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2025年9月8日月曜日

ニュークリアエナジーナウ – 韓国の原子力輸出市場縮小など(The National Interest)

 


2025年8月22日

ニュークリアエナジーナウは、技術、外交、産業動向、地政学における最新の原子力エナジー動向を追跡します。

Focus Taiwan


台湾で原子力発電再稼働を巡る住民投票

台湾は最後の原子炉を停止し「非核化」を宣言してからわずか3か月後に、馬鞍山原子力発電所の原子炉再稼働の是非を問う投票を行う。野党が主導するこの住民投票は、電力不足・価格高騰・送電網不安定化が原子力エナジー支持を後押しする中実施される。最近の世論調査では、2050年までのネットゼロ目標達成のため原子力エナジー支持を表明する台湾人が3分の2に達した。脱原発政策への批判派は、台湾が化石燃料の95%を輸入に依存している現状が、中国の海上封鎖リスクに晒されていると主張する。トランプ米大統領が習近平国家主席から「在任中に中国が台湾を侵略しない」との確約を得たと発言したものの、北京は依然として統一政策を堅持したままで、長期的な侵略の可能性は現実的なリスクとして残っている。一方、賴清徳総統と与党・民進党は住民投票に断固反対し、原発停止を「歴史的」な節目と位置付けている。仮に可決されても住民投票の有効期間は2年間に限定され、規制上のハードルにより再稼働が遅延または無視される可能性があり、今回の投票は政策変更の保証というより、台湾の世論変化を示すシグナルとしての意味合いが強い。

結果 中央選挙委員会の集計で再稼働賛成が430万票余りと反対の150万票余りを大幅に上回ったが有権者の4分の1以上という条件を満たさなかったことから不成立に終わった


韓国の原子力輸出市場縮小

韓国の水力原子力公社(KHNP)と韓国電力公社(KEPCO)は、2025年1月にウェスティングハウス社との知的財産権紛争に関する和解が成立した結果、北米、英国、EU(チェコを除く)、ウクライナ、日本における新規原子力発電所プロジェクトへの入札資格を喪失した。これにより、これらの市場へのアクセス権はウェスティングハウスのみが保持する。ただし韓国水力原子力と韓国電力は、東南アジア・中央アジア、南米、中東、南アフリカ、北アフリカのプロジェクトには入札できる。さらに和解の一環として、韓国水力原子力は輸出プロジェクトごとに約1億4300万ドルのロイヤルティ支払い義務を負い、7億1400万ドル超のウェスティングハウス契約を保証する。この合意は既に韓国原電の欧州での存在感を再構築している:同社は新政権が国有企業の参加を停止した後にポーランドの原子力計画から撤退したほか、スウェーデン、スロベニア、オランダのプロジェクトからも撤退した。

この和解は韓国議員から「奴隷契約」であり「米国の核主権を放棄するもの」と激しい批判を浴びている。これはソウルが原子力輸出を成長産業と位置付けようとするまさにそのタイミングで起きた。結果として韓国政府は合意内容の調査を命じた。こうした背景は、多くの関係者が米韓原子力パートナーシップ強化を期待していた李在明(イ・ジェミョン)大統領の訪米を複雑化する可能性がある。韓国原子力発電公社(KHNP)の最高経営責任者(CEO)はウェスティングハウス幹部と会談し、米国・欧州プロジェクトにおける合弁事業の可能性を協議する予定だ。この動きは先進国市場における韓国のプレゼンス拡大につながる可能性がある一方、現行合意条件下では従属的立場を固定化する恐れもある。米国にとってこの合意は、トランプ大統領が2050年までに原子力エナジー容量を4倍に拡大すると公約する中で影響力を強化するものとなる。一方、韓国にとっては、米国との協力が成長を加速させるのか、それとも韓国の原子力輸出の野心を制限するのかという疑問を投げかける。

テキサス州は先進原子炉向けHALEUに注視

米国が原子力発電の拡大と核燃料サプライチェーン強化(特に先進炉向け高濃縮低濃縮ウラン:HALEUの確保)を推進する中、リック・ペリー元米国エナジーエナジー長官が共同設立したフェルミ・アメリカは、ASPアイソトープスおよびクォンタム・リープ・エナジー(QLE)と、テキサス州におけるHALEU濃縮施設建設の検討に関する合意書を締結した。提案された施設はHALEUの生産だけでなく、転換・逆転換処理、燃料集合体製造も手掛け、テキサス州を先進的核燃料の主要拠点とする可能性がある。本プロジェクトはASPがテラパワー社と締結済みの供給契約(ワイオミング州ナトリウム炉向け初燃料コア支援、2028年開始の10年間で最大150トンのHALEU供給契約を含む)を基盤としている。計画が実現すれば、テキサス施設はQLEにとって2番目のHALEU生産拠点となる。米エナジー省支援の実証プロジェクトが進む一方でHALEU供給が追いついていない現状では、このような民間事業が政策目標と実際の原子炉導入のギャップを埋める重要な役割を果たしうる。ただし成功には、コスト管理、認可取得、そして現在米国内で商業用HALEUを全く生産していない産業の規模拡大といった課題の克服が求められる。

著者について:エミリー・デイ

エミリー・デイは、地政学、原子力エナジー、グローバルセキュリティを専門とする経験豊富な研究者、ライター、編集者である。ナショナル・インタレスト誌の「エナジー・ワールド」および「テックランド」の副編集長を務めるとともに、ロングビュー・グローバル・アドバイザーズのリサーチ・アソシエイトとして、公益事業、リスク、持続可能性、技術を専門分野とするグローバルな政治・経済動向に関する洞察を提供している。以前はグローバル・セキュリティ・パートナーシップのデラ・ラッタ・エナジー・グローバル安全保障フェローを務めた。



2017年8月31日木曜日

ハリケーン被害甚大なテキサスに米軍機材多数が展開中


21世紀の軍部隊の重要な任務に災害救援人命救難活動が加わっています。今回の暴風雨による記録的な雨でテキサス南部から湾岸地区に甚大な被害が出ているようで米軍、州軍が大規模な支援を展開しています。確かに現地上空の航空管制は必要ですね。

US Military Begins Surveillance Flights Above Houston

米軍機材がヒューストン地区で上空支援活動を開始

E-3 セントリーAWACS。2014年グアム島アンダーセン空軍基地にて。空軍はE-3、海軍はP-8ポセイドン各1機をハリケーン・ハーヴェイの被害を受けたテキサス州の支援用にヒューストンに派遣中。 (U.S. Air Force photo by Lt. Col. Frederick Coleman/Released)
POSTED BY: ORIANA PAWLYK AUGUST 30, 2017

  1. ハリケーン・ハーヴェイの被害広がる中、米軍もテキサス州ヒューストン地区に偵察情報収集機含む航空機多数を派遣し救難活動を展開中だ。
  2. 海軍はP-8ポセイドン海洋哨戒偵察機、空軍はE-3早期警戒管制機を各1機派遣し、航空管制とともに洪水地区の状況把握データを第一空軍(AFNORTH北部方面隊)作戦センターに送っている。
  3. ミッションの指揮統制はティンダル空軍基地(フロリダ)の第601航空作戦センターがとる。同基地には航空救難統合調整センターも併設されている。
  4. 作戦センター隊員は24時間体制で現地当局の能力不足を埋め行方不明者の捜索救難にあたっている。
  5. AFNORTH報道官メアリー・マクヘイルによれば作戦センターはHH-60ぺイヴホーク11機、HC-130J長時間捜索救難機7機の運用を統括している。後者は給油機としても運用中。さらにセスナ数機を監視用に使っている。「MQ-1は現時点では使っていない」とマクヘイルは問い合わせに答えている。
  6. 8月30日早朝に空軍はHC-130JコンバットキングIIおよびHH-60G ぺイヴホークの乗員、支援要員を第23飛行隊をムーディ空軍基地(ジョージア)からカレッジ基地(テキサス)に移動させた。
  7. これとは別に第90救難航空団所属のぺイヴホークとHC-130P/Nコンバットキングがパトリック空軍基地(フロリダ)からフォートワースの海軍予備基地に8月28日に移動している。
  8. C-17グローブマスターIIIの2機が29日にチャールストン共用基地(ノースカロライナ)から救難物資30.6トンを搭載しアレクサンドリア国際空港(ルイジアナ)に到着している。
  9. オレゴン州軍航空隊のC-130ハーキュリーズ二機も救難活動に加わっている。
  10. アラスカ州軍からは第176飛行隊のC-130がエルメンドーフ・リチャードソン共用基地を28日に離陸し、パラシュート救難員等を運んできた。カリフォーニアの第129救難飛行隊HH-60ヘリコプターと共同作戦をする。
  11. ケンタッキー州軍航空隊の第123特殊戦術飛行隊も捜索救難に加わった。
  12. テキサス州軍は地上部隊、航空隊12千名を呼集し、その他常備部隊とともにハリケーン・ハーヴェイによる豪雨洪水の被害に対応させる。ハーヴェイは巨大ハリケーンとなりテキサス沿岸地区をまず8月25日に襲った。
  13. 犠牲者の数は増える一方で、テキサス史上最悪の自然災害になったといわれる。■