ドイツ連邦軍の装備稼働状況がひどくなっているのはここ数年の話ですが改善の知らせが入ってきませんね。昨年はF-35導入を主張した空軍トップが事実上更迭させられましたが、シビリアンコントロールをいいことに国防に無理解むしろ嫌悪する頭でっかちの政治家がドイツ国防の弱体化を招いている気がします。国民の9割が自衛隊を支持、と日本の首相は喜んで発言していましたが、国会では半分近く、教職員では過半数以上が反対の姿勢では。指導者はその国の有権者の資質のあらわれとはよく行ったもので、国を滅ぼしかねなくなっても思考行動が変わらない人がトップに立てば悲劇そのものです。
Here's A Crazy Idea: A European Union Aircraft Carrier
欧州連合の空母整備が正気の沙汰とは思えない理由
Why? We explain.
by Michael Peck
March 16, 2019 Topic: Security Region: Europe Blog Brand: The Buzz Tags: European UnionGreat BritainGermanyEuropean IntegrationAircraft Carrier
ドイツはひょっとしたらブレグジットへの復讐として英国商船隊を北大西洋で再び撃沈しようというのか。
でなければ、ドイツで頂上に立とうという政治家が航空母艦保有を欧州連合に求めたことは筋が通らない。
「ドイツとフランスはすでに次世代の戦闘機開発で共同作業を始めている」とドイツ紙ディ・ベルトに寄稿し、「次のステップは象徴プロジェクトとして欧州共同保有の航空母艦一隻を建造し欧州連合の世界的な役割として平和と安全の護り手としての姿を示そうではないか」と述べた。
メルケルはこの構想に賛同しているようだ。「それだけの装備が欧州に生まれれば素晴らしい、喜んで実現たい」
皮肉にもクランプ=カレンバウアーはフランス大統領エマヌエル・マクロンの欧州統合強化提言は退けている。「欧州各国の主権を認めたままで欧州に超国家はありえない」とした。
それでも欧州共通防衛政策が生まれる余地は残っており、欧州安全保障理事会に英国も席を連ねている。欧州共同保有航空母艦も同様だ。
クランプ=カレンバウアーでさえ欧州空母構想を「象徴的存在」と述べている。空母一隻を整備する価値は陸上機材で届かない場所近くに移動航空基地として回航し運用することにある。これに関心を有するのはグローバルに権益を希求する一部諸国のみで米ロ中以外に欧州では英仏両国は空母を運用中だ。HMSクイーン・エリザベスは中国への警告として派遣される。フランスのシャルル・ド・ゴールならびに提案中の後継艦はフランスがまだ残す植民地への権益の存在を知らしめている。
だが欧州のその他国には軍艦を海外に定期派遣していない、海軍部隊が小規模、内陸国で海軍が不要の国もある。空母一隻ではロシアと東ヨーロッパ、北ヨーロッパ、バルト海での武力衝突に効果はたかがしれている。必要なのは防衛体制の整備であり、護衛艦船の建造でありバルト海地方でロシアの海空軍攻勢に耐えることであり、ロシアの極超音速ミサイルK-300Pバスティオンのような存在に対応することだ。米海軍でさえあれだけの予算や資源がありながらスーパー空母の生き残りを心配している。欧州が米フォード級空母(130億ドル)を超える戦力と残存性を備えた空母を設計建造できるとは思えない。
欧州の権益は地中海だ。2018年に英仏両国が米国に加わりシリア政府施設に空爆とミサイル攻撃を加えた。陸上基地機材はキプロスやイタリアから出撃した。欧州連合は地中海を渡って押し寄せる不法移民の流れを止めたいとする。空母を沿岸警備に投入すれば非常に高くつく。
.問題の本質は空母の効用ではなくヨーロッパは何を断念するかだ。ドイツ軍の稼働体制は劣悪でタイフーンジェット戦闘機は地上に待機し、艦船は出港できず陸軍部隊の装備はお粗末で冷戦時代の数分の一の戦力しかない。NATOでGDP比で2パーセント以上を国防予算に支出する加盟国は少ない。それだけ負担すれば空母、艦載機、護衛艦の建造予算は残らない。最大のロシア脅威はミサイルやサイバー戦だが空母では対応不能だ。
欧州空母が実現しても疑問が残る。どの国が指揮するのか。どこで建造し、どの国が建造するのか、どこの機材を搭載するのか。フランスは独自にラファールM艦載機を整備し、英国はF-35採用を決めている。空母はどこの指揮統制下に入り危険な任務に向かわされるのか。
.欧州各国で英本土上陸シーライオン作戦を再び実施するのでない限り空母建造は愚行だ。■
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook .