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2022年8月15日月曜日

中国が最新鋭潜水艦を台湾を睨み配備。一方、台湾の潜水艦はわずか4隻、うち1は大戦時の旧米海軍艦隊型潜水艦と戦力差がありすぎる。

 


The latest variant of the Chinese Navy's Yuan class submarine, of which only one has so far been built, is stationed near Taiwan. The submarine is now part of the East Sea Fleet, responsible for operations around Taiwan.

 

台湾をにらむ中国東海艦隊に、新型潜水艦が配備された。新型艦は大幅に改造されたセイル形状が特徴だ



7月に就役したばかりの中国海軍の最新型潜水艦は、東海艦隊に配属された。同艦隊は台湾と直接対峙し、その作戦区域を担当する。

 この新型潜水艦は、中国の通常型潜水艦で最先端を行く装備だ。

 2021年5月にNaval Newsが最初に報じたこの潜水艦は、Type-039A元級Yuan Classの新バリエーションである。制式名称は不明だが(中国は我々に教える必要を感じていない!)、欧米のアナリストはType-039Cまたは-Dと考えている。武漢で建造され、艤装のため上海に向かったと判明している。進水からわずか1年余りで就役している。新型潜水艦としては、非常に早いスピードである。


新型潜水艦の特徴

新型潜水艦は、特徴的なファセット・セイル(切り子状の帆)が特徴である。これは、ステルス機のように長さに沿ってラインが走っている。スウェーデンのA-26のデザインを彷彿とさせるが、コピーしたわけではない。これは、水面走行時のレーダー探知を軽減するためである可能性がある。

 セイルには、強力な新型ミサイル用の垂直発射システム(VLS)が搭載されているのではとの憶測もある。しかし、全体的に以前の元級と同じサイズであるため、これはありそうもない。この潜水艦は、以前の艦と同じ魚雷とYJ-18超音速対艦ミサイルを搭載するようだ。

 また、この潜水艦は、上部舵を貫通する曳航式アレイソナーを備えている。これは既存の元級より大幅に改善されている可能性がある。

 推進方式には、ほぼ間違いなくAIP(Air Independent Power)が採用されている。AIPは、潜水艦のバッテリーを充電するためディーゼルエンジンを動かすためにシュノーケリングをする前に、より長い時間巡航することを可能にする。AIPは原子力艦とまではならないが、非AIP艦よりも生存性が高くなる。

 中国海軍(PLAN)は、すでに世界最大規模のAIP潜水艦部隊を保有している。

 就役式は、PLANの東海艦隊司令部がある寧波Ningboで行われた。NavalNews によると、この潜水艦は大西道Daxie Dao潜水艦基地を拠点とし、旧式の元級艦艇と一緒に配備されている。同基地は、岩の多い群島に守られ、その他海軍基地に近接している。

 このため、台湾海軍と直接対峙することになる。東海艦隊の潜水艦基地は、台湾本島の北、約500km(310マイル)南にある。また、太平洋に面した日本列島は、天然のバリアとして機能している。中国はこの東側でますます活動を活発化させている。


台湾の潜水艦はわずか4隻

台湾の潜水艦は、わずか4隻だ。うち2隻は第二次世界大戦時の元米海軍潜水艦である。これらは、1950年代にアメリカによって近代化され、再び台湾のため近代化された。しかし、それでも世界で最古の潜水艦であることに変わりはない。プラットフォームとしては、中国の潜水艦に負ける。

 残る2隻は、より近代的ではあるものの、今日では時代遅れである。1960年代に設計されたオランダのツヴァルトヴィス級2隻は、1980年代に海龍Hai Lung級として発注された。それでも比較的有能だと考えられているが、これらは最新の中国製潜水艦のAIPを欠いている。

 4隻の潜水艦では、いかに優秀でも少なすぎると言わざるを得ない。特に、中国海軍が島の両岸で積極的に行動するようになったからだ。しかし、中国からの効果的な政治的圧力は、何十年にもわたり台湾が潜水艦を増備することを阻害してきた。だが台湾はついに自前の解決策に目を向けている。

 台湾の新しい潜水艦は国内建造される。最初の国産防衛潜水艦(IDS)は、建造中で組み立てが非常に早く、報道が正しければ、今後数カ月で進水する可能性がある。この新型艦は、Hai Lung級に非常によく似ていると予想される。

 全体的に中国は潜水艦で数値的・技術的優位性を保っている。新型艦が加わることで、中国は非核艦艇を進化させ、改良を続けていることがわかる。■


China's Newest Attack Submarine Now Stationed Near Taiwan - Naval News

H I Sutton  11 Aug 2022

 

Posted by : H I Sutton

H I Sutton writes about the secretive and under-reported submarines, seeking out unusual and interesting vessels and technologies involved in fighting beneath the waves. Submarines, capabilities, naval special forces underwater vehicles and the changing world of underwater warfare and seabed warfare. To do this he combines the latest Open Source Intelligence (OSINT) with the traditional art and science of defense analysis. He occasionally writes non-fiction books on these topics and draws analysis-based illustrations to bring the subject to life. In addition, H I Sutton is a naval history buff and data geek. His personal website about these topics is Covert Shores (www.hisutton.com)


2022年2月11日金曜日

新登場の中国通常型潜水艦は小型ながらPLANのA2AD構想を支える新鋭艦になりそう。合わせ039型C元級の改良にも注目。

 

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NEW_CHINESE_SUBMARINE

VIA CHINESE INTERNET

 

型潜水艦が中国に登場した。この前に別の通常型「セイルなし」艦が関心を集めていたが、今回新たに出現した艦との関係は不明だ。

 

 

ビデオ映像には新型艦が初期テストらしき運用をされる姿があり、ソーシャルメディアに流出した。小型艦で039型元級(250フィート)よりはるかに小さく、潜水艦に詳しいH・I・サットンの試算では全長160フィートだ。

 

サットンは今回登場した新型艦は3年前に現れたセイルなし艦と何らかの関連があるとする。衛星画像では同艦の全長は150フィートと今回登場の新型艦と近い。サットンは新型艦は単船殻構造とし、前回登場したセイルなし艦に共通する。なお、039型は双船殻型だ。

 

今回はセイルがついており、設計の違いが明白だ。今回のセイル構造は艦体にスムーズに一体化されており、ドイツの212型、214型に通じるものがあり、中国では今回が初めてだ。ただし、中国でもMS200潜航艇、S600小型警戒潜水艦、S1100艦でも試行されており、すべて中国船舶重工業China Shipbuilding Industry Corporation( CSIC)が建造している。ただし、今回の新型艦もCSIC建造かは不明だ。

 

その他の目立つ特徴として潜舵が艦本体前方についており、これも214型と共通している。また、セイルには白色マーキングがあり、試験中の中国潜水艦に共通の特攻だ。サットンはこの潜水艦の武装は魚雷発射管4本で再充填用魚雷は搭載していないとする。

 

全体として新型艦でわかっている情報は皆無に近いが、中国が小型通常型潜水艦も大型原子力推進艦と並行して整備を続ける状況を示している。

 

昨年は元級の新型が登場し、西側は非公式名称039C型とした。同艦の特徴としてセイルが設計変更され、ステルス性能を意識した、あるいはソナーか通信装置を搭載した可能性がある。

 

VIA TWITTER

いわゆる039C 型ではセイルの形状が特徴的だ

 

これに対し039A/B型艦は17隻が人民解放軍海軍PLANで供用中で、中国通常型潜水艦部隊の中核となっており、パキスタン、タイへも輸出されている。

 

039A/B型が輸出にもまわされたことで、新型艦の登場が予想される。中国はハイテク艦を輸出し、フランス、ロシア、スウェーデン等と競合しようとしている。

 

新型間の推進方式は現時点では断定できないが、039A/B型は大気非依存型(AIP)を搭載していると言われる。039A/B型のスターリングエンジンは液体酸素とディーゼル燃料で発電し、推進力を得ていると予想される。これにより潜航時間が従来の艦より長くなり、浮上あるいはスノーケル潜航の必要が減る。

 

U.S. NAVY

039A 型元級潜水艦

 

中国はさらに高度な推進方式も開発中と見られており、リチウムイオン電池技術もそのひとつだ。日本がそうりゅう級後期でこれを実用化している。AIPに対する利点として潜航中の高速移動が持続できること、充電時間が短いこと、電池寿命が長くなること、保守整備が簡略化できることがある。電池のみで移動すれば最高の静粛度が実現する。039C型でリチウムイオン電池が導入されているとの観測があり、試験艦としてその他新技術も導入され、今後の建造艦に道をひらく意義があるのだろう。

 

中国は通常型潜水艦が国内用あるいは輸出用の需要があると認識しているようだ。原子力潜水艦のみ運用する米海軍と対照的だ。通常動力艦は建造費が安いため、急速な拡大をめざすPLANのニーズに合うが、同時に中国が想定する戦闘状況にぴったりだと言って良い。

 

原子力潜水艦より静粛度に優れる新鋭通常型AIP潜水艦は浅海域での運用に適しており、PLANは広範な接近阻止領域拒否戦略に投入するつもりなのだろう。今回の新型艦は小型艦体はこの想定似理想的だ。更に建造費が安価となれば中国は数で優位に立てる。

 

米議会に提出された中国海軍力整備に関する報告書では2025年までに元級を25隻配備すると予測しており、あらためて中国の建造能力の高さを印象づけている。今回の新型艦、さらに039C型あるいは開発中の艦が実際に第一線部隊に配備されるかは不明だが、PLANは数と質の双方で潜水艦戦力を整備していくのは明らかだ。■

 

 

New Chinese Diesel-Electric Submarine Breaks Cover 

The latest Chinese submarine design to emerge remains enigmatic but seems to utilize a notably small hull.

BY THOMAS NEWDICK FEBRUARY 8, 2022

THE WAR ZONE

 


2018年9月18日火曜日

中国潜水艦部隊の「優位性」を無にする作戦は可能?

 

中国が米国主導の国際秩序に公然と挑戦する姿勢を隠そうともしないため、各国の包囲網さらに米国による貿易戦争を招いています。中国経済が弱点を露呈するのは時間の問題とはいえ、錬金術のような予算拡大で建造した潜水艦部隊が忽然と消えるわけではなく、潜水艦部隊は悪夢になります。ではどうしたらよいでしょう。対潜能力は日本の能力が卓越しているため、中国は日本の対潜アセットの排除に必死になるはずですね。P-1やP-3Cを守るのが航空自衛隊の役目、島しょ部の艦船通過を阻むのが陸上自衛隊の任務で、海自潜水艦は阻止任務、水上艦はASWに専念できるようにすべきでは。

US submarines are better than China's 'by far,' but in a war that may not matter 米潜水艦は中国艦より「相当」優位だが有事には解決にならない

Sep. 11, 2018, 5:56 PM

A Chinese submarine attends an offshore blockade exercise2005年のロシア共同演習に参加した中国潜水艦 Zha Chunming/Xinhua/Associated Press

  • 中国が20年にわたり潜水艦開発に多大な予算を投じてきたが米潜水艦の優越性は変わらない
  • だが中国が数の面や場所、場面で米国の優越性を脅かす可能性はある
  • 中国は「グレイゾーン状況」で優位で開戦一歩手前まで緊張を高めるだろう



国ほか太平洋周辺国が危惧しつつ見守るのは中国の潜水艦部隊の増強でこの二十年間にわたり新型かつ柔軟運用可能な潜水艦の全隻数は米国を上回るまでになった。
米潜水艦は中国艦より高性能とはいえ、有事の際は隻数と地理条件で中国に有利で米国や同盟国の優位性を脅かす可能性がある。
海軍近代化は中国がめざす「海洋権益重視」のあらわれと国防総省は年次報告「中国の軍事力」で開設している。
人民解放軍海軍への作戦要求は高まっており、潜水艦に高優先順位がつき、米海軍の海洋支配への対抗が期待されている。
現在の勢力は56隻でうちミサイル原潜4隻、攻撃型原潜5隻、ディーゼル動力攻撃型潜水艦47隻だが2020年には69隻から78隻になるとペンタゴンは見ている。
中国はこの15年間で原子力潜水艦10隻を建造し、うち普級ミサイル潜水艦は「中国初の信頼性を備えた海洋配備核抑止力」とペンタゴン報告書は述べている。
だが原潜は可能性が一番高い有事シナリオでは使い勝手が悪いと指摘するのがブライアン・クラーク(予算戦略評価センター主任研究員)だ。
「騒音が比較的高く、追尾は容易で、対地巡航ミサイルを除けば大した戦力でなく隻数も多くありません。もっと遠隔地の標的のグアムやハワイの攻撃手段でしょう」(クラーク
China navy naval bases Asia Pacific中国海軍の構成と配備基地をペンタゴンがまとめた US Defense Department

クラークは通常型潜水艦のほうが「重要な潜水艦戦力」とし、とくに対艦ミサイル発射可能な艦や大気非依存型推進方式(AIP)搭載艦に注意を促している。後者はディーゼル電気推進方式の欠点を克服している。
1990年代中頃以降の中国は宋級ディーゼル電気推進攻撃型潜水艦13隻を建造し、さらにロシア製キロ級12隻を調達し、うち8隻が対艦巡航ミサイル発射可能だ。
キロ級は通常型ディーゼル潜水艦で定期的に浮上する必要がある。
「それでも優秀かつ頑丈で信頼性高い潜水艦で長距離対艦ミサイルを搭載しています」とクラークは評する。短距離運用でキロ級は「スノーケルを使わず接近し長距離戦を行うとの懸念が米側にあります」
さらに元級ディーゼル電気方式大気非依存型攻撃潜水艦を17隻建造し、2020年までに20隻になるとペンタゴンは見ている。
Navy Ray Mabus China Chinese Yuan submarineレイ・メイバス海軍長官(当時)が元級潜水艦Hai Jun Changに宁波で乗艦した。2012年11月29日。REUTERS/US Navy/Chief Mass Comm. Specialist Sam Shavers
「元級AIP潜水艦はとても優秀」とクラーク(元米海軍潜水艦士官)は述べる。「通常任務は二三週間でAIPを使えばスノーケル浮上は不要です。日米両国の心配のたねとなるでしょう」
元級各艦は魚雷と対艦ミサイルで水上艦部隊に脅威となる。
クラークは「元級が一番の懸念になるのは米艦船の攻撃能力がありながら追尾探知が難しく攻撃機会は皆無に近いからです」
だが中国のディーゼル電気推進潜水艦に不利な点もある。
china navy yuan class submarine元級攻撃型潜水艦 .Congressional Research Service

静かとはいえ米原子力潜水艦が最大限に静粛運行した際の静粛度に及ばない。また米潜水艦並の航海日数はなく、定期浮上の必要もある。中国の潜水艦乗員に米海軍乗員が有する経験の深さはない。
「そうなると中国潜水艦は米国水準に達していないことになります」(クラーク)
中国潜水艦はインド洋まで遠征し対海賊運用を東アフリカでおこなったが第一列島線周辺での運用が大半である。フィリピン海に展開すれば米艦船攻撃も可能とクラークは見る。
第一列島線の大部分は中国の陸上運用機材・ミサイルの行動半径内で中国の目指す接近阻止領域拒否戦略の一環となる。その同じ地域で米国および同盟国の優位性が脅かされている。
China Asia Pacific first island china第一、第二列島線の大まかな位置。 US Defense Department

「中国は数の上で優位で、作戦投入可能な潜水艦を多数保有していますが、同時に作戦海域も狭くてすむので有利なのです」(クラーク
対潜能力で米国や関係国に制約がある。
米潜水艦には対地攻撃や監視偵察など各種任務があり、対中国潜水艦攻撃に特化できず対潜作戦は水上、航空部隊に任されるが中国空軍機やミサイルの標的になる。
「ASW装備は中国の接近阻止戦術の前に脆弱度が最高に大きく、中国沿岸に近い海域で展開になるためこれは当然でしょう。そうなると動きが取れず進出前の中国潜水艦との交戦もままなりません」(クラーク)
数とともに地理条件で中国は「グレイゾーン」対決で有利となる。これは開戦一歩手前の状況で米海軍もこの状況に備える必要を認めている。
「中国とのグレイゾーン対決ならどうなるか。中国は第一列島線を通過して潜水艦多数を出動させ大洋に展開しようとすれば封じ込めは失敗」となり米側には大きな課題だとクラークは指摘。
「グレイゾーン事態でも武器は発射できず、かといって全隻の追尾は不可能なので所在不明の元級がフィリピン海に遊弋していれば事態がエスカレートしかねません。元級から巡航ミサイルが発射される心配につきまとわれるでしょう」「中国はホームチームでテンポと進展を自分でコントロールできるというわけです」(クラーク)
だが米国および関係国はこの状況にすでに直面している。
china coast guard scarborough中国沿岸警備隊がフィリピン漁民とスカボロ礁で対立した。2015年9月23日。AP Photo/Renato Etac

中国は沿岸警備隊を展開し南シナ海での海洋権益を執行して(国際法廷でこの主張は却下されているが)、人工島を構築し軍事拠点として固持する構えを示している。 
こうした沿岸警備艦船が米海軍艦船と遭遇すると中国は米国を侵略者と非難している。
中国沿岸沖合や人工島周辺の海域では「自国領海であり人口島のミサイルやレーダーで守られる安心感からやりたい放題だ」とクラークは指摘。「中国側は緊張を自由自在に高めたり下げられる」
武力衝突の可能性が高まる状況で中国潜水艦が優位となるが戦闘が長引けば欠点があらわになる。
「AIPでも連続使用時間は限られる酸素や推進力を失う、スノーケル浮上する必要が出てくる。

「そこで時間要素が関係する。もし米国と日本が中国潜水艦をしのげば元級はそのうちスノーケル浮上あるいは帰港を迫られる事態になり、それだけ脆弱になるのです」(クラーク)■