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2025年4月29日火曜日

ノースロップがB-21爆撃機で新たに4億7700万ドルの損失を計上(Breaking Defense) ― 固定価格契約ゆえの損失ともいえますが、そもそも合意しているので企業の側にはもっと努力が必要だったのではないでしょうか

 




カリフォーニア州エドワーズ空軍基地内のノースロップ・グラマンの製造施設で飛行試験を続けるB-21レイダー。 (ノースロップグラマン提供写真)


B-21での同社における損失は現在20億ドル以上にのぼっている

ースロップ・グラマンは米空軍の新型ステルス爆撃機B-21レイダーの製造コスト上昇に対処するため、新たに4億7700万ドルの損失を計上したと本日明らかにした。

 ノースロップは2025年第1四半期決算発表のニュースリリースの中で、この損失(税引き後3億9700万ドル)の主な原因は、B-21の生産率向上経向けた製造工程の変更と、最初の5機の少量初期生産(LRIP)機の製造に必要だった材料のコストと量の増加であると述べた。

 このプロセス変更により、「フルレート生産に必要な規模へ立ち上げることができます。そして......プログラムで想定石田数量を超えて増加することができます。これは、当社と政府が、彼らが見てきたシナリオをサポートするオプション性のために重要であると判断したものであり、現在の製造速度を増加させる」と、ノースロップのCEOキャシー・ウォーデンは、今日の決算説明会で述べた。

 コスト上昇のもう一つの原動力は、ノースロップが航空機製造の必要条件を過小評価した結果であり、また資材価格を上昇させたより大きなマクロ経済の結果でもある、と同CEOは述べた。

 2024年1月に発表された15億6,000万ドルの税引き前損失に続き、今回のB-21の損失は20億ドルを超える。米空軍はB-21プログラムの詳細な契約情報の公開を拒否しているが、ノースロップは2015年に締結した固定価格契約の条件で、LRIP機の一定基準以上のコストをカバーする義務を負っている。国防総省は以前、このプログラムのためにノースロップに約6000万ドルのインフレ緩和を提供した。

 ウォーデンは、製造工程の変更に直接関連する費用がどの程度であるかについては、保安上の理由から定量化を避けたが、材料費の増加に関連する損失より高い金額であると述べた。

 より広い意味では、B-21プログラムはエンジニアリング、開発、製造(EMD)段階にあり、ノースロップは航空機がプログラム目標を満たしていることを検証する飛行テストに従事している、とウォーデンは今日述べた。同社はLRIPロット2つで契約を結んでおり、B-21ロット4を通じロングリード材料の購入を開始し、さらにB-21近代化に関する「いくつかの作業」を開始したと彼女は付け加えた。

 ノースロップによると、今回のB-21の費用が第1四半期の営業利益4億9800万ドル減少の主な要因であり、宇宙およびミッションシステム部門の営業利益減少も一役買っている。四半期純利益も、主にB-21の損失により4億6300万ドル(49%)減少した。

 B-21の損失の影響もあり、ノースロップは通期の1株当たり利益予想を27.85ドルから28.25ドルの範囲から、24.95ドルから25.35ドルに引き下げた。同社はまた、年間セグメント営業利益予想を従来の目標より約4億ドル低い42億ドルから43億5000万ドルの範囲に引き下げたが、フリーキャッシュフローと売上高については従来のガイダンスを維持した。

 バーティカル・リサーチ・パートナーズのアナリスト、ロバート・スタラードは、B-21の費用がなかったとしても、ノースロップの一株当たり利益とキャッシュフローはウォール街の予想を下回っただろうと指摘した。「固定価格のB-21 LRIP契約では追加請求のリスクは常にあり、今四半期はたまたまそれが発生した四半期だった。「全体的にノースロップにとって厳しい四半期であり、今日の株価には何らかの圧力がかかると予想される」。

 B-21案件以外では、ウォーデンは4月16日にユタ州プロモントリーにあるノースロップ社施設で起きた爆発事故について最新情報を提供した。爆発は固体ロケットモーターに使用される推進剤の原料を製造する建物で起こったが、ノースロップ社にはその原料を供給する他のサプライヤーがある、と彼女は述べた。

 「当社のプログラムには何の影響もないと考えています。 「プロモントリーは固体ロケットモーターの生産拠点であるため、センチネル(大陸間弾道ミサイル)について特に質問がでました。ミサイルや戦術システムに使用される固体ロケットモーターは別の場所で製造されています」と彼女は付け加えた。

 ウォーデンはまた、F/A-XXとして知られる海軍の将来の戦闘機計画についても質問された。ロイター通信は、先月空軍のF-47戦闘機が落札された直後、海軍はF/A-XXについて間もなくダウンセレクトを行う見込みだと報じたが、契約の決定がなされないまま数週間が経過した。    ウォーデンは、具体的な最新情報はないとしながらも、「海軍は依然としてこのプログラムにコミットしており、近いうちに何か発表があるものと期待している」と付け加えた。

 彼女は、ボーイングが製造しているF-47の下請けとしてノースロップが選ばれたかどうかについてはコメントを避けた。

 「プログラムに関するいかなる情報も開示することはできません。 「しかし、当社がミッションシステムの民間サプライヤーであり、政府顧客やプライム企業のために先進的な能力を供給することに完全にコミットし続けていること、そして当社製のセンサーが各種プラットフォームや領域にわり幅広い用途のため容易に拡張でき、再構成可能であることはご存じでしょう」。■


Northrop logs new $477M loss on B-21 bomber due to higher manufacturing costs

Losses for the B-21 Raider program now stand at more than $2 billion.

By   Valerie Insinna

on April 22, 2025 at 12:45 PM

https://breakingdefense.com/2025/04/northrop-logs-new-477m-loss-on-b-21-bomber-due-to-higher-manufacturing-costs/


2024年9月13日金曜日

NGAD要件の再検討の行方によっては再度競合に参加する可能性をほのめかすノースロップ・グラマン(Defense One)

 The USAF's NGAD program aims to produce a 6th-generation air-dominance aicraft to join the F-22 Raptor and F-35 Lightning II.


アメリカ空軍のNGADプログラムは、F-22ラプターやF-35ライトニングIIに続く、第6世代の制空権を握る航空機の製造を目指している。KYLE LARSON/LOCKHEED MARTIN 


ノースロップはNGAD競争に再び飛び込むかもしれない:ノースロップCEO


NGAD競争の "一時停止 "が新たなチャンスを開くかもしれない。



ースロップ・グラマン社は、空軍が第6世代戦闘機のプラットフォームに対する当初の要求を見直した場合、空軍の第6世代戦闘機製造コンペに参加する可能性があると、同社CEOが木曜日に語った。 

 空軍当局はこの夏、計画されている航空機の設計と運用コンセプトが適切かどうかを見極めるため、次世代航空優勢プログラムを一時停止すると発表した。

 ノースロップは昨年、ボーイングとロッキード・マーチンを候補に残し、NGADの製造競争には参加しないと発表したが、同社幹部は現在、NGADの要件が一時停止後に変更された場合、その決定を再考する可能性があると述べている。 

 「プログラムに重大な変更があると判断されれば、新たな機会を得るのと同じように、当社はもう一度戻って再評価を行うでしょう」と、キャシー・ウォーデンは本日、モルガン・スタンレーの第12回年次ラグナ会議で語った。 

 7月、フランク・ケンドール空軍長官は、NGADプログラムを数ヶ月間休止し、「単一の設計と単一のサプライヤーで前進することを約束する前に」、それが正しいことを確認すると述べた。 

 同社は現在も海軍の第6世代戦闘機F/A-XXの入札を争っている。   ウォーデンによると、海軍は直近の予算要求でF/A-XXプログラムへの予算を削減したが、同社は海軍が来年F/A-XXの勝者を選ぶと予想している。■


Northrop might jump back into NGAD competition: CEO

Bids are in—but USAF’s “pause” may open new opportunities.

https://www.defenseone.com/business/2024/09/northrop-might-jump-back-ngad-competition/399486/?oref=d1-featured-river-top


2022年7月20日水曜日

新興企業ブーム社の超音速旅客機にノースロップ・グラマンが参画。空軍での用途に着目か。米空軍は人員貨物の超音速移動に関心を示している

 Boom’s Overture Supersonic Airliner Gains Northrop Grumman As Military Partner

Boom Supersonic

 

 

超音速旅客機「オーバーチュア」は、民間向けに構想されたものだが、ノースロップ・グラマンが軍事用途に注目している。

 

 

ースロップ・グラマンブーム・スーパーソニックは、将来の超音速旅客機「オーバチュア」の派生型を、米軍および同盟軍向けに開発するため協力すると発表した。契約合意は、英国で開催中のファーンボロ国際航空ショーで最終決定されたが、両社パートナーシップは、ブーム・スーパーソニックにとって民生・軍用ニーズの超音速飛行を進めるため米空軍と協力したことはあるが、防衛産業と直接つながる初めてのケースとなる。

 ノースロップ・グラマンが発表した公式発表によると、今回の共同契約は、米軍と同盟国に新しい超音速航空機を提供することが目的とある。特殊任務用航空機は、ブームのオーバチュア機を出発点とし、ノースロップ・グラマン製の空中防衛システムを搭載する予定である。発表では、オーバーチュアは「即応性」のある任務で必要な速度を軍に提供できるとしている。

 「特殊機能を備えたこの航空機は、医療品配送や緊急医療避難、あるいは従来機よりも速い広域監視に使用できるだろう」と発表されている。「また、特殊任務用のオーバチュアは、各種シナリオで他の航空機材や地上資産を調整するのに使用される可能性もあります」。 

 

Breaking Defense誌もこの共同研究を報じており、ノースロップ・グラマンの航空システム担当社長であるトム・ジョーンズTom Jonesに取材している。ジョーンズは、オーバチュアの積載量が大幅増加を高く評価している。しかし、ジョーンズは、このようなプログラムの要件がまだ理解されていないことを自ら認めた上で、次のように述べた。

 オーバーチュアの軍用任務は、広範囲に及ぶはずだ。このことは、ブーム・スーパーソニックと軍の関係がつい最近開花し始めたことも重要な点だ。コロラド州デンバーを拠点とする新興企業の同社は2014年に設立され、超音速飛行の研究開発を中心としており、オーバチュアのコンセプトは商業市場向けを主にに開発されている。「ベイビーブーム」と呼ばれる「オーバーチュア」の3分の1スケールの飛行プロトタイプ機が2020年10月には、初めて公開された。

 

 

 

「Overture」旅客型のレンダリング画像。Boom Supersonic

 

CEOのブレイク・ショールBlake Schollが設立したブームは、移動時間を実質的に半分にすることを目標としている。ファーンボロ国際航空ショーでのショールの発言によると、同社の旅客機コンセプト(65〜85人乗り)は、洋上でマッハ1.7、陸上でマッハ0.94で飛行し、航続距離は4,250カイリになる。しかし、今回のノースロップ・グラマンとの契約が成立する以前からオーバチュアには米空軍が関心を寄せていた。

 

 

Credit: Boom Supersonic

 

空軍はブーム社と2020年2月より提携し、特に政府の幹部飛行を目的としたオーバーチュアを検討していた。超音速機は、莫大な金額を支払ってプライベートフライトを利用している世界の富裕層にとって、時間を節約する点で非常に魅力的であるため、この提携は大きな驚きを呼ばなかった。空軍は、オーバーチュアを利用して、政府要人を現在使用中の既存旅客機型よりはるかに速く世界各地に移動させることができる。実際、空軍はこの潜在的な能力に非常に興味を持ち、エアフォース2後継機計画からこの研究に資金を振り向けた。

 

 

「Overture」の以前のレンダリング画像。Boom Supersonic

 

2017年、ロッキード・マーティンエアリオン(当時はブームの競合企業と見られていた)と手を組み、超音速ビジネスジェット機「AS2」を開発した。その後、ロッキード・マーティンはエアリオンとの提携を更新しないことを決め、ボーイングがその座に就いた。

 これらの提携には、現在のノースロップ・グラマン社とブームの提携を彷彿とさせるものがある。ロッキード・マーティン=エアリオン提携が発表されたとき、軍事的応用の可能性には、似たようなものがあったためだ。AS2を軍用化する計画はなかったが、マッハ1.4の速度と流線型の機体は、現在オーバチュアが潜在的に提示している速力と監視・電子戦能力の余地を軍に提供できたはずだった。しかし残念ながら、2021年、エアリオンはAS2計画を進める資金の調達に苦戦し、同社を清算することが発表された。

 ロッキード・マーティンがエアリオンと協力すると発表されたとき、本誌は超音速輸送機の軍での活用で多くの方法を提示したが、ノースロップ・グラマンとブームの連合が提唱する潜在的用途と一致している。

 今回の発表で示唆された軍用仕様「オーバーチュア」の高速輸送用途には、空軍の主要目標である貨物や人員の高速輸送が含まれる可能性がある。空軍は、有事の際に人員や貨物を世界中に素早く移動させる能力を実現するために、Space-X社の垂直離着陸型などのロケットに注目しているが、オーバチュアのような長距離超音速航空機は、需要の一部を、実現する可能性がある。

 

 

「Overture」の以前のレンダリング画像。Boom Supersonic

 

オーバチュア商用機は2024年に生産開始、2026年に飛行試験開始、2029年に乗客輸送開始の予定だが、特殊任務仕様のスケジュールは明らかにされていない。しかし、この分野の航空宇宙開発は、リスクと技術的なハードルが高く、極めて資本集約的であることを忘れてはならない。こうした要素のため、飛行テストはおろか、生産仕様のオーバーチュアが製造にさえたどり着いても、実戦配備のスケジュールに影響を与える可能性がある。ノースロップ・グラマンは、複雑な航空機を大量生産できるアメリカの大手航空機製造会社であるため、関係の進展次第では、より深いパートナーとなる可能性がある。

 ブームによれば、民間旅客機は1機あたり約2億ドルで、これは楽観的な数字とも言われており、軍用機となればもっと高くなることは間違いない。また、ブームのショールCEOは、軍向けオーバーチュアは基本的に平和利用されると主張しており、現時点では兵器搭載の可能性は否定している。

 

 

ブームのXB-1実証機、初飛行に向け準備中。Boom Supersonic

 

オーバチュアの魅力は、航続距離、積載量、速度で、限りなく既存機材にちかくなることが防衛分野でのセールスポイントだ。ノースロップ・グラマンが加わるのは、野心的な新興企業にとって有望な兆しだが、同じことは、エアリオンにロッキード・マーチン、さらにボーイングが参加したときにも言われていた。コンコルド以来となれば20年不在だった超音速旅客輸送が実現し、そして既存機材では対応不能な任務を担う軍用機の可能性を再び享受できるよう、ブームには多くの点でうまくやってほしいものである。■

 

Boom's Overture Supersonic Airliner Gains Northrop Grumman As Military Partner

BYEMMA HELFRICHJUL 19, 2022 10:00 PM

THE WAR ZONE


2021年9月20日月曜日

ノースロップ・グラマン、スケイルド・コンポジッツが相次いで発表した新型無人機は空軍スカイボーグ採用をめざす、ファミリー構成のシステム装備品なのか。

  

 

モデル401、モデル403の構想図。Northrop Grumman illustration

 

ースロップ・グラマンの新型自律無人機は空軍の求める次世代機として有人機と戦闘に臨む想定だ。

 

 

 

同社は9月8日にモデル437をパームデイル施設(カリフォーニア)で公開し、スケイルド・コンポジッツと共同開発したと発表した。

 

スケイルド・コンポジッツも独自にモデル401技術実証機を発表しており、こちらも自律運航を想定している。

 

同社幹部にょれば二機とも自律運航機技術事業に応募するとし、米空軍のスカイボーグ、英国のプロジェクトモスキートをさしている。

 

スカイボーグは空軍が科学技術面で最高度の優先順位をつけており、戦闘の様相を一変させる「ヴァンガード」構想の一環となっている。その狙いは比較的安価で消耗品扱いを覚悟の無人機とし、人工知能を搭載することで威力を高め、有人戦闘機とともに戦闘に参加することにある。試作型は4億ドルの契約規模になる。

 

これに対しプロジェクトモスキートは英国版の忠実なるウィングマン構想でF-35以外に、タイフーンさらに今後登場するテンペストとの同時運用を狙う。

 

モデル437の実寸大試作型はまだないが、同社幹部は次世代無人機ファミリーの一部となると確信している。

 

スケイルド・コンポジッツ社長兼CEOコーリー・バードは低価格、消耗品扱いの機体の実現策になると報道陣向けイベントで語った。

 

消耗品扱いの機体は各種機能を戦場で実現し、センサー機、ジャマー機あるいは攻撃機にもなると空軍関係者はみている。

 

バードの試算では今後登場するモデル437の単価は5-6百万ドルとなり、受注規模により変動するという。コストの大きな部分がエンジンでウィリアムFJ44を採用し、高速と航続距離を両立させる。エンジン価格が2.4百万ドル程度になるが、これも調達規模により変動するという。

 

これに対し有人戦闘機の代表たるF-35Aでは機体単価や80百万ドル程度だ。

 

モデル437の最高速度はマッハ0.85で、巡航速度はマッハ0.8となる。F-35と並んで飛び、燃料4,000ガロンを機内に搭載する。

 

バードによればシステムは低価格消耗品扱い技術事業に最適化されて、発注元のニーズにあわせ設計変更可能という。

 

モデル437はモデル401の「いとこ」であり、別名でSon of Aresと呼ばれる。設計には似たところがあるが、自律運航が可能な新型機は従来機より速力、航続距離が増えている。このSon of Aresはプラット&ホイットニーJT15Dエンジンを搭載し、マッハ0.6で飛行しながら機体価格はさらに低くなるとバードは説明。

 

437は滑走路を離陸するものの、3,000フィートあれば十分で、供用中機材の大部分より短くて済む。

ノースロップ・グラマン副社長リチャード・サリバンは「滑走路の依存度を低くしています」と語る。

 

モデル437、モデル401はともに自律運航を前提とし、任意にスカイボーグとして運用も可能とサリバンは説明する。ただし、要求性能内容はまだ流動的で、同社は空軍からの指示を待っているところだという。

 

製造面ではデジタルエンジニアリングや低コスト製造技術で新型機の開発期間が短縮可能となったとサリバンは指摘する。ノースロップ・グラマンは要求内容を実現すべく、新技術の完成度を上げようとしている。

 

 

「デジタルエンジニアリング、デジタルトランスフォーメーションの双方で当社は知見があり有利な立場です」とし、「驚異的なシミュレーションやモデリング能力が社内にある」という。

 

サリバンはさらに新型無人機は今後の超大国相手の競合で優位性を迅速に確保する意味で重要な存在だと述べている。

 

「敵側は米国や同盟国が享受してきた技術優位性の差を埋めつつあります」とし、「各種システムのファミリー構成を利用する」ことが新しい脅威に対抗する意味で効果が一番大きいという。■

 

JUST IN Northrop Grumman Debuts Unmanned Plane

AIR POWER

9/10/2021

By Meredith Roate


2021年8月26日木曜日

極超音速兵器への防御能力が間もなく実現する。中国、ロシアへの新たな抑止力へ。ただし、飛翔軌道も自由に操作するマッハ5の敵装備に本当に対抗できるのか。

 いまいちわかりにくい概念的な説明に終始しているのは安全保障上仕方がないことなのでしょうか。ともあれ、ここまでの技術が実現すれば新しい抑止力になるのですが、ノースロップの言い分通りなら実現がそこまで来ていることになります。

 

超音速兵器の危険や脅威が話題になることが多いが、追尾破壊手段が現れつつある。だがマッハ5の速力かつ飛翔経路を制御可能な極超音速ミサイルを本当に破壊できるのだろうか。

 

ロシア、中国の極超音速ミサイルの現実の脅威を前に米ミサイル防衛庁(MDA)が産業界に多層防衛構想の技術課題への挑戦を求めている。

 

極超音速兵器防衛の課題


「中国は引き続き高性能兵器体系の実現を目指し、極超音速ミサイルや二重用途技術など、これまでの次元を超えた装備品が出現してくる」と米戦略軍司令官チャールズ・リチャード海軍大将が述べている。

 

Hypersonic and Ballistic Tracking Space Sensor (HBTSS)

HBTSSの構想図

(Photo: Northrop Grumman)

 

めざすのは向かってくる極超音速滑空兵器をで空中、地上、海上で「見る」「見つける」「追尾する」こと実とリチャード大将は表現。この脅威は深刻であり難易度が高い。極超音速兵器への対応の実現はまじかに迫っているが、現時点で有効策は存在しない。

 

「極超音速滑空体に代表される機動性の高い脅威対象が増えており、現行の地上配備レーダーネットワークの能力では対応しきれない。現状ではこうした脅威に対抗する手段がない」とマイク・シフォン(ノースロップ・グラマン、戦略、捕獲、作戦、OPIRおよび地理空間装備担当部長)も述べる。

 

HBTSS


一つ有望に見えるのがミサイル防衛庁が業界とともに進める新型衛星ペイロードで極超音速攻撃の際に標的の飛翔経路を「保持」する装備だ。

 

これを極超音速弾道飛翔経路追尾宇宙センサーHypersonic and Ballistic Tracking Space Sensor (HBTSS)事業と呼び、弾道ミサイルと異なり既存の軌道を経由しない極超音速滑空体の高機動性への対応を目指す。

 

「発射直後の加速段階では通常は予測可能な弧を描き、頂点で燃料がなくなる。そこから先を予測し命中地点を推定することでデータが入手できる」(シフォン)

 

高機動極超音速標的は弾道そのものを変更し位置も変更可能だとシフォンは説明している。

 

「極超音速滑空体の発射は連続することがある。HBTSSは最初の発射を捉え、第一、第二、第三と分離していくのを把握する。HBTSSのデータをリアルタイムで連続送信し、極超音速滑空体の飛翔を追尾することが可能だ」

 

シフォンによればノースロップ・グラマンはHBTSSの軌道上テストを2023年に行い、極超音速滑空体の追尾情報をミサイル防衛網に送る。目標は迎撃手段をしかるべき位置に移動させ極超音速滑空体を排除することだ。

 

HBTSS Hypersonic and Ballistic Tracking Space Sensor Phase

Northrop Grumman

 

「HBTSSは短期間で実現を急ぐ試作装備です。脅威に対抗して行くためにも必要な機能となり、現場指揮官なら探知追尾データを正確かつタイムリーに入手する機能の重要性は理解できるはずです」

 

HBTSSの技術成熟度を伝える内容として、既存レーダーは「開口部」あるいは「視野」をもとに作動する。つまり一定の範囲しか有効でない。制御可能な極超音速滑空体は一つの視野から超高速で移動してしまうので「連続」追尾が不可能に近くなり、迎撃が失敗に終わる可能性が高い。

 

「レーダーの目を通過してしまい、特別なアルゴリズムがないと識別ができない。迎撃ミサイルを発射後にミサイルにデータを伝えるのだが、時間があまりにも短い。ミサイルを戦闘システムの一部に統合する必要がある」(シフォン)

 

技術はどこまで進歩していくのか

 

HBTSS以外にもペンタゴンが注力するのがICBMの追尾破壊手段となる新技術で、予算を重点的に投入する。目指す新技術は多数の発射体を探知するもので、大気圏ギリギリの地点で探知する。

 

このためには技術要求内容の完成を加速し、各軍の装備を統合して「共用」作戦環境の実現を急ぐ必要がある。

 

「これまで存在しなかった共同能力が必要となり、共同運用、共同指揮統制、補給活動で情報活動で優位性を発揮しなければならない」と統合参謀本部副議長ジョン・ハイテン大将が2021年の宇宙ミサイル防衛シンポジウムで講演していた。

 

この実現のためににはハイテン大将は産業界と共同でニーズの「ギャップ」を把握する必要があると主張。つまりミサイル警報システムのことを指している。このためには「キルチェーン」内で重要となる点をひとつずつ解決していく必要がある。

 

これに応えるべくノースロップ・グラマンのミサイル防衛技術部門では新型ミサイル警報技術とともにセンサーペイロードに取り組んでおり、敵兵器を宇宙空間での探知、追尾、破壊をめざす。

 

同社のシフォンはこの動きは次の三点にまとめられるとした。

  • ひとつはキルチェーン各要素の活用だ。つまり、システムによる捕捉を最適化し、システム間の相互運用を最適化し、各要素に十分な投資をしていくこと。

  • ふたつめは新機能に資金投入し、既存の枠組み内で活用すること。既存の探知ネットワークの弱点が判明すれば、新技術への資金投入で迅速にニーズ実現を図る。

  • 三番目はキルチェーンの穴やほころびを見つけ、各技術をつなぐ技術を確立すること

 

シフォンはノースロップが有望技術分野を把握すべく資金投入を続けている姿勢を強調し、ペンタゴンのミサイル防衛ニーズをあらかじめ想定し、今後の要求内容に応えられる体制を維持していると述べた。

 

新技術の内容は当然ながら公表できないが、長距離対応の高精度センシング、光ファイバー通信や新型通信技術で即座に脅威データを「ネットワーク」し、従来より迅速に脅威データを共有する。

 

HBTSSのねらいは新たなネットワークを作り、高速対応の宇宙配備センサーをつなぎ、極超音速脅威対象の「探知追尾」を実現することにある。ノースロップ・グラマンはHBTSS開発でMDAから153百万ドル契約の交付を受けている。

 

「CDR(重要設計審査段階)が今年末にあり、試作型を2023年に納入します」(シフォン)

 

敵の極超音速ミサイルの探知、追尾が重要となるが、それだけではない。機動性を発揮する高速ミサイルが各レーダーの視野を通過するが単に追尾するだけでなく情報を処理し通信する必要がある。

 

飛翔軌道などの重要情報はいったん整理・処理し、指揮命令所に伝え、迎撃手段や対抗手段の投入を下令する。だが極超音速の敵に対応すできるスピードで実現できるだろうか。

 

秒単位でこれを実現すべく、ペンタゴン、MDA、産業界は一致して極超音速兵器の撃破をめざしている。

 

「対応の一つがデータ融合で、衛星からの情報を地上に送り、兵器運用部門まで最短時間で伝える必要があります。このためデータ一部をリアルタイムで兵器データベースで処理し、衛星からデータを兵器に伝えます」(シフォン)

 

データ処理の一部はAIを応用し、データ取得場所で完了させ、センサーデータの発生ごとにこれを行う。コンピュータ処理速度は加速化しており、AIが加わり技術上のブレイクスルーで飛来する脅威の情報を即座に解析し、整理統合し、評価する。これが重要な点で現場指揮官へ飛躍的なスピードで情報を伝える。

 

この通り成功するかは衛星、センサーのネットワークにかかっており、まさしくペンタゴン、MDA、ノースロップ・グラマンが注力する対象だ。このため軍で従来より高速、小型かつネットワーク機能が優れた低中地球軌道衛星の整備を急いでいる。

 

新衛星群で既存の大型静止衛星ネットワークを補完しつつネットワーク機能を活用し広範囲な対象を近くから監視する。ここにノースロップ・グラマンが開発中のHBTSSの役目があり、高解像度衛星群での極超音速ミサイル追尾を実現する。

 

「デジタル技術能力やモデリング、シミュレーションのツールを活用することで複雑な装備の性能のモデル化が可能となり、これまで不可能だったシステムの最適化が可能となります」「国家安全保障では失敗は許されません。人命がかかる案件に実証できない技術に賭けるわけにいかないのです」(シフォン)■

 

Hypersonic Missiles - How the Defense Industry is Tracking Incoming Threats

Performing the Impossible? Pentagon May Stop Hypersonic Missile Attacks

Modernizing Hypersonic Weapons defense systems is an urgent priority for the Pentagon

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

 

-- Kris Osborn is the President of Warrior Maven and The Defense Editor of The National Interest --

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master's Degree in Comparative Literature from Columbia University.


2019年9月29日日曜日

★F-3はブラックウィドウの生まれ変わりになるとの観測が大...なのか




Japan's New Black Widow Stealth Fighter Could Look Like This  

日本の次期戦闘機はブラックウィドウの新型版になるのか

How does it compare to the F-22? F-22との比較ではどうなるのか
September 28, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-22F-22 RaptorMilitaryTechnologyWorld
Key point: Old, but impressive technology. 時間が経過しても目を引く技術だ。

本が航空自衛隊向けのF-3制空ステルス戦闘機開発で共同開発相手を模索している。もっとも大きな注目を集めたのはロッキード・マーティン提案のF-22ラプターとF-35ライトニングIIのハイブリッド版だった。ただしF-3はF-22のライバルだったノースロップYF-23ブラック・ウィドウIIの復活になるとの見方が一部に根強い。ラプターの性能を凌駕していたと多くが認める機体だ。

1981年、ペンタゴンは高性能戦術戦闘機(ATF)競合でソ連のSu-27フランカーやMiG-29フルクラムにドッグファイトで勝てる次世代ステルス戦闘機を求めた。当時唯一のステルス機F-117ナイトホークには空対空装備も超音速飛行性能もなかったので、同構想は一気に高い次元をめざすものだった。米空軍はアフターバーナーを使わずに超音速飛行を持続するスーパークルーズの実現をATFで目指した。

1986年にはAFT競合はロッキード・マーティンとノースロップに絞られ、YF-22およびYF-23試作機をそれぞれ製造し、4年以内に完成させることになった。その時点で両社ともにステルス機の知見を一定程度持っていた。ロッキードはF-117、ノースロップはB-2ステルス爆撃機である。ノースロップはマクダネル・ダグラスを協力企業にしていた。

ロッキードYF-22は外観が目立っていたが、YF-23は別の世界の機体のように見え、ダイヤモンド形主翼でレーダー探知性を減らし、細長い機体は側面から見るとSR-71ブラックバードを想起させた。2枚の尾翼は50度の外側への傾斜が付き、フライ・バイ・ワイヤによる回転でヨー、ロール、ピッチを制御した。

ノースロップは試作型を2機製造し、暗灰色のPAV-1「スパイダー」が1990年6月に初飛行し、薄い灰色のPAV-2「グレイゴースト」が同年10月に進空した。一号機はプラット&ホイットニーF119をラプター同様に搭載し、二号機はジェネラル・エレクトリックYF120可変サイクルエンジンでターボジェットとターボファンの切替えで低空、高空での最適性能を目指した。空気取り入れ口はSダクトでレーダー断面積の削減を狙い、熱発生の低下のため排気は熱吸収タイルの通路に導いた。

YF-23両試作機のフライトテストは計65時間行った。両機とも空中給油を受けられ、兵装庫はAIM-120長距離ミサイル4本が入った。量産型には20mmヴァルカン砲一門が付き、兵装庫にさらに2本の短距離サイドワインダーミサイルを搭載の予定だった。YF-22、YF-23ともにレーダーはじめとする中核のエイビオニクスは搭載していない。


ただし、YF-23にはラプターが搭載したベクトル偏向エンジンがつかず、ラプターの操縦性が優れていた。YF-23が鈍重だったわけではない。迎え角60度から70度をベクトル偏向式エンジンがなくても実現したが、空軍は25度迎え角しかテストしていない。

実際にはYF-23が大部分の項目でラプターを凌駕したとの報道がある。超音速スーパークルーズの持続時間や航続距離も一部だ。さらにレーダー断面積が低かった。特に側面と後部で低く、レーダー探知距離を短くしていた。

当時の内幕に詳しい筋からはロッキード・マーティン側はYF-22の機動性をうまく訴えただけとの声がある。評価側はドッグファイトを旨とする戦闘機パイロットが大部分だった。別の声はYF-23の高価格とリスクへ懸念があったとする。ラプターも機体単価が150百万ドルと非常に高くなる予測があった。だがペンタゴンにノースロップのプロジェクト管理能力へ疑念があったのはB-2ステルス爆撃機で単価がうなぎのぼりになった事例のせいだ。あるいはロッキードに契約交付したのは同社存続を助けるためだったとの声もある。

皮肉にも、空軍が操縦性と長距離性能、ステルスを今の時点で評価したら、ステルス重視は間違いない。将来の空戦は視界外での戦いとなり、機動性より被探知性が死活的になる。さらに戦闘機が短距離しか飛行できないと前方配備基地での運用となり敵のミサイル攻撃の格好の標的となる。今日の米空軍は広大な太平洋地域での運用を強いられている。

空軍が目指す第6世代ステルス戦闘機事業には侵攻型制空戦闘機の名称がつき長距離性能を機動性より重視しているが、ロッキードからは偶然の一致かもしれないがYF-23構想に似た提案が出ている。

YF-23は中距離ステルス爆撃機としても提案されたが、空軍は長距離のB-21を2016年に採択した。PAV-1はオハイオ州デイトンの空軍博物館に、PAV-2はカリフォーニア州にある西部航空博物館に展示されている。

2018年、日本がF-3開発の共同開発先を求めたところ、ノースロップ・グラマンから意欲的な提案が出てきた。ノースロップとしてはYF-23の復活を目指したいところだが、日本製技術を取り入れた機体、エンジン構成となる可能性が高い。

理由としてノースロップの1980年代の原設計はそのまま使えず、とくにレーダー吸収剤の塗布が旧式化しており、新型のモジュラー化を採用したF-35と比べF-22の高費用化が問題になっている。エイビオニクスも完成の域に達しず終わっていた。航空自衛隊としては全くの新設計より既存で実証済みの機体構造を元に順次改良を加える方法を好むのではないか。つまり、三十年という時間が経過してブラックウィドウとラプターがふたたび相まみえる可能性があるということだ。■

Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring. This first appeared back in September of last year.

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