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2021年9月23日木曜日

PLAN部隊はアラスカ沖に本当に展開したのか。12カイリ領海内に侵入しなくてもEEZを航行したとすれば、米国も警戒心を高めることに。航行の自由作戦への意趣返しなのか。

 



Arleigh-Burke South China Sea

アーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦USSバリー(DDG 52)が南シナ海で航行の自由作戦を展開した。US Navy/Samuel Hardgrove / AFP - Getty Images

 

 

中国艦艇がアラスカまで遠征し、米領海に侵入していなくてもEEZ内を航行したのであれば、米国は警戒せざるを得ない。

 

中間の緊張の高まりを象徴するがごとく、人民解放軍艦艇がアラスカ付近に進出し、米国が南シナ海で展開する航行の自由作戦に対抗してきた。

 

中国艦艇はアラスカ沖に出現したのか

 

中国艦艇がアラスカ沖公海に展開したと伝えたのは中国政府が背後に控える環球時報だ。

 

「米国防総省とつながるウェブサイトが人民解放軍(PLA)の艦艇部隊がアラスカ付近の公海を航行したと伝えた」と同紙記事にある。

 

ただし、環球時報ではさらに「その報告が正しければ」とあり、実際に発生したのか断定していない。にもかかわらず、同紙はこれを報じ、あたかも真実のように論じ、中国軍関係者が今回のパトロールを話題にするのを伝えている。

 

Chinese 052D Destroyer

052D型駆逐艦

Military Watch

 

PLA遠征訓練が常態化するのか

 

「記事が真実なら、中国艦艇の活動で遠洋訓練が通常となりPLA海軍は迅速展開能力を手に入れることになる。中国側アナリストは米軍が孤高の自由作戦と称する中国近辺での挑発行為への対抗策となると解説している」(環球時報)

 

同紙によれば情報の元は米沿岸警備隊第17管区だとある。PLA海軍艦艇四隻があらわれ、誘導ミサイル巡洋艦1、誘導ミサイル駆逐艦1、情報収集艦、補給艦各1だったという。

 

Type-055 Destroyer China

055 型駆逐艦南昌

Wikipedia

 

この中国任務部隊は「米国の排他的経済水域内の公海を航行し、アラスカアリューシャン列島沖を8月29日から30日にかけて航行した」とある。

 

中国艦はアラスカ領海12マイル以内に入っていないとの報道がある。

 

海洋法では

 

ただし、中国艦が200マイルの排他的経済水域(EEZ)内を航行したとすれば、海洋法がクローズアップされる。

 

海洋法ではEEZは対象国の沿岸から数百マイル先の商業活動を優先するべく設定されている。したがって他国がそこで通商や漁業等の商業活動を展開する場合には対象国の事前許可が必要だ。ただし、海洋法では単純な航行の場合はこれを必須としていない。

 

真の意図が何であれ、今回のような航行は米中間で意見が異なる南シナ海の領有権論争を加熱化させかねない。

 

南シナ海での中国の主張へ対抗


ここ数年にわたり、米国は中国が領有を主張する地区で沿岸から12マイル以内の航行を続けている。ただし、米国はじめ国際社会の多数は中国の主張を認めず、非合法かつ挑発的であり、認められないとし、東南アジア他国も領有を主張していることを考慮している。

 

同時に中国が人工島建設を続けていることにも米国同盟国は懸念を持ち続けており、ペンタゴンは人工島建設を非合法造成工事とみなし、領有権主張のためとしている。■

 

Were Chinese Warships recently Traveling off Alaskan Coast?

UPDATED:SEP 21, 2021ORIGINAL:SEP 20, 2021

Chinese Warships Scouting the Alaskan Coast

If Chinese warships did sail within the 200 mile Exclusive Economic Zone, it does raise alarm bells

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN


 

-- Kris Osborn is the President of Warrior Maven and The Defense Editor of The National Interest --

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master's Degree in Comparative Literature from Columbia University.


2018年10月24日水曜日

米中の軍事緊張が高まる中で米海軍が台湾海峡通過航行を敢行した


日本ではあくまでも米中両国は「貿易戦争」をしているのであって、経済問題で対立しているとの報道にとどまっていますが、米国(おそらく中国でも)では軍事対立への道、すなわち新冷戦として現状を捉えているのですね。またもや日本は空気が読めない対応に終止してしまうのでしょうか。

US Navy warships just rocked the Taiwan Strait in rare move, turning up the pressure on China米海軍艦艇が台湾海峡で波を立て中国に圧力をかけた


US Navy guided-missile destroyers and guided-missile cruisersUS Navy guided-missile destroyers and guided-missile cruisers U.S. Navy photo by Lt.j.g. Caleb Swigart
  • 米海軍が10月22日中国の玄関口で威力を誇示すべく艦艇二隻に台湾海峡を通過させた
  • 海峡を通過した駆逐艦USSカーティス・ウィルバー、巡洋艦USSアンティータムに中国艦船が追尾した
  • あたかも両国で緊張が高まる中での事件のため、国際法の枠内とはいえ中国が怒りをおぼえることになりそうだ

海軍艦艇二隻が台湾海峡を通過したと台湾国防省が月曜日発表した。
アーレイ・バーク級駆逐艦USSカーティス・ウィルバー、タイコンデロガ級巡洋艦USSアンティータムの二隻が台湾海峡を同日に航行したと米太平洋艦隊もBusiness Insiderに認めた。米海軍では7月にもUSSマスティン、USSベンフォールドの駆逐艦二隻を航行させていた。
今回は「国際法に準拠した通常の台湾海峡航行」と太平洋艦隊広報官レイチェル・マクマー少尉がBusiness Insiderに語り、ミッションの目的は「自由かつ開かれたインド太平洋」の維持が米国の国是と示す点にあるとし、「米海軍は国際法の許す範囲で今後もいかなる地点で飛行・航行・作戦を展開する」と述べた。
今回の背景に米中両国の軍が緊張を高めていることがあり、貿易から領土主張に至るまで両国の対立が強まっている。
台湾周辺で米軍が活動すると台湾独立派が勇気づくと問題視する中国は同海域で軍事力を増強しており、空母と随行艦に台湾海峡を通過させ「包囲」演習として戦闘機、爆撃機、他を参加させた演習を通年で実施している。
北京政府は台湾をあくまでも分離した自国領土とみなしており、独立宣言の動きが台湾に出れば軍事行動を辞さないと脅かしてきた。
米海軍による中国への挑戦最新版は南シナ海でにらみ合いが続く中で実行され、スプラトリー諸島近くで航行の自由作戦を実行した米海軍艦艇に中国駆逐艦が衝突寸前の「危険な」接近をした事案も発生していた。その後、米空軍が爆撃機を東シナ海南シナ海上空に複数回通過飛行させており、中国は毎回「挑発的」と決めつけていた。

今回の米海軍による台湾海峡通過に中国も艦艇複数で追尾させたが、中国艦は安全な距離をたもったままだった。■

2018年7月15日日曜日

F-35B搭載のUSSエセックスが沈黙のまま太平洋へ出動したのは中国へのメッセージ

The US Navy just quietly sent an F-35 aircraft carrier to the Pacific — and it signals a big change米海軍が沈黙のままF-35搭載空母を太平洋へ出動させたのは大きな変化のあらわれか


f 35bUSSアメリカ艦上で兵装満載のまま短距離離艦を始めるF-35B。 Lockheed Martin
  • 米海軍が小型空母USSエセックスを西太平洋に出動させた。米海兵隊所属のF-35B共用打撃戦闘機を搭載している。この事実は公表していない。
  • 米国はF-35展開を通常は大々的に宣伝するが、今回は沈黙を保っているのは大きな変更を意味するのだろう。
  • 米国には西太平洋に主要敵対国数か国があり、その動きへの対抗上今回は作戦運用を広報活動より優先したのだろう。



海軍がF-35配備の動きを宣伝してきた従来の慣行を破りジャンプジェット空母USSエセックスを西太平洋に同機満載し秘密のうちに派遣した。厄介な敵対国対策で米国の対応方法に変化が生まれることを示唆しているようだ。
USSワスプが今年先に米海兵隊所属F-35B部隊を搭載する初の小型空母になった際にはメディア報道があった。だがエセックスの出港では変化がみられ、海軍当局は出港後に事実発表したとUSNI Newsが報じた。
大小問わず空母含む主力艦を米海軍は世界各地に派遣しているが今回のような形の出動は以前に一回あったのみだ。
F-35は史上最高額の兵器システムとなったが費用の膨張や遅延で繰り返し批判を受けてきた。海兵隊運用のF-35Bは垂直着陸と短距離離陸が可能で、強襲揚陸艦で運用できる。AV-8Bに後退して対地対空攻撃ミッションを実施する。海軍用のF-35Cには拘束フックがついており空母着艦ができる
当然ながら米軍は最新ジェット機を見せつけることに熱心であり、ステルスと高性能センサー制御により航空戦を革命的に変えると豪語している。ただしこの広報活動を今回行わず作戦面を重視したようだ。
海軍としてはメディアが太平洋への艦船派遣について期待する内容を変えたかったのだと消息筋がUSNI Newsに語っている。
米軍は艦船派遣特に空母展開を数か月前から宣伝することが通常だが今回極秘のうちに事を進めたのはこの慣行に反する。

では米海軍は太平洋で何を隠そうとしているのか。

USS Ronald Reagan Navyルソン海峡を通過するUSSロナルド・レーガン(CVN 76) の飛行甲板。Mass Communication Specialist 3rd Class Ryan McFarlane/US Navy
米国には太平洋に主要敵対勢力がある。中国とやや規模は劣るが北朝鮮だ。
北朝鮮との対話が進行中でもあり、米国としては西太平洋への部隊展開について口を開きたくないのだろう。ことに次世代ステルスジェット機が展開すれば目立つ動きで北朝鮮を刺激することになる。
ただし米国に最大の脅威を与えているのは中国海軍であり、これが米海軍が沈黙を保った理由だろう。
日本に前方配備中の空母USSロナルド・レーガンが南シナ海を哨戒航行したが、米国はこの件を極力発表しなかった。Business Insiderは繰り返し本件のコメントを求めたが無視されたままだ。
米国は海軍を使い「航行の自由」作戦を展開している。基本的にある国が過剰な海洋領有権を主張した場合、米国は駆逐艦一隻を航行させその主張を認めていない意思を伝えている。
中国はこうしたパトロール航行を自国主権の侵害ととらえ排除しようとする。米国にとって中国の主張に対抗することが通常となり報道の価値がなくなる方が得策だ。一部には米国は中国の軍事力に対して報道なしでメッセージを伝えたかったのではないかとの見方がある。報道されると事態がエスカレートしかねないからだ。

これだけの規模の出動を広報せずに行い、米国は中国のコートにボールを打ち込む準備が出来ていると伝えたいのではないか。高性能軍事装備でにらみを利かせ報道発表の代わりに海軍部隊同士で事態に対処したいと考えたのではないか。■

2017年8月12日土曜日

8月10日、米海軍がミスチーフ礁で再び航行の自由作戦を実施


中国の既成事実作りを許してきたのはオバマ政権の失策でしょう。時間は取り戻せませんが国際法を盾にする西側世界(既存勢力)と自国の主張を根拠とする中国等(挑戦勢力)のせめぎあいが展開されているといってよいでしょう。

USS John S. McCain Conducts South China Sea Freedom of Navigation Operation Past Mischief Reef; 3rd South China Sea FONOp This Year

USSジョン・S・マケインが南シナ海で航行の自由作戦をミスチーフ礁で実施し、今年三回目の南シナ海FONOpとなった

August 10, 2017 12:23 PM • Updated: August 10, 2017 1:28 PM

写真 USSジョン・S・マケイン(DDG-56) June 17, 2017. US Navy Photo

  1. 米海軍の誘導ミサイル駆逐艦が中国がフィリピン沖に構築した人工島の12カイリ以内を10日航行したと国防関係者がUSNI Newsに明らかにした。USSジョン・S・マケイン(DDG-56)がミスチーフ礁上に中国が構築した施設付近を航行した。
  2. 今回のFONOp航行の自由作戦は今回で三回目で国防長官と米太平洋軍がトランプ政権に今年初めに進言していた。
  3. ペンタゴン関係者はUSNI Newsに今回の作戦実施の事実関係を確認していないが、声明文を発表し航行の自由作戦は米国の標準行動の一環だと述べている。
  4. 「アジア太平洋地区で活動中の米軍は通常行動に南シナ海も範囲に収めている。作戦行動はすべて国際法に則り国際法の許す限り米国はいかなる場所でも航行、飛行、運用を実施する」と海兵中佐クリストファー・ローガンが発表。「FONOpsは通常の形で実施し今後も続ける。作戦成果のまとめはFONOps年間報告書で公表するので今はない」
  5. その他の航行の自由作戦とちがい、ミスチーフ礁付近の航行は中国の人工島構築に対する最も明確な挑戦である。中国は南シナ海各所で拠点づくりを進めているが大部分は満潮時も海面から出る地点で領海として無害通航として知られる運用手順の遵守が軍艦に求められる。
  6. これに対しミスチーフ礁は引き潮時でしか現れない陸標であり国連海洋法ではこうした陸標は領海起点とされず12カイリ以内の無害通航の根拠にならない。
  7. 米海軍は5月にミスチーフ礁を大胆に航行しており、USSデューイ(DDG-105)がミスチーフ礁上の基地施設から6カイリ地点を航行し、およそ90分にわたり12カイリ以内にとどまり、ジグザグ航行しながら人員救難訓練したとUSNI Newsがすでに伝えている。
2016年初頭のミスチーフ礁. CSIS Asian Maritime Transparency Initiative, DigitalGlobe Image

  1. 「今回はこれまでのFONOpsで最も意味のある実施だ。中国の南シナ海での主張に対抗するだけでなく、中国の該当陸標での主張に挑戦するものだからだ」とジェイムズ・クラスカ(米海軍大学校国際法研究ストックトンセンターで国際法教授)が5月時点で解説していた。
  2. 「米国は領海でのみ無害通航を認め、領海でないということは中国の領有を認めないということだ」
  3. 国防関係者からは10日にUSNI Newsに対し今回の作戦は5月事例ほど積極的ではなかったと明かしている。
  4. ミスチーフ礁を舞台にした作戦はこれで二回になったが駆逐艦USSステサム(DDG-63)がトリトン島(パラセル諸島)を7月に通航している。同地は中国、ヴェトナム、台湾がそれぞれ領有を主張している。
  5. 米国が準定期的FONOpsを南シナ海で2015年末に再開し過剰な領有権主張に対抗しているのは上院なかんづく上院軍事委員会のジョン・マケイン委員長(共、アリゾナ)の圧力によるものだ。
  6. USNI Newsはこの4月にペンタゴン上層部がホワイトハウスにFONOps実施予定を提出し米国として予定調整が可能な範囲を示したと把握している。
  7. 駆逐艦マケインは米前方配備部隊の一環で日本を拠点とする。艦名は元米太平洋軍司令官ジョン・S・マケインJr提督に由来する。■
 

2017年6月5日月曜日

つまらない今年のシャングリラ対話


今回のシャングリラ対話は時事問題に傾き、スケールが小さくなっている気がしますがいかがでしょう。中国も参加しているようですが、西側の意見に反論もあったのでは。本来の開かれたフォーラムという位置づけが現実問題の前に見えなくなっているようですね。

Global allies call for continued US patrols in South China Sea

同盟各国が南シナ海における米パトロールの継続を求めている
By: Mike Yeo, June 4, 2017 (Photo Credit: Roslan Rahman/AFP via Getty Images)

SINGAPORE — 恒例のシャングリラ対話、アジア安全保障サミットの講演者から米海軍による南シナ海での航行の自由作戦継続を求める声が相次いだ中、各国参加者の心中では南シナ海の対立問題で懸念が広がっている。
  1. 政策スピーチではオーストラリア、日本の国防トップがそれぞれ米軍が国際法により認められた空間で今後も作戦を継続するとの米国防長官ジム・マティスの発言を支持すると述べた。
  2. 主催は国際戦略研究所(IISS)(Asia)で政府、非政府両部門の国防安全保障専門家が世界各地から集まり、アジア地域内で最大のサミットとなった。
  3. マティス長官は米軍が「国際法が許す場面すべてで飛行、航行、作戦を今後も継続し、決意のともに南シナ海以遠での作戦プレゼンスを示していく」と述べ、「該当地域内の作戦は共有する権益とともに国際法が認める自由を今後も守っていこうとうするわれわれの決意であり意欲のあらわれだ」とした。
  4. これに同調したのが日本の防衛相稲田朋美で航行の自由作戦を行う米海軍への支持をあらためて表明し、「開かれた自由で平和な国際海上航行の秩序を守ろうとする米国の決意のあらわれ」と評した。
  5. 稲田大臣はスピーチで東シナ海、南シナ海双方で領有権をめぐる緊張が続くことに光を当てたが、国名はあげず、「ある国の公船が定期的に日本領海を侵しており」一方で「南シナ海に置いて軍事目的に使うべく拠点整備を続けている」と述べた。
  6. 稲田大臣の次に登壇したオーストラリア国防大臣マリーズ・ペインからオーストラリアも「権利行使を認める権利を強く支持する」と述べ、オーストラリア軍艦船航空機も作戦行動を「過去数十年同様に南シナ海で続けて航行とともに上空飛行の自由の権利を一貫して守る」と述べた。
  7. オーストラリア空軍はゲイトウェイ作戦としてロッキード・マーティンAP-3Cオライオン一機をマレーシアのバターワースに年間4回から8回派遣し二週間間隔で上空飛行を行っている。
  8. オーストラリア国防省によれば上空飛行はオーストラリアによる東南アジア域内安全保障と安定性確保策の一環とし、海上警戒飛行は北インド洋と南シナ海双方で行っているという。
  9. マティス長官と稲田大臣からは昨年下された国際法廷によるフィリピン提訴の中国の南シナ海活動に法的な根拠がないとの結果内容を強調し、関係該当国は法の判断を守るよう求め、紛糾の解決にはこれを出発点とするべきと主張した。ただし中国は司法手続きに参加を拒否し、裁定内容は無視すると公言している。
  10. パトロール航行の必要を重視するのは閣僚級参加者だけではない。IISS-Asiaのシャングリラ対話上級専門職ウィリアム・チュンは米国が「航行の自由作戦の執行を続ける必要がある」と報道陣に指摘し、パトロール航行が7か月間実施されていなかったことに注意を喚起した。駆逐艦USSデューイが5月24日にミスチーフ礁から12カイリ内を航行して再び実施されたがトランプ政権下で初の航行の自由作戦パトロールになった。■


2017年5月29日月曜日

★南シナ海航行の自由作戦で人工島6カイリ以内を通航した米海軍艦船と中国の反応




中国としては既成事実の積み重ねで逃げ切るつもりでしょうが、法による支配と相いれないとんでも主張であることは明確なのです。問題は北朝鮮他に目を取られる間に時間が経過することなのですが、今回の航行の自由作戦は意味が違うようです。中国といい朝鮮といい本当に面倒な隣国に日本は恵まれていますね。

USS デューイ(DDG-105)が南シナ海を航行している。 May 6, 2017. US Navy Photo

 

U.S. Warship Came Within 6 Miles of Chinese Artificial Island in Toughest Challenge Yet to Beijing South China Sea Claims

米艦が中国人工島から6カイリ以内を通航し、中国領有権主張に最大級の抗議を示した

 By: Sam LaGrone
May 25, 2017 1:04 PM • Updated: May 25, 2017 3:25 PM

  1. 米海軍駆逐艦が中国が造成した南シナ海内人工島から6カイリ地点を5月25日に航行し、中国主張へこれまでで最大の抗議活動となっていたと判明した。
  2. 同日現地時間午前7時にUSSデューイ(DDG-105)がスプラトリー島しょミスチーフ礁から6カイリ地点を航行したと米関係筋複数がUSNI Newsに認めた。
  3. 同艦は国際法で認める無害通航を行い、軍艦の権利として事前通告なしで他国領海を通航できる。
  4. 同艦はミスチーフ礁から12カイリ内を90分にわたりジグザグ航行した。乗員は艦外訓練も行ったと米関係者が伝えている。
  5. ただし航行中は中国フリゲ―ト艦が追尾し、無線で20回にわたり人民解放軍施設付近からの退去を求めてきた。
  6. 人民解放軍報道官は25日に中国海軍フリゲート艦部隊がデューイを「警告し遠ざけた」と伝えている。
  7. 今回はトランプ政権で初の航行の自由作戦(FON op)として中国の南シナ海領有主張に挑戦した形になった。USSデカター(DDG-73)がパラセル諸島でFON opを昨年10月に実施して以来となった。
2016年初めのミスチーフ礁。 CSIS Asian Maritime Transparency Initiative, DigitalGlobe Image

  1. ペンタゴン報道官ジェフ・デイヴィス大佐は航行の自由作戦の具体的事実を確認していない。「FON opsは通常通り実施しており、これまでと変わりなく、今後も継続していく」「作戦の総括は年間報告書で公表するがまだ刊行時期ではない」
  2. 反面、中国はデューイのミスチーフ礁航行の事実をさっそく確認し非難している。
  3. 「ミサイル駆逐艦USSデューイが南沙(スプラトリー)諸島付近に中国政府の許可なく進入してきた。中国海軍は合法的に同艦を米海軍艦船と識別し退去を求めた」と中国外務省報道官陸慷Lu Kangが述べている。
  4. 「米艦船の行動は中国主権の侵害であり安全保障上の利益も妨害するものであり、不必要な衝突につながりかねない行為だ。中国はこの行為に強く不満を表明し、明確に反対する」
  5. デューイが行ったFON opの性質、実施位置は人工島をもって領有権主張の根拠とする中国に明確にメッセージを送っている。
  6. 南シナ海ではほかにも人工島があるが、ミスチーフ礁の施設は他国の領有権主張と重ならない地点であることが異なり、引き潮時に姿を現す地点に建設されている。この事実は2016年のハーグ国際仲裁裁判所の裁定内容でも指摘されている。
  7. 国連海洋法条約では引き潮時の島しょはどの国も領有を主張できず領海の根拠とならない。
  8. 「今回はFON opsの中でも一番目立つ形となり、中国の南シナ海領有主張に真っ向から挑戦している」と米海軍大学校で国際法、海洋法、海洋政策を教えるジェイムズ・クラスカ教授がUSNI Newsに語っている。「その根拠はもし米国が無害航行と認識しないと領海ではなく、領海でなければ中国の領有主張が崩れる」
  9. FON opsを定期的に開始したのは2015年末のことで複数国が領有を主張する地点を対象に航行しており、中国の過剰な主張だけを対象にしたのではない。
  10. 戦略国際研究所内のアジア海洋透明性イニシアチブのグレゴリー・ポーリングは今回のミスチーフ航行は性格が違うとUSNI Newsに指摘。「ミスチーフは中国が領海外で実力占拠する唯一の地物featureであり、無害通航ではないFON opで現状に挑戦できる唯一の場所なのです」
  11. 「デューイはそのメッセージを送ったのであり、米国に関する限り、ミスチーフ礁とは人工島にほかならず、いかなる権利主張も発生しないと見ています。課題はこれを今後も続けるべきかという点です」
  12. USNI Newsは今月初めに国防長官官房が国家安全保障会議NSCに今後のFON opsの予定を提示し、NSCにいつ米艦船等の該当地区航行を選べるようにしたことを知った。NSC報道官からはNSCはFON op予定は把握していない旨の声明文がUSNI Newsに届いている。
  13. 南シナ海でのFON opsをカール・ヴィンソン空母打撃群が2月に同地を航行した際に実施できたが、ペンタゴンは同地区で意味のある戦略を構築する時間がなく見送られていたと国防関係筋複数からUSNI Newsに伝えられている。
  14. 今回の作戦はトランプ政権が承認した初の機会であったが、南シナ海では米艦船航空機は活発に運用されている。
  15. FON opとして地物の12カイリ地点を通航させるにはホワイトハウスの事前許可が必要だが、12カイリ地点の外側であれば米艦船はここ数か月継続して航行している。■
 
うーん、若干わかりにくい論理ですね。訳が間違っているのでしょうか。



2016年5月13日金曜日

★中国は米航行の自由作戦をこんな風に見ている 人民解放軍新聞の論調




うーん、宇宙の反対側から見た論旨のようですね。これでは話し合いになりません。本当にこのように世界を見て意見をまとめているとしたら、今後がすごく心配です。(本ブログは中国政府の意見を代弁するつもりはありません。あくまでも議論のために両者の意見を比較するべきだと考えます。)

PLA Daily: U.S. warships abusing FON operations in South China Sea

Source: XinhuaEditor: Zhang Tao
2016-05-12 16:230

BEIJING, May 12 (Xinhua) -- 米国が軍艦を中国領の島しょ付近へ派遣したことを人民解放軍日報が強く非難し、いわゆる航行の自由(FON)作戦とは国際法の根本精神を無視するものと表現している。
  1. 国連海洋法(UNCLOS)ではFONの原則を掲げてると当時にそれぞれの国家の主権と航行の自由は整合性をとるべきものともしており、他国が海域に侵入する、あるいは海上航路を設定する際には事前許可を求める国があることを紹介している。
  2. にもかかわらず米国がこのような整合性を無視するのは自国の優位性維持に不利だと考えているるためと同紙は解説している。「米国は今日に至るまでUNCLOSを批准しておらず、同国の艦船の運用に制約となるいかなる条件も受け入れようとしていない」(同紙)
  3. 新聞記事ではいかなる国の領海内も軍艦が無害通航する自由はUNCLOSでも保障していないと特記して米国は軍事活動を任意に実施する自由を主張していると非難。
  4. 米国は自国軍は世界平和の維持という善意の存在だと主張し、FON問題を常に持ち出すが、FONは南シナ海では論点にならないと同紙は主張。
  5. それどころかFON作戦は地域の安定に悪影響を及ぼす状況を生んでいると同紙は述べている。「実のところFONとは米国が地域内問題に介入するための手段にすぎず、地域内を取りまとめて自国の海洋優越性を維持するために使っているのだ」
  6. 米国が追い求めるFONは国際社会の方向と違っている。なぜならFON作戦は米国の国益だけに資するものなので、作戦実施により誤解が生まれてしまうからだとしている。
  7. この記事はUSSウィリアム・P・ローレンスが火曜日に不法な哨戒活動を南シナ海の南沙諸島永暑礁付近で実施したことへ中国外務省が「断固たる異議」を表明した後で掲載された。■

2016年2月4日木曜日

米海軍の航行の自由作戦を非難する中国の自己矛盾



一方で国際法を順守し、他方で国際法と異なる解釈を堂々と主張する中国の論理構造はどうなっているのでしょうか。中国は既成事実を積み上げれば自分の勝ちと考えているのでしょうか。習金平主席の提唱する中国の夢が中華思想そのもので全部中国のものと勘違いしているとすれば大変な代償が待っているのに認識していないのでしょうか。しかし無害通航では相手国の領海であることを認めてしまうのですが。

China Upset Over ‘Unprofessional’ U.S. South China Sea Freedom of Navigation Operation

By: Sam LaGrone
January 31, 2016 11:48 AMUpdated: February 1, 2016 10:52 AM

USS Curtis Wilbur (DDG-54) in 2012. US Navy Photo
USS Curtis Wilbur (DDG-54) in 2012. US Navy Photo

中国から米海軍による1月末の航行の自由作戦を非難する声明が複数出ている。パラセル諸島のうちトライトン島を実効支配する中国の眼前で米誘導ミサイル駆逐艦が12カイリ以内を通航したためだ。
  1. USSカーティス・ウィルバー(DDG-54) が通過直後に中国国営通信は外務省と国防省の声明を伝えている。.
  2. ウィルバーによるFON作戦は「大人げなく無責任....米国の行為は中国法に違反し、平和、安全保障と秩序を乱した」と国防省報道官楊宇軍Yang Yujunは1月30日に発言している。”
  3. 「これまで米側から艦船航空機の安全通行を保障する方策の提案があったが、繰り返し中国の領海領空に自国艦船・航空機を送り込み、中国の抗議を無視し、両国の海軍空軍部隊の一触即発状況を招いているのは米国だ」
  4. 外務省報道官華春瑩Hua Chunying は声明文で「米軍艦は中国法に違反し、中国領海に許可なく侵入した。中国は同艦を終始監視し音声により警告を発した」としている。
  5. ペンタゴンからはUSNI Newsに1月30日にウェルバーがトライトン島付近を通過したのは無害通航であると伝えてきた。海洋法では軍艦は他国領海内を「領有国の秩序安全を乱さない限りにおいて」通航することが国連海洋法条約第19条で認められている。.
  6. 中国の両報道官とも1992年制定の中国国内法を根拠としており、外国艦船はいかなるばあでも事前許可なく中国領海に侵入することはできないとしている。両名は中国が1996年に該当島嶼部分に基準線を引いており、これで該当部分は中国領土になっていると説明。
  7. 「米側はこの事実を認識しているにもかかわらず中国領海に軍艦を送り込んできた。これは意図的な挑発行為そのものだ」(国防省Yang)
  8. 米側は中国に無害通航に関し事前通告を求める権利はあるとは認めず、中国が領有の根拠とする基準線も認めていない。
  9. 30日にはベトナム外務省報道官 Le Hai Binh がベトナム(パラセル諸島に一部領有権が重複している)は自国領海での無害通航権の行使を認めると発表。
  10. 中国は同様の無害通航を米領土のアリューシャン列島で昨年9月に行っており、米北方軍司令部は「国際法に従っていた」と発表していた。
  11. 米国の航行の自由作戦は1979年に始まっており、米国から見て過剰な領有宣言や国際法に違反する主張に対応するもの。昨年10月にはUSSラッセン(DDG-84)がスプラトリー諸島のスビ環礁上で中国が建設した人工島付近を航行するFON 作戦を実施している。■