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2026年7月14日火曜日

B-21は搭乗員2名体制で当面運用すると米空軍が方針を決定―WSO/CSOにもパイロット訓練を施す

 The U.S. Air Force has officially decided that the B-21 Raider will be flown by a crew consisting of two pilots, just like the B-2 is today.

USAF

米空軍がB-21レイダーでパイロット1名運用案を見送りへ

USAF Decides Against Flying B-21 Raiders With Just One Pilot


B-21爆撃機の配備開始に向け、同機の乗員構成を米空軍が正式に決定した

空軍は、B-21レイダーを現在のB-2と同様にパイロット2名で運用することを正式に決定した。同軍は以前、パイロット1名のみと兵器システム担当官(WSO、通称「ウィッゾ」)による運用を検討していた。一定の資格を持つWSOおよび戦闘システム担当官(CSO)の一部を、将来のB-21機群のパイロットへ転換させる。

B-21の2名体制に関する正式な発表は昨日行われた。これは、6月に空軍が発表した運用試験パイロットが試作前の「レイダー」の操縦桿を初めて握ったというニュースに続くものだ。

「B-21の先進能力を慎重に分析した結果、空軍指導部は、パイロット2名体制が同機の任務プロファイルを最適に支援できると判断した」と公式発表は述べている。「 『レイダーの殺傷能力と生存性を最大化するためには、現在WSO(兵器システム将校)およびCSO(戦闘システム将校)のコミュニティに蓄積されている豊富な戦術・戦闘経験を維持することが不可欠である』」

「空軍は、選抜された兵器システム将校および戦闘システム将校を対象に、パイロット転換プログラムを設立している。選抜された将校はパイロット訓練を受講し、その後B-21配属となる」と発表は付け加えた。「対象将校には、情報が利用可能になり次第、指揮系統を通じて追加情報が提供される。」

レイダーは現在も開発中だが、空軍は来年、サウスダコタ州のエルズワース空軍基地で同機の配備を開始する。公表された計画では、少なくとも100機のB-21を調達することになっているが、空軍当局者はより正確な数値を来年発表すると述べており、機数は多くなると広く予想されている。これは、必要となるパイロットの総数にも影響を及ぼすことになる。

「パイロットは11Bの爆撃機パイロットとなり、空軍は現在、B-21パイロットの必要人数について検討を進めている」と、空軍広報は本日、乗員配置に関する決定の詳細を尋ねた本誌に対し直接こう語った。

ここでいう「11B」とは、爆撃機パイロットの基本的な空軍専門職種コード(AFSC)だ。接尾辞は、個人が操縦を割り当てられる特定の爆撃機タイプを示すため使用される。この管理コードは米陸軍の歩兵向け軍事職種専門コード(MOS)の「11B」と混同してはならない。

B-2爆撃機の標準的な乗員構成も2名のパイロットである。また、出撃の一部(場合によっては数日間に及ぶこともある)において、一方のパイロットが飛行している間、もう一方が睡眠をとれるよう、小型簡易ベッドも備えられている。パイロットを2名配置することは、安全上の余裕も生む。とはいえ、単一パイロットによるB-21運用については、空軍は緊急時に機体を操縦できるよう、WSO(武器管制官)に追加訓練を実施することもできたはずだ。

「B-21は、乗組員への支援という点で、B-2とほぼ同様になるだろう」と、空軍グローバルストライクコマンド(AFGSC)の司令官であるスティーブン・デイヴィス空軍大将は、1月に当誌のハワード・アルトマンとのインタビューTWZ語った。「乗組員が休息状態に入れる十分なスペースがある。当然ながら、トイレに行く場所や食事を準備する場所もある。こうした設備はすべてB-21にも備わることになる。」

Exclusive First Look: Step inside the cockpit of a B-2 stealth bomber thumbnail

独占初公開:B-2ステルス爆撃機のコックピット内部に潜入

これは、空軍の爆撃機部隊やその他の戦略的能力を統括するAFGSCの指揮を執って以来、デイビス大将にとって初めてのインタビューだった。前任者で退役しているトーマス・ブシエール大将は、B-21をパイロット1名とWSO(武器システムオペレーター)1名での運用を推奨していた

「B-21の乗員構成については、空軍省内で議論が続いている。最終決定は下されていない。率直に言えば、B-2でも同様の議論があった。そして最終的には、機体のコストや生産台数などの理由からパイロット2名体制が採用された」と、この点について尋ねられた際、デイビス大将は本誌インタビューで述べた。「当時はB-2のパイロットになるには、航法士またはWSOの経験が必須条件だった。その後、その要件は撤廃されたが、当初は要件の一つだった」

空軍がWSO(武器システムオペレーター)およびCSO(戦闘システムオペレーター)をB-21パイロットへ移行させると正式に発表した今、この後者の点は特に注目に値する。

「B-21パイロットに関しては、機体が異なり、数多くの異なる能力を備えているため、状況は異なります」とデイビス大将は付け加えた。「したがって、適切な対応としては、乗員構成を慎重に検討し、いかにしてこれを可能な限り能力の高い戦闘プラットフォームにするかを決定すべきだと考えています」

空軍がB-21の単座運用を今後検討するかは依然として不明だ。少なくとも、「レイダー」開発につながった長距離攻撃爆撃機(LRS-B)プログラムの要件の一部として、オプション操縦モード、あるいはそれを迅速に統合する手段に対する要望は明示されていた。本誌は、情報公開法(FOIA)を通じ「長距離打撃爆撃機の調達に関する監査」と題された国防総省監察総監室報告書の大幅な黒塗り処理が施されたコピー入手し、2017年にすでにこの点を強調していた。同報告書の日付は2015年9月8日であり、ノースロップ・グラマンがLRS-Bを落札したのと同じ年である。

2025年11月、空軍がB-21の単一パイロット運用を検討しているという報道が初めて浮上した際、本誌は指摘した。すなわち、高度な自動化と人工知能(AI)を組み込んだ自律性が、設計に組み込みずみという強い兆候があったのだ。

こうした機能は、いつの日かB-21において「パイロット不要」または「無人」モードへの道を開く可能性もあるが、現在爆撃機を操縦している人間のパイロットにとっても非常に有益となり得る。ここ数年、米軍は「仮想副操縦士」型の技術に公的に多額の投資を行っており、固定翼機ヘリコプターの乗組員の安全マージンを高め、作業負荷を軽減しようとしている。これは、機密扱いされている分野で行われている取り組みに追加されるものだ。

以前にも次のように報じている:「2010年代初頭以来、国防高等研究計画局(DARPA)は、Aircrew Labor In-Cockpit Automation System(ALIAS)と呼ばれるプログラムを通じて、ヘリコプターや固定翼機で使用可能なAI『副操縦士』の開発を顕著に支援してきた。これは、安全マージンの向上と人間パイロットの作業負荷軽減を目的としている。ALIASの取り組みは、ロッキード・マーティンのMATRIX自律飛行制御ソフトウェアパッケージを中心に進められてきた。」


シコースキーがDARPA ALIASフェーズ2の自律飛行を完了

Shield AIMerlinといったその他企業も、同様の自律飛行パッケージを開発し、その能力を着実に高めている。特にMerlinは、自社の自律飛行ソフトウェアを空軍のKC-135給油機に統合する取り組みを進めている。シールドAIの「ハイブマインド」は、すでに数多くの有人および無人プラットフォームに統合されている。また、B-21は10年以上にわたって開発が進められてきたため、この点におけるその能力は、当時としてははるかに時代を先取りしていたであろうことも注目に値する。」


自律型ジェット機の連携:Hivemind + MQM-178 ファイアジェット

「AIエージェントは、B-21乗員にさらに冗長性と安全マージンを提供するとともに、総作業負荷の軽減にも寄与し、単一パイロットに伴うリスクを相殺することができるだろう。もしその仮想副操縦士の機能が、B-21の綿密に計算された「ブルーライン」飛行経路に沿って、脅威を攻撃するか、妨害するか、あるいは完全に回避するかといった、的確に練られた戦術的助言を提供するまでに及ぶのであれば、生存性と戦術的柔軟性を大幅に向上させることにもつながるだろう。」

それ以外では、米軍当局者や連邦議会議員によると、B-21は引き続き少なくとも数点の障害があったにもかかわらず、概ね予定通りかつ予算内で進められている模範的な調達プログラムだ。2月、空軍は配備を加速させるため、同機の生産ペースを引き上げると発表した。

最初のB-21がエルズワース空軍基地に着陸する際には、2人のパイロットが操縦することになると予想される。■

ジョセフ・トレヴィシック

副編集長

ジョセフはTWZの副編集長として、当サイトの経験豊富で献身的なチームの統括を支援するとともに、有益かつ影響力のある防衛・国家安全保障に関するコンテンツを執筆している。彼はその中心地であるワシントンD.C.エリアに在住している

2026年7月13日月曜日

英国への急な訪問でトランプはブリッジ機VC-25Bから従来型のVC-25Aに乗り換えた―公式訪問は予備機もペアで運行するのが通例。ここに来てイランがトランプを暗殺リストの最上段に置いたとの情報が出てきました

 President Donald Trump has left Turkey on an older VC-25A Air Force One jet. The U.S. Air Force’s new VC-25B Bridge aircraft had brought Trump to that country yesterday for the NATO Summit, but left without him on board earlier today.

SAUL LOEB / AFP via Getty Images

英国基地への予定外の訪問で、トランプはなぜ新型エアフォースワン機から旧型機へ乗り換えたのか

Trump Unexpectedly Swaps New Air Force One Jet For Old In Sudden Trip To British Base


変更理由は不明だが、新型VC-25Bブリッジ機の防衛能力やその他性能に大きな懸念が寄せられていたのは事実だ

https://www.twz.com/air/trump-unexpectedly-swaps-new-air-force-one-jet-for-old-in-sudden-trip-to-british-base


ナルド・トランプ大統領は、旧型VC-25A「エアフォース・ワン」ジェット機でトルコを離れた。米空軍の新型VC-25Bブリッジ機は、昨日、NATOサミット出席のためトランプ大統領を同国へ運んだが、本日早朝、大統領を乗せずに離陸していた。トランプ大統領はこれに先立ち、「昔を懐かしんで」ブリッジ機ではなくVC-25Aでトルコから英国のRAFミルデンホールへ向かうことを確認していた。「ブリッジ」機(カタールから寄贈され、改造されたボーイング747-8i)は、先にミルデンホールへ向かった。こうした事態は極めて異例であり、他の要因、具体的には作戦上のセキュリティ上の変更などが影響しているのではないかとの疑問を招いている。

VC-25Aは昨日、予備機として「ブリッジ」機に続きトルコの首都アンカラに向かっていた。この機体の変更は、昨日行われた米国によるイランへの新たな空爆を受けてのものであり、トランプ大統領はサミット会場から直接この空爆を命じたと報じられている。「ブリッジ」機が備える通信、防衛、その他の能力の全容についても、疑問が投げかけられ続けている。

「勇敢な軍人たちに敬意を表し、真に壮観な真新しいエアフォース・ワン[VC-25Bブリッジ機]を英国のミルデンホール空軍基地へ派遣し、彼らに機内を見学する機会を与えることにした。皆が大変興奮しており、彼らに真っ先に体験してもらうべきだと考えた」と、トランプは本日早朝、自身の「Truth Social」サイトに投稿した。「昔を懐かしんで、旧エアフォース・ワンをトルコからミルデンホールへ運ぶことにした。短い旅だが、わが偉大な軍の英雄たちに、空軍機群に新たに加わった美しい機体を鑑賞する機会を与える価値がある!」

トランプは「Truth Social」の投稿でVC-25Aを「元」エアフォース・ワン機と呼んだが、空軍はTWZに対し、ブリッジ機の納入後もこれらの機体が引き続き運用され、ローテーションに組み込まれていることを明確に確認している。また、大統領を搭乗させる空軍機はすべて「エアフォース・ワン」のコールサインを使用することになる点も忘れてはならない。

RAFミルデンホールは米軍の航空作戦における主要拠点であり、今年初め、イラン空爆を支援するため多用された。大統領はまた、ブリッジ機が帰国する前に欧州の他の場所に立ち寄る可能性もあるとほのめかしている。

本日、RAFミルデンホールに到着したVC-25Bブリッジ機。アンドルー・マッケルヴェイ

「この機はヨーロッパの主要基地のうち2、3カ所へ向かう。そこで人々に機体を見てもらうつもりだ」と、トランプ大統領は本日開催されたNATOサミットでの記者会見で、自身の旅行計画に関する質問に答えて述べた。「帰国は通常の手段で行う予定だ。」

「古くて大きな機に乗り込む。大統領への視線は一切なし/機体下での記者団の群れもなし。」

トランプ大統領の同行報道陣の一員Politicoのメーガン・メッサーリーも、VC-25Aがアンカラを出発する前に次のように投稿した。「報道陣用キャビンの窓のシェードを閉めておくよう指示を受けた。向こうで会おう。」

前述の通り、トランプ大統領はNATOサミットへ、VC-25B「ブリッジ」機に乗機し、空軍が保有する2機のVC-25Aのうち1機を引き連れて向かった。トランプ大統領が海外出張でブリッジ機を使用したのはこれが初めてだった。大統領は先週、米国建国250周年を記念する行事に出席するためノースダコタ州を訪問して、この機体に初めて搭乗した。その際も、予備機としてVC-25Aが使用されていた。

また前述の通り、米軍は昨日、イランに対して新たな空爆を実施した。ニューヨーク・タイムズの報道によると、匿名の米当局者の話として、「トランプ大統領は、アンカラでダン・ケイン統合参謀本部議長、ピート・ヘグセス国防長官、マルコ・ルビオ国務長官を含む米政府高官らと会談し、NATOサミット会場からイランへの空爆を承認・命令した」という。

今回の米国の空爆は、ホルムズ海峡内およびその周辺でイランが商船に対して行った新たな一連の攻撃に対する報復措置である。本日早朝、トランプ大統領は今夜、イランに対してさらなる措置を講じる可能性に言及した。これにより、両国間の大規模な紛争が再燃する可能性について新たな懸念が生じている。詳細については、TWZの別記事こちらを参照されたい。

「エアフォース・ワン」の役割を担う航空機で重要な要件の一つは、大統領が米軍の最高指揮官やその他の高官と確実に連絡を取り合える状態を維持することであり、これにより、いかなる深刻な不測の事態にも即座に対応できる。中東情勢が流動的で、ごく近い将来にイランに対するさらなる軍事行動が行われる可能性があることを踏まえれば、これは特に重要である。現在は重要な計画策定作業やその他の会議が進められている可能性が高い。

2026年7月4日、ワシントンD.C.上空を飛行する前にアンドリュース空軍基地で撮影された、新しいVC-25Bブリッジ機(左)と旧型のVC-25Aの1機(右)。USAF

昨日イランを攻撃する決定、および本日再び攻撃を行う可能性は、トランプを取り巻く全体的な部隊防護態勢にも影響を及ぼした可能性が高い。テヘラン政権は過去に何度も直接トランプを脅迫してきた

余談だが、現在ソーシャルメディア上で拡散されている写真には、航空機観察者が定期的に集まる基地外周の地点からミルデンホール基地を視認できないよう、少なくとも遮蔽を試みていると思われるトレーラーや防水シートも写っている。それでも、観察者たちはブリッジ機の姿をちらりと捉えることに成功している。

本誌含む各メディアは、カタールから贈呈された747-8iに施された改造の妥当性について、一貫して深刻な疑問を提起してきたL3Harrisが改造作業を主導し、わずか10ヶ月の短期間で「ブリッジ」機を空軍に引き渡した。

特に防御用対抗措置は、どの機体でも統合には時間と入念な作業を要するものであり、既存の手順が存在しない可能性のある新型機であればなおさらである。統合後は、それらのシステムが意図した通りに機能し、物理的にも無線周波数帯域においても他の機能と干渉しないことを確認するために、厳格な試験が行われなければならない。現時点では、VC-25Aに搭載されている防御システムのいずれもが、VC-25Bブリッジ機に装備されているという目立った兆候は見られない。

米国当局者L3Harris社は、空軍の要人輸送機隊に新たに加わったこの機体を巡る作戦上の機密性やその他の懸念を軽視してきたが、疑問は残ったままだ。これは、この機を巡る批判や論争の一面に過ぎない。米国政府への寄贈を取り巻く状況そのものが極めて異例であり、そもそもこの機体が必要だという正当性についても、依然として議論の的となっている。

つい昨日、Breaking Defenseが報じたところによると、コネチカット州選出のクリス・マーフィー上院議員を筆頭とする民主党上院議員13名が、トロイ・メインク空軍長官およびL3Harrisのクリス・クバシックCEOに対し、継続的な懸念に対処するための追加情報の提供を求める書簡を送付した。記事によると、議員らは、トランプ政権が彼らの要請を無視し続けていると主張している。

本日、RAFミルデンホールに着陸するVC-25Bブリッジ機の別の写真。アンドルー・マッケルヴェイ

一方、ボーイングは他の2機の747-8iを、完全装備のVC-25Bエアフォースワン機へ改造する作業を進めてきた。同プログラムは遅延とコスト増に悩まされており、これら2機の最初の1機が引き渡されるのは2029年になる見込みだ。また、空軍は現在、ルフトハンザから引き継いだ別の747-8iを保有しており、これを、拡大されたVC-25機群の支援に割り当てられた乗員および地上要員の訓練機として使用している。もう1機の元ルフトハンザの747は、予備部品取りとして解体される予定だ。

少なくともトランプ大統領は、新型のVC-25Bブリッジ機で海外へ飛行したことになるが、本日の彼の訪問は、旧型VC-25Aが依然として十分に利用可能であることを浮き彫りにしている。■

ミルデンホールに到着したVC-25Bブリッジ機の写真を共有してくれた、地元航空写真家アンドルー・マッケルヴェイ氏に特別に感謝します。

ジョセフ・トレヴィシック

副編集長

ジョセフはTWZの副編集長として、当サイトの経験豊富で献身的なチームの統括を支援するとともに、有益かつ影響力のある防衛・国家安全保障に関する記事を執筆している。彼はその中心地であるワシントンD.C.エリアに在住している。


2026年7月12日日曜日

ホームズ教授の視点:B-2へ対艦ミサイルLRSM16発搭載可能となり台湾海峡での中共の想定は大きく変わる

 B-2

B-2。画像:クリエイティブ・コモンズ。

対艦ミサイル最大16発搭載可能になったB-2で台湾海峡の勢力図は一変する

The B-2 Spirit Stealth Bomber Can Now Carry 16 Anti-Ship Missiles. That Changes the Math in the Taiwan Strait


米空軍は、B-2スピリットに長距離対艦ミサイルを搭載する改修を行い最大16発まで搭載可能になったといわれる。これは重大な意味を持つ。中国が台湾に軍事行動を起こすには、台湾海峡を制圧しなければならない。中国の防衛網をすり抜け、海上交通を脅かせるステルス爆撃機がその支配を阻む手段となるからだ。

クセス拒否。この夏、人々の心を温めたニュースの一つに、由緒あるB-2スピリット・ステルス爆撃機に関するものがある。Sandboxx Newsでは、アレックス・ホリングスが、米空軍がB-2に長距離対艦ミサイル(LRASM)の発射能力を装備したというこのニュースをくわしく報じている。LRASMは、台湾海峡のような戦域で敵船舶を攻撃するために特別に開発された最新鋭兵器だ。この発表は驚きだった。空軍はこの取り組みを密かに進めていたのだ。そして、それは歓迎すべき驚きである。中国が台湾に侵攻したり、島民を飢えさせるため効果的な封鎖を敷いたりするには、台湾海峡の制海権を掌握しなければならない。制海権を奪われれば、台湾に対する中国の戦略は失敗に終わる。島は持ちこたえることになる。

米空軍がこの課題に取り組んだ。B-2は最大16発のLRASMを搭載できる。これは、海上アクセス拒否任務にとって、非常に強力な火力になる。したがって、このミサイルと爆撃機の組み合わせは極めて重要だ。さらに言えば、両者の連携は戦術の域を超えている。それは作戦上、戦略上、さらには政治上においても重要な意味を持つ。

考えてみてほしい。時間、射程、そして組織文化こそが、台湾海峡および中国海域における米国の海上戦略にとっての主要な課題である。第一に、時間だ。中国人民解放軍(PLA)は、「アクセス拒否・領域拒否(A2/AD)」兵器体系を、米国を拠点とする統合部隊――米太平洋艦隊およびそれに所属する空軍・陸軍の遠征部隊――を、PLAの指揮官が台湾海峡、南シナ海、あるいは戦場となるいかなる場所においても北京の目標を達成するのに十分な時間、足止めさせるように設計している。彼らには時間稼ぎが必要なのだ。

成功すれば、アクセス拒否・領域拒否は、時間を中国の味方につけることになるだろう。

アクセス拒否の考え方は、米国西海岸やハワイから来る部隊が、西太平洋(主に日本)に駐留中の部隊と合流するのを遅らせることにある。米軍の統合部隊であれば、中国の戦略を阻止する可能性はある。しかし、ミサイル、航空、水上、水中からの攻撃によって個々の部隊を弱体化させつつ、米軍部隊を分散させたままにできれば、優位は人民解放軍の防衛側に転じるだろう。人民解放軍の戦略家たちは、この地域へのアクセスを完全遮断できるとの幻想を抱いていない。しかし、彼らは「アクセス拒否」によって米軍の行動の自由を制限し、増援の到着を十分に遅らせ、米軍が戦闘の時点と場所で優勢な戦力を結集することを阻止できると確信している。

したがって、ここでも時間が極めて重要な戦略的要素となる。中国人民解放軍は、事態を加速させるため一旦その流れを遅らせる必要がある。中国人民解放軍は、現地の敵対勢力に対し勝利を迅速に収めるため、米軍の動きを十分に遅らせる必要があるのだ。したがって中国にとって、アクセス拒否/領域拒否(A2/AD)とは、西太平洋における米国の介入を遅らせ――あるいは理想的には阻止する――ための戦略である。「遅くして、速くする」。

そうである以上、米軍は時間を引き延ばさなければならない――これができなければ敗北する。米軍も時間を味方につける必要がある。人民解放軍と異なり、米軍は事態の進行を遅らせる必要がある。これが肝心だ。動きの遅い在米部隊が、戦況に決定的な影響を与えるべく間に合うよう、中国の動きを遅らせなければならない。

重要な点はここにある。我々は「アクセス拒否」を中国特有のものと考えがちだが、その論理は双方向で成り立つ。中国がアクセスを拒否しようとするのと同様に、他国も中国へアクセスを拒否できる。だからこそ、空軍の貢献は喜ばしいのだ。LRASMを搭載したステルスB-2爆撃機は、中国人民解放軍のアクセス拒否圏内に侵入し、中国の船舶を攻撃できる。例えば、台湾海峡で不測の事態が発生し、空軍の爆撃機が中国の侵攻艦隊の相当部分を無力化または撃沈できれば、中国に不可欠な台湾へのアクセスを、少なくとも一時的に阻止したことになる。空襲で時間を稼ぐことができるのだ。

アクセス拒否に成功すれば、重装備部隊は戦場に集結する余裕を得られ、中国人民解放軍を個別撃破する合理的な可能性が生まれる。

第二に、これと密接に関連するのが兵器の射程である。米空軍は、各軍司令官が「対海作戦」と呼ぶ作戦の遂行方法を説明する教義を策定しており、空軍の航空機は近年、こうした任務を熱心に訓練してきた。(ちなみに、海軍の役割も積極的に受け入れている米陸軍にも称賛を送りたい。)ミサイルを搭載した空軍がより遠くまで攻撃できれば、中国軍の戦場への進入を阻止できる可能性が高まり、強力な中国人民解放軍の防衛網との交戦で生き残る可能性も高まる。射程が伸びれば威力が向上し、リスクも軽減される。

これが具体的にどのように展開するかは依然として不明である。LRASMの公表射程は200海里以上とされているが、国防総省は——当然の理由から——実際の技術仕様の開示については曖昧な態度をとっている。LRASMは、米空軍の「長射程合同空対地攻撃ミサイル(JASSM-ER)」から派生したもので、JASSM-ERは最大575海里と推定される射程を誇る。LRASMは、JASSM-ERとは異なり、公表されている200海里の攻撃射程のほぼ3倍に達することはないだろう。何しろ、移動目標に対して機動を強いられることになるからだ。機動には燃料を消費する。

とはいえ、このミサイルは公表されている技術的パラメータを十分に上回る可能性があり、それによって米爆撃機が中国人民解放軍の「アクセス拒否」の壁を突破し、中国の意図を挫く可能性が高まる。

射程は重要だ。

そして第三に、文化だ。「拒否防衛」――2026年米国国防戦略で定められたこの戦略は、戦力的に劣る側の戦略である。これは単純な現実だ。西太平洋での紛争初日において、米国および同盟軍がさらに強力な戦闘勢力となる可能性はほぼ皆無である。東アジアに駐留する米軍のわずかな兵力が、中国人民解放軍の地盤で、人民解放軍全体の総力を相手に戦わなければならない。したがって、同地域に優勢な戦力が集結するまで、防御に徹することが不可欠となる。

したがって、「拒否戦略」は、迅速な勝利を求める米軍の志向に反する。何十年もの間、米軍は強力な戦闘勢力であることに慣れ親しんできた。実際、こうした志向は米軍の軍事ドクトリンに深く刻み込まれており、ひいては米国の海軍、空軍、陸軍の将兵が軍人という職業をいかに捉えるかにも影響を与えている。前述の通り、「拒否戦略」とは、弱者が強者に形勢を逆転させ、勝利を収めるまでの時間を稼ぐことを意味する。しかし、劣勢な立場から戦いを始めるというのは、1942年――大日本帝国海軍が猛威を振るっていた時代――に遡る米国の伝統と相容れない戦法である。その年の6月にミッドウェー海戦で圧勝していから、米軍は常に優位な立場から作戦を展開してきた。(朝鮮半島での短期間ながらも恐ろしい一幕は別だが。)

要するに、米軍は、争われている地理的空間から敵対勢力を一掃し、敵に自らの意志を押し付けることに慣れているのだ。「海の支配」という断固として攻撃的な世界観は、兵力の上回る敵に支配権を認めないという防御的な世界観とは根本的に異なる。この区別は重要だ。軍隊のような官僚組織は、周囲の世界が変化しても、その運用様式を変えることに極めて抵抗を示すことで悪名高い。それらは一種の機械であり、機械は稼働中に容易に自らを再設計することはない――たとえ運用環境が変化したとしても。米軍の「機械」が、攻撃的な思考様式から防御的な思考様式へと円滑に移行できるかどうかは、決して当然のことではない。しかし、そうしなければならない。

JASSM Missile

JASSMミサイル。画像提供:19FortyFive

要するに、LRASMとB-2を組み合わせることは極めて理にかなっている。戦術的、作戦的、戦略的な可能性を示している。これは、米空軍が戦術的攻撃を通じて戦略的防衛を行う方法を体現しており、これほど魅力的な組み合わせがあるだろうか?しかし、米国の成功を阻むハードルは依然として残ったままだ。■

著者について:ジェームズ・ホームズ博士(米国海軍戦争大学)

ジェームズ・ホームズは、海軍戦争大学のJ. C. ワイリー海洋戦略講座教授であり、ジョージア大学公共・国際問題学部のファカルティ・フェローを務めている。本記事で述べられている見解は、あくまで著者個人のものである。

2026年6月30日火曜日

米空軍T-7レッドホーク開発の苦悩① ボーイングも把握できていない予想外に多い問題で自社損失が拡大中 ― 同機は日本の次期練習機候補にあがっているのですが。

 

T-7レッドホーク練習機。(グラフィック:Breaking Defense、オリジナル写真:DVIDS/Getty)

米空軍T-7レッドホーク開発の苦悩① 

EXCLUSIVE: Inside the secret struggles of the Air Force’s T-7 Red Hawk

From a weather restriction to a "serious" airworthiness risk, the Air Force's newest training jet faces far more issues than previously reported, an investigation by Breaking Defense found.

本誌調査によると、気象条件による運用制限から「深刻な」耐空性リスクに至るまで、空軍の最新練習機はこれまで報じられていたよりはるかに多くの問題に直面していることが判明した。

https://breakingdefense.com/2026/06/t7-red-hawk-air-force-trainer-secret-struggles-investigation/

ワシントン発――米空軍は、2028年までにT-7レッドホークが新米パイロットを乗せて飛行を開始し、訓練の新時代を告げられると見込んでいる。

しかし、本誌が入手した2025年8月付の空軍内部資料によると、導入後数年間は、機体に「深刻な」耐空性リスクが伴うとされている。原因は、同資料が「不適合」と表現する、請負業者ボーイングによる訓練用ジェット機に関する必要情報の提供不足にある。

本誌調査によると、これはレッドホークの運用開始に向け、空軍当局者が容認してきた、これまで報じられていない問題の一つである。

情報筋や現職・元空軍当局者、アナリストへのインタビューに加え、内部文書の精査も行った今回の調査は、T-7プログラムのつまずき、航空機メーカーであるボーイングとの緊張関係、さらに空軍が事態を立て直す計画について、これまでで最も詳細な全体像を明らかにしている。

本調査で判明した点は以下の通りである:

  • 最初の82機は、「深刻な」耐空性リスクを抱えた状態で飛行すると予測されている。

  • 詳しい情報筋は、T-7の配備を早めようとする試みが、若手パイロットへのリスクを高めると懸念している。

  • 空軍は、同機の維持管理を「高リスク」と評価している。

  • 空軍内部文書によると、ボーイングが同機に関する特定データを提供しなかったことは、同社による「不遵守」に相当するという。

  • 同機は雨天時の飛行が不可能で、地上型シミュレーター導入でも苦戦中。

  • 空軍とボーイング幹部は、政府による同機エンジンの調達方法の変更案を検討中。これには納税者に最大15億ドルの「追加」費用がかかる見込みだが、見返りとして、ボーイングが自社の747-8iに関する技術データを提供する可能性がある。

本誌の取材に応じた2人の情報筋は、レッドホークには将来性があり、当局者も安全確保に尽力していると述べた。しかし、同機の開発スピードについて懸念を示し、政府は契約で定められた条件をボーイングに遵守させることに失敗していると主張した。その根拠として、遅延や、納税者が負担せざるを得なくなる可能性のある数百万ドル規模の追加費用を挙げた。

「契約の履行状況が不十分であるために、政府は能力を実現できないのではないかと懸念している」と、T-7プログラムに直接関与する情報筋(他の関係者と同様、本記事では匿名を条件に取材に応じた)は本誌に語った。

これは、T-7レッドホークを取り上げる3回シリーズの第1回である。第2回と第3回は近日中に公開される。

問題の多くは、最終的に2018年に空軍がボーイングに発注した最初のT-7契約に起因している。固定価格契約のため、同社は数十億ドルの損失を被り、ボーイングが提供すべき内容について双方間で紛争が生じてきた。新型練習機の導入が急務であることから、空軍当局者はプログラムを前進させるため回避策や新たな取り組みを模索してきた。

インタビューおよび書面による質問への回答の中で、空軍当局者はT-7が直面している問題を確認しつつも、レッドホークがパイロットに引き渡される際には安全かつ有効なものになると強調している。

このプログラムは技術的な課題や契約上の紛争に悩まされてきたが、当局者は、T-7がまだ開発途上であるとしても、新たな「アクティブ・マネジメント」戦略の下で実施される緩和措置で、懸念を十分に和らげ、争点を解決できると考えている。さらに当局者は、T-7が置き換えることを目的としている旧式練習機である老朽化したT-38タロンの運用延長も課題を伴うと主張している。

「空軍は、就役から60年が経過したT-38の置き換えの緊急性を認識しており、T-7の開発に伴うスケジュール上のリスクと、T-38の運用延長に伴う重大な運用上のリスクのバランスを慎重に取っている。目標は、戦闘員に可能な限り迅速かつ安全に能力を提供することであり、当プログラムは新型機の安全性に自信を持っている」と、空軍教育訓練司令部(AETC)の計画・プログラム・要件・国際担当局長マシュー・リアード准将は本誌に語った。

詳細な質問リストに対し、ボーイングは本誌に対し、「この能力を戦闘員にできるだけ迅速に提供できるよう取り組んでいるが、安全性や品質を犠牲にすることはない。安全性はボーイングおよびT-7Aプログラムで最優先事項である」と述べた。

「契約締結後、ボーイングT-7Aレッドホークプログラムは、350回以上の試験飛行を通じて344時間以上の飛行試験時間を安全に積み重ねてきた」と同社は付け加えた。「米空軍との協力を継続する中で、T-7プログラムの積極的な管理アプローチにより、少量初期生産に先立ち、量産対応済みの構成を空軍に提供することが可能となり、将来のリスクをさらに低減し、この重要な能力の提供に向けた道を加速させることができます。」

「迅速な推進」

空軍は、次世代航空機の操縦に備えるためのより近代的な機能や、特に女性パイロットを含め、より幅広い体格に対応できる射出装置など、多くの理由からT-7の導入を迅速に進める必要があるとしている。しかし、これまでのところ、このプログラムは遅延に悩まされてきた。

ボーイング社は2018年に92億ドルのT-7契約を獲得したが、様々な課題により、この練習機のスケジュールは2年以上遅れをとっている。正式な生産は5月に承認され、現在の計画では、空軍が2027年秋に、パイロット訓練用の14機からなる初期作戦能力(IOC)を宣言することになっている。

空軍の教官たちは今年、量産機と同等の機体を用いたいわゆる「タイプ1訓練」を開始する予定だが、最初の新任パイロットが同機で飛行を開始するのは2028年春以降と見込まれている

その間、空軍はT-38の運用を継続せざるを得ない。リアード氏によれば、T-38の旧式な機体構造はすでにパイロット養成のパイプラインを逼迫させているという。(5月12日に発生したT-38の墜落事故の原因は現在も調査中だが、空軍は1週間、全機を飛行停止せざるを得なかった。)

しかし、新米パイロットがT-7の飛行を開始したとしても、まだ実施すべき試験は残っている。「レッドホーク」は飛行性能の全範囲が解明されてない――つまり、空軍は同機の運用範囲全体を完全に評価しきれていない。現在の計画では、同機は安全に飛行できるよう設計されているが、パイロットが遵守するべき制限が設けられることになる。

兵器システムの開発段階と生産段階が重なる「高い並行性」を伴う状態で、航空機やその他の兵器システムを配備することは珍しいことではない。情報筋によると、T-7の場合、経験豊富なパイロットの直感や経験を持たない、訓練の比較的初期段階にあるパイロットが操縦することが異なるという。後部座席に教官が同乗するとはいえ、空の上では事態が瞬く間に展開する。

このプログラムに精通した情報筋は、空軍が「飛行性能範囲が完全に確立されていない状態で、新米パイロットに過密な任務を課している」と述べた。「怖い」

T-7プログラムに詳しい政府関係者は本誌に対し、当局は安全に配慮していると考えていると述べたが、これまでの遅延のため、残りの開発を迅速に進める必要があり、予期せぬ結果を招く可能性があると指摘した。

「未知の要素があるが彼らは急いでいる」と、この記事のために匿名を条件に話したその人物は語った。「急げば、物事は台無しになるものだ。」

2028年のスケジュールについて、同氏は「すべての条件が完璧に揃えば、2028年は現実的な目標だ」と述べた。「そうなるよう願っているが、そうはならないかもしれない。ギリギリまで迫るだろうが、その期限には間に合わないだろう」

リアードは、同機が運用開始宣言される時点では安全であることを強調した。同機の就役スケジュールに関する「リスクについて言えば」、「さらなる遅延による運用上のリスクを軽減するため、並行開発に伴うプログラム上のリスクをより多く受け入れる方向にシフトしたと言える」。

空軍の訓練担当プログラム執行官ロドニー・スティーブンスは以前、本誌に対し、新米パイロットがT-7の操縦を開始する際、当初は「飛行科学の観点から、T-38と同等か、あるいはわずかに優れている」基準が求められると語っていた。その後、レッドホークはさらなる開発を通じて改良されていくことになる。

リアードによると、およそ1年前、「我々はアプローチを転換し、『T-38にはない機能のためT-7の導入を遅らせるのはやめよう。試験を継続しつつ、現時点でT-38と同等の機体を採用しよう』と決めた。そうすれば、試験が完了した時点で、初期の指導要員を育成済みとなり、プログラムの初期運用試験・評価(IOT&E)段階に備えることができる」という。

「納税者の一人として、私はこれを非常に肯定的に受け止めている」と政府関係者は述べ、T-38と同等の性能しか持たない航空機を受け入れる決定について、「契約を交付するため議会に売り込まれた次世代練習機にはならない」と指摘した。

「リスク・バーンダウン計画」

空軍は、「耐空性」基準を用いて航空機の飛行安全性を評価しており、これには3段階のリスクで測定されるマトリックスが含まれている。T-7は、2番目に高いレベルである「深刻」なリスクと定義された状態で飛行しなければならない。また、レッドホークの場合、当局は問題の原因となっている根本的な問題を回避するための制限を適用することができない。

その理由は、2025年8月のプレゼンテーション資料によると、航空機の「重要安全項目」、すなわち「その故障により人命の喪失、永続的な障害または重傷、システムの喪失、あるいは重大な機器損傷を引き起こす可能性のある部品、アセンブリ、または支援装備」に関する重要なデータがボーイングにないためである。

具体的には、同プレゼンテーション資料では、ボーイングがサプライヤー契約に、これらの重要安全項目に関する「重要特性」と呼ばれるデータを盛り込むことを確実にしていなかったと主張している。平たく言えば、このデータの欠如により、当局は重要な安全項目が仕様を満たしているかどうか、またなぜ故障する可能性があるのか、あるいはいつ点検が必要になるのかなどを確実に把握できない。そして、これらの項目のいずれかが誤作動したり破損したりした場合、定義上、航空機、さらにはパイロットの命さえも危険にさらされる可能性がある。

このプレゼンテーションでは、現在から2031年までに生産が予定されている82機のT-7が影響を受けると予測されている。

スティーブンスは、重要な安全部品のデータ不足に伴う耐空性リスクを認めたものの、同様の問題は兵器システム全体においては「珍しくない」ものであり、空軍によって「日常的に」管理されていると説明した。とはいえ、同氏は、今回のケースでは、欠落しているデータの代わりに「運用上の制限」を適用することはできないと述べた。

「影響を受ける部品を供給する各メーカーを個別に評価し、部品が[重要安全部品]の基準レベルに従って製造されていることを確認しなければならない」とスティーブンスは述べた。「そうしなければ、その航空機にはリスクが引き継がれることになる。その管理については、AETCと緊密に連携して取り組んでいく。」

「情報が得られ、CSIリストに掲載されている部品に関する不確実性を解消し始めれば、耐空性リスクを低減できるかどうかを再評価する」と同氏は述べた。

さらに同氏は、重要安全項目に関するボーイング社との協力について、「これはT-7プログラムのより広範なリスク低減計画の一環であり、実戦配備後の最初の数年間でシステムの安全リスクを低減することを目的としている」と述べた。

ティール・グループのアナリスト、JJ・ガートラーは本誌に対し、深刻な耐空性リスクは「前例がないわけではない」と述べたものの、各軍は根本的な問題について十分な情報を有しているので、「特定の安全領域に悪影響が及ばないよう」運用制限を課すことができると指摘した。

T-7の重要な安全項目に関しては、データが不足しているため、空軍は同様の制限を課すことができない。「これが民間企業の世界ならば、損害賠償を専門とする弁護士たちが列をなし、刃を研いでいるだろう」とガートラーは述べた。

しかし、リアードは、重要な安全項目データの欠如によって引き起こされる耐空性問題は、データから懸念の理由が示されている他の飛行リスクとは異なると述べた。例えば、同機の射出装置は以前の試験で問題が見られたが、当局者は設計の微調整で懸念が解消されたと考えている。リアードは、これらの問題と、同機の重要安全項目に関するデータ不足とを対比させた。重要安全項目には、海軍のF/A-18ホーネットに搭載されているGEエアロスペース製F404エンジンなど、に信頼性が実証済みのシステムも含まれている。

「エンジンに関連する重要安全項目の問題について、我々の見解はこうだ。これは実績のあるエンジンであり、新しいエンジンではない」と彼は述べた。「こうしたCSI部品の多くについて、我々がリスクを負っているのは、既知の情報に基づいてリスクが高いと判断されているからではありません。一部部品に関するデータが不足しているからです。これは重要な違いだと考えています……運用リスクの観点から言えば、我々はこれを、以前脱出システムに関連して負っていたリスクとは大きく異なるものと捉えています。」

この「深刻な」耐空性リスクとは技術的には事故発生の可能性が高まることを意味する。しかし、本誌の取材に応じた情報筋2名は、データ不足に起因して問題が発生した場合、その結末として、航空機の運航停止が必要になる等影響が生じる可能性が高いと指摘した。

スティーブンスは、空軍が機体の運航停止の必要性を「想定していない」と述べた一方で、「当然ながら、将来は予測することはできない。最終的には、機体の運航停止の決定はAETC司令官が行うことになるだろう」と認めた。

空軍がボーイングがサプライヤーに「伝達しなかった」と主張する要件の中には、構成状況管理に関するものも含まれている。2025年8月のプレゼンテーション資料によると、これは「航空機の構成およびその経時的な変化に関する詳細な監査証跡を提供する」ものである。

同文書によると、構成状況管理の問題による「現在生じている影響」は、航空機の構成が不明確になることから、部品発注の誤りや非効率的な整備に至るまで多岐にわたる。プレゼンテーションによれば、長期的には、この問題が「維持費の暴走」、「耐空性の低下」、「大規模な運用混乱」といった一連の課題を引き起こすという。

スティーブンスは、重要な安全項目と同様に、構成状況管理の確立が、昨年開始されたボーイングとの新たな能動的管理戦略の重点課題であると述べた。同戦略は、「長期的な維持、運用可能性、および耐空性を確保するための適切なプロセスを整備することで、リスクを軽減するよう特別に設計された」ものである。

航空機の引き渡しに伴いデータを収集し、空軍のデータベースに入力する必要がある。「これにより、現在配備されている戦闘員向けの安定した、かつ支援可能な機体群が確保され、最初の数ロットの航空機引き渡しを通じてその信頼性が継続的に向上していくことになる」と同氏は述べた。

飛行試験の「阻害要因」

データの問題に加え、T-7プログラムにおけるボーイングのパフォーマンス上の課題も公に報告されており、これまでのプログラムの遅延や開発上の課題により、同社は32億ドルの損失を被っている。本誌の取材に応じた情報筋は、これらの問題が多岐にわたると詳述した。

政府関係者は、主要な問題の一つとして、複雑な現代の航空機のサプライチェーンを構成する広範なサプライヤー網や数千もの部品に関する情報が不十分であるため、ボーイングが「自社が何を製造したのか把握できていない」ことを挙げた。同情報筋によると、レッドホークに関するこの知識の欠如が、開発時の比較的軽微なトラブルをより重大な後退へ発展させてしまったという。

「新たな問題が『発見』された際、どう対処すべきかを把握するのに、同社では膨大な時間がかかっている」と同関係者は語った。

人員配置も懸念事項となっている。同社は、いわゆる「運用前支援(POS)」を主導し、プログラムの現段階において物流および技術リソースを提供している。本誌が入手した2026年3月のボーイングと空軍間のプレゼンテーション資料には、「POSの人員数は改善されたものの、文書化が未熟・不完全である」ことに加え、「経験レベルや細部への配慮が課題となっている」と記されている。

同プレゼンテーションで説明されたその他の主要な「飛行試験の阻害要因」としては、試験ポイントの不足(これ自体は、人員制限によって悪化した分析の滞りが原因である)や、部品不足が挙げられている。部品不足により、一部の機体から部品を取り外し他の機体の飛行を維持しなければならない状況が生じている。

デジタル設計などのツールも計画通りに完全に機能しておらず、2025年の政府監査院(GAO)レビューでは、ボーイングが必要なデータを提供していなかった。

「空軍にはT-7に関するデジタルシステムが何一つない」と、プログラムに精通した情報筋は述べた。「彼らはデータを管理できていない。…現在のプロセスに対する改善点ですらない。T-7は旧態依然とした調達案件だ。」

もっとも、この人物は責任は双方にあると指摘している。「空軍は依然としてデジタル関連の課題に苦戦していると思う。責任はボーイングと空軍の両方に少しある」と語った。(スティーブンスは、デジタルツールが設計作業を加速させ、予測価値をもたらしたほか、生産を迅速化する「実物大決定組立(full-size determinant assembly)」と呼ばれる近代的な製造手法を促進したと述べた。)

その他の課題はもっとありふれたものだ。例えば、現在この機体は雨天時に飛行できない。外部アクセスパネルの密閉が不十分で、水が浸入し機体のサブシステムを損傷する恐れがあるためだ。この根本的な問題により、空軍は気候試験中に機体にテープを貼らざるを得なかったと、情報筋2名が本誌に語った。

「呆気にとられた」と政府関係者は語った。「『一体ここで何をしているんだ?』と思ったよ」

この設計問題にもかかわらず、空軍当局者は、同機を受け入れ、気象上の制限付きで飛行させる決定を擁護している。雨を避けることは、「訓練を開始するために、短期的には受け入れられる運用上の制限だ」とリアードは述べた。同氏は、今夏に評価される見込みの修正策を待つことは、プログラムのスケジュールを遅らせ、タイプ1訓練のパイロット認定を遅らせることになるだろうと説明した。

「 今降っている雨の中でも隔日に飛行させるために、2~4名のパイロットの認定を犠牲にするべきか? いいえ、これは正しい決断だったと思う」と彼は語った。

機体そのものとは別に、同機の地上訓練システム(GBTS)も独自の課題を抱えている。このシミュレーターは、新人パイロットが実際のコックピットに入る前に機体の感覚をつかみ、操縦方法を学ぶのを助け、また飛行の合間に技能を維持するのにも役立つ。

本誌が検証した2025年11月付の空軍運用試験評価センター(AETC)報告書によると、GBTSは主要な評価基準で合格率が30%未満にもかかわらず、実際には配備されていた。「こうした低い合格率にもかかわらず」、当局者は「APT(上級パイロット訓練)システムをできるだけ早く導入するというAETC(空軍教育訓練司令部)の強い要望を受け、納入を決定した」と報告書は述べている。

本誌が入手した、2026年3月付けの別の空軍プレゼンテーション資料では、GBTSの性能評価を「中程度の信頼性/中程度のリスク」としている。情報筋は、シミュレーターの準備が整っていなければ、その後の訓練が遅れる可能性があると指摘していた。

しかし、リアード氏は地上システムの性能を擁護し、それがスケジュール上のリスクになることを懸念していなかった。

「GBTSは初期幹部候補生の訓練に不可欠であり、現在、素晴らしい訓練を提供しているだけでなく、今後もさらに改善され続けると確信している」と彼は述べた。■

本記事は、T-7レッドホークを取り上げる3回シリーズの第1回。