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2025年1月20日月曜日

中国は核オプションの栓を抜く準備ができているのか?(Air & Space Forces Magazine)

 



国は米国の想定以上に核先制攻撃の準備をしている可能性があり、太平洋地域で「限定核戦争」の恐怖が高まっていると専門家が警告している。

 米国は「将来のインド太平洋地域における危機シナリオにおいて、限定的な核兵器の使用の可能性が高まっている」と、大西洋評議会Atlantic Councilの新しい報告書が指摘している。2024年9月の報告書は、軍事演習に加え、中国の公式声明や内部工作の分析から、台湾侵攻の試みが失敗に終われば、中国は「先制不使用」政策を放棄するだろうと主張している。

 中国がいつ、どのようにして核兵器を使用する可能性があるかに関する米国の「制度上の想定」には「欠陥がある」と著者は述べている。米国の国家安全保障および国防戦略は、増大する中国の核兵器備蓄と、侵攻が失敗に終わった場合にグアムの米軍に対して核戦略を採用し、地域核兵器を使用する可能性を考慮する必要がある。

 ジョン・カルバーは、大西洋評議会のグローバル・チャイナ・ハブの上級研究員で、長年CIAで東アジア問題を専門に分析を行ってきた。カルバーは、核保有国が核兵器を使用せず発射を控えるという想定は証明されていないと述べた。

 中国は「核兵器を使用する覚悟ができている」と、カルバーは研究発表のウェビナーで述べた。

 カルバー、デビッド・O・シュルマン、キッシュ・リャオ、サマンサ・ウォンは、報告書「米国の戦略を、中国が核保有国として台頭することを考慮したものに適応させる」を共同執筆した。

 この報告書は、2032年を舞台とした軍事演習を基にしており、その中で中国は台湾を侵略するが、脆弱な足場しか確保できない。その後の増援部隊が米国と台湾軍の予想以上の抵抗で撃破されたことで、中国は「勝利を主張できる信頼性の高い出口」を失うことになる。この課題に直面した習近平国家主席は、核兵器を使用するか、あるいは敗北を受け入れるかの結果を考慮しなければならない。

 「このような失敗を防ぐ必要性から、侵攻が開始された後は、核兵器の使用を含むあらゆる手段の使用が正当化される可能性が高い」と著者は結論づけている。

 この軍事演習では、「ブルー」の米軍部隊は、「レッド」部隊が「2つの超大型爆弾でグアムを攻撃した」際に驚いたと、カルバーは述べた。1発は空軍基地を、もう1発は海軍基地を攻撃し、グアムは事実上、中国に対する長距離攻撃の発射台として、また西太平洋における同盟軍を維持するための後方支援拠点として「ゲームから除外」された。 

 レッドチームは、弾道ミサイル潜水艦から米軍および西海岸の基地に向けて通常兵器を長距離発射し、少なくとも1発はグアム上空を通過した。ミサイルは迎撃されたが、明確なメッセージは、これらは核兵器であってもおかしくないということだった。レッドチームは、カウンタースペースおよびサイバー攻撃も実施し、一方、ブルーチームは通常戦闘を展開した。

 一方、地域の同盟国を代表する「グリーン」チームは大きな打撃を受け、「核安全保障の保証を彼らに与えるためには、米国が相応の対応をすることが必要だ」と主張した。核抑止力の保証の信頼性を維持するために、ブルーチームはこれを実行した。

 カルバーによると、習は世界が「地殻変動」の真っ只中にあり、第一次世界大戦後の大帝国の崩壊と新世界秩序の形成に似たリセットが発生中と見ているという。

 ロシアによるウクライナ侵攻やその他の出来事は、習に「大国間の戦争や核戦争さえも、冷戦終結以来、机上の空論となっていたものが再び現実味を帯びてきた」ことを示していると、カルバーは述べた。

 近年、習はミサイルおよび核戦力を本格的な軍事力に格上げし、それらの重要性を高めているとカルバーは指摘した。「より危険な新世界が出現し、戦争の可能性が高まっている今、最低限の抑止力能力を維持することはもはや中国の利益に適っていない。特に大国間の戦争の可能性が高まっている」。 

 中国は過去に少なくとも3回は「核による脅迫」を受けたと考えることを受け入れているが、もう二度とそうはしないと決めたと、カルバーは述べた。

 一方、米国政府は中国の進化する戦略がもたらす課題にまだ気づいていない。米国の戦略家たちは、中国の核開発計画を「最低限の報復態勢を維持する戦略的戦力の構築」と見なしているが、一方で「中国は今、新たに手に入れた核兵器を積極的に使用して、対抗勢力を抑止または強制し、自国の核心的利益を守る可能性が高まっている」と報告書は述べている。

 しかし、北京には「国内の政治的利益に悪影響を及ぼす可能性のあると認識される外部脅威」に対抗するた、その力を行使する意思がある。

 一方、報告書では「米国政府の意思決定プロセスにおける構造的な問題」が核エスカレーションを妨げていると指摘している。これには、危機に直面した際に「ばらばらで…欠陥のある提言」につながる可能性のある「断片化」や意思決定の縦割り構造が含まれる。

 著者は、「これらのばらばらのCOA(行動方針)に含まれる中国の核心的利益の誤読は、米国が通常戦争に勝利し核抑止力を維持することの間の緊張を生み出し、また、希少な軍事資源における不確実なトレードオフを生み出す」と主張している。

 結局、米国が「中国が核兵器と核兵器運搬手段を急速に増強するにつれ、核保有国としての地位にふさわしい行動を取る」認識がないことが、最も深刻なリスクをもたらす。ここから「中国が核兵器の先制使用を考えていないと誤って想定する」ことにつながり、ひいては米国と中国を不用意なエスカレーションのスパイラルに陥らせ、最終的に核戦争を引き起こす可能性がある。


同盟国とシグナル

中国との熱い戦争において、日本と韓国は米国に「核によるシグナルを強化する」よう圧力をかけ、「核の領域でエスカレートする」可能性が高いと報告書は述べている。特に、これらの国々がすでに紛争で軍を失い、攻撃が継続する可能性に脆弱性を感じている場合である。

 また、戦略を複雑にしているのは、中国とロシアの関係だ。報告書は、これが「中国の核の先制使用に関する意思決定の計算を形作る」可能性があると述べている。ロシアはインド太平洋地域で「あらゆる危機を悪用」し、他地域での自国目的を追求する可能性があり、また「自国の目的を達成するために核による威嚇を行う」可能性もあると付け加えている。

 米国の核戦略は「冷戦時代の歴史的記憶に基づくもの」であると報告書は記しているが、中国を核保有国として扱うには、異なる戦略が必要である。

 「ロシアのシグナリングは攻撃的でエスカレーションを伴い、明確に伝えられているが、中国のシグナリング方法は微妙かつ曖昧である傾向がある」と方向書は記している。「中国は意図的にこうした曖昧なレッドラインを作り出しており、その理由の一部は、米国および同盟国の意思決定プロセスがリスク回避的であるとことを利用するためである」。

 米国は、10年後までに中国の核戦力は1,000発以上の弾頭を配備可能になると推定しているが、北京は核戦力について口を閉ざしている。しかし、中国の核兵器の在庫は依然として米国やロシアの備蓄を下回っているため、北京は戦略兵器協議への参加を求めるすべての招待を無視したままだ。

 「中国の核兵器の透明性の欠如は、歴史的に劣っていた核戦力に起因している可能性がある」と報告書は述べている。しかし、中国が米国およびロシアと核兵器の面で対等になるよう強化していくにつれ、中国が「核能力と意図についてより透明性を高めるよう説得される」可能性もあります。

 報告書は、北京が「新たに得た核保有国としての地位を安全に活用して国家目標を達成するためには、危機の前後において核の意図と能力の透明性を高める必要がある」と主張している。中国の公式表明にある核政策と実際の動機、行動、意図との間のこのギャップを埋めるためには、より明確な説明が必要である。

 中国パワープロジェクトのディレクターであり、戦略国際問題研究所の上級研究員であるボニー・リンは、ウェビナーで、この軍事演習では中国とロシアの間で起こり得る調整の程度が過小評価されていると述べた。

 「中国はロシアに許可を求めるつもりはないでしょう。中国はロシアにすべての動きを伝えるつもりもないでしょう。しかし、私はロシアが早い段階で、おそらく侵攻が始まる前から支援を行うと見ています」と彼女は述べた。

 リンは、この演習で中国と米国間の深刻な「危機管理コミュニケーションの欠如」が明らかになったと述べた。これは、米国の指導者が北京に対して提起してきた懸念事項である。

 この軍事演習に参加したグローバル・タイワン・インスティテュートのシニア・ノンレジデント・フェロー、エリック・チャンは、中国による核攻撃は「米国または台湾を後退させる」ことにはならないだろうと述べた。むしろ、通常兵器による攻撃を加速させることになり、中国への抵抗という観点では、台湾にとって「ゲームのルールが大きく変わる」ことになるだろうと彼は述べた。

 今回の軍事演習は、台湾が兵器を蓄え、長期戦に備えることが正しい選択であることを示唆している。

 「ウクライナがプーチン大統領の核の脅威に対して備え、耐性を持っていることが、プーチンがウクライナに核兵器を使用していない2つの理由のうちの1つである」と彼は述べた。

 ジョー・バイデン大統領は「ウクライナで戦術核兵器が使用された場合、米国は通常戦力の航空力を用いてウクライナの戦力を一掃する」とプーチンに静かに警告している。また、「ウクライナはプーチンの核使用に対してぐらつくような兆候は一切示しておらず、核使用の脅威を減少させている」ことも重要である。

 また、カルバーはウェビナーで、米露間の軍備管理条約のほとんどが近年「一掃」されたが、来年更新期限を迎えるSALT II協定は例外であると指摘した。

 ロシアは更新しない可能性を示唆している。SALTの下では、ロシアと米国は配備可能な弾頭数を1,550発に抑えており、その多くは「旧式の…空中投下爆弾」であるとカルバーは述べた。

 中国の核ICBM能力の急拡大は、全体的な状況を一変させ、核戦争はここ数十年よりも現実味を帯びてきている。

「もはや『考えられないことを考える』必要がなくなった状況全体が…薄れつつある」とカルバーは言う。中国は「自国が何をしているのか」、近隣諸国や反対派に「説明責任がある」のだ。■

S&P: Is China Prepared to Uncork the Nuclear Option?

By John A. Tirpak

Nov. 1, 2024


https://www.airandspaceforces.com/article/sp-is-china-prepared-to-uncork-the-nuclear-option/


2017年3月11日土曜日

★★ミサイル実験は日本への先制核攻撃の予行演習だった。キチガイ独裁者に黙っていていいのか、日本



在日米軍を狙うということは日本を攻撃することです。ここまであからさまに日本攻撃の意図を公言されて黙っていていいのでしょうか。どうもミサイル実験だからと安閑としているようで理解に苦しむのが日本の言論ですが、日本を攻撃すれば経済賠償が取れなくなるから日本は攻撃するはずがない、とたかを括っている向きがありますが、相手は完全に狂っているのでそんな「正常な」判断は通用しません。韓国の政情が一層不安定になっているため、今年は最大の危機を迎えるのではないでしょうか。しかし朝鮮半島は世界にとって危険な地帯になりましたね。

North Korea Is Practicing for Nuclear War


North Korea isn’t testing its missiles. It’s preparing for a nuclear first strike.
MARCH 9, 2017

North Korea Is Practicing for Nuclear War

  1. 今週月曜日午前、北朝鮮は北西部からミサイル4発を発射し、620マイル飛翔した後日本海に着弾させた。今回のテストは大陸間弾道弾ではなかったが、一斉発射したところに意味がある。平壌は亡命した高位外交官Thae Yong-hoの解説どおり、核弾頭装着の最終段階に着実に向かっている。また北朝鮮は開戦初期に核兵器を大量投入する交戦構想を準備している。ここに露呈している米韓作戦構想を組み合わせると朝鮮半島の軍事衝突は核戦争に発展する危険性が見え、ドナルド・トランプ大統領が自分のツィッターに寄稿する暇は生まれないほど迅速に展開するかもしれない。
  2. これまで北朝鮮はノドンミサイルを全てノドン近郊のテスト施設から発射していた。スカッド・ノドンミサイルの改修作業の実証が目的だった。
  3. だが最近になり北朝鮮はスカッド、ノドンミサイルを各地から発射している。これはミサイルテストではなく、軍事演習だ。北朝鮮はミサイル性能はすでに確認ずみだ。軍が行っているのは核戦争の事前演習だ。
  4. さらに北朝鮮はこの点を堂々と主張している。昨年のノドンミサイル試験のあと、地図を公開し、そこにはミサイルは釜山までの距離と同じ飛翔をして海上に落下したことが示されていた。「演習では飛翔距離を制限し南朝鮮の作戦域内にある港湾、航空基地への先制攻撃をシミュレートした。米帝国主義に核兵器を打ち込む」と説明していた。
  5. 今回北朝鮮が発射したのは四発の「射程延長型」スカッド・ミサイルで620マイル飛翔した。地図では四発とも岩国海兵隊航空基地を囲む円弧内に到達している。北朝鮮からは「演習に加わったのはKPA(朝鮮人民軍)戦略軍所属の火星 Hwasong砲兵隊で有事の際は日本国内の米帝侵略部隊を攻撃するのが任務」と説明が出た。
  6. ではなぜ北朝鮮は在日米軍を核攻撃演習をしたのか。
  7. 米韓両国は最大規模の合同軍事演習フォールイーグル Foal Eagle を展開中だ。演習は総合的なもので二ヶ月にわたり、米韓数万名が参加し、F-35も岩国から参加する。フォールイーグルは米韓作戦構想 OPLAN 5015 のリハーサルであり、北朝鮮先制攻撃を主眼とし指導部排除も含む作戦構想は軍事挑発行動への対応として想定するものだ。北朝鮮が毎年の演習を侵攻作戦の予行演習と考えるのは当然だろう。今年の演習では米韓特殊作戦部隊のパラシュート降下、核兵器ミサイル施設強襲が山場のひとつだ。
  8. 懸念せざるを得ないのは北朝鮮、韓国、米国の戦闘構想の絡み合い方だ。北朝鮮の軍事演習により同国が核兵器を大量投入して在日在韓米軍を攻撃し、侵攻を食い止めようと真剣に考えていることが明らかになった。北朝鮮声明文では「撃退」の語を使っている。北朝鮮亡命者によれば指導層は開戦直後に大量死傷者を発生させて米国韓国の攻撃を力で後退させられると真剣に考えている。米側には核兵器を大量投入すれば金正恩の自殺行為と見る向きが多く、事実サダム・フセインもムアマル・カダフィも米軍事力の前に通常兵器による防衛では無力であった。そこで北朝鮮ICBMが登場する。金正恩がまずソウル、東京を灰にしてトランプ大統領が手を出せなくするのだ。
  9. 金正恩の戦略は核兵器を早期に投入することがカギだ。米国に抹殺される前に特殊部隊がミサイルを見つける前に。まず使用する、そのあとで考えるのだ。
  10. 米戦略も先制使用を考える。金やトランプがどこまで自制できるのかわからないが高望みできないようだ。両者ともに先制攻撃を真剣に考えるはずだ。さらに韓国にも独自の先制攻撃構想があり、OPLAN 0515 とは別に韓国の弾道ミサイル、巡航ミサイルを使う作戦がある。そうなると三カ国それぞれ先制攻撃構想があることになる。
  11. 一般国民が北朝鮮ICBMに釘付けになる理由は理解できる。核ICBMは北朝鮮の究極の目標であり、最後の抑止手段だ。同時に開戦の様相を考えることも重要だ。両陣営の軍事力、作戦構想が開戦可能性を上げるのか、下げるのか見極める必要がある。月曜日のミサイル発射はフォールイーグルを横目に警告の意味があり、ICBMでなかろうが意味は変わらない。■
Photo credit: AFP PHOTO/KCNA VIA KNS