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2025年4月21日月曜日

米陸軍の新主力戦車エイブラムスXはたった1つの任務のため作られた(19fortyfive)

 AbramsX. Image Credit: YouTube Screenshot.

YouTubeのスクリーンショット。


陸軍は、ジェネラル・ダイナミクスの未来的コンセプト「AbramsX」でM1A2エイブラムスの大幅なアップデートを計画している。ミッションはシンプルで、地球上で最も支配的な戦車の座を守ることだ。

-エイブラムスXは、無人砲塔、強力なXM360 120ミリ砲、ハイブリッド・エンジン、先進的なアクティブ・プロテクション・システムを備え、戦車の重量を10トン削減する

-しかし、陸軍の好みは分かれそうだ。司令官は軽量化より装甲を重くすることを好むかもしれないし、ドローン発射能力に疑問を呈するかもしれないし、自動装填装置に抵抗があるかもしれない

-陸軍は、エイブラムスが将来の戦場で優位を保ち、その耐用年数を2050年以降も延ばせるよう、実績のある技術と新たな技術革新のバランスを取りながら、厳しい決断を迫られている


エイブラムスXで2050年以降もM1戦車の優位性を維持する

米陸軍はM1A2エイブラムス戦車の大幅更新を望んでおり、ジェネラル・ダイナミクスが発表したモックアップがその方法かもしれない。 2022年に発表されたAbramsXは、現設計が50年前の同戦車の完全なアップデートだとして宣伝されている。このアップデートによって、エイブラムズは2050年以降も活躍し続けることができる。

 エイブラムスXは間違いなく設計者が意図した会話のきっかけになるものだが、最終的な戦車は陸軍が望む姿と異なる可能性がある。


エイブラムスX:歴史

 エイブラムスXは、防衛請負会社のジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズ(GDLS)が2022年の米陸軍協会会議で発表した。

 GDLSは1970年代後半にM1エイブラムスを開発し、1990年代にかけて数千両の戦車の生産を監督した。同社はまた、オリジナルのM1からM1A1、M1A2、そして今日のM1A2SEPv3規格まで、さまざまなバリエーションを生産してきた。

 陸軍もGDLSも、一から新しい戦車を設計する代わりにM1を近代化することで得られるものは多い。まったく新しい戦車は、少なくとも10年はかかるだろうし、コストも数十億に上り、ミサイル防衛を除けば陸軍で最も高価なプロジェクトとなる。M1のアップデートは、GDLSが戦車の特定要素を大幅刷新する一方で、他の側面はそのまま残すことを可能にする。これによって時間と費用が節約され、最新の戦車がより早く戦場に投入されることになる。

 エイブラムスXは、新型のXM360 120ミリ砲を搭載し、旧型のM256と同じ口径で軽量化されている。30ミリのXM813自動砲は、車長のM2 50口径機関砲と装填手の7.62ミリ機関砲の両方を置き換える。自動装填手が人間の装填手に取って代わり、乗員を3人に減らす。 乗員は車体内に移され、新砲塔は完全に無人化される。 スモークディスチャージャー、トロフィー・アクティブ・プロテクション・システムなどが砲塔に直接組み込まれている。ハイブリッド・エンジン・システムにより、戦車はバッテリー駆動が可能となり、エンジンを停止したままセンサーに電力を供給できる。 新型戦車の重量はM1A2SEPv3より10トン軽くなる。


火力と武器

火力は、陸軍の希望がGDLSの提供するものと異なる可能性がある重要な分野の一つだ。新型のXM360は健全だが、陸軍は、徹甲弾にとって重要な考慮事項である、わずかな速度向上のために、もう少し長い銃身を望むかもしれない。

 また、将来の戦車装甲を確実に撃破するために、陸軍は140ミリXM291のようなさらに大型で強力な砲を望むかもしれない。30ミリ自動砲は、戦車乗員が主砲の代わりに小口径武器で軽装甲車両と交戦できるようにする、良い選択であるが、陸軍は敵歩兵に対処するために遠隔操作の50口径機関砲を保持したいと思うかもしれない。


エイブラムスXの防御

プロテクションもまた、陸軍と業界の意見が分かれるカテゴリーかもしれない。 陸軍は、M1が数十年の間に徐々に重量が増加したこと(58トンから最新のプラットフォームの70トンまで)には必ずしも満足していないが、重い戦車には慣れている。

 M1A2SEPv3からエイブラムスXへの10トンの減量は、パッシブ・プロテクション(鋼鉄、セラミック、劣化ウランなどの物理的なプレート)、アクティブ・プロテクション(トロフィー・システム用の迎撃弾の増量)、重量増に対応するためのパワーパックのアップグレードの組み合わせに費やされる。


ドローン付き戦車

ドローン内蔵能力は、陸軍が手に入れたくないかもしれないもう一つのオプションだ。エイブラムスXは、ジャベリン対戦車ミサイルの弾頭を搭載したスイッチブレード300を4発搭載する。見通し外の攻撃能力は地上部隊にとって有用だが、陸軍は、独自の車両を運用する別個の部隊に滞空弾を集中させることを望むかもしれない。

 3人の戦車クルーは、命令に従うこと、直接射撃で敵の標的に交戦すること、ドローンや攻撃ヘリを避け、大砲をかわすこと、敵の歩兵や対戦車兵器を見張ることなど、やることがたくさんある。とはいえ、スイッチブレード300はこうした脅威の多くに答えることができ、乗員はオプションとしてこの弾薬があれば喜ぶかもしれない。陸軍が決めることだ。


自動装填砲に関する質問

最後に、陸軍は自動装填主砲を望まないかもしれない。自動装填装置は車両重量を減らし、人間による装填装置よりも場所を取らず、長期的に見ればコストも低い。ドイツ軍、フランス軍、日本軍、韓国軍、中国軍、ロシア軍がすべて自動装填装置を使用しており、その実用性が証明されているにもかかわらず、陸軍は自動装填装置に抵抗してきた。

 過去、米陸軍はオートローダーの信頼性に懸念を表明してきた。機械的な装填手と異なり、人間による装填手は常に機能する。さらに4人目の乗員は、乗員一人ひとりのメンテナンス負担を軽減し、警備のための余分な兵士を提供する。


次に何が起こるか?

米陸軍は、信頼できるエイブラムス・プラットフォームに新技術を搭載し、21世紀半ばまでの供用と有効性を確保する機会を得た。米陸軍は、コスト対能力を慎重に検討し、ドローンが装甲車にとってどれほどの脅威となるかを量り、現代の戦場における戦車の役割に関するその他の本質的な問題を熟考しなければならないだろう。

 エイブラムスが就役し40年以上経った今、陸軍が新たな戦車を設計する必要がなく、新たなアップグレードを発注する余裕があるのは、エイブラムスのオリジナル設計の優秀さあってのことだ。■


AbramsX: The Army’s New Main Battle Tank Built for Just 1 Mission

By

Kyle Mizokami

https://www.19fortyfive.com/2025/04/abramsx-the-armys-new-main-battle-tank-built-for-just-1-mission/?_gl=1*1t15237*_ga*MjA2MzgxODgyMS4xNzQ1MTgzNTkw*_up*MQ..


著者について カイル・ミゾカミ

19FortyFiveの寄稿編集者であるカイル・ミゾカミは、サンフランシスコを拠点とする防衛・国家安全保障ライターである。 Popular Mechanics』、『Esquire』、『The National Interest』、『Car and Driver』、『Men's Health』などに寄稿。 ブログ「Japan Security Watch」「Asia Security Watch」「War Is Boring」の創設者兼編集者。



2019年4月8日月曜日

進化するエイブラムズ戦車、2030年代も主力戦車の座を守る新技術とは

米陸軍もロシアとの直接対決想定で戦闘装備の整備に走っているようです。主力戦車といえばエイブラムズと言う時代が50年にわたり続きそうです。

The Abrams Tank Going "Nowhere" Soon - to Fight into the 2030s and Beyond

エイブラムズ戦車は当面「どこにも行かない」 2030年代以降も戦闘可能


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装備のロシア機械化部隊が10年後の東ヨーロッパで前方強襲攻撃を開始し航空部隊と砲兵部隊の完全支援がつく場合、米軍NATO軍でどんな装甲車両が対応するのだろうか。


このシナリオには米陸軍が想定する複雑な条件が入っている。現行の戦闘車両1980年代製のエイブラムス戦車をどこまで改修すれば有効に有事対応できるのか。現時点のみならず15年先はどうか。陸軍が企画中の次世代戦闘車両(NGCV)はどこまで有効な装備を搭載して対応できるか。


陸軍で最大の優先事項は「今」「本日」の戦闘に準備しておくこと、そして近い将来に備えることだ。


「陸軍最大の課題に現行装備の継続改修があり、現時点で投入可能な全装備を対象とし適正投資で今後の戦力を整備して来るべき戦闘への備えを進めることがある」と地上戦闘システムズ部門事業主幹ブライアン・カミンズ少将がWarrior Maven取材で語っている。


この考え方には相互に関係しながら別個の方向性2つが絡む。将来の方向性には軽量かつ遠隔地に進出可能な装甲車両に長距離探知センサー、高性能火力やアクティブ防御装備(APS)で守ることがある。このうちAPSはトロフィーの名称でエイブラムス戦車に採用した。今後の車両技術と残存性は軽量装甲素材、APS、長距離射程火力、センサー、防空能力の進展にかかっている。


こうした重点項目からエイブラムス戦車はこのまま残る。陸軍は複数の方法論を取ることが多く、将来投入する車両とともに現行エイブラムス戦車の改良を同時進行するようだ。


将来想定される戦闘シナリオでは軽量長距離移動型火力として移動式防御火力車両が前方の歩兵隊の防御に不可欠だ。だが大国同士の戦闘に歩兵隊をそのまま配置すれば危険すぎる。そこで強力な装甲車両に精密長距離火砲や高性能センサーを搭載すれば戦闘時に不可欠な存在になろう。


現在のエイブラムズは数十年前とは全く別物だ。搭載センサー、火力や防御装備を見れば全く別の車両と言える。陸軍は強化型のエイブラムズ新型SEPv4を製作中で2021年にテスト開始する。


新型戦車はレーザー測距技術、カラーカメラ、統合オンボードネットワーク、高性能気象センサー、弾薬データリンク、レーザー警戒受信機のほか、多用途120mm戦車砲弾を搭載すると陸軍上層部は説明。


このうち多用途120mm戦車砲弾は高性能対戦車弾、多用途対戦車弾、対人殺傷キャニスター弾等各種弾薬を一つの砲弾にまとめるものだ。


SEPv4改修ではハイテク第3世代FLIRつまり前方監視赤外線画像センサーが中心だ。


この高性能FLIRには高解像度デジタル画像技術と敵の特徴を遠距離で探知する性能が盛り込まれ、雨天時やホコリ霧があっても機能すると陸軍開発部門は説明。FLIR技術の進歩で戦車乗員は敵のセンサーが発する光や熱以外に電子音紋も捉え状況認識度が向上する。
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熱画像標的捕捉技術は湾岸戦争の戦車戦でエイブラムズがロシア製T-72を相手に実証しており、遠距離から相手に見られずに破壊した。


ロシアのT-14アルマータ新型戦車が開発中の3UBK21スプリンターミサイルと長射程9M119装甲貫徹弾を搭載するため重装甲は当然必要だ。


さらにエイブラムズv4では主砲の射程と威力が改良され、同時に長距離レーザー探知センサーと後方監視センサーを搭載する。新規導入の気象センサーで天候条件の変化や戦闘状況の変化に迅速に対応できると陸軍は説明。


M1A2 SEP v4では砲塔とオンボードイーサネットに新型スリップリング接合部の導入でネットワークセンサー構成を簡略化する。


陸軍はAIを組み込んだ敵火力探知センサーもエイブラムスに導入し、敵小火器等の飛来を探知、追尾し照準をあわせる。これにより歩兵隊や装甲旅団戦闘チームに重装甲車両による防御以外にISR同様の敵位置探知センサーの恩恵が生まれる。センサーは現在試作中で実証では熱センサーで「熱特徴」を敵小火器で識別し、音響センサーで発射地点がわかると陸軍技術陣は説明している。


HFDとアクティブ防御システムの統合も目標だと兵装開発部門は述べている。APS技術は現行エイブラムズにも導入され、センサー、火器管制技術、インターセプターにより飛来するRPG弾やATGMを識別し撃破する機能だ。APSは理屈上は小火器銃弾以上の大きさの脅威対象へ対応するが、HFDと同調させれば戦場で効果を発揮する。


同時使用で大きな効果が生まれる。敵のRPGやATGMが同じ場所から発射されたとする。その軌跡をリアルタイム追尾できれば目標捕捉できる。このため陸軍では高性能多機能センサーの開発に集中している。小型ハードウェアを統合し高性能センサー技術と一緒にすれば従来は多数の装備で行ってきた広範囲の任務を同時に実施できる。


こうした目標をまとめると陸軍で戦闘車両開発に当たる幹部が述べた次のひとことになる。「次期戦車の要求内容が全部入る」■

Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics& Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.