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2021年9月15日水曜日

C-130とスカンクワークスの関係とは。輸送機に攻撃手段、センサーを搭載する分散戦術のねらいとは。

こういう柔軟な思考ができるのであれば米空軍の将来を悲観しなくてもよいでしょう。問題はその通りに実施する力であり、相手となる中国の動きに対しこの構想が有効なのかを実地で試す機会が生まれるかでしょう。米海軍でも輸送艦等も武装を施す分散武装の構想がありましたね。




ッキード・マーティンで有名なスカンクワークス部門はU-2スパイ機、F-22戦闘機や初のステルス機F-117ナイトホーク等の実現で有名だが、特殊部隊向けにC-130輸送機でも大きな役割を演じていることは意外に知られていない。


C-130とスカンクワークスの接点


C-130は半世紀以上前に登場し、以後一貫して性能を向上しつつ各種の改修を受けてきた。


空軍は既存航空機材の役割を見直し、ミッション範囲を拡大しようとしており、同機もその対象となっている、そのため新技術やソフトウェア改修を投入している。


ここにC-130とロッキードのスカンクワークスの接点がある。特に重要なのが他機との強い接続性を実現し、戦闘ニーズ、脅威情報、作戦要求を満たしながら、新技術の登場を待ち迅速に導入することだ。


「C-130も元々はスカンクワークスが手がけており、今日に至るまでスカンクワークスが新機能の統合で支援しており、第一線のニーズに焦点を合わせつつ、活用方法を全く新しく考えている」とスカンクワークス®の統合システム部長レネー・パスマンがNational Interestに語っている。


C-130が長期間供用されており、数々の改修を受けた機材であること、また空軍がミッション範囲の見直しをここ最近展開していることから、同機がスカンクワークスによる改修の対象になった。


スカンクワークスは1950年代設計の同機供用期間を80年

超とすべく同機に関与を続けており、改修内容は以下を含む。


  • 新型プロペラ

  • 通信装置

  • グラスコックピット、タッチスクリーン画面

  • デジタル式エイビオニクス

  • 衝突回避装置

  • 「ウィングボックス」強化型


C-130改修と相当基準時間の関係


C-130供用を続ける中で同機の改修がどこまで必要なのか見極めるべく、空軍は「相当基準時間」equivalent baseline hoursを指標として使う。


C-130機体の疲労、亀裂は機体ごとに異なり、さらにミッション内容でも大きな差が出てくるし、投入環境の地形や天候条件でも違いが生まれると空軍は説明する。



重要な補給物資、兵器、兵員の空中投下をミッションを過酷でハイリスク地で展開するC-130は低高度運用可能で滑走路が未整備の場所でも運用されることが多い。


空軍はC-130のエイビオニクス近代化事業を実施し、8.33無線機、コックピットにボイスレコーダー、デジタルデータレコーダーを追加した。


だが改修は搭載済み装備品にとどまらず、武装の搭載やミッション範囲の拡大を目指した内容にまで広がっている。


その例としてC-130から爆発物搭載のミニ無人機多数を展開し、一帯を圧倒する数で偵察や攻撃を加えたり、パレット貨物投下式の爆弾兵器を運用する構想がある。


輸送機が攻撃手段になる


空軍では戦闘機材の定義を更新しようと、輸送機にも爆弾、機関銃、ミサイル、攻撃用無人機運用を導入し、ミッション範囲をこれまでの輸送用支援機から拡げようとしている。


「従来型兵装品をこれまでと違う形で運用し、機動性機材の新しい任務を実現する。これまで通りの考え方を脱却し、高度な機動部隊に変身させる」と航空機動軍団司令ジャクリン・ヴァン・オヴォスト大将がミッチェル研究所のインタビューで語っている。


輸送機を武装化すれば敵の攻撃になるとの疑問に、ヴァン・オヴォスト大将は「今でも標的になっている。敵は給油機や輸送機を狙い、補給線を寸断しようとする」と答えている。DARPAのグレムリン構想ではC-130で無人機多数を発進させ、空中回収するが、ヴァン・オヴォスト大将は輸送機がスタンドオフ発射地点に留まれば攻撃機として機能でき、重度防御地点への攻撃が実現すると指摘した。


同様に大型でステルス性がなく、本来なら脆弱なC-130が「運動性脅威の有効射程外からスタンドオフ攻撃で無人機多数を運用しながら空中指揮統制機となる。


空軍ではパレットによる爆弾投下をC-130で試行しているが、ヴァン・オヴォスト大将の発言に新しい意味が含まれる。輸送機からミサイルを発射し対地攻撃ができるのではないか。


「SOCOM(特殊作戦司令部)のモデルに注目しており、JASSMを機体後部から投下する。いったん空中に放出してから点火し、標的を狙う」(ヴァン・オヴォスト大将)


C-130はフレア他対抗手段も装備しており、地対空ミサイル攻撃をかわし、前線基地での運用を想定する。では、爆弾投下や攻撃型無人機の指揮統制、さらに空中ミサイル発射機能を付与すればどうなるか。


センサー、攻撃用兵器


なかなか優れた発想だ、とヴァン・オヴォスト大将も認め、輸送機多用途機は今後も高度技術を駆使する大国相手の戦闘を想定し改良していくと述べた。


あらゆる機材が武装軍用機となり、センサー、EW兵器、耐以降手段や攻撃手段を搭載できる。ミッチェル研究所で、ヴァン・オヴォスト大将は航空機動軍団はこれからも輸送機、多用途機の共同マルチドメイン戦への活用を目指し改良を続けると述べた。


「考え方を変える必要がある。今は中心をハイエンド戦に移す段階にある。機動力だけの実現では不十分で、共同部隊の戦力を充実させるべきだ。体制を整え、将来に備える。従来の枠組みを超えた考え方が必要だ」


例としてヴァン・オヴォスト大将は空対地兵器を輸送機に搭載する、攻撃型無人機をC-130やC-17に搭載し、爆弾投下する案に触れ、空中指揮統制機能を持たせるとも発言。


「C-17の各種アンテナを使える。機体の大きさ、重量、出力ともに有効活用できる。ポッドにC2機能を任せ、データ処理し発信する」という。


スカンクワークスは将来を見据えた基本研究や技術革新で有名だが、同時に既存装備に新技術を搭載し、機能を向上させる対策も展開している。ここから空軍がC-130武装化に大きく踏み出している理由がわかり、空対空、空対地ミサイルの運用も同機で実現しそうだ。■


Skunk Works Keeps C-130 War Ready: Here's How

The Lockheed Martin Skunk Works team created the U-2 Spy Plane, F-22 and C-130

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

UPDATED:SEP 9, 2021ORIGINAL:SEP 9, 2021




 

2018年9月13日木曜日

スタンドオフ兵器の新構想Jassm-XR開発始まる

北朝鮮の先にイラン、さらに米国に公然と歯向かうロシア、中国まで控える中、スタンドオフ兵器の能力向上が必要なのですね。日本もJassm-ER導入の観測がありましたが運用機材さらにISR機能までシステムで考えないと意味がありませんね。

Aerospace Daily & Defense Report

USAF Revives ‘Extreme Range’ Jassm Concept 米空軍の「超長距離」型Jassmコンセプト復活へ

Sep 11, 2018Steve Trimble | Aerospace Daily & Defense Report

Jassm: USAF

空軍が十年に渡り温めてきたAGM-158共用空対地スタンドオフミサイル(Jassm)の新型版構想を復活させ、射程距離は現行型の5倍程度に伸びるとみられる。
ロッキード・マーティンが51百万ドル相当の契約交付を9月10日に受け、「超長距離』版となるJassm-XRの開発を企画、日程調整する。
契約は新型ミサイル制御装置も含み、2023年8月31日までの期間。
ロッキードの戦術ミサイル事業があるフロリダ州オーランドで超長距離型Jassm-XRのコンセプトが2004年にお披露目されていた。
.国防科学委員会(DCB)が2009年にまとめた報告書では1,000カイリ程度の射程距離を想定していた。
これに対して、現行ミサイルの射程延長版AGM-158B Jassm-ERは500カイリ超といわれる。Jassm原型は200カイリだ。ロッキードは米海軍向けにJassm-ERを開発し、長距離対艦ミサイル (LRASM)と呼称している。
Jassm-XRは大型化し射程距離も伸びており、爆撃機など大型機発射の想定とDSB報告書は述べていた。
この兵器はAGM-158Bと射程距離2,400カイリのボーイングAGM-86通常型空中発射式巡航ミサイルの間を埋める存在となる。
Jassm-XRが原型通りのステルス特性を保持できればレイセオンAGM-129核対応巡航ミサイル(2012年に空軍が退役させた)に相当する射程距離と低視認性を同時に実現することになる。

AGM-129AはボーイングB-52Hが主翼下パイロン各2箇所に合計12発搭載していた。■