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2026年7月14日火曜日

ドイツも地上発射型トマホークミサイルの導入へ―ロシアの脅威はそれだけ深刻だがNATOの通常戦力の整備を永年怠ってきた

 

ドイツが地上発射型トマホークミサイルを購入へ

Germany To Buy Ground-Launched Tomahawk Missiles


この購入は、ロシアからの脅威に対応する中、NATOの通常戦力による攻撃態勢における大きな転換を意味する

https://www.twz.com/land/germany-to-buy-ground-launched-tomahawk-missiles

写真:マーク・ウィルソン/ゲッティイメージズ

ルリンは、トマホーク巡航ミサイルを購入する契約を米国と締結したと発表し、これによりドイツの長距離攻撃能力は大幅に強化される。この動きは、米国がドイツへの長距離火力大隊の配備計画を撤回したように見えたことを受けたものであり、欧州のNATO加盟国がロシアに対する通常兵器による遠距離ミサイル抑止力の強化を急いでいる状況下で行われた。

ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、トルコからの帰国後、今週アンカラで開催されたNATOサミットの合間に、米国当局者とドイツへのトマホークミサイル販売に関する合意に達したと発表した。


2026年7月7日、トルコ・アンカラで開催された第36回NATOサミットで、ドナルド・トランプ米大統領とフリードリヒ・メルツ独首相が握手を交わす。写真:メフメット・アリ・オズカン/アナドル通信(ゲッティイメージズ経由) アナドル

「これにより、わが国防衛での戦略的ギャップが埋まる効果が生まれる。同時に、独自の欧州製システムを開発し、欧州に配備するよう取り組んでいく」と、メルツ首相は本日、ベルリンの連邦議会下院で述べた。

ドイツ政府筋の情報として、ロイターはこの調達に関する意向書が火曜日に署名されたと伝えている。

ドイツは以前からトマホーク購入を模索していたが、ワシントンによって拒まれてきた。

具体的には、ベルリンは地上発射型のシステムとして最新型のトマホーク・ブロックVbミサイルを最大400発(報道によると10億ドル以上の価値)の取得を希望していた。

特徴的なノーズコーンを持つブロックV型トマホーク。米海軍

ブロックVトマホークには双方向データリンクが搭載され、飛行中に進路修正やその他の標的情報の更新を受け取れるほか、任務を再設定することも可能だ。ブロックVbサブバリエーションには、より多様な地上目標への攻撃に適した複合多目的弾頭が装備されている。トマホーク・ブロックVの射程は、具体的な構成にもよるが、1,000マイルを超える。

ドイツ陸軍が配備している最長射程の間接射撃能力は、M270多連装ロケット発射システム(MLRS)であり、ドイツ軍では「Mittleres Artilleriraketensystem II(MARS II)」として知られている。同システムで現在利用可能な最長射程の砲兵用ロケット弾は、約43マイル先の目標を攻撃できる。ドイツは、最大186マイル先の脅威を攻撃可能な、はるかに大型の陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)短距離弾道ミサイルは未導入だ。

演習中にロケットを発射するドイツ陸軍のM270。ドイツ連邦軍/カール・シュルツェ カール・シュルツェ

トマホークミサイルに加え、ドイツはそれらを配備するためにタイフォン発射機を購入する必要がある。ドイツメディア報道によると発射機の調達要請は2025年7月にすでに提出されているという。

トマホーク取得はドイツにとって大きな出来事となるだろう。

米国以外では、現在オーストラリア日本オランダ、および英国のみがトマホークを使用している。これらの輸出国はいずれも海軍型ミサイルを採用しており、それだけにドイツによる開発は一層重要な意味を持つ。

ワシントンがベルリンへの「トマホーク/タイフォン」の組み合わせ販売を承認したのは、米国がドイツに陸軍の長距離火力大隊を派遣しないことの裏付けだと思われる。

米陸軍のタイフォン・システム一式。米陸軍 ダレル・エイムズ

5月、イランに対する米国の軍事行動に対するドイツからの批判をきっかけに、ベルリンとワシントンの関係が悪化していた中、米国は在ドイツ駐留兵力を5,000人削減すると発表した。

同時に、国防総省が陸軍の第2マルチドメイン・タスクフォース(2MDTF)をドイツに展開する計画を断念したとの報道もあった。

これに対し、ドイツ当局は事態の収拾を図り、米国によるミサイル配備の「決定的な取り消し」はなかったと述べていた。

バイデン政権下で最初に発表された第2多領域任務部隊(2MDTF)は、2026年にドイツへの「断続的な展開」を開始し、その後、同国への各種長距離ミサイルの「長期駐留」が行われる予定だった。2MDTFの「タイフォン」発射機は、トマホークに加え、SM-6多目的ミサイルも発射可能だ。将来的には、ダーク・イーグルのような「開発中の極超音速兵器」に加え、オペレーショナル・ファイアーズ(OpFires)極超音速ミサイルやプレシジョン・ストライク・ミサイル(PrSM)短距離弾道ミサイルなども装備される予定である。

オーストラリアでの実弾射撃演習中に、タイフォンシステムがSM-6ミサイルを発射している様子。米陸軍提供、撮影:パーラ・アルファロ軍曹 パーラ・アルファロ軍曹

こうした点を踏まえれば、ドイツのタイフォン発射機も将来的に、これらのミサイルの一部を配備する可能性はある。

しかしドイツにとって、トマホーク調達は、国内(あるいは欧州)で開発する長距離兵器が利用可能になるまでの暫定的な解決策と見なされている。

長期的な視点では、ドイツは欧州長距離打撃構想(ELSA)に参加しており、フランスが主導し、イタリア、ポーランド、スウェーデン、英国も参加するこの構想は、巡航ミサイル、弾道ミサイル、あるいはその両方を組み合わせ、新たな長距離打撃能力の開発を目指している。

これまでの発表によると、ELSAは射程1,000~2,000キロメートル(621~1,243マイル)のミサイルの実現を目指しており、2030年代の配備が計画されている。

これと別に、ドイツと英国は、射程2,000キロメートルを超える長距離精密打撃兵器を共同開発する計画を明らかにした。しかし、このプロジェクトは依然として初期段階にあり、産業面での枠組みについてはまだ合意に至っていない。

これらの取り組みは総じて、同盟の東側戦線におけるロシアの脅威の高まりに対応するため、欧州のNATO加盟国間で長距離打撃能力を開発しようとする決意が強まっていることを浮き彫りにしている。

ドイツが計画している地上発射型トマホーク巡航ミサイルの調達案は、中距離核戦力(INF)条約の崩壊後に劇的に変化した欧州の安全保障環境を反映している。冷戦の最盛期1987年に調印されたこの条約は、米国とソ連(後にロシア)に対し、射程500~5,500キロメートル(310~3,420マイル)の地上発射型弾道ミサイルおよび巡航ミサイル(核兵器または通常兵器を搭載するものを問わず)の配備を禁止していた。

皮肉なことに、INF条約によって禁止された兵器の一つは、トマホーク巡航ミサイルの初期地上発射型である米空軍のBGM-109G グリフォンであり、これも物議を醸しつつドイツに配備されていた。

試験発射の際、輸送・設置・発射機(TEL)からBGM-109G「グリフォン」地上発射型巡航ミサイル(GLCM)が打ち上げられる様子。HUM Images/Universal Images Group via Getty Images HUM Images

同条約は、2019年にトランプ大統領の最初の任期中に、米国がロシアによる禁止されている9M729(SSC-8 スクリュードライバー)地上発射型巡航ミサイルの配備を理由に脱退したことで、事実上破綻した。モスクワはこの主張を一貫して否定している。ロシアは2023年に同条約への参加を正式に停止し、欧州における中距離地上発射型ミサイルの配備に対する最後の法的障壁を取り除いた。



2019年、ロシア・モスクワ郊外のペイトリオット・コングレス・アンド・エキシビション・センターにある9M729ミサイルのコンテナ。新華社/Bai Xueqi via Getty Images Bai Xueqi

それ以来、ロシアとNATOはともに、30年以上にわたり欧州大陸から失われていた戦力を再構築する動きを見せている。正式脱退の前から、モスクワは、米国による同等の配備への対応として、新たなINF射程のミサイルを配備する意向を示していた。同時に、西側諸国によるウクライナへの支援を阻止するため、注目を集める演習露骨な威嚇を含む核によるシグナリングを繰り返し行ってきた。

ロシアはまた、ウクライナ戦争を利用して、各種ミサイル兵器庫を実証し、改良を重ねてきた。2024年11月、ロシアは新型の中距離弾道ミサイル「オレシュニク」を初めて実戦で使用した。ウクライナに対して使用された型は通常弾頭、あるいは不活性弾頭を搭載していた可能性もあるが、核弾頭を搭載したオレシュニクであれば、西ヨーロッパの主要な首都のほとんどや、NATOの重要な軍事インフラを攻撃することが可能となる。

同時に、ロシアがウクライナで9M729を実戦投入した兆候が見られるほか、ジルコン艦対艦ミサイルをベースとした可能性のある報道されている地上発射型極超音速ミサイルや、性能向上の図られたイスカンデル-M弾道ミサイルなど、さらなる中距離攻撃システムの開発も継続している。またロシアは、核搭載可能な「イスカンデル」ミサイルや、キンジャル空対地弾道ミサイルを装備したMiG-31フォックスハウンド戦闘機をバルト海のカリーニングラードに配備することで前線態勢を強化するとともに、戦術核兵器、あるいは少なくともその運搬インフラを隣国ベラルーシに移送している。

こうした背景でドイツが地上発射型トマホーク導入を決定したのは、NATOの長距離通常戦力による抑止力および攻撃能力を回復させる広範な取り組みの一環である。これらのミサイルは、ロシアの中距離兵器の保有数増加に対抗し、NATOの東部戦線において、長距離通常戦力によるより信頼性の高い均衡を再確立しようとする、欧州全体の取り組みの一部をなしている。米国がこれまで欧州に提供してきた安全保障上の保証が疑問視されている今、この取り組みは一層重要性を増している。

導入されるトマホークの数は現時点では不明だが、それでもなお、それらは高強度紛争という現実とはかけ離れたものとなる可能性が高い。ウクライナは現在、長距離巡航ミサイルを用いてロシアを定期的に攻撃している。NATO全体で持続的な交戦を行うために必要な数は非常に多くなるため、欧州はこれらの教訓を踏まえ、長距離ミサイル能力の拡充と拡大を加速させることになるだろう。

ドイツのトマホークの調達は、欧州におけるNATO抑止戦略の根本的な転換を反映している。長距離通常攻撃能力が、事態をエスカレートさせるものではなく、再び不可欠なものとして見なされている。ロシアが新型中距離ミサイルを配備し、NATOと米国の関係が緊張し、欧州同盟国が独自の開発プログラムを立ち上げる中、大陸の安全保障環境の変化に伴い、新たなミサイル競争が繰り広げられている。■

トーマス・ニューディック

スタッフライター

トーマス・ニューディックはTWZのスタッフライターであり、軍用航空、防衛技術、兵器システム、国際安全保障を専門に取材している。ドイツのベルリンを拠点とし、世界中の紛争、軍事近代化の取り組み、新興の航空宇宙技術について報道しており、特に空軍力と現代戦争におけるその役割に関心を寄せている。彼の報道は、現代および歴史的な空軍力、とりわけヨーロッパにおける深い専門知識に基づいており、大陸内外の軍用航空、空戦、航空宇宙技術の発展に焦点を当てている。


2026年5月23日土曜日

オハイオ級SSGNやタイコンデロガ級巡洋艦の退役でトマホーク発射能力が大幅に減ることで懸念が耐えない米海軍

 

Ohio-Class SSGN Submarine Firingオハイオ級SSGN潜水艦。米海軍提供の画像をBanana Nanoで補正。

トマホーク巡航ミサイル2,080本の発射能力が消滅すると米軍の攻撃能力が大幅に低下する。米海軍はオハイオ級SSGNの運用継続に奔走中

海軍のオハイオ級SSGN誘導ミサイル潜水艦1隻は最大154発のトマホーク巡航ミサイルを搭載している。各オハイオ級SSGNには22基のミサイル発射管があり、各発射管には7発のトマホーク巡航ミサイルを収容できる。米海軍は4隻のオハイオ級SSGN誘導ミサイル潜水艦を運用している。タィコンデロガ級巡洋艦を含め、すべてが退役すると米海軍が容易に補充できない、膨大な数のトマホークミサイルの発射能力の喪失を意味する。

トマホークミサイル危機:米海軍に解決策がない

オハイオ級SSGNは、トマホーク巡航ミサイルを搭載するために改修された。オハイオ級の巨大なサイズゆえに、大量の巡航ミサイルを搭載することができ、米海軍内で独自の役割を担っている。

残念ながら、SSGNは老朽化と維持費の高騰により退役が予定されている。問題は、海軍が現在こ後継艦を準備できていないことであり、これは海軍の巡航ミサイル発射能力の相当な部分を失うことを意味する。

オハイオ級SSGNの独自の能力

オハイオ級SSGNは、米国海軍が最も強力な通常戦力プラットフォームである。

各艦には22基のミサイル発射管が装備されており、各発射管には7発のトマホーク巡航ミサイルを搭載できるため、1隻あたりの総搭載能力は最大154発に達する

4隻の潜水艦全体で計算すると、展開可能なトマホークミサイルは616発となり、これは世界のどのクラスの潜水艦にもない火力の集中である。

この膨大な搭載量により、SSGNは多種多様な目標に対して大規模かつ協調的な攻撃を仕掛けることができる。紛争の初期段階で、1隻の潜水艦が数十発、あるいは100発を超える精密誘導ミサイルを連続発射することで、敵の防空網を圧倒することができる。

ウェブ上の情報

同級潜水艦の退役とタイコンデロガ級巡洋艦の退役を合わせると、米海軍は2,080基のVLSトマホーク発射管を失うことになり、火力の大幅な低下を意味する。

潜水艦は水中で活動し、長期間にわたり隠密状態を維持できるため、水上艦や航空機では容易に実現できない生存性と奇襲性を備えている。

ミサイル発射能力に加え、同級潜水艦は特殊作戦部隊の支援も行っている。ネイビーシールズ隊員と装備を収容し、特殊システムを用いて秘密裏に展開させることができる。

こうした攻撃能力と特殊作戦支援の組み合わせにより、SSGNは単なる攻撃能力を超えた汎用性を備えている。

海軍がSSGNを退役させる理由

優れた能力にもかかわらず、オハイオ級SSGNは運用寿命の終盤に差し掛かっている

退役の最大の要因は老朽化である。これらの潜水艦はもともと1980年代初頭に建造されたものであり、今後数年以内に退役すると40年以上を経過することになる。

時間の経過とともに、船体の構造部品、搭載システム、そして最も重要な原子炉は、修復や寿命の無期限延長が不可能な摩耗を被っている。

老朽化と密接に関連しているのが、増大する整備負担である。

潜水艦が老朽化するにつれ、大規模かつ時間のかかる整備期間が必要となっている。造船所での作業は長期化し複雑化しており、各潜水艦が展開できる時間が短くなり、総コストが増加している。この傾向により、特に新しい艦艇が同じ整備・建造リソースを争っている状況下では、就役期間の延長を正当化することが困難になっている。

重要な能力が失われる

海軍には各艦を退役させる正当な理由があるものの、艦隊は容易に代替できない重要な能力を失うことになる。

最も差し迫った影響は、ミサイル発射セル多数が失われることである。各潜水艦は最大154発のトマホークを搭載しており、これらをまとめて退役させることで、艦隊から616発分の発射能力が失われる。

これらの潜水艦は現在、海軍の対潜攻撃能力の相当な部分を占めており、その撤去は利用可能な火力に顕著な減少をもたらす。

SSGNが火力を集中させる方式を考慮すれば、この損失は特に重大である。事実、米海軍艦隊において、単一のプラットフォームからこれほど大量のミサイルを発射できる能力を持つ潜水艦は他にない。

該当する潜水艦が退役した後、海軍は一度に150発以上のトマホークミサイルを発射できるプラットフォームを失う。これにより、特に圧倒的な戦力が決定的となる紛争初期に大規模かつ迅速な攻撃作戦を実施する能力が低下する。

ヴァージニア級で代替できるのか?

この損失を補うため海軍は、ヴァージニア級攻撃型潜水艦、特にヴァージニア・ペイロード・モジュールを装備したブロックV型に期待している。これらの潜水艦は旧型より大幅に多くのミサイルを搭載可能で、総搭載数は1隻あたり約40発のトマホークに達する。だがそれでもオハイオ級SSGNの搭載能力には遠く及ばない。

SSGN 1隻の火力を補うには、ヴァージニア級潜水艦3隻が共同行動する必要があるが、実際の戦場状況下でこれを調整するのは、後方支援の面で悪夢のような事態となるだろう。

ヴァージニア級は十分な能力を備えているものの、オハイオ級の退役によって失われる火力を十分に補うことはできない

もう一つ重要な問題はタイミングだ。SSGNは、その能力を完全に代替できるだけのヴァージニア級潜水艦が配備される前に退役することになる。

これにより、海軍の攻撃能力に一時的な空白が生じ、その期間は数年、場合によっては2030年代まで続く可能性がある。

この期間中、海軍は大規模かつステルス性の高いミサイル攻撃を行う選択肢が限られることになり、抑止力と作戦計画の両方に影響を及ぼす恐れがある。

一部の推計によると、その他潜水艦の改良を考慮したとしても、SSGN退役により能力は約60%低下する可能性がある。

海軍も、重要な能力を早すぎる時期に失うリスクを認識しているようだ。当初2026年に退役する予定だったUSSオハイオ(SSGN-726)とミシガン(SSGN-727)は、後継艦の準備が整うまで、現役を続ける可能性がある。■

著者について:アイザック・サイツ

アイザック・サイツ(防衛コラムニスト)は、パトリック・ヘンリー大学の戦略情報・国家安全保障プログラムを卒業した。また、ミドルベリー語学学校でロシア語を学び、民間企業で情報アナリストとして勤務した経験を持つ。


2,080 Tomahawk Cruise Missiles Will Soon Vanish, and U.S. Navy Is Scrambling to Keep Its Ohio-Class Submarines Alive

19fortyfive

Isaac Seitz

https://www.19fortyfive.com/2026/05/2080-tomahawk-cruise-missiles-will-soon-vanish-and-u-s-navy-is-scrambling-to-keep-its-ohio-class-submarines-alive/


2020年7月15日水曜日

日本も導入を検討中のトマホーク巡航ミサイルで性能改修の動き

海軍はトマホーク対地攻撃巡航ミサイルの全面改良を企画中だ。改修規模は合計一千発となる。残りは廃棄する。その結果、米巡航ミサイル配備規模は縮小されるが威力は増大する。

トマホークはレイセオンがアリゾナで生産する。単価は100万ドルを超える。2020年時点で海軍はトマホーク4千発を保有する。ただし、改修と並行して廃棄が進むとこの数字は小さくなる。

米海軍でトマホーク事業を統括するジョン・レッド大佐が2020年水上艦協会が開いたシンポジウムで内容を述べていた。「近代化でトマホークは将来にわたり重要性を維持する」

トマホークを運用できるのは駆逐艦巡洋艦89隻に加え攻撃型潜水艦54隻に及ぶ。トマホークは1983年供用開始している。

トマホークは水上艦のマーク41垂直発射装備あるいは潜水艦の垂直発射装置または魚雷発射管から運用する。米海軍のトマホーク発射対応装備は1,000基あるが、巡航ミサイルを常時搭載するのはわずかだ。

レッド大佐によれば ブロックIV仕様のトマホーク全部をブロックV仕様に改修し、誘導性能と射程が向上する。GPS、慣性航法、地形参照型航法を組み合わせたトマホークは最大1千マイル先の標的を狙える。

ブロックIVの供用開始は2004年で旧型ブロックIIIはそれより早く1990年代中ごろから運用開始していた。ブロックIVは二方向のデータリンクで飛翔中の経路変更を可能とし、標的も変更可能となった。耐用年数は30年のはずだった。

ただし15年経過し改修が必要となったとレッド大佐は説明。「未来を今実現する」と説明資料にもあった。

そこで海軍はブロックIV仕様のトマホーク全弾を中間で「再認証」することとしレイセオンが誘導装置の新型を追加していく。これでブロックVとなる。一方でブロックIII全数の用途廃止作業が始まっている。

ブロックVには型式が三種類ある。基本形は新型誘導装置を取り付けるのみとする。ブロックVaはシーカーモードを加え水上艦艇攻撃が可能となる。ブロックVbでは弾頭を変更し、地下施設攻撃を可能とする。

レッド大佐は海軍は年間90発のトマホークを近代化改修する計画にする希望があるという。これが実現すると2030年代中ごろまでにブロックV仕様のトマホークが1,400発そろう。議会から追加調達予算が認められないと、同時期に海軍のトマホーク備蓄は現在の半分以下になる。ここには海軍が実戦で発射するトマホークの代替調達は入っていない。ここ数年で米海軍はトマホーク100発以上をシリアに発射している。

現在の使用実績が続くと海軍は今後10年間で数千発のミサイルが必要となると試算する専門家もいる。

トマホーク生産へ議会が支援を継続しないと「いつの日か敵を攻撃しようと思っても手段がない事態が来る」と同専門家はみている。ただし、トマホーク以外にも海軍はミサイル整備を進めており、今後登場するSM-6の転用でトマホークの不足分を補うという計画だ。

海軍ではロッキード・マーティンの空中発射型ステルスミサイルを原型に長距離対艦ミサイルの開発も進めている。また新型極超音速対地攻撃ミサイルも2020年代中ごろに供用開始となる見込みだ。■

この記事は以下を再構成したものです。

July 14, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Reboot  Tags: U.S. NavyNavyMilitaryTechnologyWorld
 “Modernization ensures Tomahawk’s relevance now and in the future”
by David Axe 

David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad.

2019年6月25日火曜日

米軍の対イラン攻撃に投入される装備はこれだ

Here's What an Attack on Iran Might Look Like -- F-35, Tomahawk, B-2 イラン攻撃を想像する---F-35、トマホーク、B-2が投入されるのか

Which weapons would be best to attack Iran? Tomahawk, B-2 or F-35? イラン攻撃に最適の装備は何か

by

By Kris Osborn - Warrior Maven
Kris Osborn is a Senior Fellow at The Lexington Institute


ラン攻撃想定の詳細は当然ながら安全保障の観点から不明のままだが、計算された攻撃に装備が投入に適す装備がどれかで疑問が生じている。潜水艦あるいは水上艦からのトマホーク発射、それともステルスのB-2さらにF-35も出番があるのか。

広い意味で「第一撃」兵器とされるトマホーク巡航ミサイルにはユニークな長所が数々ある。まずなんといっても射程900マイル超もありながら攻撃側にリスクが皆無な点だ。実に精密かつ効果的な攻撃効果を固定式の敵ミサイル陣地や対空装備に与えることができる。GPS誘導や双方向データリンクで最新のブロックIVトマホークなら飛翔中に新たな情報が入ればコース変更も可能だ。無人機に似た空中センサー能力もあり目標周辺の状況把握も可能。ここ数年でリピア、シリア、イラクと第一撃攻撃に投入されている。海軍は巡洋艦、駆逐艦、攻撃型潜水艦から同ミサイルの発射が可能で、海軍はイラン小型舟艇の攻撃を排除できるもののトマホークの射程能力があれば敵の反抗ができない地点から攻撃を可能としてくれる。

冷戦時にソ連防空網を突破するべく開発されたトマホークは地上すれすれに飛翔し敵レーダー探知を逃れる。更に新型の海洋版トマホークでは移動目標も命中できるようになったがまだ実戦配備されていない。今回のシナリオではトマホークと飛翔制御可能な航空装備を併用し移動式防空装備などの動向を把握しながら攻撃すると思われる。

航空機では空軍、ペンタゴンはステルス爆撃機、新型「第5」世代機のF-35,F-22はハイエンド戦で「厳しい」環境で投入すべき機材としており、米側に航空優勢が得られない事態を想定している。そこでイランが移動式防空装備など攻撃の標的としては難易度が高い装備を稼働させれば米ステルス機が投入される可能性が高い。F-35が戦力化され、アフガニスタンで投入されているが、攻撃手段として効果を上げそうだ。イランにも高性能防空装備があるものの、ステルスのF-35などをトマホーク攻撃と併用してイラン防空体制の突破を図るだろう。

軍事行動は限定的攻撃でもまず防空体制や指揮命令系統の打破を図ることが多い。2003年のイラクの自由作戦でも航空対抗措置の排除を真っ先に狙った。空母からのF-18、地上基地を発進するF-15はこの任務を完璧にこなすだろうが、イランでは第4世代機の投入は少ないはずだ。イランの防空能力の実態がよくわからない。2015年にロシアのTASS通信の配信ではS-300をイランに売却したと確認しており、このうち何基稼働可能か不明だ。S-300に加えS-400も導入されていれば相当の驚異になる。最新の防空装備はネットワーク化されデジタル演算能力があり従来より広範囲のレーダー周波数を利用し有効射程も伸びている。
ロシアのS-300s - TASS

ステルス爆撃機B-2はアフガニスタン、イラクで投入の実績があり、高高度で精密兵器を安全な距離で投下する攻撃が可能だ。それにとどまらずステルス性能を生かして敵探知を逃れることも可能だ。ここにステルスF-35が加われば「センサー融合」機能を活用し標的情報、センサーデータや兵装運用がネットワークされパイロットは急速に変化する状況も把握できる。さらにF-35の電子光学標的捕捉システムEOTSと分散開口システムセンサーは第四世代機より長距離で有効な性能を誇る。F-35は敵標的の捕捉・破壊をめざして開発されており、敵に気づかれる前位破砕し、敵が手を出せない距離からの攻撃が可能だ。JDAM共用直接攻撃航空爆弾の性能は実証済みで空中投下爆弾として投入されるのではないか。

いかなる形の攻撃であれ情報の質が鍵を握る。高精度の映像が無人機経由で手に入れば標的識別が鮮明になる。トマホーク、B-2の双方で必要になろう。ただしSIGINT等のその他情報手段も戦況の変化や対象目標が移動する中で必要となるので低空飛行無人機や第5世代機がこうした情報の提供手段になるはずだ。■

Kris Osborn is a Senior Fellow at The Lexington Institute
Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has a Masters in Comparative Literature from Columbia University.