれのLCS各艦の代わりとする提案があり、強襲揚陸用のLSDは既存のサンアントニオ級LPDを発展させる。また新型巡洋艦も将来登場しそうだ。
2020年予算でこの構想に反する動きが見られる。中でも論議となっているのがUSSハリー・S・トルーマン(CVN-75)の早期退役決定だ。空母は高費用でありながら長距離精密攻撃手段に脆弱との批判が寄せられていた。中国は空母を狙い撃ちする装備DF-21長距離ミサイルを開発した。空母航空戦力のF-18、F-35の戦闘半径はF-15やA-6の半分程度しかないため脆弱性がさらに高まったと言える。
早期退役に反対するのは従来型思考の面々でその主張は空母こそ海軍戦力の中心とし、産業界も現状の仕組みを維持したいとする。今後は議会が海軍の空母構想に抵抗する動きを見せるはずだ。
艦艇建造ではいろいろな様相が見え隠れする。
  • 2020年に無人水上艦二隻を調達し、以後毎年二隻建造を続けるのは大きな変化で無人水上艦の充実になる。各艦は試験的性格もあるのでRDT&E枠で予算を確保した。30年建艦案では実地評価の対象とし無人艦艇が現実の環境で機能するか確認の上、有人艦の代替手段にするか決めるとある。
  • 2020年度予算で以前計画があったLSD後継艦LXRあるいはLPD フライトIIは消え、このため一号艦建造は2024年以降となる。単純に予算配分のためなのか不明だが、かわりに潜水艦一隻を調達しており、揚陸戦装備の整備方針が変わったことを示しているのか、高性能ながら高価格の小規模建造よりも性能は劣っても分散型威力を発揮出来る艦船の大規模建造に切り替わったのか不明だ。
  • 新型巡洋艦は予算案に盛り込まれず、先送りのようだが海軍作戦部長によれば大型水上戦闘艦の必要性に変わりない。旧式タイコンデロガ級巡洋艦は今年も海軍は改修せず退役させるとしている。
戦闘艦艇の隻数は増加し、2020年に301隻、2024年度に314隻になるのはこれ以前の年度で予算化された艦が就役するからだ。人員規模は5,100名増え340,500名(現役隊員)とし、FY2020案は354千名に増やす。海軍は艦隊規模拡大に合わせ人員拡充にも懸命に努力している。
航空機近代化も続け、以前の構想から大きな変更はない。F-35各型合計30機、F-18は24機調達し、第4第5世代機混合の戦力構造を続ける。E-2Dホークアイ6機、P-8Aポセイドン6機、CH-53K大型ヘリコプター6機、CMV-22オスプレイ空母輸送機10機を導入する。無人機には中途半端な関心のままで、MQ-4Cトライトン2機、海兵隊向けMQ-9Aプレデター3機の5機のみ調達する。ただしMQ-25はボーイングに契約交付したことで前にすすみ、試作機製作のあと本生産が続く。

海兵隊
海兵隊は部隊規模を拡大しないと数年前に決定しているが、190千名ないし200千名まで拡大する提案がある。2020年度予算では186,200名体制が186,400名になる可能性もあるのは昨年同様だ。特殊部隊が若干の人員増となるが関心は即応体制と装備近代化にある。

空軍
海軍同様に空軍も色々なメッセージを出している。数年前の戦略は明白だった。第5世代機を導入し、第四世代旧型機は増やさない、たとえ部隊規模が縮小しても、というものだった。だが問題がふたつ発生した。空軍力維持で各種の要望に答える必要が生まれたこととF-35で問題が解決しないままになっていることだ。今年はバランスの取れた解決方法に向かうようだ。
その一つが人員増の継続で4,400名増やし511千名体制にする。人員増は5年めに入り、これまで人員削減に走ったあまり即応体制に悪影響が出た反動だ。また人員削減で装備近代化を実現する方針も撤回された。空軍予算書では386飛行隊体制の実現を引き続き求めているが、予算上は反映されていない。この実現を最も強く求めたヘザー・ウィルソン長官がまもなく退任する。
バランス感覚は調達で顕著だ。F-35は年間48機に抑えるが、議会は空軍の要望に応え2019年に56機分の予算を認めていた。年間60機調達の目標に達しない。代わりにF-15EX8機を調達する。この選択で航空分野で議論が生じており、一歩後退との批判がある。だがこれは海軍同様の選択を空軍で実現するもので、第4+世代機と第5世代機の混合運用により旧型機をそのまま運用し機材不足を招く事態を回避する。F-15EXとF-35のシナジー効果もあり、F-35のみの構成にして全体戦力がマヒする事態も回避できる。
空軍は軽攻撃機構想を放棄しておらず、関心を示すものの調達には向かっていない。
MQ-9リーパー調達を12機のみとする予算は大国間戦闘では同機の性能が不足することを反映し、ブラックの世界でUAV/PRV新型機の調達が期待される。空軍は一貫し無人機運用で先導的立場にあり、今後もその地位を守る必要がある。
核兵器近代化も続ける。その内容は大部分がオバマ政権時代に立案されている。極秘B-21開発に30億ドル、地上配備戦略抑止力装備はFY2019の414百万ドルから2020年度は570百万ドルに増やす。ただし核兵器近代化には下院民主党議員が疑問を呈しており、オバマ政権で想定のなかった長距離スタンドオフ兵器に713百万ドルを計上したが先行きが不安だ。こうした装備調達の決定から戦力構造の変化に影響が出そうだ。

文民
DOD文民では人員増が大きなニュースで、「連邦政府官僚制度」に疑念を呈する政権としては異例と言える。2020年の目標は757,800名で、2019年から5,200名増となる。ペンタゴンは人員増は2020年のみではなくここ数年連続しており、文民体制の充実は即応力につながると説明する。実際に文民多数は現場で部隊を支援しており、装備保全にも従事し、ペンタゴン周辺に集まっているわけではない。一つ悪いニュースは2020年は文民給与の凍結で退官者が増えそうなことだ。

先を見通す

2020年度は前年度比4.9パーセント増となり各軍で戦力構造強化と装備近代化が可能となる。ただし民主党に根強い懐疑的態度のためこのまま持続できないかもしれない。国防体制はすでにピークに達した可能性もある。その場合、米軍の戦力構造では低成長・中程度成長の間でのトレードオフはありえず、むしろ安定を取るか縮小に向かうかの選択を迫られそうだ。■
こうやって見ると陸軍がこれから大きく変化しそうですね。むしろ縮小しつつミサイル運用などに性格が変わるのでしょう。また予算の拠出先として利用されそうです。海軍、空軍の充実は既定路線ですが、それぞれ路線変更がこれから目立ちそうですね。とくに空母中心主義がどこまで抵抗しつつ現実を受け入れるのかが注目されます。空軍では現行の無人機では中露との戦いに性能不足とし新世代機の登場が期待されます。戦力の鍵をにぎるのはずばりB-21でしょう。予算規模ではさすがにこの水準は維持できなくなってきたと感じざるを得なくなってきたのでしょうね。中国が経済減速でも国防費を伸ばしているので今後米国にとって目の上のたんこぶということで非難されるでしょうね。

2019年3月22日金曜日

F-15EX調達に警戒するロッキードと議会ロビイストの戦いが始まった

Lockheed Martin is Waging War on Boeing’s F-15EX

 ロッキード・マーティンがボーイングF-15EXに宣戦布告

A U.S. Air Force F-15C Eagle, an earlier variant of the proposed F-15EX, flies in support of Combined Joint Task Force – Operation Inherent Resolve Feb. 11, 2019.
U.S. AIR FORCE PHOTO BY STAFF SGT. CLAYTON CUPIT

  • BY MARCUS WEISGERBERGLOBAL BUSINESS EDITORREAD BIO
MARCH 15, 2019
The F-35 makers sees the Pentagon’s plans to buy new F-15s for the first time in 19 years as a threat.

F-35生産関連企業にとってペンタゴンが新規生産F-15導入を決めたのは19年間ではじめての脅威となった

F-35共用打撃戦闘機はネヴァダ上空の空戦演習で旧型機を次々に獲物にしたといわれる。その中に104対ゼロと圧倒的な実績を誇るF-15も含む。この二機種が今や熾烈なドッグファイトに向かう。ただし、ミサイルや銃は使わない。

ロッキード・マーティンF-35とボーイングF-15EXの戦いを演じるのは議会内外のロビイストでペンタゴンの2020年度予算要求が戦いの口火を切る。今後10年間で数百億ドルが手に入るかの瀬戸際だ。

今週ペンタゴンから新規製造F-15を2001年以来初めて調達するとの発表があったが、空軍トップは2週間前にどうしても必要な機材ではないと発言している。ほぼ二十年近く、空軍はいわゆる第四世代の調達はしないと公言し、ステルスの第5世代機導入を優先してきた。

今回のF-15調達は小規模で2020年に8機、2024年までに80機だ。反面F-35は2020年に78機でうち48機が空軍向けだ。

だがペンタゴンの予算関連書類から空軍はF-15を今後10年で数百機調達する構想がわかる。まず144機を冷戦時のF-15Cに交替させる。さらにF-15C/DやF-15Eの更新も視野に入れると400機になる。

これにロッキードが反応した。発表の翌日、同社幹部が第4世代機に対し「F-35の決定的な優位性」を詳細に語る文書を発出した。

ロッキードの主張は出費に見合う価値があるのか、という点にまとめられる。F-35の機体価格はまもなくF-15と同程度あるいはそれ以下になる。運航コストはF-15を下回り、より多くのミッションをこなせるとする。

ボーイングの主張:F-35は空対空任務のF-15Cの代わりになれないが、F-15EXはそのまま任務を拡張できる。パイロットに追加訓練は不要だ。兵装を大量搭載し、運用基地のインフラも改修なく使える。さらにF-15EXは多任務機材でF-15Eストライクイーグルと類似点が多い、つまり対空、対地、対艦攻撃も可能だ。

ボーイングは新規生産F-15の売り込みを10年にわたり展開し、同様の機材をサウジアラビアやカタールに売り込んだ。昨年夏から今のような調子の営業活動がはじまった。
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空軍の一部では評価されたが上層部では別だった。空軍長官ヘザー・ウィルソンは2月28日に同機は空軍の初期予算案に盛り込まれないと発言していた。

だが統合参謀本部及びペンタゴンの費用評価事業評価部門が「実際の航空戦で必要とする性能諸般」からF-15EXの調達を推奨してきたと防衛関係者が述べている。

ペンタゴンの監理官次長エレイン・マカスカーは3月12日、F-15EXを予算要求に盛り込む決定はジム・マティス前国防長官のものと明かした。

議会がF-15EXの存在意義を認めるかは不明だ。2月に全員ロッキードF-35生産あるいは配備基地とのつながりをもつ共和党上院議員5名がF-15EX導入に反対の趣旨の書簡をトランプ大統領に送りつけた。

「ここ数年にわたりDoDがF-35事業予算を減らしており重大な懸念を感じる中、議会による予算追加頼みで生産、配備、改修を進めてきたのが現状だ」と代表してジョン・コーニン上院議員(共、テキサス)が述べている。「国家安全保障戦略で掲げた目標達成にはF-35へ投資し妥当な経費負担で航空優勢戦闘機の威力を発揮し残存させる必要があり、今が一番肝要な時期だ」

F-35の2020年度予算要求は112億ドルで78機調達に加え完成機材の改修も行う。これまで議会が独自にペンタゴン要求枠を上乗せした予算修正してきた。昨年は国防総省の要求77機に16機追加した。

F-15EXでは2020年度要求に8機調達として11億ドルを計上している。予算額には生産ライン整備費用も含む。


ブルームバーグが昨年12月に8機のF-15EX調達が予算要求に入ると報じ一ヶ月してロッキードCEOのマリリン・ヒューソンがペンタゴンからF-15導入でF-35予算は減額しないと聞いていると述べている。
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「威力を実証ずみのF-35こそ国家防衛戦略の体現で、同事業は引き続きペンタゴン、各軍、議会、ホワイトハウスから強い支持をうけていく」と同社は声明文を発表していた。

ペンタゴンからはF-15EX調達でF-35導入機数が減ることはないと繰り返し発言があり、F-35の総合計調達数は2,443機だ。

「議会で全部F-35にしてくれるんならわからないことはない」とペンタゴンで戦略構想担当の統合参謀本部次長室のデイヴィッド・クラム少将がミッチェル研究所で述べている。「だが今ある財源と装備の運用費用を考えるとこの国の空軍には現案が最良の策だろう。また機能と規模を考えるとこれがベストなのでは」

「もっと財源があれば望ましい方向について真剣に議論すべきと思う。だが今ある財源からすれば正しい方向に向かっていると思う」■

2019年1月30日水曜日

米空軍のF-15X導入は実現するのか、空軍参謀総長も予算不足に苦慮

昨年末に突如入ってきた米空軍のF-15X導入構想ですが、そんなに簡単にはいかないようです。そもそも連邦政府機能が麻痺状態で2020年度予算案の検討が通常より遅れそうです。空軍参謀総長は苦慮しているようですが、思考方法を変える必要があるのではと思えます。2020年度国防予算については2月がヤマなので今後もっと話題がでてくるでしょう。



If the money is there, new and improved F-15s could be coming soon to the Air Force 予算があれば改良型F-15を空軍に即配備できるのだが

By: Jeff Martin    

159戦闘航空団の122戦闘飛行隊所属のF-15Cがゴーウェンフィールド(アイダホ)から離陸している。2018年7月27日。(U.S. Air National Guard photo by Tech. Sgt. John Winn)

空軍は予算があれば新型F-15Xを調達したいと参謀総長デイビッド・ゴールドフェイン大将がDefense Newsに27日語った。
今年中に新型F-15を導入してもロッキード・マーティンF-35の予算は流用しないとゴールドフェイン大将は述べている。
「F-35で一歩も退くことはない」とし「F-35調達は順調だし、その予算で別の戦闘機は導入しない」と述べた。
2020年度国防予算を巡る観測が増えているがペンタゴンは総額を公開していない。
当初案の総額は7,330億ドル要求だったがトランプ大統領から連邦予算削減を求められ一旦7,000億ドルになり、マティス前国防長官の肝いりで7,500億ドルに膨れ上がった。
2018年12月に空軍長官ヘザー・ウィルソンはDefense Newsに「すべての選択肢がある」と話していたが、26日にゴールドフェイン大将も空軍は予算案複数の作成で対応すると認めている。「7,300億ドル案、7,000億ドル案も作ったが7,500億ドルに落ち着いたらどうなるか」
新型機用の予算がいくらになるか直接わからないはずだが空軍としてはなんとしても調達したいとゴールドフェインは強調した。
F-15Xは改良型としてボーイングが提唱しており、新生産機体に改良型レーダー、コックピット、電子戦の各装備を搭載しミサイル搭載本数を増やしたものでカタールやサウジアラビア向けし機体を改良している。
昨年末にブルームバーグが2020年度予算で12機を12億ドルで調達する案が空軍にあると報道した。記事では州軍航空隊に配備し1980年代調達の旧式F-15Cの後継機にするとあった。
機齢こそ空軍が新型機を求める理由だ。F-15CはD型とあわせ230機程が米空軍にあるが、ゴールドフェインも各機は2030年以降の供用は無理と認めている。「機体性能は素晴らしいのだが経費の上昇ぶりもすざましくなってきた」のだという。
新造F-15調達の決定は昨年末に驚きを持って受け止められた。空軍はボーイングの営業をはねつけてきたからだ。だが26日のゴールドフェイン大将はこの決定で空軍全体で戦闘機がもっと必要との認識につながると見ている。「第四世代、第5世代が補完しあい、より良い効果が出る」
質より量なのかと問うと大将はこう答えた。「F-15C全機を若返らすつもりはない。それだけの予算もミッションの裏付けもない。F-35を導入しながらF-15C部隊を再活性化するのでは望ましい結果が生まれない」
大将は年間72機の戦闘機導入がないと将来の事態に必要とし、平均機齢を現行の28年から15年に引き下げたいという。また72機は全部F-35の想定だが予算がこれを許さないとした。
「資金が都合できれF-35を72機にしたいが支出と性能のバランスから見直す必要がある。F-15はF-35の代わりにならない。絶対だ。とはいえ機数はそろえたい」■


コメント このとおりだとすると数字あわせで比較的安価なF-15Xを「お付き合い」で調達するが本意ではないというのが空軍参謀総長の考えのようですね。そもそもステルス(今は効果があってもいつの日か効果を減じる日が来ます)万能と考えること事態に無理がある気がしますし、戦闘機の概念も今後急速に変化するはずですが、米空軍は思ったより現状維持思考のようですね。こんな調子では第六世代機の実現は無理では。