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2018年1月18日木曜日

韓国へEC-130Hコンパスコールが今年に入り展開している理由

The U.S. Air Force Has Deployed One Of Its EC-130H Compass Call Electronic Warfare Aircraft To South Korea 米空軍がEC-130Hコンパスコール電子戦機材を韓国に展開中

Jan 15 2018

EC-130Hコンパスコールは敵部隊を探知し通信系統を(おそらくサイバーで)攻撃して使用不可能にする能力があるが、数少ない同型の一機が韓国のオサン航空基地に配置されている。

EC-130Hコンパスコールはハーキュリーズに各種情報集装置、妨害装置等を搭載した改装機で、米空軍資料によれば「情報妨害機能および電子攻撃能力を有し米軍、多国籍軍の地上戦、航空戦、特殊作戦を支援する」とある。
米空軍のEC-130H部隊はわずか14機と小規模で、デイヴィス-モンタンAFBがあるアリゾナ州ツーソンに配備され、第55電子戦闘集団(ECG)隷下の二個飛行隊第41、43電子戦飛行隊(ECS)が運用する。同基地には第42ECS訓練隊もあり、TC-130H訓練機等を使う。
EC-130Hコンパスコールが南西アジアの場所非公表飛行基地をタキシ―している。コンパスコールは戦術機として敵の指揮命令系統を妨害し通信を遮断することで実戦で重要な即時の対応をできなくする。 (U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Jonathan Hehnly)
コンパスコールの任務は敵指揮統制能力の妨害にあり、このため敵通信を探知し重要度を把握して標的を設定する。つまり同機は敵通信式機器の発信を探知し妨害する機能がある。EC-130Hの当初の任務はSEAD(敵防空能力制圧)で、敵のIADS(統合防空体制)を利用不能にし敵迎撃機に地上レーダー管制誘導を使えなくすることだった。その後この役割は発展し、同機は無人機と地上操縦設備間の通信遮断も可能となった。
EC-130H部隊にはベイスライン1と2の機材がある。第55ECGは戦闘出撃10,900回66,500飛行時間を最近達成し、米軍多国籍軍部隊に各種戦闘で有利な状態を作ってきた。コンパスコールが優れているのは空軍物資本部第661航空機材隊が進めるビッグサファリプログラムによる性能改修が一貫して行われてきたためだ。同隊が中心となり各方面が協力してEC-130Hは新型通信技術にも対応できる。
ブロック35ベイスライン1仕様のEC-130Hで空軍には通信遮断効果が増進できる。早期警戒レーダーや航法支援装備が高出力を放射するとベイスライン1機材は敵の動きに柔軟に対応可能だ。
ベイスライン2ではさらに改修が進め操作員の負担が軽減されている。外部との通信も改良され状況把握のみならず作戦環境での接続性が向上している。
ベイスライン2の実現でDoDに「第五世代電子攻撃能力」が実現した。EC-130Hコンパスコールのベイスライン2で実現した改良点はミッション直結のため極秘扱いだが攻撃の精度と威力を向上している。さらにシステムが再設計され「プラグアンドプレイ」で迅速対応できるようになり現実の脅威が毎回違う対応を迫る中で対応力が増している。衛星通信が可能となり今後登場するDoD装備と互換性が生まれる。また多様な装備とのネットワーク、データリンク用端末も備える。ベイスライン2では機体改修をしており機体の性能と残存性が向上した。
2015年にはUSAF所属のEC-130Hコンパスコールがネットワーク攻撃を実証し、機内からのハッキング機能がサイバー戦に有効だと分かった。電子戦では機体からマルウェアを放出するのが通例だ。
現在は機材の三分の一が不朽の決意作戦支援に投入されている。EC-130H4機がRC-135リヴェットジョイント他EA機材とチームを組んでイラク、シリア上空でイスラム国の通信を遮断している。その中でEC-130H(73-1590 “Axis 43”) がオサン航空基地に移動する前に横田基地に2018年1月4日に飛来していた。実に興味を惹かれる。
今回の電子戦機材の展開の理由は推測が困難だ。サイバー攻撃能力を有する同機がDMZの南側に配備する理由は何なのか。ここまで特化した機体が朝鮮半島に配備されその他情報収集機に加わり緊張が高まる中で空を飛ぶのは注目すべきなのは確かだ。■

2017年5月31日水曜日

B-21大量調達に期待する米空軍・北朝鮮攻撃に必要な爆撃機は何機か


北朝鮮攻撃に戦略爆撃機60機必要なら中国はどうなのでしょう。
実際には巡航ミサイルやサイバー攻撃もあり、有人爆撃機だけを投入するわけではありませんが。(B-21も最初から無人運用も想定している言われますが。)トランプ政権になり、ヒラリー等が提唱したソフトパワーは否定されており、軍にとってはまず予算上限の制限をとり、次に本当に必要な装備を遠慮なく要求できる環境づくりが可能になりつつあるようですね。一方、KC-46はさらに苦労しそうです。コンパスコールでも空軍が批判をうけていますが、裏にボーイングがあるといはいえ、議会には優秀なスタッフがついていますので相当の勉強をして議員が取り上げるわけです。ここは政権の脚を引っ張るため次から次に醜悪な話題を「でっち上げてもいい」と考える政党がはびこる日本との違いですね。
B-21 artist renderingB-21 の想像図

B-21 Bomber Boost? General Touts 165; KC-46 Still Late B-21爆撃機調達数は上方修正されるのか KC-46開発は依然遅れ気味

May 25, 2017 at 3:11 PM
WASHINGTON: B-21爆撃機は何機必要なのか。80機、100機、165機なのか。予算の制約と別に議会の予算配分もあり、米空軍調達部門トップはこの質問に慎重に答弁したが、空軍内から意外なヒントが出た。
Lt. Gen. Arnold Bunchアーノルド・バンチ中将
  1. 機数は「最低100機」と高度機密事項の戦争実施案の検討内容を背景に、訓練、整備能力も考慮して答弁したのはアーノルド・バンチ中将で下院軍事委員会シーパワー・兵力投射小委員会でのことだ。
  2. 100機とこれまでも空軍が表明していた。B-21レイダー爆撃機は80機から100機必要という説明が先行していた。その時点でも機数は最低100機との説明だったが、本日、ジェリー・ハリス中将(戦略作戦立案担当参謀次長)がマイク・ギャラガー議員(共、ウィスコンシン)に「おそらく必要になるのは」165機だと戦争実施構想すべてを総合した結果として伝えている。
  3. ギャラガー議員は中将クラスを招いたパネル討論でミッチェル研究所の研究報告書(”US Bomber Force: Sized to Sustain an Asymmetric Advantage for America” )に触れ、ロシア戦では258機、イラン戦では103機、北朝鮮向けに60機が必要との試算内容を尋ねている。各機数は該当国内の攻撃目標数と投下爆弾数から割り出しており、作戦期間と必要なソーティー数から求めた。
  4. ハリス中将からは報告書の試算は「不正確ではない」とし、「165機をおそらく整備すべき」と述べ、トランプ政権の新軍事戦略の内容より先行するつもりはないと加えた。(統合参謀本部議長ジョー・ダンフォード大将がオバマ政権下で次の戦略構想は極秘としていたことを想起すると現政権がこれを覆す可能性は低いと思われる)
  5. そうなると早晩新型爆撃機の必要機数が引き上げられそうだが、すぐに予算手当がつくことにはならない。2018年度予算案ではB-21には20億ドルが計上されている。
  6. 一方で「低リスク」給油機ソリューションのKC-46で想定外のリスクが増えている。空軍からはボーイング製給油機の就役が遅れると再度発表している。バンチ中将もジョン・ガラメンディ議員の質問に答えて、空軍はボーイングと共同でリスク評価を来週実施すると述べている。テスト項目の実施は予定より遅れているのは明らかで、バンチ中将はボーイングは予定通り実施可能と見ているが、「空軍は遅れるとの評価だ」と述べている。
  7. この問題に連邦航空局がからんでいる。同局は10年以上かけて次世代航空管制システムの実現を目指し、ガラメンディ議員はバンチ中将にFAAが問題なのか問いただし、中将は以下驚くべき答弁をしている。「FAAが問題だと断言できる立場にありません」 ガラメンディ議員は空軍関係者の表情からFAAが問題だと空軍が見ているのは明らかと述べた。
EC-130 Compass Call electronic warfare aircraft, used for an experimental cyber attackEC-130 コンパスコール電子戦機がサイバー攻撃実験を行った。
  1. 次にバンチ中将は先に出た報道内容を確認しボーイングからEC-130Hコンパスコール契約を空軍がL3に交付したことに対して異議申し立てがあったと認めた。L3が高度機密電子戦機材の作業で美味しい部分を得た形だ。空軍は同社に機体改修をさせるのが一番工期が短く、安価かつうまく実施することにつながると判断した。
  2. 空軍はコンパスコール機材を昨年退役させようとし、新型機材としてガルフストリームのG550ビジネスジェット機にBAEシステムズ製EW装備を搭載するとしていた。
  3. 「L3はシステム統合機能の実施で実績があり、ミッション装備での知見がも豊かです」とバンチ中将は小委員会で発言。「ミッション装備は高度の機密事項ですが、電子戦の実施に投入するための機材を求めています。同社は必要な設備をすべて保有しており、知見と活かしモデリング他必要な情報を有しています」
  4. L3がシステム統合機能で中心的システム統合企業(lead system integrator, LSI)なのかで議論が交わされた。バンチ中将がL3を中心企業と誤って発言する場面があり、以前のやりとりに詳しい向きは次世代戦闘システムや沿岸警備隊のDeepwater事業でLSIを使用しており、政府が契約企業側に従来は政府が行ってきた決定内容を任せている。両事業とも批判にさらされ、前者は中止され、後者は実質的に内容を改定している。バンチ中将はL3はLSIと称したくない理由がそこにあったのだ。■

2017年5月11日木曜日

★次期コンパスコールは商用機ベースで2020年代末登場。それまでEC-130H供用を続ける。

日本でもC-130Hが供用中ですが....


A new Compass Call: The Air Force is replacing its Vietnam-era electronic warfare planes

By: Stephen Losey, May 4, 2017 (Photo Credit: Stephen Losey/Staff)

  1. 知名度が低いが対イスラム国で最重要装備品といえるのがEC-130Hコンパスコールで、複雑な通信妨害装備を老朽貨物機に詰めこんでいる。
  2. 十数年かけてコンパスコールに新しい生命が吹き込まれる。2029年末までに米空軍はEC-130Hの搭載装備品を新型機材10機に移植する。新機材はEC-Xと呼ばれる。
  3. 現在15機あるEC-130H各機は数十年の機齢で老朽化が目立つ。第386派遣飛行隊が中東に展開中だが運用機材は1973年調達が一機、もう一機は1964年初飛行の機体だ。EC-130Hは1983年に開発開始され、旧型C-130を利用している。
  4. 各機は米軍の主要作戦に毎回投入されてきた。コソボ、ハイチ、パナマ、リビア、イラク、セルビア、アフガニスタンとつづき、2004年から米中央軍を支援している。コンパスコールは毎日飛んでISIS戦闘員間の通信妨害により連合軍のイラク軍支援で有効手段となっている。
  5. 「交信できなければ戦闘もできない。極めて単純です」とジョシュ・コスロフ中佐(第43遠征電子戦闘飛行隊司令)が今年1月に386隊の本拠地で語っている。「われわれの仕事はダーイシュ通信網を大規模かく乱することです」ダーイシュはISISをアラブ世界で軽蔑的に呼ぶ呼称である。
  6. だが機齢四十年、五十年になる機体を中東のような過酷な状況で集中的に飛ばすのは相当困難な仕事だ。
  7. ジョン・カリム中尉は第43隊で整備員34名を統括し機齢だけが「理由でなく故障が多くなっている」という。コンパスコール各機では構造上の定期点検の必要があり、整備陣も各機の配線やエンジン状況を注視している。古い機体に最新電子戦装備を乗せると面倒な状況も起こる。EC-130Hの機体は「もともと現在の任務用には作られていない」とカリム中尉も言う。
  8. 空軍は既存の商用機調達に傾き、専用機材の開発は断念して新EC-Xとすると空軍報道官エミリー・グラボウスキ大尉が伝えている。
  9. 現在のコンパスコールの契約企業L3コミュニケーションズが機材を選択と装備品搭載を担当するとグラボウスキ大尉は説明し、米空軍はL3に特定の機材の指定をしないという。
  10. 「契約企業主体で行う選定なので空軍は結果をあらかじめ予測できない」とグラボウスキ大尉は述べ「選考過程と結果を尊重しつつ要求内容が実現するよう期待する」
  11. EC-Xコンパスコール一号機は2020年末に稼働開始すると空軍は期待しているとグラボウスキ大尉は述べ、残る機材も2020年代中に配備され、EC-130Hは全機退役させる。
  12. グラボウスキ大尉の説明ではコンパスコールの機材切り替えに今後10年間で20億ドルを10機と初期予備部品をインフレを考慮して算定している。
  13. 現行機材を30年供用し続けた場合と比較すれば新型機導入で「数十億ドル」の節約になるというがグラボウスキ大尉は節約効果の詳細を明らかにしなかった。
  14. 空軍参謀総長デイヴ・ゴールドファイン大将は議会で証言し2017年度に国防費制限措置を継続すれば新型コンパスコール機の配備にも遅れが生じると警告していた。
  15. グラボウスキ大尉は予算制限措置を通年で行うとEC-X一号機の調達も最低12か月遅れると述べている。その間空軍は旧式コンパスコール機材を補修しながら供用することになり3億ドルの追加予算が必要となると述べた。■