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2025年4月14日月曜日

KC-10エクステンダー・タンカーが競売に(The War Zone) ― 空中給油は将来民間企業が行う業務になっているかもしれません。日本企業は...動かないでしょうね

 KC-10 for sale 

米空軍トレイシー・ケラー曹長


モスボール保存中のKC-10の売却が開始された。民間空中給油企業はどう動くか


メリカ政府は、2024年9月に空軍が退役を完了させたKC-10エクステンダータンカー貨物機10機を売りに出している。注目すべきは、この航空機がすべて給油ブームを装着しない状態で提供されていることだ。 しかし、ブームを再搭載することは十分可能であり、また、ブームがなくてもホース・アンド・ドローグシステムを使用するオプションがあるため、現在軍用余剰タンカーを運航している民間空中給油会社にとって、同機は本当に興味深いものになるだろう。 一方、すでに運用中の民間のKC-10の予備部品供給源として、興味を引く可能性もある。

 10機のKC-10Aは現在GSAオークションのウェブサイトに掲載されている。具体的な尾翼番号は、86-0036、87-0120、83-0077、87-0122、79-1713、79-1949、86-0034、83-0081、87-0124、79-0434だ。


GSA Auctionsウェブサイトのリストの一部。 GSAオークションのスクリーンショット


 各機は現在、アリゾナ州デービスモンサン空軍基地の第309航空宇宙整備再生グループ(AMARG)の管理下にある。空軍最後のKC-10は2024年9月26日、基地上空やこの機種の歴史の中で特筆すべき場所の上空をお別れ飛行した後、処分場に運ばれた。


2020年7月13日、デービスモンサン空軍基地に着陸したニュージャージー州マクガイア・ディックス・レイクハースト統合基地の第305航空機動飛行隊からのKC-10は、基地内の第309航空宇宙整備再生グループ(AMARG)での保管プロセスを開始する。 アメリカ空軍


 空軍の広報担当者は本誌に対し、10機すべてが現在 "飛行不可能な状態 "にあることを明らかにした。「8機は2021年のGSA売却のため、エンジンが1基足りない状態」と広報官は付け加えた。「我々はエンジンを売りに出し、落札者はそれぞれのエンジンの取り外しに資金を提供した」。取り外された8基のエンジンはすべて、中央/後部の胴体ナセルではなく、主翼ナセルから取り出されたものだが、すべてのエンジンが同じ側から取り外されたのかどうか、広報担当者は明らかにできなかった。必要な機体からすべてのパワープラントを取り外すのではなく、なぜこのようにエンジンを取り外したのかも不可解である。

 KC-10は "ブームなし "で提供されるが、これはこれらの機体が最初に退役した機体の一部であり、ブームは当時現役だった機体をサポートするスペアとして使用するために取り外されたためである。KC-10の在庫は、このタイプの軍用機としてのキャリアの最後の数年間で、かなり急速に削減された。

「飛行可能状態にするためには、落札者はボーイングと協力して、ブーム・システムがあった部分を塞ぐフライ・アウェイ・キットを入手する必要がある」と空軍の広報は付け加えた。可能であれば、顧客はブームを再設置することを選択するかもしれない。


A KC-10 from Travis AFB refuels a B-52 from Edwards AFB in the skies over Southern California on May 16, 2024. Aerial Refueling is vital to long duration missions, even for the high-endurance B-52. (Air Force photo by Todd Schannuth)2024年5月16日、南カリフォーニア上空でエドワーズ基地のB-52に給油するトラ

ビス基地のKC-10。空中給油は、耐久性の高いB-52にとっても、長時間のミッションに不可欠だ。 (空軍撮影:Todd Schannuth)Todd Schannuth


 結局のところ、空軍はKC-135ストラトタンカー・ファミリーを補完する「重タンカー」として、DC-10-30CF民間トライジェット機体をベースとしたKC-10を取得した。DC-10の3つの主翼燃料タンクに加え、貨物床下に3つの大型燃料タンクを搭載したエクステンダーは、KC-135のほぼ2倍、356,000ポンド以上の航空燃料を収容できた。

 燃料の積み下ろしは主にブーム経由で行われたが、KC-10にはホース・アンド・ドリュー・システムが統合されており、米海軍機や海兵隊機、その他事業者が飛行させているるプローブを装備したレシーバーに、それ以上の改造を加えることなく燃料を補給することができた。 本誌は空軍に、現在提供されている航空機にも統合型ホース・アンド・ドロッグが装備されているかどうかを問い合わせている。


統合ホース・アンド・ドロッグシステムを操作するKC-10。 米空軍撮影:二等軍曹ルーク・キッターマン上級空兵


 さらに20機のKC-10は、複数のプローブ搭載レシーバーが同時にトップアップできるよう、翼に取り付けられたポッドを受け取った。売りに出されている機体にも給油ポッドが装着されているかどうかは不明。

KC-10に翼下給油ポッドとセンターラインバスケットを装備することは可能だろうが、給油ブームを再装着することがどれほど現実的であるかは不明である。


 ともあれ、先に述べたように、DC-10由来のタンカーが民間の空中給油会社と協力した前例はすでにある。

 KC-10と同様、オランダ空軍に買収された2機のKDC-10は、商業空中給油分野のパイオニアであるオメガ・エアが運用している。ヴァージニア州を拠点とする同社は、ブームを装備したタンカーを保有する民間事業者2社のうちの1社である。オメガはまた、ダグラスDC-10-40をプローブ&ドロッグ給油用に改造したKDC-10を1機保有している。

2023年11月6日、シンガポールのパヤレバー基地に向かう第51戦闘航空団の米空軍F-16に給油するオメガのKDC-10タンカー。 アメリカ空軍


オメガはDC-10ベースのタンカー・フリートを増強することに興味があるかもしれないが、この市場セグメントにおける唯一のプレーヤーではない。

 ブーム搭載タンカーを保有するもう1社であるメトレアは、シンガポール共和国空軍から取得した4機のKC-135Rをすでに運用しており、その後、フランス空軍宇宙軍が以前使用していた14機のKC-135タンカーを購入し、保有機体を大幅に拡大している。すでに米海軍と契約している同社は、米軍や外国の軍隊との新たな大きな機会を狙っている。  先月、メトレアはインド空軍に空中給油訓練を提供する契約を結んだと発表した。

 オメガがKC-707をKDC-10で増強したようにメトレアがKC-10でフリートを拡大しようとする可能性がある。 余剰のKC-10は、この成長市場でシェアを得ようとする他企業の興味を引くかもしれない。

 その一方で、これらはよく使われた機体であり、退役する初期の機体であるため、おそらくは、最近廃棄場に加えられた機体よりも消耗しているはずだ。 KC-10のより新しい機体がオークションに出品されたり、国防総省経由で入手可能になったりする可能性も今後あらわれよう。

 KC-10が初めて米空軍に就役したのは1981年のことで1987年、ルイジアナ州のバークスデール空軍基地で整備中に爆発と火災が発生し、1機が失われている。

 そのうちの1機の操縦席で煙が発生し、乗組員が避難を余儀なくされた。同じ事故では、乗員の脱出用スライドが作動しなかったため、別の不具合がすぐに明らかになった。


A KC-10 Extender assigned to the 305th Air Mobility Wing, McGuire Air Force Base, New Jersey, refuels an F-22 Raptor assigned to Langley Air Force Base, Va., during Razor Talon at Seymour Johnson AFB, N.C., on Feb. 7, 2013. Razor Talon is an Atlantic Coast monthly large force exercise and joint-unit training opportunity to employ cutting edge operational concepts such as AirSea Battle and Maritime Air Support. (U.S. Air Force photo/Staff Sgt. Andy M. Kin)2013年2月7日、ニュージャージー州マクガイア空軍基地の第305航空機動飛行隊所属のKC-10が、ヴァージニア州ラングレー空軍基地所属のF-22ラプターにレイザー・タロン演習中に給油した。米空軍撮影/アンディ・M・キン二等軍曹 アンディ・M・キン二等軍曹


 この種の問題は、古い機体では珍しいことではないが、商業的に運用されていたDC-10やMD-11の多くが現役を退いたという事実は、元空軍のKC-10を購入する顧客にとっては、サポートが難しくなることを意味する。今年初めの時点で、DC-10/MD-11型は世界中で8機しか就航していない。

 一方、空軍にとっては、KC-10の退役以来、空中給油能力に顕著な空白が残っている。この問題は、将来の不測の事態、特にインド太平洋戦域の計画を立てることで、航空機が膨大な地理的距離で活動できるようにするため、タンカーにより多くの燃料を搭載する必要性があることが明らかになりつつあることで、さらに深刻化している。

 空軍の最後のKC-10が処分場に送られたとき、本誌は、機材の一部は、請負業者が運用し有用なサービスを提供できる可能性があると指摘した。現在提供されている10機についてわかっていることからすると、ブームを装備したタンカーとして飛行させるのは簡単ではないかもしれない。それでも、KC-10の能力には他の追随を許さないものがある。 少なくとも、既存または将来のDC-10ベースのタンカーオペレーターに貴重なスペアを提供できるだろう。

 入札は、4月15日から開始される。■


KC-10 Extender Tankers Are Up For Auction

The government has begun selling off the mothballed KC-10 fleet, which could present an opportunity for private aerial refueling companies.

Thomas Newdick

Published Apr 11, 2025 12:50 PM EDT


https://www.twz.com/air/kc-10-extender-tankers-are-up-for-auction


2024年10月6日日曜日

KC-10エクステンダー・タンカーが全機退役へ (The War Zone)

 KC-10 Extender tail #86-0036 performs its final mission as it heads of to the 309th Aerospace Maintenance and Regeneration Group at Davis-Monthan Air Force Base, Ariz., following a July 13 ceremony at Joint Base McGuire-Dix-Lakehurst, N.J., that marked the first retirement of 59 Extenders intended for eventual replacement by the KC-46A Pegasus. A total of three KC-10s from the Air Force’s Backup-Aircraft Inventory were congressionally approved for retirement during Fiscal Year 2020. As KC-10s are retired, the 309th AMARG will continue to support the remaining Extenders with spare parts as they are flown for several years while the KC-46A Pegasus is integrated into Air Mobility Command’s Total Force tanker enterprise. For nearly four decades, the KC-10 has helped secure global reach for America, providing in- flight refueling to U.S. and coalition aircraft, from Operations Desert Shield and Desert Storm to Operation Inherent Resolve. The KC- 10 is flown from JBMDL by both the 305th AMW and its associate Air Force Reserve unit, the 514th AMW.  

U.S. Air Force photo by Senior Airman Sean Hetz




トライジェットKC-10エクステンダー・タンカー輸送機の43年のキャリアに幕が下ろされたが、米空軍のタンカー機材構成案はまだ定まっていない



空軍は本日、KC-10エクステンダーに正式に別れを告げ、1981年の初就航以来、タンカーおよび貨物輸送機として活躍してきた同機の功績を称えつつ、その最後の1機を処分場へ送り出した。KC-10の在庫はここ数年で急速に減少していた。


KC-10お別れセレモニーは、カリフォーニア州トラビス空軍基地の格納庫46で行われた。公式スピーチの後、最後のKC-10コールサインGUCCI 10はトラビスからアリゾナ州デービスモンサン空軍基地へ飛行した。トラビス基地のKC-10は1994年以来、第660航空機整備中隊の支援を受けた第6および第9空中給油中隊によって運用されていた。


「グッチ」または「ビッグ・セクシー」という非公式ニックネームを持つKC-10は、民生DC-10-30CFをベースとし、システム共通性の88%を保持していた。空軍は、KC-135ストラトタンカー・ファミリーを補完する「ヘビー・タンカー」としてKC-10を取得し、緊急に必要とされる追加タンカー能力を提供するために迅速に投入できることから選択された。KC-10はこのミッションに特に適していた。DC-10の主翼にある3つの燃料タンクに加え、貨物室床下にある3つの大型燃料タンクにより、KC-135のほぼ2倍、356,000ポンド以上の航空燃料を収容することができた。 KC-135Rのほぼ全機とは異なり、KC-10には独自の給油レセプタクルが装備されていた。つまり、KC-135や他のKC-10から燃料を補給し輸送距離を伸ばすことができた。もう1つの興味深い特徴は、KC-10が燃料を逆送できることで、別の航空機からブームで燃料を送り返すことができた。 


A U.S Air Force KC-10 Extender with the 76th Air Refueling Squadron, 514th Air Mobility Wing, is refueled by a KC-10 crewed by Reserve Citizen Airmen with the 78th Air Refueling Squadron, 514th Air Mobility Wing, over the Atlantic Ocean, Feb. 14, 2018. The 514th is an Air Force Reserve Command unit located at Joint Base McGuire-Dix-Lakehurst, N.J. (U.S. Air Force photo by Master Sgt. Mark C. Olsen)

2018年2月14日、大西洋上空で別のKC-10から燃料を補給される第514航空機動団第76空中給油飛行隊の米空軍KC-10。U.S. Air Force photo by Master Sgt. Mark C. Olsen Mark Olsen


その他の利点として、KC-10はホース&ドロッグシステムを統合しており、米海軍と海兵隊の航空機、および他のオペレーターが飛行するプローブを装備した機体に給油することができる。さらに20機のKC-10は主翼にポッドを取り付け、複数のプローブ搭載レシーバーで同時に燃料を補給できるようになった。


KC-10は積載のスペシャリストでもあった。重要な二次貨物輸送任務において、エクステンダーは貨物約17万ポンドと最大75人の乗客を約4,400マイルの距離にわたり輸送することができた。貨物輸送と同時に他の航空機への給油が可能なKC-10は、例えば、戦闘機の大洋横断配備を支援するのに理想的であった。米空軍は60機のKC-10Aを購入したが、1987年にルイジアナ州のバークスデール空軍基地で整備中に爆発と火災が発生し、1機が失われた。 


A KC-10 Extender assigned to the 305th Air Mobility Wing, McGuire Air Force Base, New Jersey, refuels an F-22 Raptor assigned to Langley Air Force Base, Va., during Razor Talon at Seymour Johnson AFB, N.C., on Feb. 7, 2013. Razor Talon is an Atlantic Coast monthly large force exercise and joint-unit training opportunity to employ cutting edge operational concepts such as AirSea Battle and Maritime Air Support. (U.S. Air Force photo/Staff Sgt. Andy M. Kin)ニュージャージー州マクガイア空軍基地の第305航空機動飛行隊に配属されたKC-10がF-22ラプターに給油する。



オランダも同様のKDC-10を2機受領し、機体は現在は商業空中給油分野のパイオニアであるオメガ・エアが運用している。


2023年11月6日、シンガポールのパヤ・レバー基地へ向かう第51戦闘航空団の米空軍F-16Cに給油するオメガのKDC-10タンカー。米空軍 


 働き者のKC-10は、2018年に老朽化が目立ち始め、1機のフライトデッキで煙が発生し、乗員は避難を余儀なくされた。同じ事故では、乗員の脱出用スライドが作動せず、別の故障がすぐに発覚した。この問題は全フリートに影響を及ぼしていることが判明した。同時に、DC-10やMD-11が、民間航空会社から撤退し、貨物輸送会社からも姿を消したことで、KC-10もサポートが難しくなっていた。 

 やがて空軍は、KC-10を退役させる方法を模索していた。軍内部を含む抵抗にもかかわらず、議会は最終的に分割を承認した。 2020年7月、最初の機体がデイビスモンサン空軍基地に到着し、米空軍のKC-10フリートの退役が始まった。米空軍のKC-10は昨年10月5日、サウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地(PSAB)を出発し、最後の戦闘配備を終えた。KC-10の経歴には、米空軍中央軍(AFCENT)の責任範囲内で30年以上費やされ、不朽の自由やイラクの自由を含む軍事作戦を支援したことが含まれる。


2023年10月5日、サウジアラビアのプリンス・サルタン空軍基地(PSAB)で最後の戦闘配備を行った後、出発を始めるKC-10に敬礼する米空軍兵士。米空軍撮影:Tech.アレクサンダー・フランク曹長 


KC-10が退役した現在も、空軍は将来のタンカー・フリートの選択肢を検討中だ。 KC-10の当面の後継機はKC-46ペガサスだが、この機体はその開発において問題に事欠かず、就役した現在も続いている。 


151019-F-HP195-037 OWENS VALLEY, Calif. (Oct. 19, 2015) Photos of Boeing's KC-46A, lower right, conducting tests of aircraft acceleration and vibration exposure while flying in receiver formation at various speeds and altitudes behind either the KC-10 Extender or the KC-135 Stratotanker. Testing for this phase was coordinated from Edwards Air Force Base, Calif., and conducted above Owens Valley and parts of the western Mojave Desert.KC-10エクステンダーの後ろで給油レシーバー・テストを行うKC-46(右下)と、その後ろで給油の順番を待つKC-135ストラトタンカー。米空軍 U.S. Air Force Photo by Christopher Okula 


以前は、KC-135の後継となるKC-Xと対をなすKC-Yプログラム(最終的にKC-46が選定された)でKC-10後継機を実戦配備する計画があった。


今問題になっているのは、空軍が179機のKC-46の最後の1機を受領した後どうなるかである。KC-46が納入され次第、空軍はさらに75機の空中給油機の導入を始めたいと考えており、以前は「ブリッジ・タンカー」と呼んでいた。ブリッジ・タンカーは、KC-46の増産、ロッキード・マーティンのLMXT、あるいは請負業者ベースのリース・ソリューションになる可能性もあるが、空軍が本当に望むタンカーを手に入れるまでの暫定的な解決策と考えられており、その設計の中核要素として生存性を特徴とする可能性が非常に高い。


ロッキード・マーチンのスカンクワークスによる将来の低視認性タンカーのコンセプト。ロッキード・マーティン 


 この種のタンカーが就航する頃には、冷戦時代のKC-10はさらに時代遅れに見えるだろう。とはいえ、同型機は請負業者が運用する形で有用なサービスを提供している。そうなれば、KC-10の米軍機への給油のキャリアは終わらないかもしれない。■


Final KC-10 Extender Tanker Flies Into Retirement

The flight from Travis Air Force Base in California will bring down the curtain on a 43-year career for the trijet KC-10 Extender tanker-transport.

Posted on Sep 26, 2024 3:15 PM EDT


https://www.twz.com/air/final-kc-10-extender-tanker-sent-into-retirement


2023年10月7日土曜日

KC-10の退役が進んできた。最後の戦闘ミッションを終了し、24年9月に全機姿を消す。次期タンカーが決まらず、KC-135も稼働を続けざるを得ない中、中国を睨んで給油機の体制に不安が残る。

U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Alexander Frank


米空軍はKC-10エクステンダー・タンカーの退役を2024年9月までに完了する

 空中給油と空輸を提供してきた40年以上の後、米空軍のKC-10Aエクステンダーが最後の戦闘任務を飛行した。空軍は2020年からKC-10を廃棄処分場に送り始めたが、今回のマイルストーンは、同型機の引退がいよいよ間近に迫っていることを示している。

国防視覚情報配信サービス(DVIDS)が本日公開した写真には、10月5日にサウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地(PSAB)を出発するKC-10が写っている。添付されたキャプションによると、エクステンダーの離脱は、同基地における同型機の最後の戦闘配備を終了させた。

2023年10月5日、サウジアラビアのプリンス・スルタン基地(PSAB)でエクステンダー最後の戦闘配備を行い、出発を始めるKC-10に敬礼する米空軍兵士。米空軍撮影。アレクサンダー・フランク軍曹

The departure of the KC-10 at PSAB marked the end of the over 30 years of service for the type within the U.S. Air Forces Central (AFCENT) area of responsibility. <em>U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Alexander Frank</em>

PSABでのKC-10の離陸は、米空軍中央軍(AFCENT)担当区域内での同型機の30年以上にわたる任務の終わりを意味する。米空軍撮影:Tech. アレクサンダー・フランク軍曹

航空機動軍団(AMC)は、今回がKC-10の最後の戦闘配備であることを本誌に確認した。AMCのジェシカ・ブラウン報道官は、「40年近くにわたり、KC-10はアメリカのグローバル・リーチの確保に貢献してきた。KC-10は間もなく母国へ再配備される予定です」。

KC-10の経歴には、PSABを含む米空軍中央部(AFCENT)の責任範囲内で過ごした30年以上が含まれる。その間、KC-10は不朽の自由作戦とイラクの自由作戦を含む様々な軍事作戦の支援で重要な役割を果たした。

以前のDVIDSメディアリリースでは、10月3日、PSABに帰還する最後の戦闘出撃に参加したKC-10の画像を提供した。問題の航空機は、第378航空遠征航空団内の暫定部隊である第908遠征空中給油飛行隊(EARS)に配属されていた。

第908飛行隊の不活性化式典は、その後10月4日にPSABで行われた。

KC-10の退役への歩みは続いている。9月15日現在、37機のKC-10がボーンヤードに置かれている。

オランダもKDC-10を2機受領し、現在は商業空中給油分野のパイオニアであるオメガ・エアが運用している。

A former Royal Netherlands Air Force KDC-10 refuels an F-35 Joint Strike Fighter.&nbsp;<em>Omega Air</em>

F-35統合打撃戦闘機に給油する旧オランダ空軍のKDC-10。オメガ・エア

2020年7月、私たちは最初のKC-10がアリゾナ州デービスモンサン空軍基地の焼却場に送られたことを報告した。

空軍は当初、KC-135ストラトタンカー・ファミリーを補完する「ヘビー・タンカー」としてKC-10を購入し、DC-10-30CFをベースにした設計を選択した。特に、長距離を飛行する大型の満載輸送機への給油に必要であった。

KC-135と比較すると、KC-10の追加燃料タンクはほぼ2倍の積載量、356,000ポンドの航空燃料を搭載できる。ストラトタンカーとは異なり、KC-10Aはブームに加えてホース・アンド・ドロキュー・システムも内蔵しているため、米海軍機や海兵隊機、また他のオペレーターが飛行するプローブ装備のレシーバーにも容易に燃料を補給できる。

KC-10は主な給油任務のほかに、貨物輸送という重要な任務も担っており、ハンヴィーなどの軽車両を含むさまざまな貨物を運ぶことができる。

しかし、数十年にわたる運用がKC-10フリートに負担をかけ始めた。2018年5月、フライトデッキで煙が発生し、乗員は避難を余儀なくされた。脱出用スライドが作動しなかったことから、安全システムの別の不具合が明らかになり、全機に影響を及ぼした。

このような事故がKC-10の運命を決定づけた。軍内部を含む抵抗にもかかわらず、議会は結局、空軍の退役計画を認めた。現状では、2024年9月までに最後の1機が退役する。

KC-10の当面の後継機は、問題の多いKC-46ペガサスで、ペガサスの納入は続いている。一方、KC-Xとして選定されたKC-46は、KC-135の後継機と目されていた。

KC-46は退役するKC-10の一部も置き換えるが、空軍の将来のタンカー・フリートの構成については疑問が残ったままだ。

空軍はKC-46を179機購入しており、最後の機体は2029年に引き渡される。KC-46は暫定的な能力を提供する想定で、将来の先進的な空中給油機(設計の中心要素として生存性を強調する可能性が高い)を調達する。

Lockheed Martin concept artwork of a future blended wing-body tanker design offering a certain degree of stealth. <em>Lockheed Martin</em>

ロッキード・マーティンが描いた、ある程度のステルス性を備えた将来の混合翼ボディ・タンカーのコンセプト・アートワーク。ロッキード・マーティン

ブリッジ・タンカーは、140~160機購入が検討されていたが、現在は75機に削減された。今回もKC-46が候補に挙がっているが、人気の高いエアバスA330マルチロール・タンカー・トランスポート(MRTT)をベースにしたロッキード・マーチンのLMXTや、請負業者ベースのリース・ソリューションなど、他の候補もある。

かつてのオランダのKDC-10のように、空軍が退役KC-10を民間企業が引き取り、米軍に売却する可能性さえある。しかし法的・規制的ハードルが乗り越えられないことが判明しており、このような提案は実現しなかった。ただし、この分野でも最近進展があり、メトレア所有のKC-135Rタンカーが今年6月の訓練で初めて米空軍機に給油した。

民間の航空宇宙企業であるメトレアは、同社のKC-135Rがレゾリュート・ハンター23-2演習で空軍に空中給油支援を提供したというプレスリリースで、このマイルストーンを発表した。レゾリュート・ハンターは米海軍主導の年2回の演習で、「国防総省唯一の戦闘管理・指揮統制・情報・監視・偵察(BMC2ISR)専用演習である」と同軍は発表している。空軍と諸外国の空軍は、ネバダ州にある海軍ファロン基地(NASファロン)から行われるこのイベントに日常的に参加している。

タンカーとKC-46の追加により、空軍は既存のKC-135の半分以上の代替をカバーするが、それでもストラトタンカーのかなりの部分が残る。米軍は将来起こりうる太平洋での戦争に備え、タンカー能力はこれまで以上に必要となると見ている。そのことを考えれば、今、空軍のタンカーを退役させるのは、厳密な必要性がない限り、時期尚早かもしれない。

全体として、空軍の将来のタンカー・フリートがどのようなものになるのか、また、老朽化したKC-135フリートの縮小が続く中、機数が空中給油ニーズの高まりに応えられるのかどうかについては、多くの疑問が残る。はっきりしているのは、KC-10の最終的な退役で、一年弱後に最後の機体が惜しまれつつ退役することになる。■

KC-10 Extender Has Flown Its Last Combat Mission | The Drive

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED OCT 5, 2023 2:13 PM EDT

THE WAR ZONE


2017年5月13日土曜日

★★★ついに100年飛ぶことになったKC-135


機体に窓がないKC-135は恐ろしく長い期間にわたり供用されており、さらに延長されることになりました。もちろん空軍整備陣の保守管理もあるのですが民間では考えられない事例ですね。しかし100年間の供用期間というのはすごいですね。B-52等もあり空軍の機材が高齢化していくということですね。


This Air Force plane will be over 100 when it flies to the boneyard この空軍機は100年飛び続けてから機体墓場に送られる


By idcostaMay. 10, 11:32 AM
KC-135ストラトタンカーは今でも米軍装備で最古の機体に属すがさらに供用期間を40年延長され最古の機体になると航空機動軍団司令官のカールトン・エバーハート大将が述べている。
  1. 同機が退役すると100年を超える供用期間となり、米史上他に例がない事態となる。供用開始の1956年以来米国が関与した戦役すべてを支えてきたストラトタンカーは米空軍でもっとも親しみを持たれる機体といえよう。
  2. KC-135全機がボーイングKC-46ペガサスにより更新の予定だった。だが予算削減とKC-46調達削減により空軍は給油機不足に各地で直面し戦闘機材の活動にも支障がでてしまう。そこでKC-135を「スーパーストラトタンカー」とでも呼ぶべき仕様に改修し40年の供用期間延長を狙う。その時点でKC-Z後継機がストラトタンカーに交代する予定だ。
Crewmembers from the 340th Expeditionary Air Refueling Squadron prepare to take off in a KC-135 Stratotanker before performing a refueling mission over Iraq in support of Operation Inherent Resolve September 15, 2016. The KC-135 provides the core aerial refueling capability for the U.S. Air Force and has excelled in this role for more than 50 years. (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Douglas Ellis/Released)
Crew members from the 第340遠征給油飛行隊の乗員が飛行前準備にあたるこのKC-135はイラク上空で空中給油にあたり不朽の決意作戦を支援する。 KC-135は50年にわたり米空軍の空中給油の中心でさらに40年間の供用が決まっている (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Douglas Ellis/Released)
  1. 物議をかもしたKC-X事業から生まれたKC-46はKC-135より大型で飛行距離も伸びる、エンジンもKC-135の四発が2基となり給油量も大きくなることで給油対象機も増えるはずだった。しかし開発は費用超過から遅延など一貫して問題に遭遇しており、空軍は当初の179機調達を削減する。
  2. このためKC-135退役はなくなり、空軍および州軍航空隊は給油機多数により給油ミッションを世界各地で必要としている。
  3. ペガサス導入も進めながら空軍はストラトタンカー部隊の供用期間延長は避けられない。すでに910百万ドルでブロック45供用期間延長事業が始まっており、機齢60年の機体を最新機材向け給油に対応させる。改修では全機にグラスコックピットを導入し、旧式アナログ針式計器盤を廃止する。エイビオニクスを更新し、自動操縦も交換し、航法装備を高性能化するなどがある。
KC-135ストラトタンカーがマッコーネル空軍基地をタキシー中。米空軍の世界規模の活動はKC-135が支えている。(U.S. Air Force photo/Senior Airman Tara Fadenrecht)
  1. KC-135の供用をさらに40年間延長するため、次期改修でネットワーク機能、電子対抗装置が導入される予定だ。ブロック45改修が完了するのは2028年で次期改修はその後あるいは途中で実施される。米空軍の試算ではKC-135機体寿命はまだ65%残っており、定期保全やオーバーホールを実施すれば2040年までの供用は十分可能ということだ。
  2. 2014年時点でKC-135は414機が米軍に在籍し、うち160機が空軍正規部隊に180機が州軍航空隊に所属し、67機が空軍予備隊にあった。KC-46調達が終わればストラトタンカーは100機程度に減りデイヴィス・モンタンAFB(アリゾナ州)の機体墓場に送られる予定だ。
  3. またKC-135より機齢が低いKC-10エクステンダーも同様の性能改修を受けて供用期間が延長になりそうだ。両機種が最終的に用途廃止になるのはKC-YやKC-Z次世代給油機が現実のものとなる時でまだ数十年先のことだ。■