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2015年4月22日水曜日

世界の軍事支出規模をマクロに見る:中国は日本の5倍強の規模


文中には出てきませんが、日本も上位10ヶ国以内に入ります。H26年度は4.9兆円ということですから全世界シェアでは2.2%相当です。これに対し中国は12%となり、グローバル超大国でもない中国がこれだけの支出を東アジア中心に展開したということの意味を理解しないといけませんね。軍事費の単純比較が意味がないとか、定義が違うとか理屈はいいのですが、これだけの差が開いていることを考えると東南アジア各国が中国に警戒心を持つのは当然でしょう。意外にロシアが少なくしかも増額する余地がないとの指摘には少し驚きますね。

China, Russia, E. Europe Boost Defense Spending

Agence France-Presse6:32 p.m. EDT April 13, 2015
Nanjing Marks 59 Anniversary Of Ending Kuomintang Regime(Photo: Getty)
STOCKHOLM — 中国とロシアで2014年の国防支出実績は大きく伸び、ウクライナ紛争がきっかけて東ヨーロッパ各国も自国防衛体制の整備に乗り出している様子がストックホルム国際平和研究所のまとめで判明した。
  1. 支出規模では依然として米国がトップだが、2014年の実績は6.4パーセント減だったのに対し、中国、ロシア、サウジアラビアが米国に次ぐ支出規模で、かつ三国の支出は増えている。
  2. 中国の支出実績は2,160億ドル(約26兆円)で9.7%増と推定される。.
  3. ウクライナ内戦のあおりでロシアから近い東欧各国はおしなべて国防予算を増やし国防体制を見なおしている。
  4. ウクライナは20%増の40億ドルに対し、ロシアは8%超増で845億ドルだった。
  5. ロシア政府は2015年は15%増を見込むが、経済不振で実現しないだろう。
  6. 西欧各国も米国同様に予算を削減している。.
  7. 米国が依然として最大の防衛支出規模を誇るが、2010年のピーク時に対して2割減っているとの平和研究所の報告だ。「ただし現状の支出規模でも2001年より45%多い」と指摘。
  8. サウジアラビアの17%増は「上位15ヶ国中で最も大きな伸び」と指摘。
  9. 石油収入で豊かな同国は地域内の大国である。3月26日より同国が主導する形でイエメンのフーシに対する空爆作戦を展開中。
  10. アフリカでも軍事支出が6パーセント近く増えており、その先頭が石油産出国のアルジェリアとアンゴラだ。
  11. 「世界全体の軍事支出はほとんど変化がないが、中東やアフリカは急速な拡充をはかり、経済負担のしわ寄せを生んでいる」というのが分析結果だ。
  12. 2014年の世界全体の軍事支出は1.8兆ドル(約216兆円)で前年比0.4%増だったと同研究所はまとめている。

2014年12月30日火曜日

★年の瀬に今年の人気記事をご紹介



今年もあと僅か。そこで人気をよんだ今年の記事をあらためてご紹介しましょう。(一定の期間内に一定のアクセスがあった記事に★をつけています)

F-3につながる実証機の登場で一気に国産戦闘機へ期待が高まりました。課題はエンジンですね。国産戦闘機がこのまま開発に一気に進むかは2015年がひとつの勝負になるでしょうね。


★★★米海軍の考える2020年代のA2AD対抗としての航空戦のイメージF-35C, F/A-18E/F, ISR,NIFC-CA, TTNT, UCLASS, 空母打撃群
NIFC-CA(ニフカ)と言う概念が出てきました。機体はコンピュータネットワークの装置のひとつになっていくようですね。E-2Dが実は重要な役割を果たすことがわかります。日本も同機導入を決めましたが、ちと使い方がちがうようですね。


今年もF-35は一進一退、本当にこんな機体にこれからの防衛を依存して西側各国は大丈夫なんでしょうか。当ブログでは一貫して同機への疑問を表明しています。


★★★韓国KF-Xは双発仕様に決定KF-X, ステルス戦闘機, 韓国
あれやこれやとお騒がせなおとなりの国ですが、日本が仮想敵国だという国民の意識はなんとなかならないでしょうか。そもそも韓国の安全保障の課題は何でしょうか。よくわかりません。


一般市民が高性能カメラを手にすることが多くなり、この事件もたまたま写った機体が変だぞ、ということになったのですが、空軍はあわててB-2だったと発表しましたが、怪しいですね。ブラックの世界で開発中の次期戦略偵察機ではないでしょうか。今後は夜間飛行に切り替えて写らないようにするかもしれませんね。


潜水艦の話題が今年は多かったですね。海上自衛隊がこれまで努力を重ねてきた潜水艦開発が急に注目された格好ですね。さらに武器三原則の見直しで海外輸出の可能性が出てきたことも大きいですね。ただし国内向けも増備を図る中で完成品の輸出はまずむずかしいでしょうね。

★★★少しずつ見えてきた第六世代戦闘機の構想指向性エネルギー, 第六世代戦闘機, 米空軍
第五世代戦闘機(これもロッキードの造語なのですが)のF-35やF-22がもたもたしている間にもう先を見越した構想が出てきました。指向性エネルギーを導入したら光のスピードで勝負が決まりますが、どうなりますかね。

その第五世代戦闘機の一つ、F-22が初めて実戦に投入されましたが、対地攻撃機としてのミッションとなったのは皮肉な結果と言えましょう。さらに先のリビア紛争に投入しようとしたところ思わぬ障害(通信機能)が発覚し地上で待機となった悔しい背景もありました。ゲイツ元長官が同機調達縮小したことは正しかったのではないでしょうか。


選外


イスラエルも深刻な自国防衛を背景に地道に技術開発してきた結果、世界で類のない防空体制を構築していますが、その実現には米国の多大な支援があってこそのようです。



核融合の研究者からは完全に無視されていますが、一体ロッキードがこの段階で公表した背景はなんだったのでしょうか。実はブレイクスルーがあったのではないかと見ていますが防衛産業ナンバーワンのロッキードでもさすがに自社単独開発はリスクありと判断し投資を募っているのではないかと思います。急に再び話題が出てきそうで今後も注目ですね。


その他
  • 中国がかつてのソ連のように新装備、新思考をウォッチする対象になりましたね。問題はそれに対抗しようにも米国の国防予算ががんじがらめになっており、思うように手が打てないことです。技術優位性の回復ということでThird Offset戦略が出てきました。
  • ISISイスラム国関連はどうも読者の皆さんの関心とはずれているようですが、これから5年10年と続きそうな戦争で無視はできない話題だと思いますので、今後もご紹介していきます。
  • 北朝鮮、韓国ともに何かとお騒がせな国情ですね、とくにF-35関連で日本と張り合って導入、グローバルホークもそうですが、日本にFACOとともに点検整備ラインができることになりましたが、絶対利用しないと言わざるを得ないのは、感情が優先する国のなりたちのせいでしょうが、安全保障とはそんなものではないはずです。来年は韓国に新しい思考が生まれることを期待したいですね。


では皆様、良いお年をお迎えください。


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2014年12月28日日曜日

今年の軍事航空を振り返る



Military Aircraft In 2014

Dec 29, 2014
Graham Warwick | Aviation Week & Space Technology

F-22が実戦デビューし、議会がA-10退役にストップをかけ、F-35ではさらに就航が遅れる不具合が発生しましたが、以下今年の軍事航空での大きな出来事を御覧ください。(全12題)

AH-64E in A'stan US Army.jpg

1. AH-64E の実戦投入(3月)

ボーイングAH-64Eアパッチを米陸軍がアフガニスタンに投入し、無人機ジェネラルアトミックスMQ-1Cグレイイーグル編隊と連携運用した。
Credit: U.S. Army

UK F-25B BK-1 Lockheeed.jpg

2. F-35 が国際デビューに失敗(7月)

6月に発生したF-35Aのエンジン火災のため飛行停止となり、JSFは英国で予定していた国際航空ショー2つへの出展ができなくなった。
Credit: Lockheed Martin
Scorpion - Textron.jpg

3. スコーピオンが国際デビュー(7月)

初飛行から半年足らずでテキストロン・エアランドが自社開発したスコーピオン軽攻撃・偵察機のプロトタイプが大西洋横断しロイヤルエアタトゥーおよびファーンボロの国際航空ショーでお披露目された。
Credit: Textron
AHRLAC flies Paramount.jpg

4. 南アフリカ開発のAhrlacが初飛行(8月)
南アフリカの防衛産業企業パラマウントグループが設計、開発した発展型高性能偵察軽量航空機Advanced High Performance Reconnaissance Light Aircraft (Ahrlac) が初飛行した。
Credit: Paramount Group

F-22 night ISIS USAF.jpg

5. イラクへの回帰(8月)


アフガニスタンからの撤兵を続ける米国と英国は10月に同地での戦闘活動を停止したが、8月には米国主導の有志連合がイラク、シリア国内のイスラム国勢力への空爆を開始した。ステルス機F-22も対地攻撃で初めて実戦投入された。
Credit: U.S. Air Force

KF-16 South_Korean_Ministry_of_National_Defense.jpg

6. 韓国の調達決定と契約取り消し


韓国はF-35A導入を9月に正式に決定し、2018年から合計40機を調達する。しかし11月にBAEシステムズとのKF-16合計132機の改修契約を価格を理由に取り消している。
Credit: South Korea National Defense Ministry
A-29 Super Tucano US Air Force.jpg

7. 米空軍にスーパータカーノ納入(9月)

シエラネヴァダ社がすったもんだの末に契約を交付され、米国内で組み立てられたエンブラエルA-29スーパータカーノ軽量航空支援機の最初の20機が米空軍に納入され、パイロット訓練が始まった。同機はアフガニスタン空軍用に調達されたもの。
Credit: U.S. Air Force
Prev
Gripen Brazil Saab.jpg

8.ブラジルがグリペンを選定(10月)

ブラジルはSaabのJAS39E/FグリペンNG36機の導入を10月に決定。納入は2019年から24年にかけてで、最終的に108機規模に増える可能性がある。ブラジルは複座型Fモデルの開発に参加し、自国ミサイルの搭載をめざす。
Credit: Saab

KC-390 rollout Embraer.jpg

9.KC-390がロールアウト(10月)

ブラジル空軍が予算を出し開発したエンブラエルKC-390が10月21日にロールアウトした。エンジンは国際開発IAEのV2500双発で輸送機とともに空中給油機にもなる同機は2015年早々に初飛行する。
Credit: Embraer
F-35C lands on carrier US Navy.jpg

10. F-35C着艦に成功(11月)

ロッキード・マーティンのF-35C 艦上運用型が海上公試を実施。テスト機が拘束フック着艦ととカタパルト発艦をUSSニミッツ艦上で実施した。
Credit: Lockheed Martin
E-2D US Navy.jpg

11. 日本がE-2D AEWを選定(12月)

日本がノースロップ・グラマンE-2Dホークアイ空中早期警戒機導入を決め、同機初の海外顧客となった。日本はあわせてベル・ボーイングV-22オスプレイ、ノースロップ・グラマンRQ-4Bグローバルホーク無人機の導入も決定。
Credit: U.S. Navy
A-10 US Air Force.jpg

12. A-10は健在

年末に2015年国防予算が議会を通過したが、一時的にせよ米空軍が予定していた近接地上支援機A-10の退役を阻止している。空軍はE-3とU-2の運航も取りやめる意向だ。A-10は11月から対イスラム国空爆に合流している。
Credit: U.S. Air Force