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2025年2月6日木曜日

ドナルド・トランプの新関税は中国経済に致命的な打撃を与えかねない(19fortyfive)―虚偽で塗り固められたこの国の経済で不幸なのは中共全体が腐敗していることに加え、トップ指導者に経済の理解が絶望的に足りないことでしょう

 A China yuan note is seen in this illustration photo May 31, 2017. REUTERS/Thomas White/Illustration/File Photo



2017年5月31日に撮影された中国人民元紙幣。 REUTERS/Thomas White/Illustration/File Photo


ナルド・トランプ大統領は中国、カナダ、メキシコへの追加関税を発表した。カナダとメキシコ政府はこれを確実に乗り切るだろう。だが中国はそうではないかもしれない。

 トランプ大統領は選挙公約を実行に移した。「本日、私はメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税をかけ(カナダのエネルギーには10%)、中国には10%の追加関税をかける」と、土曜日午後、Xで発表した。 「これは国際緊急経済権限法(IEEPA)により実施されたもので、不法滞在者やフェンタニルを含む、市民を死に至らしめる麻薬が大きな脅威となっているからだ」。

 カナダは即座に独自の関税で報復したが、アメリカの関税が発動される数時間前の月曜日遅く、ジャスティン・トルドー首相はトランプ大統領と折り合いをつけ、「フェンタニル担当官」の任命とその他の措置を採用することに同意した。

 メキシコは致命的な麻薬禍に関与するカルテルと戦うため、1万人の兵士を米国国境に派遣することを直ちに決定した。


中国対トランプ関税

中国はそこまで融和的ではなかった。北京は火曜日、さまざまな措置で報復した。財務省は原油、石炭、液化天然ガス、大型自動車、農業機械などさまざまな製品に10%と15%の関税を課した。商務部は金属製品と技術に対する新たな輸出規制を発表し、アメリカ企業を信頼できない企業リストに加えた。国家市場監督管理総局は、中国国内でほとんど事業を展開していないグーグルに対する独占禁止調査を開始した。

 北京はまた、プロパガンダを開始した。「中国の立場は断固としており、一貫している」と外務省報道官は日曜日の新華社通信の発言で述べた。 「貿易戦争と関税戦争に勝者はいない」。

 実際、勝者はいる。しかし、中国はその中に入らないだろう。

 中国のような貿易黒字国は、アメリカのような赤字国との闘いではあまり武器にならない。よく引用されるキャピタル・エコノミクスのジュリアン・エバンス=プリチャードが、中国の措置は「かなり控えめ」だと述べている。彼は、「大きなダメージを与えることなく」トランプ政権に「メッセージを送ろうとしている」と指摘した。

 結局のところ、北京が与えることのできるダメージは、自国以外にはあまりないのだ。

 11月末時点で、中国の対米商品貿易黒字は2704億ドルに達し、昨年通年の黒字を上回る勢いだった。


中国経済が悪化する可能性

中国の苦境は、この大きな数字が示唆する以上に深刻だ。ひとつは、中国が自国より大きな経済大国と戦っていることだ。昨年のアメリカの国内総生産は約29兆2000億ドルだった。中国の国家統計局は18.8兆ドルと報告している。

 だが北京のGDP報告は非常に疑わしい。例えば、中国の12月の輸出は前年同月比10.7%増と、予想をはるかに上回る伸びを記録した。

 なぜこんなに増えたのか? 中国は、昨年第4・四半期に5.4%の成長を報告するために、12月の成長を必要としたのだ。通年のGDP成長率を5.0%と報告するため、第4四半期に大きな伸びが必要だった。北京は「5%前後」という公式目標を達成するために5.0%を必要としていた。


習近平が問題を深刻にしている

中国経済の問題が深刻化するにつれ、経済成長率の5.0%のペースは遠のいている。

 最も重要なことは、習近平は、消費が経済の基礎であるべきだという、どこの国でも受け入れられている考え方を否定していることだ。 習近平は消費者に力を与えたくなく、共産党の強力なブロックを怒らせたくないし、戦時経済を構築したいし、脆弱な国営銀行の利ざやを守りたいのだ。これらすべての目的を達成するために、中国のイデオロギー的指導者は個人消費を抑制する政策を実施しているのだ。

 これは、スコット・ベッセントが先月の上院承認公聴会で述べたように、中国が「世界史上最も不均衡でアンバランスな経済」を有していることを意味する。

中国は経済停滞から脱出できない

このような状況で、習近平が中国経済を救う方法はただ一つ、輸出を増やすことだ。実際、習近平は政権の命運をアメリカの手に委ねている。 アメリカは圧倒的に世界最大の市場であり、現実の時間軸で取って代わることはできない。

 さらに、アメリカの動きに触発されたのか、EUもいわゆる「グローバル・サウス」と呼ばれる国々も、中国製品に独自の関税障壁を設け始めている。

 したがって、中国の立場はますます脆弱になっている。トランプ大統領は2つの方法で中国製品を締め出すことができる。第一に、選挙運動中に約束したように、中国にさらなる関税をかけることだ。トランプはまず、少なくとも60%の全面関税をかけ、その後10%の関税をかけると公約した。 トランプは土曜日に後者の約束を実行に移した。

 第二に、トランプは強制労働にで製造された商品の米国への輸入を禁止する1930年関税法を施行することができる。1930年関税法は強制労働によって製造された商品の米国への輸入を禁じている。中国の「グリーン」製品のすべて、あるいは事実上すべてを含む多くの中国製品は、そのような労働によって製造されている。


ドナルド・トランプは関税を撤廃しない

トランプは本気だ。土曜日に、中国製品に対する「デ・ミニマス」免除を撤廃することで、重要な一歩を踏み出した。この規定で中国のテムやシェインなどは、800ドル以下の商品をアメリカの消費者に出荷する際、アメリカの関税を免除されていた。

 中国は10%関税を吸収することができるが、トランプが選挙公約を実行し、関税を70%レベルまで引き上げれば大変だ。現在のところ、トランプ関税は35%程度である。

 中国経済は高い通貨の壁によって守られているが、その壁は現金を流出させている。つまり、政権にとって状況は深刻であり、中国はすでに債務危機の淵に立たされている

 「貿易戦争がエスカレートすることを望んでいるとは思えません」と、北京の国際商経学大学のジョン・ゴンはAP通信に語った。

その通りだ。この貿易戦争は長期化する可能性がある。そうなれば、トランプ大統領の次なる関税発動は、ほぼ間違いなく中国経済を破綻させるだろう。■



Gordon G. Chang is the author of The Great U.S.-China Tech War and Losing South Korea, booklets released by Encounter Books. His previous books are Nuclear Showdown: North Korea Takes On the World and The Coming Collapse of China, both from Random House. Chang lived and worked in China and Hong Kong for almost two decades, most recently in Shanghai, as Counsel to the American law firm Paul Weiss and earlier in Hong Kong as Partner in the international law firm Baker & McKenzie.


Donald Trump’s New Tariffs Could Be a Fatal Blow to China’s Economy

By

Gordon Chang


https://www.19fortyfive.com/2025/02/donald-trumps-new-tariffs-could-be-a-fatal-blow-to-chinas-economy/


2025年1月4日土曜日

中国軍内部の汚職が台湾侵攻を遅らせる可能性を国防総省が指摘(Defense News)―言行不一致が激しい中国人の特徴が中共ではさらに拡大されます。急拡大したPLAがこれが原因で一気に減衰する可能性もあるかもしれません

 

防総省が発表した中国軍に関する年次報告書によると、中国軍における汚職の蔓延が、台湾侵攻を開始する能力を鈍らせている可能性があるという。

 人民解放軍は、海岸から遠く離れた場所に艦船を配備し、長距離のミサイルを展示するなど、全体的に進歩しているが、数年にわたる反腐敗調査により、中国軍にとって重要なマイルマーカーとなる2027年に関する目標の一部が遅れている可能性がある。

 2023年の7月から12月にかけて、中国の軍と防衛産業の幹部少なくとも15人が接待の疑いで解雇されたことが報告書で明らかになった。しかも、その対象はトップにまで及んでいる。

 11月、中国を統治する軍事委員会のメンバー7人が解任され、調査下に置かれた。北京の董軍(ドン・ジュン)国防相も汚職の疑いで調査を受けていると報じられているが、アメリカ政府のさまざまな部署はまだ確信を持っていない。起訴されれば、国防相は3代続けて汚職で起訴されることになる。

 汚職撲滅は、習近平指導部の長年の優先課題であり、国防省が力を増しているにもかかわらず、不安の種となっている。北京は世界最大の海軍、ますます進化する航空機、そして急増する核兵器を保有している。

 これらの進歩は、1930年代以降で最大規模の平時の軍備増強であると米政府高官は言う。しかし、新装備は、はるかに追跡しやすい。

 米情報機関によれば、習近平は2027年までに台湾を侵略する能力を持つべきだとPLAに伝えているが、そのための命令は出していないという。米国防当局高官は、匿名を条件に記者団に説明し、習近平はその目標への「コミットメントを再確認した」と語ったが、汚職調査がその妨げになっている可能性があるという。

 「すでに何らかの影響がでている」と同高官は語った。

 同高官は、中国が2027年の目標を達成するめどが立っているかどうかについては明言しなかった。また、反腐敗粛清が台湾にどのような影響を与えるかについても、具体的に語らなかった。

 「まだ解決されていない汚職の実質的な問題は、2027年の能力開発マイルストーンとそれ以降への道のりを遅らせる可能性がある」。

 もっと簡単に言えば、中国は2027年前後に具体的な目標を立てており、それが達成されれば台湾侵攻に役立つということだ。腐敗により多くの軍幹部を失ったことで、その進展が妨げられるかもしれない。

 報告書で指摘されたその他の重要な弱点には、指揮官の脂質、市街戦、兵站が含まれる。これらはすべて、本土から100マイルの荒海で隔てられている台湾を攻撃する際の鍵になるのは違いない。

 習近平は、今世紀半ばまでに中国が「世界一流」の軍隊を追求し続けることを、自身の就任期間の特徴としている。国防総省の推計によれば、2024年、北京は軍に3300億ドルから4500億ドルを費やすという。

 この数字は、中国政府の閉鎖的な性格のため把握するのが難しいが、報告書によれば、中国は昨年だけでも、運用可能な核弾頭を約100個増やし、2024年半ばには600個に達するという。 アメリカ政府関係者はここ数年、北京の核兵器の急速な増加を追跡してきたが、中国共産党との話し合いの中で、核兵器増強の背後にある動機について議論しようとしないことにいらだちを感じてきたという。

 「彼らはしばしば、自国の核戦力を国家安全保障上必要なレベルに維持し続けていると述べてきた。それに対してわれわれは、国家安全保障上の必要性が変化したと判断せざるを得ないと答えてきた」と同高官は語った。

 毎年発行される中国軍事力報告書は、アメリカにとって主要な競争相手に対する最も詳細な公的評価であり、今年の報告書はジョー・バイデン政権で最後となる。ドナルド・トランプ次期大統領は、次期国家安全保障会議と国務省を中国タカ派で埋め尽くしているが、ホワイトハウスへの復帰は、1月20日の就任式への習近平の招待に見られるように、すでに不確実性をもたらしている。■


Corruption may slow China’s ability to one day invade Taiwan, DOD says

By Noah Robertson

 Dec 19, 2024

https://www.defensenews.com/pentagon/2024/12/18/corruption-may-slow-chinas-ability-to-one-day-invade-taiwan-dod-says/


2025年1月3日金曜日

習近平が世界の「不確実性」を指摘し、トランプ大統領就任式前の年頭演説を終えた(The Hill)―習近平は毛沢東の再来として歴史に名を残したいとする誇大妄想狂でディールが生命のトランプと波長が合うとは思えません

 

2024年6月28日、北京の人民大会堂でペルーのディナ・ボルアルテ大統領との調印式で拍手を送る中国の習近平国家主席。Jade Gao, Associated Press pool


国の習近平国家主席は、新年の演説で力強い中国経済の姿を描く一方、トランプ次期大統領が大統領執務室に戻る準備を進める中、対外的な「不確実性」にも言及した。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じたところによると、習近平は「中国経済は、外部環境の不確実性や、古い成長ドライバーから新しい成長ドライバーへの転換の圧力など、新しい状況に直面している」と述べた。

 習主席は年越しのメッセージの中で、国家が海外からの投資に大きく依存することはできないことを認めた上で、「しかし、われわれは懸命に努力すれば勝つことができる。「いつものように、我々は風雨の中で成長し、困難な時を乗り越えて強くなる。我々は自信を持たなければならない」と述べた。

 習の演説は、トランプ大統領が2期目初日にカナダ、メキシコ、中国からの製品に新たな関税を大統領令で課すと発言して1カ月余りで行われた。 

 大統領令が実行されれば、中国製品に対する現行の関税に10%が上乗せされることになり、その多くは前任期からの積み残しとなる。

 発表後、トランプ大統領はカナダのジャスティン・トルドー首相とメキシコのクラウディア・シャインバウム大統領と会談し、両者とも「生産的"な会話だったと述べた。トルドーはその後、フロリダ州ウェストパームビーチにあるトランプのリゾート、マー・ア・ラーゴを訪れた。

 2017年にトランプが大統領に就任して以来、米中間の緊張は高まっている。それでも次期大統領は、1月20日にワシントンで開催される自身の就任式に中国の指導者を招待したが、この動きにはトランプ大統領の盟友を含む両陣営から厳しい目が向けられた。習近平は招待を断る可能性が高い。

 「これは、トランプ大統領が同盟国だけでなく、敵対国や競争相手でもある国々の指導者たちと開かれた対話を行った例だ」と、次期ホワイトハウス報道官のカロリン・リーヴィット氏は語った。

 今月初め、マー・ア・ラゴでの記者会見で、次期大統領は中国の指導者を「素晴らしい人物」であり友人だと称賛した。また、米国と中国が協力して国際的な問題を解決すべきだと示唆した。

 「中国と米国が一緒に考えれば、世界のすべての問題を解決することができる。だから、とても重要なことなんだ。彼は私の友人だった。何時間も何時間も話をしたし、彼は素晴らしい人物だ。私がそう言うとマスコミは嫌がるが、彼は素晴らしい人物だ」と付け加えた。

 ロイター通信によると、習主席は火曜日の発言で、中国との統一を目指す台湾に明確な警告を発した。

 「台湾海峡両岸の人々はひとつの家族だ。誰も家族の絆を断ち切ることはできないし、誰も民族統一の歴史的流れを止めることはできない」と述べたとロイターは報じた。

 この発言は、昨年の演説で中国国家主席が「中国は必ず統一される」と述べたのと同じものだ、とジャーナル紙は報じている。

 北京は、5月の頼清徳・台湾総統の選挙後、台湾周辺の軍事的プレゼンスを強化している。

 本誌はトランプ政権移行チームにコメントを求めている。■


China’s Xi cites global ‘uncertainties’ in speech ahead of Trump inauguration

by Steff Danielle Thomas - 12/31/24 3:04 PM ET

https://thehill.com/business/5061458-xi-chinese-economy-trump-trade/


2016年5月6日金曜日

中国の軍改革、戦略戦術の変化は要注意 本質を見抜く目を鍛える必要あり



習近平が陸軍兵力を30万名削減すると公言した裏には人民解放軍がどんどん変革を続けていることがわかります。(芸能兵など存在自体が疑問な兵員もいるのですが) 情報化、宇宙、サイバー含む全領域での優位性確保、さらに各軍統合運用などと米国の姿に近づいていくのがわかりますがその実力はいかに。決して侮ることは許されませんが、鄧小平が始めた軍の近代化が現在も着々とと進んでいることには注意が必要です。

What PRC President Is Really Doing; What The Uniform Means

By DEAN CHENG on May 03, 2016 at 4:01 AM

Xi Jinping in military uniform
習近平が軍服を着用して軍事司令部を訪問した姿が公表され、その説明文で「最高司令官」の表現があったことが中国内外で注目を集めている。
  1. 軍服姿は中国の軍事大国化を反映したものなのか。「最高司令官」という肩書は軍との政治的緊張の反映なのか。残念ながらこういった視点では本質が見えなくなる。
  2. 米国の分析は細部にこだわりすぎる傾向がある。習がどんな服を着ているのか、自らの立場をどんな語句で表現したのか等々だ。一方でもっと大きく根本的な変更が進む状態が検討対象になることは少ない。
  3. まず、習は迷彩軍服で今回の視察に臨んだが、2013年の潜水艦、2014年の別の機会にも軍服で写っているので、今回は先例ではない。
  4. また中国語の表現 “zong zhihui”には全体指揮官という意味があり、状況が異なれば別の人物もこう呼ばれる。たとえば神舟宇宙船の船長で同じ表現が使われている。
  5. 習近平の肩書は中央軍事委員会(CMC)の委員長であり必然的に軍の最高司令官であることを忘れてはいけない。中国の報道では本人を中国共産党中央委員会総書記長、国家主席、中央軍事委員会委員長と表現しており「全体指揮官」に先行していた。肩書が加わったのかは別としても、習が軍を掌握していることに疑問の余地がなく、バラク・オバマ大統領が軍の最高司令官というのと大差はない。
  6. むしろ注目すべきは習が視察した施設で、軍事委員会統合指揮所 (junwei lianzhi zhongxin; 军委联指中心)は人民解放軍PLAが各軍の統合運用を重要視している象徴でありPLAで進行中の大改革も反映している。
CSBA graphicPLA Modernization: Getting Ready to Fight “Informationized Wars”
  1. 第一湾岸戦争の終結後に人民解放軍は統合運用重視に傾き、他国の戦闘事例を観察分析したPLA上層部は将来の戦闘は各軍統合運用で高性能兵器を使って行われると結論付けた。
  2. その一環で1999年は「規程の年」と呼ばれ、戦闘用規則や教本が大幅改定されている。その後にPLAの装備や訓練方法が近代化されている。
  3. NATOによるバルカン地方介入、米軍のアフガニスタン侵攻、サダム・フセイン政権の転覆を横目にPLAは演習を通じ統合運用の経験を積み、将来戦の構想を進歩させてきた。以前は「近代的かつハイテクを投入した局地戦」が以前の定義だったが「情報化を前提の局地戦」に変更し、情報や情報技術で戦闘支援を行うことに加え、情報自体が戦闘における中核要素だと定義されるに至っている。「情報優勢」の確保がこれからの戦場で決定的要素になるとの考えだ。
Chinese DF-21 missile launchersChinese DF-21 missile launchers
  1. そこでPLAを将来戦に対応させるべく組織面で三つの大改革を行っている。まず、戦闘部隊の再編があり、従来の軍区7個は5つの戦区に改編された。重要なのは各戦区に統合作戦本部を置いたことで、CMCの統合作戦センターとつなげ各本部を統括するのだろう。これまで統合作戦司令部はその都度臨時に設けられ恒久的組織ではなかった。
  2. 習の視察での政治的な意味を考えると、PLA全体に統合司令機能による共同作戦実施が定着したと示しているのだろう。習が軍事委員会の統合司令センターに姿をあらわしたことでセンターの最高司令官の役割を果たしてと誇示しPLAの新方式は全体司令官である習自身が推進していると公にしたといえよう。
  3. さらに軍事活動全体を統括する中央軍事委員会(CMC)では四つあった総局を15の部門、事務局、委員会組織に改編した。これは兵力動員の準備態勢、訓練水準を引き上げる狙いがあるとみられる。CMCの組織をいじるのは1999年以来のことであり、1960年代の創設以来最大規模の変更になった。
  4. 組織再編の一環として総参謀部は統合参謀部に再編されている。これもPLAが統合作戦で戦闘を行う想定になっていることのあらわれだ。
  5. 最後に軍の数が増えた。かつては地上軍がPLAで政治的組織的に主流だったがCMCの15部門等で陸軍はもはや中心ではなくなっており、CMCでは陸軍出身が多数だが残りの軍とは平等の立場と位置付けられている。
  6. その一方でPLA第二砲兵隊は従来は特別部隊の位置づけが今回独立軍に昇格しPLAロケット軍となった。同時にPLA戦略支援軍 (PLASSF)があり、今回の軍改革の中で最も特徴のある存在となり宇宙軍、電子戦軍、ネットワーク戦部隊がここに含まれる。
  7. ロシアは空軍を航空宇宙軍に変えたが、中国は情報戦軍を発足させている。情報面での優位を情報化戦闘で確保するべく、PLAは電子、ネットワーク(サイバー)、宇宙の各領域で優位性確保に乗り出した。そのため専門組織を作り新しい教義を作り、訓練を統合して任務にあたるよう期待しているのが明白になった。
Graphic courtesy Sen. Dan SullivanGraphic courtesy Sen. Dan Sullivan
  1. 一つ一つの改革は軍組織の地殻変動的な変化につながる。各方面で進行中の改革はかれこれ30年前からあり、習近平は各実施内容を監督するが各施策の実施は指導部の指示をいかにPLAが真剣に受け止めているかの表れで、指導部は戦闘に備え、次の戦いでは勝利をおさめよ、と強調している。■