トランプの対ロシア政策が大転換する(TWZ)
ロシアを「張り子の虎」と呼び、ウクライナの勝利は可能と宣言したことからトランプの政策転換が迫りつつことがわかる
(写真:アンドリュー・カバレロ・レイノルズ/AFP)
ウクライナでの戦争の遂行や、ヨーロッパの他の国々に対する好戦性の高まりについて、ドナルド・トランプ米大統領が公に表明したロシアに対する姿勢に地殻変動的な変化が生じている兆候が強まっている。先月アラスカでロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談した後、トランプ大統領はモスクワの立場にはるかに理解を示すようになった。しかし、米国の指導者のメッセージは、ロシアを「張り子の虎」と呼び、ウクライナに強く有利な方向に動いているようであり、その結果、大規模な政策転換が間もなく起こる可能性がある。
トランプ大統領は現在、適切な支援があれば、ロシアが獲得した領土をウクライナは取り戻すことができると述べている。また、キーウに長距離巡航ミサイルを提供する意思もより強くなっており、同盟の領空に侵入したロシアの航空機を NATO が撃墜すべきと求めている。これらすべてが、彼の心境の真の変化なのか、単なる交渉戦術なのかは依然として不明だが、いずれにせよ、トランプはこの紛争に関する公的な立場を劇的に変えた
2025年8月22日、ワシントンD.C.のホワイトハウス大統領執務室で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領から贈られたと語る写真を手に持つドナルド・トランプ米大統領。(写真:チップ・ソモデビラ/ゲッティイメージズ) チップ・ソモデビラ
トランプ大統領の立場が逆転したことを示す最新の兆候は、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領が、国連総会に合わせて火曜日にトランプ大統領と会談し、トマホーク陸上攻撃巡航ミサイル(TLAM)の提供を要請したとの報道が流れた金曜日に現れた。Axiosによれば、ゼレンスキー大統領は「トランプ氏が長距離巡航ミサイル提供要請に前向きな反応を示した」と述べたという。
射程約1,000マイル(約1,600km)で1,000ポンド(約450kg)の弾頭を搭載するTLAMを入手すれば、ウクライナはロシア深部の大規模目標を攻撃可能な兵器を獲得し、モスクワやサンクトペテルブルクといった主要都市を脅威に晒すことになる。こうした兵器の提供は、トランプ政権がこれまでウクライナへの長距離巡航ミサイル供与を拒否してきた姿勢とは対照的だ。さらにトランプ氏は過去にキーウへの兵器供給を抑制してきたが、最近ではNATO加盟国が保有する兵器を売却し、それをウクライナに譲渡する計画を策定している。
R/UGM-109 トマホーク陸上攻撃巡航ミサイル(米海軍)
ゼレンスキー大統領との会談は、トランプの世界観に大きな影響を与えたようだ。同様に、ロシアのMiG-31フォックスハウンド迎撃機によるエストニア領空侵犯や、ポーランドへのドローン侵入(一部は撃墜された)も影響している。ゼレンスキー大統領との会談後、トランプは自身のソーシャルメディアに驚くべき投稿を行い、少なくとも公的には、ロシア・ウクライナ戦争に対する自身の姿勢に大きな変化があったことを示唆した。
「ウクライナ/ロシアの軍事・経済状況を理解し、ロシアに与えている経済的打撃を目の当たりにした今、ウクライナは欧州連合の支援を得て、全土を元の形に回復させる戦いを戦い、勝利できる立場にある」とトランプはトゥルース・ソーシャルで宣言した。「ロシアは3年半もの間、無意味な戦争を続けている。真の軍事大国なら1週間もかからずに終結させておかしくない戦争だ。これはロシアを際立たせるものではなく、むしろ『張り子の虎』のように見せている」と述べた。
「プーチンとロシアは深刻な経済的苦境にあり、今こそウクライナが行動すべき時だ」とトランプは付け加えた。「いずれにせよ、両国の健闘を祈る。我々はNATOに対し、彼らが望むように使用できる武器を供給し続ける。皆に幸運を!」
当然のことながら、クレムリンはトランプの「張り子の虎」という主張に反論した。
「ロシアは決して虎ではない」と、ドミトリー・ペスコフ報道官は、ある程度の軽薄さをもって地元のラジオ局に語った。「むしろ、ロシアは熊に例えるべきだ。紙の熊など存在しないのだから」。
トランプ氏の「張り子の虎」発言を受けて、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、米国のマルコ・ルビオ国務長官と会談した。
「会談は約 50 分間続いた」と、ABC ニュースが報じた。「ラブロフ外相は、トランプの口調の変化を懸念しているかどうか、あるいは米国大統領がロシアに背を向けたかどうかなど、退席時に質問には答えなかった」。
会談後、ルビオ長官のスポークスパーソンは短い声明を発表し、ルビオが「殺戮の停止と、ロシアとウクライナの戦争の永続的な解決に向けた有意義な措置をモスクワが講じる必要性をトランプ大統領が呼びかけていることを繰り返し述べた」と述べただけだった、と同ネットワークは報じている。
一方、クレムリンは金曜日、ロシアの航空機が NATO の領空を侵犯すれば撃墜されるという示唆を激しく非難した。
「この件については議論すらしたくない」とペスコフ報道官は述べた。「極めて無責任な発言だ」「ロシア軍機が他国の領空を侵犯したという主張には根拠がない。説得力のある証拠は提示されていない」と彼は付け加えた。
ペスコフの発言は、欧州の外交官たちがロシアの外交官たちに、さらなる領空侵犯があった場合には航空機を撃墜することも検討対象であると伝えたという報道を受けてのものだ。
「モスクワでの緊迫した会合で、英国、フランス、ドイツの使節たちは、先週エストニア上空を MiG-31 戦闘機3 機が侵入したことについて懸念を表明した、とブルームバーグ・ニュースが木曜日に、匿名の当局者を引用して報じた。「会談の結果、彼らは、この侵犯はロシア軍司令官による意図的な戦術であると結論づけた」と報じた。
また木曜日、NATOのマルク・ルッテ事務総長は、ロシアの機が同盟の領空に侵入した場合は発砲すべきであるとのトランプ大統領の見解に同意した。
「必要な場合は。ですから、私はトランプ大統領の見解に全面的に同意します。必要な場合は」と、ルッテ事務総長はFox & Friendsのインタビューで述べた。NATO事務総長は同盟軍はこのような脅威を評価し、ロシアの航空機を同盟領外へ護送できるかどうか、あるいはさらなる行動を取るべきかどうかを判断する訓練を受けている、と付け加えた。
トランプ大統領は公の場でプーチン大統領から距離を置き、ゼレンスキー大統領に接近しているように見えるが、気まぐれな米大統領の立場は過去にも変化してきた。このため、キーウとモスクワの双方は、この態度の大幅な変化が実際の行動につながるのか、それともトランプ氏の「取引の芸術」における単なる一手の動きに過ぎないのかを見極めようと待ち構えているに違いない。■
Massive Change In Trump’s Stance On Russia Emerging
Trump calling Russia a "paper tiger" and proclaiming that Ukraine can win are just some indications of a big policy shift incoming.
Published Sep 26, 2025 4:03 PM EDT
https://www.twz.com/news-features/massive-change-in-trumps-stance-on-russia-emerging
ハワード・アルトマン
シニアスタッフライター
ハワードは『ザ・ウォー・ゾーン』のシニアスタッフライターであり、『ミリタリー・タイムズ』の元シニアマネージングエディター。それ以前は『タンパベイ・タイムズ』のシニアライターとして軍事問題を担当。ハワードの作品は『ヤフーニュース』『リアルクリアディフェンス』『エアフォース・タイムズ』など様々な媒体に掲載されている。