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2025年11月16日日曜日

日本のレイルガン発射実験で命中効果が初めて確認された(TWZ)―まだ課題はありますが、日本の技術陣が忍耐強く着実に実用化に近づいています。政治の役割はこれを守り、支援することですね。

日本は海軍用レイルガンの開発に関し新たな詳細を共有した。米海軍は同技術の開発を数年前に中止している

Japan’s Acquisition Technology & Logistics Agency (ATLA) has offered the first look at damage to a target ship after it was hit by projectiles fired from a prototype electromagnetic railgun in testing earlier this year.

ATLA

衛装備庁(ATLA)は、今年初めに実施した試験で試作電磁レイルガンから発射された弾丸が標的艦に命中した後の損傷状況を初めて公開した。ATLAは、実証実験から貴重なデータと知見が得られたとし、実用的なレイルガン能力の確立に向けた継続的な取り組みに活かされるとした。米海軍が2020年代初頭にこの技術開発を停止している。有望な進展が見られたが、重大な技術的障壁が原因だった。

ATLAは今週初めに開幕した年次防衛技術シンポジウムで、昨夏実施された海上レイルガン試験の詳細を追加公開した。試験では試作兵器システムが海上自衛隊の6,200トン級試験艦「あすか」の後部飛行甲板に設置された。あすか艦上のレイルガンの写真は4月に初めて公開された。ATLAは9月に海上試験の画像を初公開し、結果に関する簡潔な声明を発表していた。

今年初めの試験中に発射されるあすか艦搭載の試作レイルガンを示す、以前に公開された写真。ATLA

試験で使用された試作レイルガンは、ATLAが2010年代半ばから開発を続けてきた設計を進化させたものだ。これまでに陸上施設での実弾試験や、少なくとも1回の海上試験(標的艦船を撃たないもの)が行われてきた。

レイルガンは化学推進剤の代わりに電磁石を用いて弾頭を非常に高速で発射する。今年初めの海上試験では、後部に4枚のフィンを備え弾頭を装着しないダーツ形状の弾体が発射された。弾体は当初サボ(装薬筒)内に収められており、砲口を離脱後にサボは分離した。また後部には金属製のアーマチュアが配置され、サボ内の弾体を砲身内へ押し込む役割を担い、発射後に脱落した。

今週のATLA発表資料のスライド。陸上施設で試験された初期プロトタイプレイルガンから、海上試験用に「あすか」に搭載されたものへの進化を強調したもの。ATLA海上試験で発射された弾体の設計について論じた発表資料の別のスライド。ATLA

レイルガンの標的として、タグボート型の船舶が使用された。少なくとも一部の試験射撃では標的船は移動していたが、自力航行ではなく他艦に曳航されていた。標的船は複数回被弾し、十字状の着弾痕がフィン安定化弾頭が安定した飛行軌跡を描いたことを示している。本記事冒頭および下部の画像で確認できる。

今週のATLA発表資料から、標的艦への損傷を網羅したスライド全体。ATLA標的艦への試験射撃実施方法に関する詳細を追加した別のスライド。ATLA

標的艦への水平射撃に加え、レイルガンは45度上向き角度でも発射された。これにより兵器と弾薬の組み合わせにおける基本弾道データが収集機会が収集された。

操作員は砲身下に取り付けられたカメラを用いてレイルガンを遠隔で照準した。追加データ収集のため、高速カメラと小型レーダーも「あすか」の飛行甲板に設置された。ドローンが上空から試験を撮影した。ATLAが9月に試験画像を初公開した際、本誌は小型レーダーアレイと電光・赤外線カメラの存在を指摘していたが、今回それが確認された。

今年初めの海上試験で武器の照準に使用された、レイルガン砲身下のカメラを強調したスライド。

ATLA海上試験の追加画像を含むスライド。武器を45度上方に向けて発射した弾道弾も写っている。試験中のデータ収集に役立ったレーダーアレイと高速カメラは、画像左端で強調表示されている。ATLA

ATLAによれば、今回の試験は実艦へのレイルガン設置・運用に関する貴重な新知見も得た。当然ながら、実戦配備される海軍用レイルガンは、「あすか」の試験配置と比べ、艦艇への統合度がはるかに高くなるだろう。艦船への設置では、レイルガンと関連システムのための甲板上・下部の十分なスペース確保に加え、その他多くの必要改修が必要となる。これらは費用と時間を要する可能性がある。

一方でATLAは、電力・冷却システムや一般的な摩耗・損傷など、レイルガン開発の継続的な取り組みの一環として、様々な基盤技術の改善を続けている。ATLAによれば毎秒約2,300メートルの速度で発射体を撃ち込む際、砲身の寿命が200発以上であることが実証できたという。2023年時点で、ATLAは試作レイルガンでは約2,230メートル毎秒の速度で発射体を撃ち込むことに成功し、砲身寿命を120発とする目標に向け取り組んでいると発表していた。

ATLA

超高速での持続的な発射による砲身の摩耗は、レイルガン全般が長年抱える課題の一つだ。砲身の劣化は射程や精度の低下を招き、致命的な故障のリスクも高める。

レイルガンはまた、膨大な電力供給と冷却を必要とするため、従来は物理的に非常に大型化していた。「あすか」への搭載には、これらの要件を満たすための追加システムや装備を満載した輸送用コンテナ4基が使用された。

ATLA装備政策部長の伊藤和美は、今年初めに開催されたDSEI Japan 2025展示会でのパネルディスカッションにおいて、日本のレイルガン開発は「進展している」と述べた一方で「様々な課題」の存在を認めた。これはNational Defense Magazineが報じた内容である。

下記のATLA動画は、陸上施設におけるレイルガン試作機の実弾射撃試験を収めたものだ。

実用的なレイルガンを開発し軍事運用に適応させることによる潜在的な恩恵は大きい。この兵器は貴重な対空能力を提供し、海上・陸上目標への攻撃能力も備える。さらに弾薬の比較的低コスト性と装填容量の点でも追加的な利点をもたらす。本誌が以前指摘したように:

「実用的な電磁レイルガンは、原理的には、海上・陸上・空中を問わず広範囲の目標を長距離で迅速に攻撃できる、高性能かつ柔軟な兵器システムとなる。日本は以前、この能力に対して、特に飛来する極超音速脅威への防御を目的として明示的に関心を示している。個々の弾丸が小型で単価も低いため、従来の地対空・地対地ミサイルと比較して、弾薬庫容量とコストの面で利点も提供するだろう。

特に艦船においては、物理的スペースが限られており、海上でのミサイル再装填の選択肢が極めて限定的である場合が多い。そのため、大容量弾薬庫から低コスト弾薬を発射でき、広範な目標群を攻撃可能な兵器システムは明らかな利点となる」。

レイルガンの利点は、艦載型だけでなく地上配備型にも及ぶ。ATLAが今週発表した資料には、レイルガン開発のロードマップの一環として、艦艇搭載型に加え、トラック搭載型レイルガンも示されている。ATLAは過去にも陸上配備能力の可能性を強調してきた。

日本のレイルガン開発計画の概略を示すスライド。既に実施された作業から、より洗練された設計、そして運用段階の艦載型・地上配備型能力への進展を示している。ATLA

以下に公開済みのATLA動画も、地上配備型トラック搭載レイルガンを描写している。

TWZが過去指摘した通り、日本のレイルガン開発継続は、少なくとも表向きは2022年に同能力開発を中止した米海軍との対比を一層鮮明にしている。2005年から米海軍は実戦配備可能なレイルガンの開発を積極的に推進し、陸上での広範な試験から海上試験へ移行する計画を立てていた。しかし、海上試験は繰り返し延期され、結局実施されなかった。海軍はレイルガン計画中止の理由として、技術麺での重大な障壁を挙げている。

興味深いことに、過去のレイルガン研究と、日本の現行開発にどう役立つかを議論するためATLAはが米海軍当局者と会談したとの報道がある。将来の協力拡大の可能性も浮上している。昨年、ATLAは仏独共同研究機関サンルイ研究所(ISL)と別途契約を締結し、レイルガン技術開発で協力することになった。

中国も1980年代から断続的にレイルガンの実験を続けている。2018年には大型砲塔に搭載された試作レイルガン中国人民解放軍海軍(PLAN)艦艇に現れたが、同計画の現状は不明だ。

2018年に登場した中国海軍のレイルガン。中国インターネット

前述の通り、ドイツとフランスの共同プロジェクトでもレイルガン開発が進められている。トルコも近年、レイルガン開発で特に注目を集めている。海軍および地上配備用途のレイルガンへの世界的な関心は依然として高いままだ。

ATLAが今年初めに発表した海上レイルガン試験の最新情報から明らかなように、日本は同技術の開発に強くコミットしている。■

ジョセフ・トレヴィシック

副編集長

ジョセフは2017年初頭より『The War Zone』チームの一員である。それ以前は『War Is Boring』の副編集長を務め、『Small Arms Review』『Small Arms Defense Journal』『ロイター』『We Are the Mighty』『Task & Purpose』など他媒体にも寄稿している。


Railgun Damage To Japanese Target Ship Seen For The First Time

Japan has shared new details about its continued pursuit of naval railguns, a capability the U.S. Navy halted work on years ago.

Joseph Trevithick

Published Nov 13, 2025 12:54 PM EST

https://www.twz.com/sea/railgun-damage-to-japanese-target-ship-seen-for-the-first-time



2023年10月18日水曜日

レイルガンの世界初の海上試射に成功した日本。米国はじめ大口径大出力のレイルガン開発を頓挫する中で、日本の中口径レイルガンが日米協力の事例になる日がきそうだ。(The War Zone)

 Test firing of Japanese railgun

ATLA via Twitter/X

日本が長年開発を進めてきた中口径電磁レイルガンは、ポイント・ディフェンス能力を大幅に向上させる可能性を秘めている



本は、中口径の海上電磁レイルガンを海上プラットフォーム上で試射することに成功したと発表した。防衛装備庁(ATLA)によると、このような目標を達成したのは世界で初めてだという。この実験は、日本が海上と陸上の両方で利用することを目指している技術にとって、重要な前進となるだろう。

防衛省に属するATLAは、海上自衛隊(JMSDF)と協力し試験に臨んだ。正確な内容や実施時期の詳細は明らかになっていない。

ATLAが公開した試験中のレイルガンのビデオ映像では、様々な角度から発射体を発射している。

Railgun seen firing in the footage. <em>ATLA via Twitter/X</em>

Railgun seen firing in the footage. ATLA via Twitter/X

<em>ATLA via Twitter/X</em>

ATLA via Twitter/X

今年5月に初公開されたATLAの中型電磁レイルガンのプロトタイプは、重量320g(0.7ポンド)の40mm鋼鉄弾を発射できる。最も基本的なレベルでは、The War Zoneが以前に示したように、レイルガンは化学推進剤ではなく電磁石に依存し、極超音速領域まで高速度で発射体を発射する。

ATLAのレイルガンは約2,230m/s(マッハ6.5)の速度で弾丸を発射でき、5メガジュール(MJ)、つまり500万ジュール(J)のチャージエネルギーを使用する。ATLAは、最終的には20MJの充電エネルギーでの稼働を計画している。

現時点では、日本が将来どの艦船にレイルガンを搭載し、それが実際に運用されるようになるかはわからない。しかし、日本は以前、少なくとも海上自衛隊駆逐艦に搭載する可能性を指摘したことがある。例えば2015年、海上自衛隊の最初の27DDまたは27DDG艦(「あたご」型誘導ミサイル駆逐艦の亜型)が登場したとき、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)は、艦内発電能力が向上していることから、同艦に電磁レイルガンが搭載される可能性を示唆した。

27DDG艦に搭載されたレイルガンの想像図(下図)を見ると、この兵器が空と海を拠点とするさまざまな目標に対処することがわかる。

An artist's conception of a railgun installation on a 27DDG ship.&nbsp;<em>Japan MoD via Navy Recognition</em>

An artist's conception of a railgun installation on a 27DDG ship. Japan MoD via Navy Recognition

駆逐艦だけでなく、日本が開発中の多目的ミサイル防衛艦に搭載される可能性もある。日本は近年、弾道ミサイル防衛(BMD)艦船の調達に多額の投資を行っている。空と海を拠点とする脅威の増大に対抗するためだ。

レイルガンから発射される弾丸の速度は、飛来する極超音速巡航ミサイルや、場合によっては極超音速弾道ミサイルを含む、海上でのさまざまな空中の脅威を標的にする魅力的な選択肢となる可能性が高い。また、ATLAは陸上トラックの上に多数のレイルガンを搭載し、同様に極超音速ミサイルを標的にするつもりだとも伝えられている。 

今回のレイルガンは中口径であるため、これらの能力は、船舶や高価値の陸上目標に対する高度に局地的なポイント・ディフェンスに限定される可能性がある。米海軍のような他のレイルガンのコンセプトは、大々的に宣伝された後に廃れたが、はるかに大口径の設計に基づいている。それは、はるかに高性能ではあるが、日本がテストしているものよりも複雑なシステムと、はるかに大きな電力と冷却を必要とする。それでも、たとえ40ミリでも、実用的な海軍レイルガンシステムを実現するためには、乗り越えなければならない大きなハードルがある。

ATLAにとって、この兵器の実用例を試験発射するまでの道のりは長かった。1990年、同機関の地上システム研究センター(GSRC)は、基本的な小型16mmレイルガンの研究を開始した。そして2016年頃、対空および対艦能力を発揮するように設計された実例を開発する取り組みが開始された。2018年にATLAによって概念実証例のビデオ映像が公開され、小口径の開発用レイルガンも関連する支援装置や試験装置とともに紹介された。

ATLA<em> </em>railgun proof-of-concept example, 2018. <em>ATLA video screencap </em>

ATLA railgun proof-of-concept example, 2018. ATLA video screencap

その後2022年5月、ATLAのGSRCは日本製鋼所と4,790万ドル(日本円で65億円)の試作レイルガンの研究開発契約を締結し、前述の通り2023年5月に発表された。

にもかかわらず、日本のレイルガン開発は、インド太平洋で直面する脅威の規模が拡大していることを考えると、これまで以上に重要であることに変わりはない。超音速兵器を含む北朝鮮のミサイル兵器の増強は、日本にとって差し迫った危険だ。昨年、北朝鮮は弾道ミサイルを日本上空に発射したが、そのミサイルはさらに東の太平洋上に着弾した。日本にとって、平壌からのミサイルの脅威は明らかで、領空侵入した北朝鮮のミサイルはすべて破壊すると公言している。北朝鮮の巡航ミサイルの能力も急速に進化しており、日本の船舶をより大きな危険にさらしている。

Japan's railgun demonstrator firing a discarding sabot round. (Japan MOD)

Japan's railgun demonstrator firing a discarding sabot round. (Japan MOD)

さらに、日本は同地域で中国からの挑戦にも直面しており、中国のミサイル能力は拡大している。特に、日本は尖閣諸島など東シナ海の小島の領有権を主張しており、両国が衝突した場合、中国の標的になる可能性が高い。中国の対艦ミサイル兵器は他のどの国よりも多様で、急速に進化している。

米軍に見捨てられたにもかかわらず、日本が電磁レイルガン技術の開発に取り組み続けていることは注目に値する。米国では、BAEシステムズとジェネラル・アトミクスの2社が電磁レイルガンの設計研究を2005年に始めた。この研究は、海軍の2022会計年度予算から資金が削除されたことで終了した。

それ以来、ATLAの防衛技監(CTO)の三島茂徳は、米国の請負業者が将来的に日本のレイルガン計画に参加する可能性を示唆している。米軍にレイルガン技術開発への間接的な復帰手段を提供する可能性がある。

現在、レイルガンの実用化に向けて取り組んでいる他の国には、中国とトルコがある。中国が独自のレイルガンを開発していることは、開発が進んだ状態の中国海軍レイルガンの出現を受けて、2018年に初めて指摘された。中国は、124kg(273ポンド)の弾丸を時速700km(435m)で0.05秒以内に発射できるシステムを開発したと主張している。同国は、この技術が将来の海軍資産の中核となることを想定している。このレイルガンのプロトタイプが実際に何を達成したのかについてはまだ確証がないが、米海軍のそれと同様、大口径兵器でもある。

China's railgun prototype seen in 2018. <em>Chinese internet</em>

China's railgun prototype seen in 2018. Chinese internet

海上電磁レイルガンを実用化しようとする日本の努力には、まだ長い道のりがあり、運用可能にするためには、大きなハードルを飛び越える必要がある。腐食性の海水、絶え間ない衝撃、極端な暑さや寒さなど、海洋環境では避けられない問題も克服しなければならないだろう。しかし、今回のテストは重要な一歩となる。

今後の展開に注目だ。■

Japan's Railgun Performs First Test Firing At Sea | The Drive


BYOLIVER PARKEN|PUBLISHED OCT 17, 2023 8:14 PM EDT

THE WAR ZONE


2019年8月19日月曜日

米海軍のレイルガン開発は意外に順調に進んでいるようだ:艦載実証テストの目処がついた様子


The Navy's New Railgun Is A Step Closer to Sinking Your 'Battleship'

Or just a dream? 
August 17, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: RailgunMilitaryTechnologyWorldU.S. NavyNavy

海軍の電磁レイルガンは水上艦艇での実証を前に「事実上の試運転」を実施中と関係者が述べており、一時は行き詰まりといわれていたレイルガンだが実用化のめどが見えてきたようだ。
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海軍水上戦センターがホワイトサンズミサイル試射場に分遣隊をおいており、艦載用戦術実証装備として5億ドルを投じたスーパーガンの政策が進行中だ。

「レイルガン設置は今年早々に始まっており、ガン本体、出力制御装置、画像表示装置や各機能の統合を進めている」と現地責任者ジョン・ウィンステッドが発表。「テストの目的は新規設置の砲台と電源コンテナーや制御装置の完全性能の試運転にある」


公式発表ずみのテストは5月15日が唯一の例で4発を発射し、「実証とデータ診断を完全に」行ったと海軍は発表している。「テストは成功をおさめ今後の搭載および実証に向けテスト条件を確認できた」

海軍が「試運転」と静かに発表したのは海軍研究本部がレイルガンを艦艇搭載に向け前進する中でのことで、海軍技術陣が艦艇搭載の課題とともに連続発射で必要な「パルス出力アーキテクチャ」も解決したことを示している。

5月に海軍が発表した環境インパクト評価では「運動エナジー兵器(レイルガンのこと)は水上艦艇でテストし、爆発性、非爆発性双方の発射体を空中または筋状目標に向け発射」を米北西部太平洋上で数ヶ月のうちに実施するとあった。

「システム変更は2分間で完了し、1秒未満で発射できる」と同評価は述べている。「システムはシールドを施し艦載装備に影響を与えない。装備が放出する電磁エナジーは低く抑えかつ水上艦の外に出ない」

海軍が搭載および電源システムを重要視しているのは電磁レイルガン実用化でよい兆候と言える。Task & Purpose が2017年12月に掲載した記事ではレイルガン推進派は予算重点の変化で戦術用途向け実証機の完成が遅れると見ていた。ペンタゴンが超高速発射体(HVP)を重視しはじめたためで、既存の艦砲で発射でき効果が大きいと見られていた。

最近では2019年2月に海軍作戦部長ジョン・リチャードソン大将はレイルガンを「今回のプロジェクトから多くを学んだ。電磁エナジーを手段とする技術の実現は課題だった」とし、「まだ開発は続く。艦艇への搭載があるし、その後も開発テストがある。兵装としては画期的性能となりぜひ実用化したい」


レイルガン推進派は予算優先順位問題をとりあえず棚上げしていい。海軍の2020年度予算要求では昨年より7.6百万ドルを上積みし開発を継続することになっている。また戦術実証装置の計画も実体化しつつあるようで、スーパーガンは懐疑派を一掃する効果を発揮するだろう。■

2019年4月7日日曜日

米海軍のレイルガン開発は難航している模様、かわりにHVP砲弾が脚光を浴びそう

コメントは下にあります。


Railgun Derailed: The U.S. Navy's Ultimate Weapon Is in Trouble

Will it happen?
March 31, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarNavy

海軍が電磁レイルガンに「本格的予算投入」すると宣言して一年足らず、ジョン・リチャードソン海軍作戦部長は500百万ドルを投じたスーパーガン開発がトラブル続きで複雑な気持ちだろう。
大西洋協議会でリチャードソン大将は10年にわたる同兵器の研究開発がいまだに艦船搭載実証もできず行き詰まっている状態を「事例研究としてみなさんなら『このイノベーションは実現しないかも』と言うのでは」と表現。
「電磁エネルギーの利用で爆発作用を使わない兵器にするのは技術的に難題です」と同大将が語ったとされる。「そのため今後も継続して開発、テストしていきたい」
2018年3月の議会公聴会で見せた本人の自信はどこに言ったのか。2017年12月に Task & Purpose はレイルガンは研究開発段階から先に進めない、艦艇搭載が困難なだけでなくペンタゴンの戦略能力開発室(SCO)が優先順位を変更したからだと伝えていた。
「レイルガンに本格的に予算投入する。テスト実施のためこれを続ける」とリチャードソンは議会で当時確約していた。「仕様より遅い間隔で発射を....短距離で実施した。今度は定格通りの発射で射程80から100マイルを狙う」と述べていたとMilitary.comが伝えていた。
Task & Purpose ではそれに先立ちSCOが超高速発射弾(HVP)に中心を移し、レイルガン用に想定されたこの砲弾を通常火砲から発射させようとしていると報じた。海軍はHVPをUSSデューイのMk 45 5インチ砲から2018年8月のRIMPAC演習で実際に発射した。
リチャードソンも優先順位付けの変更を認めている。「高速度発射弾は現行砲すべてで運用可能だ。レイルガンと別に各艦艇に迅速に供用可能。このためこれを最優先している。レイルガンについては作業を加速化したい」
一年前のリチャードソン大将は議会メンバーの前で「レイルガン開発が行き詰まっているというのは言い過ぎ」とまで述べていたとMilitary.comが伝えている。■
This article by Jared Keller originally appeared at Task & Purpose. Follow Task & Purpose on Twitter. This article first appeared in 2019

想定通りの進展を示していないのはハードウェア、ソフトウェアいずれでしょうか。あるいは両方が絡む問題なのでしょうか。常識を破る新兵器ですから一筋縄には進まないと覚悟もしていましたが。レイルガンが当面あらわれなくてもHVP砲弾が実用化され既存の火砲の威力が増すのであればそれはそれでいいのですが。