デンマークを悩ます謎のドローンへの対応でフリゲート艦、レーダー、部隊が急行(TWZ)―欧米がドローン対策に大わらわの中、日本もうかうかしていられません
EUサミットが開かれるデンマークの首都に軍事資産が展開中だ。北欧地域でドローン侵入が続いている。
(写真提供:EUNAVFOR MED IRINI OPERATION/Anadolu Agency via Getty Images)
バルト海地域とスカンジナビアでドローン目撃情報が相次ぐ中、欧州諸国はコペンハーゲンの警備を強化している。対ドローンシステム、高度なレーダー、ドイツのフリゲート艦、フランスのヘリコプターおよび部隊の展開は、今週デンマークの首都で開催される欧州連合(EU)会合を保護することを目的としている。
軍事施設や民間空港上空での目撃情報を受け、デンマークは民間ドローンの空域使用を本日より1週間禁止した。先週、ドローンの侵入により空港六ヶ所を閉鎖せざるを得なかった。ノルウェー当局は日曜日に飛行経路変更を発表。空港上空に正体不明のドローンが確認されたためだ。
デンマーク政府はドローンを「ハイブリッド攻撃」の一環と位置付けているが、ロイター通信によれば、当局は責任の所在を明確に断定するまでに至っていない。ただしメッテ・フレデリクセン首相は「欧州の安全保障に対する脅威を主として及ぼす国」としてロシアを名指しし、モスクワの可能性を示唆した。クレムリンは関与を否定している。
これらの侵入の背後に誰がいるかに関わらず、NATOはドローンによる潜在的な脅威を深刻に受け止めている。
スウェーデンのウルフ・クリステルソン首相は月曜朝、Xで「スウェーデン政府は、今週コペンハーゲンで開催されるサミットに関連し、デンマークに対し軍事的な対ドローン能力による支援をスウェーデン軍に命じることを決定した」と述べた。「具体的には、対ドローン能力(いわゆる対UAS)を備えた部隊の派遣を伴う。この部隊はデンマーク軍が指揮を執り、今週開催されるサミットに関連するデンマーク警察の作戦支援に貢献する」と述べた。
さらにクリステルソン首相は「スウェーデンは一定期間、デンマークに対し高性能レーダーシステムを数基貸与する」と付け加えた。「世界最高峰のレーダーシステムの一つだ。世界に誇れるスウェーデン技術である。レーダーシステムは既に昨日送付済みだ」。
本誌がコペンハーゲンに配備される対ドローン・レーダーシステムの詳細を問い合わせたところ、スウェーデン国防省はコメントを控えた。
ドイツは対空フリゲート艦ザクセン級FGS「ハンブルク」をコペンハーゲンに派遣したと、デンマーク国防省が日曜日発表した。
同省は声明で「同艦は、コペンハーゲンで開催予定のEUサミットに関連し、デンマークの空域監視強化に貢献する」と説明。「ドイツフリゲート艦はNATOのバルティック・センティ活動の一環で同盟東部戦線におけるNATOのプレゼンス強化を目的としている」と述べた。
NATOは月曜朝、ハンブルクの寄港はドローン侵入への対応としてバルト海監視活動を強化する同盟全体の取り組みの一環だと説明した。この作戦は今年初めに、破壊工作とみられる海底ケーブル切断事件が相次いだことを受けて開始され、現在拡大中である。
「NATO常設海上グループ1に配属されたフリゲート艦「ハンブルク」(F220)は昨日コペンハーゲンに寄港し、強化されたバルト哨戒活動の継続を支援する」とNATO報道官のアーロ・エイブラハムソン中佐は月曜朝に本誌に語った。「デンマーク近海でバルト哨戒活動を行う『ハンブルク』の存在は、同盟内の結束と確固たる姿勢を示すメッセージとなる」。
エイブラハムソン中佐はさらに「デンマークでの最近のドローン事件を受け、NATOはバルト・センティ作戦下でデンマークを含むバルト海地域において、新たなマルチドメイン資産を用いた警戒活動を強化している」と説明。「該当の資産には複数の情報収集・監視・偵察プラットフォームと防空フリゲートが含まれる。こうした措置は、警戒活動強化の柔軟性と機動性を示しており、[重要水中インフラ] CUIの保護のみに留まらない任務拡大を可能にしている」とし、「同盟国を保護・防衛するため断固たる行動を取るという同盟国の決意を具体的に示す事例でもある」と述べた。
ドイツはハンブルクの展開に加え、デンマークに対し「レーダー・光学・音響技術を活用した探知システムを用いた小型無人航空機システム(C-sUAS)対策能力」も提供しているとAP通信が報じた。
フランス国防省は声明で、「デンマーク領空における未確認ドローンの飛行が急増していることに対応し」同国に「要員35名、フェネックヘリコプター1機、および実戦配備型対ドローン装備」を配備したと発表。ドローンは「深刻な脅威」であると付言した。
デンマーク軍はコペンハーゲン空港にXENTA-C対ドローンレーダーシステムを設置した。これらの資産はドローンの検知や場合によっては撃墜も可能だが、さらなる無人航空機が確認された場合、NATO当局が具体的にどう対応するかは不明だ。例えばNATO報道官エイブラハムソンは、ハンブルクがどのような交戦規則の下で活動しているかについてコメントを控えた。
欧州がコペンハーゲン上空の防衛を強化する中、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はNATO空域を守る対ドローン「シールド」の構築を訴えている。
「ウクライナはポーランド及び全てのパートナー国に対し、ロシアの航空脅威に対する共同の完全信頼性のあるシールド構築を提案する」とゼレンスキー大統領は月曜日、ワルシャワ安全保障フォーラムへのビデオリンクによる演説で述べた。「これは実現可能です。ウクライナはあらゆる種類のロシア製ドローンやミサイルに対抗でき、地域で共同行動を取れば十分な兵器と生産能力を確保できます」。
今月初めに十数機のロシア製ドローンがポーランド領空に侵入し、一部が撃墜されたことを受け、ゼレンスキー大統領はウクライナ軍と技術者がポーランド側のドローン対策訓練を支援すると表明した。
NATO当局者はロシアを直接非難することを躊躇しているが、ゼレンスキー大統領は日曜日、モスクワが欧州諸国を標的とするドローンの発射・制御に石油タンカーを利用していると非難した。ウクライナ大統領は情報報告を引用し、モスクワに対するより厳しい制裁を求めた。
NATO空域の防衛に対する懸念の高まりは、前述のポーランドへのドローン侵入後に始まり、3機のロシアMiG-31フォックスハウンド迎撃機によるエストニア領空への侵入でさらに強まった。最近の正体不明ドローン目撃情報は不安を煽っている。
本誌は以前からドローン侵入を報じてきた。軍事施設や重要インフラ上空での侵入が米国で発生していた時期に、多くの人はこれを問題視していなかった。2023年のラングレー空軍基地やライト・パターソン空軍基地、ピカティニー兵器廠での事例が、この問題を主流に押し上げた。欧州の軍事基地や重要インフラ上空でのドローン目撃は過去数年にわたり散発的に発生しており、深刻な懸念を招く事例もあった。例えば昨年末には英国内の複数米軍基地での事例を本誌がスクープした。しかしポーランドでのドローン侵入事件を契機に、この問題は急激に深刻化しているようだ。
さらに昨年末にはニュージャージー地域で数千件に及ぶドローン目撃が相次ぎ、広くパニックを引き起こした。とはいえ、こうした事例の大半は誤認で、本格的な調査対象となったのはわずか100件程度だった。欧州での目撃事例のうち、どれほどが誤ってドローンと分類されているかは現時点で不明だが、多くのケースで同様の状況が起きているようだ。連邦政府や軍によるこうした脅威への認識不足が慢性化していることが、混乱に拍車をかけている。
最近、本誌は米北方軍が基地のドローン防衛を支援するため即応部隊(QRF)を創設したことを報じた。当初はコロラド州ピーターソン宇宙軍基地から1チームが展開する。しかしこの構想は、小型ドローン脅威への対応で米国がいかに遅れているかを如実に示している。QRFは最初の侵入から現場到着までに最大24時間を要するからだ。同様の準備不足は欧州の同盟国にも存在する。
現在のドローン波の中で、コペンハーゲンに対ドローン装備を寄せ集めて急遽配備する動きは、この事実の申告ぶりをさらに証明している。■
Frigate, Radars, Troops Rushed To Copenhagen To Defend Against Mystery Drones
Military assets are being sent to the Danish capital to protect European Union officials as drone incursions in the Nordic region continue.
Published Sep 29, 2025 2:56 PM EDT
https://www.twz.com/air/frigate-radars-troops-rushed-to-copenhagen-to-defend-against-mystery-drones