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2025年9月18日木曜日

アトランティック・イーグルス展開で英国に到着した川崎C-2(The Aviationist)

 

アトランティック・イーグルス展開で英国に到着した川崎C-2(The Aviationist) ― 見慣れない日本製の機体は英本国の航空ファンにもエキゾチックに映ったことでしょう

Kawasaki C-2 Arrives RAF Coningsby, UK

英国RAFコニングズビー基地で夕陽を浴びる川崎C-2 58-1218(撮影:グレン・ロケット)

空ショー以外での初の英国訪問として、川崎C-2 58-1218が2025年9月17日RAFコニングズビー基地に到着した。

航空自衛隊(JASDF)のF-15Jイーグル4機による欧州親善派遣「オペレーション・アトランティック・イーグルス」の支援機として展開する2機のC-2の1機である58-1218は、現地時間18時05分(UTC 17時05分)にコールサイン「Japanese Air Force 101」で到着した。同機はカナダ・グースベイ空軍基地から離陸した。4機のF-15J及びその他の支援機は、日本・千歳基地からアラスカ・エイールソン空軍基地を経由して同基地に途中停泊していた。

58-1218は今年3月に納入された機体であり、C-2艦隊の中でも最新鋭の1機であり、航空自衛隊全体でも最新機体の1つである。同型機は22機が発注されており、現在は基本輸送型C-2と偵察型RC-2で構成されている。

コニングスビー基地の25番滑走路へ進入するC-2。(画像提供: Glenn Lockett)

戦闘機に先立って到着したC-2は、F-15Jの受け入れ準備を整えるため、要員や各種地上装備を輸送したと見られる。コックピットや機体へのアクセス用はしごなどは、機体の高さや胴体形状が異なるため、機種ごとに専用設計されることが多い。一見汎用ツールのように見えても、実際には機種固有の仕様が求められる。さらに、到着時には吸気口カバーやその他の保護装備も必要となる。予備部品や装備、追加要員は、戦闘機の輸送を支援するKC-46およびKC-767給油機に加え、2機目のC-2に搭載されて後続する。

川崎C-2が英国を初訪問したのは2018年、機体番号68-1203がロイヤル・インターナショナル・エアタトゥー(RAFフェアフォード)(通称RIAT)で展示された際である。その後2022年には18-1215が再びRIATのために訪英した。今回の訪問は、航空ショー以外での同機種の英国初訪問となる。米空軍の機体番号(発注年度の会計年度で始まることが多い)に似ているが、日本の機体番号は異なる規則に従っている。

最初の数字は製造年の末尾を示す。18-1215は2021年、68-1203は2016年、前述の58-1218は2025年に納入された。2桁目は機種に基づいて割り当てられるが、現在および過去に運用された機種数が多いため、一意ではない。川崎C-2に用いられる数字「8」は、その前身機であるC-1でも使用されていた。3桁目(ハイフンの直後の数字)は航空機の基本任務を示す。全てのC-2はこの位置に「1」を配置し、輸送機であることを示す。一方、来訪中のF-15は全て「8」を配置し、これは戦闘機に割り当てられる番号だ。最後に、末尾3桁は順次割り当てられており、最初のC-2は「201」を装着し、以降の機体はそこからカウントアップされる。

日本部隊は「コブラ・ウォリアー25-2」演習の最中に到着するが、F-15Jが英国滞在中に飛行する可能性は低いと報じられている。日本の朝日新聞は、元航空自衛隊パイロットで現統合幕僚長の内倉博明中将の言葉を引用している:「飛行経験のない国へ飛び、未訪問の空港に着陸するのは非常にストレスがかかる。必要な準備は想像を絶するが、これを成し遂げられれば非常に意義深い」。

珍しい光景-英国空軍のユーロファイター・タイフーンを背景に撮影されたC-2輸送機(撮影:グレン・ロケット)

しかし、今回の初の親善訪問(航空自衛隊戦闘機が欧州に展開するのは史上初)が、将来のより活発な飛行活動を伴う展開への道を開くことが期待されている。グローバル戦闘航空計画(GCAP)戦闘機の配備開始により、将来の展開計画は容易になる見込みだ。航空自衛隊機は英国空軍の既存支援装備や予備部品を共有できるためである。

残りの航空機は9月18日に英国到着予定で、F-15Jは夕方にRAFコニングズビー基地に到着する見込み。2機の空中給油機はRAFブライズノートン基地で英国空軍の輸送機群と並んで駐機される。数日間の英軍乗員との文化交流後、日本軍部隊はドイツ・ラーゲ基地での「アトランティック・イーグルス」展開の次段階に向け出発する。

川崎C-2

C-2は川崎重工業が旧型輸送機C-1の後継機として設計した。前機と同様に国産設計で、日本が求める能力をすべて満たす外国製機体は存在しないと評価された。初号機は2010年1月に初飛行を行い、C-2は6年後の2016年に正式に日本軍に配備された。

C-17グローブマスターIIIのような四発ジェット輸送機よりは小型だが、C-2は後継機であるC-1より大幅に大きく、輸送能力はエアバスA400Mと同等である。ただしターボプロップA400M輸送機と比較すると、C-2は巡航速度、実用上昇限度、航続距離において優れている。搭載するジェネラル・エレクトリックCF6ターボファンエンジンは民間・軍用機双方で広く採用されており、エアバスA330、ロッキードC-5Mスーパーギャラクシー、米空軍VC-25AやE-4Bを含むボーイング747の一部機種を推進している。日本のKC-767給油機にも採用されているが、新型のKC-46は代わりにプラット・アンド・ホイットニーエンジンを搭載している。

C-2の主な欠点は、専用設計であることと発注数が少ないことに起因し、競合機が享受できる規模の経済の恩恵が受けられない点にある。このため輸出市場で魅力に欠けるが、川崎重工はこの課題に対処し生産コスト削減を模索中だ。2010年代半ばまで、日本の法律は軍事装備の輸出に厳しい制限を設けていた。

法改正後、川崎重工などメーカーは海外航空ショーでC-2やP-1海上哨戒機などの製品を積極的にアピールしている。一部関係者からは新明和工業US-2水上機への関心も示されていると報じられている。

本質的に、日本の軍事輸出市場への動きは、アトランティック・イーグルスなどの任務を通じた同盟国との軍事協力強化への意欲と表裏一体である。欧米の航空ファンはこうした進展を熱望するだろう。過去には日本のユニークな航空機を目にする唯一の手段が高額なアジア渡航だったからだ。

C-2到着の素晴らしい画像提供を快諾してくれたグレン・ロケット氏に深く感謝します!


First Kawasaki C-2 Arrives in UK for Atlantic Eagles Deployment

Published on: September 17, 2025 at 11:54 PMGoogle News IconFollow Us On Google News

 Kai Greet

https://theaviationist.com/2025/09/17/kawasaki-c-2-arrives-in-uk-atlantic-eagles/

カイ・グリート

カイは英国コーンウォールを拠点とする航空ファン兼フリーランス写真家・ライター。ファルマス大学にてBA(優等学位)プレス・エディトリアル写真学を修了。国内外の著名組織やニュース媒体で写真作品が掲載され、2022年にはコーンウォールの歴史に焦点を当てた書籍を自費出版。航空全般に加え、軍事作戦・歴史、国際関係、政治、諜報活動、宇宙開発にも深い関心を抱いている。