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2024年12月10日火曜日

ロシアによるウクライナへの前例のないミサイル攻撃で従来型弾頭搭載のICBM構想が浮き彫りになった(The War Zone)

 



While it has turned out that the RS-26-based Oreshnik that Russia fired at Ukraine was not a conventionally-armed ICBM, it still highlights the very real interest in, if not more active development and even potential fielding of, a weapon of that kind globally.  

Russian Ministry of Defense

シアは技術的には従来型弾頭を搭載したICBMをウクライナ攻撃に使用していないが、世界的に登場する可能性のある兵器である。

昨日、ロシアがウクライナに対して行った前例のない攻撃で発射した兵器は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)ではなかったことが確認された。しかし、「オレシュニク(Oreshnik)」と名付けられたこのミサイルは、技術的にはICBMの派生型である。この兵器の使用は、通常弾頭を搭載したICBMに関する過去の議論を浮き彫りにした。一部国は、すでに導入している場合を除き、導入を検討している可能性があり、核兵器以外の長距離の攻撃能力を提供することになる。

プーチン大統領は、昨日のテレビ演説でオレシュニクの存在を明らかにし、ウクライナ東部の都市ドニプロへの攻撃で使用したことを発表した。 米国防総省によると、ミサイルはRS-26ルベーシュ Rubezhをベースにしたもので、機密性の高いミサイルだ。

大陸間弾道ミサイルは3,418マイル(5,500キロメートル)以上のものを指す。短距離、中距離、および中間距離弾道ミサイル(SRBM、MRBM、およびIRBM)は、それぞれ620マイル(1,000キロメートル)以下、620~1,864マイル(1,000~3,000キロメートル)、1,864~3,418マイル(3,000~5,500キロメートル)の範囲である。 60マイル(1,000キロから3,000キロ)、1,864マイルから3,418マイル(3,000キロから5,500キロ)の範囲にそれぞれ分類される。

これらのカテゴリー内でも、弾頭が何個搭載されているか、通常弾頭か核弾頭かなど、ミサイルの正確な構成は大幅に異なる。

ウクライナ当局によると、ロシアが昨日ウクライナに向けて発射したオレシニクは、それぞれ6個のサブミューニションを搭載した6個の独立した弾頭を搭載していた。プーチン大統領は、この兵器には不特定の「非核ハイパーソニック技術」が含まれていると述べている。このミサイルが標準的な再突入体、操縦体、あるいは極超音速ブースト・グライド機を搭載していたかは不明。ICBMやその他の大型弾道ミサイル、およびそのペイロードは、通常、飛行中に、特にペイロードが目標に向かって急降下する際に、マッハ5以上の極超音速に達する。

注目すべきは、RS-26は分類上、特異なケースであるということだ。公式にはルベーシュはICBMだが、実際はIRBMである証拠が以前から存在している。RS-26は、RS-24 ヤールICBMの短縮型派生型であると考えられており、米国政府は、RS-26は前世代のRS-12M トーポリMの改良型に過ぎないと評価している。オレシュニクがどの範囲に位置するのかについてすでに議論が交わされており、プーチン大統領は中距離兵器と呼び、米国政府高官は中距離弾道ミサイル(IRBM)のカテゴリーに分類している。

ロシアの道路移動式ICBM、RS-24 ヤールス。ビタリー・クズミン

これらがさまざまな形で影響し、ロシア軍が発射したのはICBMであるとしたウクライナの当初の評価につながった可能性がある。

とはいえ、少なくとも通常兵器を搭載したICBMという概念は現実のものだ。昨年、米軍は中国人民解放軍(PLA)内に「通常兵器を搭載したICBM開発に関心がある可能性」があると評価していた。

また、イスラエルのジェリコ3はICBMとされるが、通常弾頭を搭載できるとの報告もある。 1990年代に退役したとされるジェリコ1短距離弾道ミサイルとジェリコ2中距離弾道ミサイルも、核弾頭だけでなく通常弾頭を搭載可能とされている。なお、イスラエルは、核兵器や長距離弾道ミサイルの保有を公式には認めていない。

イスラエルのシャビット-2 宇宙打ち上げロケットが発射される様子。同国が保有するジェリコ弾道ミサイルシリーズに関連しているとされる。 イスラエル国防省

イスラエルはジェリコの次世代型であるジェリコ4の開発も進めているとされる。「ジェリコ4は3段式ミサイルで、その能力には破片弾頭の搭載の可能性も含まれる」と、The Jerusalem Post紙が今年初めに報じた。同報道では、ミサイルの詳細については、射程距離の分類を含め、一切明らかにされていないが、イスラエルが新たな長距離通常弾道ミサイル能力の開発を進めている可能性を示唆している。

米国軍も過去に同様の能力を検討し、トライデントII型潜水艦発射弾道ミサイル通常弾頭搭載バージョンの可能性を含め、大陸間弾道ミサイルの射程距離を検討していた。


トライデントIIの発射。USN 2019年の定期テストで、オハイオ級弾道ミサイル原子力潜水艦USSロードアイランドがトライデントIIを発射。USN

米国防総省が2023年に通常型ICBMへの中国の関心を強調した後、本誌は、そのような能力の潜在的な利点について次のように書いている。

「中国軍がこのようなシステムを開発する目的は、核兵器の使用にエスカレートせず、米国(あるいは世界のどこか)の戦略的目標、例えば空軍基地、港湾、主要な指揮統制ノード、政府機関などを標的にできる兵器を手に入れることである可能性が高い。これは、中国本土に対する非核攻撃に対する強力な抑止力となり得る。

「さらに、もしこれらの通常ICBMが使用される事態になれば、米国政府、あるいはその他の潜在的な核武装国は、核による報復を行う可能性が大幅に低くなることが期待できる」。

中国のDF-41 ICBM、またはその模型がパレードで展示された。Global Times

また、本誌の別の記事では、イスラエルが通常弾頭を搭載したジェリコをイランに対して使用する可能性について取り上げており、この種の兵器がもたらす可能性についてさらに詳しく説明している。

「すでに、ジェリコミサイルはイランの標的を攻撃する最速の手段となっており、弾道の軌道と速度により、特に弾道ミサイルに対するイランの防空能力が非常に限られていることを考えれば、迎撃される可能性は低い。亜音速巡航ミサイルは迎撃がはるかに容易であり、時間的制約のある目標や堅牢な目標を攻撃するオプションを提供しない。また、イスラエル空軍の航空機による長距離直接攻撃と対照的に、イスラエル人要員が危険にさらされることもない」。

「通常弾頭を搭載したジェリコミサイルは、それ自体が非常に強力な兵器であり、上記の理由から、高爆弾頭であっても極めて破壊的である。CSISによると、ジェリコ2は3,300ポンドの高性能爆弾を搭載でき、ジェリコ3は2,200~2,900ポンドのペイロードを搭載できる。ただし、これは数千マイルを飛行する構成であり、その距離のほんの一部を飛ぶ構成ではない。したがって、地域攻撃用に適応すれば、はるかに大きなペイロードが可能になる。

「ミサイルの弾頭が終末攻撃段階で到達する極端な速度により、イスラエル空軍には不可能な、堅固な建造物や地下に埋設された司令センター、その他の要塞化された施設を標的にすることが可能になる。これは非常に大きな能力だ。イスラエルは、フォードゥー濃縮施設のように地下深く埋設されたイランの核施設を、核攻撃に頼らず従来の空爆で破壊する能力を持っていない。米国は、潜在的にこれを実行できる通常兵器による空対地攻撃能力を持つ唯一の国である。米国B-2ステルス爆撃機およびMOP(Massive Ordnance Penetrator:大量爆弾貫通体)である。しかし、この限界を知りながら、イスラエルは、これらの施設を潜在的に脅かす可能性のある弾道ミサイル用の通常兵器ペネトレーター弾頭を開発しており、少なくとも一定期間、施設を無効化できる能力を獲得することをめざしている」。

複数弾頭を搭載した通常型ICBM、あるいはMIRV(多弾頭再突入体)構成であれば、さらに大きな能力を発揮できる。精度の高い通常弾頭を搭載した再突入体がMIRV化されたミサイルに搭載されれば、1発のミサイルで複数の目標地点を攻撃することが可能だ。

通常型ICBMの能力には明確な戦略的メッセージという利点もある。このような兵器による攻撃が成功すれば、核攻撃能力を非常に明白に実証する波及効果が生まれる。

ロシアは明らかにウクライナ、そして米国やウクライナを支援するその他国に対して、オレシニクを使用したことで、実用的な能力を実証すると同時に、何らかのメッセージを送る意図があったと考えられる。

通常弾頭を搭載したICBMを配備することには明白な利点があるものの、防衛側にとっては、核攻撃の脅威にさらされているかどうかを判断が困難になるという、憂慮すべき差別化問題が生じる可能性もある。ICBMの移動速度が脅威を評価し、何らかの対応を取るために利用可能な時間を制限する。こうした状況は、相手国が誤って核攻撃を受けたと判断し、同様の対応を行うシナリオの可能性を提起しており、その結果、急速にエスカレートする核の応酬が引き起こされる可能性もある。

これは杞憂ではない。米国防総省は確立された核リスク軽減のルートを通じてロシアからオレシニク攻撃の事前警告を直接受け取ったと発表している。ロシア軍がミサイルを比較的短い距離(約500マイル)を越えて、アメリカの抑止力による傘の及ばない非核保有国の標的に発射したにもかかわらず、その通知は行われた。

同じような差別化への懸念が、米軍が通常型トライデントミサイルの作業中止の決定を下した際にも重要な役割を果たした。また、米国政府高官は、通常弾頭または核弾頭を搭載可能な長距離弾道ミサイルの配備に関して、中国のあいまいな態度を公然と批判している。

ロシアがウクライナに向けて発射したRS-26をベースにしたオレシニクは通常弾頭のICBMではないと判明したが、それでも、積極的な開発や、実戦配備には至らないまでも、同様の兵器への関心が世界的に非常に高いことは明らかだ。■

Conventionally Armed ICBM Concept Highlighted By Unprecedented Russian Missile Attack On Ukraine

Russia did not technically use an ICBM with conventional warheads to attack Ukraine, but it remains a weapon that could emerge globally.

Joseph Trevithick

https://www.twz.com/land/conventionally-armed-icbm-concept-highlighted-by-unprecedented-russian-missile-attack-on-ukraine


2024年11月22日金曜日

北朝鮮のICBMは大気圏再突入能力をまだ確立していないと米軍が見解を発表(The War Zone)

 The U.S. military has not seen demonstrable evidence of North Korea successfully testing a re-entry vehicle capable of bringing a nuclear warhead back down to Earth through the atmosphere, according to America's top officer in the Pacific region.  

North Korean State Media



北朝鮮は、ICBMの実戦配備で重要となる再突入体の技術に積極的に取り組んでいるが


軍の太平洋地域担当トップによれば、北朝鮮が核弾頭を大気圏を通過させ、地球に帰還させる再突入装置の実験に成功した証拠はないという。北朝鮮は、大気圏外飛行プロファイルを持つ長距離弾道ミサイル、特に米国に到達可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)に不可欠なこの技術に積極的に取り組んでいる。


サミュエル・パパロ米海軍大将は、昨日ブルッキングス研究所のシンクタンクで開かれた公開イベントの冒頭で、「北朝鮮が最大の弾道ミサイルの発射実験を行い、7,000キロ(約4,349.5マイル)を超える弾道弾に到達したことは、もう皆さんご存じでしょう」と述べた。


パパロは米インド太平洋軍(INDOPACOM)のトップであり、北朝鮮が10月31日に、これまでで最長の射程距離と主張する大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星19」を初めて発射実験したことについて言及した 北朝鮮当局によると、ミサイルの最高到達距離は7687.5キロ(約4776.8マイル)だった。


火星19号は、この巨大な輸送発射装置(TEL)から発射された。 北朝鮮国営メディア


「北朝鮮が再突入体を大気圏に安全に帰還させる能力について、また彼ら自身がそのようなことができるという確信を持っているかどうかについて、我々は多くを知っているのだろうか?」とブルッキングスの外交政策プログラムのシニアフェロー兼リサーチディレクターであるマイケル・オハンロンは、続いてパパロに尋ねた。「北米を射程に収めるのはひとつのねらいですが核弾頭を降下させ、爆発させることができるというのは別の課題です」。

 「まだ実現していない。まだその能力を見ていないが、それを目標にテストを続けているだけだ」とINDOPACOM司令官は答えた。

 極超音速で大気圏を通過し、地球まで急降下する際の物理的・熱的ストレスに耐えられる再突入体を設計することは、複雑な命題だ。 

 また、核弾頭のようなペイロードを安全に保持し、確実かつ正確に目的の爆発地点に到達できなければならない。


10月31日に打ち上げられた「火星19号」に搭載されたカメラから見たとされる地球の様子。 北朝鮮国営メディア


北朝鮮が長年にわたり、ICBMの実戦配備に不可欠な再突入体技術を積極的に追求してきたことに議論の余地はない。平壌の政権は、過去にこの能力の開発に成功し、複数の独立目標再突入ロケット(MIRV)の開発に進展したと主張していた。 観測筋は、火星19号はMIRVのペイロードを意図した設計の特徴を持っていると指摘している。


2017年、熱核弾頭の設計を検査する北朝鮮の金正恩委員長。 背景には再突入ミサイルの設計図らしきものが見える。 北朝鮮国営メディア


MIRVミサイルは、潜在的に数百マイル離れた複数標的を攻撃することが可能であり、かつ/または、完全破壊を達成する可能性を高めるために、1つの標的地に核弾頭を複数打ち込むことが可能である。複数の再突入体がやってくると、防衛側にとっては、特にデコイやその他の対抗措置が混在している場合、対処が難しくなる。


昨日のパパロ大将の発言は、北朝鮮の再突入ミサイルの主張を裏付ける決定的な証拠が、少なくとも公的にはまだないことを強調している。

同時に、北朝鮮は少なくとも、米軍が機能すると断定的に評価した再突入能力を持たずとも、米国や同様の射程距離の標的地域に対するICBM攻撃を試みる可能性があることを強調しておきたい。また、宇宙空間で核弾頭を爆発させ、地球規模の大混乱を引き起こそうとする可能性もある。


「米中央情報局(CIA)は、北朝鮮が2017年7月28日に行った大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験は、大気圏再突入に失敗したと評価している」と、『ディプロマット』紙は2017年、匿名の米政府筋の情報を引用して報じた。「しかし、同じ評価では、北朝鮮のICBM再突入体は、米国本土の目標に通常軌道で飛行した場合、おそらく十分な性能を発揮するだろうと指摘している」。


「CIAの評価では、これまでに観測された火星14号の2回の飛翔実験に基づき、北朝鮮の再突入体技術は、ミサイルが最小エネルギー軌道で発射された場合、性能に問題を生じないほど十分に進んでいる可能性が高いと指摘している」と記事は付け加えていた。再突入体に関する評価は、米航空宇宙情報センター(NASIC)による『地上、海上、空中のセンサーから収集された』データの分析で裏付けられている。


昨日の発言で、パパロは北朝鮮とロシアの軍事協力の進展と、それが将来もたらしかねない憂慮すべき影響についても強調した。

「北朝鮮は、ウクライナに対して(ロシアが)直接使用する(弾道)ミサイルを提供した。彼らはウクライナに対して直接使用された砲弾を提供した。今、彼らは兵士を直接提供している......(そして)彼らはウクライナに対して直接使用されている」とパパロは指摘した。「私は、潜水艦の技術や推進技術が次だと見ている」。


北朝鮮が核推進力を備えた新型潜水艦の建造に着手したというニュースが10月に流れた。北朝鮮は昨年、冷戦時代のロメオ級ディーゼル電気潜水艦を大幅に改造し、弾道ミサイル発射用に改造した潜水艦も正式に公開した。


北朝鮮国営メディア 北朝鮮の新型ミサイル潜水艦。 KCNA


本誌は過去に、ロシアが重要な経験を持っている再突入体技術は、ウクライナで進行中の戦闘への支援の見返りとして、北朝鮮当局が求める可能性が十分にあると指摘してきた。ロシアは他にもミサイル技術を保有しており、それが北朝鮮の開発につながる可能性もある。


ロイド・オースティン米国防長官は10月31日、アントニー・ブリンケン国務長官や韓国側担当者とともに記者会見し、「現時点では、われわれの評価段階の非常に初期段階であり、ロシアが関与した兆候は今のところ見られない」と述べた。「しかし、繰り返しになるが、われわれはこの地域のパートナーや同盟国と協力して、この問題を分析し続ける」。


北朝鮮はまた、中国やイランとも密接な関係を持っており、両国はともに非常に活発な弾道ミサイル開発計画を持っている。


過去10年ほどの間に、北朝鮮は複数のICBM設計、極超音速ミサイル、長距離巡航ミサイルを含む、相当数の新型液体・固体燃料弾道ミサイルの発射実験を行った。これには核弾頭を搭載できるタイプも含まれており、北朝鮮はその生産も強化しているようだ。北朝鮮はまた、湖底に設置されたものや鉄道を利用したシステムなど、さまざまな静止発射台や移動発射台から弾道ミサイルを発射する能力も実証してきた。


今回の「火星19号」の発射実験でも明らかになったように、北朝鮮のミサイルと核兵器開発は非常に活発である。パパロ大将によれば、米軍は再突入能力の実証に成功した証拠はまだ確認していないが、北朝鮮は明らかにその目標に向かって突き進んでいる。■


ICBM Reentry Vehicle Capability Still Unproven By North Korea, U.S. Military Says

North Korea is actively working on reentry vehicle technology that is especially critical for fielding functional ICBMs.

Joseph Trevithick

https://www.twz.com/nuclear/icbm-reentry-vehicle-capability-still-unproven-by-north-korea-u-s-military-says


2019年9月21日土曜日

日本が核抑止力を整備すればこうなる----必要に迫られれば日本の核武装は検討せざるを得ない

日本が中国に対抗して核戦力を整備するとしたら最適の選択はどれか。

Forget North Korea: Imagine if Japan Built Nuclear Weapons...

Another nuclear weapons power in Asia?
September 20, 2019  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: North KoreaMilitaryTechnologyWorldJapanChina
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本の核武装は中国さらに北朝鮮の悪夢となる。アジア本土から離れた位置にある日本が核兵器を配備すれば中国の安全保障環境は今より複雑となり、ついては核運用原則の変更を迫られ、核兵器増強に走らざるをえなくなる。
まず、はっきりさせておきたい。現在の日本に核兵器整備の意向は皆無である。むしろ日本は唯一の被爆国という立場のためか核へ強い嫌悪感がある。大幅な方向転換となれば同国の安全保障環境が大きく変わる場合だろう。
中国としても日本を挑発して核武装に向かわせてもなんの利益にもならない。中国は自国が核兵器の先制攻撃を受けない限り、核兵器は戦闘に投入しないと日本に伝えている。したがって日本に核兵器がない以上、もし中国は言葉のとおりなら日本に杞憂すべき事態はなくなる。ただし、「もし」と「なら」が肝心なことばだ。
核兵器への嫌悪と危急の事態でないことは別にして、世界第三位の経済規模の日本に核武装できないはずがない。
では日本が核抑止力整備に乗り出せばどんな姿になるか。これまでの核兵器三本柱の地上配備弾道ミサイル、戦略爆撃機、弾道ミサイル潜水艦で検討してみたい。日本の置かれた条件で残存性があるのだろうか。ここでは議論のため、日本がこの内一本を集中整備するとしよう。
また核弾頭数は300個と仮定する。日本の人口密度が高いことから主要都市数個が破壊されれば人口の相当部分に損害が生まれる。ロシアや中国を相手に同等の損害を与える能力が日本に必要となる。

地上配備ミサイル 
日本には小規模の地上配備ミサイルを整備する選択肢があり、各ミサイルに弾頭1ないし3を搭載すればよい。ミサイルは強化サイロに格納すれば米ミニットマンIIIと同じになるが、ロシアのRS-24ヤルスのような移動式にする手もある。日本のICBMは小型でよく北米まで届く飛翔距離や燃料搭載量は不要だ。中国全土、ロシアのヨーロッパ部、中東まで射程に押さえれば十分だ。
最終的に日本には中距離弾道ミサイル100本あれば十分だろう。各弾頭は100キロトンとする。ミサイルは北海道東部の硬化サイロに格納するか、移動発射台で運用する。
ただし残存性は三案中で最低だ。日本が中国に近いため、中国が核攻撃を加えてくれば「警告とともに発射」する方針を採用しないかぎりミサイルの残存がおぼつかない。日本の早期警戒でハード、ソフトの誤作動が発生すれば攻撃を受けていると判断し、偶発核戦争の可能性が高まりかねない。
.地理条件からも地上配備の利点は少ない。日本の人口密度が高いことから100本ものミサイルサイロを置く場所の確保が困難で、攻撃を受ければ恐ろしい付随被害が生まれる。移動式発射台で日本各地を移動できるだろうか。専用道路を建設するほうが現実的だ。これでも現在位置を予測されかねない。あるいは日本の鉄道網を利用するかだ。

戦略爆撃機
日本にはステルス爆撃機部隊を整備し巡航ミサイルや落下式核爆弾を運用する選択肢もある。爆撃機は核侵入攻撃ミッションを実施し、敵核兵器や指揮命令施設等の標的を破壊する。核爆撃機があれば日本は飛行中に攻撃対象の変更を指定でき柔軟な運用が可能となる。あるいは任務途中で帰還を命じることもできる。
.各24機の3個飛行隊で十分だ。機体はFB-111と同じ大きさでよい。各機が短距離攻撃ミサイル4本を搭載し、それぞれ100キロトンなら合計72機で核兵器288本を運用できる。
しかし地理条件で爆撃機整備は非現実的だ。爆撃機基地が奇襲攻撃されれば緊急発進の前に機材が消える。給油機が必要となれば、給油機基地の攻撃で爆撃機はまともに運用できなくなる。更に防空技術の進展で爆撃機は危険なほど脆弱になりかねない。
かつての米戦略航空軍団と同様に爆撃機の常時空中待機も可能だが、多額の予算とともに地上に十分な数の機材(給油機も含む)が常時必要となり、現実でその実施は不可能だろう。

弾道ミサイル潜水艦
これが最も有望な選択肢だ。弾道ミサイル潜水艦の残存性が一番高い。常時一隻をパトロールにだせばよい。日本の「ブーマー」は進路を東にとり中央太平洋の安全な海域に待機する。中国やロシアが対潜機材を展開しようとすれば日本を通過する必要がある。
日本は潜水艦技術、ミサイル、弾頭について米国の支援を受けることも可能だろう。英国で前例がある。海を防壁に使う抑止力策なら米国も援助を惜しまないはずだ。場合によっては日本がオハイオ級後継艦建造を資金負担することも考えられる。特にミサイル技術だ。
水中配備案で日本は中国、フランス、英国に続き、弾道ミサイル潜水艦5隻を建造し、各16発の核ミサイルを搭載するだろう。ミサイルは100キロトン弾頭4発を搭載する。一隻がパトロールにでると弾頭64個を運用することになる。
弱点もある。危機状況では弾道ミサイル潜水艦との連絡が困難だ。また5隻中2隻が常時パトロールしても使える弾頭は128個しかない。
現状で日本の核武装を歓迎する向きはない。だが日本も追い詰められれば核武装に走る可能性があることを全員が認識すべきだ。実現までは遠い道のりとはいえ、中国やロシアとの関係が悪化すれば状況はさらに厳しくなる。■

Kyle Mizokami is a defense and national security writer based in San Francisco who has appeared in The Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and The Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami. This first appeared in October 2015 and is being reposted due to reader interest. 

2017年4月17日月曜日

★4月15日平壌軍事パレード登場の装備の実力は?



北朝鮮が瀬戸際政策でハッタリをかけているのはわかっていますが、個別に技術と運用を見ていかねばなりません。記念日に合わせて突貫工事で作った一見最新のビジネス居住街区は実は壁だけのセットだとGoogle Earthでバレて失笑のたねです。(この件は既存メディアでは報道されていませんね)指導体制の護持(帝国日本の国体護持を思わせます)しか頭のなかになく(しかも国民を70年間洗脳している)、北も引くに引けないのだとは思いますが、飢餓まで発生する中でこれだけの装備を整備しているのは(さらにここに核、生物化学兵器が加わります)正当な政府の資格がないと言わざるを得ません。運命のカギは米中の秘密交渉にかかっているようですが、異様な技術体系を整備する朝鮮民主主義人民共和国(3つの嘘で構成された国名)は存在しないほうが人類の幸福につながるのではないでしょうか。

Analyzing North Korea's Missile Parade: Prescription For Fear, Dose Of Reality 4月15日軍事パレードに登場したミサイルを分析する

Here are the technological highlights from yesterday's military parade through Kim Il Sung Square. 金日成広場の軍事パレード搭乗装備の技術内容

BY TYLER ROGOWAYAPRIL 15, 2017



North Korea Founder's Birthday
WONG MAYE-E—AP
平壌での軍事パレードにはいつもより多くの関心が寄せられた。米朝間でこれまでになく緊張が高まっている中、実際に開戦の想定もあり、情報機関、報道機関は北朝鮮の軍事装備を注視した。
軍事パレードで登場する装備を実証ずみ軍事技術と誤解する向きが多いようだが、パレードは見栄えする装備を見せびらかす場であり、それ以上の意味はない。
北朝鮮がテストしているミサイルの性能は判明しており、今後の北の狙いもわかっている。The War Zoneは金正恩のミサイル戦略の方針変更をまっさきに読者に伝えており、毎回の発射事例を詳しく追ってきた。
北朝鮮が大陸間弾道ミサイルや潜水艦発射弾道ミサイル能力の獲得に成功したのはまちがいないが、今回のパレードに現れた大型移動起立発射(TEL)車両のキャニスター内に何も入っていなかった可能性もある。
行事には異様だが予想通りの狂乱状態が見られた。AP
そうなると今回のパレードは最終戦を覚悟した平壌の決意のあらわれというよりひとりよがりの希望と夢を描くキャンバスだったのだろう。
金日成広場を装備が行進したがすべてが実用化されているわけではない、少なくとも今は。だからといって全部がまがい物でもない。繰り返すが、今回現れた装備の多くは試験段階で、発展改良の可能性はある。
これを前提に今回パレードに登場した技術をひとつひとつ見てみよう。
なお各種弾道ミサイルの脅威内容がCSISのツイッター内にあるので参照されたい。ただし内容は必ずしも正確ではない。

View image on Twitter
North Korea's ballistic missiles, visualized. https://missilethreat.csis.org/country/dprk/



KN-11水中発射弾道ミサイル  北朝鮮がKN-11「北極星」潜水艦発射弾道ミサイルを初公開した。これは実装備であり、一隻しかないシンポ級潜水艦で水中発射にも成功している。固体燃料を使う中距離ミサイルと考えられている。潜水艦発射なのでTHAAD有効射程外で発射可能だ。

AP
AP
AP


KN-11中距離弾道ミサイル  輸送起立発射車両TELにテスト中の中距離固体燃料式のKN-15が搭載されている。KN-11水中発射ミサイルの陸上運用版で2月にテストが成功している。TELによりどこでも移動できる。完成度が高いように見える同ミサイルは北朝鮮のミサイル脅威で真剣に考えるべき存在だ。

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飛翔制御機能を付けたスカッドSRBM スカッド用TELを流用したこのミサイルで興味を引くのは先端部分に飛翔方向制御用のフィンがあることだ。北朝鮮は短距離弾道ミサイルの飛翔制御に取り組んでいる。

飛翔中に方向制御できれば迎撃の難易度が高くなる。とくに飛翔最終段階でこれをされると大変だ。また北朝鮮は対艦ミサイル整備にも力を入れている。スカッドで沿海の敵艦をねらうのは理にかなう。同様の技術が北朝鮮の友好国イラン含む多数国に拡散している。
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TELを巡る謎  搭載するTELに比べて異様に大きなミサイルキャニスターがどのミサイルを想定しているか不明だが、開発中の液体燃料式KN-14ICBMではないか。KN-08を大型化したとみられるが、二段式で先端部ノーズコーン形状が変更されている。

TELの構成が中国のDF-31用TELに似ている。KN-14は北朝鮮で最重要のICBMで構成部品をつなぎ合わせてミサイル本体の形にしており、国内の主要ミサイル・核施設内に保管されている。ただしこのミサイルの発射が成功したとの証拠はなく、2016年10月に失敗したとの情報がある。
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ICBMはどこ? 大型TELが以前のパレードにも現れているが、今年はキャニスターが多くの注意をひいた。これを見て北朝鮮の新型固体燃料式ICBMだと報道している例が目立った。

誤解のないように目にしたのはキャニスターだけであり、TELも前からあるものだ。またキャニスターの中身は不明だ。他方で大型KN-08(三段方式)の小型版あるいは固体燃料ミサイルは二段式あるいは一段式である。KN-08は最大の移動式ミサイルで開発がここ数年続いているが、以前もTELだけ登場してキャニスターは空だった。
このTELで大型かつ完全新型固体燃料式ICBMを運用するつもりなのかもしれない。ロシアの道路移動式トボルICBMに似ているかもしれない。だがすぐに実現すると思えず、今回登場したTELもプロパガンダ用の「白紙状態」の装備で、テストがすぐ始まるわけでない。
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拡大型BM-25 ムスダンIRBM このミサイルも謎が多い。一見するとKN-08の新型のように見えるが、外観上の特徴が異なる。このミサイルの二段目つなぎ目は整形されておらず、ノーズ部分は完全に異なる。もっとよく観察するとBM-25/HS-10ムスダンIRBMを大型化したようだ。ムスダン用のTELに搭載されている。さらに昨年テストされたムスダン同様の黒白の塗装を施されている。

ムスダンの性能は高くないが、テスト発射は成功しており、今回の新型改良版は域内の脅威になるかもしれない。新型版が二段目のみ固体燃料の可能性もある。
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新型沿岸防衛装備

沿岸部防御装備として陸上配備されるKh-35対艦巡航ミサイルが登場してパレードで関心を呼んだ。北朝鮮がロシアから1990年代中頃に同装備を供与されていたと発覚したのはごく最近のことだ。北朝鮮は国産化に成功し、輸出までしている。今回は同ミサイルをTELに装備し北朝鮮沿岸各地に移動させ探知撃破を一層難しくしている。
スカッドにも対艦攻撃させたいとする北朝鮮には沿岸防御装備があることは接近阻止領域拒否戦略を今後拡大する意向があることを示す。
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改良型暴風号 Pokpung-ho 主力戦闘戦車 国産の暴風号戦車が改良されたようで遠隔式対空砲塔にSA-16イグラIgle携帯防空装備を格納している。目標捕捉をどうするのか不明だが、カメラでロックオンして米韓の航空機をねらうのだろう。

砲塔右側(写真参照)には対戦車ミサイルらしきもの二基がついており、国内製だがいささか古風な「ファイヤーバード」装備のようだ。これは旧式9K111を発展させたものだ。レーザー誘導装置は最近導入されたようだ。
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新型地上移動式局地防御装備? この移動式局地防空装備は新型のようだ。運用するミサイル種類は不明だが、国産誘導方式とSA-16改良型の可能性がある。奇妙な外観のノーズ部分がミサイルランチャー内部に見える。またこの装備でも目標探知捕捉方法は不明だ。おそらく左側キャニスター横にレーダーアレイがあり、起立回転するのだろう。

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特殊作戦部隊にだまされるな 北朝鮮特殊部隊の行進は不気味だった。迷彩服、暗視ゴーグル、88式機関銃(AK-47の国産版)に大容量銃弾倉をつけていた。

同部隊の一番の任務はトンネルや潜水艦あるいはAn-2複葉機から侵入し韓国国内に混乱を巻き起こすることで開戦直後の作戦を想定している。■
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