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2022年10月12日水曜日

北朝鮮の淡水湖からのSLBM発射実証を笑っていられない事情

 

KCNA

近代的な潜水艦を持たない北朝鮮だが、湖に弾道ミサイルを配備すれば、生存力の高い核抑止力が手に入る

 

朝鮮の国営メディアは、9月25日から10月9日にかけ発射された弾道ミサイルの写真を公開した。中には、先週、日本上空を飛翔した極めて挑発的な発射も含まれていた。北朝鮮はこれまで知られていなかった能力も公開した。潜水艦発射を想定し弾道ミサイルを湖に沈めた発射台からの発射能力だ。北朝鮮は巨大な移動式弾道ミサイル発射台も保有し、列車から弾道ミサイルを発射する能力を実証しており、すべて生存性を高めるものであるが、湖からの発射コンセプトでは別のレベルの防御能力を提供できる。初歩的な第二撃核抑止力を実現する際に、意味をもってくる。

 

KCNA

写真に添付された朝鮮中央通信(KCNA)の公式ニュースによると、湖(厳密には貯水池)からのミサイル発射は9月25日実施されたとある。正確なミサイルの種類はニュースで特定されていないが、写真では北朝鮮が2021年10月に初めて公式発表した短距離型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)であるのを明らかに示している。

KCNAは、「9月25日未明、韓国北西部の貯水池にある水中発射場で、戦術核弾頭を搭載した弾道ミサイルの発射訓練が行われた」と発表した。「訓練は、戦術核弾頭の取り出し、運搬、使用時の迅速かつ安全な操作秩序を確認し、水中発射場での弾道ミサイル発射能力を実践する万能操作システムの信頼性とシステムの習得、迅速な対応態勢の点検を目的としたもの」とある。

「発射された戦術弾道ミサイルは設定された軌道に沿って韓国東海(ママ)の固定目標上空まで飛行し、固定高さでの弾頭起爆の信頼性を確認した」。と説明にある。「貯水池に建設予定の水中発射場の方向性も、実地訓練で確認された」。

KCNA記事で注目すべきは2つあり、1つは、このミサイルは少なくとも「戦術的」核弾頭を搭載する設計と公式に述べていることである。ミサイルの寸法から、核弾頭は比較的小型でなければならず、北朝鮮がこの一般的なサイズの核弾頭を製造する能力があることを示す証拠が追加された。

さらに、KCNAがこの発射を説明するために使った言葉は、この湖底発射システムが、試験品ではなく、少なくとも運用可能な兵器システムとして設計されていることを示している。他の打ち上げについても、公式報道では、兵器そのものの開発テストというよりも、運用能力あるいは運用をめざす能力を示す演習であったかのように語られている。

これらのことは、金正恩委員長をはじめとする北朝鮮当局者が、核兵器を放棄するつもりはなく、他の核保有国と同様に扱われることを望んでいると繰り返し明言していることと符合する。北朝鮮と米国、韓国との核・ミサイル関連問題などの協議は、ここしばらく滞っている。今回の発射を見る限り、すぐに再開される可能性は低そうだ。

 

2022年9月25日、ミサイル発射が行われた貯水池で、北朝鮮の金正恩委員長が軍幹部や関係者に「現場指導」をしている様子を撮影した KCNA

伝統的な抑止政策の文脈では、湖底核弾道ミサイル発射能力には間違いなく一定の意味がある。北朝鮮は水中弾道ミサイル発射システムを試験製造する能力を実証し、その設計から運用可能な発射システムを構築することは難しくないだろう。発射装置が湖底に物理的に係留されているのか、それとも漂流を防ぐため他の種類のアンカーを使用しているのかは不明である。

水中発射装置は、湖や貯水池の正確な深さ、水の組成によっては、発見が非常に困難になる可能性がある。北朝鮮では水中発射装置の設置に適した大きな湖は限られているが、どの湖にミサイルがあり、そのミサイルがどこに設置されているかを特定するためには、相手国は相当の資源を投入しなければならない。状況によっては、遠隔操作での確実な実行は不可能かもしれない。

 

KCNA

発射システムがある程度移動可能なら、北朝鮮軍は不定期に発射システムを移動させるかもしれない。空っぽの発射装置やその他のデコイがあれば、目標特定のプロセスはさらに複雑になる。そもそも水中発射装置の位置を特定することが困難であることと相まって、敵軍は発射装置を無力化するためにどこを攻撃すればよいのか、「シェルゲーム」のジレンマに陥る可能性がある。

そのため、情報、監視、偵察の能力が高くても、敵はミサイルを完全に破壊するため、潜在的な標的の場所をすべて攻撃せざるを得ないと感じるだろう。発射台の深さによっては、特殊な弾薬が必要になるかもしれない。もう一つの選択肢は核攻撃で、通常型の紛争が直ちに核戦争に変わる。

湖底からミサイル発射できるということは、少なくとも北朝鮮にとっては、利用可能な資源を使って第二次攻撃の抑止力を開発するという、非常に現実的な努力のように思われる。これはまた、潜水艦を必要としないSLBM活用の方法となる。

北朝鮮は、潜水艦から発射可能な固体燃料弾道ミサイルの設計には大きな成功を収めているが、実際に適切な艦艇を入手することには多くの困難に直面している。北朝鮮海軍の既存の弾道ミサイル発射可能な潜水艦は、極めて小規模で、かつ、すべて旧式のディーゼル電気式で構成されており、比較的騒音が大きく、発射前の探知に非常に脆弱であろう。

弾道ミサイルを発射できる北朝鮮のクジラ級潜水艦。挿入した図は、同国が湖中の水中発射装置から発射した同型SLBMの沖合実験。 KCNA

北朝鮮が以前に実証した鉄道輸送式の弾道ミサイル能力も、少なくとも部分的には、巨大サイズの移動式発射装置と同様に、より生存性の高い発射オプションを意図しているようだ。湖底ミサイル発射場の可能性は、生存率を大きく前進させ、米軍と韓国にとって通常戦争計画を、まったく複雑なものにする可能性がある。

このような理由でこのようなことを考えたのは、北朝鮮が初めてではない。1970年代から1980年代にかけて、米軍は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)MXの脆弱性を減らす選択肢の中から、沖合の海底発射台や不透明な水を張った人工プールに沈めた発射システムを積極的に検討していた。その後、LGM-118Aピースキーパーと呼ばれるようになったMXミサイルは、最終的に従来型のサイロに搭載され、2005年退役した。LGM-118Aよりも前に運用され、現在、米国で唯一運用されているICBMのLGM-30GミニットマンIII ICBMもサイロに搭載されている。

米軍が検討したMX/LGM-118Aの発射基地「オーカ」コンセプトは今回の北朝鮮の実験に似たものがある。 DOD

MX/LGM-118A ミサイル用にプール建設も検討されていた. DOD

もっと最近では、米空軍が将来のLGM-35AセンチネルICBMの基地を策定する際に、湖底からICBMを発射するアイデアなどを検討していた。しかし、同軍は、現在のミニットマンIIIに代わるものとして、このミサイルもサイロに入れると決定している。もちろん、米国は核弾道ミサイル「ブーマー」潜水艦部隊という非常に強固な第2次攻撃抑止力を持っており、地上のICBMには生存性を期待していない。その代わり、敵の奇襲先制攻撃能力を複雑化し、敵の弾頭を吸い上げることを目的としている。それゆえ、「核のスポンジ」と呼ばれる。

昨年、中国軍がICBM用の大型サイロ場を多数建設中であることも明らかになった。サイロ自体は比較的伝統的な設計のようだが格サイロが予想以上に接近して配置されている。このため、敵に問題を引き起こすために、一部を空にしておく意図ではないかとの疑問も生じている。

もちろん、湖上ミサイル発射構想には潜在的な落とし穴と限界がある。例えば、水中ランチャーに格納されたミサイルの一般的な保守点検を、場所を知られずに行うことが難しいことだ。しかし、ミサイルが移動可能なら、ミサイル発射場全体の座標を知られることもなく、全く問題にはならない。ただし、この作業を水中で行うのは複雑でもある。環境問題や安全保障上の問題もある。

北朝鮮のレール式弾道ミサイルのように、湖に設置する発射システムをどれだけ広範囲に展開するか、また詳細が公表されるかは未知数だ。確かに、このような計画には大きな課題もある。はっきりしているのは、平壌政権が核抑止力の既成概念に沿った核戦力の多様化に強い関心を持ち続けていることである。そしておそらく最も重要なことは、彼らがこのコンセプトを追求しているという事実で、北朝鮮の潜水艦技術が第二次攻撃の野心を満たさしていないことを、同時に教えてくれるという点だ。■


Don’t Laugh At North Korea’s New Lake-Launched Ballistic Missiles

BYJOSEPH TREVITHICK, TYLER ROGOWAY

|PUBLISHED OCT 11, 2022 8:06 PM

THE WAR ZONE


2021年7月6日火曜日

韓国がSLBMの水中発射テストに成功。海軍当局は慎重な姿勢ながら、メディアはエリート国の仲間入りと早合点している模様。「仮想敵国」の日本も注意すべき。

 South Korea Conducts Submarine-Launched Ballistic Missile Test

 

SLBM(潜水艦発射型弾道ミサイル)の水中発射テストを南朝鮮が先週実施した。


聯合通信によれば、テストは成功だった。大韓民国(ROK)がSLBM保有国の「エリートグループ」に入る道が開けた。北朝鮮が同様の技術を先に誇示し同グループ七番目の国になったと主張しているが疑念もある。SLBM装備保有国はすべて核兵器保有国でもある。南朝鮮は戦略核兵器を有さずSLBMを保有する唯一の国となる。


今回のテスト内容の詳細は公開されていないが、報道では玄武Hyunmoo 2Bミサイルの改造版を発射し、射程は500キロといわれる。2021年5月のバイデン-文首脳会談で米韓ミサイルガイドライン改訂が合意されたのを受け、ROK海軍は北朝鮮へ戦略優位性を確保すべくK-SLBM(玄武4-4型といわれる)の運用をめざしている。

Hyunmoo 2B ballistic missile

玄武2B弾道ミサイル


別の国内メディアでは排水量3千トンの島山安昌浩Dosan Ahn Chang Ho級潜水艦(KSS IIIバッチ1)でのコールド発射テストが近づくとある。同艦はK-VLS(垂直発射管)の搭載でSLBM発射も想定し、今月中にROK海軍へ引き渡しされる。同記事は海軍関係者の発言を伝えている。


おとり魚雷とSLBM発射管のテストを除き装備品の機能は島山安昌浩で確認済みだ。発射系統のテストが完了次第、海軍へ引き渡される」


昨年末に陸上からの発射は成功しており、潜航中潜水艦からの発射も時間の問題だと聯合通信は報じている。この点について軍の消息筋は控えめな見解を示し、事態を慎重に見るべきとメディアに苦言を呈している。「潜航中の潜水艦からのSLBM発射はまだ可能ではない。必要な技術の確保に向け進展はまだ続いている」


ROK国防部(MND)は報道内容の真偽について詳細情報の提供を拒んでいる。MNDは以下回答してきた。「安全保障の理由で個別装備品の情報には制約がある。韓国軍は最新かつ強力な装備品を導入し、半島の平和を守るべく強力な国防力維持に努めてきたし、今後も続ける」。一方で、国防調達事業庁(DAPA)は「おとり魚雷発射機能の公試が完了次第、同潜水艦は引き渡される」と発表した。


島山安昌浩級の一号艦はVLS6門を搭載し、玄武4-4SLBMのほか、対地攻撃巡航ミサイル(SLCM)の玄武3C(射程1,500キロ)も発射可能といわれる。KSS IIIバッチ2艦ではVLSが10門に増えるとNaval Newsが伝えていた。ただし、MNDはSLBMの開発状況、全長など情報を開示しておらず、同級潜水艦に弾道ミサイルを搭載するかも明らかにしていない。■



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South Korea Conducts Submarine-Launched Ballistic Missile Test

Daehan Lee  04 Jul 2021


AUTHORS

 

Posted by : Daehan Lee

Daehan Lee is a political, security affairs researcher who worked at the U.S. Embassy in Seoul and the People Power Party. Prior to his work in politics and diplomacy, Lee served for the Republic of Korea Navy as a secretary to the Vice Admiral and a translator for Master Chief Petty Officers of the Navy, shortly working at the Joint Chiefs of Staff. He writes about Korean naval acquisition and development. Fields of interest include maritime security, defense acquisition, Korean politics and foreign policy.

 

 


2021年4月13日火曜日

北朝鮮がSLBM潜水艦の建造を完了か。バイデン政権をにらみ公表のチャンスをうかがっている模様。SLBM発射テストも実施する観測がある。情報源は日本。

  

North Korea New Submarine

Image: KCNA.

 

 

北朝鮮が建造中の弾道ミサイル潜水艦が完成に近づいていると日本の情報機関の高官二名が明らかにした。

 

この二名は聯合通信が最近配信した記事の内容を認めた。

 

記事では「北朝鮮は同潜水艦の登場で戦略的な効果を盛り上げるタイミングを図っており、米国への圧力も計算に入れている」とあり、「北極星3号などSLBMを発射し、同時に潜水艦の姿を公表するのではないか」とみている。

 

姿をあらわすのは何か

 

トランプ政権下でホワイトハウスにつとめた元高官は北朝鮮が数カ月以内に新型潜水艦を公表するのはほぼ確実とみている。「数週間以内」かもしれないという。バイデン政権の対北朝鮮政策に強硬な対抗策を示すためだという。北朝鮮ウォッチャーは今月末までに政策発表があるとみており、早まってもおかしくない。

 

「北朝鮮は今までより過激なエスカレーションを起こす構えで、新型潜水艦の進水式もその一環で、ソ連時代の旧型潜水艦がベースでも固体燃料式の弾道ミサイルが発射可能となれば、各国も反応せざるをえなくなる」と上記高官は解説している。「朝起きてみたら潜水艦の写真がソーシャルメディアに掲載されていても驚かないだろう。また潜水艦でミサイル試射を行うかもしれない。こうやって北はバイデンに対し引き下がるつもりはない意思を示すだろう」

 

トランプ大統領スタッフだった別の人物もこれはバイデン政権にむけ北が準備中の内容の始まりに過ぎないと述べている。この元高官は「ピョンヤンは新型兵器のテストをしたくてたまらない様子で、新型潜水艦や弾道ミサイル以外に昨年軍事パレードに登場した新型ICBMも例外ではない」と述べてくれた。

 

元米海軍士官は脅威に過剰反応しないよう注意喚起。 

 

ある退役米海軍軍人は北朝鮮潜水艦に懸念があるものの、この種の潜在的脅威に過剰反応するのもよろしくないと述べた。

 

「そもそも弾道ミサイル潜水艦は海中で探知を逃れてこそ抑止力を発揮できるものです。各国がマスターするのに何十年もかかっている潜水艦の静粛化技術を北朝鮮がこの段階で実用化しているとはとても思えません。つまり、米海軍は同盟国とともに同艦を簡単に探知撃破できるはずです」と述べ、北朝鮮ミサイル潜水艦の脅威が現実になるまで数年かかると見ている。

 

北朝鮮分析を専門とするポータルサイトBeyond Parallelは北朝鮮がミサイル発射用の潜水可能はしけを東海岸に移動させており、潜水艦ミサイル発射テストが近づく兆候と指摘しながら、こうした動きから潜水艦ミサイルの発射準備が進んでいるとは断言できないとも述べている。■

 

 

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Intelligence Sources: North Korea Nears Completion of New Submarine

ByHarry KazianisPublished4 mins ago

 

Harry J. Kazianis (@Grecianformula) serves as a Senior Director at the Center for the National Interest in Washington, D.C., a Washington D.C.-based think tank founded by President Richard Nixon in 1994. Kazianis in the past served as Editor-In-Chief of the Diplomat and as a national security-focused fellow at CSIS, the Potomac Foundation, and the University of Nottingham (UK). His ideas have been published in the New York Times, Washington Post, Wall Street Journal, Newsweek, CNN, CNBC, and many other outlets across the political spectrum.

 


2016年7月11日月曜日

★中国のミサイル原潜>どこまで進展しているのか>どれだけの脅威になるのか



北朝鮮よりはるかに整備された中国の核戦力についてこの国はあまりにも無知かつ安閑としているのは不思議なことです。まさか中国のミサイルが日本へ照準を合わせていることを知らないというのでしょうか。さらに論文にあるように段階式に確実に中国海軍はミサイル原潜運用能力を整備してきますから時限爆弾の上に我々は座っているようなものです。中国が貿易主要相手国の日本を攻撃するわけがないと能天気なことを言うのであれば現実政治が見えていないことになりますね。

The National Interest

The Future of China's Nuclear Missile Submarines: How Worried Should America Be?


Big choices ahead for Beijing.
July 7, 2016
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  1. 中国の国防外交政策を西側が分析が難しいのは中国が世界の通例と異なる形で行動することが多いためだ。例として中国が重視する海軍力開発では細部へのこだわりに10年以上もかけている。それでも中国が運用中の空母は一隻だけだし、海外拠点はジブチの「支援基地」だけだ。同基地は米国など各国軍の基地に隣接するが侵攻拠点とはいいがたい存在だ。
  2. 独自方式をとる中国の軍事戦略の中でも核戦略部門ほどその傾向が鮮明な例はない。1960年代70年代通じ「最小抑止力」に中国が自制していたのは事実で、背景に投入資源が相当制約されていたことがある。中国が米ロに相当する大量の核兵器保有を模索していたら今頃は整備が完了していたはずである。その代わりに中国は国内交通体系に投資する賢い選択をし、高速鉄道網などが完成した。その中でも中国が潜水艦搭載核兵器体系を継続して開発していることに関心が集まる。そこで今回は中国の海中配備核兵器の進展について中国の核戦略思想家 Wu Rigiang 呉日強(中国人民大学)の解説が今年初めのModern Ships(現代艦船)(出版元CSIC造船コングロマリット)に掲載されているのでこれを元に論証したい。
  3. 分析は2015年11月の人民海軍記事で中央軍事委員会が「南海艦隊潜水艦41号艦の乗員」を作戦可能になったと発表したことからはじめている。また2015年4月南海艦隊に実戦に近い長距離パトロール航海の実施の命令が出たことを報じている。その後に続くのが驚くべき内容で「これまで中国の戦略核ミサイル潜水艦が戦略パトロール任務に投入されたことはない」というくだりだ。PLA海軍が潜水艦発射式弾道ミサイル(SLBM(を初めて発射してほぼ30年になるが、深刻な問題があるようだ。
  4. 呉教授は中国の海洋核戦力への米国の脅威を歯に衣着せぬ言い方で説明している。「もし米SSNが中国の潜水艦基地付近をうろついて中国潜水艦を追跡し、開戦となり命令が下れば米潜水艦は中国潜水艦を攻撃するだろう。これは米国の標準戦術だ」 同教授は中国SSBN部隊整備と米国のABM弾道ミサイル迎撃手段の開発を連関させている。教授はソ連時代の戦略ミサイル潜水艦の展開範囲が限られていたため米ミサイル防衛は北半球に集中させておけばよかったと指摘し、次のように提言している。「中国の戦略ミサイル潜水艦が南太平洋からミサイルを発射すれば米ミサイル防衛体制には面倒なことになるだろう」 そこで教授は日本と共同開発中のSM-3ブロック2Aが中国の潜水艦発射ミサイルの実効性を阻む存在と見ている。
  5. 同教授の分析で最も興味深いのは中国がロシア同様の方法を採択するのか、あるいはアメリカに似た選択でSSBN整備を進めるのかという点だ。ソ連が冷戦末期に取った考え方は「防御砦」モデルだと呉教授は言い、戦略ミサイル潜水艦の防御に多様な手段を投入できる利点がある。ただこの方式の欠点は防御に多数の装備を当てる分だけ、それら装備の本来ミッションがおろそかになる点だ。これに対しアメリカ方式は「自律運用型」と教授は述べ、米海軍式のSSBN運用には高度のステルス性能、優秀な音響特性が必要だと指摘する。
  6. 中国沿岸にソ連式の「防御砦」を設定しようとすると渤海は深度が足りず、黄海と東シナ海は深度は潜水艦のステルス性には適するが、敵の侵入は容易だ。そこで南シナ海はどうかというと、深度はいいが音響特性が潜水艦が潜むには不利で残存性も望ましくなく、かつ海域を封鎖することもできない。「もちろん原子力潜水艦の待機海域は国家の極秘情報である」と呉教授は述べるが、PLANの声明文を引用し、配置場所を南海艦隊管轄海域で「長距離パトロール」だと述べている。
  7. そのほかのSSBN配置方式について同教授は簡潔に「連続海中パトロール」を維持するのかと現在英国で議論になっている点を紹介し、反対派が「費用が高くつく」ことを理由にしていると述べる。さらに米情報機関の報告を引用し、094型SSBN潜水艦四隻が建造ずみで、五番艦も建造中であることから中国は連続パトロール体制を確立するとしている。SSBNに対する指揮命令の伝え方が困難であることから教授は中国も専用の中継通信機材(米海軍のE-6TACAMOに類似)が必要だと主張。
  8. ただし当面は地上配備核ミサイル部隊を前面に立てるべきと教授は述べる。「移動式地上発射ミサイルの位置を突き止めるのは簡単ではない」 中国には真に威力のあるSSBN部隊整備を急ぐべきとの意見があるが、教授はまだ能力向上が必要な段階だと指摘した。たとえば、JL-3SLBM(射程12,000キロ)が実戦化すれば「中国沿岸部から米国を直接狙うことで各潜水艦の運用が柔軟になる」と説明。t.
  9. 同論文の結論はいささか予想外だ。「現時点では中国核攻撃潜水艦SSNs整備への要求が戦略ミサイル潜水艦をはるかに上回っている」とし、教授の言いたいことは新世代の静かな中国原子力攻撃型潜水艦の登場で西太平洋の海軍力地図が変わるということなのだろう。また新型潜水艦は東太平洋に進出して米西海岸の海上交通を攻撃する、あるいは陸上攻撃用巡航ミサイルを米本土に向けて発射するかもしれない。だが呉教授の理由付けの中心は静かで威力あるSSN部隊の整備がSSBN部隊の前提だということだ。また「原子力潜水艦の運用経験」を最重要視するが、中国と言えどもこれは一夜にして獲得できない。
  10. 論文から中国の水中抑止力整備やPLAN一般の目指す方向性で違いが見えてくる。中国の海軍力整備は極めて迅速に進んでいるが、同時に慎重でステップを踏む建造方式も明らかで自制しているようだ。先を見つつ洞察力のある米指導部は米国も自制することで中国が最も機密性が高く威力もある戦力を一定の統制下に置くことになると自覚すべきだ。

著者 ライル・J・ゴールドステインは米海軍大学校の中国海洋研究院で准教授を務める。上記分析は本人の個人的見解によるものであり、米海軍あるいはその他米政府機関による評価ではない。


2016年5月30日月曜日

韓国がSLBMを開発中 中央日報記事より



下の中央日報記事を読む限りでは戦略抑止力というよりも先制攻撃の手段としてSLBMを想定しているようです。しかし通常弾頭で精度が低いとどこを狙うつもりなのでしょうか。また艦体が小さいことから想定するSLBMは相当小型のようです。北朝鮮を狙うのであれば近距離で事が足りるせいでしょうか。そのまま順調に整備できるかは不明ですが、完成し戦力化に成功すればこの地域の戦力バランスでまた一つ考慮すべき要素になるでしょうね。それにしてもいつの間に韓国はロシアからS400を入手していたのでしょうか。


South will develop its own type of SLBM: source

May 30,2016
BY JEONG YONG-SOO [jeong.byungki@joongang.co.kr]

韓国が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を開発中と軍高官が発言した。
  1. 「建造中の排水量3,000トンの張保皐級Jangbogo-III に垂直発射管が付く」と同高官は匿名を条件で発言している。「発射管を付けるのはSLBMが開発中だということだ」とし、国防開発庁が主導して開発中のミサイルは2020年までに完成するという。
  2. 韓国海軍の潜水艦には潜水艦発射巡航ミサイル(SLCM)があるが、北朝鮮がSLBM技術の完成に近づいていることから韓国軍内部で迅速に対応すべきとの声が高まっている。
  3. 「SLBMはSLCMの精密攻撃能力は期待できないが、速力と破壊力はずっと大きいものがある」と潜水艦部隊司令を務めた退役少将Kim Hyeok-sooは述べている。「スピードがありステルスのSLBMが手に入れば事態が緊急水準にエスカレートする前に北朝鮮を攻撃する能力が韓国海軍に生まれます」
  4. 別の関係者は「軍は地対空ミサイルで冷間発射方式を採用しています。これをSLBMに応用してミサイルは水中発射したあと、エンジンはある程度の高度に達して点火します」という。
  5. 「北朝鮮はロシア製地対空ミサイルS300で使っている技術をSLBMに応用しました」と韓国科学技術院の主任研究員Lee Choon-geunは述べている。「韓国はロシアから入手したS400で使っているより成熟した技術を利用します。S400は債務支払いの一部として入手しました」S400は技術的に先端を行くミサイルで冷間発射技術が使われている。
  6. 開発が予定通り進展すれば、張保皐-III級潜水艦が引き渡される2020年までに艦にSLBMが搭載できると軍は見ている。
  7. 他方で張保皐-III級の次期艦は3,400トンに拡大すると決まっている。■

2016年5月27日金曜日

ペンタゴン報告書から中国の核戦力整備の最新状況を読み取る


アメリカ科学者連盟と言いながらしっかりとした情報分析をしているのはさすがです。中国の核関連では進んでいるようで進んでいない開発配備状況が見えてきますが、引き続き日本としても状況を注視していく必要があるでしょうね。ミサイルの中には日本に照準を合わせているものがあるはずですから。

Pentagon Report And Chinese Nuclear Forces

By Hans M. Kristensen
Posted on May.18, 2016 in China, Nuclear Weapons by Hans M. Kristensen

china-DOD2016
ペンタゴン発表の中国軍事開発状況の報告書最新版は通常兵器を多く取り上げているが、核兵力の最新状況でも重要な内容が含まれている。
  • ICBM配備数はこの五年間ほぼ同じ
  • 新型中距離弾道ミサイルの供用を開始した
  • 新型中間距離弾道ミサイルは未配備のまま
  • SSBN部隊が抑止力任務をまもなく開始する
  • 爆撃機の核運用能力の可能性
  • 中国の核政策の変更あるいは現状維持

ICBM開発の動向
中国のICBM部隊の整備状況が関心を集めている。新規開発もあるが、今回のDOD報告書ではICBM配備数はこの五年間に伝えられたものと同じ水準で60発程度とする。DF-31の配備は停滞しており、データからDF-31Aの導入も20から30基と少数と見られる。
china-icbms-gr

2012年度報告では2015年までに「中国はさらに道路移動型DF-31A発射台を配備する」としていたが、その通りに推移していないようだ。
china-icbm-nos
DOD報告が伝えるICBM発射台の数は大幅にばらついており、2003年は30基程度としていたものが2008年以降は50から60程度としている。2011年から2016年の間に25基もの差異がが出ている。これは40パーセントにのぼる誤差でそれだけ不確実だということだがここ数年は10パーセントに落ち着いている。とはいえ中国ICBM本数が大幅に増えていないのは確実だ。
発射台の数は安定しているといえるが、DOD報告書ではミサイル数は増えているとし、発射台50から75に対しミサイル75から100本だとする。これはこれまでのDOD報告と一貫性を欠く。これまで発射台の数とミサイル本数が一致するかわずかにミサイル本数が多かったのは旧型DF-4を再装填するためだった。
2016年度報告が突如としてミサイル本数を発射台数より25本以上多いと述べる理由は不明だ。DF-5ないしDF-31/31Aは再装填型と見られる。これまでのDOD報告ではDF-4のみで再装填すると想定していた。DF-4の発射台はわずか10基しか残っておらず、2016年度版報告での超過本数は10本のはずで、25ではないはずだ。(DF-4で再装填を二本と想定するとつじつまがあう) わかっている範囲での中国のICBMの全体像は下表のとおりである。
china-icbms-tbl
噂では中国が鉄道軌道で移動するICBMを配備済みあるいは開発中といわれるが、DOD報告では鉄道を利用する装備の言及はない。7月に加筆訂正版が公表される。

DF-26は核精密攻撃ミサイルか
最新の核ミサイルがDF-26(ペンタゴンはまだこの新型ミサイルのCSS呼称は明らかにしていない)で昨年9月の北京軍事パレードで初公開されているが、ミサイル部隊に展開していない模様だ。
DF-26
北京軍事パレードに6車軸の打ち上げ車両が登場し、核運用可能との説明があった。ミサイルはまだ供用開始されていない。Image: PLA.
DOD報告では核非核で共通の誘導方式を使うとし、「中国初の核精密攻撃能力が戦域内で利用可能になる」と述べている。
この書きぶりからこれ以外の中国核ミサイルには精密攻撃能力はないとDODが見ていることがわかる。

DF-21で新型登場か
DOD報告は中距離核ミサイルDF-21の新型を取り上げているが、詳細は述べていない。新型はDF-21 Mod 6あるいはCSS-5 Mod 6として報告書に記載されている。
DF-21_ex2016
DF-21が核攻撃演習に参加している。2015年撮影. Image: PLA via CCTV-13.

以前の報告書ではICBM部隊に「道路移動型固体燃料方式CSS-5(DF-21)MRBMを域内抑止ミッションに投入して補完する」としていたが、2016年度版ではICBM部隊は「道路移動型固体燃料方式CSS-5 Mod 6 ‘(DF-21) MRBMで域内抑止ミッションに投入して補完する」と述べ、初めてMod 6の名称が使われた。
DOD報告ではMod 6に関し詳細についても、その登場で既存型 (Mod 1、Mod 2)がどんな影響を受けるかでも言及はない。既存型は老朽化しつつあるのでMod 6が更改用の可能性があるが、実態は不明だ。
DF-21が中国軍で特別な意味があるのは、初の移動式液体燃料ミサイルとして登場したためだ。Mod 1は1980年代後半に配備開始されたが、戦力化は1992年だった。Mod 2が1998年時点で「配備ができていない」状態だったのは両型式で相違点が相当あったのか、両型式をミッションの性質の違いから並列配備しておく必要があったためだろう。
DF-21各型を巡っての議論では混乱が大きくみられ多くの論者が二次資料を引用しているが、原資料を使う向きは少ない。中でも最も多い誤りはDF-21C通常型陸上攻撃版をCSS-5 Mod 3とし、DF-21D対艦攻撃版をCSS-5 Mod 4とするものだ。ここ数年にわたりDODや情報各機関からはDF-21に以下の型式があるとしてきた。
DF-21 (CSS-5 Mod 1):核
DF-21A (CSS-5 Mod 2):核
DF-21C (CSS-5 Mod 4): 通常弾頭対地攻撃
DF-21D (CSS-5 Mod 5): 通常弾頭対艦攻撃
DF-21 (CSS-5 Mod 6): 核 (新登場)
DF-21B(CSS-5 Mod 3)がどうなったのかは不明だ。DF-21は旧型液体燃料方式DF-3Aに替わり中国の地域内核抑止力の中心となっている。DF-21へ変更をした最新の部隊は遼寧省の第810旅団だ。

海洋配備抑止力
各種報道が伝える公式発表は誇張気味あるいは拙速であり、中国潜水艦の作戦能力を高く買いかぶりすぎの観がある。新型の晋級SSBNが抑止パトロールを開始したとの報道があるが、米エネルギー省報告では潜水艦あるいはミサイルの問題で作戦実施可能になっていないとしている。
2015年2月に米海軍作戦部長の議会向け報告ではSSBN一隻が95日間に及ぶパトロールに出港したとあるが戦略軍司令官セシル・ヘイニー大将はSSBNが海上に出ることがあるが核装備しているのか判断できないと述べた。
今回のDOD報告書では晋級SSBNはJL-2SLBMを「ゆくゆくは搭載することになる」と言及しているのは明らかに現時点では未搭載であるということで、「中国は初のSSBNによる核抑止パトロールを2016年中に行う」と述べている。つまり実施実績がないということだ。
この「未実施」評価の背後には国防情報局が「PLA海軍部は晋級原子力弾道ミサイル潜水艦を2015年に就役させJL-2を搭載すれば中国初の海洋配備核抑止力が完成する」と述べたことがある。
一隻あるいは複数のSSBNが何らかの任務で外洋にでたことがあるが、核兵器が搭載されていなかった可能性があることになる。晋級SSBN四隻はすべて海南島の榆林海軍基地に配備されており、五隻目が建造中だ。
Jin-ssbns_yulin2015晋級SSBN三隻、商級SSN2隻が榆林海軍基地に見られる。
DOD報告書では晋級SSBNの五隻追加建造との噂は誤りとする。米太平洋軍司令官は2015年に議会に「最大5隻が追加建造され2020年までに部隊に投入されるかもしれない」と発言しているが、確証はなかったようだ。DOD報告書では5隻目の晋級が建造中だがその後は新型ミサイルJL-3を搭載する次世代SSBN(タイプ096)へ移行すると見ている。

核爆撃機
今回のDOD報告書は爆撃機の核任務の可能性を初めて取り上げている。各種中国国内の資料を論拠にしつつ米情報機関の推論は示していない。
china-bomb1967H-6爆撃機が投下した熱核爆弾。1967年6月
「2015年に中国が長距離爆撃機を開発していると明らかになった。中国軍事アナリストが『戦略抑止任務を実施能力がある』と、PLA空軍部に2012年に与えられた任務に言及している。また中国国内文献では『戦略級』ステルス長距離爆撃機の実用化を目指しているともある。各種報道や文献を総合すると中国が核爆撃機を開発する可能性があり、実現すれば、中国は核運搬手段の『三本柱』として陸上、海、空の整備を完成し、冷戦後にふさわしい残存性と戦略的抑止力を実現するかもしれない」
中国の爆撃機では改修型H-6K爆撃機があるが通常弾頭の対地攻撃巡航ミサイルを搭載し、核任務や「戦略抑止」ミッションは中心ではない。ただし米空軍のグローバル打撃軍団の説明資料では新型CJ-20空中発射対地攻撃巡航ミサイルを核搭載可能としていた。
過去においては中国は核兵器を爆撃機から投下する能力を展開していた。1965年から1979年まで続い板核実験では少なくとも12回が爆撃機による投下であった。実験は核分裂型と核融合型で威力は最大2から4メガトンまでと推定される。投下したのはH-6爆撃機(現在も近代化改修して就役中)、H-5爆撃機(退役済み)、Q-5戦闘爆撃機(全機退役済み)だった。

china-bombs
核爆弾の模型二つが北京で展示されている。左は核分裂爆弾第一号の模型で、右が熱核爆弾だ。右の模型に書かれているH639-23は1967年6月17日の水爆実験で投下された番号H639-6と類似。mage: news.cn

核戦略と核政策
最後にDOD報告書は中国の核政策・戦略について米側の理解する内容をまとめている。
まずPLAが核運用部隊に対する指揮命令統制通信機能を新型に切り替えて、戦場で多数の部隊を統制する能力を引き上げている。「通信能力の改良でICBM部隊はこれまでよりも戦闘状況をよりよく把握し、妨害されにくい通信手段で接続されている。部隊指揮官も命令を同時に複数部隊に下し、これまでのような順々方式ではなくなった」
これは部隊への指揮命令行為の効率性向上を目指したものだが、同時に危機的状況での戦闘効率を上げるる狙いもある。DOD報告書では中国が「平時での即応体制を引き上げようとしている」との報道内容を引用している。この点で中国軍の文書を引用して核部隊が「警告あり次第発射」する体制にあり、敵の攻撃を受けて全滅する前に発射する方式になったとの報道もある。
これが進展すると新たな問題になるが、DOD報告書の結論は今のところ中国が堅持してきた先制攻撃をしないとする安全保障政策に変化の兆しはないとする。
言い換えれば、中国の核政策事態に変化はないようだが、核部隊の運用・作戦方法は大きく変わりつつあるということになる。
さらに以下から追加情報が得られるので参照されたい。
本記事の発表の下となった研究はNew Land 財団およびPloughsharesファンドの助成金により実現した。ここで表した見解は筆者個人のものである。

2016年4月25日月曜日

INSアリハント>インド初の弾道ミサイル原潜の就役が近づく 


India’s First Boomer Leaves On Acceptance Trials

April 20, 2016 11:56 AM

INS Arihant in December 2014. Indian Navy Photo
INS Arihant in December 2014. Indian Navy Photo

インド初の国産弾道ミサイル原子力潜水艦が今春就役すると現地報道が伝えている。

  1. The Times of India はINSアリハントがインド南東部のヴィシャーカパトナムを出港し一週間の海上公試に向かったと報じている。
  2. 同艦は深度潜航試験に合格しており、今回の引渡し前公試の後海軍へ編入すると東部海軍司令官H.C.S. ビシト中将が報道陣に語った。
  3. 排水量6,000トンの同艦は射程450マイルから1,200マイルのK-15サガリカ潜水艦発射ミサイル12発、あるいは射程2,200マイルのK-4中距離潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)4発を搭載する。インド海軍は同型潜水艦を3隻ないし6隻導入し戦略抑止力を整備する。アリハントは三月にK-4ミサイル(弾頭なし)数発の試射に成功している。
  4. 潜水艦本体とSLBMの公試の成功は国内造船産業にとって大きな成果とエリック・ワーサイム(海軍専門家、米海軍協会編世界の戦闘艦艇の著者)はUSNI Newsに語っている。「潜水艦の設計と開発は常にもっとも難易度が高い事業で、原子力推進で各装備の潜水艦となると特に政府、造船業の双方には敷居が高い」
  5. アリハントに加え、インドは合計45隻の海軍艦艇を建造中で初の国産空母INSヴィクラントもその一隻。■