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2025年1月8日水曜日

中国のH-20ステルス爆撃機が初飛行した?(19fortyfive)―画像毎に形状が異なり、願望の詰まったフェイク画像にしか見えないのですが、あたかも完成したと見せかけるいかさま作戦もありえますね。


H-20 Stealth Bomber

H-20爆撃機? 画像クレジット: クリエイティブ・コモンズ

The main image is from Chinese State TV years ago. 


西安H-20ステルス爆撃機の処女飛行について、ソーシャルメディアに出回っているビデオに煽られて憶測が浮上してきた。

-しかし、疑わしい映像、中国国営メディアからの確証の欠如、H-20の運用準備にはまだ数年かかるという国防総省の評価などから、その真偽について疑問が残る。

-もし本物なら、H-20は6,000マイルの航続距離で威力を発揮し、グアムや日本の米軍基地を脅かすことができる。

-核攻撃と通常攻撃双方に設計されたH-20は、太平洋におけるゲームチェンジャーとなる可能性がある。しかし、公式に確認されるまでは、この爆撃機の初飛行は未確認のままであり、偽物の可能性が高い。


H-20 Bomber

H-20 Bomber. Image Credit: X Screenshot.


中国の新型ステルス爆撃機H-20は初飛行したのだろうか?

偽写真やビデオを作成できる、広く利用可能で無料の人工知能ツールが普及しているため、ネット上で見られるものには懐疑的にならざるを得ない。だからこそ我々は、中国の新しい西安H-20ステルス爆撃機のテスト飛行の証拠だとする最近ソーシャルメディアにあらわれた映像画像は半信半疑で受け止めるべきだ。


H-20爆撃機の動画が本物なら大きな機体だ。

共有されているビデオでは、H-20は大きな全翼機形状で、一部の中国のソーシャルメディア観察者は、それがステルス爆撃機であると確信していた。

 H-20とされる機体には、J-16戦闘機らしき機体が続いて映っていた。 メディアの報道によると、H-20は「傾斜した垂直尾翼を持つ顕著な尾翼」があるという。

 J-16とH-20の寸法を比較すれば、新型爆撃機の全長は100フィート以上あり、世界最大級のステルス爆撃機となる。

 中国軍は昨年WeChatで、H-20は2025年1月1日に登場すると自慢していた。 ということは、H-20の動画は本物かもしれない。

 しかし、ソーシャルメディア・ユーザーなら誰でも、その情報を鵜呑みにして、爆撃機の偽ビデオを作成できただろう。

 現時点では、このビデオは本物ではないというのが最も可能性の高い答えだ。


H-20 Bomber Image

H-20爆撃機の画像。 画像クレジット X Screeenshot.


同機には惹きつける点が多い

H-20は、そのステルス性、航続距離、核兵器や精密誘導弾の発射能力で、この地域を支配することができる。

 アメリカ空軍のステルス爆撃機B-2スピリットや新型のB-21レイダーとの比較することができるが、もしこのビデオが本物なら、H-20はこれら2機よりも大きい可能性がある。

 ただし、このビデオがフェイクだと考える理由のひとつは、防衛アナリストの中には、H-20が2030年代まで定期的に飛行することはないと考えている人がいることだ。 また、共有されているビデオ映像のアングルが非常に少ない。 また、中国国営メディアの各機関からは、このような飛行機が空を飛んだと天に向かって歌うような雑音も聞こえてこない。

また、最近のJ-36ステルス戦闘機の飛行のように、ソーシャルメディアに出回っている静止画はほとんどなく、映像の中に奇妙な旗が掲げられていることについて、奇妙に見え、映像と一致しない点があるとコメントする人もいる。

 ペンタゴンの包括的な中国レビューによると、H-20は数年間準備できないとのことだ。

 米国防総省が発表した最新の中国軍事力報告書は、中国軍のハードウェアと様々な能力に関する最高のレビューのひとつだが、H-20についてはあまり触れていない。 アナリストたちは、H-20をJH-XXプログラムの発展型と評している。

H-20 Stealth Bomber. Image Credit: Artist Rendering Chinese Internet.

H-20爆撃機。 画像出典:Xスクリーンショット。


 「PLAAFは、新しいH-20ステルス戦略爆撃機の開発によって、兵力当社能力を拡張しようとしている。「PLAAFは、地域と世界の標的を攻撃するために、新しい中・長距離ステルス爆撃機を開発している」。


日本とグアムが長距離H-20の危険にさらされる

報告書は、H-20がデビューするのは2030年にはいる前だと説明している。H-20の航続距離は6,000マイルを超え、日本やグアムの空軍基地にあるアメリカの軍事目標に、通常攻撃や核攻撃で到達することができる。

 H-20のステルス性能は過大評価されている可能性があり、B-2やB-21ほどレーダーを回避できない。航続距離も誇張されているかもしれない。 しかし、この爆撃機が第一列島線の標的を攻撃できたとしても、それは人民解放軍空軍(PLAAF)にとって実用的な追加となるだろう。

 H-20は、情報、監視、偵察データを収集する能力を持ち、電子戦の役割に従事することができる。また、1機以上の「忠実なウィングマン」無人機を繋ぐ「ドローン母船」となる可能性もある。


予定より5~10年早い?

もしこの映像が何らかの形で信憑性が高いとしたら、PLAAFがH-20の開発をかなり進めている証拠となるだろう。

 PLAAFの将軍たちはH-20に長い間期待を寄せており、ある将軍は2024年にH-20が間もなく登場すると主張した。「ただ待ってくれ」とPLAAFの副司令官である王偉中将は言った。

 残念ながら、筆者はこのビデオが本物だとは思わない。 もし新型爆撃機が処女飛行をしたら、もっと多くの将軍や中国のレガシーメディアが電波を爆発させ、新型爆撃機の前触れを喧伝しただろう。 公式の飛行確認がない以上、本当に飛んだのだろうか。


アジアで最高の爆撃機となるのか

とはいえ、PLAAFは長距離かつ核能力を持つステルス戦闘機を作るという野心を持っている。 それは東アジアで最高の爆撃機になるだろう。

 H-20はまた、この地域の米軍基地を攻撃し、滑走路を破壊し、電子戦能力で防空網に見えなくなる。 そのため、アメリカや台湾と衝突した場合、初日から高い効果を発揮するだろう。


H-20爆撃機はまだ飛行していない...今のところは。

新型爆撃機については、公式に承認され、確認された映像が公開されるのを待ちたい。 もし最近飛行したのであれば、アメリカの諜報機関を驚かせ、アメリカが中国の軍事装備品の進展に関し正しい情報に通じていないことを示すことになる。 とはいえ、現時点では、映像はフェイクに見える。■


Written ByBrent M. Eastwood

Now serving as 1945s Defense and National Security Editor, Brent M. Eastwood, PhD, is the author of Humans, Machines, and Data: Future Trends in Warfare. He is an Emerging Threats expert and former U.S. Army Infantry officer.


Did China’s H-20 Stealth Bomber Just Make Its First Flight?

By

Brent M. Eastwood

https://www.19fortyfive.com/2025/01/did-chinas-h-20-stealth-bomber-just-make-its-first-flight/


2025年1月7日火曜日

中国のH-20ステルス爆撃機は2030年代まで「デビュー」しない可能性が高い(米国の情報機関)(The War Zone) ―2024年末の新型装備公開ラッシュにも同爆撃機は登場しませんでした。25年も期待薄でしょう。


PLAAF/YouTube Screencap


H-20と並行して、中国は小型ステルス爆撃機の開発も継続している


国で待望のH-20爆撃機が「デビュー」を果たすのは、運用部隊への導入を意味するのか、あるいは単に公に姿を現すだけなのかは不明だが、今後10年以内のいつかだろうと米軍は述べている。今年初め、中国人民解放軍空軍(PLAAF)の副司令官は、少なくとも同機の公開は「間もなく」行と発言したと報じられた。長年にわたり、米国のB-2スピリットを彷彿させるステルス性の高い飛行機として設計された爆撃機が、まもなくそのベールを脱ぐだとの報道が出ていた。


H-20爆撃機プログラムの現状に関する一般的な評価は、米軍が議会に提出した最新の中国軍事動向に関する年次報告書に記載されている。米国防総省は本日、この報告書の非機密版を公開した。ここには、中国人民解放軍(PLA)が、過去にはJH-XXと呼ばれていたステルス性能を持つ中距離爆撃機の開発を現在も続けていることも記載されている。


「中国空軍は新型ステルス戦略爆撃機H-20の開発により、戦力投射能力の拡大を目指している。中国国営メディアは、この新型ステルス爆撃機は通常任務に加えて核ミッションも担うと発表している。中国空軍は地域および世界的な目標を攻撃するための新型の中距離および長距離ステルス爆撃機を開発している。

「中国は、おそらくH-20と名付けられるであろう新世代の長距離爆撃機を開発している。今後10年以内にデビューする可能性のあるH-20は、航続距離が1万キロメートル(6,214マイル)以上であり、中国空軍が『第2列島線』をカバーし、太平洋西部地域まで到達することを可能にするだろう」と、報告書の別の部分に記されている。「H-20爆撃機の航続距離は空中給油により地球全体をカバーできるほどに延長される可能性がある。通常兵器および核兵器を使用し、ステルス設計が採用されると予想される」。


ここで言及されている「第2列島線」とは、日本と東インドネシアの境界線から西に広がる太平洋の地域を指し、米国領のグアム島も含まれる。また、H-20に関するこの発言は、昨年国防総省が中国報告書に盛り込んだ内容とほぼ一致している。

「第一列島線」および「第二列島線」と呼ばれる地域を示す地図。国防総省 西太平洋における第一列島線および第二列島線の境界線を示す地図。国防総省


「残念ながら、私は [新しい中国レポート] に記載されている以上のことはお話しできません」と、今週初めのメディア向け事前説明会で、米国防総省高官もまた、本誌のハワード・アルトマンによる中国爆撃機に関する質問に対して述べた。「ご想像の通り、我々は可能な限り多くの情報を提供しようとしていますが、現時点ではレポートに記載されている以上のことはお話しできません」。

2021年のPLAAF(中国空軍)の募集ビデオに登場するH-20を反映したと思われるステルス飛行機タイプの公式レンダリング。YouTubeキャプチャ

H-20に関する最新のコメントは、今年初めに複数の報道機関に対して米国情報当局者が語った爆撃機に関する内容とも一致している。


「H-20の問題は、実際にシステム設計を見ると、おそらく米国のLO(低可視性、ステルス)プラットフォーム、特に今後登場するより高度なプラットフォームには遠く及ばないでしょう」と、情報当局者は4月のブリーフィングでDefense Oneに語った。「彼らは、そのシステム能力をB-2やB-21と同様の方法で機能させるにはどうすればよいかという点において、多くの設計上の課題に直面しています」。


H-20は、少なくとも大まかな形状は、ここに写っているB-2と似たものになるだろうと以前から予想されてきた。 米国空軍


H-20が米軍にとって懸念事項であるかどうかを尋ねられて「そうでもない」と、その人物は答えたと、Breaking Defenseは伝えている。


その1ヶ月前には、中国国営の香港商業日報が、中国空軍の副司令官王偉中将のインタビュー記事を掲載しており、その中で同中将は「(H-20は)もうすぐ登場する。待っていなさい!」と語っている。「(H-20の開発における)ボトルネックは存在せず、解決できる」と、香港商業日報によると、王中将も述べた。「我々の科学技術研究者は現在非常に優秀であり、全員がこの能力を備えている」。


H-20の開発は少なくとも2000年代初頭まで遡ると考えられている。中国航空工業集団(AVIC)の子会社である西安飛機工業公司(XAC)が、このプロジェクトを主導している。XACは、ソビエトのツポレフTu-16バジャーのライセンス生産コピーであるH-6爆撃機の原型をはじめ、Y-20輸送機など、数多くの設計を担当している。H-6の各バージョンは、現在、人民解放軍の長距離航空攻撃能力を構成している。


H-6シリーズのミサイル搭載機。日本の防衛省


H-20の公式画像はこれまで公開されていないが、人民解放軍とAVICは長年、この設計をほのめかしてきた。これには、ノースロップ・グラマンの有名な2015年のスーパーボウル広告(下記参照)を模倣した、AVICによる2018年のプロモーションビデオも含まれる。このビデオでは、後にB-21レイダーとして知られるようになった機体をほのめかしている。H-20プログラムまたは関連設計に関連する可能性のある風洞モデルの画像や、多数の推測に基づくファンのレンダリング画像も、過去にオンラインで公開されている。

過去の報道では、H-20の要件として、陸上攻撃および対艦巡航ミサイルを含む最大10トンの兵器を搭載でき、無給油での航続距離は約5,000マイル(約8,000キロ)であることが求められていると報じられていた。


地域重視の JH-XX に関する情報はさらに少なく、航続距離は H-20 より短く、ペイロード容量も小さいとされる。 AVIC の子会社である瀋陽飛機工業(J-35 などのステルス戦闘機でよく知られる)が主導している可能性がある。


以前に公開された、JH-XXの作業に関連する可能性がある設計の模型の写真。中国のインターネット


本誌が過去に強調したように、H-20は、PLAが現在保有しているH-6ファミリーの最新バージョンをはるかに超える長距離核攻撃能力を保有することになる。それにより、インド太平洋地域全体にわたって、戦略的に重要なグアム、ハワイ、さらには米国本土の一部を含む、まったく新しい広範囲の標的を危険にさらす能力が提供されることになる。


中国軍はすでに近年、H-6の派生型による長距離空爆能力の拡大に取り組んでいる。これには、射程を大幅に拡大するために、空中発射弾道ミサイルや極超音速ミサイルのような非常に大きなペイロードを発射できるバージョンも含まれる。


H-6Nミサイル運搬機が、非常に大きな空中発射弾道ミサイル(赤い矢印で強調表示)を運んでいるのが見える。中国のインターネット


今年7月には、ロシア軍との合同長距離空中パトロールの一環として、H-6Kミサイル搭載機2機がアラスカ近郊の国際空域を初めて飛行した。しかし、H-6Kの公表されている最大航続距離を考慮すると、また空中給油も不可能であることを踏まえると、これらの航空機はロシアの基地から出撃した可能性が高いと思われる。これは、H-6シリーズが依然として限界を抱えたままなのを浮き彫りにしている。しかし、空中給油が可能なバージョンは徐々に配備されつつあり、間もなく登場するH-20の重要性も高まっている。また、潜在的な防空の脅威は拡大する一方であるが、H-6は低被発見性(ステルス性)の航空機ではない。


また、本誌は過去にも、中国にとってステルス性能を持つ中距離爆撃機JH-XXの価値を強調してきた。この爆撃機は、中国本土の第二列島線内やインド上空において、より生存能力の高い新たな空爆手段を提供することになる。以前にも述べたように、「この航続距離があれば、JH-XXは依然として、日本国内の米軍施設や、場合によってはグアムの米軍施設、さらにはインド、南シナ海、その他の地域の基地といった戦略的目標に挑戦する能力を有することになる。この設計では、速度を優先させることも、ステルス性を優先させることも可能である。これにより、出撃率や敵の統合防空網を突破する能力において、小型の戦闘爆撃機にさらなる優位性がもたらされる可能性がある。何よりも、脆弱な空中給油機への依存度を低く抑え、あるいは全面的な紛争時には最も攻撃を受けやすい沿岸部の飛行場を使用することなく、長距離の空対空ミッションの支援を含む多目的運用が可能になる」。


H-20に関しては、たとえ公式デビューを果たしたとしても、中国空軍が爆撃機を真に運用可能な状態にするには時間がかかるだろう。米国空軍とは異なり、中国空軍は依然とし長距離の航空作戦の経験は限られている。中国は現在、特にロシアとの協力により、より定期的なH-6もうpり長距離飛行を通じてこの問題の解決を図ろうとしているようだ。空中給油能力は、H-20がその潜在能力を最大限に発揮する上で鍵となるが、この分野でも中国の軍隊は米国に遅れをとっている。ただし、この状況を変えるための取り組みは進行中だ。


「中国側の最大の課題は、実際のシステムの能力というよりも、むしろ、それらのシステムを迅速かつ大規模に効果的に運用する人員の能力です。我々米軍には戦争を戦う多くの経験があります」と、前述のH-20について語った米情報当局者は、4月にDefense Oneに次のように語っている。「そして、もちろん、どのオペレーターに話を聞いても、彼らは我々の抱える問題をすべて教えてくれるでしょう。しかし、率直に言って、我々はキルチェーンを実行する方法を見つけ出すことができます。中国には、実際に戦争を経験した人物は、人民解放軍に現在まったくいません」。

 同時に、「中国人が優秀でないことに頼りたくはない」と当時彼らは警告した。「彼らが優秀でないと分かるのは、彼らが我々に発砲してくるまでだ。そして、本当に優秀だったと気づくような立場にはなりたくない」。


本誌が定期的に指摘しているように、中国軍は宇宙を含むあらゆる領域において、ますます近代的な能力の開発と実用化において著しい進歩を遂げ続けている。これには、特にステルス飛行機型の無人戦闘機(UCAV)やその他の先進的な無人機に関する航空分野での重要な取り組みが含まれる。UCAVは、少なくとも我々の知る限り、米軍が依然として不在の分野である。このような設計に関する取り組みが世界的に復活しつつあるにもかかわらず、である。


米軍は、中国がH-20とJH-XXの両方を依然として積極的に追求していると述べているが、実現にはまだ何年もかかりそうだ。■


China’s H-20 Stealth Bomber Unlikely To ‘Debut’ Until 2030s, According To U.S. Intel

China also continues to pursue a smaller regional stealth bomber aircraft in parallel to the H-20 program.

Joseph Trevithick

https://www.twz.com/air/chinas-h-20-stealth-bomber-unlikely-to-debut-until-2030s-according-to-u-s-intel


2024年4月23日火曜日

中国の新型ステルス爆撃機H-20はペンタゴンの懸念事項ではない(情報当局者) 

 PLAの戦力が実際に脅威なのか、開戦とならないとわからないというのが現実ですが、一様にペンタゴンでは中国製装備品の性能について低く見る傾向があるようです。第二次大戦前も「人種的に劣る」日本が高性能装備品など作れるはずがないと見ていた英米の傾向を想起してしまうのですが....Breaking Defence記事を見てみましょう。





H-20のシステム設計を見ると、米国のLO(低観測性)プラットフォーム、特に今後の高度な機材と比べ、優位性はおそらくない、と国防総省の情報当局者は見ている



西安H-20として知られる中国の新型長距離ステルス爆撃機について国防総省の情報当局者は、アメリカの設計にかなわないと確信している。

「H-20のシステム設計を実際に見てみると、アメリカのLO(低観測性)プラットフォーム、特に我々が開発中の先進的なプラットフォームには到底及ばないだろう。

「彼らは、B-2やB-21のようなシステム能力を実際にどのように機能させるかという点で、工学設計上の多くの課題にぶつかっている」と、高官は付け加えた。

 H-20は、新型B-21レイダーのようなアメリカのプラットフォームに対する北京の回答として期待されているが、国家機密のためほとんど知られていない。

 3月、ある中国軍関係者は国営紙『香港商報』に対し、H-20は近々発表されると語ったとされる。

 「軍事大国であることを誇示したいがために公開を選ぶかもしれない。だからといって、実際に必要な能力を、必要な数だけ提供できるとは限らない」と国防総省の諜報部員は語った。

 H-20が懸念材料になるのか訊かれて、同高官は「そうでもない」と答えた。

 国防総省高官が、中国の軍事航空近代化計画の重要な部分を口頭で否定したのはこれが初めてではない。2022年9月、ケネス・ウィルスバック元太平洋空軍司令官は記者団に対し、J-20ステルス戦闘機は "寝耳に水"ではないと語った。(国防総省の情報当局者は今日、J-20は「依然として高い能力を持つシステム」だが、「(中国の)当初のパラメーターをすべて満たすものではない」と述べた)。


米国との「長期戦」に備える

国防総省の情報当局者の今日の発言は、中国ブリーフィングとは銘打たれていないものの、北京がもたらす軍事的脅威に焦点を当てたもので、国防総省当局者はこれをアメリカの "ペーシング・チャレンジ "と呼んでいる。中国はアメリカとの "長期にわたる"紛争に備え、社会のあらゆるレベルを準備することに真剣に取り組んでいる、と同高官は述べ、北京はアメリカの軍事的弱点を突くことを狙い人民解放軍(PLA)を意図的に装備していると強調した。

 中国の急成長する軍事近代化で重要な点のひとつは、核兵器ポートフォリオの拡大だ。北京はすでに500発の核弾頭を運用可能な兵器庫に蓄積しており、2030年までに1000発を超える可能性があると当局者は警告している。しかし、汚職が蔓延し、燃料の代わりに水が充填されたミサイルや、発射蓋がおそらく機能しないミサイルサイロのような結果を招いたことから、この国の実際の軍事力のいくつかの要素には疑問があるとブルームバーグは報じている。

 ブルームバーグ報道について質問された政府関係者は、中国の軍事力全体について、「一部にはおそらく水で満たされていたり、ドアの蓋が開かなかったりしたのだろうが、すべてではない」と述べた。

 「中国側にとって最大の課題は、実際のシステムの能力よりも、それらのシステムを効果的に使用する人員の能力だと思う。注目すべきことに、中国のロケット部隊はここ数カ月で指導者多数が公の場で職を追われている。習近平国家主席による反腐敗の動きは、腐敗の事例を(標的にしているように)見える」。

 とはいえ、政府関係者は、北京の軍事力の大部分が非常に効果的であるというシナリオに備えている。米政府高官は、中国との戦争は避けられないものでも差し迫ったものでもないと公言しているが、習近平と「中国共産党(中共)」が戦争は回避できないと考えているのはほぼ間違いない、と同高官は言い、中共指導部は、米国が紛争を起こすと考えている、と付け加えた。

 国防総省の情報部員は、国防総省幹部の考えを説明し、「中国が(戦闘に)長けていないことを当てにしたくない。というのも、彼らが私たちを撃ってくるまで、こちらは彼らの実力を知ることができないからだ。それは問題だ」と述べた。■


China's new H-20 stealth bomber 'Not really' a concern for Pentagon, says intel official - Breaking Defense

“The thing with the H-20 is when you actually look at the system design, it's probably nowhere near as good as US LO [low observable] platforms, particularly more advanced ones that we have coming down,” said a DoD intelligence official.

By   MICHAEL MARROW

on April 22, 2024 at 4:20 PM



2022年8月24日水曜日

中国の新型爆撃機H-20の外観を示すモデル数点の画像流出。実機との類似性は不明だが、同機の姿を推定できる。

via Twitter

中国が秘密裏に開発中の新型長距離爆撃機の外観を知る手がかりとなるモデル2つが登場した

 

国の次世代爆撃機H-20では、同機外観と強い類似性があると思われる設計、またはコンセプトを示す2つのモデルが出現したことで、非常に興味深い新展開を迎えた。これまでのH-20の公式レンダリングは非常に不明瞭で、最終的なデザインと関係がないかもしれない描写以上のものは見られてなかった。しかし、最近、中国の国営メディアによって初飛行が近いことが示唆され、新型爆撃機に勢いがあるようで、公式発表(または国によるリーク)がそう遠くないことを示唆している。

ソーシャルメディアに登場した画像は、明らかに金属製の風洞試験モデルだ。これは、主に将来の機体設計の空力性能を試験するために使用される開発ツールだ。今のところ、3つのスクリーンキャプチャが利用可能になっているが、小規模風洞に使われたモデルのオリジナルのビデオは、今のところ登場していない。

また、白色のデスクトップ型モデルもあり、ビデオクリップでは、2人の「パイロット」(1人は民間人、もう1人は軍服)がお披露目している様子が映っている。このイベントは、国営の中国航空工業集団公司(AVIC)と関係があるようで、同社ロゴが模型の後ろに表示され、"ML Aviation "と書かれた英語標識も見える。

映像の出所は今のところ不明だが、シミュレーターを製造したとされるML Aviationという会社と関係があるのかもしれない。

一方、AVICは2018年当時、英語で "The Next... "と書かれたシートの下にCGで作られた飛行翼型航空機を映した、以前のティーザー動画も担当していた。AVICは、H-20の元請け企業として広く理解されている西安飛機工業公司(XAC)を傘下に納める。

また、Y-20輸送機の上に搭載されたモデルが写っている画像があるが、これも出典は不明だ。この2つの模型の大きさを比較すると、明らかにH-20はことなる縮尺で作られていることがわかる。おそらく、空力試験のためにおんぶして運ばれたスケールモデルを表現することを意図しているのだろう。

しかし、最も興味深いのは、この2つの新しいモデルが、公式文書や研究が言及していた設計上の特徴を反映しながらも、従来の非公式な描画と非常によく似ていることだ。以下は、H-20の可能性のある構成の2つの非公式な描写で、どちらも最近のモデルと多くの共通点がある。

via Twitter

 

一方で、懐疑的な見方にも価値があるのは確かだ。中国には、完成品と別のコンセプトを発表してきた長い実績があるだけでなく、特にH-20を取り巻く機密性の高さから、国家公認か非公式かを問わず、偽情報のターゲットになる可能性がある。

The War Zoneは、この模型の画像をいち早くSNSで公開した中国航空分野の専門家、アンドレアス・ルプレヒトAndreas Rupprechtに話を聞きました。

ルプレヒトは、模型はH-2関連の公式設計研究と何らかの関係があると思うと語った。しかし、最終的な爆撃機に至るまでには複数の研究があったはずで、これはその一つに過ぎず、却下されたものだとも考えられると指摘したことが注目に値する。実際、H-20では亜音速全翼機形状と超音速デルタ翼の両方が検討され、明らかに前者が勝利したことを示唆する証拠がある。

布に覆われたH-20と推定されるAVICティーザー動画(2018年)。中国の次世代爆撃機は全翼機形状になると予想されてきた。AVIC

「たとえこれが最終構成でないとしても、最も興味深いものを掴んでいると思います」とルプレヒトは語った。また、ルプレヒトは、J-20ステルス戦闘機の風洞モデルを示す画像が、最終形状を見た数年前に公開された前例があると指摘した。このとき、J-20は模型と「そっくり 」だった。「これが本当にH-20でも、あるいは少なくとも初期のテストモデルであっても、驚かない」とルプレヒトは付け加えた。

風洞実験機は、アメリカ空軍のステルス爆撃機B-2スピリットをコピーしたものであることが明らかになっている。当時は、これがH-20との推測もあったが、代わりに米航空機の品質をテストし、特にそのステルス形状をよりよく理解するため設計されたモデルであったかもしれない

 

初期のの風洞実験形状は、B-2の直系クローンにかなり近い印象を受けた。中国のインターネット

 

これらの最新モデルに関して、描かれている機体は、鋭角な機首と顕著なクランク翼と相まって、飛行翼と混合胴体のハイブリッドデザインのようだ。実際、それは最近のロシアの特許に見られるプランフォームに類似しており、同国が発売予定のツポレフPAK DA爆撃機と強い関係があるのかもしれない。

PAK DA の構成を示すと思われる最近の特許文書からの図面。 yandex.ru

ロシア特許と同様に、新しい中国のモデルは、X-47BやロシアのS-70 Okhotnik無人機に見られる「クランク・カイト」レイアウトを連想させる、翼の外側部分が狭いのが特徴だ。

過去にはZ-10攻撃ヘリコプターの開発初期など、中国とロシアの航空宇宙設計局間で交流があったが、次期爆撃機プロジェクトで両国が何らかの協力関係を築いた形跡はない。

また、双発のロシアのPAK DAと対照的に、中国モデルは4発のパワープラント・コンセプトを示しているように見える。エンジンは、左右の翼胴上面にあるインテークから供給されるが、これはB-2ステルス爆撃機に使用されているものと酷似しており、上面の鋸歯状リップまでそっくりだ。エンジン排気口もB-2の排気口とよく似ており、赤外線シグネチャの抑制に適している。

 

グアムのアンダーセン空軍基地付近で訓練中のB-2スピリット爆撃機が、KC-10エクステンダーから燃料を受け取る。 U.S. Air Force photo/Senior Airman Melissa Perry

しかし、このモデルで奇異なのは、翼の後縁に折りたたみ式の垂直尾翼が見られることだ。今回の画像では、双尾翼が折りたたまれて翼と平らになっているものもあれば、盛り上がりYF-23同様のV字尾翼になっているものもある。この尾翼についても様々な憶測が飛び交っているが、大型全翼機で長年の課題であった安定性の確保用のものである可能性が高い。尾翼は低速時や操縦時に展開され、方向安定性を維持するのに役立つのだろう。

実物大を含む模型が、すでに中国当局に示されている可能性が非常に高いことがわかっている。例えば、昨年10月には、マイクロブログサイト「微博」に、「特殊型」の航空機のモックアップを納入したとする画像が投稿された。XACのCEOとチーフデザイナーが写っていることから、このモックアップがH-20であることが強く示唆されている。また、昨年7月には、モックアップが完成したことを示唆する未確認情報もあった。

H-20の画像を辛抱強く待つ向きは、現実に即しているかどうか不明の短いビデオティーザーでやり過ごすしかなかった。前述のAVICのビデオと同様に、2021年1月には、人民解放軍空軍(PLAAF)の採用ビデオに新型爆撃機の公式レンダリングが登場した。コンピューター作成の機体画像は防水シートで隠されていたが、米空軍の現行ステルス爆撃機B-2や今後登場するB-21レイダーと類似している。

 

2021年初頭に公開されたPLAAFのリクルートビデオに登場する、H-20と想定される飛行翼型航空機のCGレンダリング。 YouTube capture

H-20試作機の初飛行が近いという中国の共産党系メディアの報道が正しいとすれば、この段階で関連画像がリークされても全く不思議ではない。J-20の前例があるだけに。

中国メディアの報道では、H-20についてオープンに語っているとは言え、今も婉曲的に「戦略的プロジェクト」と呼ばれている。

問題を混乱させているのは、中国が新しい低視認性爆撃機2機種を開発中とする米国情報機関による評価だ。報告では、戦略的なH-20と同様に、中型/中距離の地域爆撃機についても述べている。しかし、後者は小型双発機である可能性が高いと報告されており、大型化を示唆する新型機との直接的な関係は否定されているようだ。

各モデルが本当にH-20の外観を反映しているかを断言するのは現段階では時期尚早だが、同機の計画が秘密の覆いの向こうから少しずつ姿を現しつつあることは確かだ。■

 

Do These Models Provide A Glimpse Of China’s Future H-20 Bomber? (Updated)

BYTHOMAS NEWDICKAUG 22, 2022 3:53 PM

THE WAR ZONE


 

2022年7月15日金曜日

H-20の初飛行迫るとの報道の中で、あらためて中国のステルス戦略爆撃機の性能を予想してみた

 


週末、中国の『環球時報』が、戦略上重要な航空機の試験飛行が間近に迫ってきたと報じた。これを受けて、中国初のステルス爆撃機、通称「西安H-20」が間もなく公開されるのではないかという予測が相次いで出てきた。これが本当なら、非米国製のステルス爆撃機として世界初の公開となり、戦略航空戦力の競争で新時代を切り開くことになる。


現在、世界で唯一のステルス爆撃機は、1989年初飛行し、1997年運用開始したノースロップ・グラマンB-2スピリットだ。その他ステルス機と異なり、全翼機設計により、高周波低周波両方のレーダー帯での探知を制限する効果がある。その結果、やや古く、かなり大きいB-2スピリットは、最新鋭ステルス戦闘機F-35よりも探知・追跡が困難な場合が多い。


First ever: USAF B-2 bombers integrate with Norwegian and Dutch F-35  fighters - Blog Before Flight - Aerospace and Defense News


F-35 (top) and B-2 (bottom). (U.S. Air Force photo)


F-35、F-22、J-20、Su-57の各ステルス戦闘機は、高機動飛行の物理的要件で制限を受け、低周波レーダーアレイに検出される垂直尾翼など設計要素を廃止できない。しかし、レーダーは、実際のターゲティングに必要な忠実性に欠ける。つまり、ステルス戦闘機が近くにいる場合、その存在を知ることはできても、確実に撃墜する能力はない。だがステルス爆撃機が上空を飛行していても誰も気づかないはずだ。

 アメリカが20年以上にわたり独占してきた重装備、深部侵入、ステルスの爆撃機技術は、終焉を迎えようとしているのかもしれない。しかし、アメリカの次世代ステルス爆撃機、ノースロップ・グラマンB-21レイダーは開発の後期段階にあり、H-20は同等の性能を有する機体になるのか、それともアメリカの過去の低観測性機と同じ程度の性能に過ぎないのか?


What We Know About the Xian H-20, China's New Stealth Bomber


PLAリクルートビデオの画面キャプチャ。


中国がステルス爆撃機を開発中という噂は、2000年代初頭に出始めた。1999年にユーゴスラビア上空で撃墜されたF-117ナイトホークの残骸を中国当局が入手したとの報道と関連している。ロッキードF-117と同じような角ばったデザインの低視認性攻撃機を開発しているという噂が、その後の10年間絶えなかった。

 2005年、B-2スピリットの推進システム開発に携わったノースロップ・グラマンの設計技師ノシール・ゴワディア Noshir Gowadiaが、爆撃機計画に関する情報を中国政府に売った罪で逮捕・起訴された。ゴワディアは最終的に有罪判決を受け、武器輸出管理法違反で32年の禁固刑を言い渡された。



B-2 Spirit > Air Force > Fact Sheet Display


B-2 Spirit in flight (U.S. Air Force photo)



2009年になると、中国が開発中のステルス戦闘機計画の詳細が明らかになった。このプログラムで2017年に就役した成都J-20マイティドラゴンを実戦配備した。中国がF-117に見られる初期のステルス設計要素をスキップし、F-22に匹敵する戦闘機の開発に注力するとの予測が高まる中、攻撃専用のナイトホーククローン機の噂は衰退し、B-2の流れをくむ中国のステルス爆撃機が新しい懸念材料になった。

 2013年、ドイツの作家で中国航空の専門家アンドレアス・ルプレヒトAndreas Rupprechtが、中国のステルス爆撃機の基本設計と思われるレンダリング画像や模型の写真を発表し、噂の信憑性が少し増した。この双発機は、ステルス戦闘機と爆撃機の境界線を少し曖昧にしているように見え、ノースロップのB-2スピリットと、F-22の競合機だったYF-23とデザインを共有している。

 この設計はB-2のような大型機ではなく、むしろ中距離戦闘爆撃機をめざす別のステルス機であることを示唆している。それでも、中国が次世代爆撃機にステルス設計要素を組み込もうとしているのは明らかだ。




Andreas Rupprecht via the Aviationist.



また当時、中国の理論的なステルス爆撃機の主翼形状は、2009年から開発されていたロシア独自の高度低観測爆撃機プログラムPAK DAのアーティストレンダリングに似ているように見えた。

 2014年7月になると中国のステルス爆撃機開発のベールがはがれ始めた。国営新聞「中国日報」に、中国軍の発展を強調する特集が掲載された。そこで強調されていたのが、「敵防空網を突破できる大陸間戦略爆撃機」の開発だ。

 兵装10トンを搭載し、無給油で最低8000キロ(4970マイル)飛ぶ爆撃機が必要だという。グアムの米軍事施設なら空中給油なしで十分届く範囲にある。



H-20: China's New Stealth Bomber Could Have a 7,500 Mile Range - 19FortyFive


Artist rendering of the H-20. (Chinese internet)



2015年、中国の別のステルス爆撃機計画とされるアーティストレンダリングが、西側メディアに登場した。画像は、2013年のモデルや画像と酷似しており、中国におけるステルス爆撃機開発が成熟していることを示唆した。


Evolving concepts ... This concept art shows a futuristic Chinese tactical bomber over disputed islands in the South and East China Seas. Any strategic bomber would be much larger.


中国が開発中の中距離ステルス爆撃機のレンダリング


2016年、中国人民解放軍空軍司令官の馬暁天大将 General Ma Xiaotianは、新世代の長距離爆撃機を開発する国家取り組みを正式発表した。米国防長官室が実施した2021年評価では、この取り組みは、H-20と呼ばれる中国のステルス爆撃機の開発に言及したものであると思われる。

 同評価書はまた、この新しい爆撃機はおそらく第5世代ステルス技術を採用し、「少なくとも8500km」(5281マイル)の航続距離、「少なくとも10トン」の積載量、および核兵器運搬能力を実現すると述べ、中国が2014年の『中国日報』のコラムで説明した目標の達成に成功したことを示唆している。同じ報告書では、H-20を「全翼機ステルス爆撃機 」とも表現している。

 2018年、中国は、近々登場するH-20ステルス爆撃機が、アメリカ自身のB-2スピリットを彷彿とさせる全翼機形状を活用することを確認した。中国航空工業集団(AVIC)が公開した動画では、全翼機がドロップクロスの下にあり、ノースロップ・グラマンがB-21レイダーをフィーチャーしたスーパーボウルCMと驚くほど酷似した演出がなされていた。


First Official Rendering Of China's H-20 Stealth Bomber Emerges In Glitzy  Recruiting Video


ノースロップ社のB-21のティーザーが上、中国のH-20のティーザーが下。


中国のビデオはステルス爆撃機についてあからさまに論じてはいないが、H-20をアメリカの新型ステルス爆撃機に対する中国の回答として仕立て上げようとする意図的な努力のように思われた。



Why China's Mysterious Stealth H-20 Bomber Could Be a Real Threat | The  National Interest


中国の「Modern Weaponry」誌に掲載されたH-20のレンダリング画像。


中国のH-20ステルス爆撃機について、現時点で明確に言えることはほとんどないが、ある程度の確信を持って断言できることがある。第一に、アメリカのB-2スピリットと同様の全翼機設計であることはほぼ間違いない。これは、ステルス性で大きな利点がある。先に述べたように、このステルス設計のアプローチは、Xバンドまたは同様の高周波数帯を活用する標的レーダーだけでなく、早期警戒低周波レーダー帯にも有効だ。

 H-20は核搭載可能で、陸上ミサイル、潜水艦発射弾道ミサイル、長距離核戦略爆撃機からなる中国独自の核三本柱を確固たるものにすると予想されている。核三本柱は相互確証破壊(Mutually Assured Destruction)を確実にする手段と考えられる。相手国が一度の攻撃で自国の核兵器を一掃する能力を制限されるからだ。

 トーマス・ニューディックThomas NewdickがThe Warzoneに寄稿した、H-20の分析では同機はアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーを搭載し、内部の回転式ランチャーで亜音速巡航ミサイルなど長距離ミサイルの搭載に特化するかもしれないと強調した。



米空軍B-52ストラトフォートレス機に搭載される共通戦略回転式ランチャー。(米空軍)


H-20の潜在的な航続距離に関する情報評価が正確であると証明されれば、巡航ミサイルはH-20とB-2の間の航続距離のギャップを埋めるのに役立つだろう。国防総省は、B-2の約7000マイルに対し、H-20の航続距離は「少なくとも」5281マイルと考えている。アメリカ本土は中国沿岸から7,200マイル以上離れており、太平洋上に給油機が存在すれば、アメリカの防衛に注意を促す可能性が生まれる。しかし、長距離かつ観測性の低い核巡航ミサイルは、距離を補い、空からの信頼性の高い核兵器運搬手段として、中国で役割を果たす可能性がある。



After Two Years of Delays to America's B-21 Bomber - Rival Chinese H-20 May  Fly First


ノースロップB-21(上)、H-20(下)のレンダリング画像。


中国は、ステルス戦闘機1機種を配備し、2機種目を就役させるなど、軍事組織の近代化を急速に進めている。しかし、現在まで、中国は米国のような極端に低い観測性プラットフォームの能力を示していないように思われる。

 中国の現在のステルス戦闘機J-20は、正面からのレーダー断面積(RCS)が非常に小さいとされているが、機体自体はアメリカのステルス戦闘機よりも観測しやすいというのが大方の見方である。専門家の評価では、J-20のRCSは0.5m2から3m2であり、F-22の0.0001m2やF-35の0.0015m2と比較される。ロシアのSu-57フェロンよりも発見されにくいが、J-20のステルスプロファイルは、同世代のステルス戦闘機と同等ではないようだ。

 また、中国が小型で高ステルス性能のB-21レイダーに対抗するため、B-2の低観測能力を凌駕する機体を実現しているとの証拠はほとんどない。実際、H-20はB-2と同等のステルス性能を発揮できない可能性があると考えるのが妥当だろう。ミッションプランニングはあまり議論されていないが、実はステルス運用で最も重要な側面だ。

 B-2コミュニティでは、「ミッションプランニングは主要な戦術で、ミッションプランニングの質が我々を際立たせています」と、DVIDSインタビューで第393遠征爆撃飛行隊司令官のB-2パイロット、クリストファー・コナン中佐は語ってる。

 というわけで、アメリカのステルス爆撃機独占はまもなく終わるかもしれないが、そのステルス支配はまだ終わらないようだ。■


H-20: What we know about China's stealth bomber - Sandboxx

Alex Hollings | July 13, 2022

 

Alex Hollings

Alex Hollings is a writer, dad, and Marine veteran who specializes in foreign policy and defense technology analysis. He holds a master’s degree in Communications from Southern New Hampshire University, as well as a bachelor’s degree in Corporate and Organizational Communications from Framingham State University.